2024年04月
2024年04月30日
死の時間
文芸評論家の江藤淳。学生時代に書いたデビュー作『夏目漱石』以来、数限りない評論を書いてきたが、「これほど反響を呼んだものはなかった」というのが本作『妻と私』。
『妻と私』は、「文芸春秋」平成11年5月号に掲載された。私がこれまでに書いて来た文章のなかで、これほど短期間にこれほど大きな反響を生んだものは、ほかに一つもない。友人知己のみならず、多くの未知の読者から次々と読後感が寄せられたからである。（あとがき）それは、長年連れ添った妻との死別を綴ったもので、ご本人もその直後に大病を患っている。
このあと自死され、本書が遺作となった。あとがき：1月8日退院それが一段落してホッとした二月初旬のある晩、突然何の前触れもなしに一種異様な感覚に襲われた。自分が意味もなく只存在している、という認識である。このままでいると気が狂うに違いないと思い、とにかく書かなければ、と思った。
66:「今夜は久しぶりで一緒に休もうね」
その言葉を聴いた家内は、一瞬両の眼を輝かせ、こぼれるような笑みを浮かべた。あの歓喜の表情を、私は決して忘れることができない。
69:私たちは、ただ一緒にいた。一緒にいることが、何よりも大切なのであった。
71:死の時間
例えばそれは、ナイヤガラの瀑布が落下する一歩手前の水の上で、小舟を漕いでいるようなものだ。一緒にいる家内の時間が、時々刻々と死に近づいている以上、同じ時間の中にはいり込んでいる私自身もまた、死に近づきつつあるのは当然ではないか？
2024年04月29日
腸をクリーンにする究極的方法
アメリカ人にもこういう人が居る。まぁ、ビーガンの数も圧倒的に多いし、肥満の数も世界一多いし、何事にも極端な国。
まえがき：長年かかって生じたトラブルを治すには数ヶ月、あるいは数年かかることさえある
まず規則正しい排便を実現させる→残り半分は損傷を受けた組織を元どおりにすること
35：浣腸
文明発祥のころから、人々は同じ目的で薬草を用いてきた。
69：外部からの毒物
タバコ、コーヒー、アルコール、チョコレート、白砂糖、脂肪の多い肉類など。
155：抗生物質→腸内環境大混乱
コレステロール値をコントロールする細菌が全滅する。副作用として腸壁に炎症を起こすこともある。
168：腸内の細菌叢（腸内フローラ）を整える
�／�事の量を今までの80%に減らす。間食はしないで、胃腸を休ませる。
�▲僖鵑籠�類を中心とした食事はやめて、食物繊維を豊富に含んだ穀物、野菜、海藻、果実を中心にする。
��食事は感謝の心をもって楽しく。新鮮な水をたっぷり飲む。
�ぅ好肇譽垢鮠�なくし、プラス思考で明るく生活。
�ニ萋�適度の運動（過激な運動はひかえる）。ジョギングより歩く。
193：週一断食
その日は水と果汁または果物だけ口にして、休息。
2024年04月28日
ロッキード事件
先日、石原慎太郎の自伝を読んだので、晩年の代表作も読んでみる。これを書くことになったきっかけは、早稲田大学文化構想学部の森元孝教授から、「貴方は実は田中角栄という人物が好きではないのですか」と問われたことだという（後書き）。
「ならば彼のことを一人称で書いたらどうですか。私は貴方の一人称の小説、『生還』や『再生』を高く評価しているものですがね」
「ならば彼のことを一人称で書いたらどうですか。私は貴方の一人称の小説、『生還』や『再生』を高く評価しているものですがね」
まず生い立ちだが、新潟の地主の家に生まれている。本来は豊かだったはずが、「父親が博労」で「馬好きの道楽者」。財産を使い果たしたため、高等小学校を出てから東京に住み込みで働きに出る。小学校の成績は学年トップであったにも関わらず、家の状況が進学を許さなかった。
20：土建会社の小僧朝5時に起き上がり6時までに店の掃除を済ませて工事現場に駆け付け、5時まではみっちり仕事をして、その後、6時の学校の授業に間に合うように自転車を飛ばして駆け付ける。
一生懸命働き、頭もよかったので、満州で兵役に就いたのち、23歳で独立する。翌年結婚したのは、会社の事務所として借りた家の家主の出戻り娘であった。その時にこの姉さん女房が付けた条件は以下の通りで、「それ以外はどんなことにも耐えます」と言ったというから、これもすごい。
太平洋戦争下で、田中土建工業株式会社は飛躍する。まだ独立したばかりで、20代前半の経営者の会社が、年間の施工実績では全国の50社の内に入ったという。戦後最初の総選挙が行われたとき、進歩党から「15万円出して黙ってお神輿に乗っていれば当選する」といわれ、ついその気になったのが政治家となったきっかけ。この時は、予想外で地元の柏崎から4人の立候補者が出て乱戦となり、落選している。27：「それ以外はどんなことにも耐えます」・決して出ていけとはいわないこと・自分を足蹴にはしないこと・将来あなたが成功をして世に出て、皇居の二重橋を渡るような日があったら必ず自分を一緒に連れていくこと
33：戦後二度目の総選挙「若き血の叫び」裏日本と呼ばれている日本海に面した雪国を表の日本にする。
121：ロッキード事件の奇々怪々
日本にはあり得ぬ刑事訴訟の手続きをこの日本にまで持ち込み、あまつさえその証言に対する当事者への反対尋問までを封じるという、この国の法体系を全く無視した前代未聞の裁判。
149：あちこち手を尽くして選挙のために集め用意したおよそ300億円という金の中の、ただの5億円という金の由来が問われた。
2024年04月27日
彰義隊士の死の意味
毎朝走っている不忍池。そこは、江戸のプランニングをした家康の政治顧問・天海の構想では「琵琶湖」。今の上野公園全体に広がっていた寛永寺は「江戸城と江戸の町の鬼門を鎮護するべく創建された寺院」であった。江戸城の北東の鬼門を鎮護する寛永寺と、同じく南西の鬼門を護るのが増上寺ということになる。
