2019年10月
2019年10月31日
「野生化」は何をもたらすか
先進国各国で所得格差が進んでいる。これを指摘してベストセラーとなったのがフランスの経済学者トマ・ピケティ。ところが、調査結果をよくみると、欧米と日本の違いがある。欧米では、1980年代以降、高額所得者への富の集中が進んだ。
トップ0.1%の高額所得者への集中度は、アメリカの場合、日本と同じ2%程度であったものが、1980年代から上昇し、現在8%台と顕著に上昇している。これに対して、日本は戦前は高かったものが、戦後一貫して2%程度であり、未だに富の集中は起こっていない（森口千晶）。
むしろ、日本で問題なのは、低所得層のさらなる低所得化だという。「失われた20年」で経済が低迷する中で、企業は正社員の雇用に手を付けられないものだから、正社員採用を絞って非正規労働者を増やした。
根底には、日本社会の流動性の低さに伴うイノベーション不足にある。イノベーションがもたらす破壊を避けて、イノベーションを阻害する制度設計になっている。いわば、「みんなで貧しく」という状況。
200：基礎研究を誰が負担するのかアメリカとは対照的に、日本の大学は基礎研究の割合を減らしている。日本では大学が基礎研究を減らしている代わりに、企業がそれを負担している。アメリカではDARPAをはじめ、国防総省の予算が基礎的な研究の資金源。国が支出する研究費のおよそ半分が国防総省（2015年48%)203：「破壊によるコスト」を誰が負担するのかイノベーションによって代替されてしまう仕事に従事している人々のためのセーフティー・ネット。アメリカは、企業がレイオフや整理解雇などで不採算事業や遊休資産となった人員の整理を行いやすい社会。その結果、企業は遊休資産を社内に抱えることなく、新しいビジネスへと転換。加齢しても収益性を高く保てる。日本は、企業が整理解雇を簡単には行うことができない社会。判例上、労働者に対する保護が強い。そのため、企業は、遊休資産となってしまった人員も社内に抱えながら新しいビジネスをする。加齢の影響を大きく受け、収益性が低下。210：所得格差イノベーションには、二つの相反する効果。タスクを代替することで、代替するタスクに従事していた人の雇用や賃金を低下させる効果と、新しい補完的なタスクを創出することで、そのようなタスクに従事する人の雇用や賃金を上昇させる効果。213：日本での低所得化多くの国では高額所得者への富の集中が起こっている一方で、日本ではその傾向が顕著ではない。トップ0.1%の高額所得者への集中度：日本戦後一貫して2%程度。アメリカの場合、日本と同じ2%程度であったものが、1980年代から上昇し、現在8%台。日本ではピケティが示したような高額所得者への富の集中が起こったのではなく、むしろ低所得層のさらなる低所得化が進行した。220：社会移動1960年代以降の日本の移動率は国際的な水準と比べて高い水準。アメリカと較べても、日本は高い移動率。アメリカ社会がイメージ程は開かれていない。欧州諸国と比較しても、安定的に開かれた社会。222：カール・ポランニー『大転換』保護主義や全体主義は、新自由主義的な考え方を推し進めていった結果として生じる。規制や保護を無くしていくと、自由な競争になり、その結果経済的な格差が開く→貧困層が増える→貧困層が大票田になるので、そこに訴求するような保護主義的あるいは全体主義的な政策をかかげる政治家が現れる→ブロック経済化→世界大戦
2019年10月30日
日本のイノベーションは衰えたのか
衝撃的なのが、「日本企業の加齢とROAの推移」。上場している日本企業とアメリカ企業（NYSE)の平均ROA（総資産利益率）を設立年数でプロットしたもの。
これを見ると、アメリカ企業は年齢と稼ぐ力に相関性はなく、収益性は一定だ。これは市場からの収益性に対する圧力も高く、収益性が落ちれば上場を維持できなくなり、そうなる前に事業ポートフォリオの再構築や、それに必要な経営陣の入れ替えが行われているからだと推察できる。
これに対して、日本企業は10代前後で本業で稼ぐ力のピークを迎える。そこから、加齢とともに、稼ぐ力がどんどん落ちる。「アメリカ企業は加齢の影響を受けにくく、日本企業は加齢の影響が大きい」のだ。
これは、日本企業は上場企業であっても、�ヽ�主からの圧力が低く、低収益が許されてきた、�⊆匆饑�度的に人員整理を伴う事業再構築がやりにくい、��世論もネガティブ、という理由がありそうだ。
127：Total Economy Database （フローニンゲン大学）経済成長＝労働の投入量＋資本の投入量＋全要素生産性（Total Factor Productivity)日本において成長に対するイノベーションの貢献が消えたのは、「失われた20年」よりもずっと早く、オイルショック以降。オイルショック以降の安定成長期の成長を支えていたのは、資本の投下。「失われた20年」の原因の一つとして、資源配分の歪み。高い収益性が見込めないところに、経営資源が配分されたから、経済成長が阻害されてきた。バーゼル合意による銀行の自己資本比率や流動性比率などに対する規制。155：ラディカルなものと累積的なものラディカルなイノベーションのオリジナルは欧米が多く、その後、日本企業が累積的な改良を重ねていったケースが多い。銑鋼一貫臨海製鉄所やトヨタ生産方式、あるいは半導体レーザーや光ファイバー製造法などは、どれもその起源は海外にあるものの、日本が累積的なイノベーションを積み重ねていった代表的なもの。163：戦間期に生まれた年功序列長期雇用の慣行が始まったのは、WW1とWW2の戦間期。当時、熟練した人材が足りなくなって、企業は新卒の学生を雇用し、彼らにトレーニングを施して、優秀な労働力に育てようとした。しかし、せっかく彼らにトレーニングを提供したとしても、一人前になった途端に転職されては、その投資が無駄になってしまう。そこで、年功序列と終身雇用をセットにした。転職すると、社内の昇進の梯子を、もう一度最初から上り直さなければならない。このような制度が大企業を中心に日本に広く定着したのは、WW2後。170：日本人の特性として創造性がなかったり、集団的だったりするわけではなく、日本企業の雇用制度がイノベーションを阻害している。172：日本企業の加齢とROAの推移（Yamaguchi et al. 2018)アメリカ企業は設立から年数がたっても稼ぐ力はそれほど落ちない一方で日本企業は若い時のピークを過ぎるとどんどん稼ぐ力が落ちていく。アメリカ企業は加齢の影響を受けにくく、日本企業は加齢の影響が大きい。175：硬直化する日本企業30歳の日本企業の流動性と100歳のアメリカ企業の流動性がほぼ同じ。同じ領域で長い間ビジネスをするので、日本企業は加齢しても効率性はあまり落ちない。しかし、いつまでも高い収益性を維持できるような市場はなかなかない。反対に、アメリカ企業はより収益性の高いビジネスに転換していくことができるので、加齢と共にそれほど収益性が低下しない。177：企業単位で考える落とし穴経営資源の流動性のあり方によって、成熟したビジネスからの転換（脱成熟）の仕方が違ってくる。日本のように人の流動性が低い社会では、企業単位で事業の転換を図る。アメリカのように流動性が高い社会では、優秀な人材が企業の外に飛び出して起業しやすいので、必ずしも企業が事業転換の重要な単位にはならない。184：流動性の高さとVCの活発さ人の流動性は、VCの活発さと密接に関連。1986-1995年の21ヵ国のVC調査は、労働者に対する保護の強さと、VCの活発さの間には負の相関関係。1990-2008年までのヨーロッパにおける分析でも、雇用保護に関する強い規制がVC市場の成長を阻害。
2019年10月29日
イノベーションっぽく見えるもの
「イノベーションっぽいこと探し」が面白い。昨今、イノベーション流行りで、大学に「イノベーション研究科」等が設立されるだけでなく、企業にまで「イノベーション推進室」などが設立されることが多い。
イノベーション研究家として仕事が広がっていると思うのだが、筆者はこの傾向に懐疑的。なぜなら、イノベーションは「飼いならせるものではない」から。イノベーションを起こすことが目標になるのは本末転倒で、「どの事業でもイノベーションを」となると、役割の違う事業を同一の基準で評価してしまうことになる。例えば、経験も市場支配力もある主力事業と、新たに挑戦している新規事業では、その目指すところが違う。
「イノベーションが目標になってしまうと、達成が求められ、目標との帳尻合わせが始まってしまう。見せかけだけの無意味な『イノベーションっぽく見えるもの』が次々と生み出され、その企業の生産性はかえって低下する」
44：アメリカでの経済格差（MITダロン・アセモグル、デイビッド・オーター）大学卒業であっても1970年代からは賃金は伸びていない。唯一高い賃金の伸びを示しているのは大学院卒。スキルの低い労働者がイノベーションに代替され、賃金の伸びが抑制される一方で、イノベーションを生み出すために必要な高スキルの労働者の需要が高まる。45：インパクトは「じわじわくる」ジェームズ・ワットは蒸気機関の開発において、1770年代から1780年代にかけて多くの特許を取得。しかし、重要な特許が切れた1800年の段階で、実際に使われていたワットの蒸気機関の数はイギリスでは500以下、ヨーロッパ大陸ではわずか数十基。これは、ワットの蒸気機関が未熟だったから。当時の蒸気機関の熱効率はわずか5%。蒸気機関に使われていた金属の強度不足が課題。応用力学や金属組織学などの進展を待たなければならなかった。いくら革新的な製品やサービスであったとしても、その潜在力が最初からフルに活用されるようなものはない。74：マグナ・カルタのインパクトメソポタミアでは紀元前2500年ごろのものと思われる土地取引の記録。私有財産制度がなければ、そもそも土地の取引は成立しない。旧約聖書にも土地の売買についての記述。旧約聖書が書かれ始めた1150BCには土地に関する所有権がある程度確立していた。1215年ジョン王がマグナ・カルタに調印。国王の徴税権を制限し、封建貴族が有する諸権利を再確認。国王も法の制約の下におかれるようになった。国王をもってしても、不法に国民の財産を侵すことはできなくなった。91：有限責任初期の株式会社は必ずしも有限責任ではなかった。1662年にイギリス政府が、東インド会社などの株主に対して有限責任を許可。この時に有限責任が許されたのは貿易関連の会社だけ。その有限責任はあくまでも特権であり、議会が与えるもの。有限責任が多くの会社に適用されるようになったのは、アメリカ。1830年代には、株式を公開している上場企業のほとんどが有限責任に。イギリスで多くの企業に株主に対する有限責任が認められたのは1855年。97：累積的なイノベーションの重要性ラディカルなイノベーションは、それが生まれた段階では、ほとんど「使い物にならない」。累積的なイノベーションがなければ、大きな可能性を秘めているものでも、花ひらくことはない。人工知能も1956年には既に基本的なアイデアが生み出されていた。119：イノベーションっぽいこと探しイノベーションとは目指すものではなく、課題解決の結果。イノベーションを起こすことが目標になるのは本末転倒。「どの事業でもイノベーションを」となると、役割の違う事業を同一の基準で評価してしまいがち。イノベーションが目標になってしまうと、達成が求められ、目標との帳尻合わせが始まってしまう。見せかけだけの無意味な「イノベーションっぽく見えるもの」が次々と生み出され、その企業の生産性はかえって低下する。イノベーションを組織の中に飼いならそうとすることの最も悪い結末。
2019年10月28日
野生化するイノベーション
良く知られているように、ケインズは、「経済発展にはイノベーションが必要であり、それをもたらすものは『アニマル・スピリット』」だといった（ジョン・メイナード・ケインズ『雇用・利子および貨幣の一般理論』）。経済活動にしばしばみられる主観的で非合理的な動機や行動である。
