2023年10月
2023年10月31日
森林のエネルギー
人類最古の物語と言われる「ギルガメシュ叙事詩」は、「人類による自然破壊についての世界最古の文献記録」でもある。
61：主人公ギルガメシュ王は、紀元前2600年ごろの南部メソポタミアで栄えたシュメール文明を代表する都市国家のひとつであるウルクに実在した王。彼は立派な都市を建設することで不朽の名声を得たいと望み、盟友エンキドゥと共に森に分け入って大量のレバノン杉を伐採する。
実際に、レバノン杉の伐採は進み、レバノン山脈は2000年前にははげ山になってしまう。一度表土が流れ出してしまうと、伐採を中止しても再生は難しい。
62：古代メソポタミア文明の時代に始まり、その後の古代ギリシアや古代ローマの時代に至るまで、近隣の森はどんどん伐採され、表土がすべて流出してしまった。
65：文明の技術的発展を支えたのは森林
文明化した社会は、貴重なエネルギー源である森林資源を湯水のごとく使うことで成り立つ。文明社会における技術の進歩は、森林資源の伐採によるエネルギー供給によって支えられていた。
66：古代メソポタミアでのシュメール都市文明
文明の中心は徐々に上流域に移動。過剰な森林資源の伐採により森林が喪失して塩気を含んだ土砂が流出。森林伐採によって洪水が頻発。農地の塩害が悪化し、砂漠化が進行。
69：ミケーネ文明
ミケーネもまた、豊富な森林資源を背景に興隆し、資源の枯渇とともに衰退していった文明。
土壌が流出しやすい斜面を中心に土地の劣化→穀物収量減少→貧弱な地でも育つオリーブの木
現在の地中海沿岸から巨木の森が消え、低木のオリーブの木だらけになっているのは、長年の自然破壊の結果。
70：飛鳥時代から奈良時代にかけて、およそ200年のあいだに21回もの遷都
そのたびに近隣の森林が伐採。特に平城京の建設では、東大寺を筆頭に巨大木造建造物の建築が隆盛を極め、大仏の鋳造とも相まって大量の木材を消費。結果として、畿内の多くから針葉樹と広葉樹が混交する自然林が消え、痩せた土地で育った赤松の森へと変容。
71：19世紀まで続いた軍事と森林の密接な関係
国家権力を支える軍事力の強化に大量の木材が必要不可欠。
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��軍用船の建造 制海権＝国家の隆盛
古代〜中世 ガレー船
中世以降 帆船→帆柱となりうる直立した巨木の確保をめぐる戦い
イギリス 国内→バルト海沿岸→新世界
76：Copperの語源＝キプロス島
銅精錬による森林資源の減少が深刻化。世界初の工業都市ともいえる島の中心都市エンコミの住民をはじめ、その多くが銅精錬で生計。
2023年10月30日
火のエネルギー
で始まる、壮大なエネルギーをめぐる文明の物語。以前読んだ『水力発電が日本を救う』でも、「エネルギー量が人口を決める」という説明があったが、本書を読むと、正に「エネルギーが文明を決定づける」と思えてくる。旅のはじめに：世の中の大抵のことは、エネルギーの切り口で考えてみれば分かりやすく整理でき、腑に落ちるようになる化石燃料資源の枯渇の問題に始まり、原子力の利用を巡る問題、そして最近では気候変動の問題。
22：バク―
19世紀半ば、帝政ロシアが石油掘削開始。世界の原油の半分が、バクーで生産される。
ロスチャイルド家や、アルフレッド・ノーベルの実兄ロバート・ノーベルとリュドビック・ノーベル兄弟などが、ブームに乗って財を成す。
29：私たち生物は、等しくみな「燃料」
地球上で火を生じる燃料となっているものを見渡せば、薪や木炭は言うに及ばず、石炭や石油、天然ガスといった化石燃料にしても、それらはみな生物由来の有機化合物。
32：地球上の炭素総量は一定
私たち生きとし生けるものはみな、有限の炭素資源を分かち合って暮らす兄弟。
34：世界最古の火の利用
南アフリカのスワルトクランス洞窟
動物の骨から、火で焼かれた痕跡。100万年〜150万年前。
被食者の一つとして肉食獣に食べられることもあった人類の祖先が、捕食者へとその立場を変える。
火を焚くことによる明かりと熱を嫌って肉食獣は洞窟に近づかなくなる。
人類史上初めてのエネルギー革命。
38：料理とは、消化器官への負担を軽減し、吸収できるエネルギー量を最大化する偉大な「発明」
・食べ物は柔らかくなり、咀嚼時間が大幅に減る。
・熱はでんぷんや蛋白質を変質させ、食べ物の持つ栄養価を飛躍的に高める。
加熱によってカロリー密度が高い食事を取れるようになったことで、食べる量は減り、消化器官は小さくて済むようになる。
・加熱することで食べ物に付着した雑菌を殺せる
2023年10月29日
路面電車
昭和7年（1932）生まれの著者が早稲田大学文学部英文学科を卒業したのは昭和30年ごろ（のはず）。同じ文学部でも、村上春樹のように7年間も在籍してなければだが（卒業論文は「アメリカ映画における旅の思想」）。
気になったのが、『路面電車』のこのくだり。
151：大隈講堂まえの階段を登り、文学部の建物の方に歩くと、左の図書館脇のベンチにいた友人が声をかけてきた。
「大隈講堂まえの階段」とは、正門のことだろう。そして、私が在籍していた1980年代にも、正門を入って左側に図書館があった（今は安部球場後に移転）。その先に文学部
調べてみると、当時の文学部は早稲田キャンパスにあった。今の8号館「法学学術院」のある場所。戸山キャンパスが完成して、文学部がそちらに引っ越すのは1962年だ。そして、その戸山キャンパスには、もともと戦前から、早稲田高等学院があったのだが、1956年に上石神井に移転している。
路面電車
135：ゴールデン・ウイーク
昭和26年には、たしか、もう、あったと思う。
155：都電荒川線