要するに、天海は江戸を古都「京都」に見立て、琵琶湖に見立てた不忍池には、人工の島に弁天堂まで設けた。
幕末、寛永寺は江戸で唯一実戦が行われた場所となる。最後の将軍となった慶喜は新政府に恭順し、自ら謹慎していたが、慶喜の待遇に不満を持った旗本が寛永寺に立てこもった。73：天海僧正の構想東叡山寛永寺が江戸の大寺として江戸城鬼門の鎮護のために設けられたのは、寛永年間のことであった。年号を寺号にするのはその寺院が国家的な重要性をもつからであり、このような例としては延暦年間に創建された京都の比叡山延暦寺がある。寛永寺はまさしく「江戸における延暦寺」として、東の比叡山という意味を込めて東叡山と名付けられたのであった。
86：彰義隊士の死の意味彰義隊は決して無益な死を遂げたわけではなかったのだ。上野という場所の意味を、徳川の歴史のすべてを込めて振り返って見せ、その場所を自分たちの死に場所にすることによって江戸を官軍に譲り、江戸の中で上野が占めている特別な位置を教えたのだった。
2024年04月26日
投資の正しい考え方
著者名は「上総介」。やはり房総半島（館山）の出身。高い防御率を誇り、2013年の執筆当時7年間負けなし（年間損益）だったという。2006年のライブドアショック、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災でも勝ち続けたというのは、すばらしい。
ペンネームから分かる通り、歴史好きで、国内外の古戦場を巡るのが趣味だという。本書でも、兵法や実際の戦闘からの教訓が、「投資の正しい考え方」と絡めて紹介されている。
序章：今ある限られた時間を、最も有意義な時間として使うことができるならば、寿命を延ばすのと同じ効果
投資で成功するのは簡単ではない。普通に何となくやっても儲からない。
成功する人とは自滅しない人。
43：大きな陰線が出る前に撤退
自分が平静でいられる範囲内でトレードすること。
64：自分の得手・不得手を知る
不得手な点を知って無理をしないことこそ賢者の偉大なところ。
96：規律と実行
人は弱いものだと認識することがまず大切。人の感情に逆らっての行動は苦痛を伴う。
2024年04月24日
借金
昔の人は皆、お金で苦労している。絶対的な所得水準が今より圧倒的に低いし、公的な社会保障制度もほぼない。
太宰の借金申込みの手紙がストレートで好き。昭和11年というから、現在価値で10~15万円位か？
228：手紙 昭和11年（太宰治）貴兄に五十円ことわられたら、私、死にます。それより他ないのです。
220：私の文学的回想記（宇野千代）
スタイル社が倒産したのは、それから直ぐあとのことです。もう一社、私の名義でやっていた「きもの研究所」も、あおりを食って倒産しました。私たちは追いかけて来る高利貸しの眼をくらますために、場末の安宿に身をひそめました。「このときだな。人が首を吊りたいと思うのは、」私はそう思いました。
223：お金のねうち（壺井栄）
ちかごろ私のところへ、お金を貸してくれといって手紙をよこす人が、だんだんふえてきました。もちろん、ぜんぜん知らない人たちです。私の小説や随筆をよんだというだけの関係で、何万というお金をかせというのです。
225：酒との出逢い（森敦）
あのころ、といっても戦前のことで、ぼくらは二十歳そこそこだった。世田谷のぼくの家にまず檀一雄が訪ねて来、檀一雄がまたここに秀才ありなどと言って、太宰治を連れて来た。たちまち友人になり、三人は紺絣の着流しで、巷を飲み歩くようになった。檀一雄は東大の経済学部、太宰治は東大の仏文科の学生だと言っていた。ぼくはすでに一高を中退していたが、彼らも学校に通うふうもなく、東大生というのもほんとうかなと思っていた。しかし、いずれも颯爽としていたし、蛇は寸にして人を呑むの概を持っていたから、そんなことはどうでもよかった。
2024年04月23日
「早稲田文学」編集後記
寄付に渋い校友というのは、昔からなのか。
196：《早稲田文学》編集後記（立原正秋）
5月号の後記に、編集部に冷蔵庫とクーラーを御寄附くださる方はいらっしゃいませんか、と誌したところ、東大出身の方から十万円の寄付がありました。早稲田出身者にはけちな人しかいないのでしょうか。この編集室は盆地にあり、どうしてもクーラーが要るのです。早稲田出身者で十万円を寄付してくださる方はいらっしゃらないでしょうか。（昭和44年7月号）
197：この後記でしばしばふれた冷蔵庫は6月に入り、クーラーは7月に入りました。クーラーの寄付者は左記の如くです。
五木寛之殿 5万円
野坂昭如殿 5万円
石川達三殿 2万円
新庄嘉章殿 2万円
喗峻康隆殿 2万円
私がこの5人を脅迫してクーラーを寄付させた、という噂が拡がっていますが、そうした事実は殆どありません。五木と野坂が自発的に5万円送ってくれたとき、軽井沢滞在の老人達に、若い者にばかり金を出させてみっともないとは思いませんか、と便りを書き送ったことはありますが。いずれにしても五人の方には厚くお礼を申し上げます。（昭和44年10月号）
2024年04月22日
質屋の暖簾
昔の映画やドラマを見ると、金に困ると最初に行くのが質屋。私自身は行ったことがないが、学生の頃、「電話加入権を質に入れて金を借りる」というのは話に聞いていた。1980年代前半、既に物の値段は相対的に下がり、普通の腕時計なんかの担保価値は知れている。手間もかからず、預かる方にとってもモノでないから保管状況も関係ない。しかも、権利は減価しないのでたくさん借りれるのが電話加入権だったというわけ。
