2019年08月
2019年08月31日
20世紀アメリカ「管理革命」
最終章のテーマは「価値革命」。それまでの会計が主に「過去」を扱うのに対し、20世紀アメリカで起こった革命は、将来利益予想に基づいた「企業価値」だった。
レノン＝マッカートニーの著作権が例に挙げれらる。ビートルズがアメリカデビューする少し前、マネージャーのエプスタインから呼ばれたジョンとポールは「楽曲の権利を会社に譲渡する」契約書にサインする。それからの成功を考えれば信じられないことだが、すでにイギリスで有名になり、デビューを取り仕切ったエプスタインへの感謝と、これで「もう十分」という考えもあったのだろう。
著作権を譲り受けた会社Northern Songsは1965年に株式公開。誰でも株式を購入できるようになった。ポールはずっと権利を買い戻したかったようだが、爆発的に売れていた間は売手は強気だ。やっとチャンスが巡ってきたのは1981年、解散から10年以上経ってからだ。提示された値段は2000万ポンド（当時のレートで90億円）。
ポールは前年に亡くなったジョンの代理人オノ・ヨーコに連絡を取るが、ヨーコが半額の支払に難色をしめす。「2000万ポンドは高いから、500万ポンドに値切ってくれ」というのだ。これを聞いたマイケル・ジャクソンが5300万ドル（130億円当時）で購入。ポールは千載一遇のチャンスを逃した。
ヨーコからすれば、「自分の曲を買うのにどうしてそんなに払わなくてはならないのか」という過去に囚われた発想。ジャクソンは、「ビートルズの曲がこれからどれだけ稼ぐか」という将来を見据えての判断だった。
369：ポールとジョンから著作権を譲り受けた会社Northern Songsは1965年に株式公開。誰でも株式を購入できるようになった。1981年ポールは2000万ポンド（当時のレートで90億円）で権利を買い戻すチャンスを得る。前年に亡くなったジョンの代理人オノ・ヨーコに連絡を取るが、ヨーコが半額の支払に難色（500万ポンドに値切ってくれ）。マイケル・ジャクソンが5300万ドル（130億円当時）で購入。385：ドイツからやってきた牛追いの息子ヘンリーは同じユダヤ系でリーマンブラザーズのひとり、フィリップ・リーマンと毎日同じレストランでランチを食べながら、ひそひそと金儲けの作戦を練る。まもなく彼らは共同でシアーズ・ローバックをはじめ、数々の株式公開を企画立案し、成功させていく。ゴールドマン・サックスはその後も、あのフォードの株式公開などのビッグ・ディールを成功させるなど、ウォール街でも有名な存在になっていく。399：会計士志望から不良ロッカーにされたミック・ジャガー少し遅れてロンドンでデビューしたローリング・ストーンズは、本来優等生だったメンバーが、ビートルズとかぶるのを避けるため「不良イメージ」で売り出させる。もともとキース・リチャーズは聖歌隊のボーイ・ソプラノであり、ミック・ジャガーは会計・ファイナンスを学ぶ会計士志望の学生だった。彼らはあくまでマーケティングの観点から、ビートルズの対極イメージで売り出された。
2019年08月30日
19世紀アメリカ「標準革命」
「標準化」を特徴とする「アメリカ式生産システム」の成立に当時の花形産業だった鉄道業が大きく影響を与えたというのは興味深い。20世紀の初め、アメリカの新規上場企業の半分以上が鉄道会社だったというからスゴイ。100年後に起こったITバブルのようなものだ。
先行したイギリスの線路が橋を架け、山を切り通し、ほぼ直線に線路が引かれたのに対し、アメリカの線路は地形に沿って曲がっていたという。なぜなら、イギリスでは土地が高いので、最短距離にしないと土地買収の費用が嵩む。アメリカでは土地代が安いので、困難な場所に工事費を掛けて最短で通すより、遠回りしても、工事費が少なくて済む場所を選んだのだ。
各鉄道会社がアメリカ大陸の東西南北に引いた線路はやがて連結される。これが可能だったのは、アメリカの鉄道が全てスティーブンが決めた「標準軌」だったから。南北戦争が終わった4年後の1869年には大陸横断鉄道開通が開通する。開通式で黄金の最後の犬釘を打ったのはセントラル・パシフィック鉄道社長のリーランド・スタンフォード。後の、スタンフォード大学の創設者である。
277：1869年大陸横断鉄道開通セントラル・パシフィック鉄道社長リーランド・スタンフォードが最後の犬釘を打つ。もともとNY生まれのエリート弁護士。282：「連結決算」はアメリカの鉄道会社から鉄道会社は線路をつなげるだけでなく、会社そのものを「合併」し始める。288：原価計算鉄道業でしっかりと原価計算を学んだカーネギーは、工場の作業工程につぃてもきっちりコストを計算する「原価計算」を取り入れていった。190：アメリカ式生産システム「流れ作業・作業の標準化・互換部品制・機械化」などの特徴を持つ。「素人ばかりで、しかも人件費の高い」アメリカならではの、その制約を乗り越えるための工夫。301：「簿記係」が誕生させたスタンダード・オイルロックフェラーはもともと「簿記係」。学校で簿記を学び、商事会社に経理係として入社したジョン。しかしながら彼は「経理マン」にしてはかなり山っ気が強く、相場を張るのが大好きな男だった。
2019年08月29日
20世紀アメリカ「投資家革命」
史上初のカトリック教徒のアメリカ大統領となったJFK。そのお父さんのジョーはボストンで生まれたアイルランド移民の三代目。
JFKは爽やかなイメージだったが、ジョーは悪徳で有名だったという。ジャガイモ飢饉で大量にアメリカに移住したアイルランド移民。その多くは港湾荷役や鉄道建設などの肉体労働者になった。そして、酒好き。夜な夜なパブに集まり、憂さを晴らし、政治談議もする。
ジョーの父（JFKの祖父）はボストンで居酒屋経営からアイルランド移民の支持を得て政治家になった「居酒屋政治家」。ジョーを無理矢理ハーバード大学に進学させ（相当な入学工作があったと言われている）、社会のメインストリームに入れようとする。
しかし、そこはグレーな世界でのし上がってきたケネディ家。ハーバード大学を出て銀行検査官になるものの、そこでバランスシートの読み方など「表の勉強」だけではなく、さまざまな会社の裏情報をしっかり仕入れた。ジョーは危ない企業の情報をつかみつつ、情報操作を行って株価を動かし、インサイダー取引で大儲けした（当時、インサイダー取引を取り締まる法律はなかった）。
財力をバックに政界入り。ルーズベルト大統領へ選挙資金を提供して、初代SEC長官に就任。世間は、「あのジョーが」と驚いたが、ルーズベルト大統領は「泥棒を捕まえるには、泥棒が一番」と言ったとか。実際、ジョーはSEC長官として多大な実績を上げた。
190：アメリカ鉄道会社へ流れ込む投資資金実のところ鉄道会社のおかげで証券取引所が発展したともいえる。19世紀の後半、公開株の半分以上が鉄道株であり、証券取引所は鉄道会社のために存在しているようなものだった。196：バランスシートの読める荒くれ男ジョー（Joseph Patrick Kennedy)はバランスシートの読み方など「表の勉強」だけではなく、銀行検査官の仕事を通じて、さまざまな会社の裏情報をしっかり仕入れた。ジョーは危ない企業の情報をつかみつつ、情報操作を行って株価を動かし、インサイダー取引で大儲けした。204：「泥棒を捕まえるには、泥棒が一番」（ルーズベルト大統領）大暴落でも空売りで大儲けしたジョーを初代SEC長官に任命。昔の悪友たちを説得しながら、新たなルールを次々と導入。207：投資家保護のためのディスクロージャー制度�〃弍勅圓魯襦璽襪亡陲鼎い得気靴�決算書を作成すること�∪気靴�作成作成されたかどうかについては監査を受けること�７荵蚕颪鯏蟷餡箸紡个靴謄妊�スクローズすること
2019年08月28日
19世紀イギリス「利益革命」
鉄道という近代産業は路線用地の買収、線路の敷設、駅の建設、機関車や客車の購入など莫大な先行投資を必要とする。この費用をそのまま計上すると建設期間中が大きな赤字で、営業が始まると黒字。新規の投資をするとまた赤字と、収益が大きくぶれることになる。そこで発明されたのが「減価償却」。取得資産をB/Sに計上して、耐用年数で1年毎に償却していく。これによって、コストが平準化される。
「減価償却」の発明は、「イタリアでの簿記の誕生に匹敵」するような数百年の会計史のなかでも重要なターニングポイントであると同時に、「粉飾のはじまり」でもあった。それまでの現金主義なら、現預金残高さえ確認できれば、会計が正しいかどうかの判断ができるが、「発生主義」になったことで、利益と現金の動きが合わなくなったのだ。
そのため、最近では従来のB/S、P/Lに加えて、C/S（Cashflow Statement）が上場企業では求められるようになった。ある意味、現金主義への回帰だ。
138：石炭の発見すでに16世紀あたりから森林が減っていたイギリスでは、樹木伐採の制限令を出すほど木材不足が深刻化していた。「木材不足」は木材・薪炭を燃料としている製鉄、金属、ガラスなどの産業に大きな影響を及ぼす。（中略)木材の不足はイギリスにとって、経済・政治・生活全般にわたる大ピンチだった。150：産業革命時のイギリスにおいて「株式会社」の自由な設立はできず17世紀に暴落を起こした南海泡沫会社事件の影響で、政府は株式会社の設立を制限。株式会社は政府が認めた場合にのみ、設立できる。165：「減価償却」の登場数百年の会計史のなかでも重要なターニングポイント。イタリアでの簿記の誕生に匹敵。減価償却の誕生によって、会計上の儲けは収支から離れ、「利益」というかたちで計算されるようになった。現金主義会計：収入ー支出＝純収入発生主義会計：収益ー費用＝利益168：発生主義は粉飾のはじまり19世紀イギリスの鉄道会社はとんでもなく「革新的」な存在。利益を出すために「自らルールをつくってしまった」。
2019年08月27日
17世紀オランダ「会社革命」
世界初の「株式会社」はどこか？1600年にイギリスで、2年後にはオランダで同じ名前の「東インド会社」が設立されているから、話はややこしい。尤も、日本語に訳せば意味が「東インド会社」であっただけで、イギリスで設立されたのは英語で、East India Company。オランダに設立されたのは、当然オランダ語で、Vereenigde Oostindische Compagnie（VOC)であった。Vereenigdeは「連合」という意味で、それまで個々に貿易に携わっていた7社の合併によって設立されたからだ。
時期はイギリスの方が早いのだが、現代的な株式会社という意味ではVOCが世界初の株式会社ということになる。それは、イギリス東インド会社は、航海ごとに資金調達し、その航海が終了後その売上全てを出資者に分配する「当座企業」であった。そのため、資本金も小さかった。
それに対して、VOCははるかに大きな資本金で、「継続企業」として長期的に資本調達していた。イギリスがそれに倣い、利潤のみを株主に配当し、株主は総会を通じて会社経営に参加できるように改革したのは1657年のことであった（オリヴァー・クロムウェル）。
一時は東方貿易を制し、隆盛を誇ったVOCだが、200年ほどで活動を停止する。その理由はこれまで、17世紀後半の英蘭戦争で、アジアから荷を運んできた船舶がイギリス海軍に拿捕されるようになったからだと言われてきた。しかし、最近の研究で、巨大化した企業活動に対して、�，困気鵑焚餬弖彁察κ鷙陝別だ�熟だった会計制度）、��高すぎた株主への配当（内部留保の不足と借入体質）、�Ｉ埓気篥霪颪紡个垢襯船Д奪�機能の甘さ（ガバナンス機能の不足）から、内部崩壊していったことも分かっている。
株式会社の登場と共に、現在にも繋がる株式会社の諸問題も発生したわけだ。
112：1600「連合」東インド会社（Vereenigde Oostindische Compagnie)7社の合併によって設立。小さな会社が「船を出しては沈み」を繰り返していたはムダが多すぎる。もっと金を掛けて安全かつ大砲を備えた強力な船をつくり、スペインとポルトガルを駆逐する。122：1799VOC活動停止外部要因：英蘭戦争で、アジアから荷を運んできた船舶がイギリス海軍に拿捕される。内部要因：�，困気鵑焚餬弖彁察κ鷙陝別だ�熟だった会計制度）��高すぎた株主への配当（内部留保の不足と借入体質）�Ｉ埓気篥霪颪紡个垢襯船Д奪�機能の甘さ（ガバナンス機能の不足）
2019年08月26日
15世紀イタリア「銀行革命」
レオナルド・ダ・ヴィンチが婚外子であったのは有名な話。代々ヴィンチ村で公証人という地位の高い専門職を担っていた家に生まれ、跡を継いだレオナルドの父親ピエロ。村の少女を妊娠させたとき、彼にはフィレンツェに婚約者がいた。婚約者はフィレンツェでも有力な公証人一家の娘で、結婚すれば、公証人として出世は間違いない。ピエロは、予定通りフィレンツェに行って結婚する。
ヴィンチ村で生まれたレオナルドの面倒を見たのは、祖父のアントニオ。それでも息子のことが気にはなっていたらしく、ピエロは後にレオナルドをフィレンツェに呼び寄せる。当時、紙は貴重品だったが、公証人だったピエロの仕事場には紙が豊富にある。レオナルドはこの紙を使って、スケッチし始めるのだ。
「メモ魔」でもあったレオナルドは、公証人になることも考えるが、当時の公証人は世襲で、婚外子には世襲が認められていなかった。そこで、ピエロは息子が書いたスケッチを彫刻家のヴェロッキオに見せる。ヴェロッキオは一目で才能を見抜いたようで、弟子入りが認められた。
レオナルドが活躍することができたのは、当時のイタリアがアジアとの東方貿易を独占して巨万の富を上げていたから。そして、国際貿易への必要性から、為替制度や融資制度が出来る。キリスト教では利息を取ることが禁じられていたので（時間を司るのは神の特権）、為替手数料などで実質的に金利を取っていた。
ヴィンチ村で生まれたレオナルドの面倒を見たのは、祖父のアントニオ。それでも息子のことが気にはなっていたらしく、ピエロは後にレオナルドをフィレンツェに呼び寄せる。当時、紙は貴重品だったが、公証人だったピエロの仕事場には紙が豊富にある。レオナルドはこの紙を使って、スケッチし始めるのだ。
「メモ魔」でもあったレオナルドは、公証人になることも考えるが、当時の公証人は世襲で、婚外子には世襲が認められていなかった。そこで、ピエロは息子が書いたスケッチを彫刻家のヴェロッキオに見せる。ヴェロッキオは一目で才能を見抜いたようで、弟子入りが認められた。
レオナルドが活躍することができたのは、当時のイタリアがアジアとの東方貿易を独占して巨万の富を上げていたから。そして、国際貿易への必要性から、為替制度や融資制度が出来る。キリスト教では利息を取ることが禁じられていたので（時間を司るのは神の特権）、為替手数料などで実質的に金利を取っていた。
23：公証人になれず、ヴェロッキオに弟子入りしたレオナルドメモ魔だったレオナルドにはダ・ヴィンチ家に代々伝わる「あらゆるものを記録に残す」公証人気質が受け継がれていたのかもしれない。34：バンコを悩ますウズーラの禁止キリスト教の「利息の禁止」は異教徒には適用されないため、ユダヤ教徒は金貸しをすることができた。というより、金を貸す融資は卑しい仕事としてユダヤ人に押し付けられていた。利息には「ウズーラ」の名が付されていた。ユダヤの金貸しも軽蔑を込めてウズーラと呼ばれていた。79：『スンマ』発行の1494年、メディチ銀行潰れるもともとメディチが銀行をはじめる前、バルディ家やペルッツィ家といった大銀行が英国王エドワード3世の借金踏み倒しによって破綻しています。「国王や貴族への貸付には気を付けろ」という教訓が残されていたというのに、メディチ銀行のロンドン・ブリュージュ拠点がエドワード4世へ巨額貸付をしてしまいました。これが当然のように踏み倒されたことでメディチ銀行は破綻しました。
2019年08月25日
データに基づく科学的教育経済学
若いうちの「教育投資」は経済学的にも投資効率が高いことが様々な研究で学術的にも証明されている。その収益率は、株や債券などの金融投資と比べても高く、「若いうちは自分に投資しろ」は経済学的にも正しい。
ただ、そんなに長期的に自分で考えられない子供たちにとって、何にどう投資するように導くかは親の責任だ。それをデータに基づき経済学的な手法で分析したのが本書。
「自尊心が高まると学力が高まる」という定説は最近の研究で覆されたという（フロリダ州立大学バウマイスター教授）。「あなたはやればできる」などと、むやみに子供をほめると、実力の伴わないナルシストを育てる可能性がある、というのは当然と言えば当然。
重要なのは、その「ほめ方」。「子どものもともとの能力をほめると、子どもたちは意欲を失い、成績が下がる」という（コロンビア大学のミューラー教授による小学生を対象にした実験）。「よく頑張った」と努力を褒めなければならない。「今日は一時間も勉強できたね」などと具体的に子供が達成した内容を挙げることが重要だそうだ。そうすることで、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子供に育つという。
＊教育評論家が個人的な体験から語る教育論は、科学的根拠がなく、正しいかどうかわからない。データに基づき経済学的な手法で分析する教育経済学。・教育の収益性子どもの頃に勉強しておくことは、将来の収入を高める。・「テストの点数」をよくするなどのアウトプットではなく、「本を読む」「宿題をする」などのインプットに対して褒美を与えたほうが、子どもの学力は上がるアウトプットの場合、具体的に何をすべきかわからないが、インプットの場合、何をすべきかが明確だから。・「ほめ方」に注意「やればできる」ではなく、「今日は1時間も勉強できたね」などと、具体的に子供が達成した内容を挙げる。それにより、さらなる努力を引き出し、難しいことでも挑戦しようとする子供に育つ。・非認知能力「耐久力がある」「社会性がある」「意欲的である」など、人間の気質や性格的な特徴。人生の成功において、非認知能力が極めて重要。非認知能力は「人から学び、獲得するもの」（シカゴ大学ヘックマン教授）・非認知能力の中で重要なものに「自制心」「やり抜く力」自制心は、筋肉を鍛えるように、何かを繰り返し継続的に行うことで向上する。やり抜く力を伸ばすには、能力は後天的に伸ばせる、といった「心の持ちよう」が大切。＊非認知能力に投資することが、子どもの成功にとって重要学力テストの結果に一喜一憂するのは無駄。
2019年08月24日
誰にでもできる投資成功法則
![投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51flOHPyWTL._SL160_.jpg)
NISAやidecoのおかげで、こうした「投資の大原則」もようやく広まってきた。自分で勉強し、時間を掛けて調べ、自制心を持って投資を続けられる人を除き、大部分のそうでない人は、「インデックスファンドをドルコスト平均法で長期に渡って買う」のが一番いい。
専門家の市場予測（株式市場、金利予想、マクロ経済予測など）についての考え方が面白い。
「予測は考えに入れないこと。予測をしなければ、時間の節約になり、無用な心配をしないですみ、お金もかからない」
これについては、カリフォルニア大学(当時）のフィリップ・チトロック教授の研究がある。教授は25年間に300人の専門家が行った82,000の予測を検証した。その結論は、「専門家の予想はサイコロを振って決めるよりかろうじてマシ」という程度だったという。
・金持ちになる早道は、支出を収入より少なくすること節約の第一歩は衝動買いをやめること。そして、2か月に一度支出を見直し、価値がなかった支出は今後控える。・投資で得た利益は再投資する(複利運用）すると、資産はゆっくりだが確実に増える。・インデックス・ファンドの方がアクティブ運用ファンドよりもリターンが高い運用手数料や売買コストが安く、税金面でも有利。・分散投資・時間分散ドル・コスト平均法。・資産配分比率を定期的にチェック（リバランス）・資産配分を考える上でポイントとなるのは、自分の「年齢」「経済状況」「性格」先ずは自分自身を知り、性格とライフステージに合った投資を選ぶ。
2019年08月23日
エンジェル投資家
著者は、ウーバーへの初期投資で知られる大物エンジェル投資家。1件あたり数百万円の投資を、年間に40件するというから、年間の投資額は1億円を超える。実際、エンジェル投資家になってから6年間で約10億円の投資をしてきたというから、年平均1.5億円以上。これによって築いたポートフォリオの時価総額は150億円以上になるという。15xだ
私もこれまで20年間で10件ほどの案件に数千万円を投じてきた。1件当たりの投資額は変わらないが、件数が圧倒的に違う。年間40件というのは、休暇を除けば、毎週1件投資している計算になる。40件の投資のために少なくともその10倍の数の起業家に会っているはずで、これはもう、完全に職業だと言える。
どんな仕事でもそうだが、能力が同等であれば、あとは、経験を早く積んだほうが勝てる。そして、どのみち、トップクラスになるのは能力適性がある人だけなのだ。私は積極的に投資候補を求めず、「縁があったところに出す」というやり方なので、分母となる母集団の数が圧倒的に不足している。投資でパフォーマンスを出すには、やはり、たくさん会って、「これぞ」という案件を見つけなければならない。
著者のウーバー投資のケースでは、5億円の企業価値で250万円を投資したという（シェア0.5%)。当時のウーバーは1都市でしか運営されておらず、契約車両もわずかだった。しかし、創業者のカラニックには成功への強烈な意思があった。ウーバーを紹介したこのピッチイベントでは出席した10人のエンジェル投資家のうちカラカニス氏を含む3人が投資したという。
投資タイミングも重要だ。よく知られるように、「Googleは12番目の検索エンジンだった。Facebookは10番目のSNSだった」。実は、一番乗りよりも、後発組の方が成功率が高い。新市場では経験則がなく、先発組の失敗を見て学べる後発組の方が有利だ。
ウーバーのケースでも、同社が参入する1年前にSMSでタクシーを呼ぶサービス試行があったという。「大きくて美しいタッチスクリーンを可能にした強力なモバイルCPUと高精度のGPS」がウーバーの「なぜ今」だった。
ウーバーのケースでも、同社が参入する1年前にSMSでタクシーを呼ぶサービス試行があったという。「大きくて美しいタッチスクリーンを可能にした強力なモバイルCPUと高精度のGPS」がウーバーの「なぜ今」だった。
＊設立して間もない企業に投資するエンジェル投資。このハイリスク・ハイリターンの投資法で大きな成功を収めている著者。起業家と投資家を橋渡しするテクノロジー系コンファレンスを数多く設立してきた。・エンジェル投資では、立ち上げ最初期の非公開企業に投資し、大きなリターンを目指す。通常、投資期間は3年以内。・スタートアップの創業者が、そのビジネスを大きく育てた場合、他企業に買収されるか、上場する(EXIT)。エンジェル投資家は株式の配当ではなく、EXITを求める。・近年、実績あるエンジェル投資家がシンジケート（投資組合）を組織している。エンジェル投資を志す人は、まずこのシンジケートに参加して、少額の投資から始め、人脈を築くとよい。・大成功するスタートアップを見つけるには、まずスケールの小さなアイデアと元気のない創業者を除く。そして、すごい創業者と、スケールの大きいアイデアには倍掛けする。・数年で企業価値が数十億ドル、売上が数千万〜数億ドルに達することをスケーリングという。この世界には、それが可能なビジネスと、それ以外のビジネスがある。・会社を選ぶ際は経営者を見る。アイデアや市場ではなく、人物とそのモチベーションを評価する。人が全て。・創業者に尋ねるべき質問�，△覆燭丙�どんな仕事をしていますか？�△△覆燭呂覆爾海譴鬚笋辰討い襪里任垢�？��なぜ今なら、このアイデアが成功するのか？�い△覆燭良堙�なまでの優位性は何か？
2019年08月22日
ハーバード以上の難関大学⁉
「ハーバード以上の難関」という触れ込みだが、それは合格率の話で、偏差値ではない。2014年に開校したばかりのミネルバ大学は１学年が150人とまだ少人数なので、合格率は受験者数によって大きくぶれる。その評価が決まるのは、卒業生の評価が決まる今後数年だろう。因みに、2万人以上が受験し、合格率は1.9%というから既に超難関であるのは間違いない。
「2014年創立のミネルヴァ大学はキャンパスを持たず、4年間で7都市を移動しながら学ぶという全寮制の大学。講義はすべてオンラインで行われ、ディスカッション中心の授業や、企業などと協働して進めるプロジェクトを通じて課題解決の手法を学ぶという、従来的な価値観からすると大変ユニークなカリキュラム」
この大学に日本人として初めて進学したのが、日原翔さん。そのインタビュー記事がある。これは、その通りだね。若いのにエライ(笑)、というか、若いのだから失敗しても前向きにそこから学べる限り、いくらでも挽回のチャンスがあるということ。
「日本に戻れば家族がいるし、ミネルヴァに出願した時はまだ卒業生もいない段階だったけれど、そこでうまくいかなかったからといって、人生は終わりじゃない。そうやって吹っ切るのが大事」
＊最高の教育を、適正な価格で、より多くの人へ。・現在の大学が抱える4つの課題� 崋匆颪暴个觸猗�」に対する深刻な意識の乖離大学側は、社会で役立つスキルを学生に提供できていると思っている。だが、企業側はそのように捉えていない。�∋箸錣譴覆こ惱�効果の高い教授法教育者にとっては効率的だが、学生の学習効果という観点からは効率の悪い、講義形式の授業が行われている。�Ｊ�雑化した国際社会への対応今後、国際社会でリーダーがとなる人には、異文化や多様性を経験していることが求められる。だが、留学する学生は少なく、留学先は西洋文化圏に限定されるケースが多い。�づ蟷饌亳�果〜高騰する学費と学生ローン大学施設への投資によって、学費は高騰し続けている。一方で、多くの人は「大学を出た方が生涯年収は高くなる」と信じ、学生ローンで大学に進学している。・ミネルバ大学�ヽ慇犬�社会に出た時、「実践的な知恵」がスムーズに使える人材になれるよう、カリキュラムを設計する。�∋臆端堊完�の顔が見えるオンライン形式の授業を行うことで、学習効果を最大限に高める。すべての授業は、20人に以下のセミナー形式。�３慇犬�4年間で、世界の主要7都市に滞在し、異文化体験をする。�こ愴颪鰺泙┐襪世韻任覆�、個々の経済力に応じた、公平な財務支援制度を実施する。学費は年間$12500（＝約130万円）。80%の学生に対し、何らかの財務支援。
2019年08月21日
顧客サービスは割に合わない
副題には、「デジタル時代の顧客満足と収益の関係」とある。デジタル時代だから大きく変わったとは思わない。ただ、比較検討が容易になったので、ロイヤルティを高めるのがより難しくなったのは間違いない。
典型的なのは、実店舗で実物を見比べて、ネットで購入という行為だろう。リアル店舗には家賃や店員の人件費などたくさんの固定費が掛かっている。ネット販売専業にはこうした経費が掛からず、リアル店舗より安く売れるのは当然だ。どちらが「サービス」をより多く提供しているかといえば、リアル店舗なのだが、多くの消費者はそれをタダで利用するのみだ。
日本企業には過剰な、あるいは、無意味なサービスを未だに提供するところが多い。本当に、それを顧客が欲しているのか、そしてコストに見合うリターンが期待できるのか検討し直してみるべきだろう。廃止すれば一部から苦情があるかもしれない。しかし、それはごく一部で、そもそもそんなものを求めていない顧客は何も言わないのだ。
結論としては、「顧客を喜ばせることでのロイヤルティを高める」のは難しい。ロイヤルティを生み出したいと真剣に思うなら、「顧客努力の軽減」をサービス戦略の中核にすべき、ということである。
典型的なのは、実店舗で実物を見比べて、ネットで購入という行為だろう。リアル店舗には家賃や店員の人件費などたくさんの固定費が掛かっている。ネット販売専業にはこうした経費が掛からず、リアル店舗より安く売れるのは当然だ。どちらが「サービス」をより多く提供しているかといえば、リアル店舗なのだが、多くの消費者はそれをタダで利用するのみだ。
日本企業には過剰な、あるいは、無意味なサービスを未だに提供するところが多い。本当に、それを顧客が欲しているのか、そしてコストに見合うリターンが期待できるのか検討し直してみるべきだろう。廃止すれば一部から苦情があるかもしれない。しかし、それはごく一部で、そもそもそんなものを求めていない顧客は何も言わないのだ。
結論としては、「顧客を喜ばせることでのロイヤルティを高める」のは難しい。ロイヤルティを生み出したいと真剣に思うなら、「顧客努力の軽減」をサービス戦略の中核にすべき、ということである。
・多くの企業は、他社との差別化を図るために最高のカスタマーサービスを提供することに注力する。しかし、約10万人の顧客を対象にした調査の結果は〜�ヾ遒咾寮鑪�は割に合わない企業は「顧客の期待を超えるサービス」が顧客ロイヤルティを高めると信じている。だが、実際は「期待以上のサービスを受けた顧客」と「期待が満たされただけの顧客」のロイヤルティにはまったく差がない。�∨�足度はロイヤルティの予測因子ではないカスタマーサービス・インタラクション(担当者と顧客の間のやりとり）に満足しても、その企業でなく他社から購入しようと考える顧客が20%いた。つまり、顧客満足度と将来の顧客ロイヤルティとの間に関係はない。��ディスロイヤルティを促す可能性が高いカスタマーサービス・インタラクションは、ロイヤルティよりもディスロイヤルティを促進する可能性が4倍も高い。また、ロイヤルティを失った顧客は、否定的な口コミを流す確率が高い。�ぅ妊�スロイヤルティ緩和のカギは顧客努力の軽減ディスロイヤルティを促す要因には、「問題解決のために顧客が投じなければならない手間(顧客努力）」に関するものが多い。顧客努力が多いとロイヤルティは低下する。
2019年08月20日
大正製薬の創業者
リポビタンDと言えば大正製薬。大正製薬といえば上原家。
これが常識だが、実は大正製薬の創業者は上原家ではなく、私と同じ町（香川県三豊市高瀬町）の出身者であることを最近知った。それが石井絹治郎。
明治21(1888)年 愛媛県三豊郡比地中村で生まれる（当時、香川県は愛媛県に併合されて存在しなかった
）明治32(1899)年 比地尋常小学校卒業
明治34年（1901)年 訳業見習いのため上京
明治37(1904)年 大日本製薬に勤務しながら、明治薬学校(現明治薬科大学）夜間部に入学
明治43(1910)年 従兄妹である下勝間出身（現高瀬町）の豊島ムメと結婚
明治44(1911)年 二ノ宮村（現高瀬町）出身の高木好彦(妻は豊島ムメの妹）が上京し、以来大正製薬及び絹治郎の片腕となる
大正元(1912)年 大正製薬所設立「體素」「ヘモグロビンエキス」「ヘモグロビン菓子」等の製造販売を始める
大正15(1926)年 日本薬剤師会理事並びに東京府薬会長に就任（府薬会長は昭和18年に没するまで重任）
昭和３(1928)年 株式会社大正製薬所と改組
昭和12(1937)年 東京商工会議所議員
昭和18(1943)年 5月9日永眠。東京商工会議所会頭、藤山愛一郎が葬儀委員長。
明治薬学校は首席で卒業。当時今よりも難しかった薬剤師国家試験には18歳で一発合格しているから、家が貧しくて尋常小学校しか出ていなかったものの、よほど優秀だったらしい。試験には合格したものの、当時の資格取得年齢は20歳だったため、免許交付は2年間保留になっている。
そして、改元と同時に設立したのが大正製薬所。創業以来、石井の右腕として事業を支えたのは同郷の高木だった（うちの隣村なので遠い親戚かも）。
会社は順調に発展し、昭和18年に絹治郎が亡くなった後は、同じく明治薬学校を卒業して研究者の道を歩んでいた長男輝司が二代目社長に就任する。しかし、本人は徴兵されて戦地におり、形だけの社長であった。戦後、帰国した後も、経営に興味を持たず研究の道を志し、明治薬科大学の教授となっている。孫の敬太朗は現在、明治薬科大学の学長だ。
その後の経営を担ったのが、戦争中専務として会社を支え、昭和21（1946）年三代目社長に就任する上原正吉。上原は19歳のときに絹治郎に見いだされ、大正製薬所で働きながら絹治郎同様、明治薬学校夜間部に通った。そして、その後、上原家が代々社長を務めることになる。
その間何があったのか
Wikipediaには次のように記載されている。上原が社長に就任する際､株で半ば強引に乗っ取り､その後、当時多数勤務していた創業者一族である石井家と、その親族（石井絹治郎の妻ムメ方の豊島家一族など）を大幅に解雇するなど、創業者一族である石井家とその親戚筋とは確執がある。
2019年08月19日
改革か革命か
水滸伝は、腐敗した宋を倒して新しい国を作ろうとする梁山泊と、それを潰そうとする宋の諜報機関「青蓮寺」との攻防を中心に話が展開する。青蓮寺は現在でいえばCIAみたいなもので、国内外でスパイ活動をするとともに、作戦行動する実行部隊も持っている。
時は、王安石の改革(1070-1076)が挫折した数十年後ということになっている。宋の宰相王安石は、財政難の解消と富国強兵策をとる。そのためにさまざまな新法が制定されたため、王安石の改革派を「新法派」、反対派は「旧法派」と呼ばれたようだ。現体制から利益を得ているものも多く、改革は挫折する。
小説では悪者にされているが、青蓮寺のロジックにも一理ある。青蓮寺も宋の腐敗を止めなければいずれ国が傾くことは理解しているが、内乱は、外敵に侵入の機会を与える。島国の日本と違い、歴史を振り返れば中国は内乱→外敵の侵入を繰り返している。
そう考えると民主主義はよくできていると思う。任期があって、定期的にトップが変わる仕組みが組み込まれているからだ。選挙で政策を変えられると思えば、無理に暴力に訴える必要もない。いつ変わるのかわからない帝（あるいは王）と、そうした絶対君主に任命された宰相では、いつ変わるか分からないので、絶望するか革命で実力行使するしかなくなる。
73：この国は、豊かだった。いまも、開封府には人と物が溢れている。商人の力が大きかった。商人が儲かれば儲かるほど、役人の取り分は少なくなる。そこから、役人の権限を利用した腐敗がはじまったのだ。商人が使える金が大きくなり、腐敗もまた大きくなった。141：青蓮寺国は、その姿をとどめたまま、少しずつ改革していくべきだ。十年かけて、腐敗を根絶してもいい。二十年かけて、帝のありようを変えてもいい。姿を変えれば、混乱が起きる。そしてそこにあるのは、外敵の侵入だけではないか。それは、一千年以上もの歴史が、はっきりと証明している。144：王安石の改革それが実現できなかったのは、やはり苛烈なほどの力が王安石になかったからではないのか。反対する者のすべてを、処断する。それぐらいの強引さがあれば、少なくともいまのと違う国の姿になっていた。人の意見も聞こうという賢明さが、一大改革のありの一決になったと言えなくもないのだ。
2019年08月18日
竹槍事件
現在浪人中の末っ子。彼女が今春卒業したのが都立隅田川高校。こちらの有名卒業生の一人が宮部みゆきらしく、在学中に本書を持ち帰った。いや、持ち帰ったのはPTA活動をしていた妻だったか。
とにかく、それから1年以上経ったのをお盆休みに読んだ。1996年の日本SF大賞受賞作ということ。「平凡な現代青年が1994年の冬の東京から1936年の同日同刻同地点へと緊急避難する。そこは二・二六事件の現場である」という時間旅行の物語（解説）。
ネタばれになるので詳しくは読んでいただきたいのだが（さすがSF大賞受賞作でなかなか面白い）、最後の方に登場するのが実際にあった「竹槍事件」。
毎日新聞は昭和19年2月の東條英機内閣の『非常時宣言』を報道した際、海軍担当の新名丈夫?記者が「竹槍では間に合わぬ、飛行機だ。海洋航空機だ」との論説を記載。反戦思想だと激怒した陸軍は37歳の新名記者を2等兵懲罰徴収を行った。海軍は露骨な懲罰徴収を批判したところ、陸軍は高齢の兵役免除者250名の徴収を実施し批判をかわした。新名二等兵は陸軍内の事情で除隊となるが、再徴収を恐れた海軍は、新名を海軍報道班員として従軍させた。（hatena）
この新名記者とそのとばっちりをくらった本来兵役免除の250名が入隊したのが丸亀連隊。新名自身は日中戦争時に陸軍の従軍記者であった経歴と海軍の庇護（新名は海軍省記者クラブの主任記者）を受け連隊内で特別待遇を受けたうえ、3ヵ月で招集解除となった。
しかし、一緒に入隊した老兵250名はその後硫黄島に送られ、全員が玉砕した。たまたま新名記者が同郷であったためにだ。ひどい話である。
2019年08月17日
中国ビジネスリーダーの経営スタイル
WhartonとCEIBS教授陣によって書かれた本。監訳したWBSの池上教授から献本いただいた。Whartonの教授はインドと米国出身。CEIBSのリャン先生は中国出身だ。
中国経済の減速や銀行の不良債権が不安視される一方、中国企業が着実に力を付けているのは間違いない。ファーウェイがあれだけ米国から叩かれるのも、もはやモノマネ企業ではなく、最先端技術で米国と覇権を争うほどになったからだ。
「2009年1月の世界時価総額ランキングでは、上位50社の中に日本企業がトヨタ1社の中で、中国企業が8社ランクインしている」
「中国の民間企業家の歴史は30年程度であり、72名のインタビュー先の60名は創業経営者であることから、中国企業の現状は日本企業でいえば戦後にリーダーシップを発揮した経営者が現役でいた1970年代に相当するかもしれない。つまり今後世代交代が進むにつれてリーダーシップが変質する可能性はあり、筆者も中国企業が直面するであろう様々な課題や変化の可能性も指摘している」（「監訳者によるまえがき」）
これは面白い。以前読んだ『戦略不全の因果』（三品和弘）に、「日本企業は戦後創業した創業経営者がいた1980年代まではよかったが、彼らが引退した後の専門経営者がダメだった（なぜなら、日本には専門経営者を育成するMBAの仕組みが一般的でないから）」という指摘があったが、同じことが中国にも言えそうだ。現在、中国企業に勢いがあるのは、まだ創業経営者の時代だからなのかもしれない。
では、改革開放で30年ほど前に創業した経営者が60歳前後になった今、アメリカ並みに、創業経営者には敵わないまでも、専門経営者として財産を引き継いで安定成長を続けられるかどうか、という問いになる。中国に専門経営者を排出する仕組みはあるのか？
ここでまた興味深いのは、中国の最高学府の学生の志向は日本に非常に近いこと。なんと、一番人気の職業は政府機関で、その次が国有企業だという。まるで、バブル崩壊以前の日本と同じ。これが本当なら、創業経営者が引退した後の中国企業は衰退する可能性がある。
しかし、日本との違いもある。中国人はビジネススクールも含め、大量に留学している。そして、欧米で経験を積んだのち、一定割合は中国に戻るので、日本以上に海外経験を持つ専門経営者のプールはある。
結局、安定した社会的地位が得られるならそれを選ぶ人が大半で、そうできない若者が大量にいて、ある意味仕方なく起業し、大量に失敗している。中国の開業率と廃業率はどちらもアメリカの倍だ。そして、日本はアメリカの半分なので、中国の1/4ということになる。結果、中国では、一部の才能もあり、諦めず、運も良かった経営者が生き残る。そうした修羅場をくぐった創業経営者が強いのは当たり前だという結論になる。
�⊆�力での進路開拓：アメリカのビジネスモデルをそのまま中国に適用するのはとても難しい。自分たちのビジネスモデルを開発するしかない。54：1980年代に海外では二つの個性的な経営パラダイムが隆盛を誇っていた。その一つ、日本モデルは学者ウィリアム・オオウチによってうまくまとめられている。日本人経営者を対象とした長年の研究成果を世に問うたオオウチの『セオリーZ』はNY Timesのランキングに入るベストセラーになった。日本の成功の秘訣は技術力ではなく優れた人材管理にある、とオオウチは主張した。「これは確固として企業理念、独自の企業文化、長期的なスタッフの育成、合意形成型の意思決定を中心とする経営スタイルである」57：事業が失敗する危険はアメリカより中国の方が高い。この調査は年間売上高500万人民元以上の国有企業と民間企業全社を対象としている。1999年から2006年までの開業率と廃業率を表2.1に示すが、平均すると1年間の開業率は25.8%、廃業率は18.6%となっている。これに対して、アメリカ企業の開業率と廃業率は中国の半分に過ぎない。�タ雄犂浜�178：中国で最高峰とされる北京大学の学生たちと話をしてみると、中国が起業家の輩出大国だというイメージとはおよそ裏腹な答えが返ってきた。一番人気の職業は政府機関なのだ。給料の額は民間セクターの足元にも及ばないが、社会的地位は高く影響力もあり、安定しているので将来が安泰だという。二番目に人気があるのが国有企業である。ここでも安定性が重視されており、給与は政府の仕事よりも良い、ただし社会的地位は落ちる。三番人気が中国の民間セクターで、給与は格段に高いが安定性のリスクも格段に高い。最後が、欧米、特にアメリカの企業である。��独自性は何か、継続性があるのは何か314：研究した企業の慣行に内在する三つの教訓�ー汰�学習ビジネスリーダーは自身の経験を最重視し、会社にもうまくいくかどうか実際に試してみて判断しようという意識がある。�▲▲ぅ妊△鮗匈阿傍瓩瓩�中国の民間企業の体制と慣行にオーナーの独断は反映されていなかった。少なくとも当初は、体制や慣行そのものがなかったから。インタビューしたビジネスリーダーたちは自身や自社の成功に非常に誇りを持っている。きわめて短期間にきわめて多くを学ばなければならなかった経験から、他国でよく目にする自前主義へのこだわりに陥らずに済んだ。�Ｈ疹覆魴�り返しながら実践する実践学習と同時に大事なのが実践から学びを得ること。これがレノボの「覆盤」学習法の一要素。「覆盤」とは、個人としての前例も共有された知恵もないビジネス上の問題解決を、安定化した手順に沿って重ねていく手法。327：会社の経営に関して意思決定の最適な定石が存在するという考え方、そのような意思決定法が欧米から輸入できるという考えは、創業者たちの優先課題ややり方とはまったく相いれない。
2019年08月16日
人の悩みを考え続けた世界の哲学者たち
哲学書は普段、売れる本ではない。ところが、時々、哲学書がビックリするくらい売れることがある。最近であれば、アドラー心理学を解説した『嫌われる勇気』（2013)。ビジネス書売上ランキングで2014年に第2位、2015年に第1位になっている。同年、舞台化され、さらに2017年にはTVドラマにまでなった。
哲学とは「人の悩み」を考える学問だから、人が生きている限り悩みは尽きず、物質社会の中でも、蓄積された満たされないものが時折哲学書へのニーズとなって現れるのかもしれない。
本書はNHK Eテレ番組「世界の哲学者に人生相談」を本にまとめたもの。人生相談室の室長は高田純次で、指南役の哲学者は小川仁志（山口大学国際総合科学部教授）。経歴がなかなか面白い。こういう、学者一直線ではなく、あれこれ社会経験を経て哲学者になった人の方が学生に伝えられることは多そうだ。
京都大学法学部卒業後、伊藤忠商事入社。同社退職後、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所入庁。同市役所に勤務しながら、名古屋市立大学大学院にて博士号(人間文化）取得。徳山工業高等専門学校准教授、プリンストン大学客員研究員を経て、現職。専門は公共哲学。（本の紹介より）
164：アドラー
悪い劣等感は他者との比較から生まれる。良い劣等感は理想の自分から生まれる。
204：ユング
午前の法則を人生の午後に引きずり込む人は心の損害という代価を支払わなければならない。
231：ドゥールズ
リゾームになり根にはなるな。何かを生み出すのは常にリゾームを通してだ。
2019年08月15日
政策混迷が招いた熱狂・転落・苦悶
終章の最後に「いくつかの断片的な感慨」という項がある。
2018年度末の個人金融資産残高は過去最高の1835兆円だったという。実に、GDPの3倍。国民一人当たりで割っても、1800万円近くになる。フローであるGDPが平成の31年間ほとんど伸びなかったのに対して、個人金融資産は着実に伸び続けた。フローだけでなく「ストックも大事」というが、日本だけに限れば「ストックこそ大事」。
そう考えれば、金利政策も高金利の方が景気に良いという議論が成り立つ。なぜなら、国内の投資機会は人口減少や高齢化に伴う政府部門の相対的な拡大で減っている。金利を下げても、借金をして投資しようという企業はほとんどない。資金需要がないから、低金利政策は景気刺激にならない。
一方、低金利は個人金融資産の利回りを直撃している。一昔前まで定期預金でも数％あったのが今やゼロ。数％の利回りでも国全体としては数十兆円の金利収入となり、不労所得があれば消費もするが、これがなくなったため元本が減るのが嫌で消費しない。
金融ストック大国となった日本に必要なのは、普通の金利に戻すことと、それによる円高だろう。円高は輸出企業にとってはマイナスだが、日本が世界に投資する投資大国となるなら、円高の方がよい。
�．丱屮襪涼罎砲△辰討呂修譴�バブルだとは分からない1980年代後半、日本で発生したバブルの規模は驚くべき大きさだったのだが、当時はそれが経済の実力だという議論が支配的であった。これは世界共通の現象。ストックも重要。キャピタルゲインも重要。ストック経済の動きを観察。��国際収支についての多くの人々の認識は、オーソドックスな経済学が示すものとはかけ離れている国際収支についての認識の誤りが、過度の内需刺激がバブルを助長するという大きなコストをもたらした。��バブルの後には必ず「バランスシート調整問題」など金融面での大きな弊害が現れる日本のバブルの後には、長い不良債権との戦いが続いた。アメリカの住宅バブルの後には、サブプライム・ローン関連債券価格の暴落、そしてリーマン・ショックがあった。バブルは「未然防止」こそが何よりも重要。�て�本では、経済がうまくいかなくなると、財政出動型の景気対策を繰り出すことによってこれに対応しようとする傾向が強い1990年以降繰り返されてきた景気対策の規模は400兆円を上回る。こうした財政による景気刺激は、リーマン・ショックのような非常時に限られるべきであり、その政策効果はあったとしても短期的であり、持続的な成長にはつながらない。�ズ眄�再建、構造改革にとって最大の障害は社会保障改革であることが多い小泉流の歳出削減型の財政再建が行き詰ったのは、社会保障関係費を機械的に削減しているという批判。経済の専門家はこれからの高齢社会への歩みが進む中で、社会保障の合理化（つまり歳出の削減）が必要だと考えるが、大部分の国民は「社会保障の充実」を求めている。「巨大な認識ギャップ」�ζ�本は異常に消費税への関心が高く、政権にとって鬼門となることが多い税には多くの種類がある中で、とにかく消費税については、税率を引き上げようとすると国民的な大騒ぎになる。一方で、社会保険料の引き上げについてはほとんど無視されているので、消費税を嫌がっているうちに、社会保険料負担が急上昇するという笑えないことになっている。�Ю�治改革、行政改革など、改革を進める時は国民的関心が大いに高まるが、ひとたび実現してしまうとたちまち関心は薄れ、事後的な評価はほとんど行われない小選挙区制の導入、省庁の再編、郵政民営化など、その改革が立案されている時には、国民的な議論が展開されるが、それが実現してしまうと、あっという間に誰も議論しなくなり、場合によっては郵政民営化のように、いつの間にか元に戻って行ってしまうこともある。
2019年08月14日
平成経済から何を学ぶか
著者は平成の経済を、「政策混迷が招いた熱狂・転落・苦悶」と総括している。平成は日本にとって史上最大規模のバブル経済の発生とその崩壊、世界最先端の高齢化、そして世界共通の変化としてIT革命とグローバリゼーションが進行した。日本は政策的にこれらの変化にうまく対応できなかったため、「失われた20年」となってしまった。
終章「平成経済から何を学ぶか」は以下の通り。
�〃从僂砲六�として前例のない大きな課題が現れるが、我々の社会が全体としてその課題を認識するには非常に長いタイムラグがある。このため、必要な政策の発動は遅れ、場合によってはかえって問題を大きくすることがある。��経済を観察し、課題解決のための政策的対応を考えていくに際しては、やはり経済学的な考え方をできるだけ適用し、その時点で標準的な議論を踏まえる必要がある。経済学的な論拠があいまいなままに政策的な対応が行われて行くと、結局のところ大きな社会的コストが発生してしまう。��時代の要請に合った経済政策を遂行していくためには、政策を立案していく分析力とそれを政治的に実行していく力が車の両輪。
2019年08月13日
格差論議
97年のアジア通貨危機、98年の日本の金融危機、99年のITバブルとその崩壊を経て、2001年4月に「自民党をぶっ壊す」と登場した小泉政権は期待を持たせるものであった。
小泉内閣「骨太方針」で掲げた、�〇埔譴竜’十纏襦閉簑擇垢觧唆函�商品に変わり新しい成長産業・商品が不断に登場する『創造的破壊』が経済成長の源泉）、��公共投資の抑制（「ムダがある」「高コスト」「止める仕組みがない」国主導で「全国画一的な施設」を生む仕組み、受益者による負担が極めて少ない）、��「国土の均衡ある発展を目指す」という従来型の発想転換（「個性ある地域の発展」「知恵と工夫の競争による活性化」）には全面的に賛成であった。
政策転換による効果が出るまでには10年掛かる。イギリスなど80年代に実施されたサッチャー改革のおかげで90年以降我が世の春を謳歌したが、それも彼女が10年以上政権を維持できたからだ。小泉改革でせっかく良い方向に歩み出したのに、5年で終わったため、改革の多くが旧勢力による揺りもどしにあった。
政策転換による効果が出るまでには10年掛かる。イギリスなど80年代に実施されたサッチャー改革のおかげで90年以降我が世の春を謳歌したが、それも彼女が10年以上政権を維持できたからだ。小泉改革でせっかく良い方向に歩み出したのに、5年で終わったため、改革の多くが旧勢力による揺りもどしにあった。
その批判の際たるものが「市場主義により格差が広がった」というもので、その急先鋒に立ったのが公明党の神崎代表(当時）。統計上は（高齢化による影響を除けば）格差拡大は確認できず、そうした指摘にも拘らず、それでも「現場の声」「実感」として主張を曲げなかった。政治議論がFACT BASEになっていない
実際のところは、デフレの進行で、1998年から2004年まで実に7年連続で「名目賃金」が減少しており（物価下落で購買力には変わりなし）、一般国民が「全般的な所得減少」を「格差の拡大による自分たちだけの所得減少」と誤認した可能性が高いと著者は分析している。
81：金融システム安定化策公的資金の投入額は、1998年3月に成立した金融安定化2法で総額30兆円、金融国会後はこれが60兆円に倍増された。この公的資金は、預金者保護のために17兆円、金融機関の破綻処理のために18兆円、破綻前処理のために25兆円という三区分となっていた。これに基づいて、99年3月には大手銀行15行に対して約7.5兆円の公的資金が投入されている。122：小泉内閣「骨太方針」�〇埔譴竜’十纏�停滞する産業・商品に変わり新しい成長産業・商品が不断に登場する『創造的破壊』が経済成長の源泉。��公共投資の抑制「ムダがある」「高コスト」「止める仕組みがない」国主導で「全国画一的な施設」を生む仕組み、受益者による負担が極めて少ない。��「国土の均衡ある発展を目指す」という従来型の発想転換「個性ある地域の発展」「知恵と工夫の競争による活性化」172：格差論議の高まり2006年1月月例経済報告（内閣府）�ヽ丙垢粒搬腓蓮�統計データからは確認できない。�⊇蠧棲丙垢賄�計上穏やかな拡大を示しているが、これは主に高齢化と世帯規模の縮小の影響。��生活の程度を中流と考える割合は、過去10年間、ほとんど変化していない。�ぅ法璽函▲侫蝓璽拭偲�若年層の就業・生活形態の変化には、将来の格差拡大要因を内包していることに注意が必要。196：民主党のマニフェスト社会保障費の自然増に対する視点が全く欠けていた。民主党はその手当を全く考えていなかった。
2019年08月12日
純情多感な青年の代名詞
教科書に載るほど有名だが、読んだことのない本シリーズ。図書館で借りたこの文庫本自体1951年発行で、「平成22年 117刷」となっているロングセラー。ゲーテの書いた初稿は1774年で、1784年に第二稿が成ったという。
内容はと言えば、主人公の青年（法律家で領事館に勤務）が友人の許婚に恋をし、ついには、その愛が受け入れられないことを苦にして自殺するという話。本書の出版に、「読書界は深刻な衝撃を受け、賛否両論の渦が巻き起こった」という（解説）。
18世紀の小説は、恋愛小説にせよ、旅行小説にせよ、読者に娯楽を提供し教訓を得ることを目的としていた。すなわち18世紀は芸術や文学の本質的機能を、人を「たのしませることと有益であること」に見ていたのに対して、『ウェルテル』は根源的に人間の生き方そのものを問題にしようとした。
漱石の『心』では、主人公の「先生」は、下宿の娘に恋をし、友人も同様に恋心を抱いていることを知って、先回りして告白、結婚する。先に自殺するのは友人の方で、「先生」はそのことを負い目に感じながら生きながらえるものの、やはり、最後は良心の呵責に耐えかねて自殺する。漱石が『ウェルテル』を意識して書いたのかどうかは知らない。
主人公ウェルテルが死ぬ原因となった「ロッテ」のモデルは、1772年にゲーテが帝国大審院で法律事務を実習すべく滞在した田舎町ヴェッツラルで出会ったシャルロッテ・ブフ。ロッテにはすでに許婚がいて、ゲーテは「激しい思慕の情を抑えて」、逃げるように町を去っている。
「ロッテ」との縁があったようで、その後も別の「ロッテ」と不倫をしている。ワイマル公国に請われて移り住み、若くして同国の大臣となったゲーテ(30歳）は、3年後の1782年には貴族に列せられ内務長官になっている。当時知り合ったのがシャルロッテ・フォン・シュタイン夫人で、26歳のゲーテが初めて会った時はすでに33歳で7人の子を産んだいたという。ゲーテの情熱は12年間にわたって燃え続けたというが、後のイタリア旅行（1786-88)を境に主客転倒して、のちには夫人のほうがゲーテを求めた。
歳を取っても恋多き人だったようで、1816年に妻のクリスティアーネが死んだ後も、1823年に73歳のゲーテは17歳の少女ウルリーケ・レーヴィエツォにプロポーズしている(断られた！）。当時としては既に異例の長命だ。生涯その恋心と創作意欲は衰えることなく、代表作『ファウスト』を完成させたのは1831年で、1832年に82歳でなくなる前年の話だ。
2019年08月11日
果てしなき野望
昔、ベゾスは「NYの投資ファンドにいた」というのをどこかで読み、元金融マンがAmazonを創業したのだと思っていた。
投資ファンドにいたのは確かなのだが、金融マンではなかった。「プリンストン大学でコンピューター科学を専攻し、NYの金融機関で優秀なコンピューター・ネットワークのエンジニアとして活躍していたベゾスは1990年に、D.E.ショーと言うヘッジファンドにネットワーク開発責任者としてスカウトされる。現在、D.E.ショーは世界有数の巨大ヘッジファンドだが、当時はまだ創立2年目で、コンピューターによる裁定取引という分野のパイオニアだった」ということ。ベゾスはSEだったのだ。
1980年代は「金融工学」という言葉が出てきた時で、金融の世界に技術者が入っていった。誰もやっていなかったところにITを駆使した新たな取引を持ち込めば独り勝ちができた時代で、ここから現在に続くいくつかの巨大ファンドができた。ベゾスはここでインターネットのことを知る。
204：子ども時代の夢は宇宙飛行士8歳の時、ベゾスが学力判定試験で優秀な成績を出したので、家から車で30分もかかるが、小学校はバンガードプログラムがあるリバーオークスを選んだ。229：ひどい物流システムを再構築せよシアトルに来たウィルケは、すぐ、小売物流の専門家ではなく、科学や工学の専門家を物流部門に集め始めた。頭がいい人物10人のリストを作り、その全員を集めたのだ。そのひとりが、バイエル社にいたサプライチェーンに詳しいエンジニア、ラッセル・オルゴーである。プリンストン大学時代にウィルケの友人だった人物で、ウィルケは彼の工学的センスを随分参考にさせてもらったという。オルゴーを筆頭とするサプライチェーンアルゴリズムのチームはアマゾンの秘密兵器として、ある商品をアマゾン物流ネットワークのどこに、いつ在庫するのがいいのか、あるいは、同時に注文された複数商品をどう組み合わせて箱に入れれば最も効率がいいのかといった問題にも数学的な回答が得られるアルゴリズムを開発していく。323：音楽事業でアップルに敗北スティーブ・ジョブズは、音楽を呼吸するように生きてきた人物だ。ボブ・ディランとビートルズが大好きだし、歌手のジョーン・バエズと付き合っていた時期もある。アップルの戦略はジョブズの個人的興味が根底にある。アマゾンも同じで、ベゾスの興味関心が戦略に大きな影響を与えているはずだ。ベゾスは単なる本好きというレベルではないーーすべてを丹念に吸収するのだ。396：ご都合主義大不況後、市場支配力が高まって報道も増えたことから、アマゾンは世の中でたびたび注目を集めるようになったが、その視線は好意的なものばかりではなかった。2010年から2011年にかけては、州の売上税を逃れている、大規模買収2件であんまりなやり方をした、サプライヤーと競合する形で出版事業に参入した、また、大手メーカーの価格戦略を組織的に無視しているように思われるなど、批判が増えていった。アマゾンはみずからを弱者だと思い続けてきたが、ふと気づくと、自分に都合よくルールをねじ曲げる傲慢な巨人だと周囲から思われるようになっていたのだ。482：20年前のビジョンからぶれないアマゾンは最古参のインターネット企業のひとつだ。ベゾスが"Everything store"というインスピレーションを得たのは、1994年、まだヤフーさえ創立されていないころだった。グーグルの創立は4年後となる。このビジョンが生まれたきっかけになるデビッド・ショーとの出会いがベゾスの生涯の決定的な転機だった。プリンストン大学でコンピューター科学を専攻し、NYの金融機関で優秀なコンピューター・ネットワークのエンジニアとして活躍していたベゾスは1990年に、D.E.ショーと言うヘッジファンドにネットワーク開発責任者としてスカウトされる。現在、D.E.ショーは世界有数の巨大ヘッジファンドだが、当時はまだ創立2年目で、コンピューターによる裁定取引という分野のパイオニアだった。(中略）ベゾスにインターネットという新しいコンピューター通信インフラが急激に成長中だと教えたのがこのショーだった。ショートベゾスはインターネットを利用すれば理論的に究極の中間業者が成立するのではないかと気づき、"Everything Store"と名付けたという。しかし、いきなり"Everything Store"を始めることは不可能だ。最大の難関は、通常の商品には品質のばらつきがあるという点だ。金融取引の場合は、１ドルは世界中で１ドルであることが自明だが、一般の商品ではそうではない。ウェブを利用して消費者を対象にして販売でき、一種類の商品がすべて同一価値であるようなジャンルはなにか？と考えて、ベゾスは書籍のオンライン通販と言うアイデアにたどりつき、シアトルで起業する。
2019年08月10日
アマゾンを創った無敵の奇才経営者
現在を代表するもう一人の個性的経営者。
数年前に知り合いがAmazonに就職し、会社の話を時々聞く機会があって、その特異な企業文化に興味を持った。その企業文化を創ったのは、当然、創業経営者のジェフ・ベゾスである。
Bezosというラテン系の名前だが、ベゾスは養子で、母の再婚相手の苗字なのだそうだ。母親が高校生の時妊娠して出産した子供で、相手は同じ高校の18歳の少年。結婚するが、父親は大学に進学するもすぐに退学、心配した義理の父（軍の高官）が州警察の仕事を世話するも、これも勤まらず、結局離婚することになる。
数年前に知り合いがAmazonに就職し、会社の話を時々聞く機会があって、その特異な企業文化に興味を持った。その企業文化を創ったのは、当然、創業経営者のジェフ・ベゾスである。
Bezosというラテン系の名前だが、ベゾスは養子で、母の再婚相手の苗字なのだそうだ。母親が高校生の時妊娠して出産した子供で、相手は同じ高校の18歳の少年。結婚するが、父親は大学に進学するもすぐに退学、心配した義理の父（軍の高官）が州警察の仕事を世話するも、これも勤まらず、結局離婚することになる。
8：優秀な技術系創業者の物語ジョブズと同じようにベゾスも現実歪曲フィールドをまとっており、思わず納得させられてしまうが、冷静に考えると得心のいかないプロパガンダを展開する。13：けたたましい声で笑う男アマゾンの文化は独特だ。会議で、PPTやスライドによるプレゼンテーションは行われない。そのかわり、6pの意見書で要点を説明する。クリティカルシンキングを育むには散文形式のほうがいいとベゾスが信じているからだ。17：ジェフィズム〜いつも同じような言葉を繰り返す「我々は正真正銘、顧客第一主義ですし、正真正銘、長期的です。また、正真正銘、創意工夫を重視しています。ほとんどの会社は違います。顧客ではなく、ライバル企業のことばかり気にします。2年から3年でリターンが得られることばかりやりたがりますし、2~3年でうまくいかなければ他のことを始めます。新しいことを発明するより、誰かの発明をまねするほうを好みます。そのほうが安全だからです。これがアマゾンが他社と違う理由であり、アマゾンの実態です。この3要素をすべて備えている企業はほとんどないのです」117：ペイジとブリンに魅せられグーグルに出資ジャングリー買収は、なにをどう見ても失敗だった。1999年末までに創業メンバー全員と社員の大半がアマゾンを退職し、SFベイエリアへ戻ってしまった。アマゾンに転身したラム・シュリラム（ジャングリー元社員）は、スタンフォード博士課程の学生二人にいろいろと助言を与えていた。(中略）そして、1998年2月、シュリラムは、小さな有望株のグーグルを支える投資家4人のひとりとなる。出資額は、ひとり25万ドルだった。その6か月後の1998年夏、友達とベイエリアへ泊りがけで遊びに来たベゾスとマッケンジーは、グーグルのふたりに会わせてほしいとシュリラムに頼んだ。119：ベゾスが求める人材「アスリートな」人材、つまり、どのような課題を与えられてもさっと動いて大きなことをやり遂げられる人物。124：アマゾンの中核価値顧客最優先、倹約、行動重視、オーナーシップ、高い採用基準、イノベーション。125：高い採用基準←MSを参考採用プロセスがユニークなことで知られるMSでは、最終段階の「必要時に」面接する責任者をひとり置き、採用・不採用の最終決断を任せている。経験豊富な幹部社員を面接責任者とすることにより採用基準のぶれを防いでいる。ベゾスはアマゾン版の採用プロセスを作り、"bar raiser"と名付けた。126：ワークライフバランスなどうそっぱち成長スピードが上がるにつれ、もっと働けとベゾスは発破をかけ、週末に会議を開いたり土曜朝に幹部対象の読書会を始めたりしたし、賢明かつ猛烈に長時間働くという言葉を口癖のように繰り返した。195：ロケット少年テクノロジー界の偶像的存在として取り上げられることの多いスティーブ・ジョブズとラリー・エリソンはふたりとも養子であり、その体験が成功を求める強い意志を生んだと考える人もいる。ベゾスについてまちがいなく言えるのは、小さなころから両親も教師も、この子は違うと感じていたということだ。ずばぬけた知能を持つという意味でも、目標に向かって突進するという意味でも普通ではなかったのだ。196：実の父はサーカス団員ジョーゲンセンが18歳になり、4年生高校の最終学年を終えようとしていたころ、ジャッキーが妊娠する。ジャッキーは16歳の2年生だったが二人は愛し合っており、結婚を決意する。その後、1964年1月12日に子供が生まれ、ジェフリー・プレストン・ジョーゲンセンと名付けられた。
2019年08月09日
創業者のパラドックス
「創業者のパラドックス」あるいは、二重人格性については私もこれまで何度か触れてきた。成功する経営者に単純な人は少ない。「大胆にして細心」「インサイダーでありながらアウトサイダー」など、相矛盾した性格を持つ人が多い。これが脈絡なく現れるのであれば本当の二重人格者だが、これを状況に応じて使い分けられるのが偉大な経営者である。
それにしても、「PayPal創業者6人のうち、4人は高校時代に爆弾を作っていた」とうのはスゴイ、というかきわどい。6人の内4人は移民で、うち3人は共産圏の出身だ。共産圏で活かされることなく埋もれていた才能が、アメリカに移民して爆発的に開花した。月の残業は（もともとアメリカに工場労働者以外「残業」という概念はないが）200時間を超えていたという。そうでなければ、やはり、新しい事業は立ち上がらない。
��人間と機械193：補完的ビジネス2000年の半ば、ドットコム・バブルの崩壊を生き延びた僕たちは急速に成長していたものの、ある大きな問題に悩まされていた。クレジットカード詐欺によって毎月1000万ドルを超える被害を受けていたのだ。僕たちは毎分数百、数千という取引を処理していたので、すべての取引を精査するのは不可能だった。人間はそこまでの速度で取引を管理できない。194：変わり身の早い詐欺師の手口に僕たちの自動検出アルゴリズムは騙されてしまう一方で、人間の目はそう簡単にごまかせないことがわかった。そこでマックスとエンジニアたちは、ハイブリッドな取り組みができるようソフトウェアを書き換えた。コンピュータが疑わしい取引を特定して見やすいインターフェースにフラグを立て、オペレータがそれに最終判断を下す。自分は難攻不落だと豪語していたロシア人詐欺師にちなんで「イゴー」と名付けたこのハイブリッドシステムのおかげで、僕たちは2002年のQ1に初めての黒字を計上した。FBIは、金融犯罪の捜査にイゴーを使わせれもらえないかと依頼してきた。195：2004年パランティアPayPalのセキュリティシステムと同じ、人間とコンピュータのハイブリッド手法を使って、テロリストのネットワークと金融詐欺を探し出すビジネス。バラバラの情報ソースから特定のテーマを抽出するソフトウェア会社。2014年の売上は10億ドル。オサマ・ビン・ラディン発見を助けた「キラーアプリ」。��創業者のパラドックス227：PayPal創業者6人のうち、4人は高校時代に爆弾を作っていた。5人はちょうど23歳か、それより若かった。僕等のうち4人はアメリカ生まれではない。3人は共産圏からの脱出組だ。ユーパンは中国、ルーク・ノゼックはポーランド。マックス・レヴチンはソ連時代のウクライナ出身だ。245：アップルの価値は、ある人物のひとつのビジョンから生まれていた。このことは、新たなテクノロジーを生み出す会社が、いわゆる「現代的」な組織ではなく封建君主制に近いことを暗に示している。独創的な創業者は、有無を言わせず決断を下し、忠誠心を呼び起こし、数十年先まで計画できる。逆に、訓練されたプロフェッショナルが運営する個性のない官僚組織は、ひとりの寿命を超えて存続するけれど、目先のことしか見ていない。
2019年08月08日
ゼロから何を生み出せるか
今となっては、タブレットPCを最初に世に出したのはMicrosoftであることを誰も覚えていない。それは鳴かず飛ばずで終わり、さらに3年後の2005年に今度は携帯電話で絶好調のNokiaがネットに標準でつながるタブレットを発売した。これも売れなかった。
AppleがiPadを発売したは2010年。既に2007年に発売されたiPhoneが大ヒットしており、同系列の統一されたデザインと操作性を持つiPadはすぐさま大ヒットとなった。
ITの世界ではスピードが重視されるが、市場に一番乗りしたものが勝つとは限らない。研究によれば、むしろ、2番手3番手が勝者になることが多い。先行した会社が何で成功し、何で失敗しているかを分析して、より良い製品やサービスを出すことができるからだ。
SNSではFacebookがMy Spaceを駆逐し、フリマアプリではメルカリがフリル（現ラクマ）を抜き去った。ティールは、�．廛蹈廛薀ぅ┘織蝓Ε謄�ノロジー（包括的デザインを含む）、�▲優奪肇錙璽�効果
AppleがiPadを発売したは2010年。既に2007年に発売されたiPhoneが大ヒットしており、同系列の統一されたデザインと操作性を持つiPadはすぐさま大ヒットとなった。
ITの世界ではスピードが重視されるが、市場に一番乗りしたものが勝つとは限らない。研究によれば、むしろ、2番手3番手が勝者になることが多い。先行した会社が何で成功し、何で失敗しているかを分析して、より良い製品やサービスを出すことができるからだ。
SNSではFacebookがMy Spaceを駆逐し、フリマアプリではメルカリがフリル（現ラクマ）を抜き去った。ティールは、�．廛蹈廛薀ぅ┘織蝓Ε謄�ノロジー（包括的デザインを含む）、�▲優奪肇錙璽�効果
�５�模の経済、�ぅ屮薀鵐妊�ングが「独占企業」となるために大事だという。
75：独占企業の特徴�．廛蹈廛薀ぅ┘織蝓Ε謄�ノロジービジネスのいちばん根本的な優位性。それがあれば、自社の商品やサービスを模倣されることはほとんどない。二番手よりも少なくとも10倍は優れていなければならない。それ以下のインパクトではそこそこの改善としか見なされず、特にすでに混みあった市場での売込みは難しい。包括的な優れたデザインによっても、10倍の改善が可能になる。2010年以前、タブレットはまったく実用的でなく、市場も存在しなかった。MSは2002年にタブレットPCを発売し、Nokiaは2005年にインターネットタブレットを発売したものの、ほとんど使い物にならなかった。その後、AppleがiPadを世に出した。�▲優奪肇錙璽�効果�５�模の経済�ぅ屮薀鵐妊�ング80：Appleハードウェアとソフトウェアの両方で、一連の複雑なプロプライエタリ・テクノロジーを有している。大量生産によって、材料価格も支配できる。その上、コンテンツの生態系を通して強力なネットワーク効果を享受できる。数億人のアップルユーザーを狙って数万の開発者がアプリを開発し、豊富なアプリがあるのでユーザーはアップルのプラットフォームを離れない。アップルの一連の独占的優位性は偉大なブランドの陰に隠れているけれど、アップル・ブランドをによる独占を強化しているのは、こうした本質。
2019年08月07日
ペイパルマフィアのドン
昨年に続いて、再読。
『世界を動かすイノベーターの条件』によれば、イノベーターは例外なく「天才」と評されている。「スティーブ・ジョブズの小4の時の学力は高校生相当で、IQは上位0.1%に入る160だったという。トマス・エジソンの時代にIQテストはなかったが、種々の記録から推定されるIQは160-190」だという。
ティールも例外ではなく、中学校のときから抜群の成績で、スタンフォード大学には飛び級で2年生に入る。同校のロースクールでもトップクラスの成績で、卒業後、連邦控訴裁判所の法務事務官を1年務めた後、最高裁の法務事務官の面接を受ける。毎年何万人というロースクール卒業生の中で最高裁の法務事務官になれるのは数十人という狭き門だ。うまくいったと思っていたのに、落ちる。この時は死ぬほど落ち込んだという。
10年後、PayPalを売却したティールはばったりとロースクール時代の友達に会う。開口一番言われたのが、「面接に落ちてよかったな」。人間万事塞翁が馬。
序文：ペイパルマフィアのドン投資家としてのティールの最も有名な顔は、Facebookの最初の外部投資家ということである。ティールはFBに50万ドルを融資し、のちに7%の株式に転換した（CBだったということ？）。これが最終的には、10億ドルになった。(中略)ティールはビジネス向けSNSのLinkedInにも投資しており、このIPOも大成功している。他にもめぼしいところだけでも、Yammer、Yelp、Quoraなどに投資しており、Elon MuskのSpaceXにも出資している。PayPal出身者が次々と会社を立ち上げ、あちこちの分野で成功して、その人的、経済的ネットワークが大きな影響力を持っていることから、彼らを俗にPayPal Mafiaと呼ぶが、ティールはこの「ペイパルマフィアのドン」だと、彼らを特集したFortune誌で評されている。�）佑燭舛鰐ね茲鯀呂襪海箸�できるか採用面接で必ず聞く質問「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう？」28：スタートアップ思考新しいテクノロジーを生み出すのは、だいたいベンチャー企業、つまりスタートアップだ。政治における建国の父から、科学における王立協会、ビジネスにおけるフェアチャイルド・セミコンダクターの「8人の反逆者」と呼ばれた創業メンバーまで、より良い世界を作ってきたのは、使命感で結ばれた一握りの人たちだった。その理由はごく単純だ。大組織の中で新しいものは開発しづらく、独りではさらに難しいからだ。官僚的な組織は動きが遅いし、既得権者はリスクを避けたがる。機能不全が極まった組織では、実際に仕事を片付けるよりも鋭意努力中だとアピールする方が昇進しやすい。その対極にいる孤独な天才は、芸術や文学の名作を生むことはできても、ひとつの産業を丸ごと創造することはできない。スタートアップではチームで働くことが原則で、かつ実際に仕事をやり遂げるにはそれを少人数にとどめる必要がある。�ぅぅ妊�ロギーとしての競争59：僕は決まりきった道を歩んだ。8年生のアルバムに僕が飛び級してスタンフォードに入るだろうと書いた同級生の予想は的中し、僕は4年後にスタンフォードに2年生として入学した。大学でも良い成績を取り、スタンフォードロースクールに入学し、そこでいわゆる「成功」を目指してさらに激しく競い合った。ロースクールの学生の世界で何を一等賞と見なすかは定かでないけれど、何万人という卒業生の中で最高裁の法務事務官になれるのは数十人だ。僕は連邦控訴裁判所の法務事務官を1年務めた後、ケネディ判事とスカリア判事の事務官の面接に呼ばれた。どちらの面接もうまくいった。最後の競争に勝つまであと少しだった。もし最高裁の法務事務官になれたら、人生安泰だと思っていた。でも、僕はなれなかった。その時は死ぬほど落ち込んだ。67：ライバルを倒せないなら、合併したほうがいい。僕は1998年にマックス・レヴチンとコンフィニティを創業した。僕たちが1999年後半にPayPalというサービスを始めると、イーロン・マスクのX.comがすぐに後を追いかけてきた。彼らのオフィスも、パロアルトのUniversity Avene沿いの僕らから4ブロックしか離れてない場所にあり、彼らのプロダクトは僕たちを完璧にコピーしたものだった。その年末には、僕たちは臨戦態勢に入っていた。コンフィニティ社員の多くは週100時間勤務で臨んだ。(中略）だけど、2000年2月になると、イーロンも僕もお互いのことより急激に膨れ上がったハイテク・バブルの方が恐ろしくなってきた。市場が崩壊すれば、争いに決着をつける前にどちらも潰れてしまう。そこで、3月のはじめに僕たちはお互いのオフィスのちょうど中間地点にあるカフェで落ち合い、50:50の合併を交渉した。合併後もライバル心を抑えるのは簡単ではなかったけれど、それはどちらかといえばありがたい悩みだった。僕たちはひとつのチームとしてネット・バブル崩壊を乗り切り、その後ビジネスを成功させた。
2019年08月06日
人事・組織専門経営のレジェンド
私が香川で育った頃、ジャスコがあった。それが今のイオンになったのは知っていたが、その「中興の祖」である女性経営者のことは知らなかった。
それが長年人事担当取締役を務めた小嶋千鶴子。イオンの社長として有名になった岡田卓也の実姉であり、岡田屋呉服店という家業をジャスコという企業へ、さらにイオングループへと発展させた陰の功労者と言われている。岡田卓也が成人に達するまで株式会社岡田屋呉服店の社長を務めたのは千鶴子だ。
そのうち、朝ドラにしてほしい。
16：岡田屋は祖父・惣右衛門、父・惣一郎、母・田鶴、姉・嘉津子という4人の家長的存在の大黒柱を立て続けに失った。残されたのは妹二人と14歳の弟・卓也、そして千鶴子の4人。そのとき成人者は23歳の千鶴子のみだったため、千鶴子が株式会社岡田屋呉服店の代表取締役とならざるを得なかった。52：1977年60歳にしてジャスコの役員を退任→常勤監査役を4年いつの世にも若者の過ちよりももっと害のあるのは「老人の跋扈である」と小嶋は考えていた。64：自己の成長・成功のために何をなすべきか「成功する人は必ず自分のビジョンをもっている。そしてそれに向けて自分の中にある能力を上手に引き出している。自分のもつ潜在能力を100%活用できれば、だれでも自分の思うとおりになれるということである」115：不正には厳「不正に対する処断について、われわれはどちらかといえば、人間尊重の精神に照らして結論を出しがちだが、それはどうも誤りのようである。(中略）人事担当者は、ある意味では、掃除屋でなければならない」132：良質なDNAを創る「会社の風土が未来志向であれば、その風土はさらに発展力を生み出し、良き循環となる。期待や希望があれば、仮に多少の不満があったとしても、それがことさら大きな問題になることはない。しかし、一旦この循環に狂いが生じると、時間経過と共に業績が悪化し、企業は老化の道をたどる。必然的に社内は不平不満が充満してくる。したがって人事政策の基本は、会社の中に良き風土を創造し、それを維持浸透させることである」141：上がれば下がる、下がれば上がる「欲しいときに採ったらあかん」日頃から良い人物は採用して、教育し、事あるときに備えておく。欲しいからということで、どうしても基準が甘くなるし、肩書に惑わされ本当の実力を見極めることができなくなる。194：モノの見方・考え方の原則�…拘�的に考える、�∈�源的に考える、�Ｂ震姪�に考える。205：選択で自己が決まる「君たちが傍観者でいる限り成長も成功もないことを知っておくべきだ」
2019年08月05日
「０から１」を生み出す15の方法
確かにフェリカ惜しかった。その時、良い経営者にソニーが恵まれていれば、今頃「復活」なんて言われてないんだろうな（低迷期がなかったろうから）。
＊AIにできないことをやれ国際バカロレアでは、発想力や想像力、構想力の開発が教育の核になっている。19：国民国家の終焉21世紀の世界は、これまで200年ほど続いた「国民国家」から「地域国家」に変貌。富を創出する源泉が「個人」に。73：ソニーのフェリカの失敗ソニーが大きな視点を持って展開していたならば、Felicaは共通化されて世界標準を取っていたはずだ。もちろん最近になって話題となっているフィンテックの基幹プラットフォームを築くこともできたはずだ。(中略)Edyはもともと、将来これがユーロ、ドル、円に並ぶような世界通貨となることを夢見て、それら３つの頭文字を取って命名されている。そのテクノロジーを単なる部品として安売りし、しまにはEdyの事業そのものを楽天に売却するなど、ソニーのトップの慧眼のなさが悔やまれる。198：「儲かる農業」を作るための「発想の飛躍」危機に陥った農家に当時の自民党政権が何をしたかと言えば、お金をバラまくことだけだった。ウルグアイ・ラウンド対策として20年間で42兆円もかけて農業基盤整備事業を行ったのだ。ではそれで、農業の生産性や国際競争力は高まったのか？
2019年08月04日
戦争前夜
ついで、蒋介石。よく知られたように、蒋介石も日本へ留学した。後に蒋介石の側近として、「生きた殺人兵器」とも言われた陳其美とは1906年に日本で出会い、陳其美が孫文が進める武力革命に誘った。
いったん帰国して、翌1907年に再び来日した蒋介石は東京振武学校に入学する。ここで2年間軍事教育を学んだあと、1910年に陸軍第13師団（高田）で士官候補生となる。2011年10月10日中国で辛亥革命が起こり、矢も楯もたまらず、休暇届だけで帰国。
短い日本での軍隊生活だったが、後に中国で編成された国民党の軍隊は日本陸軍をモデルにしている。
�７蛙佑砲覆蠅燭�68：1907年3月、蒋介石を含む一行62名の軍事留学生は大連港で乗船し、長崎経由で神戸へ上陸した後、鉄道で東京へ向かった。船中で初めて言葉を交わした張群とは、すぐに気が合い親友になった。張群は四川省出身で、「字」は岳軍。後に蒋介石の側近となり、国共内戦時に中国国民党の行政院長を務める人物である。164：蒋介石はその後もつづく権力争いのなかで、自分直属の暗殺グループを組織して、敵味方の区別なく、反対する者はだれであろうと次々と暗殺していくのである。その意味で、陶成章の暗殺事件は蒋介石の生き方を方向づけた決定的な出来事であったというべきだろう。177：第二革命上海へ戻った孫文は憤激し、国民党は袁世凱打倒のために立ち上がった。だが、全国から呼応する声は少なかった。袁世凱は日本などから供与された「善後借款」の資金で、外国から大量の武器や弾薬を買い入れ、革命勢力を徹底的に叩きのめした。186：生きた殺人兵器蒋介石自身は陳其美との深い親交によって、「表」の軍事力以外に闇社会である「裏」の暴力という、ふたつの強力な武器を手に入れて、国家の最高権力者へと駆け上っていくのである。
2019年08月03日
魯迅、蒋介石の愛した日本
「筆者の父は、革命運動に参加し、日本へ亡命して早稲田大学に留学。帰国後は国民政府外交部に任官した後、日本に駐在。母方の祖父は日本陸軍中将で、インパール作戦の撤退を指揮した」という。そんな作家は東京生まれで、本籍は中国広東省。
「百年に及ぶ日本と中国の相克の歴史が自身の血の中に流れている氏にしか書けない物語」という宣伝に惹かれて読んでみた。話は、魯迅と蒋介石の二人を軸に、時系列に従って、交互に展開していく。ここでは、二人に分けてみる。
まず、魯迅。魯迅の生まれた周一族は名門で、代々「士大夫」(高級官僚）の家柄だった。祖父は12代目にあたり、科挙試験で全国最高位の「朝考」に一位で合格したというからスゴイ。しかし、父親の代に没落してしまう。
成績優秀だった魯迅は日本留学生に選ばれる。当時の日本では、中国の近代化を助けようという機運が高く、仙台医学専門学校（現・東北大学医学部）では無試験入学の上、入学金も学費も免除という破格の待遇だったという。
ここで出会ったのが解剖学の藤野先生で、藤野先生は魯迅が取ったノートを預かっては添削。懇切丁寧に指導したという。この話は、戦後中国の教科書に載り、中国人なら知らない人はいないほどだという（今でも載っているかどうかは不明）。東北大学資料館には、魯迅記念展示室がある。
�ヽ�川龍之介の見た中国13：『鼻』の中国語訳者は魯迅「現代の日本に行われる西洋文芸の翻訳書に比べてもあまり遜色はないのに違いない」�∀タ廚瞭�本留学43：中国人に最も欠けているものは「誠」と「愛」である。�ぢ精房�が描く仙台の魯迅69：迷信でなく、近代医学を！周一族は名門で、代々「士大夫」(高級官僚）の家柄だった。祖父は12代目にあたり、科挙試験で全国最高位の「朝考」に一位で合格し、最高学術機関の翰林院に3年間務めた後に、江西省金渓県の知県（県長）になった。しかし多忙な地方職にうんざりして、「正式中書」という文章の校閲をする仕事を金で買って単身北京へ移り住んだ。73：仙台医学専門学校薬医学科に22歳で入学仙台で受け入れる清国人初の留学生である魯迅は、到着早々から注目され、『河北新報』（1904/7/15)に「清国留学生と医学校」というタイトルで、魯迅の入学が報じられた。学校の待遇は破格。無試験入学。入学金も学費も免除。77：藤野先生「先生の僕に対する熱心な希望と、厭きることのない指導とは、小さく言えば、中国のためであり、中国に新しい医学が表れることを希望していたのであり、大きく言えば、学術のためであり、新しい医学が中国に伝わることを希望していたのである。先生の個性は、僕の目の中でも心の中でも偉大である」藤野先生が添削してくれたノートは、魯迅にとって生涯の宝物になった。そして帰国後も大切に保管した。今日では、北京の「魯迅博物館」に常設展示されている。80:大同団結1905年の夏、孫文が来日して湖南省出身の黄興と手を握り、さらに陶成章も加えて、東京で「中国革命同盟会」(後に「中国同盟会」と改称）を結成した。ここに孫文率いる「興中会」、黄興率いる「華興会」、陶成章の「光復会」が大同団結したのである。�μ椹悗垢浪凸權�石103：中国語に翻訳された日本語図書日本の明治末期から大正期を経て、日中戦争が勃発した昭和14年（1939)までの間に、なんと2800冊以上もの日本語の図書が中国語に翻訳されている。そして訳者の多くが清国人留学生だった。�┿�尾亨の中華民国新憲法153：魯人もまた革命の実態に落胆していた革命が成功すれば、新しい国づくりが始まり、人々の明るい未来が開けるものと期待していたが、いざ成功してみれば、革命と略奪の区別すらつかず、清朝時代の役人と革命派のちがいもない。
2019年08月02日
デジタルネイティブ経営者の育て方
第三章は、サイバーエージェント（CA）の人材育成が人事統括の曽山哲人取締役によって説明される。CAはITバブルの波に乗って創業2年でマザーズに上場したものの、直後のバブル崩壊で存続の危機に立たされる。
IPOで潤沢な資金が調達出来ていたことと（225億円）、その後の黒字化（上場時は赤字）で苦境を乗り切るのだが、上場後3年間の年間退職率は30%にも達したというからどれだけ社内が混乱していたかがわかる。混乱に拍車をかけたのは、中途採用した幹部たち。上場で知名度が上がり、大手企業で働いている28-29歳くらいの人材をマネジャーとして積極採用したものの、彼らは学歴や職歴は華々しいものの、マネジメントの経験がなく、インターネットのこともわからず、部下からバカにされて定着しなかったという。
IPOで潤沢な資金が調達出来ていたことと（225億円）、その後の黒字化（上場時は赤字）で苦境を乗り切るのだが、上場後3年間の年間退職率は30%にも達したというからどれだけ社内が混乱していたかがわかる。混乱に拍車をかけたのは、中途採用した幹部たち。上場で知名度が上がり、大手企業で働いている28-29歳くらいの人材をマネジャーとして積極採用したものの、彼らは学歴や職歴は華々しいものの、マネジメントの経験がなく、インターネットのこともわからず、部下からバカにされて定着しなかったという。
藤田社長は社員の求心力を高めようと、自身の保有する時価７億円分の株式を社員に無償配布することを決定する。ひとり2株＝約50万円分だ。ところが、株式を貰った途端、退職する社員が続出さらには、すでに辞めた社員からも、自分たちはもらえないのかというメールが大量に届いたという
藤田社長の身を切った渾身の策は逆効果にしかならなかった。
結局は、「その程度の会社」だったと思い知った経営陣は、それから知恵を絞り、地道に「採用・育成・活性化」を実行していく。その結果が、上場から10年後、2010年に「働きがいのある会社」世界Best10に選出されることになる。
若くして天国と地獄を見た藤田社長（とCA）。修羅場をくぐった経営者と会社は強い。
さらには、すでに辞めた社員からも、自分たちはもらえないのかというメールが大量に届いたという 藤田社長の身を切った渾身の策は逆効果にしかならなかった。結局は、「その程度の会社」だったと思い知った経営陣は、それから知恵を絞り、地道に「採用・育成・活性化」を実行していく。その結果が、上場から10年後、2010年に「働きがいのある会社」世界Best10に選出されることになる。
若くして天国と地獄を見た藤田社長（とCA）。修羅場をくぐった経営者と会社は強い。
2015/9 売上2500億円（インターネット広告52% メディア13% ゲーム25%）営業利益320億円1998年設立 2000年マザーズ上場 売上32億円（225億円調達）2004アメブロに5年間で60億円投資→1.5年で回収2011スマホゲームに2年間で80億円投資→営業利益90億円→140億円→170億円2015動画に90億円投資 2016AbemaTVMission Statement・インターネットという成長産業から軸足はぶらさない・ただし連動する分野にはどんどん参入していく・オールウェイズFRESH!・能力の高さより一緒に働きたい人を集める・採用には全力をつくす・若手の台頭を喜ぶ組織で、年功序列は禁止・スケールデメリットは徹底排除・迷ったら素直に言う・有能な社員が長期にわたって働き続けられる環境を実現・法令順守を徹底したモラルの高い会社に・ライブドア事件を忘れるな・挑戦したものにはセカンドチャンスを・クリエイティブで勝負する・「チーム・サイバーエージェント」の意識を忘れない・世界に通用するインターネットサービスを開発し、グローバルな企業になる126：わずか15年ほどの歴史の中で、上場企業の社長を5人も輩出している企業は他にない128：ITバブル崩壊→上場後3年間の年間退職率は30%混乱に拍車をかけたのが、中途採用した幹部たち。上場で知名度が上がり、大手企業で働いている28-29歳くらいの人材をマネジャーとして積極採用。学歴や職歴は華々しいものの、マネジメントの経験がなく、インターネットのこともわからない。129：藤田社長の保有する時価７億円分の株式を社員に無償配布ひとり2株＝約50万円分。株式を貰った途端、退職する社員が続出。すでに止めた社員からも、自分たちはもらえないのかというメールが大量に届く。「その程度の会社」だった→地道に「採用・育成・活性化」→2010「働きがいのある会社」世界Best10131：人事制度に関して「思いついたことをすべて」やった・ビジョンの明文化・価値観の明文化・新規事業プランコンテスト「ジギョつく」（これまで2000件も応募あったにもかかわらず成功しているものが一つもない→未経験の人間に新規事業をやらせてもそう簡単にはうまくいかない）・社内異動公募制度「キャリチャレ」・家賃補助制度「二駅ルール」（渋谷から二駅内に住む社員には家賃補助3万円）・マッサージクーポン配布→人気なく廃止・部活動支援・懇親会支援（部署で行う飲み会に毎月ひとり5000円支給）・会社全体での表彰137：役員対抗、役員会決議案バトル「あした会議」新規事業、コストダウン案、人事制度など。毎回20-30案がその場で決議。�〃覯冥膂未�社内外に公表される��1役員につき4名の社員がチームに参加�Ｉ�署横断での人材と情報交流が活発に139：「捨てる会議」決めた時はいいと思っても、やってみたら効果がなかったものや、当初はうまくいっていたものの、現在は機能してないもの。2015年第1回捨てる会議では、30案決議。・ジギョつく・お歳暮・採用の大卒しばり150：実力主義の終身雇用●グローバル企業の強さ�ー瓦療按��⊆体麓腟��８�限移譲●日本企業の強さ�］�帯感��長期雇用�Ｆ睇�育成
2019年08月01日
21世紀の人材戦略
2年前のセミナーをまとめたもの。第2章は「グローバル化した日本企業」。これを代表して出て来るのが日産の志賀COO。ゴーン事件の後では鼻白むのは仕方ない。グローバル＝優良企業ではない。
＊21世紀の人材戦略は、20世紀とはまったく異なる
少子高齢化による国内市場の縮小、欧米や新興国企業との競争激化、破壊的イノベーションを容易に起こすことの出来るスマートフォンなどのテクノロジーの登場など、ビジネス環境が大きく変化している。21世紀に活躍できる「グローバル人材」「イノベーター」「リーダー」を効率よく採用する。
あのマッキンゼーでも、元はWASPエリートのためのアメリカ企業であったというのが興味深い。80年代初めに大前氏が初の非アメリカ人マネジャーとなり、1994年には世界代表に初の非アメリカ人であるインド人のRajat Gupta氏が就任した。
１．日本企業の「21世紀型」人材戦略15：取締役クラスは自分の時間の最低10%は採用に割り当てるマッキンゼーは本籍はアメリカの企業だが、世界80か国から社員を採用している、非常にダイバーシティに富んだ組織。しかし、私が入社したころはまだ、WASPが支配していた。マネジャーにはアメリカ人しかなれなかった。後に私が東京支店のマネジャーになったのが非アメリカ人マネジャーの最初。80年代に社内にあるアメリカ中心の偏見をすべて一掃。21：21世紀の企業を取り巻く環境と経営課題・国内市場の縮小・破壊的イノベーション＆産業突然死・先進国企業＆新興国企業経営課題・世界の市場で戦えるグローバル人材はいるか？・イノベーター（尖った人材）をどう採用するのか？・ダイバーシティをテコにする行動が取れるか？33：IITはMITをモデルにつくられた2013年度の入学試験の倍率は140倍。IITを落ちた学生がMITに行くともいわれるくらい。卒業生は即戦力となるため、IITの就職フェアには、欧米のグローバル企業の本社から採用担当者がこぞって学生の獲得にやってくる。2013年にオラクルが提示した初任給は2200万円。38：Y Combinatorスタートアップ育成プログラム��1年間を3-4期に分けて起業家を募り、そこからプレゼンテーションや面接などで20組ほどに絞り込む。�∩�ばれた起業家には、Y Combinatorの施設内に仕事部屋と、3-4か月のプログラムが提供される。�５�業家はその間に自分たちのビジネスアイデアを実際に使えるサービスにまでつくりあげ、同時に顧客も獲得する。�さ�業家は週に何度かレクチャーを受け、マーケティング方法や会社経営に関しても指導を受ける。�ズ埜紊帽気┐討い襪里�「デモ・デー」。起業家はここで完成したビジネスをVCやメディアの前で発表し、評価を得られればスタートアップに必要な資金が集まる。
