2024年07月
2024年07月31日
リーマンショックの地獄絵図
精神がへこんだ時の解決法が、「必殺仕事人」のテーマソングを聞くというのが面白い。世代的に共感。これで、清原氏はリーマンショックの追証地獄を乗り切った！
188：日本の小型株ファンドの適正規模は100億円
小型株運用はAUMのサイズが小さいことが重要。
この点については、小型株投資は個人投資家の方が機関投資家より圧倒的に有利。
196：リーマンショックの地獄絵図
個人資産30億円をファンドに投入。ファンドの最大投資家に。
個人資産30億円をファンドに投入。ファンドの最大投資家に。
200：突発性の不況は必ずその後V字回復
特に製造業は在庫調整で、一時的に危機前を超えるほど好調に。
場中に北朝鮮のミサイルが間違って落ちてきたとしても相場の下げは15分。2011東日本大震災で原発事故が起きた時もあっという間に戻る。
207：2020パンデミックで暴落→メガバンク株大量買い
人類がどんな悲惨な目にあおうが、相場がそれを織り込んで暴落したら「買うしかない」。
2024年07月30日
「その20万株、全部下さい」
1997年北海道拓殖銀行が経営破綻する。拓銀がメインバンクで、80万株持っていたニトリ株も処分されることになる。当時のニトリは上場していたものの、札幌証券取引所単独上場で出来高ほぼゼロ。機関投資家で買えるところは無かった。
家具屋で製造小売りをやっているのはニトリだけで、それに注目していた清原氏は拓銀に会うべく札幌に飛ぶ。80万株のうち60万株は行く先が決まり、残りは20万株となっていた。清原氏は言う。
「その20万株、全部下さい」
それは奇しくも、6億円でスタートしたばかりのK1ファンドの投資上限である1/4に相当する1.5億円であった。デフレに陥った日本でニトリは快進撃を続け、1.5億円で買ったニトリ株は、1年後に3倍、5年後の2003年には6倍になった。2004年に10倍になって売却したという。実は、それからさらに10倍になったのだが、それはK1ファンドの役割ではなかった。その間にニトリは東証に上場し、機関投資家が買えるだけの流動性も確保されていた。
「パーティーが始まったら我々は帰ろう」
K1ファンドの基盤を作ったともいえるニトリだが、似鳥社長とは東京で一度会っただけだという。
夕ご飯をオファーしたら「証券会社や投資家の接待は受けない」の一点張りで、「こちらから面談をお願いしているわけだから夕飯代ぐらい出させてくれ」と何回もお願いし、ようやく「1000円以内なら」という条件で承諾。お泊りのホテルでスパゲティ。
2024年07月29日
伝説の日本株ヘッジファンド
2005年、最後の「長者番付」（それ以降、所得の公開は無くなった）でサラリーマンとして史上初めて日本一となったタワー投資顧問運用部長の清原達郎氏が25年運用したK1ファンドを昨年夏閉鎖。引退するのを機に、その運用手法を「ぶちまけてしまえ」というのだから、読まないわけにはいかない。
K1ファンドは25年間の運用で基準価格は93倍になったという。個人資産の大半を自らファンドに投資していた（運用開始時に5000万円、GFCでファンドが潰れそうになった時に30億円）清原氏自身の個人資産は800億円になっていた。
実際、個人投資家としてためになる話ばかり。清原氏の運用手法は、基本的に「割安小型株」のロング。ファンドとしては日本株のロング・ショートで「下落相場でも稼げる」という建前にしていたが、ここぞというショート機会を除いて、通常はロングオンリーだったという。
機関投資家が注目する前に「割安小型株」を探して「買えるだけ」買い、投資先が成長を続けて時価総額が大きくなったら機関投資家が買うようになるので、市場で売却。しっかり儲けている会社を買うので、成長しなくてもキャッシュが溜まり、その場合は会社に買い取ってもらうことも多かったという（市場で売るにはポジションが大きすぎる）。
はじめに：K1ファンド25年
K1ファンドは25年間の運用で基準価格は93倍になったという。個人資産の大半を自らファンドに投資していた（運用開始時に5000万円、GFCでファンドが潰れそうになった時に30億円）清原氏自身の個人資産は800億円になっていた。
実際、個人投資家としてためになる話ばかり。清原氏の運用手法は、基本的に「割安小型株」のロング。ファンドとしては日本株のロング・ショートで「下落相場でも稼げる」という建前にしていたが、ここぞというショート機会を除いて、通常はロングオンリーだったという。
機関投資家が注目する前に「割安小型株」を探して「買えるだけ」買い、投資先が成長を続けて時価総額が大きくなったら機関投資家が買うようになるので、市場で売却。しっかり儲けている会社を買うので、成長しなくてもキャッシュが溜まり、その場合は会社に買い取ってもらうことも多かったという（市場で売るにはポジションが大きすぎる）。
はじめに：K1ファンド25年
年を取り過ぎた
・若い頃は会社四季報が出ると3日間で全部読んでいた。今や読み終わる前に次の四季報が発売になるといった体たらく。
・ヘッジファンドを運用するには莫大なエネルギーと貪欲さが必要。その両方を失ってしまった。
・6年前、咽頭がんの手術で声を失う。Stage4
「やめるんならお前以上に優秀なヘッジファンドを探してこい！」（スイスのPB）
円建てのどのヘッジファンドもハードルレートがゼロ⇔K1は3%
20：投資のアイデアを探す＝株価に織り込まれていないアイデアを探す
株式市場で人気の圏外にある「割安小型株」は株式市場での参加者が少ないので、「何が株価に織り込まれているか」が比較的簡単にわかる。大型株になると極端に難しい。
23：投資の第一歩は「常識を疑う」こと
"counterintuitive" 「直感に反する」人々が当然だと思っていることと現実が違う。
29：ほんの少しでいいから「そうではない確率」を頭の中に残す
2024年07月28日
「ナイルの水を一度でも飲んだものはナイルに帰る」
4000年前、古代メソポタミアで発明されたというビール。高温多湿の日本の夏には最適なアルコール飲料で、毎日のように開けてしまう人が多いのでは。🍺