はじめに：作家だから金がないのではなく、金がないからこそ「真の作家」たり得たのだ。
82：予が半生の懺悔（二葉亭四迷）
生活上の必要は益々迫ってくるので、よんどころなくも『浮雲』を作へて金を取らなきやならんこととなった。で、自分の理想からいえば、不埒な人間となって、銭を取りは取ったが、どうも自分ながら情けない。愛想の尽きた下らない人間だとつくづく自覚する。そこで苦悶の極み、自ら放った声が、くたばって仕舞へ（二葉亭四迷）！
96：お金がもうかる正しい原則（やなせたかし）
食品の汚染については割合とチェックされるようになったが、精神的な汚染ということになるとほとんどチェックされません。これは恐ろしいことです。しかし何かを言おうとすると自由を圧殺するのかとか言論の弾圧とか非難されます。それとは全く問題がちがうのに。
114：質屋の暖簾（内田百問）
貧乏貧乏と云ふけれど、貧乏して質に入れると云ふのはまだ上っ面の話である。質に入れる物がある内は貧乏とは云はれないと云ふ事を、その後の自分の経験で思ひ知った。
2024年04月21日
今やらないヤツはバカ！
「堀江貴文の」と謳いながら、ホリエモンが書いたのは18章あるうちの第1章だけという、ChatGPTブームにあやかった本。では、読むに値しないのかというと、色んな職業の人が、どう自分ではChatGPTを利用しているのかを具体的に公開していて、なかなか参考になった。
田端信太郎 インフルエンサー
客先に行く前に想定される反論をChatGPTに提示してもらって、壁打ち。
林駿甫 プロンプトアーティスト
音声でChatGPTに入力しながら会議←最初に「今からこれこれの打ち合わせをするので議事録よろしく」
緒方憲太郎 Voicy
アウトプットの質と量を上げる。
野澤直人 ベンチャー広報
プレスリリースの下書き。
宮坂しんや Pythonエンジニア
「あのライブラリを使ってこんな処理を作って」で簡単なコードを書いてくれる。
2024年04月20日
社葬の多い護国寺
東京でも有名な名刹に入る護国寺。コロナでずいぶん減ったが、それまでは社葬が良く開かれる寺院でもあった。江戸時代に多くの旗本の菩提寺として栄えた護国寺だったが、明治になって窮地に陥る。
護国寺というと、数多くの茶室が有名。933：パトロンを失った寺明治時代になると江戸の大寺は、その多くが見るかげもなく衰微してしまう。幕府から与えられていた知行地を取り上げられ、檀家であった諸大名や大身の旗本たちが、同じように新しい境遇に身を落ち着けるのに手一杯となったのであるから、経済的な基盤も支持層も失った寺院が、寺地を失い堂宇を失ってゆくのも、世の習いであった。
これらは、全て大正から昭和にかけて作られたものばかりらしい。58：正面には堂々たる江戸期の本堂これだけ数多くの茶室が並んでいるのだから、なるほどここは茶道のメッカだわいと、われわれ素人にもただちに納得がゆくたたずまいだ。けれどもよく考えてみれば、茶室はキノコではないのだから、自然にはえてくるわけではない。誰かが、何かの理由で建てなければ、茶室ができるはずはない。しかもこれだけの数の茶室だ。美術館や博物館ならいざしらず、この寺は茶室のコレクションに熱を上げたのか。
当時の財界人のたしなみと言えば、茶道だったらしい。そこで、檀家総代を頼まれた高橋箒庵は、護国寺を茶道好きの財界人を軸に護国寺の経営立て直しを図る。60：名プロデューサー・高橋箒庵茶室も石灯籠も、江戸はおろか明治のものでもなく、大正から昭和にかけて作られたものばかりだ。これはひとりの人物による、じつに周到かつ巧妙な、地霊の根づかせ方の見本ともいうべき仕事の結果なのだ。
61：高橋箒庵は水戸の出身、慶應に学んだ後、新聞界に身を投じてから三井に入り、三越の常務や王子製紙の重役などをつとめた後、茶人として明治・大正・昭和を生きた人物である。明治の末年に、護国寺は寺の財政を確立するために、三井系の人であった高橋箒庵に相談を持ち掛ける。（中略）やがて、護国寺檀家総代、護国寺維持財団理事長としての高橋箒庵の仕事がはじまってゆく。
結果、護国寺は当時の財界人の墓が揃っている。それが社葬の多い寺として今まで続いているわけだ。
まず彼は、自分の知り合いをさそって、ここに墓を作らせた。大倉喜八郎、檀琢磨、安田善次郎などといった財界人たちは、どうもその筋によるものであるらしい。奥の方には三井の大番頭、三井物産の初代社長である益田孝の墓もある。（中略）鈍翁と号した益田と高橋は茶道を楽しむ同好の士として気心の知れた間柄だったから、話はスムーズに進んだ。
2024年04月19日
長期・分散・積立
お笑い芸人として知られる厚切りジェイソンは、IT企業の取締役でもあるらしい。そのジェイソンが投資の本
はじめに：長期・分散・積立アメリカで初めて就職したときに投資を始め、そこから13年でFIRE2年前に家族全員が一生安心して生活できるだけのお金を投資の利益だけで得ることができるように。アメリカは国からの公的補助が乏しいので、自分たちで老後の資金を何とかするという意識が根付いている。
まず、その質素な生活ぶりに驚かされる。月々の家計費は一家5人で＜30万円。本人は、「最後にいつお金を使ったか記憶にないくらい、お金を使わない」という。この本を書いた2023年6月に自分で払ったのはロケに行ったときの電車代だけだったとか
