2015年09月08日
投資家ケインズ
20世紀の経済学者として一番有名なケインズだが、学者としては珍しく、投資家でもあった。若いころから家族や友人の資金を集めて投資ファンドを作って運用し、さらには仕事として、母校でありまた教鞭をとっていたケンブリッジKing's Collegeや、National Mutual Life生命保険会社の会長としてファンドマネージャーまでやっていた。投資対象には、株式と債券以外に、為替や商品まで入っていて、しかも、場合によっては借入まで使っていたので、「ヘッジファンドの嚆矢」という人までいる。
そのケインズは、投資ファンドで為替相場と商品相場で2度、殆どポートフォリオが壊滅するほどの被害を受けている。その度に、新たな投資家を募ってポジションを維持し、最終的には自分の見通しが正しかったことを証明している。
本の出版で有名になり、収入が増えてからは、美術品や本の収集、旅行、観劇などで人生を楽しんだケインズ。1946年に62歳で死んだときには、家屋敷だけで$22M(約25億円)の価値があったというから、当時としては桁違いに成功した人生だったと言えるだろう。
美術品の大半は大学に寄付されたのでその価値は不明だが、第一次大戦後荒廃した欧州大陸で購入したブラック、ピカソ、スーラなどが入っている。それでも、最後に言ったのは、「もっとシャンパンを飲んで、人生を楽しんでおけばよかった」だったという。
ケインズの投資家としての歩みに焦点を当てる興味深い本。本の最後に「ケインズの投資術10か条」というのが出てくるのだが、これはケインズが言っているというよりは、ケインズが分析を始め、その後それを引き継いだグレアムやバフェットあるいは、本書に序文を寄せているボーグル(バンガード創設者)などの投資理論を著者がまとめたと云う事なのだろう。
株式リターンの殆どが、「配当利回り+利益成長によってもたらされる」というのは興味深い。
序文:『一般理論』株式のリターン=投資(見込み収益予測)+投機(市場心理予測)=配当利回り+利益成長+PER変化NYSE1900-2009:9.1%=4.5%+4.3%+0.3%ケインズの投資術1.長い目で見れば、株式は債権に勝つ2.投機は危険なゲームである3.可能性と確実性を同一視しない4.相反するリスクでポートフォリオのバランスを整える5.バリュー投資これからの10年、その株を持てるか?6.配当は嘘をつかない着実に増配を続けている企業7.美人コンテストに巻き込まれるなDogs of the Dow8.長期投資9.パッシブ投資長期期待の状態や短期期待の状態は占えない→インデックスファンドがベスト10.もっとシャンパンを飲もう!自分の目標に合った健全な投資プランを立てたら、あとは「自動操縦」に委ね、年に一度モニターする程度にとどめよう。そして外に出かけ、人生を生きよう。

