2020年09月
2020年09月30日
世界規模のウェブ
ここから第二巻。第6章は「世界規模のウェブ」の形成（1450-1800)。大航海時代である。
この背景には、「船のデザインと航海術における革命」があった。それをリードしたのはポルトガルで、エンリケ航海王子（1394-1460)は、「スペインからユダヤ人の学者たちを招き、サグレスに航海学校を作り、イスラムとの戦いに勝利するために喜んでイスラムの科学を利用した。そのため、喜望峰を初めてまわったのも、大西洋とインド洋の交易路を最初に直接結びつけたのもポルトガル人」となった。
ポルトガルの栄華は長くは続かなかった。いろいろな説が言われているが、定説としては、次の3つだろう。
・もともと人口が少なく（100万人程度）、世界に広がった帝国経営ができなかった
・外交の失敗。スペインに近づいてはイギリスににらまれ、スペインが力をつけて関係が悪くなると、イギリスに従属。
・香料貿易をポルトガルの海上貿易に奪われたベネツィアだが、紅海経由の新たな陸路を開発して、競合するようになった。
ポルトガルの栄華は長くは続かなかった。いろいろな説が言われているが、定説としては、次の3つだろう。
・もともと人口が少なく（100万人程度）、世界に広がった帝国経営ができなかった
・外交の失敗。スペインに近づいてはイギリスににらまれ、スペインが力をつけて関係が悪くなると、イギリスに従属。
・香料貿易をポルトガルの海上貿易に奪われたベネツィアだが、紅海経由の新たな陸路を開発して、競合するようになった。
231：1450年の時点で、世界には3.5-4億人の人間が暮らしていて、数千種類の言語を使い、数百種類の宗教を信じ、数百人の政治指導者に従っていた（ただし、どんな指導者に従わない人々も数百万人ほどいた）。4千年に渡る文明、特定の土地に縛られずに人々を改宗させていく宗教、巨大な建築物などの影響にもかかわらず、人類は深い意味で一つのコミュニティと呼べる状態ではなく、世界はいまだに途方もない多様性に支配されていた。235：旧世界のウェブ「旧世界のウェブ」を一つに統合していたのは、何千というキャラバンの経路や海上の航路だった。中でも顕著な役割を果たした経路が二つあった。・シルクロード（中国北部から地中海と黒海沿岸まで）ローマ帝国や漢の時代から旅行者が定期的に利用。イスラム教、仏教、キリスト教もここを通って伝わったし、綿、メロン、サクランボ、ブドウといった作物や、さらには天然痘や腺ペスト、銃、火薬、鐙もここを運ばれていった。交通がピークに達したのは、政治状況によって平和が維持され、支配者が盗賊を押さえつける力と先見性を持っていたおかげで輸送の際の護衛が安価ですんだ時期だった。・海路（朝鮮、日本、中国南部から南に向かい、東南アジアの島々を抜け、マレー半島をまわってインド洋からペルシャ湾や紅海に達する航路）ずっと古い時代に季節風を利用する方法に精通した人々によって開かれる。海賊に襲われる危険や、途中の「関所」を支配する権力者が要求する通行料といったさまざまなリスクのせいで、交通量は一定しなかった。239：インカ帝国1440-1520年ごろに、南はコロンビア、北はアルゼンチンからチリに達する帝国を作り上げた。周囲を征服するにあたっての迅速さと、700万―1200万を超える人々を政治的、文化的に高度に統合したという点で、インカの力は卓越していた。インカ帝国は征服した土地をアンデス山中や太平洋沿岸部の道路のネットワークで結び、運搬に利用できる河川がないという欠点を補った。241：ウェブの類似点と相違点人々は限られた数の規範に従うようになり、文化的多様性はかなり減少した。だが、それと同時に、ウェブは生産の専門化と労働の分割を促進し、さまざまなコミュニティがそれぞれ異なる作業に従事する、経済的多様性も進展させた。さらに重要なのは、専門化と交換によって資源をさらに効率的に利用することが可能になり、富が生じたことだった。この富の配分はきわめて不均一だった。242：船のデザインと航海術における革命15世紀のうちにユーラシアの科学と職人の技術が結びついて、ヨーロッパの大西洋に近い地域に二つの決定的な変化が生じた。・頑丈でスピードが速く建造費も航行費用も安い船世界中の海を航行でき、重い大砲を多数搭載することもできた。・航海に関する知識全体的な風の循環および海流についての理解と、天体を観測して現在位置をかなり正確につかむ能力を組み合わせたもの。245：船と政治エンリケ航海王子（1394-1460)スペインからユダヤ人の学者たちを招き、サグレスに航海学校を作り、イスラムとの戦いに勝利するために喜んでイスラムの科学を利用。そのため、喜望峰を初めてまわったのも、大西洋とインド洋の交易路を最初に直接結びつけたのもポルトガル人。247：中国の船鄭和（1371-1435頃)鄭和の艦隊の最大の船は、後にコロンブスが指揮した最大の船の6-10倍、1497年にジョン・カボットが乗った船の30倍も大きかった。コロンブスの最大の航海（4回にわたる航海の2回目）には17隻の船と1500人の船乗りが動員されたが、鄭和の最初の航海では317隻の船に約27000人が乗り込んでいた。253：奴隷商人当時のアフリカでは、ある人の裕福さを測るのに、子供、妻、召使、奴隷といった人間の数で判断するのが普通。アフリカに土地はふんだんにあったが、人間の数は少なかったから。多くの人間を従えていることは、地位、権力、富、安全を意味した。これを達成するには奴隷を売るのが合理的。捕獲することで奴隷を安く手に入れ、銃、タカラガイ、鉄と交換すれば、新たな妻や子供を手に入れたり、さらに多くの奴隷を捕獲したりできる。アフリカ人というアイデンティティの共通認識が存在しなかったため、奴隷商人が奴隷たちの運命に何の感慨も抱かなかった。奴隷貿易がアフリカに与えた影響は、大部分が間接的なもの。400年間に奴隷にされた2500万人という人数は、アフリカの総人口からするとごく小さな比率。影響が最も大きかったアンゴラでさえ、自然な原因による年間の死亡者数は、奴隷にされた人数の5-10倍。283：清朝中国とステップ地帯東部の統治に清朝は全体として非常に成功し、ステップ地帯の指導者と中国皇帝を兼ねたアイデンティティをうまく維持した。領土の拡大に伴い、清朝の帝国は1.4億人の人口を抱え、それが1800年には3.5億人を突破した。これは当時の世界人口の1/3を超えている。289：軍備の革命こうした一連の革新は、船舶、大砲、マスケット銃、火薬、要塞といったハードウェアと、訓練、軍事技術、兵站のための官僚機構、財政制度といったソフトウェアからなっていた。軍備における革命の進展と拡大は世界各地できわめて不均一だった。軍事機構や財政制度は既存の社会や生活環境の状況にあわせて形成された。(中略）森林のないエジプトが大規模な海軍を持つことはできなかったし、識字率の低い社会が物資補給のための官僚組織を整備しようとしても、どんな規模であれ不可能だった。遊牧民は要塞を建設できなかったし、騎士道精神が特に強い社会の場合は、歩兵隊や砲兵隊を組織して防御施設を建設することが可能だったにもかかわらず、そうしないことが多かった。イスラム世界では利子を取ることがコーランで禁じられていたため、銀行制度を構築することは難しかった。まとめ労働の分配と専門化が進み、世界はいくらか豊かになった。しかし、新しいつながりや交流を徹底的に利用できるのは一部の人に限られ、他の人々はその恩恵に浴さないことから、世界は以前より不平等になった。さまざまな病原体が地球上のどこにでも均質に存在する状態が徐々に生まれ、その結果、より多くの人間たちが同じ種類の感染症にさらされ、同じように免疫を獲得するようになった。このため、感染症は拡大しにくくなった。商業的なつながりや国家の管理する分配システムにより、穀物は最も値段が高い場所へと迅速に移動したため、飢饉の起こる頻度や程度は次第に緩和された。ウェブは世界の農業を収斂させ、同じ穀物が世界のより広い地域に広がって、ますます多くの地域が商業的農業を営むようになった。
2020年09月29日
ウェブの濃密化（1000-1500年）
乱暴で向こう見ずで、イスラム世界からは「蛮族」と見なされていた中世ヨーロッパのフランク族。好奇心も旺盛であったフランク族は進んだ旧世界から文化や技術をどんどん取り入れていった。
そのことを、同じく大陸から進んだ文明や技術を取り入れた日本と類似しているとの見解は、梅棹忠夫『文明の生態史観』（論文1957、出版1967)と同じなので、その見方を取り入れていると思うのだが、引用されていなかったのは不可解。小松左京は、これを「戦後提出された最も重要な『世界史モデル』の一つ」と言った。
「それはこれまで東と西、アジア対ヨーロッパという、慣習的な座標軸の中に捉えられてきた世界史に革命的といっていいほどの新しい視野をもたらした」
第5章 ウェブの濃密化（1000-1500年）農業と文明はどちらも新しい領域へと拡大を続けたが、既に条件のいい地域はほとんどが占有されていたために、拡大のスピードは以前より緩やかだった。むしろ最も重要な展開は、ユーラシアとアフリカの大部分において地域内での交流が深まったことだ。これは主に、水上輸送が改善されたことと、交易を促進し労働の専門化を促す技術や知識が普及したことによるものだ。この時期は「旧世界のウェブ」の拡大よりもむしろ統合の時代だった。192：乱暴で向こう見ず、しばしば粗野で、常に好奇心旺盛なフランク族（イスラムの側からの呼称）は、ユーラシアの反対側の端に位置する日本と同じように、周囲の文明化した民族が数えきれないほど多くの点で自分たちに優っていることを自覚していた。そのため、フランク族も日本人も、どこから伝わったものであろうと有望で新奇な手法なら何でも試してみた。それで西ヨーロッパ人たちは1500年までに、周囲のビザンティン帝国やイスラムから驚くほど多くの知識を吸収し、遠く離れた中国からも同じように多くの技術を輸入した。つまり西ヨーロッパ人は、「旧世界のウェブ」の中で流通するイスラムやビザンティン帝国の思想、商品、実践を制限なく取り入れることで多くの富と力を獲得したのだった。207：「旧世界のウェブ」の太平洋側「旧世界のウェブ」の太平洋側と大西洋側の類似性には著しいものがある。どちらにおいても複数の人種が参加し、地域言語の識字率が高まることで地方の国家が強化され、民族的、文化的な自立性が高まった。日本の「封建制」は中世ヨーロッパのそれに似ていたし、太平洋の船乗りたちのすぐに暴力に訴える傾向はバイキングの行動に似ていた。207：朝鮮、日本、安南が仏教を国教に中国は845年に仏教寺院を弾圧したため、中国仏教は反体制的な地下運動になった。しかし日本では仏教のさまざまな宗派が人気を集めて繁栄し、反目し合い、ときには武装までするほどだった。仏教が反映する中で、日本人は儒教や道教の教えを古い土俗的信仰と混淆させてもいった。もともと天皇家の私的な儀式から発達した神道が次第に人気を得るようになると、日本の文化的アイデンティティはようやく安定した。ラテン=キリスト教世界の人々が同時代のビザンティン帝国やイスラムの様式を模倣し、そこから離脱したように、日本の美術、文学、音楽は中国の様式を自由に模倣し、そこから新たな出発を試みることが出来た。「旧世界のウェブ」の中核地域で1000年から1500年にかけて起きた変化は、世界のそれ以外の地域におけるどんな出来事よりも激しかった。5世紀にわたって相互交流が増え、専門化が進み、断続的にではあっても生産が拡大し、市場価格や政治的な命令に応じて人類の労働力がますます結集されるようになったことは、「旧世界のウェブ」の中核地域が持つ権力と富をかつてなかったほど巨大にした。それと同時に、「旧世界のウェブ」はとりわけ西端のヨーロッパ地域でますます不安定になっていった。やがてそこで起きる劇的な変化は、その後の数世紀にわたって地球上のすべての地域の様相を変えていくことになる。
