2019年05月
2019年05月31日
フランスの労働市場
第4部「マクロ経済の課題」には、フランスの労働市場の話が出て来る。
フランスの労働市場は日本に似ている点がある。
・正社員(CDI）はまず解雇されない
・流動性が低い
・労使関係満足度が低い
制度的には似ているように思うのだが、現象として違う点もある
・フランスの失業率は高いが、日本は低い
・フランスではいったん正社員を辞めると同じ条件で転職できることは稀なため、嫌でも仕事にしがみつく。日本では、雇用環境が良いので、転職は増えている。
要するに、雇用制度としては、日仏とも「労働者保護」の名目上、硬直的で流動性が低くなっている。正社員の地位は安泰で、本人の成績不振だけでは解雇されない。結果、不満を抱えながらも転職に踏み切れない。しかし、日本では少子化で企業は労働力不足に不安を抱いており、新卒採用に積極的。フランスでは低成長の下、未経験の若年労働者を正社員で雇用することに企業が不安で、若年層の失業率は24%にものぼる。フランスの出生率が先進国では最高水準の2.0(日本は1.4）で若年層の人数が比較的多いのも一因かもしれない。
フランスでは「栄光の30年」と呼ばれる高度成長期（1945-75)以来の労働制度を低成長になっても変えなかった。経済学者をはじめ、専門家は何度か改革案を示していたが、国民がそれを支持しなかったのだ。その後の雇用環境の悪化で、逆に、労働規制は強化され、ますます新規雇用が減る結果になった。
フランスの経済状況は、「その後の40年間にゆっくりだが確実に悪化した」。日本も、「失われた20年」が40年にならないよう、今手を打たないとダメだ。
237：京都議定書の失敗議定書が採択された時点では、締結国の排出量合計は世界の65%以上2012年 議定書がカバーするのは15%以下・アメリカが批准を拒否・カナダ、ロシア、日本が離脱・フリーライダー問題（中国）264：フランスの失業率2015 10.6%（ドイツの2倍以上）15-24歳 24%265：経済活動が活発で雇用機会が存在する地域では、住宅の需給が逼迫・政府の政策で土地利用が厳格に制限されているため、住宅は慢性的に不足。・借家人の権利が手厚く保護されているため、借家の供給はいっこうに増えない。・貸し手市場のため、貸し手が借り手を選別し、高い補償金を要求する。→雇用不安定な若年層は家を借りられない266：有期雇用契約（CDD)に補助金・CDDが無期雇用契約（CDI)に移行するケースは稀。・新たに創出される雇用の大半がCDD（2013年85%）269：CDIが特権化・転職したら同等の契約を結ぶのはむずかしく、しがみつく→労働市場は硬直・労使関係が敵対的（労使関係の満足度評価で129/139ヵ国）労働市場の流動性が高ければ、不満を抱く労働者は転職するのが普通だが、フランスでは転職先が容易に見つからないため、どんなに不満でも現在の仕事にとどまる。270：労働市場改革の必要性・失業は構造的問題~制度がフランスと似ている南ヨーロッパでも失業率は高い275：解雇を促すシステムフランスでは、企業は労働者に解雇手当を払うが、その解雇に伴い現実に発生する失業保険のコストは払わない。反対に、労働者の雇用を維持する企業は、社会保障費を負担し続ける。つまり雇用を維持する企業は、解雇した企業のために失業保険料を払っている。286：社会的に受け入れられるかフランスの制度は、いまだにフランス人の大半に支持されている！293：「栄光の30年」高度成長期（1945-75)には、新規雇用、それも無期契約による雇用が次々に創出され、財政も健全だったため、さして問題が起きなかった。だがその後の40年間に状況はゆっくりだが確実に悪化した。333：証券化に潜む危険住宅債券担保証券（RMBS）の発行体は、その証券がどうなろうと損害を被るわけではないので、ローンの質に注意を払うインセンティブがない。証券化が容易な住宅ローンの場合、ほぼ同条件の他のローンに比べ、債務不履行率が20%も高い。
2019年05月30日
経済の制度的枠組み
第3部は「経済の制度的枠組み」。主にフランスの例を挙げて、他国と比較するのだが、ここでも日本との類似点が目立つ。
例えば、フランスでは「大企業は比較的好業績だが、なかなか新しい企業が誕生しない」という。フランスの大企業とは、ミシュランやルノーなど。ルノーが近年好業績だったのは、傘下の日産の好業績に支えられてだったことがゴーン事件で明らかになった。しかし、やるべきことは明らかだったのに、政治的に自己改革できなかったのだから、国民の選択だと思うしかない。
日本も日経225構成銘柄で新興企業というと、ソフトバンク、ユニクロ、サイバーエージェント、DeNAなどごく一部にしかすぎない。
179：1999年12月 ジャン＝ジャック・ラフォン報告書きわめて抑制されたものであったにもかかわらず、不遜だとか無礼だとして高級官僚や大学教授や政治家から猛反発。181：計画経済を採用した国の生活水準と、市場経済を選んだ国の生活水準の著しい格差は、1989年にベルリンの壁が崩壊したとき、全世界にあきらかになった。今日でも、北朝鮮と韓国の間には1対10の格差がある。市場の失敗�＿燭蕕�の取引が、合意に参加していない第三者に悪影響を及ぼす環境汚染が代表例。�⊆莪�の中には、買い手が十分な情報を得たうえで合意したわけではないものがある�Ｇ磴ぜ蠅麓�ら選んで自分に損害を与えることがある�ぜ莪�の実行が個人の能力を超えてしまうことがある�ゴ覿箸�市場の力を悪用することがある��市場は効率の権化だとしても、そのことは平等を保障しない190：なぜ独立行政機関なのか議員は世論をつねに気にしなければならない。これは選挙のメリットであるが、しかし民主主義のアキレス腱でもある。代表民主制は、有権者よりも多くの情報を持ち合わせているプレーヤーに決定権を委ねる制度である。ところがこのプレーヤーは、世論の動向を読んで追随することになりがちだ。197：公務員の削減行政改革ではまず公務員の数を制限すべき。一つには経費節減のため。もう一つには、情報技術の進歩によって以前ほど人手がいらなくなっているから。ところがフランスでは2000-13年に15%も増えている。何らかの公共サービスを始めるとなると、フランスではまず公務員を雇うことを考える。