2016年01月28日
徳大寺有恒さんが考える日本の名車
『徳大寺有恒ベストエッセイ』から。1977年に出た『続・間違いだらけのクルマ選び』に、「名車ブームの陰に隠れた本当の名車」という章がある。
まず、「トヨタ2000GTは名車と思えない」と否定し、
89:私が考える名車は、その時代にあって他のクルマに大きな影響を与えるような進歩的な技術と思想をもってつくられたクルマのことだ。そのうえに信頼性のあることは必要条件だし、高性能であり、スタイルが美しければ、それこそ文句なしに名車といえる。
と定義づけている。2000GTは希少車には違いないが、「それはコレクターの対象としての価値を示すものでしかない」とし、「カタログ上の高性能はともかく、ドライバビリティは最低に近い」と指摘している。若いころトヨタ所属のレーサーだった徳大寺さんが言うのだから間違いないだろう。
では、徳大寺さんの考える日本の名車とは以下の通り。うちの父が結婚して買った最初のクルマもスバル360だったようだ。スバル360を設計したのは中島飛行機で軍用機を設計していた百瀬晋六。あだ名は(いつまでも仕事を止めないので)「エンドレス」だったという。
経営的には長らく困難の続いたスバルだが、今の隆盛を見れば百瀬さんも喜ぶだろう。
90:スバル360(1958)昭和33年に市場に現れた。全長3000mm、全幅1300mmというサイズの中で可能なかぎりスペースユーティリティを追求したモノコックボディ、トーションバーによる独立式サスペンション、わずか360ccという小さなエンジンで80km/h以上のスピードを可能にした高性能等、当時としては日本で唯一世界水準に達していた名車だった。91:日産ブルーバード310型(1959)画期的な思想や技術はもっていなかったが、適切なパワーとバランスのいいシャシーで、当時としては優れたドライバビリティを誇っていた。92:ホンダS600/800ホンダにとってはじめての四輪車で、DOHC、4キャブでl当たり90PS近い高性能エンジンを誇っていた。92:トヨタS800基本的にはパブリカという大衆車の構成部品を用いながら、徹底した軽量化とバランスのよさでスポーツカーの条件に適ったクルマだ。空冷2気筒、OHV、800ccのエンジンはわずか45PSに過ぎないが、車重が何と580kgという軽さ。空気力学的に優れたスタイルと合わせて150km/h以上のスピードが得られた。燃費のいい経済車であったこともいうまでもないのだ。私はトヨタだったら2000GTより、このS800を名車にあげたい。