イノベーションは確信的であればあるほど失敗する可能性が高いのだが、この試行錯誤なしでは経済は前に進まない。そこで、企業活動においても、昨今盛んに「イノベーション」が謳われるようになった。そのイノベーションを正面から取り上げた本で、ここ数年出た中では一番良いと思ったので、今週、シリーズで紹介しようと思う。
筆者の主な主張は以下の通り。
�．ぅ離戞璽轡腑鵑砲楼貭蠅痢崕�性」がある
偶然に頼るだけではなく、「イノベーションを起こしやすくする方法」がある。ここでいう「習性」とは経験的に見られる規則性で、環境に手を加えれば「繁殖」しやすくなる。
�▲ぅ離戞璽轡腑鵑魯船礇鵐垢魑瓩瓩銅�由に移動する
イノベーションを「自らの手元で飼いならす」のは難しい。無理に飼いならそうとすれば、本来の性質が失われる。
�Ｎ�動性が高まると、イノベーションの「破壊的な側面」が強くなる
イノベーションだけを追求していくと、「野蛮な社会」になってしまうかもしれない。イノベーションに伴う破壊に、どうやって上手に対応していくか。
序章24：イノベーションは「移動する」ビジネス・チャンスの方に向かって自由に移動する。26：イノベーションは「飼いならせない」人の手でコントロールしようとすると、イノベーションはダメになってしまったり、性質が変化してしまったりする。26：イノベーションは「破壊する」人間社会を破壊する。最新の水力紡績をイギリス国内にとどまらせようとしたのに、その技術はアメリカやフランスなどに渡ってしまい、競争力の低下したイギリスの繊維産業は壊滅的なダメージを受ける。最終的にはインドの家内制手工業までも破壊した。創造的な側面。経済の生産性を押し上げ、経済成長をもたらす。破壊されるのを恐れて、新しい技術やアイデアが入ってこないように壁を作ってしまうと、全体の生産性が上がらない。31：イノベーションには「パターンがある」イノベーションが持続的に生み出されるようになったのは、18世紀半ばにイギリスで起きた産業革命から。さらに、19世紀後半から20世紀にかけてイギリスの製造業では、イノベーションはほとんど見られないようになった。起業家や科学者、発明家といった個人の天賦の力だけではイノベーションは起こせない。
2019年10月27日
梁山泊とシンガポール
宋禁軍との死闘を制した梁山泊は、新しい国造りをスタートする。長年、童貫との戦を戦ってきた梁山泊軍には、戦後のことまで考えている人物はほとんどいなかった。「腐敗した宗を倒して、新しい国を造る」という思いだけで、ほとんどの人は、新頭領となった楊令が帝となって、それを朝廷が支えるこれまで通りの国を考えていた。
それでは、これまで中国の歴史が繰り返してきた通り、梁山泊もやがて腐敗してしまうと考えた楊令は今でいう「共和国」構想を打ち出す。世襲制の帝をおかず、民から選ばれた大統領が統治する。税金はなるべく安くして、交易を活発にする。税収の足りない分は国自体が行う事業で賄う。
新たに梁山泊となった地域の人口は400万を超え・・・とあるから、ちょうど今のシンガポールほど。シンガポールを想定して北方謙三が書いたのかどうか知らないが、その国家運営は、シンガポールに似ている。どれだけ似ているか、較べてみるた。
梁山泊 シンガポール
人口 400-500万人 399万人（永住者 この他に外国人164万人）
所得税 1割 最大22%
兵役 1年 2年
常備軍 6万（騎馬2万＋歩兵4万） 7万(陸軍5万＋海軍1万＋空軍1万）
国の事業 貿易 政府保有の投資会社テマセクを通じて国内外に投資
��147：童貫老いた分、狡猾になった。楊令は成長しただろうが、自分にその余地はもうなかった。ただ、狡猾になった。その狡猾さで、楊令を凌ぐことはできるはずだ。��187：李俊今年の収穫から、税は取ることになっていた。しかし、宋の重税と較べると、わずかなものだ。商いにかかる税も、やはり宋と較べると、異常なほど少なかった。軍費は、税以外のところから調達する。新しい、国としての梁山泊が出発する時、まず決められたのはそれだった。塩の道と交易。��103：童貫60万の殺戮をなした。それで心が平成でいられるわけがない。心の底の底に、深い傷を負った。その傷が、戦闘中にいきなり血を噴きはじめた、ということだろう。345：李明江南の戦線は、殺戮の繰り返しだった。狂いかけた兵を見ては、李明は切り捨てていった。狂気は、正気を保っている兵に伝染していく。��205：楊令「かなり広くなった。民の数も四百万を超え、やがて五百万に達するだろう。広くなったが、宋という国と較べると、いかにも狭い。しかし、梁山泊という国は、その広さでいいと俺は思っている。肥沃なので、農耕の生産は相当高くできる。真中を河水が通っているので、物流の確保ができ、交易という道もできる」「四百万を超える民の税は、9対１。一だけ、国に治める。そのほかに、生産しものを、国外に売る。交易をなす。それで、税を徴収するより、利はあがる」「民が守る。税は安いが、兵役は課す。少壮の者は、1年間、調練を受ける。平時の正規軍は、騎馬2万、歩兵4万。それが適正だ。それは今の軍を維持する」306：中原を中心に物を売れば、銀は入ってくる。それは、当面の糧道になるだろう。西域と日本、あるいは日本とずっと南方、西域と南方、そんな繋がりを作ることができたら、梁山泊の利は厖大と言うよりも、もっととんでもない大きさになるだろう。
2019年10月26日
陸軍特別攻撃隊の真実の姿
1974年初版の「記念碑的作品」と言われる本。その後、1983年新装版、1986年文庫版が出たが、32年ぶりに文庫版新装が出た。その書評が載っていたので読んでみる。
著者は、1908(明治41)生まれで、1998年（平成10年）没とあるから、明治・大正・昭和・平成と4元号を生きたことになる。もっとも少年の頃には昭和となり、激動の昭和を生きたことになる。
「1933年早稲田大学政治経済学部卒。松竹蒲田撮影所に入社。42年陸軍航空本部の映画報道班員として、マレーシア、インドネシア、タイ、仏印、ビルマなどに従軍。45年鹿児島県の知覧航空基地に転属。特攻隊員たちの苦悩にふれて、戦記作家として執筆活動を始める」著者紹介にある。
三冊組の第一巻だけで572pのボリューム。「陸軍特別攻撃隊の真実の姿を、当事者への膨大な取材と、手紙・日記等を通して描き尽くした記念碑的作品。なぜ現場の反対を押し切って、体当たり攻撃が決定されたのか」
筆者を決意させたのは、従軍した各地で見た戦場での悲惨さと陸軍指導部の無謀さ。現状を見ずに、日露戦争以来の白兵戦を強要したり、精神論を押し付ける。当然ながら、成果は全く上がらず、犠牲ばかり多くする。
陸軍特別攻撃隊については、最初から最後までまったく戦果が出なかった。それもそのはずで、陸軍の爆弾は陸上用だから、軍艦に当たればすぐに爆発する。しかし、硬い装甲に守られた船内に被害を及ぼすことはない。
初戦の勝利で東南アジアに戦線を広げた陸軍は米軍の反撃で米海軍に対しても対応を迫られた中で、苦肉の策として出てきたのが艦船に体当たりする特別攻撃。これをしても、徹甲弾を持たない陸軍機では意味がないのだが、爆撃改良の方法をせっつかれていた第三陸軍航空技術研究所が苦し紛れに提案したのがこれ。航空攻撃について何も知らない東大教授に正当化する理論を書かせ、お墨付きを得る。
そこには、戦争に勝つという国家目標もなく、いくらの犠牲でどれだけの戦果を挙げられるかという科学もなく、自らと組織の保身があるのみ。これはひどい。戦時中の陸軍と言えば、当時のGDPの何年分も使う日本最大の官僚組織。それが、この様なのだから、最初から勝てるわけがない。
強力なリーダーが現れることを嫌い、エリート教育を怠ったツケなのか。
11：毎日新聞 塙長一郎記者眠り草と戯れる特攻隊員の記事は、このようなことで書かれた。それが作り話であっても、塙記者を非難することはできない。特攻隊員を救国の英雄に仕立てることは、軍の要望でもあった。それに従わない記事は発表を許されなかった。15：大本営発表（S19.11.13)これは陸軍特別攻撃隊についての、最初の大本営発表であった。しかし、この発表は、事実と違っていた。それは、この発表のなかの佐々木伍長が体当たりもしないし、戦死もしていないことであった。陸軍特別攻撃隊には、最初から虚構と疑惑がつきまとっていた。32：第三陸軍航空技術研究所長 正木博少将三航研は、航空本部から、爆撃改良の方法について、具体策の提出を求められていた。しかし、満足な方法は見つからなかった。最後に考え出したのが、体当たり攻撃の理論化であった。つまりは、航空本部の要求に対する、苦しまぎれの、責任のがれの回答であった。313：後宮参謀次長もうひとり「上等兵」と呼ばれたのが、のちに特攻隊と重要な関係を持つ富永軍司令官であった。東条大将と、その一番の側近とが、そろって「上等兵」と呼ばれていた。これらの「上等兵」が日本の最高の政治と作戦を動かしていた。これは、国民にとっては、恐ろしいことであり、何よりの不幸であった。そして特攻作戦は、後宮「上等兵」の歩兵の突撃精神を航空にあてはめ、さらには、東条「上等兵」の意図に従って、航空に「気合をかける」方法として考えられたといえる。545：軍司令官今村均大将東条首相が、連合軍の捕虜の取り扱いについて「働かざるもの食うべからずの鉄則に従って、すべての捕虜に対し、労働の義務を課する。もし怠慢の行為があれば厳重に処罰する」と訓令を発した。ところが、ジャワを攻略した軍司令官今村均大将は、戦時国際条約の通りに捕虜を待遇していた。太平洋戦争中、今村大将だけは、連合軍の捕虜を虐待しなかったといわれている。
2019年10月25日
「縮み」志向の日本人
1982年にベストセラーとなったクラシック。以後も脈々と売れ続けるロングセラーである。それは、読めば、それだけ納得感が強いからだろう。日本人が縮み志向である例として、様々な例が挙げられる。
「欧米の親はしつけとして子供をクロゼットなど狭い部屋に閉じ込めようとするのに対し、日本の親は子供を家の外に追い出そうとする」
これなど、以前紹介した伊丹敬之『平成の経営』に出て来る、日本人の「所属志向」にも通じる。アメリカでは会社に「参加」するだけなので、用が済めば転職するが、日本人は会社に「所属」するので、それが個人のアイデンティティにもなっているため、なかなか転職しない。
そのためか、会社に不満を持ちながら働いている人の割合が1/3と世界の中で突出して高い。こんな反乱分子を社内に抱えながら経営する日本の経営者は大変だ。前向きな改革を率先して行うのならいいが、会社の悪口を肴にガード下で飲んでいるタイプである。時間の無駄なので、不満ならさっさと転職したほうがいい。
芥川龍之介『トロッコ』とマーク・トウェイン『ハックルベリ・フィンの冒険』の比較も面白い。『トロッコ』は確か、中学校の国語教科書に出ていて読んだ。8歳の良平が工事現場からトロッコに乗せてもらい行ったこともない遠くまで出かけるのだが、日が暮れると一緒に乗ってきた工事夫は「一人で帰れ」という。呆気にとられた良平は、どんどん暗くなる中、必死に掛け続け、やっとのことで村にたどり着く。その心細さを描いた小品だ。
一方、ハックは大人たちについていくのではなく、逃亡奴隷の少年ジムと筏に乗って、ミシシッピーの大河を下っていく。ハックはしかつめらしい生活が嫌で村を脱走したのだ。ハックは筏が壊れても、追われたり、いろいろな危機に直面しても家に戻ろうとは考えない。良平は家に戻って泣き出すが、ハックは泣かない。また脱出と冒険を考えるのだ。
こうした冒険好きかどうか（新規探索性）は遺伝で決まるらしい。それを決定するのがDRD4の長さで、これが7回連続で現れるのは日本人では100人に1人しかいない。アメリカ人では20人ほど。ヨーロッパでは国によって違い10数人。アメリカに渡ったヨーロッパ系が最も数値が高いのは、そもそも危険を冒して移民した新規探索性フィルタが掛かっていると推定される。
