2024年12月
2024年12月31日
燃え殻
確か、百万年書房の北尾さんが褒めていたのを年末になってやっと読んでみる。
13：この世界はまるで沈み逝くタイタニック号のようだ。なんとか生き延びようとする人々。人をかきわけボートを探す群衆。この期に及んでまだ権力に固執する輩。静かにその時を待つ老人。絶望の淵で結ばれる男女。最後まで演奏を続ける表現者。
本書は作者の自伝的作品らしい。2人は90年代半ば、インターネットサービスが日本で始まる前に雑誌の文通コーナーで知り合う。
14：彼女はボクの頬を両手で包んでキスをしてきた。
「東京タワーって、スカイツリーよりエロいから好き」
今では思い出すのも難しいが、携帯電話も普及して無かった。
28：携帯を持っていなかった時代の待ち合わせは命がけだ。家を一回出たら最後、あとはお互いの信頼関係しか頼みはない。初めての彼女との出会いで、主人公の人生は大きく変わる。それまではまともな仕事につかないまま、エクレア工場のアルバイトを続けていた。
40：彼女と出会った日、ボクは止まっていた自分の人生の秒針がカチカチカチと動き出したことを確信した。決断力のある人間に見られたくなった。行動力のある人間だと信じして欲しかった。彼女の前では、自分に正直な人間になるよりも、自分が憧れる人間になりたかった。生れて初めてボクは頑張りたくなっていた。そうして転職したのが、テレビ局に番組のテロップを作って届ける会社。まだ出来たばかりで、最初のアルバイトだった。
46：時給は800円。勤務時間は朝9時から夜12時。休みは週に1回。福利厚生という言葉は社長もボクも知らなかった。というのも、実は広告の専門学校を出ていた。なんとなくメディアの仕事に興味を持っていたことを思い出したのだ。
63：広告の専門学校（入谷）
何事も続かず決めることができない人間たちが集まって、また同じ過ちを繰り返した。ただそれだけのことだった。
2024年12月30日
成長痛
慶應経済を出た成田氏が、大手企業の内定を蹴って就職したのは当時3人しか社員が居なかったというクラウドワークス。それは、「大きな地殻変動が起きる場所」に自分を置きたかったからだという。
206：国内ITスタートアップで、「創業2年で10億円以上」を調達した会社は、クラウドワークスが初。
クラウドワークスは国内初のフリーランスと発注者をつなぐマッチングサイトだ。VCからも好評で、順調に資金調達が進む。
210：サービスのアイデア以上に「実行力や経営・文化の安定性」が大事クラウドワークスは創業3年目まで、一人（子育ての事情）を除き、退職者ゼロ。
しかし、同じアイデアを持つ者は沢山いたはずだし、実際に類似サービスを始めた会社は一社ではない。しかし、クラウドワークスは社内が安定していた。ところが、上場後それが揺らぎ始める。
224：成長痛上場（2014）直後の2015〜社員数の増加や事業の多角化→組織マネジメントの複雑化退職率＞30%主要メンバーの離脱、顧客離れ
これはIPO後の企業に起こりがち。上場まではそれをとりあえずのゴールに頑張るのだが、その一段落感と、その一方上場後成長を続けなければいけないというプレッシャーから事業の多角化が始まる。しかし、そもそも上場できるほど会社が伸びたのはほとんどのケースが単一の製品なりサービス。社員数は少なくオペレーションは単純。だから儲かるのだが、そこが崩れる。保有している持ち株に値段が付き、上場後に変わった社内になじめず退職する社員が出てくる。
196：人生の勝者は「自分の居場所を見つけた人」他者を押しのけて椅子に座った人ではなく、最初から椅子取りゲームには参加しない。
201：目的意識を持たなければ、自分の居場所は見つからない
�，気泙兇泙幣霾鵑某┐譴�
�△修涼罎�らピンときたもの、ワクワクしたものを深堀する
�Ｌ榲�意識・目標を見定める
202：自分のエネルギーを全開放できる場所を探す
クラウドワークスでは、すべてが解放されて、「自分の力を100%発揮している感覚」を持てた。
2024年12月29日
米中戦争
現代戦は、資本戦争である。戦車は1台当たり10億円位するし、戦闘機ともなれば一機100億円以上する。米国がウクライナに供与したパトリオット迎撃ミサイルシステムは1基1500億円、ミサイル一発が6億円と言うことである。これらを駆使して戦争を継続するには莫大な費用がかかる。
437：紛争の最大リスクは、自国のお金・資本へのアクセスが断たれること。
このため、米国が真っ先に行ったのはSWIFTからのロシア銀行の締め出しと、ロシア中央銀行の在外資産凍結。ロシアはSWIFTを使った海外への送金・受取ができなくなった。それでも、経済制裁に加わっていあに中国・インド・トルコはドルを使わずに引き続きロシア産原油・天然ガスを買っている。
仮に世界戦争になれば、これまでの武器の発達、そして核兵器の拡散状況から、その結果が破壊的になることは容易に想像がつく。そのため、米中対立は、当分の間、「相互確証破壊（MAD）が武力戦争を回避」するというのがダリオの予測。442：武力戦争次にやってくる大きな武力戦争を想像するのは不可能だが、大方の想像を上回るひどいものになる。
486：量子コンピュータの劇的な発展など予見できない技術的ブレークスルーが起きて、一方が非対称的な優位性を持つようになれば、MADは存在しなくなる。
グレアム・アリソン『米中戦争前夜』では、「今後10年間に大きな戦争の起きる確率は35%」としている。
