2009年09月09日
日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす

日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす
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法政大学名誉教授の小池和男先生が表記の最新書で読売・吉野作造賞を受賞。これは、大正デモクラシーの旗手、吉野作造を記念して中央公論社が毎年、その年の政治・経済・社会関連の出版物のなかですぐれた著書を選び、あたえた賞。本日、受賞記念講演があったので聞きにいった。
「日本は集団主義の国」「日本人は会社人間」「長時間労働が競争力を強化」「成長は政府のお陰」―。日本を惑わす迷信を、労働経済学の第一人者が一刀両断。 (BOOKデータベース)
例えば、「日本は年功賃金」で、「欧米は実力主義」というのが定説だが、丹念に研究するとホワイトカラーに限っては、そんなことは無いという。ブルーカラーとホワイトカラー(正式にはexemptとnon-exemptと呼ばれる)の区別が明確な欧米では、現場労働者の賃金は最初の何年かで一定の熟練に達した後は全く上がらなくなる。10年経とうが、20年経とうが同じ作業を同じ生産性でしていれば給与は同じ、というのが欧米の考えだ。
ところが、日本では現場労働者であっても、年功序列で(会社が黒字である限り)毎年上がっていく。ブルーカラーは確かに違うが、ホワイトカラーだけを調査していくと日本と欧米の昇給の差は殆ど無いらしい。
同様に、日本は長時間労働というのも「神話」だという。欧米では大学を出て会社にホワイトカラーで入れば、最初から残業手当の付かないnon-exemptである。日本では30歳も過ぎて管理職になるまでは原則残業代が付く。
これを統計にすると、ブルーカラーについては日本も欧米も残業を計測して残業代を払っているため比較が出来るが、ホワイトカラーについては欧米では元より残業を計測してない。一方日本は少なくとも管理職になるまでは計測しているため、「日本は長時間労働」ということになる。
実際、私の実感としても、先進国のワークスタイルは国別の違いが薄れ、同じ職種の人間はNYでもロンドンでも東京でも同じように働いていると感じる。