それは努力して節約しているというのではなく、「データを分析して合理的に判断する」というのが性分で、昔からそうらしい。経歴を見てみれば、ミシガン州生まれで飛び級でミシガン州立大学。アメリカには国立大学はなくて、代わりに州立大学が各州にある。地元の出身者は学費が安い。さらに、ジェイソンは飛び級で入るほど成績優秀だから、おそらく学費免除であっただろう。42：5人家族の毎月の支出は＜30万円（住居費・保険などを含まず）・自販機やコンビニでペットボトル飲料を買わない・必要もなくコンビニに行かない・交通手段はまず歩く・業務スーパーで大量買い・スペックが大して変わらないなら安い代替品・洋服は基本買わない・飲み会に行かない・ジムは公共施設
スマホも中華製でiPhoneそっくりなのに9000円だったという。さすがに、スペックは相当違う気がするが(笑)。
そんなジェイソンが投資しているのは、米国株インデックスに広く投資するVTIだけ。何かあった時に安値で売るリスクを避けるため「3か月分の生活費」（＝つまり100万円くらい？）を残して、後は余剰資金で全額VTIを買うのだという。これ以上ないほどシンプル。米国株だけでいい理由は、世界中の人が買わざるを得ないモノやサービスの大半を米国企業が作っているから。102：VTIだけ身の回りにある米国企業の商品と欲望が米国株の強さ。アメリカのCEO報酬は株価に連動。
もう一つの理由が、米国インデックスの優秀さ。日経平均はやっと35年前の史上最高値に並ぶほどに戻ったが、その間にS&P500は10倍以上になっている。これは、米国企業が全体的に強い上に、指標構成銘柄を頻繁に入れ替えて常に好業績の会社しか残さないから。つまり、インデックス自体がアクティブ運用の要素も持っている。110：米国株＝グローバル米株価指標には、常に成績のいい企業しか構成銘柄には残らない。
161：個別株は買わない最初に入社したGEで自社株購入制度＠$65→リーマンショック$6！現在でも$10。企業の業績や市場を自分で予測できない。
2024年04月18日
死亡率
昨年末の脳動脈瘤発見で、やはり気になったのが、死亡率。くも膜下出血の致死率は30~50%とかなり高い。しかも、良好に回復するのは10~20%しかなく、助かってもほとんどの人には障害が残る。
では、脳動脈瘤が「どのくらいの確率でくも膜下出血になるのか」というと、年間に約1%の未破裂脳動脈瘤が破裂している。1%が破裂して、致死率が1/2とすれば、脳動脈瘤保持者の年間死亡率は0.5%ということになる。
60歳男性全体の死亡率は1000人当たり0.645（表）＝0.06%。つまり、同年代平均の10倍ほどの死亡率。これが多いのか、少ないのか。
では、脳動脈瘤が「どのくらいの確率でくも膜下出血になるのか」というと、年間に約1%の未破裂脳動脈瘤が破裂している。1%が破裂して、致死率が1/2とすれば、脳動脈瘤保持者の年間死亡率は0.5%ということになる。
60歳男性全体の死亡率は1000人当たり0.645（表）＝0.06%。つまり、同年代平均の10倍ほどの死亡率。これが多いのか、少ないのか。
はじめに：老いを過剰に恐れず、人生を楽しむ姿勢を持ち続ける人こそが、健康的で、かつ幸せに生きている。
36：たんぱく質摂取 体重(kg)ｘ1.5g
50�國�75g
朝や昼に摂るのがベスト←肝臓で消化吸収されるが、肝臓が活発に動くのは朝から14時まで
64：脳ドック→脳動脈瘤の発見
くも膜下出血による突然死に至るリスク要因。
カテーテルによる対策←病院を選ぶ
97：モデルケースを思い浮かべておく
「年を取ったらこういう人になりたい」
107：腸を健康に保つ「腸は第二の脳」
人の免疫細胞の80%は小腸に集まっている→体を傷つける異物を排除し、細胞を修復
109：遅延性アレルギー「IgG型」
・この食品を食べたあとは、体の調子が悪くなる
・この飲み物を飲んだ後は、体がだるくなる
2024年04月16日
資本主義の超克
はじめに：『資本論』は有名（佐藤優）しかし、この本を読破した人は少ない。理由は簡単だ。長くて難しいからだ。
私も、その口。せめて、この本で代替しようと読んでみる。
初めに（続き）：私の理解では、難しい本には２つの種類がある。�‘睛討�デタラメな本��知の積み重ねの上で成立した本高校レベルの数学の知識が欠如している人が金融工学の専門書を読んでも、まったく理解できない。『資本論』の難しさは�◆�マルクス経済学は資本主義という一時代の内在的論理を客観性と実証性によって完全に把握することができる学問。経済学は歴史学の一分野に過ぎない。
130：ソ連は社会主義ではない
レーニン「社会主義建設の主人公は労働者・農民の団結した力だ、それが国家権力を形成していかないといけない」
スターリン「社会発展の法則を最高に理解しているのが指導政党であり、党の解釈が絶対。それに従えば社会主義は発展していくことができる。だから、党に従え」
363：資本主義の超克が人類全体の課題
労働者を解放するだけでなく、貨幣を自己増殖させていく、資本の自己増殖をさせていく生き方から資本家を解放する。
388：明治維新
�”�建制（講座派）コミンテルン1932テーゼ、大塚久雄、丸山眞男
��不完全だけどブルジョア革命（労農派）市民社会、資本主義社会の成立
2024年04月15日
『資本論』疑問点
「イデオロギーとして読んではならない」というのが著者のアドバイス。なるべくそうしたつもりだが、やはり違和感があるのが、以下の点。
�ゞチ茲粒鞠阿�ない
各プレーヤーが競争することによって、資源の最適分配が図られるというのが資本主義の特徴。それによって社会全体として発展するので、結果として資本家も労働者もプラスになる。ところが、資本論では、資本家は資本家のままだし、労働者はいつまでも労働者で、資本家に搾取される存在と決めつけている。
�⊆匆馘�流動性
『資本論』が描かれた19世紀は分からないが、現代社会においては、多くの会社員は賃金労働者であり、かつNISAなどで投資もする資本家でもある。マルクス流に言えば、労働者として搾取されながら、同時に、資本家として搾取している存在。