ガードレールに保護された専用軌道なので、他の乗物と競うようなかつての都電の荒々しさはなかった。
自由業者
180：TV業界
「この下に蝟集しているタレントたちも、ディレクターも、アシスタントも、みんな素人なんだ」
ホテル・ピカディリー
210：ブロードウェイｘ45丁目通り
一泊$23
2023年10月28日
『北の青年』
小林信彦の連作短編集。本人がモデルになっていると思われる、主人公が同じ短編が7本収容されている。今ではコラムニストとして知られる著者だが、昔は小説も書いていて、芥川賞候補に3回、直木賞候補には2回なっている。結局、両賞は受賞しなかったのだが、菊池寛賞は2006年に『うらなり』で受賞。
1970年代までは、純粋文学を対象にする芥川賞と、大衆小説を対象にする直木賞とは、「全く別」という認識で、そのために、小林信彦は賞を取れなかったと言われている。そうした垣根がなくなっていくのが80年代で、今では同じ作家がダブル受賞するのは珍しくない。
48：啓徳空港
天井の低い、薄暗いが活気に充ちた倉庫のよう
50：山口百恵の『絶唱』
香港では日本映画が大入り
52：国連本会議が中国招聘を可決
多くの中国人が台湾から香港に逃れてきていた。
63：九竜城
悪名高いこのカスバにはまだ阿片窟が存在し、顔色の悪い少女が客をひいていた。
2023年10月27日
月刊I/O（工学社）
『月刊I/O（工学社）』の連載記事をまとめたもの。技術開発の流れを読んでいると、軍拡競争を思い出す。
10：OpenAI論文"Scaling Law"2020Transformerの性能は「パラメータ数」「データセットサイズ」「コンピューティング予算」を変数とした、シンプルな「べき乗」に従う。
CPT-3は「1750億パラメータ」ｘ「4900億トークンの学習データ」で作成されたということ。2022年発表のMS/NVIDIA共同開発のMegatron-Turing NLGは5300億パラメータだ。GoogleのGlaMはパラメータ数が1兆を超えるという。
12：中国「悟道2.0」2021/10Googleを超えた17500億パラメータ。
軍拡競争に似ているだけでなく、AIは軍事技術に直結しているから、米中対立で「AI軍拡競争」が続くかもしれない。日本はその中でどう存在感と実利を確保していくのか。ルネサスのDRPに期待。
17：GPU→AIモデル特化の演算ユニット開発GAFAM
87：ビジネスメール詐欺（BEC)
ChatGPTで、手間と時間のかかる標的とのやり取りをほぼ自動化可能。
89：Runway Gen-1動画生成
今後は「写真/動画付きフェイクニュース」がインターネット上に溢れかえる。
118：DRP-AIに特化した「AI軽量化技術」の確立がカギ
ルネサス独自のDRP（Dynamically Reconfigurabble Processor)技術。
チップ内の演算器の回路接続攻勢を処理内容に応じてクロックごとにダイヤミックに切り替えながらアプリケーションを実行→必要な演算だけが動作するため消費電力が小さく、高速化も可能
2023年10月26日
ウクライナ侵攻「2・24後」の世界
「終戦直後ですら年1400〜1500万トン規模の米配給を必要とした」
終戦直後の日本の人口は約7000万人。今の6割ほどだ。この時は、アメリカから小麦の緊急輸入で大量の餓死者を出さずに済んだ。その後、学校給食でのパン導入が進み、おかげでパン食が普及したが。
それに対して、22年のコメ生産量は675万トン。今の人口規模を考えれば、必要量は2000万トン規模でその1/3にしかならない。その生産量でも統計上「自給率100%」なのは、コメの需要が減っているからで、その分を補っているのは輸入食料。全体としての食料自給率は現状38%（カロリーベース）だ。
それだけで先進国一低いのだが、実態はもっと悪い。というのは、現状の食料生産を支えているのは輸入肥料であり、輸入石油であり、これなしには現状の生産は出来ない。食料輸入に支障が出る事態というのは、世界的に食料危機に陥った状態。そうなれば、各国が自国供給を優先して、食料輸出だけでなく、肥料も石油も輸入が滞ることが予想される。
それが起こりうる可能性を認識させたのが、昨年のウクライナ戦争で、これを機にロシアからの小麦・肥料と石油・天然ガスが止まった（中国とインドは安くなったロシア産を買い続けている）。それで、世界の食糧価格が上昇。世界最大のコメ輸出国であるインドは、一部の高級種を除くコメの輸出を禁止した。
今のところ、それ以上の事態にはエスカレートしてないが、仮に肥料やエネルギーの輸入が完全に止まる事態になれば、国内食料生産量は半減すると思われる。つまり、実際の食料自給率は20%程度にしか過ぎず、そうなれば、1億人が食料不足に陥る。1億人分の食料を輸出できる国は世界のどこにもない。
キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、「コメ増産・輸出が最大の備蓄」だと提言している。これまで、50年間、政府は補助金を出してコメの減反政策を進めてきたが、なんと国益に反したことをしてきたのか。
14：地政学が「運転席」にいる
Barclays新興国クレジット戦略統括責任者アンドレアス・コルビー
123：コメ増産・輸出が最大の備蓄（山下一仁キヤノングローバル戦略研究所）
＊輸入路が断絶されたとたんにたちまち食料不足
・生産量を増加させる品種改良はタブー（現状）
・巨費を投じてコメの減反政策
・海路が絶たれれば肥料も輸入できない
・農機が使えなくなり生産性が著しく低下
128：資源インフレ
エネルギー不足→電力高騰→欧州では亜鉛とアルミ生産が半減
Norway肥料大手Yara アンモニアと肥料生産能力削減
2023年10月25日
2023年10月24日
世界最大の島国アメリカ
アメリカは大陸国家だが「島国」でもあるという。それは、広大な北米大陸を西から東迄領有し、あたかも島であるように、大陸を自由に行き来できるから。そして、国境を接するカナダ、メキシコはアメリカに比べるとはるかに小国であり、関係も概ね良好だから、アメリカの国家意向を妨げるものはほとんどない。
34：世界最大の島国アメリカ
太平洋と大西洋に面し、国境を接するカナダ、メキシコからの圧力が弱い。
1845 Manifest Destiny（明白なる天命）→先住民の土地を奪う西部開拓を正当化
1890年までに太平洋岸に至る開拓事業を終了→巨大な島国誕生
36:マハンの「シーパワー理論」
1890『海上権力史論』
シーパワー＝海軍力だけでなく、平和的な通商と海運、それを実現させるためのシーレーンと各地の港湾施設を維持する能力
・「ワールドシ―」を制したものが世界を制する（海の地政学）
・ランドパワーとシーパワーは両立しない
37：セオドア・ルーズベルトが採用
1898ハワイ併合、米西戦争→プエルトリコ、キューバ、グアムを支配
1902フィリピン統治権
（1899フィリピン共和国を認めず、戦争で植民地化）
38：両大戦を経て「ワールドシ―制覇」
1915ハイチ占領
1916ドミニカ共和国占領
日本敗戦→マーシャル諸島、マリアナ諸島、カロリン諸島
＊世界約40か国に500以上の基地
2023年10月23日
「地政学」で見る、各国の思惑
出版されたのがロシアによるウクライナ侵略（2月24日）直後。本来なら、ロシアの専門家である佐藤優氏に解説していただきたいところだが、それは全く触れられていない（そこは、下のYouTubeで「岸田首相の地元広島ガスの半分はロシア産」で）。そもそも、佐藤氏は「監修」なので、本文は書いていないのだが。
はじめに：地政学
地理的要素から、その国の政治や外交、行動原理などを読み解く学問。
対象とする国のイデオロギーは変わっても、その地理的要素は大きく変わることがない。
22：地政学
1916ルドルフ・チェーレン『生活形態としての国家』（スウェーデンの政治学者）
「生物である国家は、生命の維持に必要な資源を獲得しなくてはならない」
カール・ハウスホーファー『生存圏』（ドイツの地理学者）
「国家が、その国力に応じた資源を得るための領土『生存圏』を獲得しようとするのは当然の権利」→ナチスの御用学問
24：「現代地政学の祖」ハルフォード・マッキンダー（イギリスの地理学者）『デモクラシーの理想と現実』
ワールドアイランドとハートランド→ハートランドを制する者が世界を制する
ランドパワー（大陸国家）とシーパワー（海洋国家）は宿命的に対立する。
28：ニコラス・スパイクマン「リムランド理論」（アメリカの地政学者）
リムランド＝ランドパワーとシーパワーが衝突を繰り返してきた地域一帯
「リムランドを制する者がユーラシアを制し、ユーラシアを制する者が世界を制す」
2023年10月22日
幸福の追求
「われわれは、すべての人間が生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということを、自明の真理として信じる」（トマス・ジェファーソン『アメリカ独立宣言』）
個人の「幸福の追求」は、アメリカの建国者たちが描いた希望の世界である。
43：「世界一」ではなく、「最高の自分」になる方法
古いルールに従うことは、もう安全ではない。
126：スーザン・ロジャーズ（バークリー音楽大学教授）
親指を突き出して道端に立つなんてこと、私は一度もしなかった。私はね、歩いたの。
127：「ダークホース的な生き方」は博打的な生き方ではない
成功確率＝平均的な人間がある一定の状況で成功する可能性。
154：自分の「強み」を自覚する
自分自身の強みを案内役にして、独学法やトレーニング方法や習得法を探し出すこと。
218：最も険しい急斜面
上達を目指して登ろうとする山の、最も険しい急斜面を探す。
自分の個性に適した戦略を選べば、あっという間に急斜面を上ることができる。
2023年10月21日
好きなことだけで生きる人が成功する時代
納得のような、それでないような。
好きであれば努力を長く続けられるから、その分成功する確率が上がるのは当然。ただし、それは、「他の条件が一緒なら」という前提が付くと思う。つまり、好きである上に、必要とされる能力もあり、さらには幸運も大事だ。
尤も、好きなことを続けられれば、人生の満足度は高いだろうから、世間的な成功はともかく、それは個人的には「成功」だろう。
日本語版への解説：ダークホース的な成功（伊東羊一）
�ー�分の中の「小さなモチベーション」を見つける
��一般的なリスクは無視して、自分に合った道を選ぶ
��自分の強みを自覚したうえで。独自の戦略を考え出す
�ぁ嵬榲�地」のことは忘れて、充足感を今抱いているか自問する
21：ジェニー・マコーミック 2005新しい太陽系惑星を発見
１５歳のとき、ジェニーは高校を中退し、馬小屋掃除の職についた。それかあまもなく、母親がジェニーを置いて家を出て行き、やむなく自立しなければなあなくなった。高校卒業認定試験を受けたが不合格に終わる。２１歳になる頃には、母と同じくシングルマザーになり、長いない息子を育てるために、ファストフード店でウェイトレスとして働いた。
31：個別化の時代(the Age of Personalization)
映画、本、動画・・・「個人の好みのモノ」が不気味なほどオススメされる社会
32：情報とサービスの経済
個性が重要。
2023年10月20日
インターナショナルスクール生が使う裏技