2020年09月28日
旧世界とアメリカにおけるウェブの発展（200-1000年）
どの古代文明でも、権力者は、聖職者からやがて戦士に変わっていった。富の源泉である農業にとって、一番大事なのは暦だからだ。古代の聖職者は天文学者でもあった。
こうして、富が蓄積されると、自ら苦労して育てるよりそれを掠奪する方が効率が良くなる。組織的に掠奪する一団ができると、今度は、それに対抗するため農村も武装化して守らなければならなくなる。映画「七人の侍」と同じ構造だ。
ここまでは旧世界もアメリカも同じなのだが、旧世界のほうがよほど富の蓄積が進み、貧富の格差も大きかった。その違いをもたらしたのは、家畜の違い。アメリカ大陸では家畜化できる動物がわずかしかおらず、鋤で畑を耕すことも放牧も成立しなかった。
第4章 旧世界とアメリカにおけるウェブの発展（200-1000年）南北アメリカ、メソポタミア、中国の文化は、いずれも超自然との特別な交流手段を持つ地域のエリート層が、神々の不興を買わないため、農耕民や職人の力を大々的に組織することから始まった。その後、聖職者による統治を補助していた軍事面の指導者があからさまに権力をふるうようになり、ますます広い地域を帝国の支配下に取り込んでいった。それと同時に、長距離の交易ネットワークによって高級品や贅沢品がますます遠くまで運ばれるようになり、文明の主要な中心地から遠隔地へと文明化された生活の多様な面が伝えられていった。アメリカ、ユーラシア、アフリカの発展が並列関係にあることは明らかだ。複数の大陸にまたがっていて地理的、文化的に大きな違いがあるにもかかわらずこうした類似性が見られるのは、農耕民が繁栄するために、最初は聖職者たち、続いて戦士たちの貢献を必要としたからだと考えたくなってくる。いつ作物を植えるか、次のシーズンのためにどれくらい種子をとっておかなければならないかを農民は知り必要があった。これを可能にしたのは、宗教を専門とするものが行う二種類の儀式だった。まず、太陽、月、惑星、その他の星といった天体を注意深く観察することで、神官たちは正しい植え付けの時期を判断できた。そして、断食、生贄、収穫祭といった儀式は、1年を通じて効率的に収穫物を消費に割り当てた。(中略）やがて神官は単純な理由からその優位性を戦士に譲ることになった。神官による統治で相当な量の余剰作物が生み出されるようになると、組織的な掠奪によって生計を得ることが可能になった。そのため、戦いを専門とする者が組織的な暴力を独占し、一定の報酬と引き換えにコミュニティを掠奪者から保護するというニッチが形成された。特殊な武器、規律、訓練のおかげで、戦士たちはほとんどの場合、略奪者たちよりも優位に立った。その結果、掠奪で損失を被るよりも地代や税という予測できるコストを導入する方が農民にとっても有利だし、戦士にとっても利益になった。そういうわけで、職業的な戦士はエリート階級の神官を従わせ、彼らとある種の同盟を結ぶことが可能だったし、実際それを強制したのだった。
2020年09月27日
うつ病回復期
後半は、慶応大学病院を退院してからの回復期。1か月間の入院を終えた先崎九段は自宅療養に入る。将棋連盟には休場届を出してある。ちなみに、入院の主目的は「自殺防止」なのだそうだ。
先崎学の兄は「優秀な精神科医」だそうで、文春オンラインでインタビューに答えている。当初、一目見て、「これは駄目だ」と思ったそうだ。その兄がとにかく勧めたのが（規則正しい生活と）散歩。「うつ病では患者自体に主体性を持たせて治療することが大切で、人様に治してもらっているという感覚では治らない」。そして、主体性を取り戻す一番簡単な方法が散歩だという。
「医者や薬は助けてくれるだけなんだ。自分自身がうつを治すんだ。風の音や花の香り、色、そういった大自然こそうつを治す力で、足で一歩一歩それらのエネルギーを取り込むんだ！」（66p）
そうして少し回復してくると、将棋を始める。数10手先を読むというプロ棋士だが、当初は七手詰めの詰将棋さえ解けずに愕然としたという。それでも、職業であり趣味でもある将棋への執念が復帰への原動力となったようだ。
その過程で将棋の訓練に付き合ってくれる棋士仲間との交流には胸が熱くなる。医者には「無理をするな」と言われていたようだが、半日練習するとぐったりして、翌日は寝込んだという。それでも充実感があり、病状は徐々に回復していく。
本書は売れているようで、今年文庫本も出て、さらに漫画版も出た。
86：回復期初期まわりからすると普通に見えても、本人はひらすら苦しみの中に生き、たまにちょっとだけ楽、という瞬間があるだけだ。この時期に仲間に会えたことや詰将棋を解いたことは本当にラッキーだった。123：うつの人間は、まわりから忘れられてしまったという気持ちになる。実際、人と会うと疲れるのだが、本当は会いたくて仕方ないのである。ある程度よくなって、人と話せるようになると、誰かにかまってほしくてたまらなくなる。156：本物のうつ病の症状「無反応」喜びにも悲しみにも反応がなくなってしまう。はじめは悲しいとか辛いとか単なる「うつ状態」なだけかもしれないが、病気となり一線を超えるとあらゆる感受性が消えてしまう。
2020年09月26日
プロ棋士が将棋を失くした一年間
「うつ病回復期末期の患者が、リハビリも兼ねて書いたという世にも珍しい本」（p177）
確かに、うつ病の本の多くは治療者側によるもので、患者本人が書いたというのは初めて読んだ。そこは、たくさん出ている「ガン本」と同じで、ある程度以上の有名人でなければ売れないからなのだろう。そして、最終的には3人に1人がなるガンに対して、うつ病はそこまでは多くない。また、健康な人がわざわざ「なるかもしれない」と予防的に読むこともなさそうだ。
それでも、職場でメンタルヘルス不調を経験している人が1/4、そのうち約20%が通院しており、全体の5%がメンタルヘルス患者ということになる。20人に1人ということは、職場の同僚や、家族、友人など直接の知り合いにメンタルヘルス患者（一番多いのはうつ病）がいるということで、出版できたのは、メンタルヘルスへの関心が高まっているという背景もありそうだ。
先崎学は、1970年生まれのプロ棋士（九段）。小学校5年の時に日本将棋連盟「奨励会」入会。17歳で4段となりプロデビュー。1991年には、第40回NHK杯戦で同い年の羽生善治を準決勝で破って棋戦初優勝している。2017年7月にうつ病を発症し、慶応大学病院に入院。1年間の闘病を経て2018年6月、順位戦で復帰、とある。
以下は、本前半の発症と入院経緯。仕事が忙しかったとはいえ、外食したり、運動したりとごく普通の生活を送っていた著者が突然不調になる。強いて言えば、棋士という自由業で、組織で仕事することに無縁だったのに、将棋連盟理事となったところで、「不正ソフト使用疑惑事件」が起こり、慣れないタイプのストレスが掛かったことが原因だろうか。
とにかく、「うつ病は脳の病気」であり、「誰に起こっても不思議ではない」ということだ。
3：その日私は、一仕事を終えて通いつけのボクシングジムへ行き、帰りに家族でインド料理を食べて幸せなひとときを過ごしたのだった。ビールを2，3倍飲んで、帰りがけにはこれからカラオケでも行こうかといったぐらいであって、つまりは私は、元気で、楽しく、なにより生活に余裕があった。5：日本将棋連盟「不正ソフト使用疑惑事件」理事の半数以上が会員(棋士）の投票によって解任されるという異常事態。2月と3月は1日しか休みなし。映画『3月のライオン』封切り→原稿、イベント、取材8：対局中に全く集中できない日に日に朝が辛くなり、眠れなくなり、不安が強くなっていった。決断力がどんどん鈍くなっていった。10：不眠10時にベッドに入るのだが、1時くらいに目が覚める。そこからまた睡眠薬を追加で飲んで寝るが、4時には起きてしまう。13：ホームに立つのが怖い毎日何十回も電車に飛び込むイメージが頭の中を駆け巡っている。死に向かって一歩を踏み出すハードルが極端に低い。19：治療期間「最低半年、長くて1年、2年」(慶応病院）23：うつの深くて白黒の世界一日中頭が重く体全体がだるい。思考力が極限まで落ちている。36：貧困妄想なんでも芋づる式に悪い方に考える。38：見舞い皆の顔を見るだけで嬉しかった。一人ひとりの手を握りしめたかった。ところが、心の中の半分は嬉しいのに、残りの半分はどんどん疲れていくのだった。うつのときは、元気な人、声が大きい人のそばにいるだけでたまらなく疲れるのである。55：教授総回診「それで・・・・・治るんですか」「もちろんです。ここは慶応病院ですよ」
2020年09月25日
1秒もムダに生きるな
"Time is Money"ではなく、"Time is Life"
というのにはほとんどの人が納得だろう。時間はおカネと違って、蓄えることも、取り返すこともできないから、比較できないほど貴重なのだ。生きている時間＝人生なのだから、「時間は人生そのもの」である。
というのにはほとんどの人が納得だろう。時間はおカネと違って、蓄えることも、取り返すこともできないから、比較できないほど貴重なのだ。生きている時間＝人生なのだから、「時間は人生そのもの」である。
書かれていることは全て正論で、合理的。そこが彼を好きな人と嫌いな人に分ける点でもあるのだろう。誤解されやすいが、純真な人なのだと思う。
その昔、ライブドアでプロ野球球団を買おうとしたとき、ホリエモンは交渉の席でもいつも通りのTシャツにジーンズというラフな格好だった。楽天の三木谷さんは、髭を剃り、スーツを着て交渉に臨んだ。「私は（ホリエモンと違って）あなた方の居るエスタブリッシュメント世界にも配慮します」というジェスチャーだ。
結果、楽天はプロ野球球団オーナーとなり、それに失敗したライブドアは、その後ライブドア事件で破綻した。ホリエモンは実刑判決まで受けることになった。やったことは違法ではなかったが、金融村の掟に反していた。
はじめに：楽しい時間を過ごすためにお金がいる時間こそは、誰もが平等に手にできる、唯一の「資産」。その「投資先」をたえず判断し、その価値を最大化することに、すべてを注がなければならない。なぜなら、その資産は「有限」であり、「あるとき急になくなる」から。仕事や会社、上司、家族など、「他人の時間」に振り回されている場合ではない。すべては「自分の時間」を起点にするべき。83：行動量は情報量に比例する「動き続けられる人」になりたければ、情報量を増やしさえすればいい。圧倒的な量の情報に触れて、それを処理している。単なるインプットで終わらないこと。コメントを加える。88：自分のリズムを狂わされるなどんなに仕事の処理能力が高くても、リズムとか間の悪い人は何をやってもダメ。「バタバタしていまして・・・」という人の共通点�〕ダ莉膂未�つけられない�∋纏�をまとめて片付けようとする162：病気を防がないから人生の待ち時間が減ってしまう「時間を増やす」という観点で言えば、そもそも病気にならないのがいちばんいい。家族やパートナーが病気になれば、結果的にあなたの自分時間も激減する。182：ウソがいちばんのストレス源。つねに本音で生きよう。ストレスは万病のもと。本音を隠すたびに、あなたの人生は、どんどん「他人時間」で埋め尽くされていく。214：いっさいの計画を持たないどうすれば「最短の時間・距離」で実現できるか。「やりたいこと」があるやつが本当に強い。それを実現するための知識を、すばやくインプットしていく。
2020年09月24日
旧世界におけるウェブと文明（前3500−後200年）
第3章は「旧世界におけるウェブと文明（前3500−後200年）」。旧世界とはもちろん、ユーラシアから中東・北アフリカ・欧州に栄えた古代文明を中心とする世界のことだ。