2010年公共部門雇用数 フランス530万人 ドイツ450万人（人口はドイツが25%多い）ドイツでは1990年代からアウトソーシングを活用。201：フランスでは景気が低迷しているいま改革するのは時期が悪いといった声をよく聞く。だが改革の大半は、まさに景気後退期に行われている。スウェーデンの改革は、金融危機の真っ只中で可決された。(中略）フィンランドの改革もほぼ同時期に行われている。(中略）ドイツでシュレーダー改革が行われたのも、困難な時期だった。209：共同体の構成員の利害が十分に一致していれば、集団的な意思決定はうまくいく（ヘンリー・ハンスマン『企業の所有権』1996）VISAとMastercardは、それぞれ2008年と2006年に上場するまでは、共同出資会社だった。それでも、店舗網、ソフトウェア開発、マーケティングなどに精力的に投資していた。214：フランス企業の資金調達CAC40株価指数の構成企業は1960年から存在している企業ばかり。対照的にS&P500株価指数構成企業の半分は、2000年の時点では入ってなかった。
2019年05月29日
経済学者の仕事
第二部では、経済学者が日頃何をやっているかが説明される。その中で、フランスの大学システムと英米の大学が比べられる。フランス人で活躍している経済学者は少なくないが（理系教育が盛んで、数学に強い人が多いことが関係しているのか？）、ほぼ全員が英米で博士号を習得している。
フランスの大学は無償で、バカロレア（高卒資格）さえあれば全員進学できる。高校進学率自体が半分なかった昔ならいいかもしれないが、ほぼ全員が高校に行く現代でこれがどれほど無謀なことか。進学率の高い日米でも大学進学率は約50%だ。
結果、フランスでは、半数位が大学中退する。問題は、職業訓練できてないので、中退後の職業が限られることだ。こうして、若年層の高失業率の一因となっている。
大量に進学するので、フランスの大学はマス教育になる。学費無料なので、運営資金は税金で賄われる。フランスの財政状況は悪いので、潤沢に出せるわけではない。その結果、大学教授の報酬は英米に比べて1/5〜1/3だという。
当然、研究成果を上げている教授は英米（特にアメリカ）の有名大学に数倍の給与で引き抜かれることになる。高い授業料と多額の寄付を集めているアメリカの私立大学は財源豊かで、優秀な学生には奨学金をどんどん出す。
こうして、フランスに限らず、世界の優秀な学生はアメリカの大学院を目指すことになる。日本は、フランスのように大学無償化にこそなってないものの、もともと国立大学授業料が安い。現在、年間授業料は約50万円だが、実際の費用は200万円以上掛かっている。年間150万円、4年間で600万円を税金で負担しているのが実態だ。東大に至っては、その数倍掛けている。
奨学金制度を充実させるとともに、全体的には、実態に合わせて授業料の引き上げが必要だろう。英米の私立大学が年間400-500万円の授業料を取るのは、儲けているのではなく、良い教育をしようと思えばそれだけの費用が掛かるからだ。実態を反映しない価格設定は社会に非効率をもたらし、納税者負担を増やしている。
91：フランスで地位の高い研究職〜CNRS・INRA・大学教授英米、スイスなどと比べると報酬は1/5〜1/396：フランスの多くの知識人や芸術家は、全体主義を目の当たりにしたとき理性を失い、現実から目をそらした。ソビエトや毛沢東やキューバの全体主義に対してその傾向が強かった。121：重要なのはさまざまなアプローチが互いに刺激し合うこと弟子たちが群を作って「師匠」の学説の解釈をしているような学派ほど始末に悪いものはない。英米圏には、これを断ち切るための良い習慣がある。博士課程を終えた学生はその大学を離れなければならないのである。この習慣は、教授同士の関係を平和にする（教え子を空きポストに無理矢理押し込む必要がない）だけでなく、学生に新境地を切り拓くチャンスを与え、学部には新しい血を迎え入れることができる。自己の利益に反する行動・先送りする意志薄弱。現状維持でよしとする気持ちが強く、やりたくないことや労苦を伴うことをぐずぐずと遅らせ、将来への投資を怠り、一時の感情に任せて行動しがち。・錯覚する統計に関してまったくお粗末。・感情移入する「献血を有償にすると社会に役立つ行動をする意欲を失わせてしまうから払うべきではない」（1970リチャード・ティトマス）
2019年05月28日
社会と経済学
「2001年9月11日以降、アメリカでは20万人が殺人事件の犠牲者となっているが、イスラム系テロリストに殺されたのは50人にすぎない」
この事実から導き出される結論は、合理的なら、国内の犯罪防止に限られた予算を使うべきというもの。だが、実際は、アメリカは「イスラム系テロリストを撲滅する」という理由で、戦争を起こして同盟国にも参加させ、資金を供出させた。
その結果防げたテロがあったのかは不明で、逆に、一方的な攻撃に対する反発で、テロを増やした可能性さえある。
34：人間は信じたいものを信じ、見たいものを見る私たちは、認知バイアスに振り回されるだけでなく、自らバイアスに染まろうとする。自分の思い込みのプリズムを通してものごとを解釈し、新聞を読むときにも自分の意見と同じ意見の人を探す。37：第一印象とヒューリスティックス2001年9月11日以降、アメリカでは20万人が殺人事件の犠牲者となっているが、イスラム系テロリストに殺されたのは50人にすぎない。しかしこの事実をもってしても、人々の記憶に深く刻み込まれたテロの印象を変えることはできない。69：ダロン・アセモグル（MIT教授）経済学という学問がもたらした意味深い重要な知見の一つは、強欲やそれ自体としては良くもなければ悪くもないということである。適切な法規制の下で、利潤最大化をめざす競争や創造的活動と結びつくなら、強欲はイノベーションと経済成長の原動力となるだろう。だが、しかるべき制度や法規制の監視がないなら、強欲はレント・シーキングや不正や犯罪行為へと堕落する。76：「貧しい人々は怠け者で意思が弱いから貧しいのだと思うか」アメリカ人 YES60%ヨーロッパ人 26%「貧困層は貧困の罠から未来永劫抜け出せない」アメリカ人 YES29%ヨーロッパ人 60%
2019年05月27日
経済学にできること
「経済学は共通善に尽くし、世界をより良くすることをめざす。この目的を達成するために、全体の利益を高めるような制度や政策を示すことが経済学の仕事となる」（はじめに）
2014年度ノーベル経済学賞を受賞したProfessor Jean Tiroleが一般読者向けに初めて書いた経済学啓蒙書。
「全編にわたり、経済学のあるべき姿を追求。市場と経済学に対する不信感が高まる中で経済学のあり方、経済学者のなすべきことを問う」
中身の詰まった本なので、章ごとに見ていきたい。
それはそうと、本blogでも何度か書いた通り、日本とフランスには共通点がある。
・中央集権国家
・大きな官僚組織
・低経済成長
・巨額政府債務
歴史や文化は全く違うのに、政治経済には共通点が多いのだ。それは、制度が似通っているから結果も似通っていると言える。現在の停滞を先に抜け出せるのはどちらなのだろう。
日本語条文12：ポピュリストに共通する傾向は、有権者の無知や偏見に付け込もうとすることだ。専門化の知識が政府の政策にあきらかに邪魔になるようなケースでは、必ずと言っていいほど専門家は退けられる。13：日本もフランスも充実した行政サービスに恵まれており、行政は多年にわたって円滑に機能してきた。しかしいまや、イノベーション、プラットフォーム、生命科学などを基盤とする新しい経済の形にうまく対応できずにいる。はじめに21：共通善経済学は共通善に尽くし、世界をより良くすることをめざす。この目的を達成するために、全体の利益を高めるような制度や政策を示すことが経済学の仕事となる26：制度国家は、公共サービスを通じた雇用の創出主体や国家企業を通じた財やサービスの供給主体から、規制の主体へと変貌を遂げてきた。この新しい役割は、ゲームのルールを決め、市場の失敗を正すために介入することであって、けっして市場の代わりをすることではない。
2019年05月26日
フラメンコ
先週、高校の同級生が主催するフラメンコ教室の10周年記念公演を見学。皆さんマジでした
門下生は高松だけで50人もいるのだという。フラメンコは一般に「スペインの踊り」と認識されているが、正確には、南部のアンダルシア地方独特の踊り。その成立には、インド北部を起源としてヨーロッパを放浪してきたロマ族（＝ジプシー）が大きくかかわっている。故国を持たず、キリスト教徒でもないロマ族は各地で差別の対象となってきた。そうして、流れ着いた果てがイベリア半島の南端アンダルシア地方だ。
ここは長年イスラム国家になり、アラブ民族の影響も受けて成立したのがフラメンコだ。そのせいか、私は、抑圧からの解放といった感じを受ける。また、ヨーロッパ的ではなく、むしろ、中東との共通点を感じる。
それはさてきおき、面白いと思うのは、スペインの一地方の踊りがこれほど日本で受け入れられていること。聞けば、日本のフラメンコ人口はスペインに次いで第2位だとか。日本フラメンコ協会によれば「愛好家5万人」とある。
いや、フラメンコだけでなく、フラ（ダンス）も日本各地に300教室があるという。これも、ハワイに次いで人口が多いはず。ハワイと日本以外で、フラを踊っているのを見たことがない。アメリカは移民の国で多少違うと思うが、ヨーロッパは基本的に民族の伝統文化を守っている。
歴史も、宗教も気にせず、興味本位で挑戦し、そのうちに職人気質で本場に負けないレベルにまでするのが日本人の面白いところ。
2019年05月25日
四騎士が共有する「覇権の８遺伝子」
一昔前なら、MBAの就職先人気は投資銀行か経営コンサルティング。MBAの延長でさまざまな経験を積める経営コンサルティングは根強い人気があるが、投資銀行で誰でも稼げる時代は終わり、人気が落ちた。
代わって人気なのがGAFA。4社とも友達がいるので、時々話を聞く。4社のなかで現在最も個性が強いと感じるのはAmazon。従業員をAmazonianと呼び、積極的姿勢や、徹底さを求めるのはカルチャーなのだろう。
交通が便利になり、通信が発達する度に言われてきたのは、距離の重要度が減り「地域差が縮小」する。実際に起こったのは逆で、都市と地方の格差は拡大している。これは、脱工業化＝知識社会のなかで、能力の高い人同士が集まることでしか起こせないイノベーションの重要性がますます高まっているから。
「過去10年の間に時価総額が何百億ドルも増加した企業は、ほぼ例外なく世界的な技術系あるいは工学系の大学に自転車で通える距離にある」との指摘は興味深い。日本は特定の大学との結びつきが例外的に弱いのだが、それは、世界トップクラスの大学がないことの証左であるのかもしれない。
�‐ι覆虜絞眠�製品がよければ、数多くの雑多なものの中から発見されるチャンスが増えている。バリューチェーン全体で商品を差別化。面倒を減らす。�▲咼献腑鵑悗療蟷�安い資本を集める力。それには理解しやすい大胆なビジョンが必要。Google「地球上の情報を整理する」Facebook「世界をつなぐ」商品をさがすとき、最初にAmazonを使う人は55%��世界展開世界に打って出る能力。製品やサービスがデジタル的であり、ふつうの文化摩擦のルールは当てはまらないと証明すること。�すゴ凝�GoogleはMicrosoftに比べれば、大いにかわいげがある。そしてGoogleのセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジは、ビル・ゲイツとスティーブ・バルマーよりも好感度が高い。移民でハンサムで、物語性がある。そしてマリッサ・メイヤー（Google元副社長）には惹かれずにいらっれない。ウィスコンシン州出身のブロンドのエンジニア、のちに『ヴォーグ』の紙面を飾るほどの人物。Googleによる新聞壊滅についての上院での公聴会に、メイヤーが送り込まれたのは偶然ではない。Appleはアメリカのビジネス史上最大の税逃れ企業だが、Appleはかっこいい。誰だってイケてる子と友だちになりたい。�タ眥湘�合ものを買うときの消費者体験すべてを垂直統合でコントロールできることだ。四騎士はすべて流通をコントロールしている。製品を自社生産していなくても、その調達、営業、販売、サポートを行う。Appleの最大のイノベーションはiPhoneと考えられているが、同社を5000億ドル企業への軌道に乗せたのは、直営店をつくって流通とブランドについての支配権をもぎとったことだ。（中略）時価総額5000億ドルを目指すなら、企業は垂直的でなければならない。四騎士はすべて垂直的だ。流通の大半をコントロールせずに上を目指す姿勢を維持できるブランドはほとんどない。サムスンがAT&T、Verizon、Best Buyの店舗に頼り続けていたら、あそこまで人気が高まることはなかっただろう。��AIデータへのアクセスとその活用能力。1兆ドル企業は人間がインプットしたデータを学習し、それをアルゴリズム的に記録するテクノロジーを持たなければならない。Facebookは特定の活動と、特定の個人に結びついている。Facebookを毎日積極的に利用している人は10億人いる。人々はFacebookで大いに生活を語り、行動、欲望、友人、つながり、恐怖、買いたいものを記録する。Amazonは3.5億人分のクレジットカードと客のプロフィールを保管している。地上のほかのどんな企業よりも、Amazonはあなたが好きなものを知っている。Appleは10億人分のクレジットカード情報を持ち、あなたがどのメディアをよく使っているかを知っている。Appleもまた、購買データを個人に結びつけることがきる。�Д�ャリアの箔づけになるトップクラスの人材を集める力。そのためには求職者にとってキャリアの箔づけになる仕事であるとみなされる必要。テクノロジーに強い人材の争奪戦は加熱。最高レベルの従業員を惹きつける能力は、4騎士すべてにとって最優先の問題。最高のプレーヤーがそろっているチームには安い資本が集まり、イノベーションが進み、上昇スパイラルがさく裂し、競争をリードすることができる。才能ある25歳の社会人が30歳までに、役割、報酬、名声、チャンスの面で、4騎士以上に先へ進める場所は少ない。だから4社のいずれかで働くための競争は熾烈をきわめる。��地の利場所は重要。過去10年の間に時価総額が何百億ドルも増加した企業は、ほぼ例外なく世界的な技術系あるいは工学系の大学に自転車で通える距離にある。カナダのRIM、フィンランドのNokiaも、それぞれ最高峰の大学のそばにある。トップレベルのエンジニアを育てる大学との太いパイプ。キャリアの箔づけ企業となるためには、原材料を持たなければならない。一流の工学、経営、教養の学位を持つ人材が集まる場所に企業をつくる。今後50年、世界のGDPの成長は都市部で起こる。都市には最高の人材が集まるだけでなく、都市が最高の人材を生み出す。競争とチャンスがあふれる場所で働くことで、あなたのプレーもどんどんよくなる。
2019年05月24日
アメリカのご都合主義
米中貿易戦争で、アメリカは中国が不公正な手段でアメリカの技術を盗んでいると主張している。しかし、歴史を振り返れば、アメリカも積極的にヨーロッパの技術を盗んでいた。そのために、1793年に特許法を改変し、特許保護の対象をアメリカ市民に限定したのである。
253：ペテン１ 盗みと保護財務省は母国の移民法に違反してもアメリカに来たいというヨーロッパの職人に報償を出した。アメリカは1793年に特許法を改変し、特許保護の対象をアメリカ市民に限定した。これは知的財産を所有するイギリス人から、この窃盗行為に対抗するあらゆる法的手段を奪うためだった。254：ペテン２ 盗んだのではなく、ただ借りただけ四騎士のもう一つのずるいやり方は、情報をどこかから借りて、それを相手に返すときにお金を取ること。271：心は巨大な市場心をターゲットにするのは、まともで抜け目ないきわめて合理的な戦略。実際に第二次世界大戦後の消費者マーケティングの多く、というよりほとんどは、心をターゲットにしていた。ブランド、スローガン、CMソングは、ほとんどの消費者にとって何よりも大切なもの「自分が愛する者」を思い出させるようにつくられていた。274：性器に訴えるブランドは繁盛生存本能を除いて、セックスほど我々に強く訴えるものはない。マーケターにとっては運のいいことに、セックスや求愛儀式は脳の発する警告を凌駕する。スポーツカーを買おうとしている男性は、16歳であろうと50歳であろうと脳が麻痺している状態なのだ。自由に相手を探している男女についての研究で、実際にセックスに至った人の71%が、そのとき酒を飲んでいたという調査結果がある。そういう人々は意図的に化学物質を使って脳のスイッチをオフにする。(中略）翌朝「いったい自分は何を考えていたんだ」と言う人がいるが、そういうときは本当に何も考えていなかっただけだ。277：四騎士はどこを攻めてくるのかグーグルは私たちが共有する人口脳の神経中枢となった。グーグルは、ウォルマートが実店舗による小売りを、アマゾンがオンラインでの小売業を支配しているように、知識業界を支配している。285：FacebookFacebookは性的なコンテンツに侵略されない、善良で安全な代替品になることで、優勢だったマイスペースに勝利した。Facebookのルーツがアイビーリーグの大学であるということも、高級感と安全性を感じさせる要因だった。登録には.eduつきのメールアドレスが必要だった。ユーザーの本人確認と共有を義務付けることで、Facebookにはほかとは違う上品なムードが生まれた。
2019年05月23日
神と寝た代償
Google=神
Googleの決定的な一手を「エリック・シュミットをCEOとして雇ったこと」としているのが興味深い。個性的な創業者二人の後ろに隠れて目立たないが、経営を何も知らない若い研究者二人にVCが付き、VCがシュミットを連れてきてCEOに据えた。この決定がなければ、Googleが上場できたかどうかも疑わしい。
これがいつも上手くいくとは限らず、Appleではジョブズ本人がスカウトしてきたPepsiCoのスカリーと対立して、自分が創業した会社を追い出されることになる。画期的な新製品が出なくなり、Appleは90年代に停滞することになる。
235：About.comNYTはAbout.comに4億ドル払ったが、About.comはグーグル検索から何十億ものクリックを得ていたので、そのときは悪い取引ではないように思えた。私が役員になったころAbout.comの時価総額は10億ドルまで増加していた。(中略）彼らはAbout.comを、アナログな服装を飾るデジタルのイヤリングのように使っていた。NYTには収益をあげて確実に成長していくためのデジタル戦略がある。About.comは投資家と役員たち（私を除く）にそう信じ込ませるための道具にすぎなかった。238：グーグルを遮断せよ検索が行われている間に、グーグルは新聞の読者が今欲しているもの、近い将来に欲しくなりそうなものがわかるようになっていく。NYT社よりもわかっているかもしれない。つまり、グーグルはそうしたNYTの読者に正確に狙いを定めることが可能で、広告からより多く稼げる。NYTは10cを$1で買っているようなものだった。NYTは自前のサイトで自前の広告を出すべきだったのだ。241：神と寝た代償グーグルはインターネットの重要な土地を領主のように支配している。NYT社はその土地の小作人だった。2011年2月、グーグルはようやく、About.comを含めたコンテンツ工場のレベルの低さに嫌気がさし、それらを叩き落とした。(中略）このアップデートが行われる前、About.comの時価総額は10億ドルだったが、翌日には半分以下になった。1年後、NYTはAbout.comを3億ドルで手放した。これは買値の25%足らずだ。245：Google決定的な一手は、エリック・シュミットをCEOとして雇ったこと。彼は科学者からビジネスマンに転身し、サンマイクロシステムズとノベルでキャリアを積んだ。その2社はどちらもマイクロソフトと戦い、そして敗れた。シュミットは次こそは勝つと心に誓っていた。
2019年05月22日
先日のシンガポール出張で一番言われたこと：WhatsAppのID教えて
日本でLINEがプライベートだけでなく仕事の連絡でも使われ始めているのと同様、海外の多くではWhatsAppが標準になっている（日本同様LINEが強いタイ、Kakao Talkが強い韓国を除く）。
2014年にFacebookがメッセンジャーアプリWhatsAppを買収してから5年。従業員がたった20人ほどの創業5年の会社が183億ドル（約2兆円）で買われたことに驚いた。最終的な買収総額は、従業員引き止めのための制限付き株（RSU）も含めると総額218億ドルを超えた。買収の基本合意に達した2014年2月時点でのユーザー数は4.5億人。買収完了した同年10月時点でのユーザー数が6億人。現在は15億ン人を超えている。
メッセンジャーアプリが流行ったのは、個人情報がいっぱいのSNSと結びつくことなく、友達や同僚とのやり取りができることからだが、WhatsApp買収に巨費を投じたFacebookは当然、Facebookや同社のMessengerとの統合を計画している。しかし、それを好まないユーザーもいるだろう。
31：GAFA以後の世界いまは億万長者になるのはかつてないほど容易だが、百万長者になるのはかつてないほど難しい時代だ。129：アイコン的な創業者が、実生活ではろくでなしであろうが、そんなことはどうでもいいSteve Jobsは決して善良な人間ではなかった。とくに父親としては最低だったようだ。彼は裁判所で父親であることを否定した。生物学的に血のつながりがあるとわかっていながら、そして何億ドルもの資産をもっていながら、娘の養育費を払うことを拒否したのだ。158：Facebook同社は最速でユーザー1億人を超した５つのプラットフォームのうち３つを所有している。Facebook、WhatsApp、Instagram人は毎日35分をFacebookに費やしている。InstagramとWhatsAppを合わせると50分になる。これはネット接続している1/6、モバイル機器を使用している1/5に相当。
2019年05月21日
スマホを見る子どもの脳に何が起きるのか？
中学生にiPadを与えたせいで、性格まで変わってしまった(ように見える）うちの末っ子の話を以前書いた。その時紹介した川島隆太『スマホが学力を破壊する』では、仙台市での大規模調査などを基に、スマホの使用時間と学力の関係を現象面から捉え、原因を推定していた。
本書では、世界的サイバー心理学者が、さらに心理学・脳科学の面から、子どもがスマホを使うことの悪影響にメスを入れる。
とはいえ、同様の懸念はTVでも、ゲームでも言われた。警告は正しいのだが、それでTVやゲームが無くなることはなく、スマホもさらに強力な代替手段が出てこないかぎり、無くなることは考えられない。
問題は、このとても便利で常習性のある機器から発育途上にある子供たちをどう守るか？少なくとも高校生までは持たせないほうがいいだろう。統計を見ると、スマホ普及率は中学生で6割、小学生でも3割となっていて年々上昇している。その中心はキッズスマホと呼ばれる機能制限付きのスマホなのだが、スマホを使っていなくても、そこにあるだけで注意力散漫になるという報告もあり、やはり持たせないに越したことはないように思う。
＊サイバー心理学新しい技術が人間の行動に及ぼす影響の研究不安やうつに悩む若者の割合：過去25年間で70％増加SNSの使用がメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性（英国王立公衆衛生協会）・赤ちゃんは親とアイコンタクトを取ることで、健全で安定的な愛着を形成し、他人と容易に交流できる個人へと成長する親が携帯電話などに夢中となり、アイコンタクトがなくなると、将来、子どもの社交性が失われたり、愛を感じたり与えたりすることが少なくなる恐れがある。・サイバーセルフ自分がこうなりたいとい願う自分であり、自己概念の重要な一部。今日のティーンエージャーは、サイバー空間で表現される、このサイバーセルフの創造に熱を上げる。
2019年05月20日
四騎士が創り変えた世界
"the four GAFA"とは、「GAFA四騎士」という意味らしい。四騎士とはなにか？
ヨハネの黙示録の四騎士。地上の4分の1を支配し、剣、飢饉、悪疫、獣によって「地上の人間を殺す権威」を与えられている。
とある。他企業の生殺与奪の権利を事実上持っているほど影響力があるのがGAFAというわけだ。読むまでは、「またGAFA礼賛の本か」と思っていたが、そうではなかった。
・彼らはなぜ、これほどの力を得たのか
・彼らは世界をどう支配し、どう創り変えたのか
・彼らが創り変えた世界で、僕たちはどう生きるのか
がテーマになっていて、そこにあるのは手放しで喜べる話ばかりではない。ビジネス道徳上どうかと思われる行動もあれば、確信的に法律違反をしている点もある。
がテーマになっていて、そこにあるのは手放しで喜べる話ばかりではない。ビジネス道徳上どうかと思われる行動もあれば、確信的に法律違反をしている点もある。
2019年05月19日
革命のロマンチシズム
未だに世界中で流行っているチェ・ゲバラ。キューバで共産革命を担ったカストロの同志だ。共産国家でゲバラのTシャツを着た若者は見たことがないが、豊かな資本主義国の若者がそれを着るのはどうしてなんだろう。
北方水滸伝のキーワードは、「革命のロマンチシズム」だという。北方本人が、インタビューでキューバ革命との関係を以下のように説明している（��解説）。
「『水滸伝』には晁蓋と宋江という二人のボスが出てきますが、晁蓋と宋江がゲバラとカストロの関係です。梁山泊がキューバ島、梁山湖がカリブ海、宋という大きな国がアメリカ合衆国という想定のもとに書いたんです。
そうすると、アメリカ合衆国が、原典にあるような、どうにもならない国だったら困るわけです。強力な権力の、恐ろしい部分みたいなものをきちんと持っていなきゃいけない。」（『有隣』406号）
56：水軍陸の戦いだけでは無理だ、と李俊は考えていた。兵站が切られる。戦線が広がりすぎる。陸で激戦が続いた時、開防府を、北京大名府を襲う。それは、水軍しかできないことだ。二つの、宋最大の城郭が焼けれれば、陸で戦っていた兵も浮足立つ。89：暗殺「運命をちょっとだけ後押しする」「古い友人。生まれた時からの、友人。それが、思い立って人を訪ねる」312：致死軍部下に、知事の女房を手籠めにさせる。そちらを先にやった方がいいかもしれない。胸と、腹と、内腿に歯型を残す。
2019年05月18日
再生のシナリオ
江戸時代から現代まで400年以上にわたる日本経済を俯瞰した。日本経済の高成長は、1950年代に始まったのではなく、1910年代に始まっている。この頃、日本はアジア初の産業革命を成し遂げ、敗戦で大打撃をこうむったものの、5年で戦前の経済レベルに戻った。
3/4世紀にわたる長期の高成長を終焉させたものこそ、1990年代の日本経済の低迷。それだけ深刻な事態だということになる。にも拘らず、本書では、これを「金融システムの危機」としており、この点は問題の矮小化に思える。
確かに、「失われた10年」の発端は「金融システムの危機」だったと考えられる。一方、日本が「失われた10年」で右往左往している間に世界で起こったのは、インターネットを中心とするIT革命であった。付加価値の源泉は、ハードからソフトに移行し、世界の時価総額ランキングに名を連ねるのは、GAFAなどすべてIT企業である。
大きな技術革新への初動が遅れたとみるべきで、既に金融問題ではないだろう。政府の規制や介入が助けにならないどころか、産業発展を阻害することは1970年代以降顕著になってきており、政府が出来ることは、発展を阻害しないよう法整備を進めることだ。1970年に西ドイツのGDPを凌駕した時点で、「キャッチアップ」は終わっており、その段階で官僚主導の経済政策を終わらせるべきであった。
�シ从兩�長と日本型企業経営326：規制産業の脆弱性石油業法にしても、石油公団にしても、もともとは、日本の石油産業の脆弱性を克服するために導入されたもの。しかし、結果的には、むしろ石油産業の弱さを固定化し、拡張する原因となってしまった。産業の脆弱性が政府の介入を生み、その政府の介入がいっそうの産業の脆弱性をもたらして、それがまた政府の追加的な介入を呼び起こすという悪循環。エピローグ386：日本経済の主要資本主義諸国中での相対的高成長は、1910年代に始まり、第二次世界大戦直後の一時期を除いて、1980年代までほぼ一貫して継続した。この3/4世紀にわたる長期の相対的高成長を終焉させたものこそ、1990年代の日本経済の低迷。387：失われた10年＝金融システムの危機�〕⊇伉恐瓩砲茲觧餠睛松蠅糧�生�∋�業会社における金融上のノウハウの不足�６箙圓砲�けるモニタリング能力の欠如388：再生のシナリオ�〇�業会社が、エクイティ・ファイナンスのノウハウを身につけるトヨタ、7-11、キヤノン、任天堂など例外的優良企業は、本業で成功を収めた点のみならず、企業金融面で革新を達成し、エクイティ・ファイナンスのノウハウを獲得している。��金融ビジネス改革・国際競争力を持ったユニヴァーサル・バンク・きめ細かなモニタリング能力を発揮す優良地方銀行��製造業が、高付加価値化と結びつけて、国際分業を進化させる
2019年05月17日
戦前の商社活動
世界に類を見ない事業形態と言われる日本の総合商社。これほど事業分野が幅広く、かつ、川上の資源から川下の小売りまで手掛ける企業は世界に存在しない。
勿論、最初からあったわけではない。明治期の輸出入は外国商社が圧倒していた。当時の輸出品の輸出品の中心は生糸。実に輸出総額半分を占めていた。ついで、蚕卵紙、お茶。日本が産業革命を果たす前の話だ。
欧米列強との国力の差は比べるべくもなく、外国商社は「不平等条約」によって守られていたから恣意的な取引がまかり通っていたという。この状況を打破するために、国内商社への期待が高まり、繊維取引を中心に貿易が伸びていく。
戦前の商社ランキングを見ると、現在とは様変わりで興味深い。
��近代経営の形成152：外商の支配外商取扱比率1880年 輸出84% 輸入93%1890年 輸出89% 輸入75%不平等条約を背景に、外商は代金をなかなか払わず、製品検査権を盾にとり契約を簡単に破棄するなど、恣意的な取引（横浜）�６畭綏弍弔療験�202：財閥商社4社、専門商社5社1926年時点での海外店舗三井物産 27日本綿花 20三菱商事 16大倉商事 11東洋綿花 6江商 5217：経営家族主義明治期後半に合併・合同によって大規模化した鐘淵紡績、王子製紙、国鉄などにおいて、組織統合の必要性から武藤山治、藤原銀次郎、後藤新平らによって提唱されたものであった。そして、経営家族主義は第一次世界大戦から戦後にかけて拡大した企業組織の統合化、労働者の直傭化、大規模労働争議などの問題に直面した大企業経営者に採用された。�だ鐐阿�ら戦後へ273：研究開発の動向旧軍関係・軍需工業関係の技術者・研究者の民間企業・国鉄などへの流入。戦時中には航空機、光学兵器、レーダ・軍用通信の3分野に優秀な技術者が集中。航空関係者は自動車産業へ、光学兵器関係者はカメラ産業へ、レーダ・軍用通信関係者は電子通信産業へ大量に流出。
2019年05月16日
江戸時代の商家経営
ふと、「今の大学生は、どんな教科書で学んでいるのだろう」と思い、『日本経営史』を読んでみる。著者のうちの一人、法政大学の宇田川勝教授には、10年位前に、社会人講座で「戦前の経営者」を習った。
江戸時代に遡って記述は始まる。全部読んでみて、一番面白かったのは、この江戸時代。この数十年の研究で定説になった通り、なぜ日本だけがいち早くアジアで近代化に成功したかといえば、江戸時代に既に近代化の準備が完了していたから、ということになる。
まずは、戦国時代から江戸初期にかけての「農業革命」があり、これで農業生産性が大幅に改善され、人口爆発が起こった。豊かになったので、商業活動が活発になり、それは金融業へと発展していく。
三井の「大元方」なんて、現代でいう持ち株会社。こうした仕組みが江戸時代からあったから、株式会社制度もすぐに理解できた。両替商で為替取引もやっていたから、海外貿易にもすぐに対応できたのだ。
�‘�本型企業経営の起源3：水田稲作地といえば、われわれは大河川下流部に広がる平野をイメージしがちであるが、戦国時代以前の農地の風景は決してそうではなく、自然の湧き水や小渓流を利用する谷間あるいは山麓に位置する小規模な土地において農耕が営まれていた。この種の耕地での生産性は低く、不安定であったため、農民は浮浪化してしまう可能性が大きく、定住農業は十分には展開しなかった。ところが、戦国期から大名領主権の広域化、土木・灌漑技術の向上、および新稲作品種の導入によって、開発は河川の上流から下流へと進み、沖積平野部が稲作地帯となるに至った。5：大開墾と人口爆発全国人口 1600→1720年 1200万人→3128万人戦国期から17世紀は日本史上空前の大開墾期 耕作面積207万→293町歩大河川下流の安定した用水を確保できる肥沃な水田の増加。6：戦国末期から江戸初期においては地方における市場の機能は定期市によって担われた武士や商工業者が城下町に集住するようになるにつれて、城下町の店舗商業のなかに吸収。18世紀初頭の岡山藩：庶民37万人のうち3万人が城下町居住（商人57%、職人19%、その他サービス業24%）8：商業金融商工業に携わり、富を蓄積した大坂商人たちはやがて金融業に進出。その多くは諸藩の年貢米販売機関である大坂の蔵屋敷で蔵元や掛屋に登用され、年貢米販売代金の出納、保管、送金業務から大名貸しに関わるようになった。鴻池善右衛門、加賀屋久右衛門、天王寺屋五兵衛、辰巳屋久右衛門15：非農業化1840年代の長州「国民経済計算」西川俊作生産額 農業：非農業＝65:35（付加価値ベース）26：大名貸の年利寛文~延宝 14%18世紀前半まで 12%18世紀後半 6%＋扶持米（ふちまい）や合力米（こうりょくまい）などの手当30：御金蔵為替上方⇔江戸間の幕府公金の送金業務を請け負う。三井は江戸で販売する呉服、反物を上方から仕入れており、江戸から上方へ仕入れ代金を送金。他方、幕府は西日本の天領から上納される公金を大坂御金蔵から江戸御金蔵に送金する必要。これに目を付けた三井は、越後屋江戸店での販売代金を江戸御金蔵に納め、代わりに大坂御金蔵からお金を受け取り、上方での呉服仕入れ代金にあてる仕組みを願い出、これが許可される。これにより三井は2-5か月にわたって公金を無利子運用できることになる。32：銅吹き屋・銅貿易商としての住友の発展寛文期（1661-72)には銅は輸出総額の7割を占めるほど重要な輸出品幕府はその品質維持に気を配り、南蛮吹きで処理した抜銀銅だけを輸出することとし、その精錬と集荷を大坂に限定、銅屋株と銅貿易株を設定した。大坂は17世紀末には1万人の銅吹き職人が存在するほど、銅精錬業の中心地になる。住友は最大手。37：三井家の大元方創業者の三井高利の死後、相続人たちは長男高平に一札を差し入れ、遺贈された元手金を分割しないで、「身上一致」して運用すること、つまり相続人の共同財産として運用することを誓約。こうして三井の事業は三井家同苗9家の共同事業となり、それを制度化したのが1710年の大元方の設置。大元方は三井9家の全財産を資本として一括所有し、9家が大元方の持分権利を持つという仕組み。各家は持ち分比率は異なるが、平等の発言権を有し、大元方の評議に参加するとともに、それぞれ三井の営業店の経営を担当し、大元方に無限責任を負っていた。
2019年05月15日
これからの教養としての「STEAM」
ちょっと前までは理系教育としてのSTEMだったが、芸術（Arts)が加えられて、STEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)。
＊AIやロボットが様々な知的業務を行う時代、人間に求められる役割とは？●AI時代に必要とされる仕事、そして、その職業に求められる教養・社会のニーズと科学技術をつなぐ仕事。例えば、ロボットに人々のニーズを教える「ロボット・アドバイザー」など。【必要な教養】文系・理系を超えたSTEAM(Science, Technology, Engineering, Arts, Mathematics)・物事の本質を分析する仕事。例えば、ビッグデータからビジネスの種をなどを見いだす「単純化の専門化」など。【必要な教養】複雑な現実から問題を抽出し、仮説を立てて検証する「科学的な思考方法」・世界を舞台にコミュニケーションする仕事【必要な教養】語学能力と、目先（先見の明）、口先（情報発信力）、手先（研究開発に関わる能力）、胸先（度胸）。●AIはあらかじめ人間に与えられた「枠」の中でしか能力を発揮できない。人間のように「想像力」を発揮して、自ら問題を発見・解決することができない。従って、「創造的な仕事」は今後も人間が担うことになる。●AI時代に身につけるべきは「科学的な思考方法」・観測→ひらめき→仮説→実験→実証・帰納、演繹、アブダクションを組み合わせる
2019年05月14日
内にある可能性を育てる「創造的な人材を集め、彼らを信頼し、自由裁量の余地と援助を十分に与える」
最終章の「まとめ」。
「イノベーターには特別な能力、性格、回復力、動機があった。また彼らが、時期や場所、社会的ネットワークがもたらす有利な状況を巧みに利用した」
「イノベーターには特別な能力、性格、回復力、動機があった。また彼らが、時期や場所、社会的ネットワークがもたらす有利な状況を巧みに利用した」
一方、彼らが幸福であったかどうかは別の問題。天才であるには、代償もあるのだ。
「エジソンやフランクリンは、長期にわたって妻や子供を顧みなかった。キューリーは子供の養育をほとんど義理の父に任せきりだった。テスラとケーメンには妻も子供もいない。アイシンシュタインも、本人に言わせれば、家庭では孤立していたという」
そこで、どのみち天才でない我々が取れる、より創造的になるための方法は次のようなものだという。
「エジソンやフランクリンは、長期にわたって妻や子供を顧みなかった。キューリーは子供の養育をほとんど義理の父に任せきりだった。テスラとケーメンには妻も子供もいない。アイシンシュタインも、本人に言わせれば、家庭では孤立していたという」
そこで、どのみち天才でない我々が取れる、より創造的になるための方法は次のようなものだという。
・規範やパラダイムを疑問視するイノベーターはその孤立意識のおかげで、ごく一般的で無難な解決策や思考の制約を逃れ、独創的な考え方をすることができる。・ひとりになる時間をつくる子供には、ひとりで静かに過ごす時間が必要だ。興味があることについて、読んだり、書いたり、実験をしたりするあいだに、思考したり、創造したり、世界のあり方について判断したりする力を身についていく。・自己効力感を高める早い段階で成功体験をさせるには、失敗した時の代償を低めに抑え、大胆だが賢明な失敗を称賛するなどして、何でも思いきってやってみようと思わせることが大切。・壮大な夢を抱く理想主義にはイノベーションを生む強い力がある。そのため組織は、メンバー1人ひとりが有意義と思えるような壮大な目標を掲げるべきだ。・フローを見つけるどうしても手に入れたいと思う報酬やフローを体験できる活動など、意欲のもとになるものは一人ひとり異なる。・知的・技術的リソースにアクセスできる機会を増やすベンジャミン・フランクリンは、公共図書館があれば本から得られる知識に誰もがアクセスできると考え、アメリカ初の貸出図書館を設立した。グーグルが2002年に始めた野心的なプロジェクトも同様の考え方に基づいている。このプロジェクトは本を電子化し、世界中の本をオンラインで利用できるようにすることを目的にしている。ジョブズやマリー・キューリー、イーロン・マスクを見ると、彼らは論文や書籍から得た知識だけでなく、ほかの人のもつ専門知識も利用している。
2019年05月13日
リソースへのアクセス
「問題はお金ではない。周囲にどんな人間がいるか、どんな影響を受けているか、どの程度やるべきことを理解しているかだ」
スティーブ・ジョブズは、「イノベーションとは、1000のアイデアにNoと言うことだ」という。当然、選択は慎重にしなければならない。正しい選択をする人と、（結果的に）誤った選択をする人がいる。
ジョブズとも親交があり、一緒に仕事をしていたキャノン電子の酒巻社長は、選択には「鋭い先見性」が必要で、そうした「感性」のある人間にしかできない、と言っている。「感性」で選んだあとは、「集中」して製品開発することになる。「感性」と「集中」両方を持った人は、これまで会った中でジョブズだけだったそうだ。
263：スティーブ・ジョブズ「専念というと、専念すべきことにYesと言うことだと思われがちだが、そうではない。むしろ、ほかに無数にある良いアイデアにNoということなんだ。(中略）イノベーションとは、1000のアイデアにNoと言うことだ」167：iTunes Music Store なぜ音楽業界がAppleを信じてくれたか「Appleは最も創造性のあるテクノロジー企業だ。ピクサーが最もテクノロジーに精通した創造的企業であるのと同じようにね。それに、レコーディングアーティストのほとんどがMacを使い、iPodを持っている。それどころか、音楽業界の人はたいていiPodを利用している。だから音楽業界にはAppleはきちんとした仕事をする、手を抜かない、創造的なプロセスや音楽を大切にしているという信頼があったんだと思う」（スティーブ・ジョブズ）275：ロシア当局がポーランドの学校から研究室を一掃すると、父親は研究設備の大半を家に持ち帰り、それを使って子どもに教育を施した。マリーはこうして、幼少の頃から科学や学問の文化に親しんだ。
2019年05月12日
玄武の章
先月の産婦人科学会に持参し、出張中に第5巻まで読み進める。全19巻だからまだまだ。
その間に梁山泊に集まった兵士は4000人を超えた。呼応して戦う二竜山には2500人の兵がいる。これ以上梁山泊の力が強くなるのを恐れた官軍はまず、梁山泊の出城ともいえる二竜山に総攻撃をかける。その数3万。
これは小説だから戦いそのものは史実ではないが、宋の時代、それよりはるか前から、中国では万単位の軍がぶつかり合う戦争を繰り返してきたのは事実。軍隊の定義は、他組織のサポートがなくても、単独で軍事行動できること。そのために、橋を架け、兵舎をつくる工兵隊も持っていれば、兵器や食料を確保する兵站部隊も持っている。
これだけの大部隊が、広大な国土で、外敵に対峙するため、あるいは反乱を鎮圧するために各地に派遣される。昔から大陸の軍隊が兵站を重視し、また真っ先に考える作戦が、敵の兵站を切ることなのは当然だ。『水滸伝』でも、そうした場面が多々出て来る。
敵の兵站基地を襲うと、何万人もの兵士が数か月作戦展開できるだけの膨大な食料をあっさりと燃やしてしまう。持って帰るには量が多すぎるし、そのためにもたもたしていたら返り討ちにあってしまうから燃やして敵が使えなくするのが一番ということなのだ。
その傍ら、飢えている市民が大勢いる。昔のことなので、福祉制度はなく、働けなければ、盗むか物乞いして飢えをしのