2022年03月
2022年03月31日
2022年03月30日
投資リスクの定義
これは思ったんですよね〜MPTをビジネススクールで習ったときに。「リスク＝価格変動」なのかどうか？なぜなら、下に振れたら損失になるが、上振れなら投資家としてはうれしい。さらに、短期的に変動があっても、長期で上昇していくなら、関係ない。
＊リスクは投資家の時間軸と表裏一体β：短期の投資家には適用できるが、長期の投資家には意味がない
265：1602年アムステルダム証券取引所
オランダの東インド会社が発明した取引所は、株式会社が投資家から資金を集めるだけでなく、投資家がその株式を売買することも可能にした。
270：マーコウィッツModern Portfolio Theoryに欠けているもの
リスクの最適な尺度は分散、すなわち価格変動であるという考え。
論文の最初「投資家が期待リターンを望ましいものと考え、リターンの分散を望ましくないものと考えるというルールを想定する」
＊リターンの分散が高い資産が実際に永久的な損失につながるという経済学的な説明やエビデンスがない。
マーコウィッツは、その2年前に出版されたグレアムの『賢明なる投資家』に言及してない。
「短期的な価格変動による損失と永久的な資本の損失は違う」
278：バフェットによるリスクの定義
�〇�業の長期的な経済的特性を評価できる確実性
�∋�業の潜在能力を最大限に発揮させ、CFを賢明に活用する能力の両方について、経営陣を評価できる確実性
�７弍朕悗�事業からの報酬を自分ではなく株主に向けてくれると信頼できる確実性
�せ�業の購入価格
281：マネーマインド
・ビジネスの価値をどう評価するか
・市場価値をどう考えるか
2022年03月29日
ビジネス視点の投資
オーナー利益は≒FCFということでいいだろうか。
211：「投資は、最もビジネスライクであるときに、最も理にかなったものになる」（ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』）
「これは、投資について書かれた中で最も重要な９つの言葉です」（バフェット）
217：株式市場の日々のインプットなしに、ビジネスに投資する構造を身につける。バフェットのように、株式市場が存在しないと想定して、企業への投資を考えてみる。
224：オーナー利益
企業の純利益＋減価償却費ー継続企業として事業を運営するために必要な設備投資額と追加運転資金
225：経済的付加価値（EVA）＝投下資本利益率（ROIC）−加重平均資本コスト（WACC）
投下資本に対するリターンが資本コストを上回れば、経営陣は事業の本質的価値を高めている。
227：売上高成長率と経済的付加価値の伸び
平均以上の売上高成長率とプラスのEVAを持つ銘柄が最もパフォーマンスが高い（17%vs.13% S&P500 2009-2018)
2022年03月28日
資本利益率が100%を超えた史上初の企業
主要企業で「マイナスの運転資本」を初めて達成したのはおそらくDELL。というか、DELLは創業時から「マイナスの運転資本」だった。というのは、メールオーダーの顧客からは前金で、PCの部品会社へは翌月以降の支払いだったから。
Amazonもこれに似ていて、創業当初から、本の支払いは即金で、出版社への支払いは翌月以降だった。だから、赤字決算でも、資金には余裕があり、その資金をさらなる成長に投資できた。
164：15年連続でS&P500に勝つビル・ミラー
1990年10月ミラーがレッグ・メイソン・バリュー・トラスト・ファンドのFMに。
~2005年までベンチマークのS&P500を上回る。
171：サンタフェ研究所
ブライアン・アーサー「収穫逓増経済」をミラーに説明。
高いスイッチングコスト（ネットワーク効果、ポジティブフィードバック、ロックイン、経路依存）
173：デルの「マイナスの運転資本」
顧客からの現金債権を中心にダイレクトPCビジネスを成長。
資本利益率が100%を超えた史上初の企業。最終的には229%。
174：マイケル・モーブッシン株価収益率の妥当性
もし、ある企業が10%の成長率で、8%の資本コストに対して16%の資本利益率を得ていたら、その企業のPERは22x。
182：ミラーのAOL投資
DCF割引率30%（IBMに用いた3x）
187：Amazonも資本利益率＞100%
AmazonとDELLの売上総利益率、営業利益率はほぼ同じ。顧客へのダイレクト販売モデルは同じで、収益はすぐ入金される一方で、サプライヤーへの支払いは後。同じ資本速度、同じマイナスの運転資金モデル、同じキャッシュ実現サイクル。
188：哲学を学んだからこそ、投資手法を進化させられる
テクノロジー企業の価値という難問に取り組むことに成功した最初の投資家。
193：バフェットがアップルを買う理由
アップルは世界の携帯電話の年間販売台数の約13%を占めているが、世界の利益の85%を獲得している。それは、顧客が喜んで支払うプレミアム価格を設定しているからだ。（中略）アップルはモトローラやノキアではなく、ルイヴィトン。
197：アップルはバフェットが30年前に購入したコカ・コーラと同じ
強力なブランド価値を持ち、毎年顧客を魅了し続けているグローバルな消費財メーカー。また、高い資本利益率を生み出し、余剰資金で自社株買いを行っている。
また、アップルはニューエコノミー銘柄でもある。アップルの製品やサービスはすべて、iOSを搭載→ネットワーク効果、ポジティブフィードバック、経路依存、ロックイン→強力なグローバルフランチャイズ
2022年03月27日
中国人を正しく理解する
毛沢東の愛読書としても知られる『資治通鑑』。毛はこの1万ページ全294巻にも及ぶ大著を17回通読したと言われる。
�〇饉Ｄ夢佞鯑匹泙困靴特羚颪聾譴譴覆ぁ△修靴董�中国人を理解することも不可能である。�∋饉Ｄ夢佞脇�本では幻の本であるが、中国では決してそうではない。�Ｃ羚饋佑呂箸鵑任發覆ざ飽�人から、ウルトラ善人まで、善悪のレンジが極めて広い。�せ饉Ｄ夢佞聾渋綯羚颪鰺�解するうえで「中国に関するケース事例の缶詰」である。
著者は、14：アジアの古典国家では残虐な行為は「強固な長き伝統」であるとし、その一因を牧畜の歴史にあるとみている。
日本だけ大規模な牧畜の歴史がない。牧畜民族は日常的に家畜を殺し、皮を剥いでいるため、血を見ることに対する耐性がある。
12：資治通鑑を読むことで、現在中国の抱えている問題の多くは、なにも最近になって初めて噴出してきたのではないことを知ると、問題の根っこは「共産党」や「一党独裁」にあるのではないことが分かる。ましては「社会主義市場経済」のせいではない。問題の本質は「自己の利益を最優先に考える、他人の命をないがしろにする、法よりも人脈を優先する」という中国の伝統的な考え方そのものにある。
20：中国人のリーダー像
権謀や奸計を縦横に駆使する曹操のような人。リーダーとは、目的のためには、あらゆる計略を考えることができないといけない。卑怯であるとか、カッコ悪いとかいう倫理的判断を持ち込まない。
2022年03月26日
高麗を知るれば、今の朝鮮がわかる
韓国の英語名がKoreaで、朝鮮半島がKorean Peninsulaなのは、過去1000年間の朝鮮の歴史のほぼ半分を占める高麗から来ている。
「高麗は918年に王建（太祖）によって建国され、1392年に李成桂に国を奪われるまで、約500年続いた」
麻生川さんは、その高麗を知ることが現代の朝鮮を理解することだという。高麗史の公式記録である『高麗史節要』を読めば、その時代にいまに続く朝鮮民族としての特性が形成されていることが分かる。そこに記されているさまざま事件や事象は、そのまま李朝に引き継がれ、さらに、現在にまで続いているのだ。