学校生活で後悔していることの一番が、交換留学に行かなかったこと。できれば、高校で1年、大学で1年行けばよかった。帰国子女など皆無だった50年前の四国。それでも、AFSなどの交換留学制度はあった。
その時期に行っておけば、その後相当違ったと思う。高校の交換留学では費用は掛からなかったし（ホームステイで生活費も基本無料）、大学でもおそらく交換留学に繋がっただろう。米国の大学は授業料が500〜1000万円とバカ高いが、交換留学なら国内の学費を払うだけで済む。
さらに、この本を読んで分かったのは、「編入」という裏技。国内のインターナショナルスクール生がこれを使って毎年何十人と米国の上位大学に編入するのだという。最初から受験しようとすると、米国の上位大学は願書に、推薦状、小論文、SAT、TOEFLと書類が大量に必要で、国内受験よりよほど大変。それが、3年次から編入ならGPAとTOEFLだけで済む。
それでも、交換留学も編入も希望する日本人学生は少ないらしい。国内大学に比べて、授業負担が圧倒的に高いので、遊ぶ時間などまずない。日本なら大学生がアルバイトで稼ぐのは当たり前だが、欧米ではまずいない。成績が悪ければ容赦なく落とされるので、そんな余裕がない。
245：インターナショナルスクール生が使う裏技
国内の交換留学に強い大学に入学（同志社、青学、立教、関西学院、早稲田、慶応）
252：海外のTOP200大学への直接の日本人入学生は200人だけ（大半が帰国子女）
明治時代と同じ水準。交換留学制度は充実してきたが、日本の大学生は留学したがらない。
あとがき：4者をセットで育成し、4人ユニットとして私立学校に派遣
学校を変えるには校長だけではなく、有能で志のある事務長、教務部長、教員育成の責任者が不可欠。
2023年10月19日
海賊になろう
態度がはっきりしないとか、ディシプリンがないとかで、「世界に通用しない」と言われる日本人だけど、裏面では強さにもなる。
しかし、対立する両者を調整するのは凄く骨の折れることで、体力と地力がとても求められること。それができる日本人がどれだけいるかという問題はありそう。もう一つは、それに対して、どう報酬を払ってもらうのか210：日本の強さは「まあまあ力」調整力にすぐれている。文化的背景の異なる人同士が激しく対立する世界。中庸さは文化的な対立が激しさを増すこれからの世界でますます求められる。
211：治安のよくない国で相手を軽々しく論破しない
いまの日本は「論破」が流行していますが、これはとても危険。
議論では勝ちをゆずり、相手を気持ちよくさせておくと、交渉はうまくまとまる。
221：海賊になろう（スティーブ・ジョブズ）
軍人には自分の意思は要らない。求められるのは忠犬になること。
海賊は個の集まり。海賊はプロジェクトチームのようなもの。カネで雇われ、一つの目的に向かい、目的を達成すると解散。
2023年10月18日
いまの学校はオワコン
教育制度改革が難しいのは、外野が多いからかもしれない。皆一家言持っていて、一つでも変えようとすれば、議論百出となるし、成果が出るまで待ってられない。文科省から、教育委員会、そして現場の学校と、「補給路」が長すぎて、文科省の意図が現場に行くまでに、曲解されたり、忖度されたり、無視されたりと千差万別なのだ。
その点、私立学校は有利だ。教育理念はそのまま教師の採用、評価、管理に反映されるから、徹底する分、成果は出やすい。変えようと思えば、教師の地位が公務員として保障されている公立学校に比べれば、容易。その結果、全国的に、私立学校の方が人気になっているのは道理だろう。
54：いまの学校はオワコン社会の変化に追いついていない。これまでの学校は、忠犬ハチ公のような労働者を大量生産する「いわない」「いえない」「いわせない」組織。意識すべきは「2050年」。30年後の日本はメキシコやナイジェリアと同じ経済規模。日本国内だけでは生きていけなくなる。
これも30年前から言われてきたことで、20年前には「ゆとり教育」が始まった。2002年から施工されたが、5年も経たないうちに学力が低下しているとの批判を受け、2008年には実質廃止された。意図は悪くなかったと思う。
119：日本人が英語をできないのは英会話力の問題だけではない。自分の意見や考えを素早く論理的にいえるかなど、「思考力」「社会力」が足りない。留学した時に痛感したのがまさにこれ。英会話力の問題よりも、言うべきことを持っているかどうか。答えがある問題ばかりやってきた日本人には、この壁を超えるのが困難だった。本来であれば、少なくとも大学は、答えのない問題を議論し、考えるところなのだけど、50%以上も大学に進学する日本では、専門学校のような大学が多い。
79：短期留学プログラムは何の役にも立たないそれまでの箕面高校では、夏休みにNZでの2週間のホームステイ（費用60万円）。英会話や異文化体験なら60万円も払わなくても、いくらでも日本でできる。→MITの起業家精神要請プログラムを日本の高校生向けにカスタマイズ英会話の訓練ではなく、英語で起業家精神を学び、自分なりのBPを考える
2023年10月17日
ポストコロナの国家論
未だに完全普及しないマイナンバー制度。普及させるのに5000円とか1万円とかその度にポイントを配る始末。私の知る限り、マイナンバー制度がない国はない。近代国家は福祉国家であり、先進国では高齢化とともに社会保障費が増えている。
これを平等に、低コストで実施できる体制を作らないかぎり、100円分の福祉を実施するのに、その事務コストが何十円も掛かるということが起こる。その分は無駄に税金が使われることになり、そうでなくても上昇する社会保障費が賄えなくなる。従って、どの先進国も、社会保障番号がなければ銀行口座開設も、医療サービスも、教育サービスも受けられない制度になっている。もちろん、それは税務申告にも使われ、税金と社会保障制度が一体運用されている。だから、コロナ禍で緊急給付するときに普通の国は所得に応じて数週間で全国民に配れたが、日本だけそれができなかった。