旧世界では古くから栄えた古代文明都市を中心に「メトロポリタン・ウェブ」が形成された。それは、メソポタミアであったり、モヘンジョダロであったり、エジプトだ。世界最初の都市が形成され、技術や哲学の交流が始まり、文化が生まれた。
旧世界では古くから栄えた古代文明都市を中心に「メトロポリタン・ウェブ」が形成された。それは、メソポタミアであったり、モヘンジョダロであったり、エジプトだ。世界最初の都市が形成され、技術や哲学の交流が始まり、文化が生まれた。
紀元200年、ユーラシアでの人口密集による感染リスクへの対応はまだ完成にはほど遠く、それ以外の地域では始まってさえいなかった。都市生活とそれがもたらす他者との遭遇への社会的、心理学的な対応についても同じことが言えた。それにもかかわらず、二つの相反する持続的な反応がはっきりと姿を現した。これは「メトロポリタン・ウェブ」の外、もしくは周辺に住む人々が抱える深刻な二面性が原因だった。彼らは自分たちの脆弱性を悟り、他の人間をそれほどに強大にしている要素を借りるか、それに適応するかして、状況を改善しようと試みた。しかしその一方では、自分たちを独自の存在にしている要素を守り、強化し、再確認することで、堕落した外界を拒絶しようともしていた。その結果、それぞれの文明の中心地から技術、商品、考え方が伝播するうちに、文化的な落差がおのずと明確になり、それに伴ってあらゆる場所で社会や環境における緊張が高まった。（中略）だが、こうした問題を抱えることになっても、文明社会の拡大が止まることはなかった。社会的緊張を勘定に入れてもなお、進んだレベルでの交換や協力がもたらす富や権力は十分に魅力的だったからだ。さらに、これまで見てきたように、個人の苦悩を癒すきわめて有効な手段として、移植可能な宗教が既に身近に存在していた。主なものにユダヤ教、仏教、キリスト教があり、しばらくしてイスラム教も加わった。その後の数世紀を見れば、文明化した生活のストレスや不確実性への心理的補償として、こうした信仰が継続的な力を持っていたことは明らかだ。
2020年09月23日
食料生産への移行（11000-3000年前）
言語をはじめとするコミュニケーション手段を発展させ、高度な共同作業が出来るようになった人類。狩りの成果が上がり、人口は徐々に増えていったが、狩れば獲物は少なくなる。
それに決定的変化をもたらしたのは、「食糧生産への移行」だ。そして、食料生産は、それまでの獲物を追う放浪生活から、定住生活に変わることを意味する。定住すれば、「顔と顔を突き合わせたコミュニケーションのウェブの密度が高く、共同体の習慣が代々受け継がれる」ことになる。
「私たちの祖先の圧倒的多数は、ごく最近までこういった村落に住み続けていた」
第2章 食料生産への移行（11000-3000年前）農村は誕生して2000年の間に、ユーラシア大陸、アフリカ、南北アメリカ大陸へと広がり、人類の大多数が農村という枠組みの中で生き、死んでいくようになった。私たちの祖先の圧倒的多数は、ごく最近までこういった村落に住み続けていた。いったん他地域環境への適応に成功すれば、農村の慣例に従って知識や技術が何世代にもわたって伝授された。それは1000年以上も継続し、ときおりほんのわずかな変更が加えられるだけだった。手短に言えば、私たちの祖先の生物学的、文化的な連続性は村落の習慣に依存していたということだ。外部の者たちに地代や税金を払わなければならない場合でも、日々の生活は自律的だった。飢饉や疫病、戦争で散発的に混乱が生じても、地域の状況がそれを許せば、生き残った者がすぐもとの生活に戻るのを妨げられることはめったになかった。つまり、定住生活を営む村落が人類社会の基本単位として、狩猟採集者を構成員とする放浪型の集団に取って代わったのだ。村落においては、顔と顔を突き合わせたコミュニケーションのウェブの密度が高く、共同体の習慣が代々受け継がれることを保証した。こういった村落はまた、以前よりも濃密な、広範囲にまたがるウェブに埋め込まれてもいた。しかしそのウェブも、都市や文明、商人や宣教師、職業軍人や卓越した技術を持つ職人といった人々が地球上のより広い地域を移動するようになって以後に比べれば、はるかに密度の低いものだった。都市は誕生してからも長い間、きわめて不安定な存在であり続けた。しかし、都市生活がもたらす不安定さや緊張や挑戦こそが都市生活者を挑発し、それ以降の歴史に見られる技術的、宗教的、知的、政治的、経済的、制度的な変革の大部分へと導いたのは言うまでもない。
2020年09月22日
人類の始まり
第1章は「人類の始まり」。「人類はその歴史を通じ、シンボルを用いて相互に意味を伝え合うウェブを形成してきた」というのが本書のテーマ。「時間の経過とともにますます大きな集団が、このウェブを基盤として協力したり争ったりする」ようになるわけだが、その基本となるのは、「コミュニケーションと協調の能力」だ。
「最も重要なブレークスルーは言語だったが、ダンス、儀式、芸術も重要だった」という。芸術には、当然、音楽や絵画も含まれる。それがなければ、農耕も不可能だったわけだ。農耕による食糧生産が出来なければ、富の蓄積もなかった。
芸術というと都市住民の余暇のように思われるが、農作業に欠かせないものとして発展したわけだ。
「最も重要なブレークスルーは言語だったが、ダンス、儀式、芸術も重要だった」という。芸術には、当然、音楽や絵画も含まれる。それがなければ、農耕も不可能だったわけだ。農耕による食糧生産が出来なければ、富の蓄積もなかった。
芸術というと都市住民の余暇のように思われるが、農作業に欠かせないものとして発展したわけだ。
初期の人類が持っていたコミュニケーションと協調の能力は、断続的に強化されていった。最も重要なブレークスルーは言語だったが、ダンス、儀式、芸術も重要だった。こういった新しい種類のコミュニケーションの手段が発達すると、初期の人類は次第に大きな、それでいてまとまりと秩序が保たれた集団を形成していった。彼らは地球上のはるかに遠い地域にまで広がり、さまざまな環境に適応し、ときにはそれらの環境を一時的にせよ改造した。こうした改造の中でもっとも大規模だったのは、南西アジアを中心に始まった穀物の栽培だ。耕作によって人類の生活に根本的に新しい可能性が開かれ、農耕による計画的で勤勉な食料生産の時代が始まった。人類の歴史も、地球も、その後はもう、かつての様相とはかけ離れたものになっていく。
2020年09月21日
人類の結びつきと相互作用の歴史
世界史の本はこれまでにもずいぶん読んできた。著者によって、それぞれの「史観」ともいうべき視点の違いがあり、主要な歴史的事実は同じでも、解釈は違っているところが面白い。
原題は、"The Human Web"で、それが副題の「人類の結びつきと相互作用の歴史」に表されている。相互作用をもたらす「ウェブ」の概念が人類の歴史においていかに重要かという認識だ。序章において、本書の流れが示されている。
序章：人類史において、相互作用をもたらすWebの概念�／洋爐�Webは常に存在最も基礎的なレベルで、言語が発達した時点で成立。情報や物品を交換することで、小集団内に社会的結束。��12000年前農耕が始まって人口それまでの穏やかなWebの中にもっと緊密な新しいネットワーク形成。��メトロポリタン・ウェブ最大の旧世界のWebユーラシア大陸と北アフリカの大部分で、多数の小さなWebが徐々に融合して約2000年前に形成。�ぅ灰好皀櫂螢織鵝ΕΕД�約500年前からは遠洋航海の発達で世界中のメトロポリタン・ウェブが結びつく。�ジ什�コスモポリタン・ウェブの電子化で、以前よりもはるかに迅速な交流。一つに統合された、協力と競争のめくるめく大渦。
2020年09月20日
ジャック・ニコルソン
NHK BSPで放映していた映画「ボーダー」(1981)を観る。ジャック・ニコルソン主演。
テキサス州エルパソを舞台に、メキシコからの密入国者の実態と国境警備隊の腐敗を描いた社会派サスペンス。ニコルソン扮する警備隊員に浪費癖の妻と貧しいメキシコ人女性を絡ませたり、私腹を肥す同僚たちを登場させるなど、貧富や正義の喪失といったアメリカの抱えている問題に迫った脚本は興味深い。
実は、一番好きな役者。「シャイニング」や「カッコーの巣の上で」などの代表作もいいが、「ア・フュー・グッドメンン」「バケットリスト」や「バットマン」でのジョーカー役など、彼でなくては
と思わせる。「結婚は一度だけだが、元妻を含む4人との女性の間に5人の子供がいる」というのも、なんとなく、役柄を地で行っている。エルパソには1993年に仕事で行ったことがある。メキシコ側に工場があり、そこを訪ねたのだが、泊りはアメリカ側。そこから巨大な国境ゲートを車で超えていく。映画から40年。トランプ大統領が「壁」を建設しているくらいだから、メキシコとの国境問題は今も解決していない。
カナダとの国境はいたって緩やかで、壁などもちろんない。それだけ、経済格差のある国との国境は、圧力差のある水槽みたいなもので、コントロールが難しい。メキシコが経済発展して経済格差が縮小すれば、自然となくなるが、NAFTAを一方的に破棄するなど矛盾している。
2020年09月19日
ノーマライゼーション
日本には入所施設で暮らしている知的障害者が12万人（H14)いるという。身近に当事者がいないかぎり、普段私たちはその存在を忘れているだろう。そして、相模原事件のようなことが時たま起こり、「ひどい事件だ」と顔をしかめる。相模原事件は、「狂った若者の犯罪」として裁かれ、植松被告に死刑判決が出て、一応の決着となった。
しかし、こうした事件は、12万人の知的障害者が施設で暮らしているという現実がある限り、また起こりそうだ。そこには「施設」独特の閉塞感や、心理が働く。この本では、いわゆる「いい施設」にも内在する施設の非日常性が語られる。
「彼らは何か悪いことをして施設に入れられているわけではない。好きで施設にいるわけでもない。
多くの親が、自分が死んだ後の不安から入所施設を望んできた。行政もそうした親の要望に応えてきた。しかし、入所施設に入れられた本人たちの気持ちはどうなのか？」
施設から地域に出たいといっている本人たちの声に私たちはどう向き合うのか？本来、障害のある人もない人も助け合い、住み慣れた地域で普通に暮らせればいいわけだ（ノーマライゼーション）。
とはいえ、支援の必要に応じて、障害者が一緒に暮らすため、平成元年にグループホームが制度化された。障害者施設との違いは、施設が運営者が決めたルールで運営されるのに対し、グループホームの場合は、障害者が共同生活していて、そこに世話人がいるというスタイルになっている。
とはいえ、支援の必要に応じて、障害者が一緒に暮らすため、平成元年にグループホームが制度化された。障害者施設との違いは、施設が運営者が決めたルールで運営されるのに対し、グループホームの場合は、障害者が共同生活していて、そこに世話人がいるというスタイルになっている。
2020年09月18日
PART II The Political Challenge
第一章「技術課題」に続いて、第二章「政治課題」。
建国以来常に戦争状態にあるイスラエル人としては当然なのかもしれないが、戦後の「核バランス」を高く評価している。凄まじい破壊力に、もし第三次世界大戦となったら双方とも生き残らないだろうという恐怖の上に成り立つ均衡だ。
しかし、それがなければ、米ソ間で第三次世界大戦が起こった可能性は高い。それでも、世界人類の1/3が死んでも構わないと、それを望んでいたのが毛沢東で、その辺は、2000年前から世界で初めて大組織による戦争を繰り返し、万人単位の犠牲者を出すことになれている中国人の恐ろしさだ。米ソが共倒れして、漁夫の利を狙っていたのだろう。
「戦争が始まったらどのくらいの人が死ぬか想像してみよう。世界には27億の人がいて、その1/3が失われるかもしれない・・・最悪の事態が起きて半分が死んだとしても半分は残る。しかし帝国主義は消滅して、世界全体が社会主義となる。数年後には人口は再び27億人に戻っているだろう」（毛沢東）