葦ですすって飲んだのは、それから1000年経った古代エジプトでも同じだったという。ナイル川にも川辺に沢山葦が生えていたのだろう。253：古代のビールストローの葦からすすって飲んだ。不純物が多く含まれていたため。
この本の「解説」は、エジプト考古学者でかつてはよくTV出演していた吉村作治教授（早稲田大学）。「ナイル川の水を飲む人をエジプト人と言う」と昔から言われることから、早稲田大学初のエジプト考古学調査隊で訪問した時、一人だけナイル川の水を飲んだという。当時すでにナイル川の汚染はひどく、当のエジプト人でも飲む人はいなかった。
案の定、翌日から腹痛で寝込んだというが、その甲斐あって、それから生涯にわたりエジプトに関わることになる。
案の定、翌日から腹痛で寝込んだというが、その甲斐あって、それから生涯にわたりエジプトに関わることになる。
148：エルサレム
丘の上にある小さな町
171：バビロン
肥沃な国で、どの畑にも灌漑水路が走り、見渡すかぎりどこまでも平坦な土地が広がっている。
203：割礼
ヘロドトスは、この風習がエジプトに独自なものと考え、「体裁よりも清潔を重んじる」ことからなされたとしている。バビロニアなどでは割礼は行われず、バビロンに捕囚されたユダヤ人たちは民族性の証として割礼を続けた。現在イスラム教徒も割礼を行う。
2024年07月27日
古代エジプトの先端医療
1945年に出版されたフィンランド人作家によるベストセラー。世界各国で翻訳されたというが、日本では1994年にこの抄訳を最後に絶版になっていた。原本は壮大な歴史小説で、なかなか完読は難しいらしい。
話時代はフィクションだが、時代考証はされているらしく、解説の吉村作治は、考古学的に多少時代の前後があるにしろ「ほぼ正しい」という。それも30年前の時点なので、その後のエジプト考古学的新発見があるのかもしれないが。
3500年前のエジプト：古代エジプト新王国の都テーベの「生者の家」でしろかびによるはれものの治療や、国王の頭蓋手術など古代エジプトの進んだ医術を学び、医師の道を歩む少年シヌヘ。
なんと、当時のエジプトでは麻酔薬が使われ、外科手術が行われていたという。細菌が分かっていたわけではないが、手術用具は「火で浄められ」ていた（ゾロアスター教との共通思想？）。
63：奴隷は麻酔薬を飲まされ、手術室に運ばれて消毒された。プタホルが器具を洗い、火で浄める。
魂の不死を信じていたエジプト人にとって魂が帰ってきた時に肉体があるのが大事。そこで、ファラオから庶民まで死後はミイラにする。
父親の跡を継いで、医者を目指すシヌヘ。ところが、独立まもなく、高級娼婦につかまって、一族の財産を全部取られてしまう。悲観した両親は自殺。一文無しになったシヌヘは両親を自分でミイラにしたのち、金持ちの墓の近くに埋葬し、ついでにその墓の副葬品を盗んでエジプトを脱出する。116：死者の家彼が受け持っているのは、脳みそをやっとこで鼻から引きずり出し、頭蓋内を洗浄油ですすぐという、最も熟練を要する仕事だった。
その後、行く先々で、エジプトの進んだ医療で稼ぐシヌヘ。そこへ遠征してきたエジプトの旧友と再会。彼は将軍になっていた。136：ハピル人バビロニア語を知っていれば、文明社会のどこであっても、教養ある人となら話が通じると聞いたからである。
これは、中世のイタリアや大航海時代の東インド会社で行われていたことそのまま。本当に、当時の中東で投資制度や銀行制度があったのかどうか。そこまでは不明。139：シミュラの商人に投資して、エジプトやハッティ（ヒッタイト）に送られる多くの船の一部を分有した二度と戻ってこない船もあったが、たいていは戻ってきた。すると、投資した資金は二倍にも三倍にもなって返ってきて、商人がその金額を引き換え台帳に記載してくれる。（中略）こういう仕組みだから、黄金を家に隠しておかなくてすみ、泥棒を案じる必要もなかった。仕事でビブロスやシドンなどの都市に旅するときも、黄金を持ち歩くことはない。商人が発行する粘土板をその年の代理店に提示すれば、必要なときにいつでも金を引き出すことができるのだ。
2024年07月26日
自然免疫
900年ごろ既に「中国の治療師たちは、天然痘を生き延びた人々が二度と天然痘にかからないことに気づき、そうした人々に、天然痘の患者の看護を担わせた」という。間もなく、予防接種の考えは、インド、アラブ諸国で広く行われるようになり、それから何世紀も経過したのちに、ようやく西洋に伝わった。
231：1628ウィリアム・ハーヴェイ『心臓の動きと血液の流れ』
血液は絶え間なく循環すると主張⇔初期の解剖学者「血液の流れは一方向」
236：血液グループABO
1930ラントシュタイナー（オーストリア） ノーベル生理学・医学賞
239：輸血
第一次世界大戦と比べて、野戦病院にたどりついた負傷兵の死亡率は半減。
259：自然免疫
好中球やマクロファージといった細胞には、細菌やウイルスの表面や内部に存在するタンパク質を認識する受容体がもともと備わっている。
267：予防接種
最初に働くのは自然免疫。予防接種によってまず、マクロファージや好中球、単球、樹状細胞といった緊急対応細胞が活性化される。
284：1980年代 利根川進
B細胞もまた、変異によって独自の抗体を獲得することが判明。
2024年07月25日
遺伝子編集人間の誕生
人類は、細菌やウイルスを体内に取り入れて発達してきた。
131：ミトコンドリア「細胞の発電所」
ミトコンドリアは酸素と糖からエネルギーを生み出す細菌だった→真核生物の細胞に取り込まれ、宿主の細胞とパートナーシップ？
132：マーギュリスの仮説
ミトコンドリアは独自の遺伝子とゲノムを持ち、それらは細菌の遺伝子やゲノムと相似。
174：1969エドワーズ・ステップトー・バビスター「体外で成熟させたヒト卵母細胞の体外受精の初期段階」Nature
182：2017JK＠南方科技大学（深圳）
遺伝子改変された「遺伝子編集ベビー」誕生→懲役3年
＊ヒトの赤ん坊を改変したいという誘惑、誤った方向へ向かう科学的願望
187：ヒトのゲノム全体が大きな図書館のようなものだとすれば、そこに並んでいる本はすべて、A,C,G,Tという四文字のアルファベット、つまりDNAの基本単位である四種類の化学物質だけで書かれている。ヒトゲノムを構成する文字数は合計30億以上で、両親のゲノムを合わせれば、一細胞当たり60億文字以上。
