2022年01月
2022年01月31日
セブンチャート仕事術
『恐るべきさぬきうどん』に登場する「知将」A藤さんによる記念すべき処女作。実は、安藤さん、大手広告代理店に勤める営業管理職でもあった。その間、20年間、2万枚の企画書作成から生まれたオリジナルメソッドが「セブンチャート」だという。
要は、７つの「チャート形式」に文章をまとめていく。なんだそんなことか、と思われそうだが、これをやってみると、まず自分の思考がよく「整理」される。整理されるから、他人に伝えても「真意」がよく伝わる。「プレゼンの勝率が倍増した」というのもうなづける。
はじめに：真意が伝わる「言いたいことを的確に伝える資料」の主役となるのは、写真でも数字でもグラフでもなく「言葉」。相手を論理的に納得させるのにもっとも効果的なのは、結局のところ言葉（＝文章）。イメージや感情先行で得たYESは、再びイメージや感情でNOに転じる危険がある。論理で納得させたうえでYESを引き出すことが大事。
2022年01月30日
江戸建設
北条は秀吉に降伏し、小田原攻めは終わる。秀吉は武功のあった家康に関東八州を与え、家康は江戸に移る。家康の家臣たちは、これは秀吉の策謀だと大反対だった。本作では、井伊直政にこういわせている。
159：井伊直政
「関白は、駿、遠、参、甲、信の五か国を殿より奪う策謀としか考えられませぬ。関東八州と申しますが、まことは、伊豆、相模、武蔵、上総、下総、上野、下野のうち、房州に里見、上野に佐野、下野に宇都宮、日立に佐竹の大名が権力を敷いて居りますれば、御領となるのは、わずか四州しかございませぬぞ」
当時の江戸は、すぐに洪水になる低湿地帯と、海に迫る台地があるのみ。とても、政治経済活動に向いているとは思えなかった。しかし、家康は江戸の地利をはっきり悟っていた。それから、神田山を崩して浅草から日比谷までの湿地帯を埋めるという大土木工事が始まる。排水と水運のための運河も出来る。
168：日一日と、面目をあらためてゆく江戸の町には、旧領三河、遠江、駿河の国から、あらゆる職業の人々が、続々と移住して来た。また、家康は、小田原の建築、鍛冶、水道の技術を高く評価し、これらの職人を、ことごとく、ひきつれて来たのであった。
戦に強いだけでなく、組織作り、行政能力が高かったゆえに徳川幕府はそれから300年近く続くわけだ。
241：柳生一族
宗厳の父美作守家厳は、三好長慶に従って武功があったが、天文13年、多年の宿敵筒井順昭に柳生城を包囲され、新介といった15歳の宗厳を質子としてさし出さなければならなかった。
253：不動智（仏法）
十方無碍に、いかなる変化をもしめす力を蔵しながら、静かにして動かぬ心。
右手に権を握り、左手には縄をとって、らんらんと目をいからして、仏法を妨げようとする悪魔を降伏せんとして、つっ立つ不動明王によって、象徴されている。
2022年01月29日
北条攻め
先月の続き。2巻では、秀吉による小田原城攻めが本格化する。家康は人質に北条に送った鮎姫の奪還を果たせないままだ。鮎姫は、自分で城から脱出しようとするも、捕まってしまい、またも喬之介に救出される。
舞台となる、小田原には何度か行っている。小田原城の見学と、おでんなど。「数年を費やして築いた大阪城と同じ規模の城郭を、秀吉は、わずか70予日で完成」したという石垣山一夜城にも今度行ってみたい。
それと、外郎（ういろう）「透頂香」。これは、海外駐在の長かった大先輩が、「最も頼りにしている薬」と教えてくれた。このころから既にあったとは知らなかった。
94：石垣山一夜城
数年を費やして築いた大阪城と同じ規模の城郭を、秀吉は、わずか70予日で完成。
148：小田原唐人町の外郎の秘薬「透頂香」
小田原外郎は、氏綱の時代に、京都から来て、住みつき、長生不死の薬と称して、献上。
280：固瀬の天現寺
喬之介の母が引退後滞在。
2022年01月28日
最後の貸し手
巻末の「解説」を書いているのは、鈴木正俊（日本経済新聞社）。アメリカには1930年代「大恐慌」の研究書が豊富にあるが、日本で昭和金融恐慌を研究した本は数少ないという。その代表作が、本書なのだ。
昭和金融恐慌のきっかけは、第一次世界大戦後の「金解禁」によるの激しいデフレショックであった。この時、金本位制復帰をめぐり、「旧平価」で復帰するか「新平価」かで大論争が巻き起こる。
「旧平価」を主張していたのは、大蔵大臣の井上準之助らであり、旧平価で復帰することは第一次世界大戦の戦勝国となり、「一等国」となった「日本の面子」でもあった。これを財界も支持したというのは、よほど経済に暗愚だったのだろう。
大戦の終了後、戦争特需で沸いた日本の好景気は続かないとみられ、既に円ドルは15%下落していた。このため、為替レートに合わせた「新平価」での復帰を主張していたのが、高橋亀吉や石橋湛山の民間エコノミストであった。
ガルブレイス『大恐慌』
キンドルバーガー『金融危機は再来するか』
アレン『オンリー・イエスタデイ』
第一次世界大戦後の「金解禁論争」の主役の一人が高橋亀吉
金本位制復帰 「旧平価」か「新平価」か？
大蔵大臣 井上準之助 旧平価（日本の面子）←財界も支持
＊円ドルは15%下落していた（円安）→旧平価なら激しいデフレショック
高橋亀吉、石橋湛山（民間エコノミスト）為替レートに合わせた「新平価」
銀行倒産などによる金融システムの動揺、崩壊を回避するための「セーフティーネット」
・預金保険機構
・銀行の自己資本比率規制
・日銀の最後の貸し手機能
キンドルバーガー「中央銀行が最後の貸し手として登場するかしないか分からないように行動することが大事」
こうした緊張状態で、銀行は安易な貸し出しを行って、経営リスクを高めないようにする。
2022年01月27日
昭和金融恐慌
昭和金融恐慌を直接知る民間エコノミスト高橋亀吉を主執筆者として旧版が出たのが昭和43年（1968）。本書は、1993年に出た改訂版。
今も昔も、金融危機は、金融レバレッジの逆転から起こる。銀行は「信用創造」によって経済の血液である資金を経済に行きわたらせる。銀行の自己資金比率は5%程度なので20xの資金を動かしていることになる。そのために、融資の焦げ付きが広がるとあっというまに経営が悪化する。
昭和金融恐慌の第一の真因は「金融機関の前近代性」だという。前近代性から、「銀行内容の悪化」が累積していた。それが、戦争特需が終わり、景気が悪化したことで露見したのだ。
この時の、「銀行制度の前近代性」とは、
�ゝヾ惷箙�
事業家が事業資金調達を目的として銀行を経営する、あるいは銀行経営者が商工業界に活躍するといった状態が普通一般となっていた。
�▲咼献優好泪鵑箸靴討了餝�
銀行経営者・事業家とも政治との結びつきが強い。
だ。
「その後合同を核としてこの業界の整理、改善が推し進められ、その非近代性は一掃された（かに見えた）」（森垣淑「はしがき」）。しかし、1980年代後半の円高不況対策と、アメリカからの政治圧力（貿易不均衡是正）で、日銀が金融緩和をやりすぎて、銀行の融資態度が緩くなりすぎたのだ。
昭和金融恐慌の第一の真因は「金融機関の前近代性」
その後合同を核としてこの業界の整理、改善が推し進められ、その非近代性は一掃された（かに見えた）。
2022年01月26日
過去に学ぶ教訓
最終章は、本書のまとめ。いかに、誤った科学が人類に災害をもたらしてきたかを探るのが本書のテーマだったが、では、どうしたら回避できていたのか？
「６．用心することにも用心が必要」など、検診が大好きで毎年莫大な費用をかけている日本人は考え直した方がいいかもしれない。
「６．用心することにも用心が必要」など、検診が大好きで毎年莫大な費用をかけている日本人は考え直した方がいいかもしれない。
１．データがすべて
真実は、何人もの科学者たちが異なる環境でいくつもの違った方法を使って実験を繰り返し、同じような結果が得られたときに現れる。こうして現れた真実を無視してかかれば、悲惨な結果を招くことがある。
２．すべてのものには代償があり、ただ一つの問題はその代償の大きさだけだ
抗生物質や衛生管理プログラムのような命を救う、世界でも高い評価を受ける医療や科学の飛躍的な進歩にさえも、代償は例外なくつきまとう。
麻酔薬は150年以上前から使われてきたが、数年間にわたって注意力や記憶力を低下させる恐れがあることが明らかになったのは最近。
３．時代の空気に流されるな
報道機関は証拠から私たちの目を背けさせるべきではない。
・電子タバコ
・遺伝子組み換え技術
・合成樹脂ビスフェノールＡ
交配・品種改良で、有史以来、人間は環境を遺伝子レベルで改変し続けてきた。
遺伝子組み換え技術のおかげで農薬の使用量は37%減少し、生産量は22%増え、農家が手にする収入は67%増えた。
糖尿病患者が常用するインスリン、血友病治療に使われる血液凝固たんぱく質、低身長の子供に投与されるヒト成長ホルモンなどは、すべて遺伝子組み換え技術を利用して製造される。
４．手っ取り早い解決策には気をつけろ
５．量次第で薬は毒にもなる
カーソンはゼロ・トレランス（ゼロリスクの原則）という概念も誕生させた。濃度や量に関係なく有害物質は一切認めず、全面的に禁止すべきだという考え方。DDTが禁止された結果、数百万人の子供たちが本来なら防げたはずのマラリアで命を落とした。
６．用心することにも用心が必要
