2015年09月06日
見切り千両
先日読んだ『黒の試走車』『赤いダイヤ』が面白かったので、図書館で目に留まった『見切り千両』も読んでみる。
やはり、山口瞳が傑作と呼んだ2冊ほどの出来ではない。全2冊が1955-1960年頃の戦後日本が舞台なのに対して、こちらは大正時代が舞台。
小説なので、どこからどこまでが本当で、どこからが脚色あるいは、全くの創作なのか不明だが、実名で出てくるのは久原房之助くらいか。「敷地3万5千坪、庭には吉野川を模した清龍をつくり、鵜飼いが出来るという豪勢な大邸宅である。温室もあって、当時は珍しかったマスカットなどが栽培され、家の廻りには鉄道をつけて、本物の汽車を走らせた」(p26)というから、昔の貧富の差はスゴイ。
下記は、日本史の教科書でも有名な「成金栄華時代」(和田邦坊)。こちらも、第一次大戦で大儲けした成金で、燃やしているのは100円札だが、これは現在価値に直すと12-20万円らしい。
原敬内閣の時に改訂された所得税率が載っていて、これが非常に低いことに驚かされる。例えば、5-7千円(現在価値で600-1000万円)で6.5%である
1万円(同1200-2000万円)でも、9.5%。1200円(同150-200万円)までは無税だというからこれは今と同じだが、当時国民で一番数の多かった小作農の大半はこのカテゴリーと思われ、納税はしていなかったことになる。この後昭和になって、戦時体制になるとともに、税率は上がっていく。 