189：遺伝子編集人間を誕生させた世界初の科学者になりたいと急ぐあまり、JKはヒトを対象とした臨床研究をめぐる倫理原則をすべて破った。
2024年07月24日
病原菌説
「古代のインドやエジプトの医師たちですら、自分たちが使う器具を煮沸消毒」していたという。顕微鏡はなかったから、細菌が発見されていたわけではないが、経験上「何かある」「よく分からないが、こうすると手術の成功率が劇的に上がる」と理解していたわけだ。
ところが、そうした知識は、キリスト教社会には伝わらなかった。19世紀末に細胞や細菌が発見されるまで実に2000年以上無視されていたわけで、これは、キリスト教社会が自分たちを上に見て、それ以外の社会を遅れた存在と捉えていたことが要因と思われる。
77：17世紀から18世紀にかけてヨーロッパの科学界を席巻した二つの仮説
�＼元は澄崟己�は自然界に広く存在する化学物質でできてはいない」「生命現象は特別な魂」
�∩粟�説「受精のあと、子宮に初めて現れた時点で、人間の胎児はすでに、サイズは小さいが完全な形をしている」
88：1856ウィルヒョウ『細胞病理学』ベルリン大学病理学研究所
生物の生命と生理機能の基本単位は細胞。病気の組織や器官で起きている病理的変化もまた、それらを構成する単位、すなわち細胞の病理的変化に起因するはず。
92：1876 676万人のドイツ人の髪の色と肌の色を分析→国の考えは誤り
アーリア人種の身体的特徴を有するドイツ人は3人に一人。半数以上のドイツ人はさまざまな人種の混合。
102：コッホは因果関係を（パスツールより）より秩序だった方法で解明
病気の動物から微生物を分離→純粋培養→病原体を健康な動物に接種→同じ病気に
105：1847センメルヴェイス（ハンガリー人産科医）ウィーン総合病院
学生と外科医に、産科病棟に入る前に塩素と水で手を洗うように指示。
第一産科での死亡率が90%低下（20%→2%）。
112：ジョゼフ・リスター（スコットランドの外科医）
リスターの時代の外科医たちは、微生物による汚染の可能性について注意を払わず。
手術道具を石炭酸（下水や汚水の悪臭消し）で消毒→術後の感染症の発生率が激減
2024年07月23日
細胞の発見
中世を通じて、解剖学の進歩が全くなかったというのはオドロキ。カトリック教会の影響なのか？
49：16世紀の解剖学
教科書はほとんどなく、人体の系統だった解剖図もまったくない。
ローマ帝国時代の医師ガレノスの解剖学の教えがよりどころ。
51：パドヴァ大学（イタリア）教授アンドレアス・ヴェサリウス（フラマン人）『ファブリカ』1543
画家で版画家のヤン・ファン・カルカールの協力を得て、かつてないほど詳細かつ繊細な人体解剖図。
58：アントニ・ファン・レーウェンフック（デフルトの織物商）
独学で、肉眼では見えない世界を可視化。糸の品質を調べる。
66：ロバート・フック『ミクログラフィア』1665
細胞を、「小部屋」を意味するラテン語cella→cellと名付ける。
2024年07月22日
われわれは必ず細胞に戻る
米Amazonで「圧倒的な読後感」と評判だったので、邦訳が出たのを読んでみる。著者は、インド出身の医師で、がん研究者（コロンビア大学医学部准教授）。専門医でありながら、これだけの文章力があるのはすばらしい。
動物も植物も「細胞という共通の構成要素でできている」という事実が定着したのは、19世紀のこと。1838年ベルリン大学でのシュワン＆シュライデンの研究の影響が大きいという。
25：がんとは細胞の正常な生理機能が病的な鏡に映ったもの
34：トランスヒューマン
加工された細胞によって新しく生まれ変わった人間。
38：細胞とは
狭義には、細胞とは遺伝子の解読マシーンとして機能する、自立性の生命の単位。遺伝子とは、タンパク質をつくるための仕様書。
42：SARS-CoV2
（新コロナウイルス）が惹き起こす病態の中心は「免疫の誤射」（岩崎明子Yale）
2024年07月21日
ツール・ド・フランスの科学
今年のツール・ド・フランスも今日が最終日。昨日までのトップはポガチャル（チームUAE・スロベニア出身）。他の選手が息も絶え絶えで上る劇坂を余裕の表情で登りきる。優勝はこのままポガチャルで間違いなさそう。
ツール・ド・フランスの歴史を振り返りながら、世界最高峰のサイクリストがどんなトレーニングをして、どんな食べ物を食べているかを解説する本書。
初期のツール・ド・フランスは、文字通り、フランス一周レースだった。今はフランス各地のステージを転戦しながら、ステージとステージの間が開いている箇所も多い。昼間しか走らないし、200kmのステージでも平均速度40km/hくらいで走り抜けるので、時間にすれば5時間ほど。初期のレースは、真夜中に出発して、400kmくらいのステージを終えるのは24時間後だったというから驚く。選手は丸1日走って、中2日休みというスケジュールだったという。
序章：1903第1回ツール・ド・フランス優勝者モリス・ガラン
1893年2月初めてプロ選手として「パリ24時間レース」で優勝
24時間で701km走破
卵8個、子羊の肉45枚、数え切れないほどの牡蠣、7Lの紅茶、19Lのホットチョコレート。
35：空気抵抗
空気の圧力によって生じる力は、速度の２乗に比例。さらに、空気を切り裂いてまえに進むために必要な出力は、速度の3乗に比例。速度が2倍になると必要な出力は8倍。集団走行によるドラフティングを利用しない場合、ツール出場選手はエネルギーの90%を空気の圧力に打ち勝つために消費する。
45：ドラフティング
距離0mで▲47%
距離2mでも▲27%
85：車重（2000年から最低重量制 2006年以降は最低6.8kg）
1903 モリス・ガラン 16
1962 ジャック・アンクティル 10.4
1972 エディー・メルクス Colnago 9.6
1994 ミゲル・インデュラン Pinarello 9.0
1998 マルコ・パンターニ Bianchi 8.1
2003 ランス・アームストロング TREK5900SL 7.2
2006 オスカル・ペレイロ Pinarello Dogma FPX 6.8
165：栄養学の影響
ツール完走者
1903-14 31%
1981-90 72%
2015 81%
2024年07月20日
SLIM