487：過去500年間に、勢力の拮抗する2ヵ国が妥協できない点に達すると、16の事例のうち12回は武力戦争となった。そして80~90%の場合、大きな戦争に伴い大規模な軍事力増強が見られた。
米中が最後に戦火を交えたのは、1950年の朝鮮戦争に中国が「義勇軍」として参戦してから。1953年に停戦するまでの3年間朝鮮半島で戦った。30年ほど前、米国駐在の時の同僚に朝鮮戦争のベテランが居て、仁川上陸後、北朝鮮軍をもう一歩のところまで追いつめたのに、ある日突然大地から湧いて出たように中国の「人民義勇軍」が押し寄せてきた恐怖体験を語ってくれたことがあった。
劣勢に立たされた総司令官のマッカーサー元帥は原爆使用をトルーマン大統領に進言する。北朝鮮・中国の背後にいるソ連（ロシア）との全面戦争になることを恐れたトルーマン大統領はこれを断る。ソ連はその前年の1949年に原爆開発に成功していたからだ。トルーマン大統領はマッカーサーを解任する。
382：中国の教訓
・儒教は、ヒエラルキー組織の中で自分の役割をわきまえ、それをうまく果たして、調和をもたらすことを求める。
・法家思想は独裁的指導者による「全世界すべて」を短期間に征服し統一することをよしとする。
・道教は、無為自然がもっとも重要と教える。
2024年12月28日
富と権力を決める8つの決定要因
本書で興味深いのは、帝国の興亡をこれまでの歴史書のように定性的に著述するのではなく、「富と権力を決める8つの決定要因」を特定したうえで、それらの要因を定量的に測っている事。これまでの帝国の興亡をほぼ説明できるように数学モデルを調整したのが本書の成果となっている。
そして、その研究から分かったのは、「いつの時代でも、成功の方程式は決まっている」ということだ。
38：よい教育を受けた人が互いに礼節をもって仕事をこなし、イノベーションを起こし、資本市場で資金を調達する。そして生産手段を所有してイノベーションを生産に活かし、資源の分配を行う。それによって利益を上げ、見返りを得る。
48：富と権力を決める8つの決定要因
�ゞ軌�
��競争力
��イノベーション
�し从兩源差�
�ダこλ念廚砲�けるシェア
�Ψ鎧�力の強さ
�Ф睛札札鵐拭爾箸靴討龍�さ
�┰猗�通貨の地位
55：豊かな国が、貯蓄に励む貧しい国から借入をするようになる
富と権力のシフトを示す最初のシグナル。アメリカでは1980年代に始まる。
104：資本主義→富と機会の格差の元
政治家にとって最大の課題は、不公平と不安定を悪化させることなく生産性と生活水準を上げるように資本主義経済制度を設計すること。
2024年12月27日
なぜ国家は興亡するのか
世界有数の資産家で、最も成功したヘッジファンドの創業者。彼は自分が成功したのは、「歴史を勉強した」からだという。この点、やはりヘッジファンド運用で大成功してアーリーリタイヤしたジム・ロジャーズと同じ。
はじめに：歴史というものは比較的はっきりとしたライフ・サイクルで生じるもの生命体のように一つの世代から次の世代へと進化していく。・サイクルの中で両極端に状況が振れるのは普通のこと・とてつもなく大きな好況の時代ととてつもなく大きな破綻の時代は、一生に一度の割合でしか起こらない・政治制度や経済制度、貨幣、帝国が、永遠に続いたことはない・優れた帝国は、前後150年の幅があるがおよそ250年間継続し、その中に50~100年の経済・債務・政治のビッグサイクルが存在した
2024年12月25日
才能よりも運
2022年の「イグノーベル賞」（人々を笑わせ、そして考えさせられる研究）の経済学賞は、「なぜもっとも才能のある人ではなくもっとも幸運な人が成功することが多いのか」を数学的に証明した研究だったという。
1000人以上のキャリアをシミュレートした結果、「そこそこの才能を持った非常に幸運な人は、非常に才能を持った不運な人よりも成功する」ことが示された。
これは多くの人の経験則でも納得のいく結果だろう。そして、実際に、成功した人の多くが「自分は運に恵まれていた」と言う。
著者は、その「運」を因数分解する。それぞれの因子は、これまで本書で解説されてきたことだ。
234：成功しやすいのは才能よりも「運」に恵まれた人運＝�ー�己理解ｘ�¬槁検別榲�意識）ｘ��試行錯誤
238：運を呼び込む5つの行動
�〇訶世髻嵋左瞥�他」に切り替える
�▲螢好�を取って挑戦する
�Ｉ櫃�らず、フットワークを軽くする
�ぜ最圓鬚気蕕噂个掘⊆最圓�ら学ぶ
�ツ�戦の数をできるかぎり増やす
2024年12月24日
経営者の役割
クラウドワークス初の新入社員として慶応義塾大学卒業後に入社した成田氏。
クラウドワークスの創業者である吉田社長とベンチャー系のイベントで面識があったからだった。それまでやっていた学生起業の会社を成田氏が辞めると聞いて、「遊びに来ないか？」と声をかけてもらう。185：社員の平均年齢が若い会社＝若手社員にもチャンスが与えられる会社・自分で考える力が身につく・成長の機会が得られる
成田氏はその時点で、学生でありながら起業→挫折を経験している。それでありながら、何が足りなかったのか反省して、やる気を失っていなければ、貴重な人材だ。188：思わぬ人生の出会いが、次のステップにつながる気軽に、フットワーク軽く動いた方が、物事はうまくいく。