予防原則の名のもとに、益少なくして不都合なことが多い行動をとらないこと。
命にかかわらないがんをみつける過程は、益よりも害の方が大きい。
甲状腺がん、前立腺がん、乳がんについては、早期検診の重要性がはっきりしない。
1999韓国政府は甲状腺がんの早期発見を目指すがん検診プログラムを実施
新たに4万人以上の甲状腺がん患者発見→全摘出→死ぬまで甲状腺ホルモン補充治療
甲状腺がんによる死亡率は、大規模検診プログラムの前後でまったく同じ。
今では数万人の韓国人が甲状腺手術による副作用に苦しんでいる。
別の死因による死亡者を解剖した結果、およそ1/3に甲状腺がんが見つかる。
272：マンモグラフィーによって命が救われる可能性は約0.16%（クリスティ・アシュワンデン『米国医師会雑誌』2015年2月）
「マンモグラフィーでは、乳がんで死なずに済む可能性もあるが、化学療法や放射線治療のような生活に大きな支障が出る、しかも体に害を及ぼす恐れすらある治療を受けて、無害ながんを『治す』ことになる可能性の方が高い」
７・カーテンの後ろにいる小男に注意しろ
オズの魔法使い効果を利用して医学的・科学的なアドバイスをしてこようとする人々はちまたにあふれている。健康法のカリスマは、自分の人間的な魅力で根拠の弱さをごまかそうとする。そして、彼らは問い詰められることを嫌がる。カーテンの後ろに隠れていた小男の正体がばれると、彼らはたいてい、こんなことは不当だと叫ぶ。自分たちの説が間違っているわけではなく、悪の勢力が自分たちをやっつけようとしているのだと主張し始めるのだ。
2022年01月25日
ノーベル賞受賞者の蹉跌
ノーベル賞受賞者が、人間として信頼できるかどうかはまた別という話。ノーベル賞は研究を評価するのであって、その人の人間性を評価しているわけじゃないから当たり前だが、ノーベル賞学者が言うことを何でもありがたがるのは考え物。
特に、専門外の分野での発言は全く当てにならない。ところが、ノーベル賞の名声を利用して、商売しようという取り巻きも現れて、担ぎ上げられることもしばしば。科学的に否定されたにも拘わらず、一旦広まった俗説は、関係者皆が恩恵を受けているので一向に衰えない。未だにビタミン剤が世界中でありがたく飲まれている。
特に、専門外の分野での発言は全く当てにならない。ところが、ノーベル賞の名声を利用して、商売しようという取り巻きも現れて、担ぎ上げられることもしばしば。科学的に否定されたにも拘わらず、一旦広まった俗説は、関係者皆が恩恵を受けているので一向に衰えない。未だにビタミン剤が世界中でありがたく飲まれている。
ノーベル賞を後ろ盾にした米国の化学者が、宣伝文句の定番に「抗酸化」を仲間入りさせた。彼のアドバイスに従った人々は、がんと心臓病のリスクを高めた。さらに、ハワイで突然肝臓移植が必要になったり、米国北東部で女性が男性化するという奇妙な症状が現れたりと、現在にも悪影響を残している。
220：ライナス・ポーリング1901-94
現代のビタミン製造業者が年間数十億ドルを売り上げる商売ができるのは、一人の男のおかげだ。その人物は、ノーベル賞を受賞した科学者で、自分の専門分野とはまったく畑違いの領域で、サプリメントでビタミンをたくさんとれば、健康に長生きできると世間に信じさせた。しかし実際のところは、がんと心臓病のリスクを高めるだけだった。
異なる分野で２つのノーベル賞を受賞した唯一の人物
1954ノーベル化学賞「化学結合とたんぱく質の構造」
1962ノーベル平和賞「核実験禁止条約」への貢献
222：転落の始まり
厳密さに欠ける性格。
1966メガビタミン療法にのめり込む。間違いを指摘する研究結果がどんどん出てきたにもかかわわらず、無視。
227：長い間、優秀で正しい人間として生きてきたため、自分が間違いを犯すなどとは想像もできなかった。本当に間違いを犯してからも、それを認めることができなかった。
230：1994米国国立がん研究所＋フィンランド国立公衆衛生研究所
ビタミンを大量に投与されたグループは、肺がんによる死亡率が下がるどころか、高くなる。
232：抗酸化物質を多く含む果物や野菜をたくさん食べる人は、がんや心臓病にかかりにくい
→人工の抗酸化物質を大量に摂取しても同じ結果になる（ポーリング）
酸化は、新しいがん細胞を殺し、血管の詰まりを解消するためにも必要。
大量のビタミンやサプリメントを摂取すると、酸化と抗酸化のバランスが崩れ、がんや心臓病のリスクを高める。
233：キャサリン・プライス『ビタマニア』
リンゴ半分のビタミンCは5.7mgだが、1500mgのビタミンCに匹敵する抗酸化作用。
フィトケミカルがビタミンの効果を高める。
243：カーテンの後ろにいる小男に注意しろ
世間の評価に目をくらまされてはならない。
ポーリングは「オズの魔法使い」効果を頼りに、ビタミンとサプリメントを奇跡の薬として宣伝した。彼はカーテンの後ろにいる男（データ不足という弱点）に世間が気づかず、2つのノーベル賞を獲った自分がとどろかせる声だけを聞いてもらいたいと願っていた。
2022年01月24日
『沈黙の春』の功罪
今では教科書にも載るほど有名な環境保護者のレイチェル・カーソン。ほとんどの人が偉人だと思っていると思う。私も、本書を読むまではそう思っていた。しかし、
レイチェル・カーソンは科学者だと自称していたが、結局のところ、そうではなかった。彼女は自分の偏った意見に合うように真実を捻じ曲げる論客だった。
だと著者はいう。彼女は、DDTをやり玉にあげ、彼女の『沈黙の春』が世論そのものになったことで、米国はDDTを禁止した最初の国になった。
驚くべきことに、DDTは『沈黙の春』で書かれたような環境への悪影響を示す証拠はなかったにもかかわらず、政治力で禁止された。DDT禁止が検討されたときの専門家100人以上による報告書「DDTで鳥や魚が死ぬことはなく、人間の慢性疾患の原因にもならない」カーソンの『沈黙の春』により、環境保護庁はデータではなく、恐怖と誤解に基づいてDDTを禁止。
「量次第で薬は毒にもなる」（パラケルスス）のは常識。カーソンの「ゼロ・トレランス」、つまり「濃度に関係なく有害物質は一切認めない」という態度は、その後「5000万人がマラリアで命を落とし、そのほとんどは5歳未満の子供」という結果を生み出した。
普通なら、DDTを製造している化学メーカーが反対するはずだが、そうしなかった。それは、あまりの世論の盛り上がりに、反論することで自分たちが悪者になることにリスクを感じたのと、特許が切れていた「DDTよりも価格がもっと高くて、さらに人体にとってはるかに有害な薬剤はいくらでもあった」からだったという。
普通なら、DDTを製造している化学メーカーが反対するはずだが、そうしなかった。それは、あまりの世論の盛り上がりに、反論することで自分たちが悪者になることにリスクを感じたのと、特許が切れていた「DDTよりも価格がもっと高くて、さらに人体にとってはるかに有害な薬剤はいくらでもあった」からだったという。
186：レイチェル・カーソン『沈黙の春』
殺虫剤の危険性を世に知らしめたこの本は、国際的なベストセラーとなった。この本を出版したことにより、カーソンは全米で放送されるテレビ番組に出演し、議会の公聴会に出席し、JFK大統領、ウィリアム・O・ダグラス連邦最高裁判所判事、シンガーソングライターのジョニ・ミッチェルなど様々な人々から称賛を受け、カーソンは米国で最も有名で、最も影響力ががある女性の一人になった。
201：絶対的な女神
ハリエット・ビーチャー・ストウの『アンクル・トムの小屋』は奴隷制廃止の法制化を、アプトン・シンクレアの『ジャングル』は食品医薬品法の成立を、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』は環境法の整備を実現させた。
203：DDT
ルーサー・テリー米公衆衛生局長官は、DDTが毒物と同一視され、強力な武器を失うことを恐れていた。
1874ストラスブルグ大学大学院生オトマール・ツァイドラー博士論文「新物質DDT」性質について調べず
1939J.R.ガイギーのパウル・ミューラー DDTの殺虫効果を発見→米英軍が採用
WW2、戦闘よりも発疹チフスによる死者が多い←シラミ
1944年1月連合軍がナポリにシラミ駆除所設立→3週間で流行収まる
ベルゲン・ベンゼン収容所に収容されていたアンネ・フランクも発疹チフスで死亡
1948パウル・ミューラー「DDTの効果実証」ノーベル医学生理学賞
206：マラリア
1955WHO DDT使用による世界マラリア根絶計画に着手
DDTは歴史上のどんな化学薬品よりもたくさんの命を救った（米国科学アカデミー試算）
208：1972米DDT使用禁止
新設された環境保護庁の初代長官が、米州保健機構、WHO、および多数の米国内の公衆衛生関係者の強い反対を押し切って米国でのDDT使用を禁止。他の国々も追随。
以降、5000万人がマラリアで命を落とし、そのほとんどは5歳未満の子供。
210：証拠はなかった
1941~1960バードカウントで26種類の鳥すべてが増えていた
カーソン「この10年間で驚くほど減少した」
ハクトウワシが減少したのはDDTが使用される前で、原因は生息環境の破壊と狩猟。
DDT使用期間中は増加←1940ハクトウワシ保護法で狩猟禁止
213：化学業界
