2014年10月01日
馬路村
先週末の大学院合宿は、高知の馬路村。馬路村と言えば、「柚子ポン酢しょうゆ」や「ごっくん馬路村」が有名。その柚子ビジネスの立役者である東谷望史氏(馬路村農協代表理事専務) にお話を聞き、さらに柚子農家にも訪問した。
以下、ヒアリングのメモ。馬路村の成功物語については、こちらの記事も読んでみるといい。
・馬路村の96%が山林。うち75%が国有林。国内最大級の営林署があり、1960年代までは転勤で来る役人と営林署で勤務する職員で賑わっていた。転勤族は村にお金を落とし、文化を持ち込む。そのため「よそ者」に対する抵抗感は他の村に比べ少なかった。→後に柚子事業を始めたとき、外部専門家とうまく仕事で来た素地
・1970年代になり輸入材が増え、林業が衰退。周囲で盛んだった柚子栽培を始めるが、柚子玉(柚子をそのまま出荷)では元々柚子で有名な隣の北川町などに敵わなかった。そのため1979年から柚子の加工品開発を始めた。
・最初の商品は「柚子酢(果汁)」 百貨店での物産展販売が中心。なかなか売れなかったが、購買者に百貨店からの「配達」を勧めることで次第に名簿を確保していった。この時の3000人の名簿を基にDMを出すようになった。(現在は、数十万人規模)
・ポン酢しょうゆ「ゆずの村」を商品開発し、1986年に発売。2年後の「日本の101村展」で大賞受賞。副賞で得た101万円で通販のためのシステム導入。
・1987年の柚子大豊作がきっかけで需要拡大を迫られ、翌年、ゆずドリンク「ごっくん馬路村」が誕生。テレビCMに挑戦。デザインやマーケティングで外部アドバイザーが参画。「村全体を売り出す」コンセプトで、観光に結び付ける。
・現在の売上は30-32億円で足踏み状態。より高い付加価値が見込める化粧品を商品開発。さらに、医薬品を開発中。
*農家へのヒアリングによれば、柚子玉農協買取価格は500円/kg。一方、馬路村の加工用柚子は170円/kg。一農家当たりの平均生産額は10t程で、年間収入170万円にしかならない。大半は兼業農家か退職後に始めた年金生活者。
*村全体では約1000tの生産量で全量を馬路村農協が買うため、農協の柚子原料費は170Mということになる。他の原材料費と工場の減価償却費を入れても原価は10億円以下であろう(しかも、15億円の工場設備の半額は国の補助金)。農協職員は90名なので、販売管理費は多くても10億円。10億円以上の営業利益が出ていると推定するが、この中から、化粧品などの新商品の研究開発に投資されているはず。
*農家の声は、「これだけでは食べていけない」だった。もっと買取価格を上げてもいいかもしれないが、市場価格を無視した水準にしては副作用が考えられる。一方、農協は剰余利益が出ると、柚子農家へボーナスとして出荷額に応じて一部還元している。また、農家は農協の出資者でもあるので、農協が儲かれば、配当もある。(20年間7%配当を続けている!)
馬路村の強みは柚子栽培ではなく、柚子加工とマーケティングにある。周辺地域から柚子を仕入れて拡大してもいいのではないか?柚子玉出荷基準に達しない柚子もあるはず。