『資本論』完全精読といわれながら、この本も、読み飛ばしてしまったので、正確な理解かどうかは不明。
517：資本主義で封建時代の身分制度が崩れる
教育の役割→同じ年齢の人たちを集めて規則正しく教育→機械への準備
識字教育＆計算能力→分業と協業
＊教育がいまのような形になったのは、資本主義が前提
535：機械の自動体系
「個々の機械にかわって一つの機械的怪物が現れ、その体躯は工場の建物をいっぱいに充たし、そしてその悪魔的な力は、初めは、その巨肢の荘重ともいうべき整った運動によって隠されているが、その無数の本来の作業器官の熱狂的な狂騒施舞において爆発する」（マルクス）
585：ノルマ（norma)
ロシア語で「規範・基準」の意。第二次世界大戦のシベリア抑留者が伝えた語。
662：本源的蓄積過程では暴力が大きな役割を演ずる
「現実の歴史においては、周知のように、征服、圧制、強盗殺人、要するに暴力が、大きな役割を演ずる」（マルクス）
2024年04月14日
忘れ去られた大事件
これだけの惨劇であるので、当然の疑問は、「なぜ福田村に抗議に行かなかったのか」？
142：「2歳、4歳、6歳、そしてお産前の人まで殺害するような鬼のような人たちなんだから、行けばまた殺される」と断念（当時6歳の子どもだった女性の記憶）
ということだ。事件後、福田村では示し合わせたように完全に口を閉ざしており、被害者側からの働きかけが無いまま、事件は長年忘れ去られていた。それが、再び事件に日があたったのは戦後、被害者の姪が名乗り出たからで、事件から実に56年が経っていた。
170：昭和54年（1979）「千葉県における関東大震災と朝鮮人犠牲者追悼・調査実行委員会」事件の被害者の姪が同委員会に「殺された場所を突き止めてほしい」と名乗り出る。→三ツ堀を訪れ、供養。震災から56年。
事件後、事件の裁判は行われている。当然、何人もの無抵抗の家族連れを集団で殺害した事件であり、当然有罪となったが、収監に際し、福田村及び田中村では、一人前800円の餞別を服役者に与えている。1926年（昭和元年）大正天皇の崩御で、翌年全員が恩赦となり、2年5か月で出獄した。受刑者の一人は服役後村長となり、市町村合併後は市議として長年地域に関わった。
185：大正13年（1924）9月千葉地方裁判所で被告8名に有罪判決懲役3〜10年。
裁判の経過は、被害者の遺族や関係者には何一つ知らされなかった。地元紙「香川新報」（現「四国新聞」）も報道しなかったということで、差別があったと推察される。
2024年04月13日
関東大震災の知られざる悲劇
昨年9月は、1923年の関東大震災から100周年記念であった。その時の関連報道で初めて知ったのが「福田村事件」。現在の千葉県福田村（現・野田市）で、香川県からやってきた売薬行商団一行が朝鮮人と間違われ、親子連れも含めて16人も村民に虐殺された事件である。加害者が一般住民であること、被害者が無抵抗の行商団であることなど、特異な事件であるのに、長い間忘れ去られていたのはなぜか。
調べてみると、犠牲者は全て私の出身地である三豊郡（現・三豊市）から遠い千葉県まで売薬行商に来ていた。以前、東かがわ市にある帝國製薬で、戦前の行商人の資料を見たことがあるが、そこの製品も仕入れて売っていたのかもしれない。
戦前の香川県で、それほど売薬行商が盛んだったとは知らなかった。何しろ、その人数が大阪府に次いで全国第2位。大阪府の方が何倍も人口は多いので、人口当たりなら全国一だろう。私が地元で育っていたころは、まだ、富山の薬売りが年に一度来ていた。その富山県は全国第4位。富山の薬売りが「置き薬」に特化していたのに対して、香川の薬売りは「売り切り」だったらしい。
そのため、戦後、物流が盛んになると、「売り切り」は成り立たなくなり廃れたと思われる。「置き薬」は1年間の需要を満たすことができるので、高度経済成長期までは残った。息の根を止めたのは、国民皆保険制度の導入で、誰もが気楽に病院に行って処方薬を貰うようになったからだろう。
119：福田村のどろんこ祭
人口5千人ほどの小さな村に、世間の耳目を集める奇祭。ふだんは穏やかな日常の中にあったであろう村人が、年に一度の祭りに異常なほどのエネルギーをぶちまける。
125：1999『福田のあゆみ』（福田のあゆみ研究会編）
（事件について）一行も触れられていない。
128：被害者は香川県からやってきた売薬行商団一行
当時の三豊郡の三つの被差別部落から。
133：全国一小さな県「五反百姓」
多くは五反以下しか農地を持たず、小作率も全国一高い。小作争議も頻発。
十分な耕作面積が得られない部落の人たちは、行商で稼ぐしかなかった。
134：内務省衛生局『衛生局年報』大正12年（1923）
薬行商人数
1 大阪府 39,540人
2 香川県 31,316人
3 新潟県 22,506人
4 富山県 10,344人
2024年04月12日
英語にオノマトペの体系がない理由
英語にオノマトペの体系がない理由は、英語が「衛星枠づけ言語」であるから（p159）。
・動詞枠づけ言語 verb-framed language（日本語、ロマンス諸語、アルタイ諸語）・衛星枠づけ言語 satellite-framed language（ゲルマン諸語、スラブ諸語）
「英語のような衛星枠づけ言語では、動きの方向性がdown, in, across, overといった述語動詞以外の要素で表される。そのため、動詞本体にはplod（トボトボ歩く）、scurry（大慌てで走る）、limp（片足を引きずって歩く）のように動きの様態情報が含まれる傾向。英語には、＜歩く＞や＜走る＞といった様態を細かく区別した動詞が140以上ある」