本書に出て来る文禄・慶長の役以外にも、古くは白村江の戦い、近代では日中戦争での大陸進出など、日本が「拡がりの世界」に入るとことごとく失敗しており、普段は「柔軟で機敏な日本人が、一本槍の愚者になってしまう」という指摘は的を得ている。
剣道や柔道など、日本の武道では「一本、それまで」だが、戦争は違う。真珠湾奇襲が成功しても、それで終わりではない。「真珠湾攻撃そのものの発想が、隙を突き一撃で勝つという日本の剣術と相撲から出たものだ」と言われれば、そんな気がする。長期にわたる大戦略がないのだ。
「広い世界に出ようとすると、日本はいつも大きな過ちを犯す」
企業進出でも、現地化を進め、かつ裏でしっかりコントロールする体制でないと、失敗することは数多くの実例が示している。
＊日本文化の特徴は、小さいものを好み、あらゆるものを「縮める」ところにある。●昔から日本人の意識の底には、何事も縮めようとする「縮み志向」があった・入れ子箱：大小の箱を順に入れ込んで、一つに収める・扇子：平たいうちわを畳んで縮める・弁当：広くて大きいお膳を、小さい囲いの中に詰める●畳で暮らす日本人の生活空間意識と、欧米人のそれは、大きく異なる・日本人は茶室のような狭い空間で安静を味わう。そのため、広い場所では不安を感じる人も多い。・欧米の親はしつけとして子供をクロゼットなど狭い部屋に閉じ込めようとするのに対し、日本の親は子供を家の外に追い出そうとする。●日本の文化は、内から外に広がるのではなく、外のものを内に引き入れる縮み志向・日本は、自国の文化を他者に「教えること」よりも、中国や韓国、欧米から文化を「習うこと」を得意としている。・縮み志向の日本人は、「拡がり」に弱い。日本の外の「未知の空間」に置かれると、判断力を失い、どう振舞えばいいのか、見当がつかなくなってしまう。・拡がり嗜好によって失敗したのが、豊臣秀吉。天下を統一し、自身を強めた秀吉は、朝鮮出兵。だが、拡がり嗜好に転じた途端、判断力を喪失し、出兵は失敗に終わる。
2019年10月24日
人口をめぐる「静かな戦争」
日本の人口問題を考える上で、明治以降100年の「人口政策の迷走」をおさらいするのに最適な書。筆者によれば、「日本の人口減少・少子化問題は、政府が政策的に引き起こした人災」であるという。
話は戦後すぐの食糧危機に遡る。そもそも、敗戦は、「人口過剰の解決策を海外に求めた戦前の人口政策の破綻」であった。つまり、明治になって生活水準の向上と公衆衛生政策の普及で、乳幼児をはじめとした死亡率が下がり、人口が増えだした。明治初期に3500万人だった日本の人口は、日清戦争時は4200万人、日露戦争時には4700万人まで膨らんでいた。明治になってたった一世代30年余りで人口が1.5倍というのは尋常ではない。
第一次世界大戦までは比較的順調に経済が拡大したため大きな問題にならなかったが、大戦終了後の不況で日本は食料不足に陥った。政府は「海外移住こそ、人口問題を解決する有力な方策」として移住を奨励する。この時の移住先は大陸横断鉄道の開通で沸くカリフォルニア州が中心。だが、いつの時代も、大量の移民や外国人労働者は歓迎されない。欧米人と生活習慣の違う日本人はなおさらだ。
1924年に日本人移民を全面的に禁じる「排日移民法」が施行されたため、米国には移民できなくなる。日本移民排斥の動きはオーストラリアやカナダにも広がり、移民の行き先はブラジルを中心とする南米に転じる。これは国を挙げての一大事業となった。
1929年に起こった世界恐慌は、大戦不況から立ち直りかけていた日本経済の基盤を崩壊させる。ブラジルでも失業者の増大が問題となり、1934年、日本人移民を制限しだした。結果、世界中から締め出された日本が、移民の送り出し先として当て込んだのが満州なのである。1936年に関東軍司令部で開かれた会議では、満州国に計500万人を20年かけて移民として送り出す方針が決定された。
人口過剰問題を、平和的な移民政策や農業生産性の向上ではなく、海外への武力進出という強引な方法によって解決することにしたのである。本来、人口過剰問題を解決するための方法であったのに、武力進出ということになると、兵力が要る。こうして「産めよ増やせよ」の政策が取られることになった。
敗戦で満州他、海外領土を一気に失った日本は深刻な食糧危機に直面する。国内の農業生産は、「根こそぎ動員」で働き手の男子のほとんどが徴兵されたため、戦前の6割まで落ち込んだ。戦前の国内農業で養える人口は5000万人程度だったのに、3000万人分の食料生産しかできなかった。そこに、旧植民地からの引き上げと出征兵士の帰国で、一気に7000万人まで増えたのだ。
放っておけば大量の餓死者が出る状況で、政府は、アメリカからの食料支援と緊急輸入で乗り切る。GHQはこうした状況が続けば、国民が政府に不満を持ち、日本が共産化すると考え、産児制限に踏み切る。しかし、人口を制限することは長い目で見れば亡国の道でもある。GHQは産児制限を押し付けたとみられないように、戦前から産児制限を推進してきた加藤シズエを利用する。GHQの後押しを受けた加藤は1946年、女性の立候補が認められた戦後初の総選挙で見事当選する。
衆議院議員となった加藤は、1948年に人工妊娠中絶を認める「優生保護法」を成立させる。こうして日本は、大幅な人工妊娠中絶を合法化した世界初の国となった。さらに、1949年に優生保護法は改正され、人工妊娠中絶を認める要件に「経済的理由」が加えられた。
1949年に10万件だった人工妊娠中絶数は、法律が成立した1950年には32万件と激増する。これをもって、第一次ベビーブームは終焉するのだ。そして、これが、その後の長い出生数減少の歴史の始まりとなった。
・江戸時代中期〜後期、日本の人口は概ね一定明治維新後、工業や医療が発達し、人々の生活が豊かになって死亡率が下がり、人口増加に転じた。・食料不足問題WW1で欧州の産業が停滞し、日本は工業国へ脱皮。農村の若者が都市へ流入。農村の生産性は伸び悩み、食料不足に。・海外移住WW1後の不況の一方、人口増は続く。政府は「海外移住」で失業や食糧難の解決を図るが、現地の生活に馴染まない日本人に対し、各国で排斥の動き。・満州世界中から締め出された日本が、移民の送り出しに選んだのが満州。人口過剰問題を平和的な移民政策や農業生産性の向上ではなく、海外への武力進出で解決する路線。・戦後の食糧危機WW2後、日本の農業生産は落ち込み、出征兵士の帰国によるベビーブームで、食糧事情は危機に瀕する。・優生保護法発展途上国(日本）の人口急増が共産主義に結びつくと考える米国は、日本の人口抑制を図る。産児調節運動家（加藤シズエ）を後押しして国会に送り込み、人口妊娠中絶を認める「優生保護法」を作成・可決させた。・優生保護法の改正経済的理由による人工妊娠中絶を認める改正により、人工妊娠中絶数は激増し、年間出生数は激減。その後の長い出生数減少の歴史の始まり。
2019年10月23日
「優柔不断」を乗り越える
職責が上になればなるほど、求められるのは判断力であり、決断力である。指示される仕事は少なくなり、そもそも「何が今、将来を考えて必要な仕事なのか」を定義して、実行していく。
学校では問題は与えられるもので、与えれた問題をいかに正確に早くこなすかが求められるが、実社会での優れた意思決定には、論理的な思考の前に「想像力」と「創造力」が必要になる。
＊決断力を磨き、より良い意思決定を行うための方法・意思決定の際、人が優柔不断になる原因は、性格ではなく問題そのものにある例えば、選択肢の数が多すぎたり、情報がほとんどなかったりすると、なかなか意思決定できない。・確証バイアス人は、ある仮説を立てると、それに合致する情報のみを求め、自分の仮説は正しかったと確信する傾向。このバイアスが働くと、情報収集とその解釈がゆがむため、良い意思決定はできない。・自己奉仕バイアス人は、成功すると自分の実力だとしてその要因を自らに帰属させ、失敗すると「運が悪かった」などとして外部に帰属させる。ゆえに、失敗しても自分に都合よく解釈し、原因を分析・検証しない。・「想像力」と「創造力」優れた意思決定には、論理的な思考の前に「想像力」と「創造力」が必要。これがないと問題設定が狭まり、意思決定が貧しくなってしまう。実社会の問題は、問題をどう定義するかは自由。・優れた意思決定のための「5段階フィルターモデル」�．瓮身獣�まず、「真の問題は何か」を考える。その上で、意思決定の必要度・緊急度・重要度・コストを判断する。�∩�択肢の生成バイアスの影響を受けないように情報を収集・精査し、選択肢をつくる。�Ａ�択肢の評価評価基準をもとに、生成した選択肢を総合的に評価する。�し菽�選択肢の中から、最も評価の高いものを選ぶ。�ド床然惱�行った意思決定のプロセスと結果を評価し、次の意思決定に活かす。
2019年10月22日
「四国でいちばん大切にしたい会社」と市場選択
今回、「四国でいちばん大切にしたい会社」受賞企業4社を訪問したが、
・売上25-100億円規模の中堅企業
・ニッチトップもしくは地域独占型
という共通点がある。
推定市場規模50億円のケアシューズでシェア50%の徳武産業と、推定市場規模17億円の日常使いキャリーバッグで70%のシェアを誇るスワニーは典型的な「ニッチトップ」型企業だ。
一方、全国の市場規模は大きいものの、それほど粗利益が取れる業界ではなく、営業範囲を狭めたほうが効率が高いリネンサプライとグラビア印刷は、地域独占型と言えるだろう。トーカイの香川県内医療機関におけるシェアは75%に登る。リネンの回収や配達のためのネットワークの密度が重要なため、他社が参入することは困難だ。
「ニッチ戦略」とは何か？丁度、まとまった記事があったので紹介する。
山田 英夫（早稲田大学ビジネススクール 教授）
１．市場規模をあまり大きくしない
市場規模が大きくなると大企業が参入し、資本力で負ける可能性がある。年間数千億円を売る大企業にとって、参入するかどうかの目安は、市場規模が100億円あるかどうかだろう。
２．あまり利益率を上げない
固定費の高い大企業が参入するには、高い利益率が見込めなければならない。ニッチトップになれば市場支配力も強く、値上げも可能になるが、あえて値上げせず、市場の魅力を下げておく。
３．市場を急速に立ち上げない
今小さくても、急拡大する市場には、将来を見越して大企業が参入する可能性が出て来る。
以上、ニッチ戦略とは「戦わない戦略」なのだ。「四国でいちばん大切にしたい会社」はいずれも従業員が長く働いてくれることを前提に、社員を大切にしている。長く働いてもらうためには、市場環境が急変するのは望ましくない。
「急拡大しないが着実に伸びる小規模な市場で、高いシェアを維持する」ことは、企業理念を達成するために必要なことで、会社のスタイルに合った市場を戦略的に選んでいるということもできる。
2019年10月21日
組織感情マップ
板野社長講義その２。ソーシャル・スタイル理論に続いて登場したのは「組織感情マップ」。個人と同じく、組織にも感情があるという。以下、本マップを作成したJ.Feelのプレジデント誌記事から。
当然、「イキイキ感情」領域に組織があるのがよいわけだが、うっかりすると、活性度が落ちて「ぬるま湯」になってしまう。活性化する仕掛けが必要だ。
組織感情は、快感情か不快感情か、それが活性状態にあるのか沈静状態にあるのかという2つの軸で整理すると、4つの感情に分かれます（マップを参照）。第一の組織感情は、「活性度の高い快感情が共有された状態」です。仕事が面白く、職場が楽しいという高揚感があり、自ら進んでやってみようという主体感や、組織全体で同じビジョンや目標を達成しようという連帯感も共有している。そういった前向きな「イキイキ感情」が共有された状態です。
第二の組織感情は、「活性度は低くても、快感情が静かに共有された状態」です。これは主に、お互いに対する温かい気持ちが共有され、お互いが弱いところを補い合っているような職場に見られる感情。つまり、支えあい感があり、お互いのよさを認め合う感情が共有されている状態です。お互いが笑顔で接しあえる「あたたか感情」であると言えます。