後半のSLIM。
237：S (Supply and Demand)
重要なポイントで株式の需要が高いこと。
247：総資本の規模
自社株買いをしている経営陣が多くの株式を保有している企業の方が投資対象として望ましい。
249：L (Leader or Laggard)
業界内で上位2〜3位まで。
254：Relative Strength
ある銘柄の値動きを市場の残りの銘柄の値動きと過去52週間にわたり比較する。
指数99の場合は、その銘柄の値動きは市場全体の99%の企業を上回っている。
大きく株価が上昇する前のRSは平均87。80〜90台でベースを形成している銘柄を選ぶ。
RS＜70は買ってはいけない。
263：弱気の日に異常な強さを示す銘柄を探せ
停滞株に投資するのは、安値に見えても、利益を生み出すことはない。
マーケットを牽引する主導銘柄を探し、そういった株からのみ選択する。
265：I (Institutional Sponsorship)
株価を押し上げるには大きな需要が必要。
平均以上の投資成績を残している機関投資家が少なくとも数社は保有している銘柄で、さらに直近の四半期で機関投資家の数が増えた銘柄を買いの条件にする。
277： M (Market Direction)
今が強気相場なのか弱気相場なのか？
弱気相場では寄付きで強く、引けで下落。強気相場では、寄付きで弱く、引けで上昇。
299：天井から下落を始めた後の上昇の試し
上昇の試しが失敗することのサイン
�ヽ�価が3日目、4日目、5日目と上昇するのに、出来高は前日よりも少ない
�∧振儚�価の上げ幅が前日よりも少ない
�Ｊ振儚�価が前に付けた高値から直近の安値の値幅の半分も回復してない
2024年07月19日
CAN
まず、CAN-SLIM前半のCAN。
200：C (Current Quarterly Earnings)
当期四半期のEPSは前年同期比で少なくとも25~50%の大きな上昇率。
一時的に悪化する場合も→EPSが2四半期連続で著しく増加率が減少した場合は撤退
201：A (Annual Earnings Increases)
年間EPS増加率が25~50%以上の銘柄を選ぶ。
203：ROEが高い銘柄を探す
最低17% 大化け銘柄は25~50%ほど。
212：PER
成長株のPERは初めはだいたい25~50x→クライマックスで60~115xに上昇
221：N (Newer Companies, New Products, New Management, New Highs Off Properly Formed Bases)
重要な新製品は新サービスを生み出した企業、または経営陣が新しく変わったり業界内の基礎条件が著しく改善し、利益を伸ばした企業を探す。そのような銘柄の株価がきちんとした正しいベース形成のもみ合いパターンから抜け出る正にそのときに、出来高の増加を伴って新高値に近づいたり実際に新高値を付けた銘柄を買う。
2024年07月18日
CAN-SLIM
DUKE『新高値ブレイク投資術』で紹介されていた本を読んでみる。その本の原型になっている手法。
まえがき：過去100年間の株式市場において1000銘柄以上もの大化け株
自由とチャンスに満ちたアメリカの体制が、世界中の多くの国にとって最大の成功モデル。
133：Cup with handle
取っ手が発生する場合、全体のベース構造の上半分に形成される。10週移動平均線よりも上。
135：VCP＝機関投資家が買い集めをしている銘柄には、収束のパターン
週足チャートを見ると、その週の高値と安値の幅が小さく、同じくらいの終値が数週間続いたり、前週の終値とほとんど変わらなかったり。
145：ダブルボトム
Wの二つ目の底が一つ目の底と同じ水準になるか、1〜2ポイントほど下回ることが重要。
2024年07月17日
役に立たない解決策
役に立たない解決策のオンパレード。
142：石炭火力発電
・もっとも安価でもっとも手に入りやすいエネルギー源は石炭
・石炭は、1kw/h当たりで比較すると、あらゆるエネルギー源の中でもっとも多くのCO2を排出する
・中国には、経済発展に伴って予測されるエネルギー消費量の増大を考慮しても、1世紀以上持つだけの石炭が貯蔵されている
・現在中国は、発電量が1週間ごとに1gw増大するペースで、新しい石炭発電所を建設している
145：水素の活用
超軽量自動車の実現・普及がない限り、解決策にならない。
・液体水素には、同じ重量当たりでは、ガソリンの約3倍のエネルギーがある
・液体水素には、同じ体積当たりでは、ガソリンの約1/3のエネルギーしかない
バスやトラックのような大型車両には、大きな燃料タンクを積む余裕があるし、燃料も頻繁に補給できる→水素可能
149：水素はそもそもエネルギー源ではない
水素をつくるために別のエネルギーが必要＝水素はエネルギーを輸送するための手段
151：EV〜コスト削減になるというのもまやかし
安全で質の高いバッテリーは高くつく。
157：核融合〜今後20年間は商業核融合炉が実現する見込みはない
160：リサイクル〜生分解性プラスチックの利用はむしろやめたほうがいい
生分解とは、バクテリアが炭素化合物を摂取してCO2に変換するプロセス。
161：京都議定書〜解決策にならない
中国・インドなどの途上国に何の制限も設けられていない。
2024年07月16日
温室効果
中国がこれだけのペースでCO2排出を増やし続けていると、他の些細な削減努力は意味がなく思えてくる。
91：温室効果
生物の生存に必要。問題はCO2などに妨げられて地球外への熱放射がされにくくなっていること。大気の99%を占める窒素と酸素は赤外線を吸収しない＝温室効果に無関係
赤外線を吸収するのは水蒸気、CO2、メタン、オゾンなどの希ガス。
99：2006年まで米国はCO2を増やしている最大の国
中国の排出量は増え続けている。50~70基のギガワット規模の石炭発電所を毎年建設。
1基当たりでも、10秒ごとに1tの石炭を使用＝3tのCO2排出
103：CO2増大によるもう一つの危険＝海水の酸性化（気温変動予測値よりはるかに確実）
大気中に放出されるCO2の半分は海面の水に溶け込み、海水を酸性化させる。
海洋のpHは化石燃料の使用によってすでに約0.1低下。