104: Facebook's community vision is perhaps the first explicit attempt to use AI for centrally planned social engineering on a global scale. It therefore constitutes a crucial test case.132: Things changed in 1945. The invention of nuclear weapons sharply tilted the balance of the nationalist deal. After Hiroshima people no longer feared that nationalism would lead to mere war - they began fearing it would lead to nuclear war.141: But what if engineers could find a way to grow meat from cells? If you want a hamburger, just grow a hamburger, instead of raising and slaughtering an entire cow (and transporting the carcass thousands of kilometres).159: As noted earlier, in practical terms there are surprisingly few differences between Shiite Iran, Sunni Saudi Arabia and Jewish Israel. All are bureaucratic nation states, all pursue more or less capitalist policies, all vaccinate kids against polio, and all rely on chemists and physicists to make bombs.
2020年09月17日
PART I The Technological Challenge
「技術の進歩は止められない」「最終的には、新たな職業が古い職業に置き換わるだけ」というのが、これまでの人類史から学べること。ただ、デジタル革命がこれまでと違うのは、置き換わるのが「知能」そのものであるということ。
機械学習するデータが多ければ多いほど、賢くなっていくから、中央集権的にデータを集められる国や企業が先に行ける。その先端を走っているのが中国。そして、グレーでもやってしまう米国。個人情報取り扱いに慎重なEUと日本は遅れている。
一握りのデジタルエリートに富が集中しつつある。かつてはおカネがあっても、大きな家に住み、贅沢な海外旅行をし、おいしいものを食べるくらいしか使い道がなかったが、今後は健康寿命を延ばすという本当に意味のあることにお金を使えるようになる。そうなれば、格差は決定的になる可能性がある。
悪平等と言われた日本でも、新卒ITエンジニアに「初任給1000万円」というのが現実化している。既に「そこにある未来」なのかも。
Introduction5: Big Data algorithms might create digital dictatorships in which all power is concentrated in the hands of a tiny elite while most people suffer not from exploitation, but from something far worse - irrelevance.PART I The Technological Challenge16: In the coming century biotech and infotech will give us the power to manipulate the world inside us and reshape ourselves, but because we don't understand the complexity of our own minds, the changes we will make might upset our mental system to such an extent that it too might break down.18: The three major movements that fought one another in the twentieth century all had a coherent vision for the entire human species - be it global domination, revolution or liberation. Today, in contrast, the people who reject the liberal story don't offer any coherent alternative, and actually take pride in that.48: Indeed, already today computers and algorithms are beginning to function as clients in addition to producers. In the stock exchange, for example, algorithms are becoming the most important buyers of bonds, share and commodities. Similarly in the advertising business, the most important customer of all is an algorithm: the Google search algorithm.56: Secular Israelis often complain bitterly that the ultra-Orthodox don't contribute enough to society, and live off other people's hard work. Secular Israelis also tend to argue that the ultra-Orthodox way of life is unsustainable, especially as ultra-Orthodox families have seven children on average.58: Referendums and elections are always about human feelings, not about human rationality. If democracy were a matter of rational decision-making, there would be absolutely no reason to give all people equal voting rights - or perhaps any voting rights.82: However, soon AI might swing the pendulum in the opposite direction. AI makes it possible to process enormous amounts of information centrally. Indeed, AI might make centralised systems far more efficient than diffused systems, because machine learning works better the more information it can analyse.91: The super-rich will finally have something really worthwhile to do with their stupendous wealth. While hitherto they could buy little more than status symbols, soon they might be able to buy life itself. If new treatments for extending life and for upgrading physical and cognitive abilities prove to be expensive, a huge biological gap might open between the rich and the poor.94: If data becomes concentrated in too few hands - humankind will split into different species. The race to obtain the data is already on, headed by data-giants such as Google, Facebook, Baidu and Tencent. So far, many of these giants seem to have adopted the business model of `attention merchants`.
2020年09月16日
アラブの春
2011年と言えば、日本にとっては東日本大震災が起こった年だが、同じ年、中東では「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が起こり、独裁政権が次々と倒れていった。インターネットの普及による成果だとの声もあり、「SNS革命」とも呼ばれた。
民主化後、民衆の生活が良くなったかと言えば、逆で、どこも政治的に混乱し、経済も低迷しているところが多い。「アラブの春」への希望は失われ、独裁国家であっても政治的に安定していた昔のほうがよかったという声もある。困窮した民衆は、豊かな欧州に難民として殺到した。
結局、「アラブの春」は何だったのか。一言でいえば、「ユースバルジ」だったというこ。第二次世界大戦後、これらの国々で、衛生状態や医療体制が改善し、人口が急激に増えた。1950年にエジプトの人口はドイツの1/3未満だったのが、現在はドイツを超えている。この地域の国の大半は当時、人口の中央値が30歳未満で、スーダンやイラクは20歳を下回っていた。
国は若者であふれているが、仕事はない。この不満がイスラム原理主義と結びつき、「アラブの春」となった。
284：アラブの春1950年、エジプトの人口はドイツの1/3未満だった。現在ではドイツを超えている。この地域の国の大半は、人口の中央値が30歳未満、スーダンやイラクは20歳を下回る。ただし現在はほとんどの国で中央値は急速に上がっている。303：若年失業率が社会不安へ若年層がふくらむ”ユースバルジ”の状態で、失業率が高い。これは社会的な混乱と暴力を引き起こしやすい。中東の場合、それに宗教的原理主義の高まりも重なった。この原理主義そのものが、直接的な人口学的ルーツを持つ。308：そして若者はドイツへ向かう2015年のEU諸国への亡命希望者は、シリアからが35万人、アフガニスタンからも15万人を超えていた。その年の最後の3か月だけで、50万人近くがドイツへの亡命を希望したのだ。この流れは人口に深く根差していて、ヨーロッパの人口動態に深刻な結果をもたらすだろう。
2020年09月15日
なぜドイツはソビエトに敗れたのか
第二次世界大戦東部戦線におけるドイツの敗北については、様々な理由が言われてきた。ヒトラーの司令官への干渉、ドイツが冬季の戦いに適した部隊を配置できなかったこと、アメリカの軍事物質支援など。
「だからといって、第二次世界大戦の東部戦線がかなりの部分、数による荒っぽい戦いであった事実が薄まるわけではない。戦争中、ロシアは3400万人が兵役につき、そのすべてが一つの戦地で戦った。ドイツは1300万人がさまざまな場所へ散らされた」
149：オーストラリア、NZでのアジア人排斥オーストラリアにおけるアジア人への恐怖は、WW1以前にまで遡ることができ、特に政治的左派の間で強かった。165：WW2、なぜドイツはソビエトに敗れたのかロシアの人口の急増とドイツの人口増加の減速がなければ、最終的にソビエト連邦が勝利することもなかっただろう。20世紀最初の40年のドイツの人口増加率は平均0.5%強に過ぎなかった。ロシアは内戦と共産主義による荒廃を経ていたにもかかわらず、年間1.4%近く増加していた。そのため20世紀に入ったばかりの時期は、ドイツの人口はロシアの半分を少し超えるくらいだったのが、ドイツがソビエトに侵攻したときには1/3になっていた。224：反マルサスのマルクスマルクスは反マルサスを隠さず、人口抑制は”自然”なことではなく、圧政的で搾取的な政治・経済システムのせいで起こると主張していた。267：西洋より早くマルサス的限界に達していた中国中国の人口は西暦起源から17世紀半ばまで増加していなかった。紀元2年と17世紀半ばの人口は、どちらも6000万人である。マルサス主義の研究者が、この間に飢饉、伝染病の流行、戦争のサイクルが5回あり、人口が減少した後にある種の自然な限界と思われるところまで回復したことを確認している。
2020年09月14日
人口を制するものが世界を制する
筆者はロンドン大学(Birkbeck College)の人口学者。
「歴史的に見れば、ついこの間まで人生は悲惨で残酷で短かった」という。工業化以前の社会が、牧歌的で、人間的な社会のように語れることがあるが、現実は全く違った。現在の豊かさは、全て工業化がもたらしたものなのだ。
「工業化以前の社会については、食料、住居、誕生と死、そして無知、衛生や健康という概念の欠如と、どのような面から説明してみても、現在の読者にとっては衝撃的だろう」
人類誕生以来、人類は「マルサスの罠」に支配されてきた。これは、「人口は幾何級数的に増加するが、食料は算術級数的にしか増産できないので、必然的に社会の人口過剰による構造的貧困が発生する」ということである。このため、産業革命が起こるまでの人口の伸びは緩やかで、天災や疫病の発生で、大幅な人口減を起こすこともしばしばだった。
いち早く「マルサスの罠」から逃れたのは、世界で最初に産業革命を成し遂げたブリテンで、鉄道や船による交通網の発展で、食料を必要な場所へ大量に安価に送ることが可能になった。さらには、海外からの食料輸入もできるようになり、人口が急増した。
こうしてブリテンによって「舗装された道」を、早いスピードで後追いしたのが大陸諸国であった。中でも、産業革命が遅れたドイツとロシアの追い上げは急で、「ブリテンは成長著しく人口増加中のドイツを恐れ、ドイツは成長著しく人口増加中のロシアを恐れた」。また、両国とも若い人口を抱え、国内の政治的突き上げも厳しかった。「そのために両国は1914年に性急に戦争に突入したとも言える」。
人類誕生以来、人類は「マルサスの罠」に支配されてきた。これは、「人口は幾何級数的に増加するが、食料は算術級数的にしか増産できないので、必然的に社会の人口過剰による構造的貧困が発生する」ということである。このため、産業革命が起こるまでの人口の伸びは緩やかで、天災や疫病の発生で、大幅な人口減を起こすこともしばしばだった。
いち早く「マルサスの罠」から逃れたのは、世界で最初に産業革命を成し遂げたブリテンで、鉄道や船による交通網の発展で、食料を必要な場所へ大量に安価に送ることが可能になった。さらには、海外からの食料輸入もできるようになり、人口が急増した。
こうしてブリテンによって「舗装された道」を、早いスピードで後追いしたのが大陸諸国であった。中でも、産業革命が遅れたドイツとロシアの追い上げは急で、「ブリテンは成長著しく人口増加中のドイツを恐れ、ドイツは成長著しく人口増加中のロシアを恐れた」。また、両国とも若い人口を抱え、国内の政治的突き上げも厳しかった。「そのために両国は1914年に性急に戦争に突入したとも言える」。
99：詩人の国から、血と鉄の国へ19世紀初期、ブリテンが産業革命の真っ最中に、ドイツは政治的に何十もの小国に分かれていただけでなく経済面ではかなり後退し、むしろ詩人や哲学者の国、小君主と小さな公国、近代というよりは中世の趣で、高炉よりはおとぎ話のお城が似合う国とみなされていた。101：UKによって舗装された道を、早いスピードで後追いするドイツで起こっていたことは、だいたいUKですでに起きたことの再現だった。1800年には2500万人だったドイツの人口は、1870年には4000万人に、1913年には6700万人になった。19世紀半ばには、詩人と思想家の土地は血と鉄の土地に変わっていた。そして鉄鋼と石炭の土地になっていたのは言うまでもない。117：ドイツの人口増加への対抗心1910年の人口増加数は80万人だが、その5年前は85万人だった。それでもそれは一時的な停滞ではないかという心配はあった。ドイツはずっと子供の数が多く、1950年には人口が9500万人に達していた。何よりも、ドイツの人口が増え続けているということは、その後の50年間、戦場で前線に大量の人を送り込めるということだ。124：若い大国は好戦的人口は戦争の結果だけではなく、その原因にも影響を与えた。人口が増加していたということは、ヨーロッパの社会、特にドイツとロシアは若かったということだ。これらの国は若者層が多くなる”ユースバルジ”と呼ばれる現象を経験していたが、それは攻撃性と戦争に深い関わりを持つ。政治と外交を考えると、ブリテンは成長著しく人口増加中のドイツを恐れ、ドイツは成長著しく人口増加中のロシアを恐れて、そのために両国は1914年に性急に戦争に突入したとも言える。
2020年09月13日
世界で一番古い物語
先月読んだ出口治明『教養は児童書で学べ』で紹介されていた「世界で一番古い物語」。読んだことがなかったので、新装版で読んでみる。
「紀元前3000年期に、メソポタミアで生まれた、世界最古のシュメール文明が生み出した文学作品。メソポタミア文明といえば楔形文字だが、実際に、楔形文字で粘土板に書き残されたものが、アッカド人、バビロニア人、アッシリア人へと伝わり、当時のリンガ・フランカ（国際共通語）であったアッカド語に翻訳されて小アジアに伝わった」（『教養は児童書で学べ』）
実際、全てが完全に残っているわけではなく、掛けている部分や、伝承される間に変化した部分やバージョンがあるという。
「人生におけるあらゆることが詰まっている」（同上）と言われる、本書。友情、愛情、嫉妬、試練、等々その通りなのだが、私の印象に残ったのは、イニシエーションと自然破壊。乱暴者だったギルガメシュ王が親友エンキドゥと「フンババ退治」に行くのは、レバノンである。
人類最古の文明であるメソポタミアでは、既に森林資源が乏しくなっていた。最後は、森林枯渇による
自然破壊で文明が滅びてしまうのだが、そこで目を付けたのが当時、レバノンからシリア、そしてトルコの地中海沿岸に広がっていたレバノン杉だった。樹齢6000年にもなるレバノン杉の原生林は、樹高30mの大木で、腐りにくく、香り高いことから「香柏」と呼ばれた。
香柏の森の守り神がフンババで、これは、それまで人間を寄せ付けなかった自然の偉大さの象徴だろう。ギルガメシュ王とエンキドゥは特製の大斧で命乞いするフンババを殺害する。これは、人間が自然を屈服させたことの象徴だろう。
結果、レバノン杉は伐採しやすいところからどんどん伐採され、現在では、高地とレバノン国旗にしか残っていない。
「レバノンスギ（Cedrus Livani）はスギという名前がついているが、スギの仲間ではない。マツの仲間の針葉樹である。レバノンやトルコの地中海沿岸の山地に主として分布する。現在では、海抜1000メートル以上の乾燥した、表層土壌の発育の悪い岩礫地にわずかに生息するにすぎない。」（「タディの国旗の世界」地図も）
6：ギルガメシュ王彼の2/3は神、彼の1/3は人間。偉大な女神ベーレト・イリーが彼の体を形造り、その姿を完璧にし、天の太陽神シャマシュが彼に男らしさを授けた。34：荒野のエンキドゥエンキドゥは、聖娼シャムハトの前に座し、2人は愛し合っていた。彼は、自分が生まれた荒野を忘れた。6日、7夜、エンキドゥは立ち上がり、シャムハトに愛を注いだ。100：フンババ退治彼らが跳びまわると、シララの山と、レバノンの山とは裂けた。104：香柏の森「フンババは香柏の森の守り手だ。彼を絞り上げよ、彼を撃ち殺せ。」220：方舟は、ニムシュの山に漂着した。その山、ニムシュは方舟を掴んで、放さなかった。(中略）7日目になって、わたしは鳩を放った。鳩は飛んで行ったが、舞い戻ってきた。休み場所が見当たらずに、引き返してきたのだった。
2020年09月12日
伝説の投資家が語る経済とマネーの未来
ジム・ロジャーズの最新刊。内容は、昨年出た『お金の流れで世界を読む・・・』とほぼ同じ(笑)。ロシア・中国びいきで、今後5年間で最も大きな変化を期待しているのは朝鮮半島。韓国と北朝鮮の統合だ。各出版社が入れ代わり立ち代わり、インタビューしてはせっせと出版するのは、それだけ日本で販売が見込まれるからなのだろう。
中国が、「いったん衰退して再び強力なパワーを持つようになった歴史上唯一と言える国」という点は興味深い。ローマにしろ、スペインにしろ、イギリスにしろ、他の世界的帝国は覇権を遂げた後復活することはなかった。ところが、中国の場合は、唐、元、清などその時代時代に支配民族は違えど、帝国を形成している。
「それが日本という国」というのは耳が痛い。今度こそ変えなくては
新政権には、「古いシステムの一層」をお願いしたい。はじめに：現在の状況は、1939年に始まったWW2の直前と似ている1930年代、世界中の国々で借金が積み上がり、貿易戦争が勃発。景気も悪化していた。それらが相まって、軍事的な対立につながっていった。61：それが日本という国日本は1990年代にバブル経済が崩壊した際に、有能な人々にお金を与えず、無能な人々にお金を与え続けた。そして政府からお金をもらった無能な人々は、賢い人々と競争した。もちろんこのようなことをしても、日本の経済が良くなるわけがない。(中略）日本が悪いシステムを一掃しなかったので、最悪な結果が起きた。失敗したことに気づいて以前のやり方を変えるならいいが、失敗した人々をそのまま放置して支え続けるのは良くない。それが日本という国だった。170：世界経済の重心は東へ1819年にオーストリア帝国は非常に強力な国家だった。1619年のスペインは、同国の王がポルトガル王も兼ね、世界中の植民地を支配していた。183：衰退しても復活した例外的な大国中国を除いて、かつての英国や現在の米国のような覇権国になる可能性を持つ国は存在しない。(中略）いったん衰退して再び強力なパワーを持つようになった歴史上唯一と言える国であり、再び覇権を握ろうとしているように思える。201：中東は、現代の火薬庫かつてWW1の発火点となったバルカン半島と、似たような不安定さ。サラエボというバルカン半島の聞きなれない小さな都市で火花が起こり、それがWW1につながった。カタール、ドバイを知っている人は多いが、イエメンという国を知っている人はほとんどいないだろう。今、イエメンは戦争状態になっている。242：11世紀の中国・宗王朝の時代は、英国が栄華を誇った18世紀よりもはるかに多くの鉄を生産していた。コークスが当たり前に利用され、生産効率は非常に高かった。当時の鉄の年間生産量は15万トン程度に達したとされるほどだ。これは18世紀末の欧州全体の鉄の生産量に匹敵する。
