2011年10月22日
100年デフレ

100年デフレ―21世紀はバブル多発型物価下落の時代 (日経ビジネス人文庫)
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「年間読書300冊」を目標にしているので、たいていの本はパラパラっと見て、「こことここが使えればいいな」という感じなのだけれど、これは面白くて、3時間かけて通読してしまった。
新書で出たのは小泉政権時代の2003年。それから8年、日本経済及び世界経済はこの本に書かれた通りになっているといっていい。バブル崩壊以降、日本政府は100兆円以上を景気対策で使ってきたが、景気は一向に良くならず、残ったのは世界一の借金だけ。それでも、「デフレ脱却が最優先なので、もっと国債を出してもっと使え」という人がいるのには驚く。
筆者が上げるデフレの理由は目新しいものではない。
・大競争時代→世界の供給能力UP→完全雇用水準UP
・IT革命 最先端の技術と世界最低賃金の融合
・通貨調整が行われないままでの世界市場統一
これは大前研一氏も「新・資本論」(2001 )で、「『新大陸』の発見で新しい経済が始まった」としている通りである。すなわち、経済の、
・ボーダレス化
・サイバー化
・マルチプル化
である。
このような環境下では、ケインズ「一般理論」が通じないのは当たり前で、金融緩和でジャブジャブとなった資金はより良い投資先を求めて世界のどこかでバブルを発生させるだけである。アメリカのように経常収支が赤字を続けていても、「投資先」として選ばれている限り大丈夫ということになる。
エコノミストである水野氏は、13世紀から始まる超長期のデータを駆使し、
・今回の変化が、人類が経験する「3度目の歴史の断絶点」であること
・過剰供給力をこなしてデフレを脱却するには100年掛るであろう
ことを理路整然と説明する。
欧米が1970-1980年代に苦労して成し遂げた産業構造改革を、日本は景気刺激策で先延ばしにしてきた。結果として、日本GDPの65%を占めるサービス業の生産性は世界最低水準であり、研究開発のリターンも世界最低だ。
これを改善するには、規制緩和による「構造改革」を進めるしかない、というのが水野氏の結論。問題は、構造改革の成果が出るまでには10年は掛るので、今の日本の政治体制では内閣が持たない、ということだろう。歴史認識をしっかり持った政治家と、それを理解できる国民、安定政権を作れる政治制度改革が望まれる。
これまで欧州で起こったデフレは100-150年間続いており、また、デフレだから恐慌になったということでもなく、例えば、1873-96の「英国大不況」では株価はその間に倍になっている。20世紀型思考を捨てる時だ。