2016年01月25日

初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた

徳大寺有恒 ベストエッセイ
徳大寺 有恒
草思社
2015-10-16


1976年に出た『間違いだらけのクルマ選び』は大ベストセラーとなり、30歳で経営していた会社を倒産させてしまい、生活に困窮していた杉江博愛(本名)を一躍有名人にした。以来、2014年11月7日に亡くなる直前まで「徳大寺有恒」は書き続けた。

私も本やエッセイを何度か読んだことがある。スーパーカー世代でそれなりに車に関心があったし、徳大寺さんの書くものはクルマだけではなく、文化論でもあった。その徳大寺さんのベストエッセイ集が出たので、懐かしさもあって、読んでみる。

興味深かったのは、「初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた」(『自動車博物館』1986)という下り。

29:毎日が満足の連続。幸福だった。どんなクルマをテストしても、自分のクルマに乗るとホッとした。そのVWゴルフを基準として『間違いだらけのクルマ選び』を書いた。そして徳大寺有恒となった。

昨年はドイツを震撼させる大スキャンダルに見舞われたVW。その代表車種であるGolfは1974年に登場。スタイリングとパッケージングはジウジアーロ、エンジンはAudi、その他はVWによって開発されたというから代表車種にしてはアウトソーシングなのはどういう事情だろう。

「生活は苦しいがクルマは欲しい。そんな中、奥さんが買ってくれた」(と書いてある)のが初代Golfであったらしい。

28:ビートルから四角になったVWゴルフをVWファンは好まなかったらしい。ヤナセも大まけにまけてくれたのだ

前世代のビートルがそうであったように、ゴルフも革新的な車だった。「当時の水準では一頭地を抜いたハンドリング、動力性能」であったのである。以来、ゴルフは世界の小型車のスタンダードになる。尤も、モデルチェンジの度に大きくなり、今では中型車だが。

そのゴルフのホットモデルがGTI。これには少々思い出がある。

ロンドン留学中の夏休み、私はドイツ人の同級生をスイスのSt. Gallenに尋ねた。彼は欧州大陸で経済学トップレベルのHSG大学院に在籍しながら、LBSでMBAも同時に履修していた。夜、Zurichで会合があるので一緒に出ようという。Zurichまでは100km足らずの距離。この時乗ったのが彼のGolf GTI。10年落ち位の初期型だったと記憶しているが、Zurichまでの山道を小気味よく走る。これが後にも先にもGTIに乗った唯一の経験。

それから20年。5年前にロンドンで開かれた同窓会で彼に卒業以来で会った。

「あの時は楽しかったね。ところで、あのGTIはどうしたの?」

と聞いたら、なんと、まだ持っているのだという。ドイツを代表するIT企業で若くして取締役になった彼。今では、PorscheにAston Martinなど愛車は5台に増えた。初代GTIは、今や「買った時より値段が高い」のだそうだ。

Dino


shikoku88 at 08:20│Comments(0) | LBS同窓会

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