DDTよりも価格がもっと高くて、さらに人体にとってはるかに有害な薬剤はいくらでもあった。
2022年01月23日
「一生の縁」を築くビジネスメールの書き方
SlackやLINEでの連絡が増えたとはいえ、今も最初のコンタクトは電子メールが多い。入り口を間違えると、それを覆すのが大変なことは誰もが経験していること。
「一生の縁」を築くビジネスメールの書き方を伝授する「ビジネスメール道」を国産Tシャツメーカーとして有名な久米繊維工業の三代目が説く。初版は2010年なので、Facebookが全盛になる前。なので、マイミクとか懐かしい言葉も出てくる。
国産Tシャツメーカーは久米繊維以外にもたくさんあったはず。それが圧倒的に安い輸入品に駆逐される中、どうやったら国産Tシャツの価値を伝えられるか、どうやって付加価値を増すのか、で創意工夫した一つがこの「ビジネスメール道」であったことが分かる。
それで私はどうかというと、メール利用率が確実に落ちている。以前は朝昼晩と時間を決めて（でないと一日中メール対応ばかりしていることになりかねない）それぞれ1時間ずつくらいかけていた。10年くらい前まで。
その後、FacebookやLINEの利用が広がり、既存のつながりの人とは、SNSを通じて連絡を取ることが増えた。顔見知りなら、そちらの方が簡単なのだ。
それにつれ、メールを見るのが億劫になってきていて、送られてくるメールはGmailにまとめた上、Gmailのフィルターで「重要」になったものしかチェックしなくなっている。たまに、なぜか「重要」に分類されず、見過ごすことも月1回くらい発生するのだが。
それはとりもなおさず、新規の仕事や人脈開拓がおろそかになっていることでもある。年齢を重ねるに従い、気心の知れた仲間内で仕事もプライベートも回していれば良いと思うようになってきたのも事実。寂しくもあるが、それが自然だろう。
12：事務的で冷たい印象を避ける
�‖衞召慮貳�を「ですます調」にする
�∈能蕕法屐�」マークで元気に挨拶する
��あいさつの後は「お礼の一言」から始める
15：特別な相手に有効な応用ワザ
�）槓犬料阿縫廛薀ぅ戞璽箸陛蠅欧�けを添える
�▲屮蹈�ー相手なら最新の記事を話題にする
�Ｄ豹�で「つながりたい心」を伝える
32：お詫びの基本は電話か面談
お客様と連絡が取れないときには、たとえ返信が来なくとも報告・連絡・相談を続け、電話に出てもらえるタイミングを待つ。
80：初対面の人にお礼メールを出す
�〜覗瓩ぅ織ぅ潺鵐阿覗�る
��筆文字・手書きのお礼状と合わせて送る
�Ｌ銘婿�に心に響いた一言を入れる
�ぬ銘婿�の感動をデジカメに収めて活用する
�イ�礼ブログと併用する
��TwitterやMixiでフォローする
�Я蠎蠅離瓮襯泪�やブログを愛読する
2022年01月22日
�タ瓦魏�すロボトミー手術
これも医学先進国とされるアメリカで長年行われたホラー映画のような手術。頭蓋骨に穴をあけ、前頭葉の一部を切り取ることで、神経疾患を治す「外科的治療法」💧驚くべきことに、世界で初めてその人体実験を行ったポルトガルの医師エガス・モニスは1949年にノーベル賞を受賞している。
しかし、これは、前頭葉のどの部分がどのような機能を持っているかも分からないまま、Ｘ線を使うこともなく、行き当たりばったりの手術法だった。当然、ほとんどの患者には何の改善もなく、一定の患者は脳内出血などで死亡した。
ただ、何割かの患者は大人しくなった。前頭葉を削除して感情が無くなるからなのだが、他に治療法もなかったので、病院にとって扱いやすくなればそれでいいとされたのだ。
ロボトミー手術発祥の地ポルトガルでは早々に禁止されたのだが、アメリカで大流行し、それから1970年代まで2万件のロボトミー手術が実施されたという。
どうしてそうなったのかと言えば、�々睫召奮芦憤紊料追磴鮖�つ米国人医師フリーマンが医学界で自分の名声を高めようと、手術結果を大幅に誇張して学会発表を続けた、��他に有力な治療法がなかった、��州立精神病院が患者であふれていたから、らしい。
1960年代には、アイスピックを使って5分で治療できる「ドライブスルー・ロボトミー手術」も行われていたというから恐ろしい。
156：エガス・モニス1949ノーベル賞「精神疾患の外科的治療法を発明」
ノーベル賞委員会の発表からの40年間で、世界中で4万件のロボトミー手術が行われ、その半分以上は米国で実施。ニュルンベルク綱領に違反するとして、ドイツはロボトミー手術を一切受け入れず。
157：ウォルター・フリーマン
フィラデルフィアの裕福な医者の家系。祖父は米国で最も有名な外科医。
1928ジョージ・ワシントン大学神経学・神経外科学科の初代学科長。
165：シカゴの学会でもフリーマンは正直に話していなかった
それからの40年間に、米国で2万件以上のロボトミー手術が行われた。そのうち、ウオーター・フリーマンは4000件近くの手術を自ら担当した。
167：受け入れられた理由
�＼鎖晴憤紊癲�家族も、患者本人も、治療のしようがない精神病を治療する手段を切に求めていた
�⊇Ｎ�の精神病院はどこも患者であふれていた。1940年代から1950年代には、米国の入院患者全体のうち、精神病患者の数は半数。
��州立病院のひどさ。患者は暴力をふるわれ、放置され、衣服はろくに与えられず・・・
174：1950フリーマン『神経外科学』
フリーマンが成功の判断基準としてのは、病棟で騒ぐことが少なくなり、以前に比べて扱いやすくなったかどうか。ロボトミー患者の25%が「外発的誘発小児期」に→生涯施設から出られず。
176：学術団体も、医学界も、倫理学会も反対せず
メディアが間違った情報を流し続ける。
182：トランス・アレゲーニー精神病院（WV）
1950年代にフリーマンが多数のロボトミー手術を実施。
1967年、72歳になったウォルター・フリーマンは最後のロボトミー手術。患者の女性は脳内出血で死亡し、医師免許はく奪。
＊手っ取り早い解決策には気をつけろ
2022年01月21日
人権を蹂躙した優生学
今日、優生学と言えば、ナチスに代表される嫌悪すべきエセ科学というイメージだが、約100年前にそれが生まれて、理論的にも、研究でも、そして立法化による実践でも世界をリードしていたのはアメリカだった。
「劣等」とみなされた市民の結婚が禁止され、「41の州で知的障害精神障害者とみなされた人々の結婚が禁止された」。結婚禁止法が違憲だと初めて認められたのは1967年というから、ほんの50年前の話だ。
「劣等」とみなされた市民の結婚が禁止され、「41の州で知的障害精神障害者とみなされた人々の結婚が禁止された」。結婚禁止法が違憲だと初めて認められたのは1967年というから、ほんの50年前の話だ。
それだけ、当時のアメリカで優生学は社会のエリート層から市民にまで広く支持を集めた。当時の支持者の顔ぶれを見ると、それはほとんど当時の著名人と同じなのだ。ルーズベルト大統領から、米国産児制限連盟創立者のマーガレット・サンガー。イギリスの小説家H.G.ウェルズや劇作家ジョージ・バーナード・ショーなど文化人もこぞって指示した。
そこには、世界のリーダーはアングロサクソンであるという自負心があったのだろう。そして、アメリカへの移民が当初のイギリスや北欧系プロテスタントから、南欧のカトリック教徒や東欧のユダヤ人などに広がり、先に移民したアングロサクソン系の間で嫌悪感が広がっていたようだ。
こうして、1917年の移民制限法が成立し、日本からも加州への移民が出来なくなり、それから南米への移民が始まる。それから第二次世界大戦中を通じて、優生学の中心は米コールド・スプリング・ハーバーの優性記録所だったのだが、ナチスが行ったユダヤ人収容所での惨劇が伝わったのだろう、戦争終結とともにすべての記録を消し去った。
1916年、NY市の自然保護活動家が書いた科学論文をきっかけに、連邦議会で一連の厳しい移民法が可決された。それにより、数万人の米国民に強制不妊手術を行うことが可能になり、ヒトラーが600万人のユダヤ人を殺した民族大虐殺に科学的根拠を与えることになった。
118：優性記録所には、当初から諮問機関が設置され、学術界の重鎮が名を連ねた
資金が心配する必要もまったくなかった。優性記録所にはカーネギー財団（鉄鋼）、ロックフェラー研究所（石油）、E.H.ハリマン夫人（鉄道）、ジョージ・イーストマン（写真）をはじめとする、各界から数千万ドルにのぼる潤沢な資金が集まった。米国務省、米軍、米国農務省・労働省もダベンポートとラフリンに支援の手をさしのべた。
120：結婚禁止法
1930年代半ばには、米国は世界で最も結婚禁止法が整備された国に。
121：1912最初の国際優生学会議＠ロンドン
名誉会長アレクサンダー・グラハム・ベル
126：移民制限法
1916年以前、米国の優生学者たちが狙いを定めていたのは個人とその家族。
1916自然保護論者マディソン・グラント『偉大な人種の消滅』
「好ましくない形質は特定の一族の間のみで共有されるのではなく、特定の人種の間で共有される」→1917移民制限法
唯一無二の影響力を持つ自然保護活動家
野生生物保護学会設立。独力でアメリカバイソンを絶滅の危機から救い、数多くの国立公園の設立に於いて重要な役割。
143：「死の天使」ヨーゼフ・メンゲレ
病気にかからず、最高のアーリア人の特徴を受け継いだ、支配人種を作り上げる方法を模索。