10：イザベラ・バード『朝鮮紀行』
李朝末期の政治的廃頽や、両班の度を越した強奪や横暴、それらに苦しめられた庶民の惨めな様子。
現代の南北朝鮮で起こっているさまざまな事件には李朝時代の価値観や倫理観が色濃く残っている。現在の両国の政治的混乱を理解するには、一つ前の王朝である李朝を知ることが重要。
12：高麗918~1392（日本では平安時代菅原道真〜室町の足利義満）
仏教を国教として手厚く保護しながらも、王朝の初期にすでに科挙を実施するなど、儒教に基づく国家運営。
15：責任者が部下や関連者を見捨てて、持ち場を放棄する事象は高麗（のみならず李朝）でもしばしばみられる。高麗（や李朝）では、敵軍が侵入した時に、何度か国王が王宮や首都の住民を捨ててなりふり構わず、逃げ出した。国王だけでなく、前線の将軍も勝手に逃げ出している。
31：王家の男子には常に暗殺の危険性
父親が死去した後に即位した兄弟が競争相手を抹殺しようとしたことは、中国の歴史において常識。
125：元の高官による悪辣官僚の一掃（高麗史節要 巻22 1303忠烈王）
高麗王がもはや自力では国内を統治できなかったので、元から刑部尚書（法務大臣）と翰林直学士（皇帝秘書官）が高麗に派遣された。
2022年03月25日
企業の成長理論の歴史
ネットワーク効果は昔からあったはずだが、ネットワーキングのためのコストが高かったため、効果との相殺があった。インターネット時代となり、ネットワーキングのコストが激減、その結果が「収穫逓増」ということなんでしょうね。
154：企業の成長理論の歴史
�．献腑札奸Ε轡絅鵐據璽拭�
経済はダイナミックで革新的であり、変化を好むもの。
155：��1962エベレット・ロジャーズ『イノベーションの普及』
技術的なアイデアがどのように、どのような理由で広がっていくかを説明。
1. innovator
2. early adaptor
3. early majority
4. late majority
5. laggard
156：��カルロタ・ペレス『技術革新と金融資本』
1771 アークライトの水力紡績機
1829 ロケット号「蒸気と鉄道の時代」
1875 ベッセマー製鉄工場「鉄鋼・電機・重工業の時代」
1908 T型フォード「石油・自動車・大量生産の時代」
1971 インテル・マイクロプロセッサー「情報と通信の時代」
157：第5次テクノロジー革命の原理
情報集約、分散構造、グローバル化。
160：ブライアン・アーサー「複雑系経済学」1999
ネットワーク効果が当たり前のテクノロジーに特化した産業では、「収穫逓増」の原則が特に顕著。
2022年03月24日
バリュー投資の進化
第3章は、「バリュー投資の進化」。投資の世界では、よく「バリュー対グロース」と言われるが、これは違うという。
当初、師匠のグレアムに倣い、元祖バリュー投資を実施してきたバフェットだが、「113：シーズキャンディの経験は、バフェットが強力なブランドを持つ消費財企業を購入する大きな要因となった。コカ・コーラがまさにそれだ。」
「グロース（成長）は常にバリュー（価値）の計算の一部であり、その重要性は無視できる場合もあれば巨大になる場合もあり、その影響はプラスにもマイナスにもなりうる」（バフェット）
1970年代のコカ・コーラは、「帝国建設」に熱心な経営者の下で、脈絡のない多角化や公私混同的な美術品コレクション投資で成長していなかった。1981年、コカ・コーラ創業以来、初めての外国人ゴイズエタ（キューバ出身）が会長となった。ゴイズエタは低収益事業を手放し、最も利益率の高いシロップ事業に集中した。そして、使いきれない現金は配当と自社株買いで株主に還元した。
この結果、ゴイズエタ就任前に20%だったROEは、バフェットが最初に投資した1988年には32%になっていた。1992年には50%近くまで上昇した。
この結果、ゴイズエタ就任前に20%だったROEは、バフェットが最初に投資した1988年には32%になっていた。1992年には50%近くまで上昇した。
118：NYU Sternバルーク・レブ「バリュー投資の終焉の説明」論文
1980年代〜産業革命以来、企業の成長を規定してきた有形資産への投資→無形資産
＊企業は無形資産への投資を直ちに費用計上しなければならない。
「米国では、企業部門の無形固定資産投資率は有形資産投資率の2倍」
133：売上高と利益の成長率が大事
フィリップ・フィッシャー『株式投資で普通でない利益を得る』1958
「少なくとも数年間は売上を大きく伸ばせるだけの市場性のある製品やサービスを持っていること」
138：フィッシャー「周辺情報利用法」
顧客や取引先に聞き込みを行い、元社員やその企業のために仕事をしたコンサルタントにも話を聞く。また、大学の研究者、政府関係者、業界団体の幹部などにも接触。競合他社にもインタビュー。
153：「ほとんどの人間は考えることよりも死ぬことを選ぶ。多くの人がそうしてきた」（バートランド・ラッセル）
バリュー投資
�．咼献優好皀妊襪亙�理的な構造によって定義
�¬儀岨饂困�重要
��ビジネスモデルへの物理的な投入コストが下がる一方で、価値のアウトプットは指数関数的に増加
2022年03月23日
投資哲学を構築する
第2章は、「投資哲学を構築する」。投資哲学とは何か？
投資とは、全人格をかけて行うものだということが分かる。それでは、バフェットの人格を形成してきたものは何なのか？ジャーナリストで政治家（ネブラスカ州選出共和党下院議員）であった父親の影響は大きかった。49：投資は頭のゲーム。世界をどのように理解して、その中で自分の役割を見つけるか。世界観。あなたの生来の気質とこれまでの人生経験、あなたがどう対処し、そこから何を学んだか。
ラルフ・ウォルドー・エマソンは自由主義の思想家で、「アメリカの心」とも言われている。55：自由主義、「個」を尊重する父の思想バフェットのトレードマークになっている自立は、彼が父親から学んだエマソンの美しい独立心と結びついている」（ロジャー・ローウェンスタイン『ビジネスは人なり 投資は価値なり』）
さすがは、ミッドウェスト、「オマハの賢人」です59：エマソン1841『自己信頼』個人の思考に社会が対抗することを批判。�仝鋲箸閥ζ餌�共同体は個人の成長の妨げになる。もっと多くの時間を静かに内省することに使うべき。��同調しないという感覚ほかの人がどう考えようとも、一人ひとりが正しいことを行わなくてはならない。真実は自分自身の中にあり、組織や体制の考えに依存すると、個人の精神的成長が妨げられる。
68：ストア哲学でマーケットの変動を乗り越えるグレアム『賢明なる投資家』�─崚蟷餡箸罰�式市場の変動」�粥岼汰完茵廚�重要（バフェット）「生涯を通じて投資で成功するのに、ものすごく高い知能指数は必要ありません。必要なのは、正しい意思決定を行う健全な知性と、その知性が感情によって蝕まれないように保てる能力です」（ウォーレン・バフェット）
2022年03月22日
若き日のウォーレン・バフェット
第一章は、「若き日のウォーレン・バフェット」。
小学生の頃から、コーラを箱で買って、それを小売りすることなどで稼いでいたバフェット。その後もピンボールゲーム機を所有するなどして、高校を卒業した時点で「オマハで最もお金持ちの16歳」だったという。
彼は、すでに十分にうまくやれていて、大学で学ぶのは時間の無駄だと考えていた。しかし、父親の勧めで、1947年、ペンシルバニア大学ウォートンスクールに入学する。しかし、彼の懸念は現実となり、「会計やビジネスについて教授たちよりも彼の方がよく理解していた」ことから、2年で退学する。
