2013年11月27日
汚職経済大国

今の中国が世界第2位の経済大国であることは間違いない。今回の25年ぶりの北京訪問でも、建物の立派さ、空港の効率のよさ、そして大気汚染の酷さに驚いた。
25年前は天安門前広場の片側5車線の大通りを走る車はほとんどなく、改革開放路線が始まっていたとはいえ、人民服で自転車姿の庶民も多くいた。その大通りは今やAudiやBMWの高級車で埋め尽くされている。現地でBayerのドイツ人役員に、「こんなにドイツ車を見たことがない」と言ったら、「俺もだ」と笑っていた。
しかし、これがいつまで続くのか? 多くの識者が指摘している通り、中国のGDPに占める投資の割合は47%と異常に高い。日本の20%も先進国としては高いが、この倍もある。他の発展途上国と比較しても高く、「必要以上に、非効率な投資」が行われている可能性が高い。
非効率な投資はROIが悪く、場合によっては、マイナスとなる。投資分が回収できない投資が続けば、何れ資金は不足する。
もう一つの懸念は、想像を絶する汚職の酷さだ。2011年6月16日付で、中央銀行である“中国人民銀行”が『我が国の“腐敗分子”による国外への資産移転ルートおよび監視方法の研究』という報告書を発表したが、話題になりすぎて直ぐにWebから削除された。(日経ビジネスオンライン2011年7月1日)
中国から1万8000人の腐敗分子が合計8000億元の資金を持ち出したとすれば、1人当たり平均の持ち出し額は約4450万元(約6億6750万円)となる。2006年における中国の財政総支出(中央政府と地方政府の財政支出の合計)は4兆213億元であったから、8000億元はその5分の1に相当する額である。こちらは、持ち出しに成功した資金だが、完全に海外に持ち出せなかった資金は、香港経由で「浄化」されて、還流されてくるらしい。こうした資金は、「熱銭」と呼ばれる。(産経ニュース 2013年11月6日)
不正蓄財される資金は香港経由などで海外にいったん移されたあと中国本土に還流して不動産などに投資され、その売買益は再び海外に流されたあと、またもや還流するという循環プロセスの中で増殖を続ける。不正蓄財規模は半端ではない。不正資金総額のおよその見当は付けられる。厳しい外国為替管理体制を敷く中国で、海外との間で合法的に出入りできる資金は(1)貿易収支の黒字または赤字分(2)中国からの対外投資に伴う利子・配当収入から外国企業の対中投資の利子・配当収入を差し引いた所得収支(3)対内、対外直接投資の差額…である。これら合法資金の増加額合計から外貨準備増加額を差し引いた額を非合法な資本収支としてみなしたのがグラフである。(上記)
現地フランス企業で役員を務める友人もこんな話をしてくれた。ある地方都市に新しく工場を建てた。原料の仕入先を選定し、そこから買おうとしたら、地元政府が「ダメだ。ここから買え」という。高いので無視していたら、工場前の道路を警察に封鎖されて操業が出来なくなった。仕方なく、指定されたところから原料を仕入れることにした。
3ヵ月後、内部監査で、仕入担当者の不正が発覚した。仕入先から莫大なリベートを貰っていて、その額は3ヶ月で1億円にも達していた。彼は退職したが、罪に問われることはなかった。なぜなら、地元政府から指定された仕入先は警察の関連会社で、仕入れ担当者もグルだったのである。地元の警察を敵に回しても勝つ見込みはなく、会社は彼を訴訟出来なかった。