2020年09月11日
個人M&A成功のポイント
タイトルから、誰か実際に個人M&Aを行った人がその体験を出版したのかと思ったが、そうではなかった。著者は公認会計士で、日本M&Aアドバイザー協会会長。財務アドバイザーとして個人M&Aに10年来取り組んでいるという。本書は、その経験から、個人M&Aをストーリー仕立てにしたものだ。
主人公は専門商社の経営企画部に勤める36歳独身男性。会社でM&Aを担当した経験もある。それを活かして、個人M&Aにも挑戦しようとするのだが、会社で組織的に行ったM&Aと違い、様々な困難に直面する。
上場企業同士、あるいは、上場企業が中堅企業を買う時と、個人M&Aで個人が中小企業を買う時の大きな違いは、まず、信頼できる資料があるかどうかだ。相手が上場していれば、監査された決算書が簡単に手に入る。ところが、世にある多くの中小企業では、信頼できる決算書がないこともしばしばだ。従って、仕事でM&A経験があると、分析できるデータがないので、不安になってしまう。
M&Aでは、「売り手がこのまま経営を続けていった場合の価値＜買い手が買収していった後の価値」という原則がある。買い手が買収後に付加価値を付けられないのであれば（シナジー効果）、普通金額で売り手と折り合えない。売り手とすれば、自分で経営を続けていく場合よりも高く売れるから売るのであって、そうでなければ、（引退するのでなければ）売らないからだ。
買収先を探しているうちに、買うこと自体が目的化し、買収後に「いつ、誰が、何を、どうする」して価値を上げていくかがおざなりになってしまうことは、個人M&Aでも一般M&Aでもよくあること。そうすると、買収後に業績が上がらず、逆に下がってしまって、のれん代の大幅減損を迫られることになる。
はじめに：普通のM&Aと個人M&Aは違う解決策が見出せず、普通のM&Aと同じように考え、無理をして買収してしまうか、保守的に考えすぎて、買収できないか。33：売り手がこのまま経営を続けていった場合の価値＜買い手が買収していった後の価値個人M&Aでは、オーナー＝ビジネス価値になっているケースも多い。→オーナーがいなくなると、価値が下がる。144：財務DD・簿外債務→事業譲渡か会社分割スキームで・過去の業績が正しい・引き継ぐ資産（あれば負債）＊通帳の原本を見て、入金、出金を確認180：買い手の成功要因買収したら、「いつ、誰が、何を、どうする」をはっきり決めておく。181：日本電産の買収後の取り組み・意識改革・スピード・営業機関車化・ダントツのコスト追求・収益管理の仕組み（川勝宣昭『日本電産流 Ｖ字回復経営の教科書』2016）
2020年09月10日
これから伸びるのはクリエイティブ・サバーブ
出版は今年の2月なので、コロナ禍を見越しての話ではない。この20年ばかり「都心回帰」が不動産のトレンドだったが、それに対抗する
流れも出てきているのだという。
都心でバリバリ働き、トレンディーなところで遊び、休みには海外旅行というエリートばかりではない。都心の不動産価格がこれだけ上がった今、当然といえば当然だろう。「金持ちのための都心再開発」だという。
では、郊外全てがその恩恵を受けるかと言えば、そうではない。都心同様、働き場所と夜の娯楽がある郊外しか人気は出ない。郊外の「夜の娯楽の主役はママ」であり、子育ての合間にママ友達同士がお酒を飲みに行くのは普通なのだそうだ。
県別でいうと、その最右翼は埼玉。埼玉県は、すでに東京都に対して転入超過であり、それは、移住者に対して寛容であるからだという。元々、埼玉は、明治以来、北関東、東北、北陸などからの転入者が多い場所。そのため、近年増えているアジア系の外国人に対しても寛容らしい。そこで、アジア系の人々は、大久保、上野という同国出身者の多い最初に住む地域から、日本に定着するに従い北に向かって広がりつつある。
こうした外国人を受け入れる多様性が、クリエイティブ・サバーブを構成していき、それは現在の三多摩中央線沿線から、埼玉県南部に広がっていくと予測している。
流れも出てきているのだという。都心でバリバリ働き、トレンディーなところで遊び、休みには海外旅行というエリートばかりではない。都心の不動産価格がこれだけ上がった今、当然といえば当然だろう。「金持ちのための都心再開発」だという。
では、郊外全てがその恩恵を受けるかと言えば、そうではない。都心同様、働き場所と夜の娯楽がある郊外しか人気は出ない。郊外の「夜の娯楽の主役はママ」であり、子育ての合間にママ友達同士がお酒を飲みに行くのは普通なのだそうだ。
県別でいうと、その最右翼は埼玉。埼玉県は、すでに東京都に対して転入超過であり、それは、移住者に対して寛容であるからだという。元々、埼玉は、明治以来、北関東、東北、北陸などからの転入者が多い場所。そのため、近年増えているアジア系の外国人に対しても寛容らしい。そこで、アジア系の人々は、大久保、上野という同国出身者の多い最初に住む地域から、日本に定着するに従い北に向かって広がりつつある。
こうした外国人を受け入れる多様性が、クリエイティブ・サバーブを構成していき、それは現在の三多摩中央線沿線から、埼玉県南部に広がっていくと予測している。
＊人口争奪戦に勝つ街、負ける街18：金持ちのための都心再開発郊外から都心へ比較的裕福な人たちを呼び込んでいるが、郊外には「中の中」以下、もしかすると「中の下」以下の階層の人だけが残る可能性。22：ワーカブルと夜の娯楽郊外での若い世代の人口増加のためには、「ワーカブル（働きやすい）」と「夜の娯楽」「シェア」が必要。若い世代が都心にはまった理由が通勤のしやすさなどの働きやすさと、アフターファイブの多様な娯楽。24：夜の娯楽の主役はママ子育ての合間にママ友達同士がお酒を飲みに行くのは普通。女性のための夜の娯楽がなければ、これからの郊外は発展しない。26：埼玉が東京から人口を奪う埼玉県は、東京都に対して転入超過(2018年72186-66108＞5000人）。移住者に対して寛容・明治以来、北関東、東北、北陸などからの転入者が多い・そのため、外国人に対しても寛容（東京西南部・横浜は欧米志向）・アジア系の人々は、大久保、上野というもともとアジア系の人々が多い地域から北に向かって広がる35：足立区、荒川区などが独占する「地価上昇ベストテン」日暮里、巣鴨というと戦前は貧しい人々が住む「不良住宅」があった区域→ゆえに開発が遅れる→今になって都心のフロンティア44：埼玉は「無印良県」埼玉県における他者への寛容度の高さ、シンプルかつナチュラルで日常的なほどよい豊かさ。260：寛容度と文化度がクリエイティビティを高める池袋、日暮里、そして川口、蕨までの地域は外国人が多い。アメリカの社会学者リチャード・フロリダ「クリエイティブ都市」の条件・ゲイ指数(人口に占めるゲイ人口割合）・ボヘミアン指数(人口に占める作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、アーチスト等）・メルティングポット指数（人口に占める外国生まれ人口の割合）269：これからの郊外類型・４つのCCreative Suburb多摩川を軸として横浜中心部や武蔵野、調布、国立方面に広がり、さらに北側へ？三多摩中央線沿線〜読書、美術館を余暇とする人が多い。Conservative Suburb(保守的郊外）・・・専業主婦、高年収、高級消費志向東急田園都市沿線を中心とした「第4山の手」Consumptive Suburb（消費的郊外）・・・高級消費志向ではなく大衆消費志向越谷、春日部、船橋、柏など「ファスト風土化」した郊外。アメリカ型の車に依存した地域で住宅地と大規模商業施設がセット。Country Suburb（本来、自然豊かな観光地、保養地）首都圏周縁部の奥多摩、秩父、房総、箱根。
2020年09月09日
新しい成長
解説しているのは、経済学者の佐々木宏夫（早稲田大学）。
ポール・ローマーが成し遂げたのは、「古典派ルネサンス」、あるいはより特定の古典派経済学者に焦点を当てれば「アダム＝スミス・ルネサンス」、ということ。知識の様態を分類することによって、有料で開発される知識と経済成長の関係とを明確化したことが業績ですね。
そして、そのためには、政策が重要で、国の果たす役割は大きい。大切なのは、これは国が特定の産業を支援するということではなく、インフラを整えること。それは、教育への投資であったり、競争環境を整えること。米国は独占禁止法が厳しく、国内競争が激しい。それを勝ち残った企業が、世界も制覇した。
637：国際競争をどう乗り切るか最善の行動をとったのは、教育に関して抜本的な政策を採用した国。歴史家アルフレッド・チャンドラー『スケール・アンド・スコープ経営力発展の国際比較』3種類の経営者資本市議（個人的、協力的、競争的）英国：個人的な資本主義が全体的にうまく機能しなくなった。ドイツ：政界と実業界のリーダーの緊密な協力によって短期間でかなりの財→どういうわけか戦争へ米国：シャーマン独占禁止法とその後の法律によって創造された競争的な米国企業→勝者638：人的資本に関する政策が、米国では明らかに充実教育や訓練が大勢の市民に提供され、脱工業化社会の強力な組織に産業人材が送り込まれている。高等教育は市場が送るシグナルと緩い形で結びつき、学生が市場を理解したうえで受け入れられる。639：ヨーロッパ減速の原因のひとつ1968年以降の教育機会の拡大。卒業生がどこで仕事を見つけるべきか、ほとんど考慮されなかった。640：新しい成長特許制度改革→国際的な知的財産制度について再交渉知識を生み出すことができる新たな制度。従来よりも効率の良い制度。先進国の教育制度再構築、途上国のための新しい教育制度641：ベビーブーマーの高齢化がこれからの最大の課題強欲な老人が年金の支給を要求すれば、新たな世界秩序にうまく順応するために必要な人劇資源への投資を行う余地が残されない。その場合には、安い賃金で重労働を引き受けてくれる移民が、経済活動の大半を引き受けてくれる。すでに英国はそのような状況。
2020年09月08日
知は力なり
1980年、IBMは開発中のPCのOSを当時弱小ソフトウェアハウスに過ぎなかったマイクロソフトから買うことにする。IBMから問い合わせを受けたゲイツは、「OS?ありますよ！」と答えたのだが、これはハッタリ。実はMSにはOSがなかったので、ゲイツは任務を引き受けてからQDOSを買収した
なぜIBMはMSを買収しなかったのか？メインフレームで圧倒的成功を収めたIBMは、独占禁止法で分割されることを怖れていた。実際に、1969年に同法で訴えられていたので、それ以来、これ以上コンピューター業界でシェアを高めることには慎重だったのだ。
そしてメインフレームで十分に儲けていたので、この時の契約も寛大なものだった。当時一般的だったライセンスの買取ではなくPC毎の使用料を認め、なおかつ、独占的な契約でなく、MSは他社にも同じソフトを自由に販売できた
これが後でIBMに地団駄を踏ますことになるわけだが、素晴らしかったのは、2004年の売上120億ドルのPC事業の中国Lenovoへの売却だ。これによって、Lenovoは一夜にして世界第3位のPCメーカーになり、IBMは$1750Mの売却益をAIなど将来利益を生み出しそうな事業の開発に投資に使えた。