また第三の組織感情は、「活性度が高い不快感情が共有された状態」です。仕事への切迫感、緊張感が高く、うまくいかないことへのイライラ感が募る。そのイライラが他者に向かい始めると、「相手が何を考えているのかわからない、もしかしたら悪意を持って追い込もうとしているのではないか」という不信感が増大している。つまり、「ギスギス感情」が広がった状態です。
そして第四の組織感情は、「活性度が低く、静かな不快感情が共有された状態」です。なんとなく気が重い、沈滞感が広まる。そして、現状や将来に対する強い不安感が広まり始める。やがて、「何をしても結局は変わらない。このままでよい」というあきらめ感が広がる。これが「冷え冷え感情」が広がった状態です。
話はそれだけでは終わりません。注意すべきは、「それぞれの感情が自己制御できる範囲を超えてしまうと、あらゆる職場がネガティブな方向へ向かって行きかねない」ということです。「組織感情マップ」を見れば、順に「燃え尽き感情」「ぬるま湯感情」「攻撃感情」「引きこもり感情」などが広がって行くことがわかります。
2019年10月20日
儒教と仏教の関係
今では日常でほとんど意識することのない儒教。しかし、墓や祖先祭祀はもともと儒教のもので、江戸時代に、仏教によってそれらが取り込まれたとなると、我々が仏教の習慣だと思っているものの根幹が揺るいでくる。なぜなら、日本における仏教は「葬式仏教」になっているからだ。
確かに、仏教では本尊に礼拝するものだから、墓や位牌に礼拝するのはおかしい。墓や位牌、つまり祖先を敬うのは儒教の教えである。ところが、仏教は江戸時代から、祖先祭祀を「先祖供養」と呼び方を替え、仏教とは何の関係もなかったお墓も取り込み、都会ではお寺の境内に墓所を作った。
そうして勢力を拡大した仏教も、明治維新で大打撃を受ける。神道の最高司祭者である天皇を国家元首と仰ぐ明治政府は「神仏分離」を打ち出した。これを過剰に忖度した地方官吏らにより「廃仏毀釈」が起こる。とどめを刺したのが、1871年の戸籍法で、戸籍に関することは行政官庁が行うことになった。これで、それまで寺院が担っていた寺請制度が廃止されたのだ。
これに加えて、明治政府が導入した西洋文明では、キリスト教を最高とする宗教学を教えた。トップは一神教、2番目は多神教（仏教も含む）、3番目はシャマニズム（降霊呪術）、一番下にアニミズム（自然崇拝）が置かれた。祖先崇拝はキリスト教にはなく、シャマニズムと一緒くたにされる低い扱いだった。ヨーロッパにおいてシャマンは魔女として抹殺された。キリスト教徒が入ってくるまで北ヨーロッパを支配していたケルト族はシャマニズムを持っていたが、こうして民族として淘汰されてしまう。
明治時代に大打撃を受けた仏教は、生き残りを模索する。真宗のグループでは、阿弥陀だけを尊ぶということで、宗派の教えを一神教に擬していった。阿弥陀だけが衆生を救うという本願を立て、それにすがって「南無阿弥陀仏」と唱えることで往生できる、という「同期運動」だ。
これは、「家の宗教から個の自覚の宗教へ」という運動であった。家の宗教とは、もともと儒教が行ってきた家の祖先を祭ること。これを取り入れたのが日本の仏教だったのだが、そこから抜け出し、個の自覚の上に立って一神教の神（阿弥陀）を大事にしていこうという大転換だ。
・家族主義農耕生活から、家族が助け合って生きる「家族主義」が生まれた。東北アジアにおける家族主義から「儒教」が生まれる。・朱子学儒教の堅苦しいイメージは、江戸幕府が正統的学問とした朱子学の影響。儒教を倫理・道徳として捉えた解釈。・祖先祭祀家族主義から生まれた儒教において、祖先は家族や一族が共通して敬意を払う対象。・江戸時代、仏教との争い仏教がもともと儒教のものであった墓や祖先祭祀を取り込み、儒教の商売を浸食した。・西洋文明の一神教キリスト教が最高形態であり、仏教や儒教はそれ以下とされた。
2019年10月19日
ソーシャル・スタイル理論
スワニー板野社長のお話に出てきたのが、「ソーシャル・スタイル理論」。1968年にアメリカの産業心理学者デビッド・メリル氏が提唱したコミュニケーション理論だ。
この理論では、人を感情表出の度合いと、自己主張の度合いで4つに分類する（どれにも当てはまらない中間的な人も出て来る）。
ドライバー：合理的に目標を達成したい人
感情は出さずに、早口で淡々と自分の意見を言う。せっかちで負けずぎらい。
中小企業のワンマン社長タイプ。
エクスプレッシブ：自分が注目されたい
感情が出る。明るい雰囲気で自分の思いを言う。
ムードメーカー、アイデアマン、お調子者。
エミアブル：みんなの気持ちを大切にしたい平和主義者
明るい雰囲気で他人の話を聞く。人の気持ちや全体の調和を重視。
仲良しが好き。縁の下の力持ち。良い人。頼まれたら断れない。
アナリティカル：理屈、分析を大切にする
感情は出ない。話すより聴くことが多い。データや情報を分析して独自の見解を持つことが好き。
研究者、職人。正確でコツコツ。
社員を観察して、タイプ別にコミュニケーションの取り方を工夫しているという。
2019年10月18日
手袋日本一
JICA日系研修「四国でいちばん大切にしたい会社」訪問の最後を飾ったのはスワニー（東かがわ）。私自身は3度目の訪問になるが、板野社長から1時間にわたってスワニーの経営について講義していただくのは初めてで、楽しみにしていた。
スワニーは手袋製造で日本一の会社。年間の製造販売量は450万双に登るという。製造は中国やカンボジアの製造子会社が担っている。国内販売はOEMやODMなので、SWANYのブランドが出ることはないが、名だたる有名ブランド手袋の多くは実はスワニー製である。米国を中心に海外では自社ブランドで販売しており、北米ではスキー手袋のトップブランドとなっている。
独自の市場を切り拓いて伸びているのがバッグ事業部。4輪のキャスターが付いたキャリーバッグだが、20年前から「デイリー（日常使い）」という市場を開拓してきた。それまでのバッグは、旅行用か仕事用だったという。当時社長であった三好相談役が小児まひの影響で歩行に支障があり、手袋の営業と製造管理のため世界を100周
する間に、キャリーバッグに体をあずけると歩行が楽だったことから開発が始まったという。同社のキャリーバッグの最大の特徴は婉曲したハンドル。通常のキャリーバッグはハンドルが垂直に伸びるので、体重をかけるとバッグの片側に重量が集中し、転びやすい。同社のバッグは婉曲したハンドルで、体重がバッグの中心近くにかかるようになっているので、転倒しにくいのだ。
この結果、同社のバッグは高齢者が日常の買い物などに使うことが多い。同市場におけるシェアは70%というから、年間市場規模は17億円位の正にニッチ。しかし、高齢者の増加と共に伸びている市場だ。年間生産量12万個で、製品に同封しているアンケートはがきが年間8000通届くというから、すごい回収率だ。大半が、このバッグのおかげで外出がいかに楽になったかという感謝の内容で、社員の励みになっているという。
高齢者から圧倒的支持を受けるニッチトップ製品として、先週訪問した徳武産業のケアシューズによく似ている。
2019年10月17日
偉大なことを成し遂げるチーム
著者はアメリカNo.1のカリスマトレーナー。この本でも提唱している原則はFortune 500企業（＝アメリカを代表する大企業）の多くで実践されているという。
これらの原則に驚きはない。多くの日本企業で実践されていることで、「偉大な人間関係」などむしろ日本企業が力を入れてきたことでもある。
しかし、こうした普遍的なフレームワークにして提示するのはアメリカ人は流石に上手。移民国家なので、多様な価値観を持っている人たちに受け入れられるよう、最大公約数として集約するのがうまいのだ。
最近の良い例としては、マインドフルネスがあげられる。マインドフルネスのことを初めて聞いた時なんだと思ったが、内容を知れば、禅の思想そのものである。日本人の多くが嗜なんでいた修行の一つが、日本人が忘れた頃に、宗教のエッセンスを抜いて「マインドフルネス」として逆上陸して、流行っている。
＊偉大なことを成し遂げるチームは、普通のチームと何が違うのか？・ポジティブなチームをつくるそういうチームは、どんなことにも熱中できるほか、困難を乗り越え、より大きな影響力を持てる。・カルチャーチームが「何を信じるか」「何を大切にするか」。互いをやる気にさせ、絆を強め、チームワークを促す、ポジティブなカルチャー。・ビジョンチーム全体で共有し、それに向けた大きな目的を持つ。ビジョンは、皆を同じ方向に導く。・カルチャー・レベルネガティブが蔓延しないように、カルチャー・レベルを変える。そのために、偉大なカルチャーとは何かを明確にし、全員にポジティブに貢献することを求める。・偉大な人間関係メンバー同士でコミュニケーションを取り、絆を深め、チームの結束を図る。・「私」よりも「私たち」自分のためではなく、お互いのために働く方が、チームとして望ましい姿になる。・「愛」「責任」チームメイトが深い愛情で結びついて、また皆がお互いに対して責任を持っていれば、一緒に偉大なことを成し遂げられる。
2019年10月16日
北四国グラビア印刷
JICA日系研修「四国で一番大切にしたい会社」訪問シリーズ3社目は北四国グラビア印刷。実は、うちの実家からは車で20分ほどの地元と言ってよい場所。なのに、何をしている会社なのかほとんど知らなかった。
印刷会社であるのは間違いないが、高品質のグラビア印刷に特化しており、そして印刷するのは紙ではなく樹脂フィルム。上記の写真のように、食品パッケージの印刷が多い。会社は観音寺市にあり、同じ市内の「加ト吉」（現テーブルマーク）の冷凍食品と共に大きくなった会社である。
着実な成長を遂げ、2018年売上高は33億円、経常利益1億円、従業員116名の優良企業。印刷大手はともかく、この規模でデザイン企画から製版、印刷まで一貫して実施する会社は全国に数えるほどしかないという。
売上の8割が食品パッケージのため、食品メーカーと全く同じISO22000で管理されている。工場に入るのに、髪の毛が落ちないよう専用カバーをすっぽりかぶった上、まつげまでシールで（取れそうなものを）取る。入念な手洗い後、エアシャワーを浴びてやっと中に入った。髪の毛一本でもパッケージに混入していれば大クレームになる。
同社では、社員のことを「グラビアーズ」と呼んでいて、社訓は、「全グラビアーズの物心両面の幸福を追求すると同時に、社会・地域・業界の進歩発展に貢献する」となっている。創業の精神は、「人生在勤」（まじめに生きること、全力で物事にあたることが仕事、家庭、社会における幸福につながる）である。
1970年創業で、来週は50周年になる。何が企画されているのか楽しみ。
2019年10月15日
サブスクリプション
世の中サブスクリプション流行りで、中には、それのどこがサブスクリプション
というのも多い。ただ単に、分割払いにして負担を平準化したものをサブスクリプションと呼んでいたり、従来のリースと変わらないものもある。洋風に呼ぶのがかっこいいというのが、今でも続いているのが嘆かわしい。そうした、似非サブスクリプションは論外として、サブスクリプションに挑戦して早々に撤退したものや、いつまで続くのか怪しいものもある。例えば、AOKIはスーツのサブスクリプションsuitsboxから半年で撤退した。会社発表では、�〜枋蠅靴晋楜卅悗醗磴辰討い拭福畤卦�顧客の開拓につながらなかった）、�∧�流コストが想定内に収まらなかった、などの理由が挙げられている。