クラウドワークスはそれまでやっていた学生起業とは何もかもレベルが違っていたという。成田氏はそこで経営者の役割を学ぶ。189：人は「失敗したあと」に伸びる失敗したからこそ、次がある。
191：経営トップ「適切に判断する」ことそれぞれ専門性をもつ社員から情報を集め、知識を吸収する。そして、会社の状況、状態に照らして適切に判断するのがトップの役割。
2024年12月23日
成功確率の計算式
「成功確率の計算式」というのは、ユーグレナの出雲社長から成田氏が聞いたらしい。
169：成功確率1%の賭け事でも、100回やれば6割の確率で当たる。459回やれば99%の確立で当たる。失敗とか、459回やってから言え。
この根拠になっているのは、数式「1-0.99^n」。失敗確率99%でも、100回繰り返せば6割の確率で当たる。仕事の場合は、賭け事とは違い、やっていくうちに「どうすればダメか」は徐々にわかってくる。それを踏まえて、「フィードバックを重ねていくと、３，４回挑戦すれば、必ず1回は成功する」という。
174：「目標設定→行動→振り返り」のフィードバック・サイクルを高速回転させる。
126：毎日がモヤモヤしてしまう本当の理由
適切な目標が設定されていない。
父が失踪したのも、「自己理解と目標設定が甘かったから」と結論。
�‖梢佑琉娶�に流されなくなる
�∧�事をプラスに解釈できる
��「今、やるべきこと」が明確になる
�ぞ茲蟇曚┐新亳海�自信に変わる
�ゥ�ャリアの選択が明確になる
130：適切な目標を設定する７つのポイント
�｜亮院�情報の量を増やして、自己理解を深める
�◆�10年先のビジョン」を先に設定する
�Ｌ槁犬寮瀋螢僖拭璽鵑鯀�ぶ
・大きな目標から逆算する
・小さな目標を積み重ねる
�ず能蕕蓮屬椶鵑笋蠅靴織ぅ瓠璽検廚任盥修錣覆�
�イ気泙兇泙焚椎柔�をシミュレーションしてみる
�Σ燭�一つにかたよらず、バランスを意識する
�А屮錺�ワクできるくら高いレベル」の目標を設定する
141：成長のチャンスはいつでもコンフォートゾーンを抜けたところにある
ビジネスを学ぶため大学2年でインターン（アスタミューゼ）。
163：落ち込むのは時間の無駄
「失敗は欠かせないもの」と考えて、やり続ける。
2024年12月22日
受験勉強
中学生の時に父親が失踪、高校生の時には母親が倒れて家事をこなしながら高校3年生となった著者。兄の成田悠輔は一浪して東大生となっていた。その兄から、和田秀樹の本を紹介され、「受験勉強は、ゴールから逆算して必要最低限の点数を取り切れるかどうかのゲーム」だと言われる。
つまり、合格がゴールだとすれば、合格最低点で受かればいいわけだ。ここから兄の通っている東大文二と慶應経済にターゲットを絞り、合格するのに「全体で何点が必要か」を基に、「科目別に目標点数」を決め、それを達成するための「時間を割り振り」して受験勉強を始める。
結果は、慶應経済〇、東大文2×で、東大は「2点足らず」であったという。自分が設定した点数（＝合格水準）はクリアしていたのだが、その年の試験問題が若干簡単で合格最低点が上がったのだという。東大が第一志望だったから、浪人する手もあったのだが、それよりも「やってみたいこと」があったので、遠回りはしないと決める。
実は、「高校卒業前に兄からアドバイスがあり、ビジネスに興味を持っていた」という。その時に、兄から言われて読んだのが、大前研一『企業参謀』と保田隆明『企業ファイナンス入門講座』であったというのは流石。普通の高校生は読まないし、読めと言われても、面白いと思うかどうか。
81：「会計・財務」「ソフトウェア」「起業家性」「ビジネスは面白そう！」�＿魴茲靴燭げ歛蠅筌粥璽襪�明確�▲繊璽爛好檗璽弔忙�ている��実社会と密接につながっていて、インパクトが大きい�いΔ泙�いけば経済的にも恵まれる
2024年12月21日
戦わずに圧倒的に勝つ人生戦略
私はよく知らなかったのだが、起業家でエンジェル投資家。慶応大学在学中に起業。その会社を退任して、大学4年生でクラウドワークスの創業期に執行役員として参画。取締役に就任後、創業わずか3年目（2014）、25歳の時に上場を果たす。当時、上場企業の取締役として最年少であった。上場後は副社長COOとして同社の全事業を統括している。2023年退任。
プロローグ：「人生をやり直したい」14歳で父が失踪→17歳で母が脳出血で半身不随→母が自己破産父＝知識人（麻布中高）でありながら、パチンコ、麻雀、酒、タバコに目がない→ギャンブルをしては借金
といきなり、衝撃的な話から始まる。これで自暴自棄にならずに、逆に「一念発起」したというのは、
もともと父親のダメな姿を見て育ったからなのか。
もともと父親のダメな姿を見て育ったからなのか。
「これからの人生、誰も助けてくれない。自分の人生をどうにかできるのは、自分だけ」
母親が倒れてからは、高校生だった著者が家事担当となる。今風にいえば、ヤングケアラーだ。
58：工夫をすれば解決策はある食費＝家族3人で、月3万円
その間、行政の支援があったのか、親族に頼らなかったのかなどは一切記述がない。普通、このような状態になれば、まず頼るのは親族だと思うので、これには違和感がある。そうできない事情があったのか。
この時、4歳上の兄（Yale大学助教授で若手論客として有名な成田悠輔）は東大生。うちも、父が脳出血で急死した時、私が19歳で、妹が16歳、弟は13歳。成田家とほぼ同年齢だが、うちは死亡だったのでその後の看護・介護は不要であった。母は結婚前から働いていた仕事を続けていたおかげで、それほど生活環境は変わらなかった。
この時、4歳上の兄（Yale大学助教授で若手論客として有名な成田悠輔）は東大生。うちも、父が脳出血で急死した時、私が19歳で、妹が16歳、弟は13歳。成田家とほぼ同年齢だが、うちは死亡だったのでその後の看護・介護は不要であった。母は結婚前から働いていた仕事を続けていたおかげで、それほど生活環境は変わらなかった。
「悩みや不安がない人生を送っている人は、誰一人としていない」→【人生を上昇気流に乗せる５つの考え方】�／誉犬乃�きることをすべてポジティブにとらえ、不幸も「明るい未来」への布石と考える�⊆�分の個性をよく理解し、信じ、育てる�６饌療�な目標を立てる・目的意識を持つ�ぜ匆颪両鐚韻簓澆�れたレールを疑い、競争せずに、試行錯誤を徹底的に繰り返す�ヌ椶料阿僕茲娠燭鬚弔�み取る
2024年12月20日
ジャポニズム再来
Netflix『コブラ会』（空手映画）は知らなかったが、その後SHOGUNが大ヒット。エミー賞最多の18部門受賞した。訪日客も今年11月の時点で既に過去最高の3337万人を超え、日本への関心がますます高まるのは間違いない。
折からの円安で日本企業はどこも海外投資家からバーゲンに見えている状態。来年はバイアウトがますます増えそう。
205：日本の政治に対する不信感が強い
政治家は時代をつくらない。時代が政治家を作る。
206：政府の仕事は、民間のチャレンジをやりやすくすること
民間の仕事を邪魔さえしなければいい。
209：日本の大学院の悪循環
東大工学部の同期でも優秀な人のほとんどが就職。成績優秀でない人の方が大学に残る。
213：ゾンビ企業を救済した愚策
基礎研究にしわ寄せ。勤勉で粘り強い日本人に向いている。
220：デフレ→構造的インフレ
�．妊�ップリング→グローバル化の終焉
�▲哀蝓璽鵐侫譟璽轡腑鵝�GX・ESGによるコスト増）
�Ｏ�働人口の減少→賃上げ
224：ジャポニズム再来
Netflix『コブラ会』
2024年12月19日
巨大人口国が味わう塗炭の苦しみ
AI化、自動化で、有効なスキルを持てない人たちは失業の危機にある。企業の一般事務職は、この人不足の中でも余っていて、逆に特に足りないのが、建設や採掘だという。解体工事は有効求人倍率なんと10xで、採掘業は6x。
従って、少子化対策に税金をつぎ込むのはこれからどうなのか。また、ろくに勉強しない日本の大学進学も意味が無くなりそう。AIシステムや自動機器を開発できるくらいのトップレベルの技術者は限られる。それだけの素養のある人を英才教育し、それ以外は無くならない職人や接客業など早くから「手に職」を付ける方がよさそう。
従って、少子化対策に税金をつぎ込むのはこれからどうなのか。また、ろくに勉強しない日本の大学進学も意味が無くなりそう。AIシステムや自動機器を開発できるくらいのトップレベルの技術者は限られる。それだけの素養のある人を英才教育し、それ以外は無くならない職人や接客業など早くから「手に職」を付ける方がよさそう。
168：無人化
1820西松建設 山岳トンネル掘削無人化
6347プラコー 無人化プラスチック成型機
6396宇野沢組 ドライ式真空ポンプ独占
173：巨大人口国が味わう塗炭の苦しみ
AI化、自動化。有効なスキルを持てない人たちは失業→不満と憤りは政府に
182：サービス業1994年に製造業を抜き、産業別比率でトップ（就業数33%）
省人・無人化の可能性⇔無人化できない業種
192：豊田自動織機
1896豊田式汽力織機→一人の作業者で3~4台運転可能に→生産性は従来の20x
1924「G型自動織機」→一人の作業者が30~40台運転可能に→生産性は200x
193：1981世界初の無人運転新交通システム神戸「ポートライナー」
コンピュータ制御で運行がすべて自動化
198：セコム世界で初めてバーチャル警備システム導入
1966オンライン安全システム「SPアラーム」
200：2022年12月16日閣議決定「無人アセット防衛能力」
比較的安価、人的損耗を限定、長期連続運用可能。
無人潜水艇（UUV）三菱受重工、IHI
2024年12月17日
FTX破綻
FTXは日本での仮想通貨取引所業務はそれほど大きくなかったので大問題にならなかったが、2年前に破綻した時、世界第2位の取引所だったので、米国では大きく報道された。
創業者サム・バンクマン＝フリード（通称SBF）はMITで物理学を学び、その後NYのHFT企業のJane Streetでディーラーをやっていた（理系高学歴者が高給と刺激を求めて金融業に就職するのはよくある話）。ディーラーとして優秀だったようで、高額のボーナスを手にし、その後独立。自身で仮想通貨トレードを始める。
アービトラージ取引は次第に多くの人が気づき、市場流動性が高まれば、成立しなくなる。トレードで儲からなくなったSBFは2019年にFTX取引所を設立する。132：仮想通貨黎明期にアービトラージ取引で大儲け当時は各国間で価格差があり、リスクフリーで莫大な富を築く（「1日で20億円」）。
133：世界で二番目に大きな暗号資産交換業者に
FTXが急成長した一因は、SBFが高学歴であったことに加え、スタンフォード法科大学院の教授である両親がFTX法律顧問をやっていたこともある。怪しい交換業者も多い中、FTXはそうした背景から信用されたのだ。
FTXは、この手法で濡れ手に粟の利益を上げていた。かつてディーラーとして莫大な利益を上げていた夢よもう一度と思ったのかもしれない。アラメダリサーチは表面上FTX関係がないことを装っていたが、CEOのキャロライン・エリソンはSBFとMIT同級生であり、卒業後の就職先も同じJane Streetで、一時は恋愛関係にもあったという。136：関係会社のアラメダリサーチと相場操縦空箱のFTTトークンをアラメダリサーチに買わせて価値を付け、それを自分の取引所で上場させて、個人投資家に売るスキーム。
131：2022年12月22日保釈 保釈金$250M（370億円）
2024年12月16日
イーロン・マスク「過剰金融緩和の申し子」
第5章は「テスラとメタバースに向けられる疑念」。ユルマズさん、今や世界最大の金持ちとなったイーロン・マスク氏に厳しい。
マスク氏は今年の米大統領選挙で、それまでの民主党支持を覆し、トランプ候補を支持し180億円という巨額の選挙資金を寄付した。その甲斐あってトランプ氏が当選したので、当然、マスク氏の経営するTeslaやSpaceXはトランプ政権から政策的恩恵を受けるだろうとの思惑で株価が上がった。
マスク氏は今年の米大統領選挙で、それまでの民主党支持を覆し、トランプ候補を支持し180億円という巨額の選挙資金を寄付した。その甲斐あってトランプ氏が当選したので、当然、マスク氏の経営するTeslaやSpaceXはトランプ政権から政策的恩恵を受けるだろうとの思惑で株価が上がった。
こうした大富豪がその圧倒的な資金力でで米国政治を動かすのは、19世紀末のJ.P.Morganやロックフェラーの時代を彷彿とさせる。
116：2023韓国公正取引委員会「テスラ過大広告」
Model3 Long Range フル充電446km⇔実際221km（冬場）
119：イーロン・マスク「過剰金融緩和の申し子」
ゼロから起業したのはSpaceXだけ。SpaceXについてもマスクは投資家で、ロケットエンジニアはTom Muller。その他の会社はほぼ買収。
2024年12月15日
第二のロシア解体
第4章はウクライナ戦争中のロシアについて。1991年のソ連邦崩壊で、東欧諸国は独立したが、中央アジアの共和国は未だロシアの影響下にある。
実際、ウクライナ戦争で5万人を超える死者が出ていても（動画）、国内で反戦運動が盛り上がらない一因は、戦争に駆り出されたのがチェチェン共和国やブリヤート共和国のような中央アジアの無職あるいは低賃金の男性だからと言われている。戦争の長期化でそれも足らなくなり、刑務所の服役囚や、最近では北朝鮮軍も投入された。
ソ連邦崩壊の直接のきっかけになったのは1979年のアフガニスタン侵攻で、この「ソ連のベトナム戦争」とも言われた10年続いた戦争でソ連の財政は破綻。ゴルバチョフ大統領が開放政策を取ることになる。ちなみに、その時に米国はソ連軍と戦ったイスラム民兵を軍事支援し、これに参加していたのが後に9.11首謀者と言われているウサーマ・ビン＝ラーディン。
プーチン大統領が、「2週間でキーウを占領、傀儡政権を立てる」目論見で始めた戦争は、2年経っても続いており、もうすぐ3年になろうとしている。それまで、世界有数の軍隊と思われていたロシア軍は、実践に臨めば旧式の兵器と、汚職のためか整備が十分でない装備のため、張子の虎であったことがばれてしまった。
米中は、「第二のロシア解体」後をにらんで、既に権益獲得に動いているだろう。
85：さらなるロシアの分断
ロシアには少数民族による自治が行われている22の共和国と１つの自治州と４つの自治管区。
91：新疆ウイグル自治区
トルコ語では「東トルキスタン」
第二次世界大戦中に東トルキスタン共和国が一時的に存在し、日本が支援。
2024年12月14日
サプライサイド経済が破綻？米国
第2章は米国経済について。1980年代まで米国上場企業による自社株買いは禁止されていた。レーガン政権下で解禁され、これを境に、経営者と一般社員の給与差がけた違いに拡大する。
自社株買いは上場企業経営者にとって「打ち出の小槌」みたいなもの。業績を拡大しなくても、会社に貯まっている現金を使って自社株買いを行えば、流通株式は減り、一株当たり利益（EPS）は拡大する。EPSが拡大すれば株価は上がり、それに連動した自身の株式報酬も上がる。数十億円の給与報酬に加えて、株式報酬は数百億円に達することもある。59：自社株買いで株高→経営者に過剰な報酬現金報酬：株式報酬＝2:8
その間、米国労働者の平均給与は上がらなかった。しかし、経済は拡大したので物価は上がる。こうして、一部の富裕層と大多数の貧困層に分断され、貧富の格差の異常な拡大が起こる。
米国では「12000人の登録ロビイスト」が居る。彼らは、日々、富豪や大企業のために議員に働きかけをして、彼らの利益を守る。
2024年12月13日
中国は準鎖国状態に？
これまで米国への不法移民は中南米出身者が中心だったが、昨年から中国人が急増しているという（動画）。多くの中国人は、ビザなしで行けるタイ、トルコ、エクアドルを経由し、パナマのジャングルを渡り陸路でメキシコへ入国して不法入国斡旋業者の指導で米国境を超えるという。
メキシコ国境からの不法入国は年間250万人というから、いくら移民国家といえども、不法移民がこのペースで続けば、国民が納得いかないというのも理解できる。そこは、多大なコストをかけてビザ取得した合法移民も同じだろう。
リスクを冒しながらも不法移民が絶えないのは、米国の魅力に加えて、「米国で生まれれば自動的に市民権が得られる」という米国の出生地主義にもある。親は不法移民で就労に制限があり、社会保障制度の恩恵にあずかれなくても、米国で生まれた子供は米国市民となる。このインセンティブは大きいので、これを無くせば大幅に減ると思うのだが。
25：中国は準鎖国状態に？
ヒト・モノ・カネが外に動かないように差配。
27：中国公安当局「海外派出所」
亡命中国人の行動を監視。
31：中国GDPは政府発表の6割しかない
人工衛星から観測した夜の灯り量で推定（シカゴ大学）。
独裁国家ほど乖離がひどい（中国以外に、エチオピアなど）。
37：コロナ対応
とてつもなく厳しい移動制限、隔離政策。
自国内で移動制限をしているのにもかかわらず、中国人が海外に出るのを止めなかった→海外に拡散
47：ブロック経済化
世界に二つの異なるシステムが展開。
2024年12月12日
大インフレ時代
「はじめに」で世界文明5000年の金利の歴史が紹介される。最も古い金利の記録は、3000BCの古代メソポタミア文明で20%。1700BC頃に発布された「ハムラビ法典」では、金利が20%と定められた。
539BCにペルシャ帝国がバビロニアを征服すると、金利が40%＋に上がる。その後、ギリシャの都市国家では金利は10%台になり、さらに時代を下って443BCローマ帝国では8%台に下がる。
ローマ帝国が繁栄を謳歌したAD1にはローマの金利は4%まで下がる。しかし、ローマ帝国の拡大が限界に達した3世紀には15%まで上がる。中世ヨーロッパでは、国や時代によっても違うが、20%台が多かったという。
ローマ帝国が繁栄を謳歌したAD1にはローマの金利は4%まで下がる。しかし、ローマ帝国の拡大が限界に達した3世紀には15%まで上がる。中世ヨーロッパでは、国や時代によっても違うが、20%台が多かったという。
要するに、歴史的に見れば、「今の低金利は異常」ということ。これは多分に、歴史上かつてないグローバリゼーションにより好景気なのに長い間物価が上昇しなかったことと、逆にゼロ成長に陥った日本が景気刺激のため、「異次元の金融緩和」を続けたためだ。
はじめに：景気縮小を無理やり遅らせたり、なくそうとすると、ゾンビ企業が大量に生まれる→新しい企業が育つ土壌が失われるインフレの時代これまでインフレにならなかったのに、なぜ今回はインフレが生まれたのか？デフレ脳からインフレ脳への転換が必要。
2024年12月11日
高配当トップピック
新NISAで何を買うか？広木さんのおすすめは、成長投資枠1200万円で高配当株を個別に買い、つみたて投資枠600万円で、高配当株ETFや投資信託を買うというもの。
巻末に長期にわたり高配当を続ける推奨株のリスト14銘柄。私が保有していたのはこのうち2銘柄だけ*。それも少額なので、配当生活にはほど遠い。
116：買う基準としての配当性向とDOE
Dividend On Equity ratio=株主資本配当率
167：高配当株が減配・無配に転じた場合→即売却！
復配までの期間は平均で2.5年。
トップピック：
*MUFG＝銀行はインフレ下で業績拡大余地大きい
住友商事＝配当利回り4%
丸井＝配当利回り4%
三菱HC＝25期連続増配
KDDI＝売上高5兆円で安定
武田薬品＝配当利回り4%＋
日本製鉄＝配当利回り5%
キリン＝健康経営
JT＝海外売上3/4
*ヤマハ発動機＝海外売上93%（新興国でバイク強い）
AGC＝ガラス世界最大手
東京建物＝不動産大手
花王＝日本企業最長の連続増配（34期）
NTT＝日本最大の通信会社として安定度抜群
2024年12月10日
高配当ETF
「もし1億円分の高配当株があると」
100：4%の配当利回りで運用→年間400万円の配当収入公的年金月21万円＋月33万円の配当収入＝月54万円
となる。なるほど、これは現実味がある。課税口座で買えば20%の金融課税が掛かるが、新NISAで買えばこのままの配当収入が得られる。Die with Zeroが理想だろうが、いつ、どう死ぬか分からない限り、資産ゼロにするわけにはいかないのが現実。
107：高配当ETF日本株インデックス型＝1698，1577，1478，1399，1489，1651，2564オルタナティブ型＝1490，1499リート＝1660アクティブ＝2085，2011
次に、高配当株の選択だが、個別に選ぶのが面倒なら、ETFを使うのがいい。いつの間にか、高配当ETFだけでこれほどあるとは！しかも、アクティブ型やオルタナティブ型まである。主な高配当ETFの解説はこちら。高配当なだけでなく、ここ数年は人気の「オルカン」（全世界株式インデックス）も上回る値上がりだ。
しかし、このところ上がり過ぎて、その分配当利回りは落ちてしまっている。現状はこれらの高配当ETFでも年配当利回り2~3%にしかならない。
しかし、このところ上がり過ぎて、その分配当利回りは落ちてしまっている。現状はこれらの高配当ETFでも年配当利回り2~3%にしかならない。
2024年12月09日
株価は上がるもの
インカムゲインである配当は、キャピタルゲインに比べてはるかに確実性の高いリターンが見込める。株式市場の長期平均リターンは年利8%（名目）。インフレ率が2%として、実質6％程度というのが資本主義社会で各国共通している。
企業が成長している間は事業投資リターン（ROIC）は10%以上あるのが普通なので、事業収益は再投資に回した方が起業が価値が上がる。成長が止まり、運転資金も不要になって来れば、余剰資金を株主還元に回して、株主がその資金を消費するか、あるいは次の成長企業に投資するというのが社会全体として有効な資金利用ということになる。
2013年にアベノミクスが始まってから10年間の日経平均株価の上昇は、Nasdaqには勝てない者の、NYダウに迫る。この間に新たらしく投資を始めた若者は、「株価は上がるもの」と考えているといいう（まえがき）。
私など、少々の余裕資金が出来て投資を始めたのは30年ほど前だから、最初の20年間は下げ相場の連続。従って、「上がれば売る」というのが基本姿勢になったが、下げ相場を経験してない若者は、下げてもそのうち戻ると思っているから、「下がったところを買う」のが基本姿勢。
今年は、日経平均株価の史上最高値更新もあった。これまでの最高値はLBSに留学した1989年末の38915円。そこからはリーマンショック時のザラバ安値6994円まで坂を転げるように落ちていった。今年7月の高値42426円はそこから約6倍。
次の10年間も上昇基調を続け、やがて「日本経済の失われた30年」を取り戻せるのかどうか？個人も企業も労働生産性を上げるしかない。そのためには、労働生産性の低い企業から高い企業への資金と労働力の移動が必要。成長の止まった企業は新たな成長事業に挑戦するのもいいが、強みを生かせる確度の高い周辺事業がなければ、株主に還元して、資本市場に任せる方がいい。
2024年12月08日
怪物
一流企業に勤めながら、30歳にして売春を始めた和恵。最初は店で、その後はホテトルで勤めていたが、歳を取って指名を受けにくくなる。そうして渋谷の街で街娼となるのだが、そこでQ女子高時代、学園一の美人と言われたユリコと再会する。ユリコは、自分たちのような「怪物」は、そのうち「客に殺される」という。
331：「今に怪物をめでる男が現れる。きっと、そいつはあたしたちを殺す。」
そして、ユリコはその時はじたばたせず殺されたいという。
424：いつまでも溶けない日陰の黒ずんだ雪わたしはユリコの、和恵の、ミツルの、チャンの、心の底に密かに隠された黒い残雪のような存在。
「わたし」というのは、本書の語り手であるユリコの姉。姉妹でありながらユリコのような美貌を持たず、生涯ユリコに嫉妬し、世を拗ねて生きてきた。
426：売春日記高校時代と同じく、丁寧な和恵の文字でぎっしりと埋まっている手帳。客から貰った金額を馬鹿正直に付けて、その日あったことを書かずにいられない几帳面で律儀な性格。頭がいいと称賛されたかった優等生、いい家柄のお嬢様と言われたかったお嬢さん、最高の仕事人生を送りたかったOL。
この日記は、モデルとなった東電OL殺人事件でも話題になった。その記録から被害者の長年の売春活動が明らかになり、世間は驚愕した。
2024年12月07日
復讐
Q女子高で成績優秀だった和恵は、系列Q大学の看板学部である経済学部に進学する。大学時代に父親が急死。卒業後は、父親が勤めていた大手ゼネコンに就職する。ゼネコンに設定は変えられているが、その場所は新橋で、やはり東電がモデルだ。
時代は1980年。1985年の男女雇用機会均等法成立の少し前だ。大企業ではそれに先駆けて四大卒女子の採用が始まっていた。
264：荒野の七人170人の新入社員のうちの7人が四大卒の女。
採用は始まっていたものの、現場ではどう扱っていいのか慣れていなかった。気負っていた和恵は、女子社員の持ち回りだったお茶くみも拒否したので、他の女子社員から嫌われる。仕事ぶりも自分がいかに目立つか、個人的な業績（出版物）を残せるかばかり考えていたので、組織に役立たない。
293：復讐会社の面子を潰し、母親の見栄を嘲笑し、妹の名誉を汚し、あたし自身を損ねてやる。
それでも、年功序列で30代には管理職となり、年収も一千万円を超えるのがJTCの凄いところ。今から30年前の話である。しかし、30歳にして早くも会社で邪魔者扱いされた和恵は一方的に会社に、家族に不満を募らせる。
277：勝ちたい、勝ちたい、勝ちたい、一番になりたい
家庭でも、学校でも、「努力すれば報われる」と教えられ、育ててこられた和恵は、どうして自分が会社で誉められ、重宝されないのか理解できない。そのくせ、誰もが知る優良企業で勤めているというのは、「学生時代の目標で、現在のあたしの自慢、そしてアイデンティティ」なので辞められないのだ。
315：地蔵前自分の知恵と体で世間を渡る時間は会社では決して味わえない。
和恵は不満のはけ口を、風俗業で働くことに求め始める。
2024年12月06日
中国人は生まれた場所によって運命が決まる
下巻では事件の被告となった不法滞在の中国人に焦点があてられる。本書のモデルとなる東電OL殺人事件で被疑者となったのはやはり不法滞在していたネパール人だった。有罪となったが、後に冤罪と認定されている。
よく知られているように、中華人民共和国には移動の自由がない。旅行はできても、戸籍を変えることはできず、都市に生まれなければ、都市住民としての教育や社会保障制度の対象とならない。しかし、高度経済成長期の日本がそうであったように、新たな職業のほとんどは都市にある。
そこで、農民は「民工」として都市に出稼ぎに行く。これをかつては「盲流」（現在では、民工潮）といった。「闇の中で溢れ、金という光の方向に流れていく民」という意味だそうだ。妹の結納金を持ち出して、妹と四川省の村を出た兄は広州を目指す。