PCはIBMが自ら作った市場であり、日本メーカーなら最後まで拘っただろう。事実、NECも富士通も赤字続きでどうしようもなくなってから、PC事業をLenovoと統合した。しかし、IBMは、「素晴らしい性能のPCを創造して利益をあげるのはもはや不可能だという決断を、事実上自分たちで市場を創造してからわずか四半世紀後に下した」。現実を見据えた発想の転換だった。
なぜIBMはMSを買収しなかったのか？メインフレームで圧倒的成功を収めたIBMは、独占禁止法で分割されることを怖れていた。実際に、1969年に同法で訴えられていたので、それ以来、これ以上コンピューター業界でシェアを高めることには慎重だったのだ。
そしてメインフレームで十分に儲けていたので、この時の契約も寛大なものだった。当時一般的だったライセンスの買取ではなくPC毎の使用料を認め、なおかつ、独占的な契約でなく、MSは他社にも同じソフトを自由に販売できた
これが後でIBMに地団駄を踏ますことになるわけだが、素晴らしかったのは、2004年の売上120億ドルのPC事業の中国Lenovoへの売却だ。これによって、Lenovoは一夜にして世界第3位のPCメーカーになり、IBMは$1750Mの売却益をAIなど将来利益を生み出しそうな事業の開発に投資に使えた。
PCはIBMが自ら作った市場であり、日本メーカーなら最後まで拘っただろう。事実、NECも富士通も赤字続きでどうしようもなくなってから、PC事業をLenovoと統合した。しかし、IBMは、「素晴らしい性能のPCを創造して利益をあげるのはもはや不可能だという決断を、事実上自分たちで市場を創造してからわずか四半世紀後に下した」。現実を見据えた発想の転換だった。
548：1980年、なぜIBMはMSを買収しなかったのだろう・1969IBMは独占禁止法違反で訴えられた・1980年のIBMは暗中模索の状態・固定料金ではなく、一個ごとの使用料を黙認・MSは他社にも同じソフトを自由に販売できた628：知は力なり（ベーコン)少なくともポルトガルのエンリケ航海王子の時代以来、知識の創造や拡散に助成金を提供すれば有利なことを政府は理解していた。そのため役に立つ技術を支援し、教育を拡充し、知的財産を保護し、自由貿易を促進した。そもそも「知は力なり」というベーコンの金言は、17世紀初めのイングランドにまで遡る。フランス革命とナポレオンは、教育への関心を促して民主化に貢献した。その結果、微積分、グランゼコール、公立学校が誕生する。19世紀には、ドイツの大学は科学の分野での卓越性を評価する国際基準を設定していた。ドイツはヨーロッパ最大の工業国にまで上りつめ、第一次世界大戦が始まるまでその地位を維持した。630：1980年バイドール法連邦政府の資金で研究開発された発明であっても、その結果に対して研究者が特許権を所有することを認めたため、民間による医療研究を促した。632：IBMのパソコン事業売却メタ・アイデア（他のアイデアの創造や伝達を後押しする方法）は、開放性と取引に関して特に優れた成果をもたらす。2004年IBMは売上120億ドルのPC事業を中国Lenovoに売却。Lenovo→世界第3位のPCメーカーにIBM→$1750Mの売却益を将来利益を生み出しそうな事業の開発に投資
2020年09月07日
経済成長の謎
原書の"Knowledge and the Wealth of Nations"は2007年に出版され話題になったが、本書が出たのは今年。随分と掛かっている。ローマーが2018年にノーベル経済学賞を受賞したので、それがきっかけになったのだろう。そうでなければ、日本で経済学者の本がそう売れるわけもない。
邦題では『ポール・ローマーと・・・』となっているが、物語はそれよりかなり前から書き進められ、「知識と経済学」の経済史と言ってもいい。
445：バロー＝ローマー「スキーリフト料金の価格付け〜労働市場などへの応用」(1987/11 American Economic Review)人数に変動があっても、リフト券の料金は年間を通じて一律に据え置かれる。欲張りに見られたくないスキー場オーナーは料金を上げず、その結果として列が長くなる。価格体系を柔軟に変化させる代わりに、列を長くするのだ。スキーヤーが支払う実質価格は、このような形で自動的に調整される。463：ローマ―`90「累積的技術変化のミクロ的基礎」→「内生的技術変化」知的財産という概念が、成長理論の観点から初めて正式に特徴ずけられた。生産の投入・産出の双方として知識を記述することで、知識は累積的レベルの経済モデルに組み込まれ、その結果、経済学者は知識の重要性を考慮できるようになった。537：ローマー・モデル発明意欲を駆り立てる存在としての制度の重要性。英国の植民地だった北米では独立宣言が、フランスでは人権宣言がなされた。財産法や特許法の変化は、技術変化が進行する速度に影響を与えた。税制、銀行業、財政、あるいは科学や教育において並行的な開発が進行した。
2020年09月06日
中古1Rマンション堅実投資術
VCを振り出しに、企業投資の世界が長く、不動産投資にはこれまで関心がなかった。少し勉強し始めたのは、長女が不動産デベロッパーに就職してからで、近所の中古１R（事務所）をオーナーチェンジで買ってみた。
そこは、昨年テナントが退去となり、修繕したうえ、新たなテナントを探したのだが、同時に、仲介会社の勧めで売りにも出した。結果、デザイン会社の経営者から自社の事務所として買い入れが賃貸より先に入り、そのまま売却。バカだったのは、税金のことを全く考えておらず、短期譲渡（5年未満）となり、約40%の課税となった（長期は半分の20%）。
本書は、サラリーマン大家さんとして有名な人らしく、既に何冊も本を出している。昨年末出たこれが最新刊で、定年を迎え、これまでの「24年間で区分57室」をコツコツ現金購入・満室管理をした方法を振り返っている。
その手法は全く危なげがなく、あくまで本業優先で、週末中心に物件を見て、物上げ業者と仲良くなり、源流に近いところを押さえて、割安に買うという方法。ローンでレバレッジを掛けるわけでもない。
なぜ区分（1R）かといえば、「建物の管理システムが付随して売買され専有部も自主管理、代行管理、家賃保証と選択肢が広く、物件ごとに最適化できる」からだという。仕事優先のサラリーマンにとって手間が掛からず取り組みやすいわけだ。
技術者らしくノウハウが整理されていてわかりやすい。なにより、定年後は個人で技術士として仕事を続けながら、年間手残り家賃2800万円
という生き方は「人生100年時代」のお手本になる。はじめに6：大学院卒業後1983年に大手電機メーカーに入社毎日夜半過ぎ、土日もほぼなく好きな仕事に夢中。家賃1500円の独身寮で、社員食堂1食300円、月額5万円で十分生活でき、毎月200時間越え残業→30歳で貯蓄額3000万円9：なぜ区分？建物の管理システムが付随して売買され専有部も自主管理、代行管理、家賃保証と選択肢が広く、物件ごとに最適化できる。仕事優先のサラリーマンにとって、時間と労力の制約上委託管理し、不如意なら物件ごとに自主管理でテコ入れし、軌道に乗ったら委託管理に戻せる。資金的に余裕があり多忙時は家賃保証にっもできる。11：小さな失敗から学びながら自己最適な方法を確立し、兼業大家さんを継続する投資はプロも素人も同じ世界で勝負する真剣勝負。負け最悪「死＝退場」失敗から学ぶことでスキルが向上し進歩するので、失敗を恐れてリスクを取らなければ投資は成功しない。
2020年09月05日
脳は「何もしない」でも、勝手に疲れていく
![脳疲労が消える 最高の休息法[CDブック]――[脳科学×瞑想]聞くだけマインドフルネス入門](https://m.media-amazon.com/images/I/51cQLMr8lUL._SL160_.jpg)
今に続く「マインドフルネス」ブームをつくった本の一つ。著者は米Yale大学医学部卒の日本人精神医学者。2010年にLAにてメンタルクリニック(TransHope Medical)を開業。
脳は「何もしない」でも勝手に疲れていく、のだという。というのは、脳は、何もせず、ぼんやりしているときにも働いている。これをDMNというらしいのだが、要するに、脳の基礎代謝だと考えればいいと思う。このDMNは「脳の消費エネルギーの60-80%を占める」ため、積極的に何かを考えていなくても、疲れてしまうというわけだ。
だから、脳をリセットするために睡眠が必要なわけだが、脳の暴走で、疲れているのに眠れないという睡眠障害が起こることがある。そうなったときに、あるいはそうならないために、科学的に正しい「脳の休め方」があるという。それが、マインドフルネスということになる。
本書の大半は、イェール大学医学部を舞台とした小説仕立てによるマインドフルネス解説。これがあまり面白くない（笑）。医者は医者として、物語のほうは誰かに書いてもらった方がよかったかも。マインドフルネス実用書としてのエッセンスは、冒頭にまとめられているので、それだけでも十分。
本書の大半は、イェール大学医学部を舞台とした小説仕立てによるマインドフルネス解説。これがあまり面白くない（笑）。医者は医者として、物語のほうは誰かに書いてもらった方がよかったかも。マインドフルネス実用書としてのエッセンスは、冒頭にまとめられているので、それだけでも十分。
4：DMN（Default Mode Network)・脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、身体が消費する全エネルギーの20%を使う・何もせず、ぼんやりしているときにも働く・脳の消費エネルギーの60-80%を占める9：脳の可塑性マインドフルネスを継続すれば、疲れづらい脳が手に入る。１．とにかく脳が疲れている→マインドフルネス呼吸法�ヾ靄椹兩�を取る��体の感覚に意識を向ける�８撞曚肪躇佞鮓�ける�せ�念が浮かんだら、注意を呼吸に戻す＊同じ時間、同じ場所で毎日やる（脳は「習慣」が大好き）２．気づくと考え事をしている→ムーブメント瞑想�（盥壟堊��⇔�った姿勢でムーブメント瞑想��座った姿勢でムーブメント瞑想＊「玄関を出たところからスタート」など、タイミングをあらかじめ決めると習慣を作りやすい３．ストレスで体調がすぐれない→ブリージング・スペース�．好肇譽垢留洞舛傍い鼎�・マインドフルネス瞑想の基本姿勢・ストレスの原因になっていることを「一つの文」にする・その文を心の中で唱えたとき、心や体がどう反応するかを確認する��呼吸に意識を集中させる��身体全体に意識を広げる・体全体が呼吸をしているイメージ＊身体的な疲労も、そのメインステージは脳である４．思考のループから脱したい→モンキーマインド解消法�ー里討�・思考にラベルを貼り、「何度も考えた」という事実に気づく�⇔祿阿鮃佑┐�・同じ考えが現れるのは、同じ前提を置いているせいでは？�８�者の目線で考える・自分が尊敬する人や歴史上の偉人ならどう考えるか？�の匹薫�しで判断するのをやめる・「いまここ」以外の基準で物事を評価していないか？�ネ獲茲鮹気�・その考えが何度も現れている原因は？＊思考のループは睡眠の妨げ５．怒りや衝動に流されそうなとき→RAIN��Recognize（認識する）・自分の中に怒りが起きていることを認識する��Accept（受け入れる）・怒りが起きているという事実を受け入れる��Investigate（検証する）・怒った時に身体に何が起きているかを検証する��Non-Identification（距離を取る）・自分の感情を個人的にとらえない＊目的意識が高い人ほど、心のゆとりがなくなり、衝動に走りやすい６．他人へのマイナス感情→やさしさのメッタ�．泪ぅ鵐疋侫襯優垢憤媼云�態をつくる・ネガティブな感情から「いまここ」に注意を向け直す�△修凌佑里海箸鮖廚ど發�べる・心身の変化に注意を向ける��心の中でフレーズを唱える・「あなたが幸せで心安らかでありますように」＊DMNの過剰活動を抑える７．身体に違和感・痛みがある→ボディスキャン�＿�たわって、呼吸に注意を向ける�∈限�のつま先に注意を向ける��身体をスキャン・吸う時、息が鼻から入り、身体を通って左足つま先に吹き込まれる・吐くとき、左足つま先にある空気が、身体を通って鼻から出ていく�て瑛佑離廛蹈札垢鯀歓箸�・痛みがある部分を観察し、その部分を同様にスキャンする＊身体の感覚がどう変化しているかにも注意する139：地中海地方の食生活がストレスにも心臓にもいい毎日：野菜、果物、ナッツ類、豆類、イモ類、全粒穀物、魚、オリーブオイル、チーズ、ヨーグルトほどよく：鶏肉、卵避ける：赤身肉142：脳が回復する５つの習慣��on/off切り替えの儀式を持つ・特定の音楽を聴く、シャワーを浴びるなど・脳は二つを同時にできない�⊆�然に触れる・人を超えたスケールの非人工物に触れることで、日常・仕事モードから解放される�Ｈ�にふれる・美しいという感覚は、脳の報酬系などへ作用する�に彳�できるものを持つ・好きなことに集中すると、報酬系が刺激される�ジ龍燭鯔�れる・育った場所には安心がある