1949年、オマハに戻ったバフェットはネブラスカ大学に編入する。1年で必要単位を取り、学位取得したというから、よほど頭がよかったのは間違いない。卒業後も、図書館でビジネスや投資のあらゆる本を読み漁っていた。
1950年に、ベンジャミン・グレアム『賢明なる投資家』が出版される。バフェットは、これを「人生を変えた一冊」だったと言っており、調べたところ、著者はコロンビア大学ビジネススクールで教えていることを発見。コロンビア大学でグレアムから学ぶことを決める。入学前に『証券分析』をすべて暗記していたというくらい熱心だった。
グレアムの証券分析クラスを取ったバフェットは、休むことなく、週7日、早朝から深夜まで勉強。学期が終わったときにはA＋を貰う。グレアムがコロンビア大学で教えた22年間で出した唯一のA＋だった。
1951年、コロンビア大学を卒業したバフェットはオマハに戻る。コロンビアMBAとしていくらでもウォール街での就職口はあっただろうが、バフェットは興味がなかったようだ。唯一働きたかったのが、グレアムが教授をしながら経営していたグレアム・ニューマン社だったが、こちらはグレアムに断られている。
1954年、事情が変わったのか、グレアムはバフェットにグレアム・ニューマンでの仕事をオファーする。バフェットは直ちにNY行きの飛行機に乗り、その後2年間、グレアム・ニューマンで働く。オマハに戻って、投資パートナーシップ「バフェット・アソシエイツ」で$105kの資産運用を始めたのは1956年だ。
バフェットはグレアムの投資戦略をバフェット・アソシエイツで実践して大成功を収める。10年後には、パートナーシップの資産は5300万ドルを超え、バフェットの成功報酬は1000万ドル近くになっていた。10年で資産は53xに増えていたことになる。まだ30代のバフェットの資産は現在価値で、100億円位の計算になる。
45：1965繊維会社バークシャー・ハザウェイ買収
バークシャー・ハザウェイの事業から得られるキャッシュをすべて搾り取り、別のもっとよい事業に再配分する。
2014アニュアルレポート「コングロマリットを所有することのメリット」
「コングロマリットの形を賢明に運営できたら、それが長期的に投資資本を最大化させる理想的な方法なのです」
「投資の機会が少なくなった事業からより大きな成長が見込まれる事業に、税負担やそのほかの費用をほとんど発生させずに大きな資金を移せます」
2022年03月21日
マネーマインド
『バフェットの法則』の作者による、続編。「投資で成功する人々にとって、投資の原則をしっかり学ぶことよりも、適切なマインドセット、ものの考え方の方が重要」で、そこに焦点を当てている。そうした、ものの考え方を「マネーマインド」とバフェットは呼ぶ。
営業や法務、製造など様々な分野から企業のCEOになることができるが、リーダーになったら、資本配分の意思決定を正しくできなくてはならない。
マネーマインドのカギになっているのは、「資本配分」。CEOなら、株主から任された資本をどう配分して、最大限の経済的成果を上げるか、投資家なら自らのあるいは委託された資金をどう投資するかということになる。そこには本質的な違いはない。
「どんなに賢くてもマネーマインドを持っていない人は、実にばかげた意思決定をすることがあります。資産配分という技は、針金を曲げて物をつくるのとは違います」（バフェット）
投資で成功する人々にとって、投資の原則をしっかり学ぶことよりも、適切なマインドセット、ものの考え方の方が重要。長年、ベンジャミン・グレアムもバフェットも気質の重要性を論じていた。
・ファイナンスの考え方
・ビジネスについての総合的な心構え
・外部の雑音を遮断できる学習力
・人生のあらゆる面で成功する哲学
2022年03月20日
吉本隆明の月島ソース料理
吉本隆明は月島で育ったそうだ。月島といえば、もんじゃ焼きが名物。それと並んで、「肉フライ」も、庶民のおやつや酒の肴として有名だったらしい。
186：肉フライ（レバカツ、レバフライ）東京月島にしかなかった料理。牛の肝臓を血抜きし、薄くスライスしてパン粉を振り、トンカツのように揚げた料理。手で持ちやすいように串が刺してあって、あつあつのフライをソースにザブリと漬け、からしを塗って食べる。戦争前、トンカツが1枚15銭の時代に、同じ大きさで2銭だった。
この章を読んでいて驚いたのが、ウースターソースは「イギリス人が日本の醬油にヒントを得て考案したこの調味料」という部分。そんな説は聞いたことがない。
イギリスの元祖ウスターソースは、モルトビネガー等の食酢およびアンチョビ、タマリンド、エシャロット、クローブ、タマネギ、ニンニク、香辛料、糖類、塩などを材料にしている。同様に日本のウスターソースも、ニンニク、トマト、リンゴなどの野菜・果実類に、糖類、食酢、食塩、香辛料、でん粉、カラメルなどを加えて作る。両者は外観・風味ともによく似ているが、日本のもののほうがやや甘みが強く、辛みや酸味が控えめである。（Wikipedia）あいにく、学術書でない本書には出典の記載がなく、真偽のほどは確かめられなかった。上記、Wikipediaによれば、日本で最初にウースターソースを売り出したのは丸善。洋書だけでなくさまざまな「舶来品」を輸入販売していた。最初に国産化したのは、ヤマサ醬油。明治18年（1885）「新味醤油」の「ミカドソース」として売り出したが、売り上げ不振で1年ほどで製造中止。
現存する最古のソースメーカーは「阪神ソース」だそうで、こちらは、丸善に勤めていた創業者の安井敬七郎が明治18年（1885）輸入ソースをもとに開発したものだという。
とにもかくにも、ウースターソースは貧しい庶民の万能調味料として、大活躍していたらしい。
吉本さんにとって肉フライとは、外で食べる食べ物の代表。その逆に月島の家でいつも食べていたのは、ジャガイモのソース煮込みだった。この料理の作り方は簡単である。まず大鍋にブツ切りにした大量のジャガイモと、細めに切ったタマネギと油揚げを入れる。ソースをドボドボと注ぎ込み、水で薄める。これを全体に汁気がなくなる程度にまでクツクツと煮込み、ソースが染みこんだジャガイモが崩れかけだしたあたりで火を止めるというのが、コツだ。後はめいめいがご飯の上にそれをブッかけて、口に運ぶだけ。
193：いずれもがウースターソースを基本とする
月島を下町と呼んでいいかは歴史的に疑問であるが、ともあれこのソースの味が下町料理の根本にあることだけは認められると思う。イギリス人が日本の醬油にヒントを得て考案したこの調味料は、日本の近代化のなかで思いもよらぬノスタルジアを育むことに成功したのである。
2022年03月19日
開高健のブーダン・ノワールと豚足
大阪で生まれ育った開高が勤めたのは寿屋。今のサントリーだ。入社して2年後の1956年に東京支店へ転勤となり、杉並区の社宅に入る。
さらに2年後、「裸の王様」で芥川賞を受賞したのを機に寿屋を退職し、嘱託となる。社宅を出て住んだのは、近所のやはり杉並だった。
1974年に茅ヶ崎の東海岸に仕事場が完成し、移住。1989年に亡くなるまで、ここに住んだ。その自宅は、現在「開高健記念館」として公開されている。
147：開高健『日本三文オペラ』
廃墟から無断で金属資材を盗み出す在日朝鮮人たちが、豚の胎児の刺身や羊水のスープに舌鼓を打つし、『夏の闇』の主人公は愛人の女性にむかって、仔牛の睾丸のフライから牛の腎臓、胃袋の煮込みまで、内臓料理の蘊蓄を傾ける。
149：開高は超高級なフレンチ・ワインの瓶の底に溜まった澱について語ると同時に、こうした「現地」の、いかにも庶民的な食べ物を前に、いささかの躊躇もなく広大な食欲を発揮するところがあった。それが小説家としての彼に混沌とした魅力を与えている。