大気中のCO2が2倍になったら、海水面のpHha0.23低下。
化石燃料を予想されるペースで使い続けると、2100年までにpH0.3~0.5低下。
＊海水に溶けたCO2が、プランクトンや藻からサンゴまで、さまざまな生物の外骨格や殻の形成を阻害
117：南極の氷の融解
2006グレース衛星 年々150㎦ずつ減少！（LAの年間使用量が4㎦）
温暖化モデルは不十分（当時）。
140：『不都合な真実』はプロパガンダであり、科学ではない
アル・ゴアは、地球温暖化の危険をアメリカ国民に認識させた功績でノーベル平和賞を受賞。
芸術的才能と説得力のある文才を武器にし、多少の誇張と歪曲。
うその中に真実が埋没してしまい、危険が見過ごされてしまう心配。
140：『不都合な真実』はプロパガンダであり、科学ではない
アル・ゴアは、地球温暖化の危険をアメリカ国民に認識させた功績でノーベル平和賞を受賞。
芸術的才能と説得力のある文才を武器にし、多少の誇張と歪曲。
うその中に真実が埋没してしまい、危険が見過ごされてしまう心配。
2024年07月15日
自動車の軽量化
自動車はどんどん重くなっている。日本の場合、エンジンの効率化で燃費はよくなっているが、米国中心にSUVが流行り車重は増加してこれを相殺。セダンが1.5~2t位なのに対して、SUVは2.5~3t位ある。
電気自動車はバッテリーが重く、同じ車格のエンジン車に対して数百キロ増加する。バッテリーの製造自体にも多大なエネルギーを消費するし、現時点で大量に廃棄され始めた時の処理方法もまだ確立されていない。186：自動車はガソリンを浪費自動車を加速するときにはエネルギーを動きに変え、減速するときにはそのエネルギーのすべてをブレーキの摩擦熱に変えて、エネルギーの1/3をムダに。さらに、1/3を空気摩擦によってムダに。空気抵抗は速度が上がるとともに急激に大きくなる。残りの1/3は路面とタイヤの摩擦熱によって失われる。＊全てのエネルギーは、熱に変換されて、浪費される。
187：HEV回生ブレーキ→加速アシストガソリンエンジンをバッテリーを充電するためだけに使う純粋なHEVなら、エンジンをいちばん効率のいい速度に保てる。
さらには、タイヤには耐摩耗性を高めるためにさまざまな化学物質が使われており、その一部は極めて毒性が高い。そして、タイヤは路面との摩擦で常に粉塵を排出している。EVは重くなるため、排出量が20%増えると言われている。
190：軽量化加減速に加えて、タイヤと路面との摩擦も減らせる。安全性⇔すべての車を軽量化すれば、すべての人の安全性が高められる重量のある車に乗れば、本人だけはほかの人よりも安全になるが、全体の安全性は低下する。車のサイズを規制する法律がなければ、市場では車が重量化する傾向。40km/lはたやすい→水素を燃料とすることも可能
結局、即効性があって、確実なのは車の軽量化。燃費もタイヤ摩耗もさらには操縦性も良くなる。唯一心配なのは重い車と衝突した時の安全性だが、これは、全ての車を軽量化すれば問題ない。もともと圧倒的に車重が違う大型トラックなどと衝突したら1tでも2tでも大差ないので、そこはあきらめるしかない。日本ではもともと重量税があるが、これはもっと累進性を高めていいのではないか。車重が倍になると事故の際に相手に与える衝撃も倍になる。
183：2100年に世界人口が100億になっても、年2％の省エネ向上で全世界が欧州の生活水準で暮らせる1%ずつしか向上しない場合には、2100年のエネルギー使用量は現在よりも40%増大する。エネルギー使用量の増大分を勘案しても、年3%の省エネ率向上でまかなえる。
2024年07月14日
宇宙計画は無人機で十分
「有人シャトルはコスト高で科学研究にも適していない」という辛辣な指摘。「注目を浴びて予算を確保したいというNASAの都合」だという。
人間が乗ると途端にコストが数百倍に跳ね上がる。しかも、人が乗ると、人が観測機器に影響を与えてしまう。例えば、赤外線50wを人体は放射しているので、クルーが８人も乗れば、400wの赤外線を発することになる。
55：スペースシャトルは危険〜2/100回しか死亡事故が起きていないことが驚異
1986チャレンジャー打ち上げ時に爆発
2003コロンビア大気圏再突入で爆発
エネルギーが熱に変換されて、その熱をまともにシャトルが受け止めた場合には温度が８万℃。
60：コスト安の無人機で十分。この20年間の宇宙計画の成果は無人機によるもの。
66：赤外線放射＝熱で電子が振え、電子の振えで生じた波が赤外線
2024年07月13日
ロケット
宇宙エレベーターは当面ムリそう。
40：ロケット〜96%のエネルギーを無駄にする非効率な乗物
軌道に乗るために必要な8km/sという速度に達する方法として、ロケット以外によいものが他にない。消費される燃料の質量は、軌道まで運ばれるペイロードの25~50倍。
41：ロケットの代替案〜宇宙エレベーターはめど立たず
Orbital Science社 飛行機で搭載したロケットをある程度の速度まで加速する。L1011旅客機で三段式のペガサスロケットを上空まで運び上げて発射。30基以上の衛星打ち上げに成功。
44：重力＝万物にはたらく力（物体の質量に比例して増大）
重力のはたらきによってすべての物体が他のすべての物体を引っ張っている。重力は万物に作用する唯一の力。
47：重力加速度＝万物にはたらく加速させる力
1Gの加速度＝1秒ごとに35km/hずつ物体を加速させる
2024年07月12日
三種類の衛星軌道
1巻が終わって、2巻目。
このところ、急に打ち上げが増えている衛星。衛星軌道には三種類あるが、今数が多いのは低軌道衛星。低軌道衛星は地球に近い分、通信の遅れが少ないが、地球上を高速で周っているので、広域をカバーするためには沢山打ち上げないといけない。
衛星インターネットサービスのStarlinkの場合、既に4000基を打ち上げていて、最終的に地球全体をカバーするためには1万基が必要だという。
25：GEO (Geostationary Earth Orbit) 静止軌道
実際には地球の周回軌道を回っているが、36000kmの高高度にあり、重力が弱く、比較的遅い速度（3.6km/s）で、地球を24hかけて回る＝地球から見て人工衛星は常に同じ位置に浮かんでいる。