そこで、農民は「民工」として都市に出稼ぎに行く。これをかつては「盲流」（現在では、民工潮）といった。「闇の中で溢れ、金という光の方向に流れていく民」という意味だそうだ。妹の結納金を持ち出して、妹と四川省の村を出た兄は広州を目指す。
12：不法入国
被告人は平成4年、3月19日、石垣島より不法入国を果たし、その身分を隠しながら、ビル清掃、調理場下働き、工事関係など様々な職業を経験した。
32：中国人は生まれた場所によって運命が決まる
私が四川省の山の中ではなく、上海や北京や香港などの都市で生まれ育ったのならば、私の人生はもっと希望に満ちた、明るいものだったと確信しております。
34：映画「黄色い大地」
1937年頃の設定だということでしたが、映画の舞台となった土地の姿や、そこでの暮らしが、私の生まれ故郷にそっくりだった。60年以上の昔の話なのに、私の家は映画と同じ貧しさの中にまだある。
36：父は客家の出で、子供の頃に私の祖父に連れられて、福建省の華案県というところから四川省に流れてきて、この村の一隅に住み始めたそうです。村の連中は漢民族ですが、客家の人間は一人もいないということで、家を建てることもすぐには許されず、洞窟住まいを始めたようです。
118：蛇頭
2人分の偽パスポート代、百万円。残りの金は日本で働いて返す。一人二百万円ずつ。
2024年12月04日
名門Q女子高
田舎の公立校育ちの私にとって、東京に出てきて初めて知ったのが、名門私立校の存在。中高一貫で、中には小学校まであるというのに驚いた。香川にも私立中高一貫校はあるにはあったが、中学校から通うには遠すぎたし、高校を公立のすべり止めに受けただけ。進学すれば学費を無料にするという特典が付いたが、県立高校の学費は月に数千円程度でそれほど変わるわけでもないので、断った。
主人公の女子中学生は、仲の悪い妹と離れて暮らしたくて、家族でスイスに引っ越すというのに、日本に一人残る。そうして、頑張って「名門Q女子高」を受験し、入学を果たす。
モデルは明らかに慶應女子高校で、これも、東電OL事件の被害者と同じ出身高校。これが本当なら、外部から入ると大変だ。89：入学式内部からの生徒と外部からの生徒の差は一目瞭然でした。それは、制服のスカート丈の違いだったのです。
94：内部生が発散する富の淫らさ
富というのは、常に過剰を生む。だからこそ自由で淫ら。
106：「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ。日本で一番だと思う。見栄がすべてを支配してるの」
118：悪魔の不在
ミツルのように巧緻でもなく、わたしのように冷酷でもない。何かが根本的に弱かった。
121：和恵はQ女子高に入ってはいけなかった
これほど嫌らしく見栄の絡み合った複雑な世界はないのに、自分がこえまで培った努力と勤勉という価値観で通ると思っている。
123：独立独歩と自尊心
純粋培養された教師たちによって、学園の教育理念はさらに抽象的な意味を失い、この学校では「何でもあり」だということをわたしたちに教えてくれた。
2024年12月03日
2024年12月02日
資本主義の未来
大まかには、
峻烈資本主義＝米国
抱擁資本主義＝欧州・日本
という分類のよう。
その上で、「イノベーションを活性化するには経済的インセンティブがモノを言う」ので、当然に、イノベーションは峻烈資本主義の国で起こりやすい。
技術はなかなか独占が難しく、かつては模倣や産業スパイ行為も行われた。大抵は特許にも抜け穴があるし、尊重される場合でも、有効期限がある。確かに、「峻烈国は、他国の利益のために働いている」という側面もあるのだが、技術の高度化、サービスの遠隔化が進み、寡占化が進んでいる。426：抱擁資本主義＜峻烈資本主義抱擁資本主義を採用した国は、イノベーションに熱心な国が開発した技術を模倣して成長するしかない。セーフティーネットは整備され格差は拡大しないものの、峻烈資本主義を採用した国の成長に自国の成長を依存せざるを得ない。ある意味で峻烈国は、他国の利益のために働いている。
その結果、GAFAMなど米プラットフォーマーに各国は莫大な使用料を払っている。一方で、ITサービスに比べるて、長年の地道な研究開発が必要で、資金効率の悪い製造業から米企業はほぼ撤退。結果、ナノレベルの半導体製造をできるのは現状TSMC（台湾）だけになったし、その工場で、回路をウェーファーに焼き付ける工程で使われるEUV露光装置を作れるのはやはり世界で唯一ASML（オランダ）だけだ。
いずれも独占企業なので、収益性は高く、抱擁資本主義の国でもやれることはある。長期にわたり世界トップレベルの所得水準を誇るスイスにはNestleがあるし、デンマークには海運トップのMaerskもある。ただ、こうした国々に共通するのは、それぞれが人口数百万レベルの小国であること。
実際、彼らと話すと、政治家から一ビジネスマンまで、「自分たちは小国だから、�＾貎佑劼箸蠅�頑張らないといけない、�∪こ�市場に出ないと成長できない」という意識が強い。また、高い社会保障水準を維持できるよう「��制度の悪用・不正を許さない」という意識とそれを確実にする制度設計がされている。
日本は、バブル経済時代の中途半端な大国意識が未だに国民にあって、さまざまな改革が遅々として進まなかった30年間であったと思う。