152：開高健は一般的にグルメ作家であると見なされているようだが、生前に彼の近くにいた菊谷匡祐の『開高健のいる風景』を読むと、美食家というよりは食いしん坊といった印象の方が強い。少年期から成人にいたるまで、ただひたすら空腹を満たすためだけに食物をかっこむことしか知らず、味覚を満足させるに足るものをほとんど食べてはいなかったのではないかと、菊谷は推測している。
2022年03月18日
これから10年先まで持ち続けられる米国株
1963年宮崎県生まれというから、私と同い年。短波ラジオで海外の短波放送を聞いていたというのも時代。私も小学校高学年の頃に流行り、ラジオを買ってもらって聞いていたが、海外の日本語短波放送はほとんどが国営放送。モスクワ放送局だったり北京放送だったり、政治プロパガンダが入るので、番組そのものが面白いわけでもない。中学に入って忙しくなると、止めてしまった。
岡元さんの場合は、16〜18歳の2年間、カナダと米国に1年ずつ交換留学していたという。おそらく、ロータリークラブやライオンズ、あるいはそれとAFSなどの組み合わせだったのではないかと思うが、当時の日本の田舎で育った少年としてはとても珍しい。実は私もAFSを受けたのだが、落選。考えてみれば、どんな試験があるかも知らずに受けたのだから当然で、経験者の話を聞いておけばと後で後悔した。
それはそうと、岡元さんの場合は、2年交換留学後、帰国して上智大学へ。その流れで、当時、ウォール街の王者と言われたソロモン・ブラザーズに就職している。1987年NY本社での新入社員研修で一緒になったのが、その後マネックスを創業する松本社長。
松本社長は、1991年の米国国債入札事件前にソロモンからGSに移り、ディーラーとして大活躍し、GS世界最年少パートナーとなる。一方、岡元さんは経営危機に陥ったソロモンに残る。その時、ソロモンの再建を委ねられたのがウォーレン・バフェットだった。
86：米国株インデックス
S&P500（SPY, VOO, IVV)
米国を代表する時価総額上位500社で構成。米国株式市場総額の約76%をカバー。構成銘柄の入れ替えは年4回。
S&P中型株400(SPMD, IVOO)
時価総額で24~82億ドルの企業。米国株式市場全体の約5%。
S&P小型株600(SPSM, VIOO)
時価総額で6~24億ドルの企業。米国株式市場全体の約2%。
NASDAQ総合指数
NASDAQ上場2800銘柄のほぼすべてを採用。米国株式市場時価総額の約半分。連動ETFなし。
NASDAQ100（QQQ）
金融セクター以外の時価総額トップ100社。米国株式市場全体の約35%、NASDAQ時価総額の約70%。テクノロジー64%。
168：米国株で毎月配当を受け取る組み合わせ
��MO9%+T8%+CVX7%=8%
��PM7%+VZ4%+SO4%=5%
190：POOL
プール製品販売。米国家庭には1000万以上のプール。メンテナンスコスト年間$5-6000。
売上年6~8%成長。年1.5~2億ドルの自社株買い→EPS成長10%＋。
2022年03月17日
バークシャーハサウェイの成功要因
投資ファンド形態をとらない、投資会社であるバークシャーハサウェイ。
�〇匆饉匏欧�膨大なキャッシュを生み出し、オマハの本部に集中させている。
�△修了駛椶鯒枴�するバフェットが、集まったキャッシュをさらにキャッシュを生み出すチャンスに投資。
�Ｊ�散。子会社はそれぞれ優れた経営者の手に委ねられ、バフェットが関与する必要がない。
と聞くと、総合商社を連想する。あるいは、リース会社から始まり、投資会社に成長したオリックス。
など、岸田総理に聞かせたい。役割を終えた会社がキャッシュを貯めこむから経済が成長しない。そうした企業が無理をして新規事業に取り組むより、投資家の手を経て、新しい会社にやらせる方が成功確率は高まる。なぜなら、スタートアップには失うものがないし、フレッシュスタートだからレガシーコストがない。
304：投資で成功するために最も重要なのは、気質
気質とは合理性。合理性の要となるのは、目の前の現実を超えて、将来可能なシナリオを分析し、熟慮したうえで選択にたどり着くこと。
310：バークシャーハサウェイの成功要因
�〇匆饉匏欧�膨大なキャッシュを生み出し、オマハの本部に集中させている。
�△修了駛椶鯒枴�するバフェットが、集まったキャッシュをさらにキャッシュを生み出すチャンスに投資。
�Ｊ�散。子会社はそれぞれ優れた経営者の手に委ねられ、バフェットが関与する必要がない。
313：長期的に明るい見通しがあるか
フランチャイズ＝人々に必要とされて、代替するものがない商品やサービスを提供し、企業の利益が政府によって規制されていない。
314：経営者は合理的か
合理的な経営者は、資本コストより大きな収益を生み出す事業に再投資する。そのような事業がない場合は、増配や自社株買いで株主に返還する。合理的でない経営者は、株主に返さずに、余剰資金を使う別の目的を常に探している。
2022年03月16日
合理性≠知性
この章、身につまされます
長期投資に必要なのは、目端が利くということではなく、本質を考え続けることですね。254：自信過剰
判断を誤る原因は概して自信過剰にある。
医師は90%の確率で肺炎を正しく診断できると考えているが、実際に正しく診断できる確率は50%。
「考えたくないことだが、あなたは普通であることが多い」（ダニエル・カーネマン）
257：過剰反応のバイアス
テクノロジーの進歩で、事態は悪化。
263：投資家を苦しめる要素＝損失回避と頻繁な評価
株式投資の近視眼的損失回避が働かなくなるためには、年に一度だけ株価評価。
285：合理性≠知性
賢い人間も愚かな行動を起こす。
知能指数やSATなどのテストは合理的な思考の測定にはほとんど役立たない（トロント大学キース・スタノビッチ）
287：ジャック・トレイナー Financial Analyst Journal 1976
「市場が効率的でない場合も、早く伝わる最初の情報については非効率ではない。定義の上からも、この種の情報は大多数の人々が評価を間違うことがないからである。市場が効率的でない場合、投資家にはチャンスがあるわけで、2つ目のゆっくり広がる情報が問題になって来る。そして、この2つ目の情報こそが、長期投資の優位な基礎となる」
289：システム１とシステム２『ファスト＆スロー』ダニエル・カーネマン
知性のある人が、一つの答えを見つけると、それで満足してしまい、それ以上考えることをやめてしまう。
2022年03月15日
フォーカス投資
ビジネスでは自分に向いた商売をすることが大事。投資をビジネスとしてするということは、自分に合った投資手法を身につけることが大事ということですね。
しかし、ほとんどの人は、投資に必要な資質を持ってないので、「9割の人にとっては、インデックス投資が最良」というのはバフェット自身が言っていることです。
「フォーカス投資家には、それに適した特性や性格があるという現実を受け入れる」
245：ポートフォリオ年間回転率
0~20%に抑えるべき（ジェフリー＆アルノー）。
インデックスファンドかフォーカス戦略。
245：フォーカス投資
・企業の一部を所有するつもりで株式投資に取り組む
・所有する企業と同業他社を徹底的に研究し、そのビジネスについての第一人者になる
・5~10年間投資するつもりでなければ、ポートフォリオを組んではいけない
・レバレッジを使わない
・フォーカス投資家には、それに適した特性や性格があるという現実を受け入れる
252：グレアムの原則
�ヽ�式を企業としてみること
��安全なマージン
�３�式市場に対して真の投資家として臨むこと
2022年03月14日
リスク
ビジネスでも投資でも大切なのは、「計算されたリスクを取る」ことであるのは言うまでもない。リスクがないビジネスはあり得ないが、それを経験豊富なプロが慎重に行うことで、低いリスクで継続的に収益を上げられる。