AOKI（別ブランドでORIHICA）のスーツは元々安い。平均単価で6万円位のものだろう。これを毎月2着取替えてくれるといっても（＋シャツ3枚、ネクタイ2本）、月1.8万円は高い。suitsboxのスーツはユーザー間でシェアするために20万円相当の高級スーツだったらしいのだが、会社のイメージというものがある。取り込みたかった若年層は、カジュアル化でスーツ需要がそもそもない。これは市場ニーズにBM設計が合わなかった例だろう。と思ったら、レナウンはセミオーダーでスーツをその人専用にすることで同市場に挑戦している。
本書で紹介されている良い例だと思ったのは、フェンダーのオンライン教育動画サービス”Fender Play"。ギター初心者が短い曲を30分程度でマスターできるようになるという。同社の売上の半分が初めてギターを持つ初心者で、その90%が1年以内にギターを弾かなくなる。曲が弾けて面白くなる前に諦めてしまうのだ。つまり、諦める人を10%減らすだけで、売上が倍増する可能性がある。
＊顧客ニーズに対応し、顧客との長期的な関係を築くBM「サブスクリプション」・製品の時代→顧客の時代所有→利用・サブスクリプション・エコノミー顧客との関係を継続し、互いにメリットを与え合うパートナーに変えて、定期収入がもたらされる構造を築く。・フェンダー初心者が短い曲を30分程度でマスターできるよう指導する定額利用のオンライン教育動画サービス。・サーフエア定額の月額料金で無制限に飛行機に乗れる。・製品からサービスへIoTにより大量のデータを集め、製品の改善方法を見つけ、システムとしての製品を売ることができる。
2019年10月14日
リネンサプライ
JICA日系研修で訪問する「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」受賞企業を訪ねる〜その２。香川県で圧倒的シェアNo.1を誇るリネンサプライの株式会社トーカイ。同賞は2012年の表彰開始以来、県内企業は9社受賞していて、そのうちの一社。
リネンサプライとは、シーツ・タオル・布団カバーなどを病院やホテルなどに貸出しする業態のこと。トーカイは県内シェア75%、隣県の徳島で50%、瀬戸内海を挟んだ向かいの岡山県で25%(シェアNo.2）を誇る。愛媛県ではシェアNo.3で、四国ではシェアトップである（高知では営業してない）。
同社の創業は1962年。それまでは病院に入院する時は自宅から寝間着やシーツを持ち込むのが当たり前だった。中には、清潔なリネンを持ち込まない人もいる。そこで、厚生省(当時）が病院内の清潔さを保つために、欧米のリネンサプライという業態を奨励したらしい。病院にとってみれば、そうしたリネン類を用意するのは本業である「治療」に直接関係なく、自前でやるのは手間。リネンサプライは全国で受け入れられたという。
同社の社名は創業時「東海綿業」。なぜ、四国なのに「東海」なのか。これは、創業に先立ち、創業者の河野兄弟が修行したのが岐阜県で先行していた「東海綿業」で、その社名を「のれん分け」としてそのまま使ったもの。リネンサプライ業は営業エリアが狭いため、四国でやるなら競合の心配がなかったので、教えてくれたのだろうが、なぜ資本参加しなかったのか、あるいは独立企業だったのにどうして全く同じ社名にしたのかは不明。
その後、岐阜の会社が株式会社トーカイとしたのに呼応して、同社もやはりトーカイに社名変更している。そして、2005年に創業以来社長を務めていた河野兄弟は持ち株をトーカイ(岐阜）に売却し、同社はグループ会社となった。トーカイがトーカイを買収したという不思議な
話。現在では、病院・介護施設やホテルのリネンだけでなく、手術用リネンの貸し出しも行っている。これは使い捨てとの競争という。他にも、手術室の環境整備、減菌作業、院内洗濯なども院内業務請負として行っている。医師、看護師に次ぐ、病院における「第三の医療人」なのだ。
工場内は、仕上げ工程を除き、省力化が進んでいる。こうした省力化、自動化を行っているのが、グループのPUREX社で、もともと社内の設備課が独立したもの。リネンサプライは多角化している一部業務を除けば差別化が難しい。そのため、競争戦略上重要なのはコスト削減で、中でも一番大切なのは人件費の削減＝省力化ということになる。これをグループ内で出来るのは強みだ。製作した機械を外販するために独立会社となり、現在の売上はほとんどがグループ外だという。この点も、地元密着型のリネンサプライ業としての特徴だろう。
2019年10月13日
山田洋次監督「息子」
BSで録画していた山田洋次監督「息子」を観る。1991年公開というから、バブル経済絶頂の時だ。椎名誠『倉庫作業員』が原作ということ。
東京でフリーアルバイターとして生活を送る哲夫。母の一周忌に岩手の田舎に帰るが、フラフラした生活に不満を持つ父・昭男とはギクシャクしたままだった。東京へ戻った哲夫は、下町の鉄工場で働き始める。そこで取引先の倉庫で働く征子と出会う。やがて、哲夫は征子が聾唖であることを知る……。（Yahoo!映画）
舞台は、岩手の二戸（駅が映って分かった）と東京を行き来する。哲夫は3人兄妹の末っ子で、甘やかされて育ったのか、高校卒業後は東京で職を転々としている。実家に帰る度に、「いつまで心配かけるんだ」と父親から怒られるので足が遠ざかっている。
長男は成績優秀で大学に進学し、東京の会社で働いている。結婚していて二人の娘がいる。千葉にマンションを買い、朝早くから夜遅くまで働く毎日だ。真ん中の長女は地元で結婚して嫁いでいる。時々、心臓の悪い（ニトログリセリンを持ち歩いている）父を見に実家に寄っているようだ。
言ってみれば、高度経済成長期以降、全国で繰り返されている家族風景。父親の照男は高度経済成長期には東京で建設業の出稼ぎに出て、家計を支えた。三世代で暮らし賑やかだった時代。やがて、両親が亡くなり、子供たちが家を出て、夫婦だけが田舎の広い家に残る。そして、妻に先立たれる。
心配の種だった末っ子にも好きな人が出来、「これで安心」というところで映画は終わるのだが、それからどうなるか？想像してみると、三つの可能性がある。
�）椰佑隆�望通り、これまで通り田舎で独り暮らし
しかし、やがて、身体は衰え、地元施設に。娘が嫁ぎ先から時々寄る。
��長男の提案に乗って、千葉の長男宅へ
マンションは狭く、あてがえられるのは6畳一間。居間でウロウロしていると、そのうち長男の嫁とぶつかるのは目に見えている。既に、たまの帰省で、「長男の嫁で損した」と愚痴を言っている。
�７觝Г靴深｜砲�田舎に戻って家を継ぐ
学歴もなく、手に職もない哲夫だが、アルバイト先の鉄工所の取引先に美人従業員がいたことで、急に仕事に意欲が出る。時代は、この後バブル崩壊で建設業の景気が冷え込むから、ひょっとすると、「田舎で子育てするか」ということになるかもしれない。
香川の田舎で周りを見ていても、�，硫椎柔�が80%か。
2019年10月12日
不運
ここ数週間、どうも調子が悪い。
最初は、虫歯。8月に香川で治療したところが再び痛み出した。その時、「かなり進行していて微妙なところ。これ以上削ると神経を取らないといけないが、どうします？」と言われ、神経を取ると免疫が失われ、良くないという話も聞いていたので、ギリギリで止めて、様子を見ることにした。
一月余りそれで大丈夫だったのだが、そこが猛烈に痛み出した。前日から鈍痛があったのだが、夜中に痛みで目が覚め、朝から開いている歯医者を探す。家の近所のかかりつけは930からで、とても待てない。自転車で15分ほどの三ノ輪歯科が朝7時から開いているのを見つけ、7時に電話。
麻酔して神経を取ったのが木曜日の朝。神経を取ったのに痛みは続く。処方された鎮痛剤を服用。何も手に付かないので、予定をキャンセル。次の週は月曜日から香川なので、翌日も翌々日も3日連続で通い、何とか仮詰めまで持っていく。
そうこうしているうちに、左腕が痛み出した。こちらも、何か違和感があったところ、週末に研修資料の締め切りがあり、歯の痛みが落ち着いた金曜日から日曜日にかけて100枚ほどスライドを作成。これで腱鞘炎になったらしい。
翌月曜日、いつも通り朝6時に家を出て成田に向かう。腕が硬くて痛い。高松での会議を済ませ、帰宅。いつもなら、会社に置いてある自転車でリュックを背負って帰るのだが、腕が痛いので自転車に乗れそうにない。太田駅まで30分歩いて、ことでんで琴平へ。弟に連絡して迎えに来てもらう。
その夜は腕が痛くて眠れず、翌朝、町内の（といっても車で15分）鍼灸院へ。ここは6年前に首の治療で初めて行ったところ。あの時は、首の筋を違えて整形外科に行ったところ、「ストレートネックですね」で終わり。本来S字になっているはずの首がまっすぐになって神経を圧迫しているのだが、治療法がないのだという。西洋医学の限界を感じ、この時初めて鍼灸院を訪ねた。
その時は、1回の治療で明らかに楽になり（首の凝っていた部分が柔らかになった感覚）、もう一度行って完治した。今回、腕を見てもらったところ、「五十肩ではないか」という診断。前回の首は突発性だったが、五十肩だと老化現象の一つだから、治療には時間が掛かるという。
完治には時間が掛かったとしても、とりあえず、手のしびれと、腕の痛みを取らないと、タイピングができない。仕事に支障が出るので、早く治す必要がある。火曜日の初心の後、土曜日に2回目。手の痺れは人差し指の痺れだけに縮小したものの、腕の痛みは減少したものの続いている。筋肉がコンクリートのように固くなった感触。
どうも、ついてないな〜、と思っていたところ、今週極めつけが。10年ぶりの交通違反切符。覆面パトカーに国道で捕まってしまった。まさか、一般道に覆面がいるとは思わなかった。
火曜日朝は雨で、いつもの通勤道R32を高松方面に向かっていた。8:30でラッシュは終わっている。片側2車線の下り坂。たまにネズミ捕りをやっている個所なので、いつも気を付けているのだが、この日は雨。白バイも出動しないので、安心していた。
左車線に制限速度で走る紺のクラウン。追い越しを掛けたら覆面パトカーだったという結末。制限速度60km/hのところ79km/h。減点１．罰金12000円。この2週間で医療費2万円掛かった上にこれで、ショック
ついていない時はどうしたらいいか？
�，犬燭个燭擦此∈把禪造任笋蟆瓩瓦�
�△�祓い、お参りなど、神仏に頼る
��むしろ、積極的な行動で、打開を図る
最初は、虫歯。8月に香川で治療したところが再び痛み出した。その時、「かなり進行していて微妙なところ。これ以上削ると神経を取らないといけないが、どうします？」と言われ、神経を取ると免疫が失われ、良くないという話も聞いていたので、ギリギリで止めて、様子を見ることにした。
一月余りそれで大丈夫だったのだが、そこが猛烈に痛み出した。前日から鈍痛があったのだが、夜中に痛みで目が覚め、朝から開いている歯医者を探す。家の近所のかかりつけは930からで、とても待てない。自転車で15分ほどの三ノ輪歯科が朝7時から開いているのを見つけ、7時に電話。
麻酔して神経を取ったのが木曜日の朝。神経を取ったのに痛みは続く。処方された鎮痛剤を服用。何も手に付かないので、予定をキャンセル。次の週は月曜日から香川なので、翌日も翌々日も3日連続で通い、何とか仮詰めまで持っていく。
そうこうしているうちに、左腕が痛み出した。こちらも、何か違和感があったところ、週末に研修資料の締め切りがあり、歯の痛みが落ち着いた金曜日から日曜日にかけて100枚ほどスライドを作成。これで腱鞘炎になったらしい。
翌月曜日、いつも通り朝6時に家を出て成田に向かう。腕が硬くて痛い。高松での会議を済ませ、帰宅。いつもなら、会社に置いてある自転車でリュックを背負って帰るのだが、腕が痛いので自転車に乗れそうにない。太田駅まで30分歩いて、ことでんで琴平へ。弟に連絡して迎えに来てもらう。
その夜は腕が痛くて眠れず、翌朝、町内の（といっても車で15分）鍼灸院へ。ここは6年前に首の治療で初めて行ったところ。あの時は、首の筋を違えて整形外科に行ったところ、「ストレートネックですね」で終わり。本来S字になっているはずの首がまっすぐになって神経を圧迫しているのだが、治療法がないのだという。西洋医学の限界を感じ、この時初めて鍼灸院を訪ねた。