30：GPS衛星はMEO (Medium Earth Orbit) 中高度軌道
高度1400~35000kmの場所を秒速数kmで回る。GPSの場合、12時間程度で地球を一周。
GPS受信機は、現在地球を回っている24基のGPS衛星のうち、そのとき受診しやすいすべての衛星から信号を拾う。
33：偵察衛星はLEO (Low Earth Orbit)低軌道
搭載する望遠鏡の解像度には限界。標準的な偵察衛星は高度約320km→解像度約6cm
低軌道なので撮影時間は1~2分。この時間を狙ってカムフラージュ工作が行われる。
2024年07月11日
核廃棄物貯蔵計画
1979年に米国ペンシルベニア州スリーマイル島で起こった原発事故。事故後、周辺の放射能レベルを測ったところ、高レベルの放射線が検出され、「すわ、一大事」となった。ところが、放射能レベルと、原発の位置に相関関係が見当たらない。原発事故が原因なら原発に近いほど放射能が高くなるはずだが、放射能は島内の至る所でランダムに観測された。結局、それは、もともと島の土にウランが含まれていたためだと判明した。
事故では、一時、周辺住民14万人が避難する大騒ぎになったが、もともと自然放射線が高い土地に住んでいたのだ。212：スリーマイル島原発事故高レベルの放射能の原因は、現地の土に含まれているウラン。崩壊して放射線ラドンガスに。5万人の近隣住民に対して、こうした自然放射線による過剰死亡者数は60人。
著者が、「非科学的」と指摘するのは、核廃棄物貯蔵計画に対する反対。核廃棄物であろうが、天然のウランであろうが、放射性物質であることに変わりはない。核廃棄物貯蔵では、地中奥深く、頑丈な密閉容器に入れられて保管されることになるが、世界には天然ウランが何の保護もされないまま散在している。214：チェルノブイリ原発原子炉を格納する建屋さえもなかった。もし格納建屋があったなら、死者はほとんど出なかったかもしれない。チェルノブイリ原発事故はメルトダウンでなく、核連鎖反応の暴走による反応度事故。
225：地中に天然ウランが残ったままのほうがもっと危険。大量のウランを産するコロラドは、地質学的に活発な地域であり、断層や亀裂があちこちに存在。そして、その地表の岩には約10億トンものウランが含まれている。このウランの放射能は、ユッカマウンテンに対して法的に定められた限度の20x。
つまり、放射能を恐れるなら、せっせと地中の天然ウランを掘り出して発電に使い、残った核廃棄物を厳重に貯蔵するのが一番ということになる。しかし、原発反対派は、より脅威となる天然ウランには何も言わず、核廃棄物の貯蔵には反対する。
発がん物質ということでは、石炭の燃えカスの方が何十倍も脅威らしい。しかし、その灰は、核廃棄物のような厳重な取扱い規定もなく、埋め立て処理されている。その他、さまざまな化学物質の方が、健康被害は大きく、かつ、環境汚染物質として自然界に永久に残るという。229：プルトニウムの毒性は過大評価石炭火力発電所では、その廃棄物を地下に埋めている。石炭は放射性ではないが、その灰には大量の発がん物質が含まれる。こうした灰が地下水に混入したら？こうした発がん物質は、プルトニウムのように24千年の半減期で消えてしまわない。永久にそのまま。
2024年07月10日
住民を避難させたのは正しい選択だったのか？
史上最悪の原発事故は1986年のチェルノブイリ原発事故（ウクライナ）。チェルノブイリ原発は旧ソ連で開発された黒鉛減速軽水冷却沸騰型炉（RBMK）で、構造的な欠陥を持っていた。さらに、驚くべきことに、事故に備えて原子炉を覆う原子炉格納容器がなかったため、事故が起きれば、そのまま放射能が漏れる構造であった。
128：発電所付近の3万人の住民の被曝量は1人当たり平均45レム（＝広島の原爆の生存者の平均被曝量とほぼ同じ）＝放射線症を誘発するほどではないが、ガンになる確率は1.8%増える。通常でもガンで死ぬ確率は20%なので、21.8%が被爆者の発ガン率。
この史上最悪の事故でも、ガンになる確率は1.8%増えるだけだったという。付近には3万人の住民が住んでおり、つまり、避難しなかった場合のガンによる死者数は540人増えたと考えられる。当時のソ連政府は、生涯の被曝線量が35レム以上になるすべての地域から住民を避難させた。当然の判断だと思われたが、実は、そのことで住民の死亡は数千人に増えた。
129：避難民は避難のストレスで、大量の喫煙・飲酒、薬物乱用が増加→被曝よりもはるかに多くの死者
地震でも、地震による直接犠牲者よりも、避難後の「関連死」の方が多いのが常。住居が破壊されるなど、非難を余儀なくされれば選択の余地はないが、原発事故の場合は、至近の場合はともかく、避難対象になる地域の大半は「安全に」と広く取られ、その半径が倍になれば、対象面積は4倍になる。
142：人間内部にある放射線源「放射性炭素」炭素14を食べ物から取り込み。半減期5730年。人間の内部では、毎分12万の炭素14による原子核崩壊。崩壊のたびに周辺の細胞にダメージを与えるベータ線を放出。わたしたちはみな、この体内の放射線とともに生きている。
福島原発事故のケースでも、避難対象地域は最大限広く取られたため、避難者は26000人に上った。「関連死」は2335人（認定者）とされ、主に津波による震災直接死の約1.5倍。原発事故の直接死はゼロとされている。自然界にも放射線はあり、人間自身、炭素14を食べ物から取り込み体内で放射線を出しているので、閾値を超えない限り、放射線への耐性はある。人間の耐性がないのは、非難に伴う環境の変化や孤独の方らしい。
106：石油の終焉？1956年ごろ世界の石油の可採埋蔵量＜10億バレル→すでにくみ上げられている
原油増進回収法＋油頁岩・油砂からも採取可能に→50億バレル増加
109：石炭から石油をつくる「フィッシャー・トロプッシュ法」を使えば、石油は千年持つ
石炭の炭素と、水から分離した水素を化合させて、炭化水素をつくる。
第二次世界大戦中に、連合国の経済封鎖のために石油を入手できなかったドイツで利用される。
製造コスト＝1バレル$50
2024年07月09日
核の脅威は本当か
3.11以降、一時は先進国で原発離れが進んだ。「チェルノブイリ原発事故（ウクライナ）ならともかく、あれだけ厳格な基準で運用されている日本でも事故が起こるのだから原発は危ない」という認識が広がったためだ。