「ケリーの最適化モデル」では、「成功する確率を知っている場合、どれだけの手持ち資産を賭ければ、成長率を最大にできるか」を計算する。
「最適成長戦略」2p-1=x
pが成功確率だ。株式投資の場合、これを正確に計算することは難しい。しかし、予想DCF等で理論株価を計算し、それと現在株価のギャップ等から自信度合いを成功確率に置きなおす。
例えば、60%の確率で勝てるのであれば、「2x60%-1」で、投資すべき金額は全投資資金の20%となる。確率計算が誤っている場合に備え、「ハーフケリー」（計算結果の半分にとどめておく）というやり方が推奨されている。
212：投資家の制約
�，垢阿望，討襪箸聾造蕕覆�
�▲譽丱譽奪犬肪躇奸�信用取引でケリーモデルを使うと、株式市場の下落局面で株式を売らざるを得なくなり、確率の高い賭けに参加するチャンスを逃す。
�３領┐旅發ぅ押璽爐悩任盍躙韻覆里蓮�賭けすぎること。成功確率が誤っている可能性。
215：よい馬が望ましいオッズで登場するのを待つ
�ヽ領�を計算
�⊂，蝶領┐�最高になるのを待つ
��新しい情報で修正する
�づ蟷餝曚魴萃蠅垢�
2022年03月13日
映画のなかの食べ物
19世紀の小説家には食事場面が多く登場し、それが20世紀になると性描写に比重が移ってしまうという。
98：チャールズ・ディケンズのクリスマス・プディング19世紀の小説家たちは、実にこまごまと食事場面を描いていたものだと感心する。フロベールも、バルザックも、それにいささか臓物の臭いが漂ってくるゾラにしても、登場人物の誰もがしこたま食べて、大勢で長々と会話を続けるという光景を好んで描いていたように思われる。今回とりあげるディケンズも例外ではない。『ピクウィック・クラブ』でも、『オリヴァー・トウィスト』でも、人々は実によく食べる。
それは、おそらく、19世紀までは飢えが日常にあり、食事への執着がそれだけ強かったのだろう。それが産業革命を経て、20世紀には内容を気にしなければ、飢えることは先進国ではほぼなくなった。例外はソ連や中国だったが、これは市場経済を否定したため、食料生産のインセンティブがなくなったうえ、収穫した食物を消費地まで効率的に運べなくなったからだった。
一方、20世紀に大発展した映画に登場する食べ物の話が出てくる。グルメ映画を別にすれば、日本映画では小津安二郎が筆頭だという。
131：小津安二郎のカレーすき焼き小津安二郎（1903~63)ほどに、日本映画のなかに食べ物を登場させてきた監督はいない。なるほどグルメ映画というだけなら、森崎東が『美味しんぼ』を、伊丹十三が『タンポポ』を撮っている。だがおよそ庶民が日常に食べている食べ物を、繊細な愛情とユーモアのもとにスクリーンに描くという点にかけては、まず彼の右に出る者はいないだろう。
この後、例として、『一人息子』のなかの屋台の「支那そば」や、『秋刀魚の味』のなかのハモ。『お茶漬けの味』のお茶漬けが出てくる。
料理ではないが、私の印象に残っている映画のなかの食べ物と言えば、「男はつらいよ」『寅次郎相合傘』のメロン騒動。寅さんのダメさと優しさによる人情味が魅力のシリーズだが、ダメさが最も強調された場面だろう。そこに居合わせたリリーが怒ってしまう。
2022年03月12日
ジョージア・オキーフの菜園料理
「アメリカモダニズムの母」と言われるアメリカの画家ジョージア・オキーフ（1887~1986）。草間彌生の支援者としても知られている。人生の後半をニューメキシコの自宅で過ごした彼女は菜園料理でも有名だったらしい。
83：オキーフが生前に好んで作った料理は、大体が素朴にして単純である。およそ当世風の流行を追うとか、遠来の客の歓心を買うためにトッピングに凝るとかいった身振りからほど遠い。彼女はほとんどの食材を自分の菜園のなかで賄っていて、入手に困難なものをあえて求めようとはしなかった。けれどもその調理のしぐさの一つひとつが丁寧で、素材を傷めないように自然の配慮がなされている。
86：「スープとは慰めである」（オキーフ）
レシピブックには実にさまざまなスープが遺されている。
アヴォカドのスープ
熟れきった中身とミルクを混ぜ、カレー粉を少し振りかけて、ミキサーで混ぜておく。これをとろ火で温めるわけだが、けっして煮立たせてはならない。これで完成だが、最後にさらにわずかのカレー粉を加えてもいい。細かく刻んだチャイヴかパセリを載せるという手もあり、好みで白胡椒を振ってもよい。
ジョージア・オキーフ「レッドカンナ」(1919年）
2022年03月11日
株主還元
本書にはバフェットがこれまでに投資してきた9社の事例が出ている。それぞれ、どういう考えで投資したのか、「バフェットの法則」に当てはまるのか？
ここに出てくるのは、日本人でも名前を知っているような有名な米大企業。注目されないようなスモールキャップではないから、ミスプライスになることは稀だ。しかし、バフェットはそのミスプライスを何年もじっと待ち、チャンスが来た時には大胆に買った。
その多くは事業再生型のストーリーで、何らかの理由で事業不振になっていた会社が、新しい経営者の下で再生していく。売上を伸ばすというよりも、周辺事業を売却し、コスト削減を徹底し、主力事業の進化・転換を図るという王道のやり方。確実だ。
その結果、成長余力がなくなった成熟企業が株主還元を増やし、その資金が投資家の手を経て、成長企業に還流されていくことが資本市場のダイナミズム。成熟企業にどんどん新分野に投資させて、再び成長企業にさせる、というのは、高齢者を若返らせるようなもので、まず上手くいかない。
配当や自社株買いを制限しようという岸田首相はそれを全く理解してないように思える（最初から勘違いしている国民民主党はもちろんのこと
）。167：Wells Fargo
銀行では資本の20倍の規模の資産を持つことが普通だが、その条件下では、小さな金額の過ちでも資本に大きなインパクトを与える。経営者がしっかりしていれば、銀行が20%のROEを上げることは可能。
179：IBM
1993年に23億株あった発行済株式は、10年後にパルミサーノがCEOに就任したときには17億株になっていた。ガースナーは10年間に26%の株式を買い戻し、配当を136%増額した。パルミサーノもその方針を引き継ぎ、次の10年間で株数をさらに36%減らして11億株にした。ガースナーとパルミサーノの2人で、発行済み株式の実に半分を買い戻している。さらに、パルミサーノ時代の10年間で、配当は1株59cから$3.30へと460%増額した。
ROE
1994 14%
2002 35%
2012 62%
185：IBM＝景気循環の影響を受けない要塞
予測するのが簡単すぎる企業こそ、バフェットが最も好む企業
187：H.J.ハインツ
ケチャップで世界一、ソース類で世界第2位。主要10市場のうち7つは新興国市場。
2022年03月10日
財務原則
財務原則の中で、分かりにくいのが「$1ルール」。「留保利益$1に対して、市場における価値は$1以上上昇していなければならない」というもの。
一株当たり100円の税引き後利益を出して、50円を配当すれば、50円が社内に留保される。その分、純資産（BPS）が上昇することになるが、それが「株価上昇に反映されなければならない」ということになる。
つまり、「株式市場で正当に評価される企業でなければならない」ということなのだろう。正当に評価されている企業であれば、理論的解散価値であるBPSを下回るような株価にはならないはずだ。
それが、BPS<1になっているということは、�”堽瓢饂困�あり、簿価程の資産価値がない、�∈８綫峪�が見込まれ、BPSが下がっていく、��その両方に当てはまらないが、低収益の将来性のない事業で、経営改革の予定もなく、株主還元もせず、どうして上場しているのかわからない、のいずれかになる。