メンゲレは自分が行った（生体）実験の記録を保管しており、いつかは革新的な科学者として世に迎えられるに違いないと確信していた。米国の優生学者たちは、メンゲレのような傲慢さはなかった。戦争が終結すると、コールド・スプリング・ハーバーの優性記録所はすべての記録を消し去った。
2022年01月20日
化学肥料から始まった悲劇
植物によってしかできないと思われていた「窒素固定」。これを人工的に実現して、農業に革命をもたらしたのは、ドイツのユダヤ系研究者だった。
この発明で後にノーベル化学賞を受賞するフリッツ・ハーバーは、第一次世界大戦で毒ガスを製造し、その実戦使用の責任者でもあった。ハーバーは熱烈な愛国者で、ドイツ帝国を勝利に導くためなら化学兵器を用いることも当然と考えていた。
毒ガス使用に反対する妻はピストル自殺する。それでも、「祖国のために全力を尽くした」と満足していたハーバーだが、1933年にナチスが政権を取ると風向きが変わる。ナチスは知識や学問を軽く見ており、窒素固定で世界人類を救い、第一次世界大戦では毒ガス開発と肥料工場の火薬工場への転換で祖国に多大な貢献をしたノーベル賞科学者も、ナチスにとっては一人のユダヤ人だった。
職業官吏再建法が施行され、ユダヤ人は公務員として働くことが出来なくなる。国立大学の研究所長を務めていたハーバーは職を追われた。ハーバーはユダヤ系であったものの、キリスト教徒であり、それまで自分がユダヤ人だという自覚もなかったらしい。
そんなハーバーに、イスラエル建国を科学技術で手伝ってくれと声をかけたのがロシア生まれのユダヤ人科学者であるハイム・ヴァイツマン。のちのイスラエル初代大統領だ。ハーバーはこれに感動し、パレスチナへ向かうのだが、途中、スイスで病死する。
71：1909年7月2日フリッツ・ハーバー
私たちの体内に含まれる窒素の50%は自然からの恵みだが、残りの50%はこの日に一人の男が実現させた発明のおかげだ。その人物はかつて人類を救い、のちに人類の破滅を招く種をまいた。
76：硝酸塩（NO3）
1900年の時点で、チリは世界中で使用される天然肥料の2/3をまかなっていた。そのうちの1/3を使用していたのは、ドイツだった。
82：カール・ボッシュ＠BASF
カール・ボッシュは、自らの発明ではない技術の商業化を成功させてノーベル賞を受賞した最初の人物になった。
84：中国
1963年には、約300か所のアンモニア工場が稼働し、40か所以上で工場建設が進められていた。今や、およそ1億3000トンの窒素が空気中から取り出され、肥料として地面に撒かれるようになった。（中略）かつて、これほど大勢の人々がたくさんの食物にありつけた時代はなかった。
86：メキシコ湾
毎年およそ150万トンの窒素が流れ込む。窒素が過剰になったため、藻が異常発生して水面が覆われ、魚や軟体動物など湾に生息する他の生物のもとに酸素や日光が届かなくなった。藻の異常発生は、北半球の川や湖や海の生態系を破壊している。死んでいるのは魚だけではない。魚を食べる鳥たちも死んでいる。
ドイツの北に位置するバルト海は、世界で最も海洋生態系が汚染されている海域の一つで、1990年代にバルト海ではタラ漁ができなくなった。ヨーロッパを流れるテムズ川、ライン川、ムーズ川、エルベ川には、安全だと考えられている量の100倍以上の人工窒素が含まれている。
87：化学肥料から爆薬生産へ
1911年にカールスルーエからベルリンに移った頃、フリッツ・ハーバーは一人のドイツ生まれの科学者と友人になった。（中略）アインシュタインは家庭教師としてハーバーの息子に数学を教え、ハーバーは妻との離婚に苦労していたアインシュタインの力になった。
89:世界で最も破壊力のある爆薬、硝酸アンモニウム
BASFはもはや単なる化学企業ではなく、軍の機関と化した。かつてのオッパウ工場は人々に食べ物を供給するために24時間体制で稼働していたが、今では人々を殺すためにフル稼働していた。
92：化学兵器
1915年4月22日の木曜日、血みどろの激しい戦闘が繰り広げられていたフランスの古い交易都市イーペルに近い戦場で事件は起こった。（中略）午後5時、フリッツ・ハーバーは恐ろしい塩素ガス150tが入った6000個のボンベのバルブを開けた。ハーバーの傍らには、のちに全員がノーベル賞を受賞することになるオットー・ハーン、グスタフ・ヘルツ、ジェイムス・フランクという若い3人の科学者がいた。
97：ガス攻撃
ハーバーの毒ガスはこれで終わらなかった。1917年、彼は戦争で使われた化学兵器のなかでも最も危険なマスタードガスを使った最初の人間になった。最終的には風に吹かれてどこかに消える塩素ガスやホスゲンガスとは違い、マスタードガスは周辺にとどまり、地面や衣服、建物や道具類にも染みついた。すべてを洗い落とすことは現実的に不可能だった。マスタードガスは重度の結膜炎を引き起こすため、兵隊たちはほとんど目が見えなくなった。（中略）戦争が終結するまでに、フリッツ・ハーバーの化学兵器によって100万人以上が被害にあい、26千人が死亡した。
99：1933年アドルフ・ヒトラー政権発足
職業官吏再建法→ユダヤ人は公務員として働くことが出来ない
ナチスにとって、ハーバーは一人のユダヤ人でしかなかった。ナチス政府は、知識や学問を軽く見ていた。学者や研究者、知識人は、ドイツの誇りというより、むしろ危険な存在だった。
104：ハイム・ヴァイツマン（のちのイスラエル初代大統領）
ロシア生まれのユダヤ人科学者で、パレスチナにユダヤ人の国を作るために先頭に立って活動。
ハーバーの人生は一巡りして最初に戻った。ユダヤ人である自分を否定した後で、今や彼は完全にその事実を受け入れた。
2022年01月19日
マーガリンの大誤算
まず、どうして、心臓病が増えたか？
48：動脈硬化1900年代の初めまでは、ほとんどの人は細菌やウイルスの感染症によって命を落としていた。だが、20世紀に抗生物質やワクチンが開発され、安全な飲料水や菌のいない食品が手に入るようになり、人々の寿命は30年ほど延びた。みんなが長生きするようになったことで、結果的に心臓病が増えた。
要するに、「寿命が延びたから」なのだ。それは、がんも同じで、人類の歴史上、ほとんどの人は、感染症で若くして死んでいたため、がんにも心臓病にもならなかった。
67：まちまちの研究結果1970年代後半にマクガバン委員会が脂肪の総摂取量をカロリー全体の30%未満に抑えるべきだと強く勧告したときに、その必要性を裏付ける十分なデータは存在しなかった。（中略）複数の研究により飽和脂肪酸が心臓病の割合を高める可能性があることが示されていたのとちょうど同じ時期に、ウェールズの研究チームは不飽和脂肪酸が心臓病のリスクを大幅に高めるという正反対の結果を発表した。
51：もしFDA食品・消費者サービス担当次官補に就任したばかりの消費者運動家キャロル・タッカー・フォアマンがいなかったら、マクガバン委員会の指針（脂肪摂取の制限）は日の目を見ることなく葬り去られていたかもしれない。フォアマンは、委員会の勧告を政府の正式な政策に格上げすることを決定した。科学的調査によるはっきりした裏付けはなかったが、その事実をとがめられることなく、フォアマンは動き出した。
米議会のマクガバン委員会が、脂肪の取りすぎが心臓病のリスクを高めているという報告を出す。その調査は十分なものではなかったが、それをFDA食品・消費者サービス担当次官補の消費者運動家がこれを政府の政策にしてしまう。
52：マーガリンの発明と商業的成功1869年 ナポレオン3世は、兵隊に食べさせるためにバターよりも安価な代用品を求めていた。1911年、平均的な米国人は1年間で19ポンドのバターを食べ、マーガリンの消費量はわずか1ポンドに過ぎなかった。しかし、「心臓に良い」バターの代用品として売られるようになったマーガリンは、1957年には米国で1年間に1人あたり8.5ポンドが消費されるようになった。これは同年のバターの消費量とほぼ同じだ。
その際に、飽和脂肪酸が多いバターよりも、「心臓に良い」とされたのが不飽和脂肪酸の多いマーガリンだった。それまでは、安価だがマズいバターの代用品だったマーガリンが「健康にいい」とされて、消費量は飛躍的に伸びた。
62：25%のトランス脂肪酸を含むマーガリンのような食品が突如として「健康に良い代用品」に祭り上げられたトランス脂肪酸は、最悪の悪玉コレステロールであるLDLコレステロールを大幅に増やし、善玉コレステロールのHDLを大幅に減らす。ところが、多くのバターがマーガリンに置き換わって10年経っても、米国内の心臓病の発生率は上昇を続けていた。明らかにおかしいのに、政府の政策は変更されなかった。導入されたときは十分な調査がなかったのに、一旦出された「勧告を変えるには、もっと信頼性の高い証拠が必要」とされたからだ。
62：米国人の食事からトランス脂肪酸を完全に除けば、1年間に25万人の心臓発作とその関連死を予防できる（ハーバード大学）
2022年01月18日
神の薬 アヘン
6000年前の古代文明で発見され、それから現在まで姿を変えながら中毒者を生み続けているアヘン。その中毒性を取り除こうと、近代になってアヘン抽出成分からモルヒネ、ヘロイン、オピオイドが生み出されたが、それは毎回、誤った認識で広まり、新たな薬物乱用をもたらした。