マイナンバーで統一されて困るのは、これまで正直に税務申告していなかった人だけ。いい加減、マスコミの言う「漠とした不安」に踊らされず、社会保障制度を長く続けられるよう効率運用しなければならない。
序章：マイナンバーと銀行口座の紐づけ
「国家によるプライバシーの侵害」戦後一貫した心理
30：権力の終焉
ナイム「3M革命」→大企業や国家権力が蓄積してきたノウハウを解体
More（豊かさ）
Mobility（移動）
Mentality（意識）
188：30年間変わらない「ふるさと創生」
R2「新型コロナウィルス感染症対応地方創生臨時交付金」
政治の発想は何一つ変わっていない。
2023年10月16日
自転車にかける費用
どんどん高くなっているロードバイク。日本で売られているロードバイクの9割は輸入品で、昨今の円安がこれに拍車をかけている。そんな中、どこにお金をかけるのが正しいのか。
273：自転車にかける費用�．侫譟璽燹蔽椴呂防戮爛侫譟璽燹��▲織ぅ筺幣茲蠖潅呂帆�行性能に大きな違い）��手組みホイール（既製品の完組は、スポークのテンションにばらつき）�ざ酘扱呂離僉璽帖憤賣�メーカーであれば、グレード差はほとんどない）
大きく分けて、スチール（CrMo）、アルミ、カーボンと3種類あるフレーム素材の中で、素材自体がしなりを持つのはスチールとカーボン。しかし、それも、フレーム構造によって随分違う。
一般的に、ロードバイクの値段は、ブランド、フレーム、駆動系コンポーネントで決まるが、駆動系コンポには（一流メーカーであれば）グレード差はほとんどないという。つまり、世界トップシェアを誇るシマノであれば、105でも、Ultegraでも、最高位のDura-Aceでも実質的な差はほとんどないということだ。70：プレーニング駆動系のパーツを介してフレームに伝えられる、ライダーのパワーによって生じたフレームのしなりは、バネのようにエネルギーを蓄え、それが解放されるときに駆動系のパーツ群に戻される。しなりがどの部分で発生するかによって、その反発が、自転車を前進させるためのペダリングの助けにもなれば、反対に邪魔になったりもする。
例えば、105とDura-Aceならコンポの価格差は25万円にもなるので、その分をいいタイヤと手組みホイールにかけた方がコスパがいいということになる。161：しなやかなケーシング高速走行が可能で快適な高性能タイヤ。
今、ほとんどの完成車はチェーンリングが50-34T。これでも、昔に比べればコンパクトになっているのだが、ほとんどのライダーにはこれでも大きすぎるという。181：パンク対策薄くしなやかなケーシングのタイヤ→パンクしやすいパンクはたいていの場合、すぐには発生せず、破片は最初はトレッドに刺さるだけだが、回転する度に食い込んでいき、やがてチューブに穴をあけてしまう。→ガラスやほかの破片が散らばった道を走ったあとは、手でタイヤ表面を払う。タイヤワイパーという器具も。
230：チェーンリングほとんどのライダーには46Tあれば十分（インナー30T）←リヤカセットスプロケットは11Tまたは12Tから始まる
2023年10月15日
あなたの新しい1台
ついこの間まで、ロードバイクのタイヤ幅は細い方が速いと信じられてきた。
20：タイヤサイズそれを、実証実験で覆したのが本書の著者ヤン・ハイネ。実際は、細くするとパンクしないために高圧にする必要があり、そうするとサスペンション損失が増加し、遅くなる。
幅38~55mmがほとんどのライダーにとって最適。
51：サスペンション損失（空気圧）それなのに、なぜ長年、「細い方が速い」と信じられてきたのか？それは、その方が、乗り心地が硬くて、道路の凹凸がダイレクトにライダーに伝わるため、ライダーが「速い」と錯覚していたようだ。
荒れた道ではサスペンション損失が増加し、高圧のタイヤでは遅くなる。
安全に走れる最低限のタイヤ空気圧が、最も早く走れる空気圧でもある。
22：フレーム
重いフレームは硬すぎて良好な製法を発揮しないことが多い。重要なのは、フレームの適度なしなり。
35：自転車における主な抵抗
�ゞ�気抵抗（最大、また、減らすことが最も難しい）
��転がり抵抗（改善の余地）
��重量（車体重量の影響は小さい。ライダーの体重が大きい）
�ぅ戰▲螢鵐阿硫鹽硝犹ぁ覆箸討眈�さい）
39：ライディングポジション
下りにおいては、エアロバーよりも完全なエアロタックの体勢をとったほうが空気力学的に有利。
全面投影面積▲33%
cf.スーパータック（サドルの前方に腰を落としてトップチューブ上でかがみ込む）→UCIで禁止の動き
2023年10月14日
THE ALL-ROAD BIKE REVOLUTION
著者は名前から、ドイツ人かと思ったら、米ワシントン州のアメリカ人だった（生まれは知らないがおそらくドイツ系）。気候変動で博士課程に入りながら、ツールドフランス選手も視野に。博士号取得後は、NASAフェローとなり多数の論文も発表している。2002年に尊敬するフランス人自転車ビルダーの名前を付けた自転車会社Rene HERSEを設立したとある。
この本では、「オールロードバイク」という概念を提唱している。
乗り心地のよさと高性能という、ほんの数年前には互いに相いれないと思われていた特性を併せ持った自転車。スムーズな舗装路から荒れたグラベルまで高速走行が可能で、躍動感ある走りも味わえれば、キャンプ道具すら積載する能力もある。
