2014年10月19日

池井戸作品史上「最弱」の主人公



これはよくできている!「半沢直樹」のようにスカッとはしないのだが、「こっちのほうが現実だよね」と思わせる。若者の電車でのマナーを注意したことで逆恨みされる中年男。誰の身にも起こりうることで、それが恐怖をかきたてる。

この池井戸作品史上「最弱」の主人公は52歳で大学生の息子と高校生の娘がいる・・・と自分と同世代であることからも他人事と思え無い。尤も、銀行のような大組織には一切縁がなかった私であるが。

16:大きな男だった。左隣にいる華奢な父と比べたらその差は歴然で、銜えタバコにサングラスをした横顔はよく日にやけている。男が座って最初にしたことは、そのタバコを海に投げ入れることだった。

44:「仕返しゲームだね。誰が悪いかなんてのは関係ない。そういう連中には世間の常識は通用しないし、反省という言葉もない。頭に来たから相手に仕返しするってだけさ。自分の気が済むまでね」

166:「コノヤローと思ったとき、ムラ社会なら世間体が先に立つから遠慮する。すみませんと謝罪するかもしれない。だけど、匿名が前提の世界では、たとえ顔を見られていたって、こっちの素性さえわからなければ仕返しできるんだ。徹底的に、ときにはゲーム感覚で」

276:ちゃんと就職して、真面目一辺倒に働く。そこそこ仕事はできるけど、それ以上でも以下でもなく、リーダーに据えるには何か一つ物足りない性格。堅実で面白味がなく、暴力は反対。「世界人類が平和でありますように」という電信柱の張り紙に、なんとなくうなずいてしまうキャラクター。妻がいて、一男一女の子供達がいて、家族みんなに愛されてはいるけど、一方で、「パパなんて」と、ちょっと軽く見られている道化師だ。


shikoku88 at 09:01コメント(0)トラックバック(0) |  | 仕事 

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