オピオイド事件に至っては、ほんの10年前のこと。製薬メーカーも、処方する医師も、儲かるので処方箋が乱発された。それを止めるべき医療保険会社も、他の手間のかかる治療法よりも短期的には安上がりだったために、放置したというのも驚き。
そのつけは、数十万人に及ぶ過剰摂取による死者（その多くは若者）と、数十兆円に上る医療制度と司法制度の費用負担となった。それにしても、薬物問題に関しては、常にアメリカがダントツ。ベトナム戦争時に一般社会にまで広がってしまい、以来克服できなくなったとも言われるが、本当のところどうなんだろう。
16：最初の薬は、最初の文明から生まれた
6000年前、旧約聖書に登場するアブラハムの時代に、シュメール人がペルシアからチグリス川とユーフラテス川の間に移り住んできた。彼らは楔形文字を発明して40万枚以上の粘土板に書きつけ、農業を発明して大麦、小麦、ナツメヤシ、リンゴ、プラム、ブドウを栽培した。さらに、彼らはある植物を発見した。歴史上で、これほど多くの喜びと、多くの苦しみをもたらした植物は他にない。彼らはこの植物をフル・ギル「喜びをもたらす植物」と呼んだ。
ケシの実からとれるアヘンは非常に効力が強く、古代文明においては神から与えられたものだと考えられていた。（中略）アヘンを神からの贈り物だとする考え方は、20世紀まで続いた。1900年代の初めに、当時最も高名な意思にしてジョンズ・ホプキンス病院の創設者でもあったウィリアム・オスラーは、アヘンを「神の薬」と呼んだ。
19：中国での大流行
アヘンが中国に入ってきたのは紀元7世紀頃で、主に薬として使われていたが、菓子類に加えられることもあった。最初のうち、アヘンは気晴らしのような娯楽の一種だった。だが、ポルトガル人が中国に喫煙パイプを持ち込むと、様子は一変し、中国でアヘンは大流行した。
1839年にはイギリスからのアヘンの輸入量は560万ポンド（2540t）という驚くべき量に達した。少なくとも中国の人口の25%がアヘン中毒になっていた。中毒者が90%前後を占める地域もあった。中国社会は崩壊の危機に瀕していた。事態を受けて、中国政府はイギリス当局にインドからのアヘンの輸出を停止するように懇願した。しかし頼みは断られ・・・
1839年から1860年まで、中国とイギリスの間で2度のアヘン戦争が起こり、いずれも中国は敗北した。その結果、中国はアヘン輸入のために以前よりも多くの港を開放し、イギリスに2100万ドルの賠償金を支払い、さらに香港をイギリス統治領とすることになった。最終的に、中国ではアヘンは合法化された。1900年に中国は860万ポンド（3900t）のアヘンを輸入し、1300万人以上のアヘン中毒患者を出した。
23：モルヒネの誕生
1803年、20才の薬剤師見習いだったフリードリヒ・ゼルチュルナーは、アヘンに最も多く含まれ最も作用が強い成分の単離に成功した。（中略）ゼルチュルナーは大学教育を受けておらず、学位も、専門化としての身分も、自分の研究室も持たなかった。彼は新たに発見した成分の効果を、唯一試せる人間である自分の身体で確かめることにした。
27：ヘロイン
ドレゼルがバイエルンの上層部に新薬の発売を認めさせるのはたやすかった。（中略）1898年、バイエル社はヘロインという名前で新薬を発売した。アスピリンは医師たちが胃炎の可能性を心配したために処方箋がなければ手に入らなかったが、ヘロインは安全性が高いと信じられていたため、薬局で普通に買うことが出来た。
28：ヘロインとの戦い
ヘロインは胎盤を通過するため、ヘロイン中毒になって生まれてきた乳児は重度の離脱症状に苦しめられた。（中略）1910年には、医師たちがヘロインの危険性をはっきり認識し、使用料は減少した。一方、バイエルは1913年までヘロインを安全な薬として宣伝することをやめなかった。1918年には、NY市だけでも20万人以上がヘロイン中毒にかかっていた。
33：オピオイド
1986年NY 疼痛管理専門家ラッセル・ポルトノイ（31歳）『ペイン』
「オピオイド（アヘン類縁物質）維持療法は、悪性でないが難治性の疼痛があり、薬物の乱用歴がない患者に対して、安全で有益かつ人道的な代替療法になりうる」
34：パーデュー・ファーマ徐放性製剤オキシコンチンFDA承認
1996年に書かれたオキシコンチンの処方箋は30万枚を超え、パーデュー・ファーマは$44Mの純利益。2001年のオキシコンチン売上高は14.5億ドル。医薬品の売上として最高額。
医師たちはオキシコンチン特需に乗って、金やセックスのための処方箋をせっせと出した。
2007年には、14千人が処方鎮痛薬の過剰摂取によって死亡し、医療制度と司法制度の費用負担は550億ドルを上回った。
2008年には、処方鎮痛薬が原因で15千人が死亡した。これにより、30の州で鎮痛薬が事故死の最大の原因となった。
2009年、医療保険会社は処方鎮痛薬に関連する直接医療費720億ドルを負担した。
43：データがすべて
フリードリヒ・ゼルチュルナーは、モルヒネを発明したときに自分がパンドラの箱を開けて怪物を解き放ったのではないかと恐れたが、彼の警告は顧みられなかった。ハインリッヒ・ドレゼルがヘロインは安全だと主張した時、彼はわずか数人の人々に数週間薬を試したに過ぎなかった。そして、ラッセル・ポルトノイはオピオイド系鎮痛薬の使用を推奨する活動を全米で展開したが、その主張の根拠になったのは38人の患者だった。
2022年01月17日
パンドラの研究室
原著タイトルは、"Pandora's Lab"だから「パンドラの研究室」ということになる。
科学の革新は常に進歩を意味するわけではない。パンドラが伝説の箱を開けたときに放たれた凶悪な禍のように、時に致命的な害悪をもたらすこともあるのだ。科学者であり医師でもある著者ポール・オフィットは、人類に破滅的な禍をもたらした７つの発明について語る。
紹介される7つの例は、今から思うと、「なぜそんなことを
」ということもあるし、逆に昔は便利に使われていたものが、ある時、それに疑念の声が上がり、それが科学的にではなく、政治問題化して、使用が禁止されたものもある。
それぞれの例が、非常に興味深い。
」ということもあるし、逆に昔は便利に使われていたものが、ある時、それに疑念の声が上がり、それが科学的にではなく、政治問題化して、使用が禁止されたものもある。それぞれの例が、非常に興味深い。
はじめに
10：フランクリン研究所（フィラデルフィア）
1824年に設立された米国最古の科学教育機関の一つ。
2014「世界を変えた101の発明」企画展
Top3 低温殺菌、紙、火
11：世界最悪の発明リスト
1935ポルトガルの精神科医が精神病をわずか5分で治療できる手術を考案し、ノーベル賞を受賞したが、この手術を受けたジョン・F・ケネディ大統領の妹は生涯にわたる後遺症が残り、現在ではこの手術はホラー映画のテーマにもなっている。
13：科学は、パンドラの美しい箱になりえる
科学の力でどんなことができるのかを模索する私たちの好奇心が、時として多くの苦しみと死をもたらす悪霊を解き放ってしまうこともある。場合によっては、最終的な破滅の種がまかれることになるかもしれない。
2022年01月15日
「尖った人間」が何人いるか
今回のパンデミックでも明らかになったのは、日本に特異なゼロ・トレランス志向。冬季オリンピックを控えゼロ・コロナ策をとる隣国を別にして、欧米は何とか経済活動を正常に戻そうとしていて、それでも待てない国民のデモは常に「さっさと行動制限を止めろ」。
ところが、先進国で一番感染者が少ない日本の世論は「政府の対策が甘い」で、頼んでもいないのに「自粛ポリス」が現れる始末。それでなくても、世界一の少子高齢化の進む日本は30年間も経済成長がなく、賃金も上がらない。かたや、社会保障費は増える一方で、税収が増えないから、その分を赤字国債で賄っている。
経済成長がなければこの福祉国家を維持できないのは明白。日本人が変われないなら、積極的な移民を入れるしかないのではないか。そのためのしっかりした移民プログラムを作りたい。
278：日本人の低欲望化の傾向
単なる経済現象というよりも、日本中のあらゆる面で表面化してきている社会現象。
「責任を取りたくない」「責任を持ちたくない」という日本人の考え方〜こういう国民性は世界で見たことがない。
279：労働人口の減少
毎年40〜60万人。移民で補おうとすれば、10年間で400〜600万人。
発想や感じ方、生活習慣が全く異なる人たちがこれほどの規模で増えれば、この国の風景は一変。
284：「尖った人間」が何人いるか
20世紀の企業にとって成功の鍵は「人、モノ、カネ」。今は、モノもカネも溢れていて、特許などもカネ次第で使わせてもらえる。そんな21世紀における事業成功の鍵は、「人、人、人」。それも「尖った人間」が何人いるかが重要。
2022年01月14日
たった１つのシステムでいい
旅費精算や人事・給与システムなど21省庁で稼働しているシステム数は2013年末時点で1363あったという！皆、同じ国家公務員で同じ給与体系なのに、省庁ごとに発注されていたからだ。