英語では様態情報は動詞の意味に組み込まれるので、動詞の数が多い。そして、オノマトペが無い代わり、動詞そのものにそれらしい語感がある。
chatter＝ぺちゃくちゃ話すwhisper＝ひそひそ話すmumble＝ぶつぶつ言うscream＝キャーキャー言う
2024年04月11日
オノマトペ
子どもが言葉を学んでいく過程を見ていると面白い。言葉足らずで話す赤ちゃん言葉だが、語感でなんとなく通じるのが楽しい。擬音語に多い。
144：デジタル化するオノマトペの音象徴言語は進化の過程でアナログな表現からデジタルな記号的表現にシフト。
擬態語や擬音語であるオノマトペが流行語になることが多いのも、新鮮でありながら、語感で一瞬にして皆に通じるからだろう。
しかし、いつまでも赤ちゃん言葉では、脳の情報処理の効率が上がらない。147：「ぴえん」2020年上半期インスタ流行語大賞。かわいらしく泣くさま。
149：脳の情報処理と言語ことばの学習が始まったばかりの語彙量が少ない時は、アイコン性が高いオノマトペが学習を促進する。しかし語彙量が増えてくると、アイコン性が高いことばばかりでは、かえって学習効率は阻害される。
151：オノマトペの意味階層
レベル１ 声や音（音のオノマトペは、英語のようにオノマトペが体系化されていない言語にも存在）
レベル２ 動き（どんどん、ずんずん、のしのし）、形、手触り（ツルツル、サラサラ、ベタベタ）
レベル３ 身体感覚（ヒリヒリ、シクシク、ムズムズ）、感情（ワクワク、ウキウキ）、味、匂い、色
レベル４ 論理的関係（全く見つかっていない）
レベル４ 論理的関係（全く見つかっていない）
2024年04月10日
ことばはどう生まれ、進化したか
オノマトペとは、擬音語や擬態語の総称。「言語の起源と習得の謎を明らかにする上で大事なコトバ」として、世界中が注目しているらしい。日本語は、世界的にもオノマトペが豊富な言葉だ。一方、英語は体系化されたオノマトペ語彙を持たない。
はじめに：記号接地問題
認知科学者スティーブン・ハルナッド「記号から記号へのメリーゴーランド」
記号を別の記号で表現するだけでは、いつまで経っても言葉の対象についての理解は得られない。ことばの意味を本当に理解するためには、まるごとの対象について身体的な経験を持たなければならない。
108：名づけの洞察＝ヘレンケラーの閃き
「すべてのモノには名前があるのだ」という閃き→語彙爆発
138：なぜオノマトペから離れたのか
オノマトペがなくてはならない日本語でさえ、語彙全体で見ればオノマトペは1%程度。
体系化されたオノマトペ語彙を持たない言語はたくさん存在する（英語など）。
139：ニカラグア手話
ろうの子どもをきちんと教育するシステムもなく、耳が聴こえない子どもたちはほとんど学校に行かず、家庭内で家族と「ホームサイン」（コミュニケーションのため家庭内で作り出したサイン）でコミュニケーションを取る。
2024年04月09日
「できるようになる」とはどういうことか
政府をあげての「リスキリング」。英語が得意そうでない方々が外来語を持ち出すときは用心したほうがいい。
今井先生は、これは、「More is Betterバイアス」の一種であり、「学習はリニアに進化する」という信念に裏付けされているという。そこには、「知識を入れれば入れるほど、知識は増加し、学習が進むという考え」がある。実際は、「知ること」と「できること」は違うので、学べばリスキリングが成功するものではない。
174：スティーブン・スローマン『知ってるつもり』
私たちはほとんどのことを外部の知識に頼り切っていて、自分の外にある知識を自分の知識と同一視している。
181：伸び悩み（今井）
目標を合格・不合格などの二値的に捉え、合格すればOK、不合格だと人生の敗者のように考えてしまうと、合格することに最適化してしまい、そこまではよくても、その後、伸びなくなる恐れは非常に高い。
217：トップ選手を真似るとパフォーマンスが落ちる
新人の頃はみな、ある程度同じ型を学んで中央値を目指した方が競技力が高くなる。中央値を抜けたあとは、個別性の世界がやってきて、それぞれの骨格に合った動きをすることが大事。
日本一の選手は、個性に突き抜けたような例なので、ただ動きを真似ても本質を真似ることが難しい。
おわりに：今井
More is Betterバイアス→リスキリング、タイパ
「学習はリニアに進化する」という信念
このモデルでは、学習者が間違いや失敗をするということは考慮されていない。2024年04月08日
映像で確認することの問題点
陸上にあまり関心がないので、為末大さんは名前くらいしか知らなかった。本書を読んで、とても頭のいい人だということが分かる。
はじめに：為末大
僕が子供の頃に入っていたクラブは2つで「読書部」と「陸上部」。
子どもの頃好きだったものはずっと変わらない。
ことばによって身体の動きは変わる。（中略）もしことばがなくて、自分でそう動こうと思っても難しい。ことばによりあるイメージが想起され、そのイメージによって動きが変わる。
19：ことばを使うというのは、究極の編集行為
ことばというのは、視覚や聴覚や触覚など、あまたある外界の刺激のある部分をぎゅっと抜き出して表現する。競技のうえでは、複雑に動く身体の適切な部分を、あることばによって捉えると、一気に全体の動きが変わるということがある。
20：映像で確認することの問題点（為末大）
映像は情報が多すぎて正確すぎ、人間が一時に処理できる処理能力を超えてしまっている。