著者は、まず、核テロは恐れなくていいという。国家が総力で取り組んでやっとできるレベルの難しさなので、テロ組織では無理。より可能性の高いのは、放射性物質を使ったDirty Bombだが、放射線が届く範囲は限られているので、仮に使われたとしても、被害は限定的だ。42：核兵器の製造はテロリストレベルでは不可能水爆＝核爆発を起こして水素の核反応を誘発するという二段階方式＋誰かが手を加えようとすると自爆するように設計されている
元の原発の話に戻れば、今の原発は方式が違うので、安全性は非常に高い。残念なことに、津波が襲った福島第一原子力発電所は国内でも最も古い原発で、設計はGEの初期型であった。48：放射能汚染爆弾〜過剰反応爆発後は、被害地がよほど狭い場所でない限り、放射能は希釈され、放射線症の閾値以下に低下する。もっとも大きな危険は、人々の思い込みから生じるパニックと過剰反応。
69：エネルギー問題の知られざる真実・ガソリンのエネルギーは、同量のTNTの15x・石炭のコストは、同じエネルギー量当たりガソリンの1/20・真昼に１㎢当たりに降り注ぐ太陽光から、1GWの電力を供給することができる・１�崚�たりの地表に降り注ぐ太陽光から、およそ1馬力のエネルギーが得られる・ガソリンのエネルギーは、同じ重量当たりでアルカリ乾電池の1000x、Li-ion電池の100x・液体水素のエネルギーは、同じ体積当たりガソリンの1/4.5・非充電式電池のエネルギーのコストは、壁コンセントのおよそ1万倍
2024年07月08日
知っておくべき最先端の科学
UCバークレーの物理学教授による、一般向けに書かれた科学を理解するための本。「最先端」と書かれているが、内容的にはむしろ基礎的で、高校で習った物理のおさらい。取り上げられている事例が（当時の）「最先端」なだけ。英語版の発売は2008年だ。
しかし、驚くべきことに、高校どころか中学校の理科の内容も「習わなかったの？」と疑う自称「大卒者」も多いので、デマやマスコミ報道に騙されず、正しい判断をするために皆が読むべき本だと思う。
21：9.11事件
ビル崩壊の主原因は飛行機衝突ではなかった。
飛行機の運動エネルギー＝TNT火薬1t分（重量131t 速度960km/h）
22：崩壊の主原因はジェット燃料から放出された高エネルギーと高熱
米国内線の旅客機は平均60tの燃料を積んでいる。
1tのジェット燃料が空気中で燃焼するとTNT火薬15t分のエネルギーを放出。
15 x 60t = TNT9000t
飛行機2機でTNT火薬1.8kt！
＊ガソリンにはTNT火薬以上のエネルギーがある
25：1日に取る食事のエネルギー量（2000kcal）
1cal=水1gの温度を1℃上げるのに必要なエネルギー量（熱量）
１ジュール＝1kgの物体を1m毎秒の加速度で、1m動かすのに必要なエネルギー
1kcal=4.2ジュール
TNT火薬1g＝0.65kcal
＊2000kcal/0.65kcal/g＝3080g
1日の食事は、TNT火薬3kg相当と同じエネルギー
27：起きたのは高熱による物体の不安定化と鉄骨の湾曲
2024年07月07日
インフレ時代の投資戦略
日経平均株価4万円を突破した現在の日経平均採用銘柄平均PBRは1.5x。「低すぎるPBR」の修正はかなり進んだ。東証がやっとPBR<1、つまり解散価値以下の上場企業撲滅に乗り出したことが大きいが、まだ改善を促すだけで、退場宣告には至っていない。
先月1社PBR1倍割れの上場企業の株主総会に出席して、PBR1倍割れ解決への方策を尋ねたが、「それはCFOから」ということで、なんと社長が答えなかった。PBR<1解決のためには、資本効率の改善が必要だが、その質問にも引き続いてCFOが答える始末で（その内容も具体策はなく一般論を言っただけ）、社長自ら解決しようという意欲はないと見えた。
上場を維持するために年間1億円位は余分にかかるが、こちらの会社は小規模だし、監査法人も中小だし、IRも皆無だから、最低限の5000万円位か。であれば、上場企業のステータスを維持したほうがいいという判断なのか。それなら期待できないからすぐに売ろうかとも思ったが、敢えて市場に背を向け、株価を下げて、MBOを狙っているのか？という推論もできなくはない。
213：実績ベースPBR
米国4.4x
欧州1.9x
英国1.7x
214：インフレ時代の投資戦略
�・舛世韻任覆�βも取りに行く（”日本”を買う）
��短期トレードではなく長期ポートフォリオの構築（cf.バフェット）
�Ｎ匹ぁ瓢饂此匹鮖�つ企業が選ばれる（既存のビジネスへの新規参入は難しくなる）
�ぅぅ離戞璽轡腑鵑呂△蕕罎詈�野で発生する→淘汰・世代交代・経営刷新
254：金利水準と株価の関係
現代の株式市場は相対的価値の大部分をFRBによってコントロールされる（絶対的価値は依然として実体経済）。
274：短い引き締め期を経て中立期に移行するのが理想（米国）
��2024年前半のうちに中立期へ移行（確率60%）
FRB引き締め終了宣言→最高値、中小型株に収益期待
��2024年を通じて引き締め期が継続される（確率25%）
インフレ率が前年比3%を下回らず、現状の5%台のFFレートが長期化→M7に投資集中→バブル
��2024年のうちに景気後退が訪れる（確率15%）
いったんは世界株価全面安→長期金利下げ→緩和ゾーン
2024年07月06日
日本の中立金利
無担保コールレート（政策金利）はまだ0.077%。推定中立金利0.5%までの道のりは遠い。
123：運用効率の序列が大きく変わった
自由裁量の時代〜低リスクのものが高効率
インフレ目標→投資適格債の運用効率が悪化し、投資非適格債並びにリスク資産の代表である株式全般の運用効率が改善
138：日本の長期金利が延々と低下したのは名目GDPが低迷を続けていたせい→税収も低迷し、財政赤字は膨らむ
公共投資平成年間だけで150兆円→財政赤字だけが膨らんだ
政府が150兆円使っても、企業と家計が150兆円貯蓄すれば、景気刺激にならない。
140：自由で開かれた資本市場における小国の運命
5年以上の長期金利は、程度の差はあれ一様に大国である米国金利の影響を受ける。