中央集権では政策の実験が難しく、変化の時代に向かないことを昨日書いたが、よい点があるとすれば、全国同じシステムなので、全国統一で経費削減が図れること。ところが、中央省庁同様、都道府県や市区町村に別々のシステムが作られているので、まったくコスト削減になってない。そのために、昨今のコロナ対応でも、給付金を配るのに莫大なコストがかかり、そしてワクチン接種は自治体によってずいぶんと進捗が違った。
電子政府で知られるエストニアでは、銀行口座取引まで国が全部把握しているので、税金は自動で計算される。それで、税理士が消滅したという。
日本の税理士数は、78600人。税理士事務所には税理士一人に数名の補助員が付くのが普通だから、全国で数十万人の人が税金計算に関わっていることになる。税務申告そのものは経済価値を生み出すものではない。これだけのかなり有能な人たちがデータさえあれば機械でできることを毎年繰り返しているとすれば、それは1兆円以上の無駄になっているはずだ。
258：省庁こそムダの象徴
旅費精算や人事・給与システムなど21省庁で稼働しているシステム数は2013年末時点で1363！
261：たった１つのシステムでいい
日本国民が受けられるメリットは都道府県や市区町村によって変わるものではない。
270：エストニアの国民DB
国民はICチップの入ったIDカードで、国民DBからすべての行政サービスを受けられる。
eガバメントポータルへのログインや電子文書への署名も可能→投票も
銀行口座取引まで国が全部把握→税金は自動計算→税理士が消滅
275：国は小さいほど良い
バルト3国の中で最も小さいエストニアが最も一人当たりGDPが高く、最も財務基盤が強い。
日本の地方自治体でエストニア（130万人）と人口が同じくらいのところは青森県、岩手県、福岡市、京都市、川崎市、さいたま市など。
2022年01月13日
”無用の長物”地方議会
道州制によって、「ドイツ型やスイス型の連邦制に移行し、地方が三権と徴税権を持った地方自治を実現しなければ衰退する日本の復活はない」に賛成。変わらなければ未来はないとの合意はあると思うが、30年間ちっとも変われなかったのが日本。
その根本原因は何かといえば、日本は中央集権国家で、全国何から何まで同じ法律なので、変えることの合意形成が難しい点にある。賛成の人や団体もいるが、必ず反対する人もいる。既得権益などは、国民の大半が改革に賛成でも、政治力を持つのは票をまとめられる既得権益団体であることが多く、改革が進まない。
道州制にすれば、政治単位が小さくなり、合意が形成しやすくなる。変化のスピードが上がる。政治単位が小さいので、ダメなら戻したり、またピボットもしやすい。変化の時代に、大企業よりもベンチャーの方が適応しやすいのと同じだ。
自治体の必要条件は三権を持っていることで、道州制とは、各州が三権を持つことだ。その意味で、日本の都道府県は「地方自治体」ではなく、単なる地方公共団体だ。道州制への移行を前提にすれば、大都市を別にして、ほとんどの都道府県は小さすぎる。
但し、中央集権国家から道州制への移行に成功した国はあるのだろうか？道州制へ移行するということは、中央集権を司る三権はいずれもその権限を手放すことになる。連邦政府としての三権は残るが、大半は州政府に移譲される。
アメリカにしてもドイツにしても、国家成立以来連邦制なので、それが続いているだけ。革命が起こるか、さもなければ外国支配下で強制されなければ無理なのかもしれない。第二次世界大戦後、米軍に占領された時が、その意味では千載一遇のチャンスだったが、それまでの国による知事任命制が公選になっただけ。それも、中央官僚出身の知事が一番多いので、本質は変わってないのかもしれない。
その根本原因は何かといえば、日本は中央集権国家で、全国何から何まで同じ法律なので、変えることの合意形成が難しい点にある。賛成の人や団体もいるが、必ず反対する人もいる。既得権益などは、国民の大半が改革に賛成でも、政治力を持つのは票をまとめられる既得権益団体であることが多く、改革が進まない。
道州制にすれば、政治単位が小さくなり、合意が形成しやすくなる。変化のスピードが上がる。政治単位が小さいので、ダメなら戻したり、またピボットもしやすい。変化の時代に、大企業よりもベンチャーの方が適応しやすいのと同じだ。
自治体の必要条件は三権を持っていることで、道州制とは、各州が三権を持つことだ。その意味で、日本の都道府県は「地方自治体」ではなく、単なる地方公共団体だ。道州制への移行を前提にすれば、大都市を別にして、ほとんどの都道府県は小さすぎる。
但し、中央集権国家から道州制への移行に成功した国はあるのだろうか？道州制へ移行するということは、中央集権を司る三権はいずれもその権限を手放すことになる。連邦政府としての三権は残るが、大半は州政府に移譲される。
アメリカにしてもドイツにしても、国家成立以来連邦制なので、それが続いているだけ。革命が起こるか、さもなければ外国支配下で強制されなければ無理なのかもしれない。第二次世界大戦後、米軍に占領された時が、その意味では千載一遇のチャンスだったが、それまでの国による知事任命制が公選になっただけ。それも、中央官僚出身の知事が一番多いので、本質は変わってないのかもしれない。
248：”無用の長物”地方議会
地方自治体ではなく、地方公共団体。
自治体の必要条件は三権を持っていること。
ドイツの場合、16州それぞれが独自の州憲法、州政府、州議会、州裁判所を持っている。
アメリカも、条約・同盟・連合の締結や貨幣の鋳造を除く大半を各州が決める。
249：機能も権限もないのに日本の地方議員は高給
都道府県議や大都市の市議の場合、報酬と政務活動費の合計は年間2000万円前後。
意味がない上、議員活動の実態がパートタイム型であるにもかかわらず。
海外の地方議員は無給、もしくは少額の報酬や手当。
253：都道府県を「成長のエンジン」に
たとえば「英語教師は日本の『教員資格』を持っていなければならない」といった全国一律の規制を打破する。母国語が英語の国で国語の教員免許を持っている人は、正規の英語教師になれる。
254：なぜ同じWW2の敗戦国でありながら、中央集権の日本とは180度異なる地方分権の統治機構がドイツにできたのか？
ドイツでは占領軍がナチスを再興させないために中央集権を忌避。その後58回憲法改正したが、地方分権の根幹は変わらず。
256：日本の場合、地方は国がコーディネイトしなければ何もできないが、ドイツの場合は各州に外務大臣や産業大臣がいて、企業のグローバルな活動を州が支援。
2022年01月12日
”ブラウン管テレビ”を作るような教育
「”ブラウン管テレビ”を作るような教育」とは、言い得て妙。確かに、話題になるのは、入試制度改革ばかりで、「日本の教育をどうしたいのか」のグランドデザインが見えてこない。実はしっかり議論されていて、それが定まった結果、「入試制度改革もその一部として実施されている」というのなら、いいのだが。
本質的な問題は入試制度ではなく、日本の大学で教えていることが「21世紀の世界に合わなくなっている」こと。メーカーの生産に喩えれば「そもそも、どういう商品を作らなければならないのか」という商品設計の議論がないまま、製造プロセスを見直して品質管理のポイントや回数を変えていこうという議論。
226：大学ランキングは「卒業生の給料」で決まる
卒業生に「稼ぐ力」があるか否か、「値札」がつくか否かが、大学の格を決める。
227：推薦入試・AO入試
高校卒業レベルの学力がない。
230：大学を減らして職業訓練校を作れ
いま世界で強いのはドイツとスイスだが、この２国はともに大学進学率が４割くらいで、あとは高校時代から職業訓練専門学校に向かう。職業訓練専門学校の多くが「デュアルシステム」。１週間のうち２日間は学校で理論を学び、３日間は会社に行って実習をする。職業訓練専門学校を卒業すれば20歳で自分の腕で食べていけるだけの技術を身につけることが出来る。
2022年01月11日
アジアの富裕層のための「終の棲家」
今後も日本が国力を維持するには移民の受け入れしかない。いったん下がった出生率を上げるのに成功した国はほぼない。フランスがよく成功例として挙がるが、一部は移民が増えたことによるものだし（米国同様、移民の出生率は高い）、婚外子が半分以上という状況がいいのかどうかは慎重になるべきだと思う。
政府は不妊治療に補助金を出したり、子育て世代への支援を増やしているが、国民負担に見合うだけのリターンがあるかどうか。それなら、しっかりした移民政策を作って、優秀な人材に来て活躍してもらうほうが確実な気がする。
「アジアの富裕層のための終の棲家」というアイデアはいいと思う。治安が良くて、食べ物がおいしく、マリンスポーツからスキーまであらゆる観光資源が揃う日本は、アジアの富裕層にとって憧れの場所だ。それが、所得税と相続税が高いため、移住につながらない。資産税と付加価値税の二つだけにして、中国や香港、台湾、シンガポールなどの金持ちを呼び込むというのはありうる。
186：金持ちの海外逃避
富裕層を中心に相続税対策や節税目的の海外移住が急増。
192：日本ならではの移民システムを作れ
�．哀蹇璽丱襯好董璽�
世界中から野心あふれる優秀な人材を年間1000人くらいずつ呼び込む。
�▲汽爛薀ぅ咼献優�
医師、看護師、介護福祉士、弁護士、消防士など士ビジネスの担い手。
�Ｆ�本版グリーンカード
一般労働者。外国人労働者を年間30万人規模で受け入れなければ立ち行かなくなる。
189：アジアの富裕層のための終の棲家
今や世界は、いかに金持ちに自分の国へ来てもらうかという競争。
日本は金持ちにとって最もコンフォタブルな場所（治安、食、温泉、スキー場からサンゴ礁まであらゆる天然・観光資源）
現行の税を全て撤廃し、資産税と付加価値税の二つだけにする→中国や香港、台湾、シンガポールなどの金持ちが日本移住。
2022年01月10日
世界都市ランキング
東京と欧米都市との違いの一つは、集積度。国全体の人口密度は日本のほうが高いのだが、首都に限ってみれば、東京はロンドンやパリに比べて人口密度は低い。
それは、山手線の内側で平均3階建てという建物の違いにある。欧州都市の都心部は平均で6階建てだ。東京はタワマンが容積率が緩和された地区に建ち並ぶ一方で、多くの地域には戸建てが残る。まだまだ余裕があるのだ。
161：都心回帰
千代田、中央、港の都心3区は超高層マンション建設で人口増加が著しい。
リタイヤしたシニアたちも郊外から都心回帰。
168：パリ並みの6階建てにすれば、新たにできたビルの床面積の半分は売却できるので、再開発費用は自己ファイナンスで賄える。
179：マリンレジャー
島国・日本の海岸線は約35000kmに達し、そこには世界最多の約3000もの漁港。多くは税金で建設。にもかかわらず、そのほとんどすべてを漁民が占有して、一般市民には解放されていない。
2022年01月09日
スタグフレーション？
これまで「いつまで続くわけがない」と言われながら続いてきたデフレ。それが海外のインフレで環境が変わりそうだ。
一番影響力が大きいのは、世界最大の経済大国である米国。リーマンショック以来金融緩和が続いてきたのを正常化に向けて動き出していたのが、コロナで逆戻りに。その分、インフレのマグマは溜まり、FRBはテーパリングを早めようとしている。
米国が正常化に向かって動き出せば、ドル高円安になる。そこにコロナから経済回復で、資源高が加われば、石油も天然ガスも食料も輸入に頼る日本は貿易収支が一気に赤字になる。これで円安が加速し、輸入インフレにると、1972年の石油危機の再来でスタグフレーションの可能性がある。
107：優れたトップは一つのことだけを言う
良い会社の経営者は「我が社の問題はこれだ」と一つのことしか言わない。一つのことを、4〜5年かけて徹底的に実行させる。
126：中小企業金融円滑化法（モラトリアム法）2009~2013
まさかの返済猶予継続で、モラルハザード。
すでに寿命は尽きているのに、病室で生き続けている患者のような中小企業だらけ。
144：「地方創生」は万策尽きた証左
中央から地方にカネを注ぎ込んでうまくいったのは日本が中進国だった高度成長期だけ。その後は大半の地方が中央からの交付金や補助金に依存するようになり、自助努力をしなくなって衰退。
自民党はアンコールの声がかかるたびに、「日本列島改造」だの「ふるさと創生」だの「地方振興」だのと名前を変えて地方にカネをバラまいてきたわけだが、その効果が全くないことは、すでに歴史が証明している。
2022年01月08日
皆が等しく貧乏になる国
トマス・ピケティ『21世紀の資本』が引用されている。ピケティ教授の主張は「経済成長率(g)よりも資本収益率(r)が高いため、多くの富を持つ者にさらに富が蓄積して格差が拡大する。g<rの不平等を是正するために、所得ではなく資産に対する課税を強化しなければならない」というものだった。
過去20年間の「格差」傾向を見てみると、確かに多くの国で不平等が拡大している。しかし、それは中国やロシア、ブラジル、インドで顕著に起こったことで、所得再分配機能がもともと強い日本や欧州ではほとんど確認されていない。米国はジニ係数（所得不平等さ）がもともと高いが（それだけ才能に対して高い報酬を払っている）、上位1%の富の独占度ではブラジル、ロシア、インドに及ばない。
問題は、欧州の多くの国はその間に経済成長し所得が上がっているが、日本はほとんど成長していないことだ。経済成長してないのだから、所得も上がらない。政治が低所得者層に媚びた政策をとるあまり、「皆が等しく貧乏になる国」になってしまっている。
23：日本は富の再配分が最も進んでいる国の一つ
クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・データブック」
26：日本相続税強化
そこそこの収入や資産を得たら、それ以上に収入や資産を増やそうというインセンティブはなくなる。
30：皆が等しく貧乏になる国・日本
21世紀の国際競争とは、優秀な人材の取り合い。しかし、日本はそこに参加することさえできない。日本の所得税の累進税率や相続税の税率を聞けば、日本に住みたいという優秀な外国人はいない。
35：日本は「最も社会主義化した資本主義国」
資産家に対して累進課税で高税を課すべきだというピケティ教授の主張は、全く当てはまらない。
2022年01月07日
「坂の上の雲」を見なくなった日本人
2013年、「GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の経済成長」を実現すると約束して始まったアベノミクス。超金融緩和で株価は上がったものの、経済成長率とインフレターゲットは一度も目標を達成することなく2020年退陣。
既に先進国最悪の政府財政の中で、かつてない規模で金融緩和と財政出動を行った。目標が達成できなかったのだから、総括と反省がなければならないが、それは記憶にない。日銀の黒田総裁はまだその職にある。アベノミクスを主導してきた経済政策ブレーンの浜田宏一（米エール大学名誉教授）や本田悦郎（静岡県立大学教授）、さらに彼らがわざわざ日本に招待して安倍首相に引き合わせたノーベル経済学賞のポール・クルーグマン（米プリンストン大学教授）らは、どう考えているのか。
これらの学者はいずれも実績十分な経済学者なのに、どこで間違ったのか？大前は、「20世紀の世界を支配してきた経済秩序は、もはや21世紀の日本経済には通用しなくなっている」という。世界に類のない「低欲望社会」が出現した日本では、いくら金利を下げても誰も消費しようとしないのだ。
はじめに：「坂の上の雲」を見なくなった日本人
5：2012年末に誕生した安倍晋三政権は、経済政策「アベノミクス」により、今後10年間の平均で名目GDP成長率3%程度、実質GDP成長率2%程度の経済成長を実現すると約束した。
8：世界に類のない「低欲望社会」が出現
20世紀の世界を支配してきた経済秩序は、もはや21世紀の日本経済には通用しなくなっている。従来の経済理論を振りかざすマクロ経済学者たちが考えていることとは、かけ離れた世界。
10：日本の若者のDNAが変異した
成熟国家となった今の日本の国民には、自分たちが目指すべき夢や理想、いわば「坂の上の雲」が見えなくなってしまっている。
2022年01月06日
無知は絶対に悪か
「自らの無知を認めよ」は東洋思想だと紹介されているが、そうなのか？ソクラテスだと思っていた。まぁ、世界各地で考えた居た人はいると思うが。
277：無知は絶対に悪か
世界はあまりに複雑で、およそ個人の理解を超える。無知は腹立たしいかもしれないが、問題は無知そのものではない。無知を認識しないがゆえに、厄介な状況に陥ること。
278：ダニング・クルーガー効果
パフォーマンスが低い人ほど、自らのスキルを過大評価する。
279：コミュニティの判断力を高める
東洋思想「自らの無知を認めよ」
知能は特定の個人ではなく、コミュニティの中に存在する。このためコミュニティの知恵を引き出す意思決定の手続きは、比較的無知な個人の力に頼るものより優れた結果をもたらす可能性が高い。有能なリーダーとは、コミュニティをもり立て、その内に宿る知識を活用し、メンバーのなかで最も専門能力が高い者に責任を委譲できる人。
280：コミュニティはときとして極端で誤った見解を持つこともある。個人は自らを欺くことがあり、集団はメンバー同士が欺き合うのを助長することもある。そうでなければ、カルト集団のカリスマ的宗教指導者が前後の見境をなくしたときに起こる悲劇が説明できない。
2022年01月05日
ナッジ
日本で昔からよく言われるのが、「もっと金融教育を」という議論。曰く、「欧米人の金融リテラシーは高いが、日本人は低い」云々。
本当にそうかというと、研究結果では全くそんなことはないという。例えば、欧米人、特にアメリカ人の金融資産に占める株式保有比率が高く、結果、長年の株価の上昇で大きな恩恵を受けているのは（米国株はこの30年で10倍になっている）、金融リテラシーが高いからではなく、昔から501kなど無税で株式に長期投資できる制度があったからだ。
世界中の政府や団体が金融教育プログラムに数十億ドルを注ぎ込んできたが、成果は上がっていない。（中略）こうした教育プログラムの効果はほぼゼロ。多少効果が見られた場合でも、教育を受けて数か月以内に消えてしまった。こうした試みが失敗した原因は、意思決定を個人の問題としてとらえたことにある。（中略）個人は独力で意思決定をするのではない。選択肢を考え、提示し、アドバイスを与えるのは他者である。しかも私たちは他人の意思決定をマネすることもある。
つまり、個人の理解力は限られるし、個人は独力で意思決定をするものではない。従って、「ナッジ（軽く突く）」で、「行動科学を使ってより良い判断、すなわち意思決定者が本当に望んでいることと整合性のある判断をさりげなく勧める」のがいい。これを、リバタリアン・パターナリズム（穏やかな介入主義）という。