動きというのは、身体の内部から力が生まれた結果として、最終的にその形になっているが、映像ではその最後のところしか見ることができない。
ことばは大事なところにスポットライトを当てることができるため、コーチングには、実は、ことばが一番適している。
117：熟練者ほど緊張と弛緩の差が大きい（為末大）
「待つ」という感覚がもてるようになると、急にプレイが変わる。力が抜けるようになりながら、大事な時にはしっかり力が入る、その準備として「待ち」がある。
143：オリンピアンと金メダリストの違い（今井）
自分を分析して振り返って、自己修正したり、自分で意思決定ができる。
そのためには自分の知識の在り方、身体のあり方を誰よりもわかっていないといけない。
147：失敗から学べること（為末大）
何をしようとしていたかを自分で分かっていて、それによって失敗した瞬間に、予想と何が違うかがある程度クリアに見えている。
2024年04月07日
「死にさえしなければいい」
台東区運営のジム。コロナ前までは、毎日朝から夜まで開館していたが、緊急事態宣言で2020年に一時閉館。翌年から再開したものの、開館はトレーナーがいる週3日だけとなり、それも、最大人数5人までとなった。
その後、最大人数は10人にまで増えたので、人数制限で入れないということは無くなったが、今も「使用はトレーナーが居る週3日だけ」を続けている。新型コロナが感染症第5類となった今でも、トレーナーが居るときしか開館しないというのはおかしな話。
多額の費用をかけて区民の健康増進のために造った区の施設なのに、感染を恐れて未だに利用させないのは区の不作為の罪だと思うのだが。コロナでも有識者会議の専門家たちは、過剰な外出自粛を要請した。これで、感染は免れたにせよ、うつ病や筋力低下で、大変な健康被害が出ている。感染症の専門家は感染症の死者数・患者数しか見ておらず、国民の長期的な健康維持には関心がないようだ。
96：健康診断の数値にはエビデンスがない
エビデンスがあるのは、血圧、血糖値など5項目だけ。
100：薬漬け医療
学会でも、薬を減らす方法は教えない。
139：「子ども部屋おじさん」
実家を出ずに子ども部屋で30代を迎える成人が珍しくない。
2024年04月06日
2024年04月05日
投機の本質
126：トレーディングの世界に「教育」というのはないという。「教育できるというのは日本的な発想」なのだ。昔読んだ本に、ある日本人がロンドンの銀行でトレーディングを始めたとき、チーフトレーダーから課されたのは、毎回どのエレベーターが先に来るか当てさせられたというエピソードがあった。その人はやっているうちにだんだんと当たるようになり、その後トレーディングでも成功したとか。
62：日経225アービトラージ（1992年ごろまで）
株価指数先物は一貫して理論的に「公正な」価格よりも高値が付きやすい。
現物市場においてロングポジションを取りつつ、先物市場でショートポジションを同時に取ることで利益を容易に確定することができた。
171：儲けている人は表に出てはいけない
それを外に出したら、結局は同じ手法で彼ら自身がアービトラージされる。
216：投機と言うものの本質（岩井克人）
投機は「予想の無限の連鎖」（ケインズ）
「合理性のパラドクス」
個人の合理性の追求が社会全体の非合理性をうみだしてしまう。
資本主義は投機の原則に基づいているので、資本主義は将来にもそうした危機を生み出し続ける。金融でデリバティブの発展は問題の原因ではなく、こうした永続的なプロセスの規模、射程、そして速度を増加させているだけ。
2024年04月04日
金融人類学への序章
「金融人類学」とは聞きなれないが、1190年代以降「文化人類学においても、金融市場や金融技術、そしてそれらに関与する人々について研究が始ま」っているのだという。人類の生態を研究するのが人類学だから、金融人という「部族」が現れれば、それを研究する文化人類学者が出てくるのも当然か。
面白いのは、著者は日本人研究者だが、オーストラリア国立大学で博士号を取得のあと、現在はノースウェスタン大学教授と言うこと。本書は英文で書かれ、それを日本の研究者が翻訳している。
15：2008GFCは金融が「インチキ」であったことを明らかにしてしまった
「金融は知識の差のアービトラージで市場間のアービトラージではない。それは実は何でもないというのがばれてしまった」（元デリバティブ・トレーダー）
17：デリバティブ商品は、原資産に付随する既知のリスクを分解したり組み合わせたりして、そうしたリスクを取引可能な形に再パッケージ化する。こうした分解や結合のプロセスは概してその過程で新たなリスクを生み出す。
19：哲学としての金融
「金融市場の動きは一定の法則に従うのではなしに、予測不能な『歴史的過程』として解釈される必要がある」「現在のパラダイムは、既知のリスクのみを認めており、自らの欠陥や誤解がとんでもない結果をもたらしうる可能性を受け入れようとしない。その傲慢さこそが現在の金融危機の根っこにあるのである」（ジョージ・ソロス2008）
23：考える主体
多くのトレーダーがソロスと同じく、単なる意思決定者であるのではなく、より広範な知的な議論やプロジェクトとの対話に積極的に関与する。
32：日本化
「日本の失敗はあらゆる点でその成功と同じように重要である。日本に起きたことは悲劇であると同時に前兆なのだ」（Krugman 2008）
2024年04月03日
グローバル経営のお手本ABB
おっと、アップする順番が逆転。先に「おわりに」を出してしまった
278：経営をプロセスから発想する
本当は組織のプロセス、それを作り出す人々の行動に問題がある⇔小手先の対応・組織構造の改変
・業績達成・活性化プロセス(renewal)