その時は、1回の治療で明らかに楽になり（首の凝っていた部分が柔らかになった感覚）、もう一度行って完治した。今回、腕を見てもらったところ、「五十肩ではないか」という診断。前回の首は突発性だったが、五十肩だと老化現象の一つだから、治療には時間が掛かるという。
完治には時間が掛かったとしても、とりあえず、手のしびれと、腕の痛みを取らないと、タイピングができない。仕事に支障が出るので、早く治す必要がある。火曜日の初心の後、土曜日に2回目。手の痺れは人差し指の痺れだけに縮小したものの、腕の痛みは減少したものの続いている。筋肉がコンクリートのように固くなった感触。
どうも、ついてないな〜、と思っていたところ、今週極めつけが。10年ぶりの交通違反切符。覆面パトカーに国道で捕まってしまった。まさか、一般道に覆面がいるとは思わなかった。
火曜日朝は雨で、いつもの通勤道R32を高松方面に向かっていた。8:30でラッシュは終わっている。片側2車線の下り坂。たまにネズミ捕りをやっている個所なので、いつも気を付けているのだが、この日は雨。白バイも出動しないので、安心していた。
左車線に制限速度で走る紺のクラウン。追い越しを掛けたら覆面パトカーだったという結末。制限速度60km/hのところ79km/h。減点１．罰金12000円。この2週間で医療費2万円掛かった上にこれで、ショック
ついていない時はどうしたらいいか？
�，犬燭个燭擦此∈把禪造任笋蟆瓩瓦�
�△�祓い、お参りなど、神仏に頼る
��むしろ、積極的な行動で、打開を図る
2019年10月11日
徳武産業のコミュニケーション戦略
会社訪問時に見せていただいたのが、このビデオ。会社で製作したのかと思ったら、あゆみシューズのお客様から送っていただいたDVDだという。テキストにバックグランドミュージックが入っただけのシンプルなものだが、グッとくる。
こうした「返信」がお客様から来るのも、日ごろから徳武産業がコミュニケーションを重視しているから。それは、社外でも社内でも同じだ。
お客様向けには、靴箱に社員からの手書きメッセージカードが入っている。それと一緒にアンケートはがきが同封されており、連絡先と生年月日など属性を記入の上返信すると「お誕生日プレゼント」がもらえるようになっている。そのため返信率は高い。つまり、販売店経由で売ってもメーカーがエンドユーザーを把握できている。
そして、顧客誕生日には手書きメッセージと一緒にプレゼントが届く。プレゼントは毎年変更しているという。私がサンプルにいただいたのは、亀甲紋の日本手ぬぐいだった。これを2年続けるという。2回目の誕生日プレゼントが届くころには、靴の替え頃である。当然、発注につながる。しっかりと、ダイレクトマーケティングできているのだ。
この原点には、ケアシューズ開発当時の十河会長の体験があるという。自ら老人ホームなどを訪問し、受注し、納品していた初期。入居者を訪問すると、靴の話は最初だけで、大半は身の上話だったという。「お客様は寂しい」ということを痛感した会長は、顧客とのコミュニケーションを製品開発と並ぶ事業の柱に据えたのだ。
2019年10月10日
奇跡のシューズ
以前も書いたことがあるが、実は、香川には「ニッチトップ」企業が多い。大企業が参入してこないような小さな市場でトップシェアを誇る企業群である。通常は、大企業の方が生産性が高いので、県の大企業比率が高いほど、県の生産性も高くなるのだが、香川は中小企業比率が高いのに生産性が高いという稀な県なのだ(下図）。
そのうちの一社が徳武産業。通常の靴では不満のある高齢者や身体障碍者向けに「ケアシューズ」を作るトップメーカーである。昨日は、JICA研修で4人の日系ブラジル人研修生を連れて本社にお邪魔した。
現在の業態を開発した実質的な創業者である十河会長から直に話を聞くことができた。徳武産業の社長になったのは1984年、37歳の時で、それは義父の死亡で後継者がいなかったためだそうだ。それまでの徳武産業は、香川県東部の地場産業である手袋からスタートしてスリッパなどを作っていた。
手袋産業は明治時代に大阪の手袋メーカーの下請けからスタートして、第一次世界大戦でドイツの手袋の輸出が止まった事から、大きく発展した。戦後も50~60年代に盛んだったが、高度経済成長を経て賃金が上昇。自動化が難しく人件費の掛かる手袋産業は70年代に転機を迎える。国内生産を縮小し、韓国進出が始まるのがこの頃だ。
銀行員からスタートした十河社長は、親戚の手袋製造会社に転じ、韓国工場に勤めていた。徳武産業創業者の長女と結婚していたことから、帰国して4年経ったところで会社を継ぐことになり、いきなり社長になる。この時の売上は82百万円で、その95%がアキレスへ納める学童用シューズだったという。
仕事は安定していていたが、十河社長は危機感を抱く。手袋産業が競争力を失い、国内生産を捨てて韓国、そしてその頃には中国に進出する企業も出ていたからだ。「同じことが、靴でも起こるのではないか？」そう思った十河社長は、5%しかなかったスリッパを進化させたルームシューズや、奥さんが開発したというトラベルポーチに注力する。はからずしもその4年後、アキレスが中国生産を決め、段階的に受注はゼロになったという。それまでに、自社製品の割合は35%にまで高まっていたので、この危機を乗り越えることができた。
ルームシューズは大手通販会社の相手先ブランドで販売していた。人気商品となっていたが、相手の担当者の交代などで、売上が激減する。下請けやOEMの限界を知り、自社ブランド商品を模索していく。そこで出会ったのがケアシューズなのだ。
きっかけは、知り合いの老人ホーム園長からの「お年寄りが転ばないシューズが出来ないか」という依頼だったという。お年寄りの話を聞き、歩き方を観察し、工夫して納めたシューズは大変喜ばれた。これを機に、夫人と一緒に2年間開発に没頭する。そうして誕生したのが「あゆみ」シューズなのだ。
「あゆみ」シューズは、当初から、靴業界で初めて片足ずつ販売している。これは、片足を引きずって歩く人が、「片足だけ早く摩耗してしまう」ことから片足だけ販売したほうが喜ばれることから始まった。そうすると、両足の大きさの違いや、障害による形の違いなど、様々な方にもニーズがあることが分かった。
こうして、ケアシューズを始めた25年前に2.5億円だった売上高は現在では25.6億円となり（前期）、経常利益は2.5億円ということだ。これでケアシューズ業界でのシェアは55%というから、年間の市場規模は50億円ということになる。まだまだ大企業が本格的には参入できないニッチ市場なのである。
しかし、このニッチ市場は高齢化で伸びている。25年前にはおそらく数億円の市場規模しかなかっただろう。まずは、伸びるニッチ市場を選んだことに先見の明がある。そして、それを見つけられたのは、健全な危機意識があったからだ。
35年前、十河氏が社長に就任した時、アキレスの下請けは全国に70社あったという。このうち、現在も生き残っているのは3社だけ。それも、徳武産業以外の2社は大幅に規模を縮小して家族で細々と継続しており、会社として規模を拡大できたのは徳武産業1社だけだった。
2019年10月09日
大人が大人になるのが難しい時代
「キレる中高年」が増えているという。自分の感情をコントロールできない未成熟な大人が増えたのは、なぜか？成熟した「本当の大人」になるための方法を、心理療法家が説く。
以前なら、激高するのは若者で、大人はそれをたしなめるものと相場は決まっていた。それが、今では、いい年をした中高年（大抵は男性）が率先してキレている。言いにくい相手に、正当な理由があって、他人が言えないことを代弁するなら意味があるが、大抵は、「立場上反論できそうにない相手を選んで」「大した理由もなく」「個人的なフラストレーションの捌け口」にしているのだから始末が悪い。
筆者は、こういう状態に日本がなってしまった理由をこう推察する。
・今の日本社会で外的若々しさに価値が置かれる一方、内面的な成長・成熟が置き去りにされている
・便利な世の中になったため、日本人全体の「欲求不満耐性」が低下している
・人間の脳はPCやスマホによるスピーディーな情報のやり取りについて行けず、ストレスになっている
筆者は、こういう状態に日本がなってしまった理由をこう推察する。
・今の日本社会で外的若々しさに価値が置かれる一方、内面的な成長・成熟が置き去りにされている
・便利な世の中になったため、日本人全体の「欲求不満耐性」が低下している
・人間の脳はPCやスマホによるスピーディーな情報のやり取りについて行けず、ストレスになっている
＊今の日本社会は、大人が大人になり、心から満たされた人生を生きるのが難しい「若々しく元気で活動する」という外的な価値にばかり重きが置かれ、「内面的な成長・成熟」ということを重視する価値観が育まれてこなかった。・カール・ユング「人生の午後」中高年期になると、内面に意識が向かい始める。自分の人生における使命や役割を問い始めて、人格は成熟する。・中高年の成熟に必要� 屬海譴�自分の人生に与えられた使命だ」と思えて、自分だけでなく、社会のためにもなるものを見つけること。��一人きりで自分を深く見つめる「深層の時間」を持つこと。�Ｂ昭圓反爾�交流し合う体験を持つこと・成熟した大人が持つべき人生哲学�／佑呂錣�ってくれないものである人にわかってもらおうとする欲を捨て、内面に意識を向ける。�⊃誉犬蓮∋廚つ未蠅砲呂覆蕕覆い發里任△�「自分は万能ではない」という現実を受け入れる。��人はわかりあえないものである自分を少しでも分かってもらえたら、それで十分と考える。�た祐屬亘寨莪貎佑任△�人間は一人で生まれ、一人で死ぬという事実を思い起こす。�セ笋六笋里海箸鬚靴董△△覆燭覆△覆燭里海箸鬚垢�他人のせいにするのをやめ、今、この瞬間を生きる。�γ膣屬�ら孤立し一人になってもやっていけないことはない人から嫌われても気にせず、自分の好きに生きる。
2019年10月08日
政治を変えた「鉄の女」
著者の冨田氏は、現役の外交官ということ。1981年外務省入省。英国には、オックスフォード大学への研修留学と2回の大使館勤務で計7年間滞在したという。『危機の指導者 チャーチル』を既に出されている。
私が留学していたのは10年間続いたサッチャー政権の末期。1989年7月に初めてイギリスの地を踏んだ時は、サッチャー改革に反対する鉄道労働者のストで鉄道が使えず、ロンドンに向かう道路が大渋滞。バスで半日もかかって市内に到着した。
翌年、導入した「人頭税」が不人気で、これがきっかけで退任する。政府サービスは住民一人一人に提供されるので、そこに住んでいる限り最低限のコストを負担してもらうというのは合理的だが、新税として導入して政治的反発を招いた。「人頭税」（poll tax）というこの言い方にも政治的悪意を感じる。
サッチャリズムの政治信条が宗教から来ていたというのは初耳。サッチャーが生まれたのは1925年だから、毎日曜日にキリスト教会に通うというのは珍しくはないだろう。熱心なキリスト教徒だった彼女は、「社会における相互扶助は本来個人の善意に基づいて行われるべきで、社会福祉が全面的に国家の責任であるという見方は誤りである」という考えであった。
1960-70年代にかけてイギリス経済は停滞し（あたかも平成の日本のようだ）、「イギリス病」とまでいわれた。サッチャーは、その原因を「社会主義思想が蔓延した結果、人々が国家からの扶助への依存を深めたことであり、こうした精神構造自体を改めない限り、経済・社会の再生は望めない」と考えたのである。
1980年代を通じてイギリス初の女性首相として政治経済改革を進めたサッチャーだが、戦後30年間つづいた社会主義的政策から決別し、その効果が出たのは退任後。その果実を最も謳歌できたのは労働党のブレア政権だったのは皮肉。