5年未満の比較的短い金利は、日銀の金融政策で何とかコントロール可能。
154：日本の中立金利0.5%（無担保コールレート）
＜0.5% 緩和的
0.5%＜ 引き締め
日米長期金利差が2%程度
2024年07月05日
インフレ・ターゲット
「デフレは終わった」となると、心配になるのは、逆にハイパーインフレ。日本は先進国最悪のGDP対比200%の国債残高を抱える。
69：ハイパー・インフレーションのリスクは少ない。インフレで税収が増える。
唯一まともな悲観シナリオ＝軍事的緊張の高まりによる防衛費の急増（費用のほとんどが諸外国への支払い）だというが、インフレで税収が増えていても、それ以上に歳出が膨らんでいるのが現状。この「ワニの口」が閉じない限りいずれハイパーインフレになるのは歴史が教えるところ。
77：潜在成長率「0%台前半」（日銀）
それを回避するには、成長率を上げるしかない。＝労働生産性を上げること。
著者は、それでベンチャー不利になるというのだが、果たしてそうか？大学生と話していると、以前ほど起業に対する不安がない。政府が起業を支援するなど、世論が変わってきたということもあるが、一番大きいのは、就職事情。空前絶後の売り手市場で、新卒だけでなく、第二新卒、中途採用も活発。起業してみようかというくらいのやる気のある学生は、仮に起業で失敗しても、その経験をネタにすぐに就職できる時代。だから、起業失敗でフリーターというようなリスクを感じてない。86：世直しが始まる日本経済賃金が上がるので、経営に不安のある企業は淘汰される。確実に賃金が増えていく企業への就職希望が増える⇔ベンチャー不利？
94：インフレ目標値の設定バーナンキ議長は熱心なインフレ・ターゲット論者。インフレ率の目標値を設定し、これに実際のインフレ率を近づけるべく、金融政策のかじ取りを行う。（1997論文）
2024年07月04日
野生の経済学
「日本のデフレは終わった！」という著者。「コロナを機に、財・サービスの過剰供給、労働の過剰供給が、突如として正常に戻った」のだ。
そう判断する理由は、以下の通り。
�ヽこ阿�らのインフレは3年かけて届く
��賃金のデフレ圧力は止まった
�Ｆ�本の製造業労働力は国際競争力を持っている
�て�本の住宅用不動産価格は上昇トレンドに入った
�，砲弔い討蓮�欧米では中間業者が我慢せず、直ちに仕入れ価格の上昇を売値に乗せることが多いが（皆、儲けるためにやっているから赤字を許容しない）、日本では我慢に我慢を重ねて、徐々に浸透していく。
�△砲弔い討蓮◆崔腸瑤寮ぢ紊�コロナを機に労働市場から撤退」したことが大きいという。団塊の世代とは終戦直後の1947~49年に生まれた約800万人で、今も人口構成上5.3%になる。年齢にして2020年の段階で71~73歳。日本の高度経済成長とともに「働くだけ明日はよくなる」を実感した世代で、会社勤めであれば定年後10年ほど経ったころだったが、再雇用や転職で働いていた人が多かった。年金を貰っているので収入が多くなりすぎるといけない。結果的に、安い労働力を社会に供給し、社会全体の賃金上昇を抑える圧力となっていた。
��は、日本の労働生産性は低いとよく言われるが、製造業に限ってみれば未だに世界最高水準にあり、競争力はある。足を引っ張っているのはGDP7割を占めるサービス業の方だ。�い砲弔い討蓮�統計の通り。この30年でインフレが続いた諸外国に比べて日本の不動産価格は低位に放置されていたが、今、そこに海外の投資資金が集まっている。
27：戦後の米国においては資産価格の壊滅的な下落はない
株の場合、リーマン・ショックで株価が6割下げた時でも、30年平均値は下回らなかった。
52：日本の諸物価は少なくとも2025年までは高水準を維持
景気の後退がなければ2029年まで続く。
2024年07月02日
『保守とは何か』
戦時下で青春時代を過ごした、戦中派である江藤。その時代の特徴として、「アメリカ」との愛憎がある。
183：江藤淳『保守とは何か』体系化される思想や、人々を動員するイデオロギーではなく、価値判断や歴史認識に根差した感覚。
若き江藤淳にとって「保守」という立場は、日本の文壇と論壇に違和を覚え、2年間のアメリカ滞在を通して獲得した「国際的なもの」であった。内向きの偏狭的なものではない。家庭では、「鎌倉の自宅で慶子夫人と銀のティーポットでお茶をするような英国式のライフスタイル」で過ごしていたらしい。
三島事件「一種の病気でしょう」
186：江藤の文芸批評において「他者」とは、夏目漱石が切り拓いた「日本近代文学」
夏目漱石を頂点とする文学者を、日本の近代史から切り離して批評するのではなく、時代の制約の中で「孤立無援な苦悩」を抱えつつも、旺盛な生活者として生きる姿を「他者」として批評することが、江藤淳の文芸批評の真骨頂。
189：戦後日本の言語空間を構造的に規定する「認識の枠組み」を断罪
孤独に「文明としてのアメリカ」と対峙することで、戦後日本の言語空間の「構造的な問題」と向き合い、批評家として本格化。
191：2017英国人口6604万人
移民938万人（14%)⇔日本＜2%
日本が国力の維持をはかろうとするなら、東アジアの近隣諸国から、公平なルールで移民を受け入れ、教育機会を与えるための法整備を、現実的に行っていくより他にない。
2024年07月01日
「どのようにして批評家となるのか？」
大江健三郎の寄稿で、「どのようにして批評家となるのか？」。江藤淳は、慶応の学生の時に『三田文学』で発表した「夏目漱石論」が評価され、文壇デビューする。実は、漱石が教科書に載るほど高い評価を受けるようになったのは、この「漱石論」がきっかけだったらしい。漱石の再評価をして、ダントツに有名な明治の作家にしたのは江藤淳だった。
100：江藤淳と吉本隆明は、おのおの、きわめてことなった、しかし、ともに優れた才能をもった批評家であって、かれら二人を戦後世代の批評家の、両極に対峙する二典型とみなすことは妥当であろうと思う。
101：僕は、江藤淳からも吉本隆明からも、ひとかたならず完膚なきまでに批判された小説家
110：自らの鋭敏な感受性を西欧の風土に激突させて深刻な傷を受けていた明治の作家達
「漱石は何一つ完成したわけではないので、彼の偉大さは、彼がなしかけた仕事を我々に向かって投げてよこそうとしているその姿勢にある」