私など、用途別に5台所有しているから、別荘においてある2台を別にしても、この考えを取り入れれば、集約は出来そうだ。
・15年前の、太いタイヤでも細いタイヤと同じ速さで転がるという私たちの発見・硬いフレームがつねに高いパフォーマンスを発揮するわけではない
2023年10月13日
タイムバケット
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが共演する「バケットリスト」という映画があった（2007）。あの映画では、ガンで余命半年を宣告された二人が、「死ぬまでにやりたいこと」を実現していく。
本書でパーキンスが提案しているのは、「タイムバケット」。余命半年ならゴールはハッキリしているが、そうでなければ、まだ大丈夫だと、人はこれまで通り過ごしがち。そこで、予測される残りの人生を5年〜10年間隔で区切り、その年齢に応じたやりたいことリストを作る。
198：タイムバケット予測される人生最後の日をゴール地点にする。それを、5年または10年間隔で区切る。死ぬまでに実現させたいと思っていることについて考える。
私も今年還暦だし、ちょうどいいので、考えてみた。
�”抻療仍魁瞥萋�するアメリカ人の友人に誘われて9月に実施予定だったが、台風で断念。せっかく準備したのでリベンジしたい）
�⊂�笠原諸島クルーズ（世界遺産の島に行ってみたい）
�Ｅ豎て札汽ぅ�リング（昨年夏に計画していたが、コロナ罹患で中止。今夏も考えたが暑すぎる。来年こそは？）
�な胴駛�問（かつては住んでいたのに、もう10年以上行っていない。長女がいる間に訪れて、現地の旧友たちにも会いたい。円安が
）
�”抻療仍魁瞥萋�するアメリカ人の友人に誘われて9月に実施予定だったが、台風で断念。せっかく準備したのでリベンジしたい）
�⊂�笠原諸島クルーズ（世界遺産の島に行ってみたい）
�Ｅ豎て札汽ぅ�リング（昨年夏に計画していたが、コロナ罹患で中止。今夏も考えたが暑すぎる。来年こそは？）
�な胴駛�問（かつては住んでいたのに、もう10年以上行っていない。長女がいる間に訪れて、現地の旧友たちにも会いたい。円安が
）195：「いずれ失われること」に目を向ける効用人は終わりを意識すると、その時間を最大限に活用しようとする。
2023年10月12日
生前贈与
日本はもう20年以上も平均賃金が上がっていない（下図）。その間に他国は経済発展を続けて、着実に生活水準を上げていった（下図は購買力平価ベース）。結果、G7では最も貧しい国となり、OECD諸国の中でも平均以下である。この状態では、なかなか「これから給料は上がるんだから、若いうちは借金してでも・・・」と背中を押すことがなかなかできなくなっている。
そこで、生前相続するのは良い考えに思える。米国でも、「遺産相続のピークは60歳前後（FRB調査）」らしいが、日本でも似たようなものだろう。米国の平均寿命は日本より6歳ほど短いが（日本84歳、米国78歳）、米国は所得層によって差が大きいので、相続財産を残せるような富裕層では日本とそう変わらないはずだ。
80代の親が亡くなり、60代で相続しても、確かに、「死後にもらうと、うれしさ半減、価値は激減」だろう。「相続のタイミングが遅すぎる」のだ（p116）
126：金の価値を最大化できる年齢は「26〜35歳」金を適切に扱えるだけ大人で、金がもたらすメリットを十分に享受できる。
この年齢だと、キャリアアップ・チェンジで大学院に入ったり、結婚して、新居を求めるタイミング。そうした支出に支援するのはピッタリに思える。
140：死後の寄付は非効率
中等教育以上の教育が社会にもたらすリターンは年間10%以上（米国）。
150：支出と貯蓄のバランス最適化
「これから給料は上がっていく。君が稼ぐ力は右肩上がりだ」（ミルトン・フリードマン教授がシカゴ大学に着任て間もないシャインクマンへ）
2023年10月11日
記憶の配当
TVドラマ『ダウントンアビー』の執事カーソンがこんなことを言うシーンがある。
45：「人生でしなければならない一番大切な仕事は、思い出づくりです。最後に残るのは、結局それだけなのですから」
だから、著者は記憶に残る経験に金を使えという。
遺産を残せば喜ぶ遺族もいるだろうが、長寿となった今、80歳を過ぎて亡くなるころには子供は50歳を過ぎている可能性が高い。そこで、本書のタイトル"DIE WITH ZERO"ということになる。52：記憶の配当経験は私たちに、尽きることのない「配当」を与えてくれる。経験を増やすと、雪だるま式に幸せになれる。
日本人の金融資産は平均的に、死ぬまで増え続けるという。つまり、財産を使わないまま死んでいくのだが、「何かあった時に備えて」というのは誰でも同じで、アメリカ人の純資産も70代半ばまで増え続けるらしい。75：ゼロで死ぬ安全に、かつ不要な金を残さないためには、人が生きられる最長の年齢を想定すればいい。
82：米国世帯主年齢別の世帯の純資産（中央値）45歳 $124K55歳 $187K65歳 $224K
「全退職者の1/3が退職後に資産を増やしている」のは、日本に限った話ではないのだ。というのも、多くの人は、退職後の必要資金を計算するのに、単純に今の消費水準が続くと仮定して、それに余命を掛けている。しかし、実際は、年を取ると人は金を使わなくなる。
88：米国世帯の一般的な年間消費支出55~64歳の世帯 $65K65~74歳の世帯 $55K75歳以上の世帯 $42K
結果、想定以上に資金余裕が出るわけなのだが、誰のためにいくら取っておいた方がいいかは自分では分からないだけに、想定が難しい処。「一般的にはこう」と言われても、例外は常にあり、それが自分の身に起こらない保障はないので。
2023年10月10日
ゼロで死ね。