＊イギリス初の女性首相、マーガレット・サッチャー。同国の経済再生、冷戦勝利に向けて辣腕を振るった「鉄の女」を育んだ背景。・1925年食料品店の娘として生まれ幼い頃から店を手伝う。信仰心深いキリスト教徒一家で、日曜日には礼拝に参加し、日曜学校に通う。・1975年保守党党首政治と宗教の関係を明確な形で訴え始める。「この世のことは個人が神の恩寵にどう応えるかで決まり、政治の重要性は神と個人の関係に比べれば二義的なもの」「政治があらゆる社会問題を解決できるという考え方は幻想で、個人の神に対する責任を形骸化しかねない」・サッチャリズム当時のイギリスの病弊の根底にあるものは、社会主義思想の蔓延によって、人々が国家への依存を深めたこと。こうした精神構造を改め、経済・社会を再生するための道徳的な処方箋が、個人の経済的自由を最大化し、国家の介入を最小化する「サッチャリズム」。
2019年10月07日
優れたCEOになる方法
著者は、米リーダーシップ・コンサルティング企業G.H. Smartのパートナー。同社では、「CEOゲノム・プロジェクト」と題して、経営幹部17千人分の評価データなどを基にした優れたCEOになる方法を分析している。本書はその成果。
「リーダーがCEOになるまでの平均期間は24年」だという。大学卒業時点からなら40代半ば、MBAを30歳で取ってからなら50代半ばということになる。もちろん、これは会社戦略を決める取締役会とその執行役であるCXOが明確に分かれている米大企業での話。
ところが、中には、スプリンター（短距離走者）と呼ばれる、若くしてCEOに就任する者がいる。その大半は、「重要な職務での成功、リコールの解決など、『キャリアの飛躍台』を経験している」という。要するに、注目される困難な仕事をやり遂げ、その実績で評価されて出世を加速させるわけで、これは当然だろう。そして、その経験は「キャリアの8年目までに行われている」というのにも納得。いくら「大器晩成型」といっても、30歳までだろう。
もう一つ顕著な特徴は、「上司との信頼関係を構築したり、自ら率先して仕事を取ったりすることで、社内での注目を集めている」という点。スプリンターの約半数がそれに当てはまるという。これも組織力学上必要なスキルだろう。上司の信頼がなければ、重要な仕事は任せてもらえないし、重要な仕事を任せてもらえなければ、社内で平均以上に出世することもない。
いずれにしても、アメリカでの「自分のキャリアを自分で作る」という姿勢を感じさせる。
ところが、中には、スプリンター（短距離走者）と呼ばれる、若くしてCEOに就任する者がいる。その大半は、「重要な職務での成功、リコールの解決など、『キャリアの飛躍台』を経験している」という。要するに、注目される困難な仕事をやり遂げ、その実績で評価されて出世を加速させるわけで、これは当然だろう。そして、その経験は「キャリアの8年目までに行われている」というのにも納得。いくら「大器晩成型」といっても、30歳までだろう。
もう一つ顕著な特徴は、「上司との信頼関係を構築したり、自ら率先して仕事を取ったりすることで、社内での注目を集めている」という点。スプリンターの約半数がそれに当てはまるという。これも組織力学上必要なスキルだろう。上司の信頼がなければ、重要な仕事は任せてもらえないし、重要な仕事を任せてもらえなければ、社内で平均以上に出世することもない。
いずれにしても、アメリカでの「自分のキャリアを自分で作る」という姿勢を感じさせる。
・優れたCEOに共通する行動特性�〃菽任垢襦�物事の優先順位を見極め、素早く決断を下す。��結果を出すために人を動かす：自分の意図を部下にきちんと伝え、相手のこころを理解するために質問し、話を聞く。��絶対的な信頼性：決めたことは常に最後までやり遂げる。�ぢ臙世謀�応する：謙虚さを持ち、変化に素早く対応する。・リーダーがCEOになるまでの平均期間は24年。しかしCEOへの道は次の二つの要因によって大きく加速する。�．�ャリアの飛躍台で出世を加速させる短期間でCEOになったスプリンターの大半が、重要な職務での成功、リコールの解決など、「キャリアの飛躍台」を経験している。�⊆�囲に注目され、頭角を現す短距離走者の約半数が、上司との信頼関係を構築したり、自ら率先して仕事を取ったりすることで、社内での注目を集めている。・CEOに就任後、成功するために留意すること�＿饉劼慮従�をじっくり調べる。就任前にはわからなかった、隠れていた問題が見つかる場合がある。��CEOの言動は、ささいなことでも組織中に広がる。よって、社員に否定的な感情は吐き出さず、慎重かつ的確に伝える。��自社のビジョンと目標の実現に向けて、ゼロベースでチーム作りに取り組む。その際、社外の人間に監視役を頼み、率直な意見を貰うと効果的。・最も敬意を払うタイプのリーダーは、「目標を高く掲げ、優れた実績を上げる」リーダー�〔棲里別槁犬魴任欧徳反イ鮗臚海垢���強固な価値観に基づいて文化を作りあげる
2019年10月06日
讃岐ジオサイト「火山・雨滝山」
香川大学公開講座 「ジオガイドが案内する讃岐ジオサイト」でさぬき市へ。さぬき市津田出張所に集合して、�…電調篝郷綽声辧↓△Δ里抻嚇庫沼罅↓�うのべ山古墳、�け�滝山、��雨滝自然科学館を回るコース。5年前に雨滝山に行ったときは、長谷川修一先生と森館長（雨滝自然科学館）の案内だったが、今回は、ジオガイド養成講座なので、「讃岐ジオサイト探訪」講座受講者であるジオガイドが案内。
今回のお題は、「なぜお山にナマズが泳いでいたのか？」
というのは、雨滝山で世界最古のナマズが発見されているから。これを発見したのが森館長で、1985年に発見した当時は小学校の先生だったという。趣味で週末に四国各地に出かけては化石を発掘していた。雨滝山の道路工事で出来た露頭で見つけた小さなナマズ化石は、その後の鑑定で、それまで発見されていたナマズ化石を大きく上回る1500万年前のものと推定されている。
問題は、なぜ、山の中からナマズの化石が見つかったか？
讃岐の基盤岩は花崗岩。花崗岩が風化し、川に流された石英が美しい瀬戸内海の白砂青松の原料となっている。讃岐の山の頂上付近で多く見られるのが安山岩。讃岐の安山岩はガラス質が多く、叩くとカンカンと澄んだ高音で鳴るので、地元ではカンカン石と呼ばれる。
しかし、花崗岩は地下深くでゆっくりと冷えたマグマであるし、安山岩は噴出したマグマが地表で急速に固まったもの。何れもナマズが住むような環境ではない。雨滝山でナマズが発見されたのは泥岩層。泥が溜まるのは池や沼の底なので、ナマズが住んでいたのは大昔の沼の底ということになる。
泥岩層の上には凝灰岩層があり、その後、火山灰が積もったことが推察される。これは1400万年前の「瀬戸内火山活動」で、この火山活動で沼は埋まり、さらに噴出したマグマが流れ込んだ。
写真：雨滝山山頂から見た津田湾
2019年10月05日
恥多き君の人生に、花束を。
筆者は1961年生まれというから、私と同世代。ただ、東京生まれの川崎育ちという環境と、四国の田舎では大分違う。前者の方が情報量や街の誘惑が多い分、悩みも多い気がした。田舎の方が選択肢が少ない分、少年時代はシンプルだ。
本書は筆者の自伝らしいのだが、「私」ではなく「君」と第三者的に書かれている。それは、自分の半生を振り返って、あの頃の「君」はこんなことを考えて、こんなことしたね、という具合。出て来る人物は皆実名で（付き合った女性達は
）、驚くほど赤裸々に書かれている。オビには「恥多き君の人生に、花束を」とある。まぁ、ほとんどの人の人生は総括すればそういうことになりそうだ。特に青春時代は。この人の場合、青春時代が長かったようだ。それが作家ということか。
�‘貶源�代9：ふさぎ虫にはラテン語の学名はなく、その特徴、生態も不明だが、人に寄生することで人類文化に奇妙な貢献をした。捌け口のない苛立ち、模糊とした不安、慢性的な倦怠がはびこってきたら、確実にその虫に寄生されている。もともと実在しない虫なので、駆除のしようもなく、うまく折り合いをつけるしかなかった。��南北戦争96：君は中学時代からの習慣で、常に創作ノートを持ち歩き、そこに小説もどきを書き綴りまたそれとは別に手帳には日記をつけていた。一時中断していた夢日記も再開し、また詩のようなものを書きつけていた。98：チェーホフやドストエフスキーは全集に手紙だを収めた巻があるくらい、三日と空けずに恋人や妻宛ての手紙を書いていた。手紙を書く合間に小説を書いていたのではないかと思うほど。君はその顰に倣い、ベルリオーズがヘンリエッタに送ったような熱烈なメッセージをノートに下書きし、それを便箋に清書した。全部で8通のラブレターを書いたが、投函したのは2通だけだった。115：オレは必ず小説家になり、空回りと空騒ぎに終始した恥ずべき高校時代を全て書き換えてやる。�Ｅ貔称篝�142：山手線の大塚で都電荒川線に乗り換えるより、巣鴨から染井霊園を抜け、15分かけて徒歩で通うほうを選んだのは、いつでも芥川龍之介や二葉亭四迷の墓参りができるからだった。175：「アーティストとしての成功の唯一の鍵はゲイのユダヤ人であること」と何かの本で読んだことがあった。ユダヤ人にはなれないが、ゲイになれば、生きやすくなるのではないかと漠然と考えることもあった。実際、君はバレエ・ダンサーの肉体や股間のもっこりを見るたびに背中がくすぐったくなる体験を何度もしていた。�な弦詢鹽�212：大学時代に直接教えを受けたのは原卓也教授だったが、卒業後に君は新たに三人の師匠と巡り合った。三人とは、柄谷行人、養老孟司、唐十郎で、それぞれが批評、サイエンス、演劇に残した足跡を辿りながら、自分を早くプロ仕様に変えようとしていた。彼らは君を弟子と認めないからもしれないが、面と向かい、バカな質問を投げかけたり、意表を突いたりしていたので、私淑より密な関係を結んでいたのは確かだ。15歳年長ですでに君を舎弟扱いしていた中上は師匠というより、目の前に立ちはだかる分厚い壁だった。師匠は壁にドアをつけておいてくれるが、中上は「勝手にぶち破れ」と無茶をいう。214：常に苛立ち、あらゆる事象に批判的な批評の師匠の当たりの強さに較べ、サイエンスの師匠は終始、物静かで、ダンディだったが、時々、身も蓋もないことをいう。「バカの壁」は後々にベストセラーになった著作名だが、東大医学部の解剖学教室にいた頃からの養老先生の口癖だった。219：横田基地の黒人米兵との同棲生活を描いた『ベッドタイムアイズ』で君より2年遅れの1985年にデビューした山田詠美は、早熟な文学少女と読書なんてしない「ビッチ」双方の絶大な支持を得る一方、保守オヤジたちの顰蹙を買い、反米ニヒリストたちの冷笑の的となっていた。占領時代以来の劣等感を引きずる男たちは、大和撫子の末裔が気楽に米兵を乗せるイエローキャブになり、円高の利を生かして彼らを養ってやる時代になったことに隔世の感を抱いていた。223：君は人生で最もモテる季節を迎えていたので、独身のままでいると、酒場、パーティ、講演やイベント会場、国際線の機内などあらゆる場所に仕掛けられた無数のハニー・トラップを、日課のようにクリアし続けなければならない。そんな気苦労を背負い込むよりは、早々に既婚者となって、誘惑にバリアを張るのが得策と考えたのだった。240：このパーティの直前、大江健三郎の講演があり、君は会場にいたが、講演中に「大江はまた子どもの話をしてやがる。つまらないから出る」とずいぶん辛辣な文句を垂れる爺がいるもんだなと思って、声のする方を見たら、大岡先生だった。このべらんめえ口調と君に示したダンディな立ち振る舞いとのギャップも面白かった。293：彼女は君が家に戻ってきたことにひとまず安心したようだが、これから長い償いの日々が始まるのだなと思い、君は島尾敏雄の『死の棘』をじっくり読み、彼女の怒りを鎮める具体的な方法を研究することにした。297：君が出会ったのは全て偉大な異端者ばかりだ。君は幸か不幸かその系譜に連なるように仕向けられた。君は疲れを知らずにナンパにかまける体力はあったが、まだ偉大な先輩たちの屈折や情熱、思想を表面的にしか理解できないバカだった。そんな未熟な君を「おまえはオレで、オレがおまえだ」と認めてくれた彼らの名誉のために、死ぬまで、いや死後も君は異端のままでいるしかない。