2020年09月04日
シリアル・イノベーター
第4章はパナソニック名誉技官の大島光昭氏との対談。松下電器在籍中に複数の技術分野において基本技術の研究成果をあげ、基本特許を権利化された方だ。その登録特許は1300件にも上り、そして何より、研究が元となった製品の営業利益は3000億円に上るという。
松下のイノベーションの中核になっていたのは、無線研究所。松下には、中央研究所もあったのだが、松下幸之助はわざわざ別に「イノベーションを生むための仕掛け」としてこれを設立した。中央研究所が本社予算で、本流の優等生型テーマをやるのに対し、無線研究所は独立予算で、誰もやってないテーマに挑戦する。今風に言えば、ムーンショットだ。
500人くらいの研究者を集め、尖った無垢な新入社員をそこに放り込み、イノベーター菌に感染させる。こうして世界最高、世界初のイノベーションを次々と生み出してきた無線研究所だが、バブル崩壊後「失われた20年」で、その継承は途切れた。本業が傾くと、負の連鎖が始まってしまうのだ。本業でしっかり儲けてこそ、長期的な視点で投資できる。
110：シリアル・イノベーター大嶋光昭（パナソニック名誉技官）登録特許数1300件研究が元となった製品の営業利益は3000億円。例：振動ジャイロ→手ぶれ補正2クロック方式省電力CPU地上波デジタルTV企画必須特許光ディスク規格（BCA CPRM)ゲーム用光ディスク海賊版防止技術３D符号化技術112：ノーベル賞を取るような発見は「運である場合が多い」ディスラプティブなことをする人の特徴�‐�人数のチームでやる（多くても3人）�∈�は人気がないアイデアから考える116：松下幸之助が「イノベーションを生むための仕掛け」として考案した無線研究所なぜ、同じ規模の研究所を二つ作ったのか？1953中央研究所（本社予算 優等生型テーマ）1962無線研究所（独立予算 誰もやってないテーマに挑戦）20人のイノベーターが、世界最高のスピーカーやレコードプレーヤー、世界初の画像圧縮技術などのイノベーションを次々と生み出す。121：振動ジャイロ事業化するには3年1クールで、3クール必要。��0→1�■陰�10��10→1000+
2020年09月03日
400年ぶりに訪れた「思考のイノベーション」
第3章は、イノベーション・シンキングの世界的第一人者と言われる濱口秀司さんとの対談。著者の石川氏は、勝手に師匠だと思っているという。
濱口が1998年に発表した"Structured Chaos"を、400年ぶりに訪れた「思考のイノベーション」だという。松下電工出身の濱口は、1998年に米国のデザインイノベーションファームZibaに参画。そこで、松下電工時代の経験から編み出したイノベーション法を発表したのが"Structured Chaos"だった。この400年間、考える形態はデカルトの「演繹法」、ベーコンの「帰納法」しかなかった。
"Structured Chaos"は本書の対談だけではよく分からないが、バイアスブレイクは誰でも使える有効な方法。ローンディールの細野慎吾さんが「脱・平凡発想トレーニング」でやっているのもこれですね。
80：400年ぶりに訪れた「思考のイノベーション」Structured Chaos（濱口秀司1998）84：リソースと戦略的自由度はトレードオフ構造自由度があるところで頑張っておらず、決まったところから頑張っている。→バランスが悪い91：バイアスを見つけて破壊するイノベーションは、「ゼロ→イチ」ではなく、「イチからスタートすればいい」。104：ストラクチャード・ケイオス直感でも論理でもなく、大局観。ロジックとアイデアは必ず対にする。「ちょっと待てよ」という直感→「そもそも」「ということは」
2020年09月02日
創造的に考えるとは何か？
筆者は1981年生まれの予防医学研究者。東京大学医学部健康科学科→ハーバード大学公衆衛生大学院→自治医科大学博士（医学）とある。知らない人だが、「創造的に考えるとは何か？」が本書のテーマで、それにひかれて読んでみる。
「わたしが憧れる創造性とは、却来の境地に達することである」なのだそうだ。
「却来とは、ある物事を新しくし、質を高めた後、また古くすること」だそうで、この却来という形式こそ、「日本が世界に誇る創造のスタイルではないのか」という。
「人類史の中で一番Think Differentしたのは誰か？」では、Historical Popularity Index（MITメディアラボ、セザー・ヒダルゴ）を代替に使っている。これは、
・Wikipediaのその人のページが何か国語に訳されているか？
・どれくらいのページビューがあるのか？
でランキングしたもので、「歴史上の人物の関心度」を測ったものということになる。それによれば、世界的には、
１．アリストテレス
２．プラトン
３．キリスト
22. ニュートン
23. アインシュタイン
26. ブッダ
だそうだ。アリストテレスやプラトンなど古代ギリシャの哲学者がトップなのは面白い。日本人にはちょっと想像できない。これを、日本人で見ると、トップ３は、
１．松尾芭蕉
２．織田信長
３．昭和天皇
で、なんと松尾芭蕉が第一位。これも予想できなかった。芭蕉のWikipediaは101の言語に訳されているそうで、想像以上に、俳句は世界の関心が高いらしい。40：「幅広い知識や経験を備えたシニア」と、「カッティングエッジな知識を持つ若手」の組み合わせが、最も破壊的なイノベーションを起こしやすい。（法政大学 永山晋准教授）46：芭蕉のすごさまず新しくした後に、質を高めた。和歌（雅）→俳諧（ふざけた）→俳句（詫び・寂び）50：却来＝老い木に残る花古い木に一輪だけ残っている花の美しさ。新しく質を高めたものを、あえて古くする。
2020年09月01日
成果を挙げる人材を見極める「究極の質問」
「人材獲得のほとんどの問題は、ただ一つの根本的で単純な変更で解決できる。旧来の募集要項を、これから入社する社員が業務において達成すべき成果目標のリストに置き換えることだ」
という。これが、筆者いうところの、「パフォーマンス採用」で、具体的には次の通り。
という。これが、筆者いうところの、「パフォーマンス採用」で、具体的には次の通り。
� 〇�業における成果目標を明確に定義する
�◆´，魘ν�することによってトップ人材、パッシブ候補者（転職に積極的でない人）を惹きつける（必要とする人たちは、すでに良い仕事を持っているし、引く手あまたである）
�� その人材が目標を達成することを客観的に検証する
�ぁ仝‐擇硫當�を通じ成果目標をより明確に共有しクロージングする
「パフォーマンス採用」の成功率は95%！著者が関わった約1500件の採用案件の中で、5%に満たない採用者が短期間で企業を去ったが、その原因は企業のスタイルに合わなかったり、仕事への意欲が不足していた。能力不足というケースは皆無に近い。
一方、旧来の募集要項（経験~年、〜学部卒、〜業界の経験、〜資格、勤務地、給与）は、「最も有害で無益」だという。そんな、形式的な情報では何も判断できないのだ。
コロナ禍で日本の採用も変わろうとしている。リモートワークが多くなれば、仕事内容もはっきりしてないといけないし、それに対する評価方法も具体的でなければならない。一言でいえば、欧米型に近づいていくと思われるので、採用側も求職側も勉強しておいた方がいい。
一方、旧来の募集要項（経験~年、〜学部卒、〜業界の経験、〜資格、勤務地、給与）は、「最も有害で無益」だという。そんな、形式的な情報では何も判断できないのだ。
コロナ禍で日本の採用も変わろうとしている。リモートワークが多くなれば、仕事内容もはっきりしてないといけないし、それに対する評価方法も具体的でなければならない。一言でいえば、欧米型に近づいていくと思われるので、採用側も求職側も勉強しておいた方がいい。
・面接での失敗は冒頭の30分間で起きる候補者の第一印象に頼ってはならない。その人たちの実績や可能性に関する質問を通じ、客観的な判断を下すよう心掛ける。・採用担当者は、候補者との面接前に「入社1年目」「入社2年目以降」情報を入手しておく。その情報を候補者とも共有し、優秀な人材を獲得できるように努める。・達成者のパターン優秀な人材には共通する特徴がある。「達成者のパターン」を持った上位25%の人材を見出していく。・二つの質問�〆任盻斗廚焚甬遒龍叛咫�MSA: Most Significant Accomplishment)Specific: その業務の内容、直面した問題など具体的に教えてもらえますか。Measurable: その業績を挙げたことで、会社はいかに変わったのですか。数値で示してもらえますか？Action-oriented: その業績において、果たした役割について教えてもらえますか？Result: どのような結果を出しましたか。成果物はありますか？Timeframe: その業績を挙げた時期、期間は？Environment: 仕事のペース、リソース、職場の洗練度、メンバー、上司など、どういった環境でしたか？��現実の問題を解決する方法を確かめる（PSQ: Problem-solving Question)何を最初に行いますか？必要人員をどのようにして算出しますか？誰に助言を求めますか？何が根本的な原因だと思いますか？何を優先して行動しますか？代替案と比較してどう思いますか？解決にはどれほどの時間が必要ですか？その時間をどのようにして算出しましたか？代替案と比べて費用対効果はどうですか？最善策をどのようにして決定しますか？アンカー質問：過去に同様の問題に直面したことはありますか？その際、どのように解決しましたか？106：面接の人材評価・候補者の第一印象に左右されず、面接が終わるまで判断を下さない。・「採用成功の方程式」に従って評価するという目的を関係者全員で共有する。Level 1：たとえ印象がよくても採用すべきではない人材能力やスキルが欠けていて、仕事への意欲も足りない。Level 2：マネジメント方針や社風に適合してないと想定される人材ある程度の能力は有していても、意欲や適性に欠ける。Level 3：パフォーマンスプロファイルの目標全てにおいて合格点を満たしている全体の上位25%に相当Level 4：すべての要素で合格点を満たしたうえで、期待以上の成果をもたらす可能性を秘めている人材過去の仕事でも社内で表彰されるなど、周囲から高い評価を得ている。将来のリーダー候補。Level 5：パフォーマンスプロファイルの内容を大幅に上回るレベルが期待できるスター級の人材表彰や留学など社内外で高い評価を得てきている。このクラスを採用できた場合、その人たちが関わる業務やプロジェクトを会社としても積極的に支援、推進していくべき。サポートが十分でなければ、短期間に人材を失ってしまうケースも。
