2015年09月07日

繁栄の陰に衰亡あり



本書が最初に出たのは1981年で、戦後36年だった。今年は戦後70年なので、ほぼ中間地点ということができる。ローマ帝国の衰亡を現代アメリカと対比させ、通商国家日本の行方を同じく通商国家であったヴェネツイアと対比させる。

歴史研究の結果、強国が衰退する共通点として、
・モラルの喪失
・政治の質の低下
・官僚制の肥大化と財政破綻
・勤倹から消費へ
・変化への拒絶
などが挙げられている。

本書では1970年代に見られたアメリカの衰退が懸念されているが、アメリカはその後、1980年代の試行錯誤の末、いち早く「脱工業化」「情報革命」を成し遂げ、世界唯一のスーパーパワーとなった。経済力もないのにアメリカと軍事力を競ったソ連は崩壊した。

日本はあくまでアメリカの核の傘の下での経済繁栄であったのに、バブル経済で自信過剰になり、その経済競争力が危険視されたとたん嫌われて、20年に渡るデフレに陥った。これはヴェネツイアやオランダが辿った道と共通点がある。

特に、経済成長が止まった後、「冒険を避け、過去の蓄積によって生活を享受しようという消極的な生活態度は、ヴェネツイア人の貴族の男子で結婚しない人が増えた」というのは興味深い。16世紀に適齢期の男で結婚しないものはすでに半ばに達していたが、17世紀にはその比率は60%に達したという。現在の日本男性の未婚率は30-34歳で約50%である。25-29歳では70%を超えている。日本は既に衰退期のヴェネツイアの水準に達している

しかし、共通点があっても、同じになるとは限らない。「衰亡は一直線ではない」し、危機感があれば、国は変わることもできる。
9:成功の中に衰亡の種子
12:衰亡は一直線ではない
36:軍隊を支えるモラルの喪失(ローマ)
ローマ公民で軍隊になる者がいなくなった(蛮族で組織)
95:最少面積最少人口の最強通商国家(ヴェネツイア)
98:巧みな外交
101:造船革命
109:パートナーシップ(有限責任)
110:複式簿記&銀行
11:強力な政治体制「十人委員会」
強力な統治能力の必要と、それが濫用される危険の防止
172:冒険を避け、過去の蓄積によって生活を享受しようという消極的な生活態度は、ヴェネツイア人の貴族の男子で結婚しない人が増えた
16世紀に適齢期の男で結婚しないもの50%、17世紀60%
215:「美徳でさえも過剰になれば害をもたらす」モンテスキュー
257:「行政における死に値する罪の第一は、弱者救済といった高尚な目的を掲げること」ドラッカー


shikoku88 at 08:34│Comments(0) | 政治

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