著者は、ウォール街のトレーダー出身で、現在はヴァージン諸島でヘッジファンドを運営しているという。
＊人生で一番大切なのは、思い出をつくること
そのために、体験にカネを使えという。その体験の質にもいろいろあるので、やはりどう時間を使うかは吟味したほうがいいと思う。
18：今しかできないことに、惜しみなく金を使う人生の充実度を高めるのは、そのときどきに相応しい経験。
まえがき：ただ生きるだけではなく、十分に生きる
経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法。
22：ビル・ゲイツは2010年以来、病気や貧困に苦しむ人々を救うための活動に専念しているが、そのあいだにも資産は倍増している。
29：ライフエネルギー
人が何かをするために費やす有限のエネルギー。
2023年10月09日
「脳の老化」をストップする方法
老化すれば誰もが最後はなるという「認知症」。「脳の老化」をストップする方法は、やはり、運動だという。
313：加齢による前頭葉の萎縮の進み具合は、カロリーの消費量と密接に関わっている。よく動いてカロリーをきちんと消費する人は、加齢による前頭葉の萎縮の進行が遅くなる。
意識して歩くと、それだけで「認知症」発症率が40%減るという。
336：脳の最も重要な仕事は「移動」地球上に初めて現れた脳細胞の最も大切な仕事はその生物を移動させること。
270：天才の条件
「統合失調症」脳内が情報であふれてしまう→現実から乖離し、妄想にとらわれ、視覚や聴覚による幻覚
脳が大量のイメージを受け取ってしまうため、現実の世界が認識できなくなる。
273：脳のほかの機能が正常であれば、たとえ情報量が多すぎても病気にはならない
「創造性」という恩恵だけを受け取るのではないか。
正しく意図して創造性を上げるには、脳内のあらゆる部位にアプローチできる「運動」が最適。
2023年10月08日
運動の抗うつ効果は、薬よりも強力
40年余り前に、東京に来て最初に思ったのは、「東京では随分歩くな」と「人が歩くのが速い」。何しろ、私が上京するだいぶ前から田舎では車が普及して、歩いている人などいなかった。大人はクルマで、学生は自転車で通勤或いは通学する。
運動部に所属しない怠惰な私大生にとっては、一番の運動は駅の階段の上り下りとバイト先までの歩き。今や首都圏のあらゆる駅にエスカレーターとエレベーターが備え付けられ、学生も当然のようにそれに乗っている。日常生活での運動の機会がどんどん減り、これで大丈夫か？と思う。実際、精神疾患が全ての疾患の中で増え続けている。
176：運動の抗うつ効果は、薬よりも強力
187：運動で「海馬の細胞数」が増える
25歳ごろから1年で約0.5%ずつ小さくなる。うつ病になると、そのスピードは加速する。
うつ病のせいで脳細胞がつくられなくなるのではなく、脳細胞がつくられないために意欲が低下する。
222：前もって運動した被験者の方がより上達する
海馬でBDNFが増えることで、短期記憶は長期記憶の貯蔵庫に転送されやすくなる。
252：村上春樹の創作プロセス
毎朝4時に起床し、午前10時まで執筆する。昼食をとったのちに10kmのランニングを行い、それから水泳をする。そのあとは音楽を聴いたり、読書をしたりして過ごす。そして夜の9時ごろには就寝する。
2023年10月07日
2023年10月06日
投資は知の総合格闘技
はじめに：日本は少しずつ、確実に貧しくなっているのは、多くの人が実感している通り。「投資家の思想」が日本を救うという。
京大を出て長銀に就職した奥野さん。証券の方が将来性があると思い、長銀証券に出向。その後、長銀は国有化され、長銀証券はUBS Warburgに売却された。
73：UBSウォーバーグに居続けながら自費留学のチャンスを覗うロンドン駐在→London BS MiF夜間コースに入学
77：農林中金
オルタナティブ投資金額で世界10指に入る大投資家。
170：高い参入障壁→失われていないか？
参入障壁がある限りは保有。無くなったら売却。
217：投資事例
��United Technologies（Otis）
�⊃�越化学工業（シリコンウェーハ世界シェア33%）
��Nike
��Reckitt Benckiser（ミューズ、ヴィート、クレアラシル、ドクターショール、メディキュット）
241：どのインデックスでもいいわけではない
S&P500＝厳選されている＝指数そのものがアクティブ運用
TOPIX＝東証1部全体でよほどのことがない限り上場廃止にならない＝新陳代謝がない＝中身が悪い
おわりに：投資は知の総合格闘技楽をして短期的に儲けようと思うな。投資であってもビジネスであっても、土台となる知識とそれらを組み合わせて「自分の頭で」考える習慣が必要。
2023年10月05日
包囲殲滅戦
紀元前から万単位の軍隊を動かし、その結果万単位の戦死者を出していたのは、さすがに大陸。負ければ殺されるか、奴隷にされるかなので、どちらも必死だ。それに比べて、日本がいかに平和なことか。
118：トレビア川の戦い
ローマ軍センプロニウス（平民出身）戦勝報告を急ぐ
4万のローマ軍の大半が包囲環の圧縮攻撃で殲滅される
・同温でも水は空気に比べ25倍の速度で身体の熱を奪う
170：BC216年8月2日カンネーの戦い
ローマ軍の兵力、練度、士気などを直接的に確認するための偵察を幾度となく実施。
ローマ軍の偵察部隊指揮官がエミリウスの場合には確実に有利に戦闘を進める一方で、ヴァロの場合は奮闘するも負け戦になるように巧妙に作為→ヴァロをローマ軍に選ばせる
カンネー平原にローマ軍の主力8万人⇔ハンニバル軍5万人
包囲網圧縮が完了した時、ローマ軍戦死者7万人＋捕虜1万人
2000年を超えるローマ史でも唯一の完膚なき敗戦
