2015年12月31日

新ファッシズム論

小説家の休暇 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社
1982-01-27


先週読んだ『小説家の休暇』から、「新ファッシズム論」。こちらは「小説家の休暇」より1年前の1954年に発表されている。

今年は敗戦70周年だったこともあり、先の大戦や戦後を振り返るTV番組が多く、私もNHK「新・映像の世紀」はじめ、何本か見た。また、それに触発され、専門外である政治関連の本も数十冊読んだ。

三島由紀夫は政治学者ではないけど、「日本の右翼と欧州のファシズムほど程遠いものはない」という指摘など、小説家ならではの感性ではないかと思う。
212:世界観的な政治は、その発生形態において、個人主義の極致と考えてもよいのである。また芸術的創造がもっとも個人的なものであるという意味で、コミュニズムが政治の科学化、及至は科学の政治化を企てたとするなら、ファッシズムは、芸術の政治化を企てたものともいえよう。

215:ファッシズムの発生はヨーロッパの十九世紀後半から今世紀初頭にかけての精神状況と切り離せぬ関係を持っている。そしてファッシズムの指導者自体が、まぎれもないニヒリストであった。日本の右翼の楽天主義と、ファッシズムほど程遠いものはない。

219:暴力と残酷さは人間に普遍的である。それは正に、人間の直下に棲息している。(中略)同様にファッシズムも普遍的である。殊に二十世紀に於て、いやしくも絶望の存在するところには、必ずファッシズムの萌芽がひそんでいると云っても過言ではない。 


shikoku88 at 09:54コメント(0)トラックバック(0) |  | 政治 

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