245：科学コミュニティもチームワーク
論文1本当たりの筆者の数
1950年 平均1.5人
2014年 約5.5人
259：スキンケア＝産業そのものがエセ科学に立脚
エセ科学的な専門用語を使い、エビデンスらしきものを示す。一見すばらしいテクノロジーを採用しているが、そこには医学的価値のあるエビデンスは一つもない。
260：消費者が金融についてより良い意思決定をできるようにするという試みは、幾度も繰り返されてきた。
268：リバタリアン・パターナリズム（穏やかな介入主義）
シカゴ大学リチャード・セイラ―、ハーバード大学キャス・サンスティーン
「人は常に最高の判断を下すわけではない。自らの目標を達成するのに最も有効な選択肢を必ずしも選ぶわけではない」
行動科学によってそうした状況をよい方向に変えられる、それによって私たちの意思決定を改善できる。
272：ジャスト・イン・タイム教育
消費者にちょうど必要とするときに情報を与える。
高校の授業で借金や貯蓄に関する基礎知識を与えても、それほど役に立たない。私たちは詳細な情報を覚えるのが得意ではない。高校生たちが重大な金融に関する意思決定をする頃には、複利の威力や資産の分散投資のメリットなどはすっかり忘れられている。消費者が金融知識を必要とする直前に教育すれば、情報は頭にしっかり残っており、学んだ内容を実践する機会もある。そうすれば知識が定着する可能性も高い。
2022年01月04日
賢さの定義
シリコンバレーの有名なインキュベーターY combinatorでは、一人の創業者しかいないベンチャーへの投資を避けるという。一人ぼっちの創業者には、仲間をがっかりさせまいとする「チームスピリット」を発揮する機会がないので、スタートアップの成功に必要な粘り強さがなく、簡単に諦めてしまうという。
一方で、私の経験からは、友達同士で創業したというのも危ない。たとえ長年の友人であっても、仕事を一緒にしていないと、仕事をしたときの期待感や価値観が違うことが往々にしてある。一緒に遊んでいるときとは話が違うのだ。
そのため、半年〜1年くらいで、仲違いする場合がある。どちらかが継承して、責任をもって進めればいいのだが、最悪空中分解してしまうこともあるので、投資家としては注意が必要だ。
212：キング牧師が偉大な人物で、演説をしたことは知っている。だがどんな人物であったのか、演説の内容がどんなものであったか、その演説をしたときに具体的に何を勝ち得ようとしていたかをよく理解している人は少ない。
それ以上に欠落しているのは、キング牧師に名声をもたらした公民権運動全体に対する知識だろう。キング牧師は傑出した人物だったが、60年代に公民権法が制定されるまでの困難な闘いにたった一人で挑んだわけではない。
214：個人を英雄にまつりあげること、それと引き換えに彼らが代表するコミュニティの果たした役割を正当に評価しないことは、複雑な歴史を単純化する手段となっているだけではない。こうした人物に対するイメージは、彼らが参画した出来事に対する私たちの認識も形作る。
224：有能な集団にはg因子（知能スコア）が高い人が大勢いる必要はない
必要なのは、異なる能力を持った人がバランスよくいること。狩り、家の建築、船の操縦などどんな作業も、異なる能力を必要とする異なる構成要素でできている。その作業をするのに必要な能力がチームにすべて揃っていれば、最高の成果が出せる。
229：Y combinator
ベンチャー企業が当初のアイデアを頼りに成功をつかむことはめったにない。アイデアは変化する。だから一番重要なのは、アイデアではない。アイデアの質よりはるかに重要なのは、チームの質。優れたチームは、市場の実態を調べて優れたアイデアを見つけ、その実現に必要な作業を遂行することによって、ベンチャー企業を成功に導く。優れたチームは、個人の能力を活かすような形で役割を分担する。
231：上司が考慮すべきは、特定の従業員が関与しているプロジェクトは、他の従業員と比べて成功する確率が高いかどうか
管理職が部下を評価するときには、頭の回転が速く魅力的な人物であることと、社業への貢献度を混同しない。
2022年01月03日
国民投票
「民主主義は最悪の統治形態である。ただし、他のすべての形態を除けば」
は、第二次世界大戦時の英国首相だったウィンストン・チャーチルの言葉として有名。実は、彼はこうも言っている。
「民主主義を否定する根拠を得たいなら、平均的な有権者と5分話してみればいい」
彼は、民主主義の利点と欠点をよく理解していた。
208：市民の直接投票こうした手法は知識の錯覚を考慮していない。個々の市民が、複雑な社会政策に対してしっかりとした情報に基づく判断を下すだけの知識を持っていることはめったにない。すべての市民に投票権を与えることで、群衆の英知のよりどころである、優れた判断に役立つ専門家の知識がかき消されてしまう。
チャーチルの母国イギリスで5年前の2016年にEU離脱の国民投票が行われて、イギリスは昨年EUを離脱した。いわゆるBrexitだ。それまでEUの中で経済も株価も好調だったが、その後どちらも低迷している。
時代の流れに反する行動をとったのだから当然だが、どうしてこんな投票結果になったのか。国民投票に持ち込んだキャメロン首相は、まさか負けると思ってなかったので、これでEU離脱論争に決着をつけるつもりだった。
それが予想外の敗北を喫したのは、EU離脱派が「EUから『独立』する」という感情論に持ち込んだからだ。これに対して、EU残留派はEU残留による合理的メリットを訴えたが、東欧からの移民が増えていることに漠とした不安を抱え、またEU加入によるメリットを実感していなかった層には響かなかった。
議会制民主主義の母国で、安易に国民投票に頼った挙句、こうした結果になったのは残念。私もポンド下落で、母校のVCファンド出資分が大損になった
時代の流れに反する行動をとったのだから当然だが、どうしてこんな投票結果になったのか。国民投票に持ち込んだキャメロン首相は、まさか負けると思ってなかったので、これでEU離脱論争に決着をつけるつもりだった。
それが予想外の敗北を喫したのは、EU離脱派が「EUから『独立』する」という感情論に持ち込んだからだ。これに対して、EU残留派はEU残留による合理的メリットを訴えたが、東欧からの移民が増えていることに漠とした不安を抱え、またEU加入によるメリットを実感していなかった層には響かなかった。
議会制民主主義の母国で、安易に国民投票に頼った挙句、こうした結果になったのは残念。私もポンド下落で、母校のVCファンド出資分が大損になった
210：優れたリーダー
人々に自分は愚かだと感じさせずに、無知を自覚する手助けをする必要がある。容易なことではない。目の前の相手だけでなく、誰もが無知であることを示す、というのが一つのやり方。
2022年01月02日
風味絶佳
いわく、恋愛小説の名手。
表題作の「風味絶佳」（谷崎潤一郎賞受賞）は、もちろん、森永ミルクキャラメルのパッケージから来ている。
「滋養豊富 風味絶佳」
滋養豊富は分かるが、風味絶佳とは？そういえば、読み方もこれまであやふやだったが、「ふうみぜっか」。絶佳とは「非常に優れている」という事らしい。キャラメルのパッケージ以外で見たことがないが、このパッケージが誕生した大正時代には一般的な言葉だったのだろうか。
本書、6編の短編小説集なのだが、個人的には2本目の「夕餉」が良かった。
夕餉（書き出し）：私は、男に食べさせる。それしか出来ない。私の作るおいしい料理は、彼の血や肉となり、私に戻って来る。
あとがき：以来、私は、好き好き好き、と登場人物に言い続けた。しつこく、しつこく追いかけてくり返した。好き好き好き。すると、どうだろう、登場人物が、私の許に近づいてきたではないか。嬉しい！でも、まだ油断出来ない。もっと続けよう。好き好き好き。ほとんど念仏である。飽きる程、唱えていたら、呟く言葉が、いつのまにやら変わってた。好き好き好き、でも嫌い、やっぱり好き、でも嫌い。なるほど、好きなだけではいられないからこそ、恋。
2022年01月01日
大河ミステリー
正月休みで、珍しくミステリー。NHKで直木賞のドキュメンタリー番組を見て、今年の直木賞候補作として知った。
40年前、高校生の時に起こった大量殺人事件を機に、仲の良かった5人組は疎遠になる。それを再び結びつける新事実。
幼馴染と犯罪が絡む点で、映画「スタンド・バイ・ミー」や「ミスティック・リバー」を連想させる。
「そんなものをおれたちは、人生とは呼ばない」
幼馴染と犯罪が絡む点で、映画「スタンド・バイ・ミー」や「ミスティック・リバー」を連想させる。
「そんなものをおれたちは、人生とは呼ばない」
104：キョージュの日本近代文学序列
永井荷風さん「人生の師」
森鷗外「大先生」（頂点）
幸田露伴、夏目漱石「先生」
志賀直哉、芥川龍之介、谷崎潤一郎「師」
太宰治、坂口安吾
135：映画『青春の殺人者』
甘ったれのガキがしでかす親殺しの話。出来損ないの息子に出来損ないの親が殺される。
140：生き残りたかったら想像しろ。想像力をなくしたら負けなのさ。どんな場合でも、いちばん起こってほしくないことを想像するんだ。