日本の上場企業は半数が純資産割れという、あり得ない状況が長く続いている。全部が赤字企業ということはなく、世界市場で見たときにパッとせず、��に当てはまる企業が多い。世界の常識では、そうした企業は買収されて非上場化するのだが、オーナー企業であったり、株式の持ち合いで大株主が株を売らず、買収対象にならなかった。
日本経済活性化のためには、上場ルールを厳しくして、もっと退場を促した方がいい。そのための東証改革だと思っていたが、ふたを開けてみれば、「一部上場企業の8割が横滑り」という、相変わらず、既得権益（上場企業）に配慮した甘い改革だった。
94：オーナー利益
純利益＋減価償却費ー設備投資ー追加運転資金
96：コスト削減
「本当に優れた経営者は、朝に目を覚まして、今日こそはコストを削減するぞと思ったりはしない。それはまるで、目を覚まして、今日こそ息をするぞと言うようなものだ」（バフェット）
97：$1ルール
「株式市場という巨大なオークションで、利益を$1留保すれば、株価を$1以上上昇させることのできる企業を選び出すのが、私たちの仕事だ」（バフェット）
2022年03月09日
組織の習性
「バフェットの法則」の中で、分かりにくいのが、経営者が「組織の習性に縛られていないか」。これには、次のような説明が付け加えられている。
86：組織の習性に縛られていないか他人の行動がどんなにバカげていて合理的でなくても、それをマネしてしまう習性。�〜反イ�従来の路線を変えようとしない��空き時間があると不要な仕事で埋めるのと同じように、余剰資金を使うためにプロジェクトや買収計画をつくりだす��リーダーが惚れ込んだ事業は、バカげたものであっても、部下が利益率や戦略を細かく分析してサポートする�せ�業拡大、企業買収、役員報酬決定など、同業他社の行動を何でも無批判に模倣する
多くの企業に当てはまりそうだ。とりわけ、個人投資家レベルでも気を付けなければいけないのは、�△世蹐Α２燭�の投資に成功して、資金を回収した後が最も危ない。気が大きくなっていて、判断が甘くなる。
そんな時は、「しばらく投資から離れ、バカンスにでも行ったほうがいい」、と言ったのはジム・ロジャーズだったか？
せっかく儲けた資金を次の投資ですっかり失ってしまったことは一度ではないことをここに書いて、自省としたい。
2022年03月08日
バフェットの原則
はじめに：
「私たちは格別、他人ができないことをやっているわけではありません。企業の経営と投資への取り組みに違いはないと思います。並外れた成果を上げるために、並外れたことをする必要はないのです」（バフェット）
「簡単に理解できる事業を行っていて、5年、10年、20年先にきっと今より大きな利益を上げていると思われる企業の株式を納得できる価格で買うことが投資家の目標です。長くやっていると、そんな企業はほんのわずかしかないことがわかります。そのとき、これだと思った株式に大きな金額を投資するのです」（1996年アニュアルレポート）
バフェットの原則
【事業に関する原則】
・シンプルで理解できる事業か
・安定した事業実績があるか
・長期的に明るい見通しがあるか
【経営に関する原則】
・経営者は合理的か
・株主に率直に話せる経営者か
・組織の習性に屈しない経営者か
【財務に関する原則】
・EPSではなく、ROEを上げようとしている
・「オーナー利益」を考えているか
・利益率の高い企業を探しているか
・$1利益を留保したら、企業の市場価値も$1以上あがるように心がけているか
【市場に関する原則】
・事業の価値はどれくらいか
・その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か
2022年03月07日
バフェットの法則
ロングセラーの最新版（第3版）。
よく言われているように、バフェットの投資法則は、聞けばなるほどと思う事ばかりで、それほど難しいわけではない。
「最新版に寄せて」を世界最大級の投資会社であるOaktree Capital Managementのハワード・マークスは、「バフェットの成功要因」をこう分析している。
中でも、最後の��が興味深い。通常、投資ファンド形式をとる方が、税制面で有利になる。投資成果をそのまま出資者に還元するファンドは、「導管」としてファンド段階で課税されず、投資家が確定申告する。バークシャー・ハザウェイは上場企業なので、毎年、投資収益が上がれば、それに対して法人税を支払わなくてはならない。バークシャーの株主が受け取れるのは、課税後の利益だ。
しかし、バフェットはこの会社型を選んだ。それは、長期投資なので、毎年実現益を出さず、課税を引き延ばせることもあるし、もう一つには、マークスが指摘するように、自分のオーナー企業なので、投資家からの圧力で解雇されることもなければ、投資ファンドのように資金の出入りがなく、安定していることがある。
中でも、最後の��が興味深い。通常、投資ファンド形式をとる方が、税制面で有利になる。投資成果をそのまま出資者に還元するファンドは、「導管」としてファンド段階で課税されず、投資家が確定申告する。バークシャー・ハザウェイは上場企業なので、毎年、投資収益が上がれば、それに対して法人税を支払わなくてはならない。バークシャーの株主が受け取れるのは、課税後の利益だ。
しかし、バフェットはこの会社型を選んだ。それは、長期投資なので、毎年実現益を出さず、課税を引き延ばせることもあるし、もう一つには、マークスが指摘するように、自分のオーナー企業なので、投資家からの圧力で解雇されることもなければ、投資ファンドのように資金の出入りがなく、安定していることがある。
�‘�がすごく切れる
バフェットは問題の本質に鋭く切り込み、説得力のある結論を導き出し、そして状況が思い通りに動かなくても、その結論を容易に変更しない。（中略）しかも、バフェットの判断は非常に速い。結論を出すのに何週間もかけることはない。（中略）必要なのは、真に重要なデータのみで、彼はそれを見極めるのがとてもうまい。
��一貫した哲学に従っている
バフェットは自分の知識の限界を知っている。自分が理解していることをしっかり活かし、それ以外のことはわかっている人に任せている。バフェットの投資対象は、自分が理解し、気に入った産業だけ。
��メンタルが柔軟
哲学にどう向かい合うかは、投資において難しい判断。バフェットはチャレンジを恐れない。一時的な流行に左右されず、だからといって、自分の考えかたに固執することもない。
�ご蕎霤�にならない
投資で難しいのは、感情をコントロールすること。
�タ佑竜佞鮃圓�、しきたりにとらわれない
「不快になるほど人と異なるポジションを持つ」（David Swenson of Yale University）
�Ψ糞い僚朶弔砲箸蕕錣譴覆�
誰も楽観的な見通しを持てないような相場の大底で投資することを楽しんでいる。
��長期的な視点を持ち、変動を気にしない
多くの投資家が四半期や毎年の成果にこだわっている状況は、長期的な視野を持つ人間にチャンス。「保有期間は永遠」「1年だけ15%の利益を得るよりも、毎年12%の利益を上げる方がよい」
�┷嚢發離船礇鵐垢任△譴弌�巨額の投資にも怯まない
投資するかどうかの基準を高く設定し、最高のチャンスだけを狙い、そのときが来たら大きな金額を投資する。
「投資する事業を深く理解し、それが経済的に見て割安だと納得した上で投資するのであれば、集中投資することでリスクを減らせる」
��相場が動かなくても気にしない
これだというものが出てくるまで、持ち込まれた案件を断り続ける。
��仕事を失うことを気にしない