・統合プロセス(integration)
・革新プロセス(entrepreneurial)
286：相互矛盾と向き合う経営の挑戦
経営における３つのアジェンダを同時に実現するのはとても難しい＝組織内にさまざまな矛盾
＝スマントラとクリスが格闘したテーマ
286：グローバル経営のお手本ABB
1988スウェーデンのアセアとスイスのブラウン・ボベリが合併して誕生した重電・エンジニアリング企業
「私たちはグローバルであると同時にローカルでもあり、大企業であると同時に、小さな企業の小回りも生かし、徹底的に権限委譲すると同時に、中央集権的な報告とコントロールを持ちたいと願っている。もし、私たちがそれらの相互矛盾を解決できたとき、私たちは本当の意味での組織優位をつくり出すことができるのだ」（ABBスウェーデン人CEOパーシー・バルネビック）
286：相互矛盾と向き合う経営の挑戦
・複数の階層のマネジャーが、伝統的ではない「役割と任務」を担っている
・そういうマネジャーの行動は、パーシー・バルネビックの注意深い行動によって制度化された伝統的ではない「組織行動のコンテクスト（behavioral context)」に支えられている
＊バルネビックがWalk the Talk（有言実行）で組織内に浸透させたコンテクストによって、各階層のマネジャーたちが「新たな役割と任務」を担うことができている。だから、ABBでは、さまざまな組織プロセスが生み出す矛盾が完全に解消されているわけではないものの、他の企業と比べれば、矛盾をよりうまく解くことができている。
2024年04月02日
学問としての経営政策の衰退
「欧米の研究者の間では、実務家向けの本はまったく評価されない」というのは、入山先生のデビュー作『世界の経営学者はいま何を考えているのか』にも出てきた。曰く、「ドラッカーはアメリカでは経営学者とさえ見なされていない」など。社会科学として成立した米ビジネススクールの経営学と、実務家が求める「役に立つ本」との違い。
インテルが祖業のメモリからマイクロプロセッサに大胆な移行したのは、トップの経営判断だと思っていた（実際、多くの本にはそう書かれている）。ところが、研究によると、それはインテルにおける「経営管理のコンテクスト」（ウェハー当たりの収益の最大化という財務管理上のルール）を現場が追求した結果であって、「マイクロプロセッサー事業が十分に育った後に、経営トップが戦略転換を事後的に追認」したというのは面白い。
あとがき：学問としての経営政策の衰退
実務的な要請とは解離。
ビジネススクールという教育メソッド＝きわめてアメリカ的
社会科学＝実証研究重視
仮説や提言が実証され、ロバスト（堅牢）であるか否か、一般化可能性、再現可能性、蓄積可能性があるか否か。
MBA＝Master of Being American
394：欧米の研究者の間では、実務家向けの本はまったく評価されない
HBRに寄稿することすら、研究者としての評価にはまったくプラスとならない。
「A Journal」への査読付き論文
401：Robert Burgelman スタンフォード大学
インテルがDRAMからマイクロプロセッサーへと事業ポートフォリオを成功裏に変えていったプロセスを研究。
＊インテルの変身は、当時のトップが戦略上の意思決定を下したことによって実現したのではなく、インテルにおける経営管理のコンテクスト（ウェハー当たりの収益の最大化という財務管理上のルール）が、マイクロプロセッサーへの移行という、ボトムアップによる新たな戦略イニシャティブを間接的にサポートし、結果的に同社の変身を誘発した。
2024年04月01日
革新に向けたインキュベーターとして機能する本社
80年代まで米優良企業の代表と言えば3M。その後、GEジャック・ウェルチに焦点が当たり、3Mが話題になることはめっきり減った。しかし、地道にイノベーションを続けているのは、流石、『ビジョナリーカンパニー』で筆頭に出てきた企業。ミネソタ州という土地柄もありそう。
219：企業全体戦略
企業はなぜ複数の事業を同一の傘の下に置き、いくつもの製品やサービスを提供しているのか？
232：70以上のハイブランドを抱えるLVMH
グループ企業（メゾン）が伝統を尊重しながら高いクリエイティビティとクオリティを維持できるように、本社が経営支援。
236：革新に向けたインキュベーターとして機能する本社
�＾族舛併駛棔Ψ弍弔竜�律（規律のある内部資本市場）⇔外部資本市場の発達
�▲轡淵検次β人誉�（ユニット間協働のための中枢神経）⇔モジュラー化とアウトソーシング市場の発達
��スラック・柔軟性（革新に向けたインキュベーター）⇔イノベーションエコシステムの発達
240：外部市場と競争する本社
先進諸国におけるコングロマリットの衰退。
資本市場などの外部市場が未発達の途上国では、コングロマリットに勢い（政権とのつながりなど人的コネクション？）
245：革新に向けたインキュベーターとしての役割＝本社にとって最重要
外部市場は、エンジェル投資家やVCが形成するイノベーション・エコシステム。
→組織ならではのイノベーションの追求
265：3Mの経営プラクティス
272：M-formの組織と経営が硬直化する→Quick Fix（スマントラ＆クリス）
社内ベンチャー制度（internal corporate venturing:ICV)
3Mを習って、1970年代にFortune500の25%が導入→成果出ず解散
似たようなブームは何度も繰り返されている。
273：企業内で事業部間の提携でも難しい
外部提携＝初対面では意気投合（初めは可能性に焦点）→同床異夢→提携解消
