2013年06月11日

建築資料にみる東京オリンピック

Olympic




















旧岩崎邸庭園の隣に先月開館したばかりの「国立近現代建築資料館」へ、建築家の友人樫原さん(デザインヌーブ)と向かう。せっかく行くなら専門家についてもらったほうが楽しいのでお願いした。神戸生まれの樫原さんだが、お祖父さんは丸亀中学(旧制)の出身で、丸亀高校の先輩ということになる。

開館記念特別展示は「建築資料にみる東京オリンピック」。1964年に出来た国立代々木競技場を中心とした展示。設計を担当した丹下健三の一次資料が豊富に展示してある。

しかし、その提供元はハーバード大学なんと、丹下健三は全ての資料を、長年在籍した東大にではなく、ハーバードに寄付していた。国立大学の無責任体制を信じてなかったのかもしれない。

よく知られたとおり、代々木競技場はつり橋と同じ構造で、屋根をワイヤーで支えている。この難工事を施工したのは清水建設(第一体育館)と大林組(第二体育館)。その段取りと職人たちの技術にも思いをはせたい。
 
1964年に開催された東京オリンピックは、戦後日本の復興を象徴する歴史的大事業であった。その舞台となった競技場施設は、未来へと向かう国家と国民の意思表明として、当時可能な技術の粋を尽くしてつくられたものだった。
 なかでも、丹下健三設計の、国立代々木競技場は衝撃だった。先駆的な吊り屋根構造により、伝統と近代の融合を表現、モダニズムの新たな地平を切り開いた。ここにおいて、日本の近代建築の存在が、世界に示された。
 そして今日、東京は二度目のオリンピック招致に向けて動き出している。メイン会場となる新国立競技場建設にあたっては、希望に満ちた新しい時代の象徴とすべく国際的な設計競技が催され、激戦の末に建築家ザハ・ハディドが勝ち残った。現代建築の一つの未来を暗示する、力強い建築が提案されている。
 国立代々木競技場と新国立競技場。半世紀をまたぎ、日本の未来のために構想された、この新旧二つの「国家プロジェクト」が開館記念特別展示として紹介される。訪れる人に、建築という文化の豊かさと、未来への希望を感じ取ってもらえればと思う。
名誉館長 安藤忠雄 


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