バフェットは企業から解雇されることがない。（中略）バフェットがヘッジファンドではなく、バークシャー・ハザウェイという企業の形態で投資を行っていることも偶然ではない。
2022年03月06日
谷崎潤一郎の柿の葉鮨
小文字でchinaと書けば磁器のことで、japanと書けば漆器。1644年に中国は清王朝となり、海禁令が出る。要するに鎖国するのだが、清の場合は、海外との貿易まで禁じた。
人気の中国製品が輸入できなくなって困ったオランダ東インド会社は、日本に輸入の代替先を求める。それで伊万里焼が大いに栄えるのだが、漆器がjapanとなったのは、それだけ漆器も輸出されたという事だろう。陶磁器が有名で、漆器貿易のことはあまり聞いたことがないのだが。
75：谷崎潤一郎（1886~1965)
谷崎が生来的に抱いていた幼児性退行の嗜好、いわゆる子供っぽさは、彼の文学のいたるところに発見できる。30歳台で発表された『美食俱楽部』を読むと、5人の美食家が東京の某所に集まり、豪奢のかぎりを尽くして究極の料理を索めるさまが、一種異様なグロテスクのもとに描かれている。
78：漆器の肌の美しさは「幾重もの『闇』が堆積した色であり、周囲を包む暗黒の中から必然的に生れ出たもの」であるとされる。日本料理の吸い物椀は陶器ではなく、ぜひとも漆器でなければいけない。
柿の葉鮨のことが語られるのは、この『陰翳礼讃』の一番最後、本論が一通り終わった後のところである。明治維新以来の日本の変遷はそれ以前の300年、500年に相当するだろうと述べ、いかに純日本風の町の情趣というものを大阪や京都といった大都市に見つけることが難しくなったかを嘆く。食べ物にしても同様で、もはや大都市では「老人の口に合うようなものを探し出すのに骨が折れる」。
2022年03月05日
ラグジュアリー市場
アジア圏のラグジュアリーマス（金融資産10万ドル以上）は2.4億人いるという。これは平均的な日本人以上に裕福な人たちが、アジアに日本人口の二倍いるということだ。
かつて、日本で、一般人が海外旅行に出かけられるようになった時と同様、彼らの最初の海外旅行は欧米著名観光地へのパッケージツアーだった。20年前から、パリやロンドンは旗を立てて練り歩く中国人団体旅行者に席巻されるようになる。
これが、海外旅行慣れとパンデミックの影響で、「コロナ復興期はアジアのラグジュアリーマスを獲得できるビッグチャンス」になるのではないかという。彼らが旅行に求めるものは変化しており、「成金主義」から、「教養を求める消費者」に変わりつつある。
日本のツーリズム産業にもラグジュアリーな高付加価値産業への転換、構造改革をすべきなのだ。
かつて、日本で、一般人が海外旅行に出かけられるようになった時と同様、彼らの最初の海外旅行は欧米著名観光地へのパッケージツアーだった。20年前から、パリやロンドンは旗を立てて練り歩く中国人団体旅行者に席巻されるようになる。
これが、海外旅行慣れとパンデミックの影響で、「コロナ復興期はアジアのラグジュアリーマスを獲得できるビッグチャンス」になるのではないかという。彼らが旅行に求めるものは変化しており、「成金主義」から、「教養を求める消費者」に変わりつつある。
日本のツーリズム産業にもラグジュアリーな高付加価値産業への転換、構造改革をすべきなのだ。
364：ラグジュアリー市場
「人生において、もし贅沢できたら、何をしたいか？」（Bosshart/Kuhne, 2014)�［更�
「パンデミック後に一番したいこと」(San Francisco Chronicle 2020/8)�［更�
371：中国の「成金主義」→教養を求める消費者に変わりつつある
Generation Y
381：「ラグジュアリーな利益はラグジュアリー産業からしか上げられない」（LVMHベルナール・アルノー会長CEO）
382：コロナ復興期はアジアのラグジュアリーマスを獲得できるビッグチャンス
コロナ前〜訪日客の約70%が中国、韓国、台湾、香港
「移動時間・コスト・短期間の休暇利用可能」
コロナ後「近距離」傾向は加速？
2022年03月04日
瀬戸内海のクルーズフェリー「シーパセオ」
瀬戸内海のフェリーも進化してますね。高松↔️岡山（宇野）は無くなりましたが。
215：瀬戸内海のクルーズフェリー「シーパセオ」
広島、呉、松山の3港を結ぶ航路で約30年ぶりに新造されたクルーズフェリー。
「瀬戸内海の移動を楽しむ、みんなの公園」
2019年8月の就航以来、着実に利用者増。
しまなみ海道開通以来、利用者が大幅減。値下げでも、客足戻らず。
「2時間40分の瀬戸内海の船旅を楽しむ」という、フェリーの既成概念を覆す体験型コンテンツに。
359：東京オリンピック2020
ツーリズムに関しては、一気にハード面の整備が進み、得難いレガシー。
グローバルブランドの5つ星ホテルの相次ぐ開業、地方の温泉旅館、長期滞在型のヴィラ、移動手段の多言語化。
363：中国国内観光
1990年代以降に生まれたGeneration Y（ミレニアル世代）の観光に対する意欲と消費力が、他の世代に比べて際立って高い。新型コロナ以降、中国では多くの観光客が自然の中での静寂と余暇を体験し、ゆったりとした時間を過ごすことを選択。登山、花見、BBQ、釣りといった体験型観光市場が成長。
2022年03月03日
IOLの地域連携
本書のテーマである「IOL（インバウンド・アウトバウンド・ループ）による持続的経済成長」。そのカギとなるのは、地域資源だ。
日本は150年前から産業革命がおこり、日本人が元来持っている職人気質とそれを評価する文化があって、各地域に伝統産業がある。90年代以降、その多くは中国にとって代わられたのだが、それを見直し、高付加価値化することによってIOLを起こそうという。
国内外の事例が挙げられているのだが、私自身の経験からも、カギは「地域連携」だと思う。ナパバレーの事例に顕著で、「ナパのブドウの平均価格はCA全域の5倍」だという。年間385万人の観光客が22億ドルを消費し、1日あたりでは1万人の観光客が$6M（一人当たり$570)を消費する一大観光地でもある。
隣接するソノマ郡も気候風土は同じだが、ナパバレーのようなプレミアム・ビジネスになっていない。両社を隔てるのは、ナパバレーでは「全500弱のブドウ園のうち450以上がブドウ園共同団体に所属し、意思決定」しているのに対して、「ソノマ郡では700のブドウ園のうち200しかブドウ園共同団体に所属していない」ので、地域として統一された戦略が取れていないということだ。
ナパバレー：「地域住民の生活の質を高めるために、イノベーションとマーケティング戦略を駆使し、ワイン・ツーリズムにおいてプレミアム・ビジネスモデルで高収益を得る」という戦略を地域として共有。戦略が共有されるだけでなく、農地保護管理法などで私権も制限されている。ナパバレーが人気になっても、サービス産業は登録された場所でしか開業できず、急に供給が増えない。供給を絞ることで、高価格を維持し、観光公害を回避し、「地域住民の生活の質を高める」という共同目標を達成している。
日本でも世界でも、この地域連携が成功するかどうかは、
・地域が置かれた環境 「それしかない」「どう考えても、それがいい」
・周囲を説得できるリーダーシップ
に掛かっている。
日本はこれまでの経済蓄積から比較的豊かであるうえ、米国のように社会保障制度が脆弱ということもないので、地域でまとまって「なんとかしないと」という切迫感に乏しい。法律的にも私権が最大限に尊重されており、欧州のように、屋根の色、壁の色、街によってはカーテンの色まで制限されるということがない。
地域戦略がないというよりも、実施段階に問題があると思う。あるいは、実現困難なので、地域戦略がないというべきか。もはや、座視するような余裕は日本経済にないということを政府が早く明言すべきだと思う。
50：100年超の歴史を誇る福井の眼鏡産業
200以上ある眼鏡の製造工程を多様な企業が分業。
55：燕三条「工場の祭典」
2017年から開始された毎年10月第1週目に4日間、「工場を開放し製造現場をそのまま見せる」イベント。
61：ナパバレーのワインツーリズム
ナパのブドウの平均価格はCA全域の5倍。
年間385万人の観光客が22億ドルを消費。
1日あたり、1万人の観光客が$6M（一人当たり$570)を消費。
62：地域連携による健全な相互依存関係
全500弱のブドウ園のうち450以上がブドウ園共同団体に所属し、意思決定。
農地保護管理法（農地以外の開発は基本的に不可〜サービス産業は登録された場所のみ）。
隣接するソノマ郡では700のブドウ園のうち200しかブドウ園共同団体に所属していない。
2022年03月02日
IOL（インバウンド・アウトバウンド・ループ）
早稲田大学インバウンド・ビジネス戦略研究会による日本再生のための提言。IOL（Inbound Outbound Loop）により持続可能な成長が可能だという。
まず、日本には、貴重な「観光資源」が豊富だ。
まず、日本には、貴重な「観光資源」が豊富だ。
今は、世界的なコロナ禍で海外旅行がかつてないほど落ち込んでいるが、既に欧米は解禁に向かっており、元に戻るのは時間の問題だろう。しかし、アフターコロナでは、「安全、安心、清潔」がより意識されるという調査もあり、これは、世界の旅行者の間で定着している日本のイメージにピッタリで、日本にとっては「数十年に一度の好機」になるのではないかという。・快適な気候・風光明媚な自然・豊かで多様な文化・おいしい食事
その時に重要なのは、「価値の安売りをやめる」ことだ。数年前のインバウンド・ブームでの観光地の混雑を思い出してほしい。京都では観光客で市営バスがいっぱいになり、地元の人が利用困難な事態になった。
普通、こんな状況になれば、観光客には値上げするなどの措置が取られる。例えば、ロンドンの地下鉄は、観光客を差別しているわけではないが、デポジットの必要なSUICAのようなカードを買わなければ倍の値段がするので、初乗りで600円以上する。数日しか滞在しない観光客でカードをわざわざ買う人は少ないので、結果的に観光客利用を減らし、あるいは、観光客からはしっかり利用料を取るという方針を取っている。
日本がやってきたのは、これの逆で、インバウンド客優遇だ。日本人には買えない乗り放題のJR特別割引券を出し、消費税まで免除している。海外でも非居住者にVATや消費税を免除する措置はあるが、いずれも、かなりの金額以上を買わないと対象にならなかったり、還付する手続きが面倒だったり、還付手数料を取られたりと、利用に制限がある。日本では、コンビニでコーヒーを買っても免除されるという大盤振る舞いだ。
」ことだ。数年前のインバウンド・ブームでの観光地の混雑を思い出してほしい。京都では観光客で市営バスがいっぱいになり、地元の人が利用困難な事態になった。普通、こんな状況になれば、観光客には値上げするなどの措置が取られる。例えば、ロンドンの地下鉄は、観光客を差別しているわけではないが、デポジットの必要なSUICAのようなカードを買わなければ倍の値段がするので、初乗りで600円以上する。数日しか滞在しない観光客でカードをわざわざ買う人は少ないので、結果的に観光客利用を減らし、あるいは、観光客からはしっかり利用料を取るという方針を取っている。
日本がやってきたのは、これの逆で、インバウンド客優遇だ。日本人には買えない乗り放題のJR特別割引券を出し、消費税まで免除している。海外でも非居住者にVATや消費税を免除する措置はあるが、いずれも、かなりの金額以上を買わないと対象にならなかったり、還付する手続きが面倒だったり、還付手数料を取られたりと、利用に制限がある。日本では、コンビニでコーヒーを買っても免除されるという大盤振る舞いだ。
日本は質の高い多様な資源を持っている。その価値を高く認める訪日客に向け、今こそ量から質への転換を図る時。
わざわざ安くしなくても、50年来の円安で、日本全体がバーゲン状態。安さで量をこなすのを止め、日本の質の良さを伝えていくことに賛成したい。
44：インバウンド・アウトバウンド・ループ
�ヾ儻�客・投資・ビジネスパートナー・学生等を海外から呼び込む
��日本・地域・サービス・人との接点を高める、日本のファン化
�Ｆ�本に滞在するもしくは帰国する
�さ�国し、日本の製品・サービスを継続購入する、地元に広める
�ズ禿抛�本へ
�“鶸儻�事業者や日本の文化等を観光資源化
��観光資源化する際に経験・体験価値化しその付加価値を高め
��その価値を展開するために地域内・地域間連携を促進し、
�ど娉嘆礎佑鬚茲蟾皺然覆謀彰垢垢襪海箸如▲ぅ鵐丱Ε鵐匹�ら得られる収益を持続的に最大化
�ジ�率的に越境ECなどを活用した海外販売につなげ
��再度インバウンドに向かう
2022年03月01日
アメリカ史上初の大統領暗殺
アメリカ史上初の大統領暗殺は、もちろん、1965年4月1日に起こったリンカーン大統領の暗殺事件。南軍の降伏からわずか5日後のことで、2期目の大統領就任式を終えて間もなくのリンカーンは、首都ワシントンのフォード劇場で観劇していたところを、ジョン・ウィルクス・ブースという俳優に後頭部を銃で撃たれて死亡する。
リンカーンの悲劇的な死は、それまで「敵の多い、あまり人気のない戦争の首謀者」であったリンカーンを「この国の不滅の聖人」に変える。（歴史家ジェームズ・L・スワンソン『マンハント』）
178：リンカーンの戦略（イェール大学歴史学部ギャディス教授）
「リンカーンは、クラウゼヴィッツの思想を直感的に理解していた。（中略）リンカーンの戦略を乱暴に言うと、敵の戦力を叩き潰すチャンスがあれば、相手がどこにいようと逃さずやっつける、というものである。要するに、ひたすら戦う、ということである。北軍の人口、領土、技術力には余裕があり、時間の経過とともに南軍が不利になることは間違いない。死者数が増えていけばいずれ相手は降伏するだろうし、そうなれば反逆した州も帰順するはずだ。リンカーンにとっての戦争とは、『敵をしてわれらの意志に屈服せしめたるための暴力行為』（クラウゼヴィッツ『戦争論』）にほかならなかった」
180：1865年3月4日リンカーン第二次大統領就任演説「汝ら人を裁くな、裁かれざらん為なり」（新約聖書マタイ伝）
リンカーンは南部を厳しく処罰するつもりはなく、アメリカ合衆国としてのまとまりを、穏健に取り戻したい。
1965年4月1日アメリカ史上初の大統領暗殺＠フォード劇場
ワシントンのフォード劇場で観劇していたところを、ジョン・ウィルクス・ブースという俳優に後頭部を銃で撃たれて死亡。
犯人：白人至上主義の国粋主義者
奴隷制は「神が寵愛される国家に授けられた恩恵のなかでも最高のものの一つ」
184：リンカーンの悲劇的な死
「敵の多い、あまり人気のない戦争の首謀者」であったリンカーンを「この国の不滅の聖人」に変えてしまった。（歴史家ジェームズ・L・スワンソン『マンハント』）
おわりに：多くのアメリカ人が南北戦争を、自国の最も重要な出来事として位置付ける
その思いからあふれでているものこそが、ひたすらに自由と民主主義を世界に広げていこうとするアメリカの対外姿勢であり、アメリカの国内事情を今なお深刻に揺さぶる白人至上主義、黒人差別思想。
Currier & Ives, 1865. - この image はアメリカ合衆国議会図書館Library of Congress (ID) ph.3b49830です。
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