おわりに：「不可能に挑戦し可能を刷造した戦略リーダー」
2023年10月04日
史上初の世界大戦
国家総力戦による「世界大戦」は第一次世界大戦というくらいで、第一次世界大戦が初めてかと思っていたが、著者の定義によれば、ポエニ戦争が人類史上初めての国家総力戦による「世界大戦」ということになる。
43：史上初の世界大戦BC264〜146 ポエニ戦争共和制国家ローマと海商国家カルタゴとの地中海覇権の争奪戦争
これに敗れたカルタゴは国を失い、生き残った者はローマの奴隷となった。
44：「カラス」と呼ばれる新兵器などによる海戦の「陸戦化」戦法によって、ローマ軍が大勝
ローマがシチリア、サルディニア、コルシカを奪略。
カルタゴは数世紀確保していた西地中海の覇権を失う。
50：目的の確立
「ローマ軍を撃退し、属国化した国々を開放してローマ連合体を瓦解させ、イタリア半島に封じ込め、母国カルタゴを復興する」
52：ローマ軍
将兵の主軸はローマ市民⇔カルタゴ軍は傭兵
同時動員兵力〜10万 ローマ連合体総動員兵力70万
80：アルプス越え
4.6万→2.6万（2万人の犠牲者）
2023年10月03日
戦略力の11原則
著者の奥山氏は、元陸上自衛官で、後に防衛大学校教授。軍事戦略の専門家。
23：戦略力の11原則
すべては想定できる。
�〔榲�の原則
戦いの究極の目的は、ライバルの戦意を破砕し戦勝を獲得すること。目的は哲学や理念のもと確立するものであり、戦わずして目的を達成することは至高の戦略。
�∩和い慮饗�
あらゆる創意工夫により必勝の方法を捻出する。形式主義に陥ったり過去の勝利に奢ることを戒め、その戦場の特質および千変万化の状況に即応して戦争の方策を創造する。
��主動の原則
主動は戦勢を支配し戦勝を獲得するために極めて重要。このため情報を優越的に取得し、手動を確保しなければならない。
�そ乎罎慮饗�
物心両面所各種戦闘力を総合し、敵に勝る威力を、緊要な時期、場所に集中的に発揮する。
�ゴ饅韻慮饗�
奇襲は「敵の意表」を突いてその均衡を崩し、戦勝を獲得することができる。敵の予期しない時期、場所、戦法、心理などに打撃を与える。さらに敵に対応する隙を与えない。
�Φ‘阿慮饗�
機動は必要な時期、場所に所要の戦力を集中あるいは分散し有利な体制を確保するために必要。
�Ы斉陲慮饗�
千変万化する戦いにおいては、あらゆる状況に対応し得る柔軟性の保持が重要。融通性ある計画、予備の保持。
��統一の原則
全権限を一人の指揮官に付与した場合に最も確実に達成される。この際、関連組織との緊密な連携と積極的な協力は、統一をさらに助長するために欠かせない。
��簡明の原則
戦いは「錯誤」と「混乱」を伴うことが常態。戦いにおいては、すべてを簡明に律することが重要。明確な目的および目標の確立は簡明の基本。
��保全の原則
敵の脅威に対して味方の安全と行動の自由を獲得。適時・適切な情報活動、警戒・防御、心理戦などにより、敵の奇襲の防止を図る。
��経済の原則
限定された戦力で戦勝を獲得するため、あらゆる戦力を有効に活用。
2023年10月02日
元祖「戦略家」
中国古代の戦略家と言えば「孫氏の兵法」の孫武。紀元前500年ごろの春秋戦国時代の軍事思想家だ。それに対して、西洋で戦略家と言えば、元祖がハンニバルということになる。孫武より250年ほど後の紀元前247年の生まれと言われる。
のちにナポレオンが「戦略の師」と呼んだことで知られる。ハンニバルは非常に難しい作戦を実践した。例えば、当時道路も何もなかったアルプスを越えて、ローマ軍の不意を突いてイタリアに攻め入る。その過程で軍勢の半分を失うのだが、ハンニバルを慕う部下は忠誠にいささかの揺るぎもなかったという。ハンニバルの軍勢は半分が傭兵にも拘わらずである。
13：軍事戦略に学ぶ意味
原則力＋決断力＋指揮力
16：無敵古代ローマを震撼させた歴史上唯一のリーダー。
21：戦略の父ハンニバル
「走って人に譲らず、剣を取って不敗、馬に鞭打ち陣頭指揮、不眠に挫けず兵士のごとくの生活」
異民族の傭兵の部下からでさえ、「ハンニバルのために」
2023年10月01日
帝政ロシア日本語学校
神昌丸が漂着したのは、アミシャツカ（アリューシャン列島のアムチトカ島）。そこでは、原住民の島民が、毛皮を求めてやってきたロシア人に雇われて低賃金で働いていた。彼らは結局、そこで4年を過ごすことになる。3年ぶりにロシア人を迎えに来た船は目前で座礁。造船の知識のあった光太夫らが指導して、ロシア船の残骸を使って船を仕立てる。そして、カムチャツカ、オホーツクを経てヤクーツクに到着する。
次に向かったのが、シベリア最大の都市イルクーツク。そこで、光太夫らは日本人に出会う。218：ヤクーツクの寒さロシアでも最も寒冷の地で、耳や鼻が壊死して落ち、頬なども腐って脱落する。
299：ロシア領に漂着した伝兵衛、三右衛門、宗蔵、権蔵そして「多賀丸」の漂流民たち。かれらは一人残らずロシア政府の指示で日本語学校の教師に任ぜられ、ロシアの宗教に帰依して洗礼名を受け、それはキリシタン禁制の日本へ帰れぬことにつながっている。
光太夫らも、多賀丸の漂流民同様、ロシア正教に改宗して、日本語学校の教師になれば、ロシア政府の公務員として生活を保障すると言われる。しかし、改宗すれば、キリシタン禁制の日本には帰れない。
302：イルクーツク日本語学校ロシアの南進政策の一環である日本との接触を目標にもうけられたもので、日本語教師として漂流民が利用されている。かれらを職務に専念させるため、日本へ帰りたいという望みを洗礼を受けさせることによって完全に断ち切っている。
日本語教育のために漂流民を帰国させなかった当時のロシア。北朝鮮が日本での工作員養成のために日本人を拉致したことを思い出させる。