2019年10月04日
何歳からでも人生を拓く7つの技法
アルアルですね
＊高学歴で、仕事を器用にこなす「優秀な人」ほど、伸び悩むのはなぜか？彼らの成長を妨げる「7つの壁」と、それを乗り越え、成長し続けるための「7つの技法」�ヽ慘鬚諒�高学歴で優秀だが、仕事に必要な「直感的判断力」と「知恵(暗黙知）の修得力」に欠ける。→日々の仕事からどんな知恵を得たか、振り返る。「棚卸の技法」��経験の壁仕事上の小さな失敗に気づかず、それを糧としてさらに深い知恵を掴むことができない。→仕事で経験したことを、直後とその日の深夜に振り返り、自分の技術や心得について深く反省する。「反省の技法」�４蕎陲諒�「営業成績を上げたい」といった感情に支配され、他者の心が分からない。→他者の発言や表情の奥にある心の動きを推察する。「心理推察の技法」�げ耄�の壁我流に陥り、仕事の基本が身についていない。そのため、問題が生じた時に正しく対処できない。→優れた上司、先輩といった「師匠」を見つけ、その人と行動を共にして、仕事の基本を学ぶ。「私淑の技法」�タ由覆諒�真面目で仕事はできるが、融通が利かない。→自分の中に様々な人格を育て、状況に応じて使い分ける。「多重人格の技法」�Ε┘瓦諒�嫉妬心や功名心といった自分のエゴが見えず、職場の人間関係を損ねている。→自分の心の中のエゴを、否定も肯定もせず、静かに見つめる。そうすることで、エゴの動きは止まる。「自己観察の技法」��他責の壁仕事における失敗の原因や責任を、自分以外の誰かや何かに求めてしまう。→自分に原因があるか否かを問わず、失敗を「自分に原因がある」と引き受け、それが起こった意味を深く考える。「引受の技法」
2019年10月03日
ビジネス心理学
日本的組織が陥りやすいのは「同調圧力」と「リスキーシフト」。
その例として、戦争中オーストラリアで起こった「カウラ事件」がある。捕虜収容所の脱走事件としては史上最多で、日本人収容者数1104名の内、545名以上が脱走した。そして、そのうちの半数以上の231名がオーストラリア側の射撃で死亡した。負傷者108名。
元々脱走して生還を期待したものではなく、「日本人にとって俘虜は恥であるから、脱走して殺される方がいい」という考えから決まった。その決定にあたっては、集会を開いて、賛否を諮っている。最後はトイレットペーパーに〇✕を書いて多数決を取り、その結果、決行となった。
興味深いのは、戦後、生還した100名の元捕虜にとったアンケート調査。回答したのは36名だったが、そのうち投票・本心ともに〇であったのは6人にすぎず、投票・本心とも✕だったのが10名、本心は✕だったが投票では〇とした人が最も多く14名だった。決行強硬派が支配したその場の雰囲気にのまれたものと思われる。
その対策として、心理学者ワイズバンドが提唱するのが「デビル審理法」。必ず反対意見を述べるデビル役を設定しておくのだ。それによって、提案に対して賛成意見しか出せないような空気は崩れ、他の人も自由に発言して、提案内容を多角的に検討できる。「天邪鬼」ですね
＊ビジネスに活かせる心理学・コミュニケーションにおいてすれ違いが起こる原因人間の自己中心的な性格。自分に都合よく物事を知覚し（選択的知覚）、自分に都合よく物事を記憶する（選択的記憶）。・仕事が出来るのに不安が強いタイプ（防衛的悲観主義）最悪の事態を想定して用意周到に準備を行うがゆえに成果を出せる。このタイプの人に「自信を持て」と声をかけると、不安が消え、かえってパフォーマンスは下がる。・プロメテウス的人間先が見通せない時代にふさわしいのは、不透明さに不安を感じるのではなく、不透明だからこそワクワクするといった心構え。自分の姿を怖ろしいヘビ、竜、火、洪水などに変化自在に変えられるものの、自分自身の真の姿を現すことができないギリシャ神話のプロテウスにヒント。�ヾ超�の変化に応じて自分自身を柔軟に変化させながら、自己を発展させていく。�∈�の自分をあくまでも一時的な仮の姿とみなし、次々と新しい仕事や生き方に全力でぶつかる。��たとえ何かでうまくいっても、そこに自分のアイデンティティを縛り付けたりせずに、別の可能性にも自己を開いておく。�た靴燭焚椎柔�を求めて終わりなき実験を繰り返すため、特定の生き方に傾倒することができず、不条理の感覚を心の奥底に抱えている。・"That's not all"技法説得する際は、最初に好条件を示すのではなく、後から追加する。相手は得をした気持ちになり、納得しやすくなる。・商品や企画を売り込む際相手がはじめから関心を持っている場合は、セールスポイントを最後に強調し（クライマックス法）、相手の関心が薄い場合は、最初に強調する（半クライマックス法）と効果的。・同調圧力会議で異論を唱えにくい雰囲気がある時、そこには無言の「同調圧力」が働いている。同調圧力に屈すると、疑問に思える提案を全会一致で可決する、といったことが起きる。対策：デビル審理法（反対意見を述べるデビル役を設定しておく〜一人でも反対すると同調圧力は低下）・リスキーシフト物事を決めるとき、集団で話し合うと、リスクのある判断をしてしまうことがある。皆で決めると気が大きくなり、各自の責任感が薄れる。・シャーデンフロイデ他人の不幸を喜ぶ心理。政治家や芸能人など、社会的地位の高い人の不祥事を興奮気味に語る人は、この心理傾向が強い。
2019年10月02日
アメリカ「科学不信」の現場
米国に駐在した読売新聞記者によるルポ。2013-14UCBジャーナリズム大学院客員研究員(フルブライト奨学生）、15-18年ワシントン特派員。
新聞社の科学記者として科学の取材を長く続けてきた筆者は、2016年11月に、科学的でないことや事実に反することを平然と言うトランプが、世界で最も影響力がある米国の大統領に当選したことに衝撃を受けたという。
「科学に対する不信や反発はどこから生まれ、なぜ広まっているのか」
「科学で最先端を走る米国の違う顔を知りたい」
そんな気持ちで、科学に不信感を持つ人たちを全米各地に訪れる取材を始めたという。
まえがき3：新聞社の科学記者として科学の取材を長く続けてきた私にとって、米国は、あこがれの地でした。米国は、科学の新たな地平を切り開いてきた地です。8：オークランド大学マーク・ネイビン准教授（社会・政治哲学）「私たちが科学的な知識に基づいて判断することなんてほとんどありません。人は、自分で思っているほど理性的に物事を考えているわけではないんです。何かを決める時に科学的な知識に頼ることは少なく、仲間の意見や自分の価値観が重要な決め手になっているのです」54：自分が思うほど理性的ではない私たち人類700万年の歴史を1年のカレンダーに見立ててみると、1月1日に人類が誕生して、現生人類が誕生したのは12月16-21日になる。さらに農業を始めるのは12月31日正午ごろと、もう年の暮れになってしまう。人類は大晦日の昼まで、狩猟採集の日々を送ってきたことになる。87：反エリート主義と知性への反発「米国の民主主義の源流には、欧州の貴族主義への反発がある。だから、私たちは国王を持たない。歴史歴にエリートや専門家に懐疑的になるという感情が米国にはある。一方、権威への反発は容易に、知性への反発に転がり落ちてしまう」ハーバード大学ナオミ・オレスケス教授（科学史）89：スミソニアン協会英国の化学者ジェームズ・スミソン(1765-1829)の遺産をもとに1846年に設立。天文や環境などに関する9つの研究施設を持つ、世界最大規模の研究・展示組織。研究だけの組織では民主主義を支えられないと考え、一般の人に情報を届ける博物館を作った。情報が届かないと、民主主義がもろくなってしまう。110：トランプ発言の事実誤認就任後1年間でトランプ氏の事実誤認の発言は2140個。1日平均で約5.9個。（ワシントン・ポスト）148：米国人の3/4人は「神のおかげで人類は誕生した」と考えている進化論を支持する回答は19%。20年前の10%に較べ増えているが、依然として少数派。199：科学者は自分の研究に集中したい科学者の間ではほぼ合意に達していることでも、一般の社会では合意に達せずに論争が続く状況。(中略)続く論争を終わらせるには、さらなる科学研究よりも、一般社会に広がる溝を埋めるコミュニケーションが必要。
2019年10月01日
企業の「成長エンジン」を見つけ、火をつけ、持続させる
著者の一人Sean Ellisは、「2018年3月にIPOしたDropboxの創業初期をマーケティング面で支え、同社の急成長を牽引した」ことで知られる、とある。もう一人の著者Morgan Brownは、500 StartupsのGrowth Mentorだ。
FB, Uber, LinkedIn・・・これらの企業が急成長できたのは、「画期的なビジネスアイデアを思い付いたから」などと言われるが、それは誤りだという。「どの企業も、製品開発とマーケティングの新たなアイデアを綿密かつ迅速に生成・検証し、成長につながる名案をユーザーの行動データから探し出したことで、成功にたどり着けた」のだ。
これはその通りで、よく言われるように、似たようなアイデアを思いつく人は何万人といる。それを実行する人はほんの一握りなのだが、実行した人のなかで成功するのはごく少数だ。言い換えれば、アイデアそのものにそれほど価値があるわけではなく、アイデアを実現可能なBMに落とし込んで、さらにそれを実行しながら、磨き上げていくスピードと確実性が勝負になる。
＊シリコンバレーの急成長企業が実践する「グロースハック」運用法●グロースハックとは、高速かつ部門横断的な実験を通じて急成長を促すアプローチ●製品開発に用いる「アジャイル開発」＋事業開発に用いる「リーン・スタートアップ」の方法論を応用これらの手法の継続的な改善サイクルと迅速な反復アプローチを、グロースハックは顧客獲得と収益拡大に用いる。●グロースハックのプロセス１．グロースチームを結成Growth LeadやSE、Data Analystなどを社内から集め、Growth Teamを結成。マーケティングと製品開発の分業体制を打ち破る組織横断型チーム。２．プロダクトの渇望度を測る自社のプロダクトのコアバリュー、顧客の目に”Must have"（必須）と映るものを見極める。ユーザーへの質問や顧客維持率を通じて、”Aha moment"（プロダクトがユーザーに刺さる瞬間）を探す。定性調査と定量のデータ解析を併用し、ユーザーの行動と嗜好に関する深い洞察を得る。３．成長戦略を練る「基礎的グロース方程式」（成長を促す主要因をすべて含むシンプルな数式）を定義し、プロダクトの成長にとって最も意味のある指標を見つける。グロース施策の最終目標「北極星」を選ぶ。４．高速で実験を繰り返す「分析→アイデア作成→優先順位付け→実験」というサイクルを、1-2週間の周期で回す。このプロセスを回し続けることで、大小様々な勝利が積み重なっていき、改善の好循環が生まれる。�（�析Growth LeadとData Analystで初期ユーザーのデータを分析。それを手掛かりにヘビーユーザーの行動や属性などを検証。Data Analystがデータを分析している間、Marketing Specialistはユーザーにアンケートと聞き取り調査を行う。データ分析の結果とユーザー調査の回答は、データ担当とマーケティング担当が1本のレポートにまとめ、グロースミーティングの1週間前にチームメンバーに送る。メンバーは、アイデアを準備してミーティングに集まる。�▲▲ぅ妊∪言�グロースミーティング開催後の1週間で、メンバー全員が施策のアイデアをできるだけ多く提案する。自己検閲は禁止。提案は自らの専門知識に基づいて行う。�Ｍダ莉膂棉佞�提案者が自分のアイデアに点数を付ける。ICEスコアシステム：Impact（影響度）、Confidence(自信度）、Ease(簡易度）�ぜ存�
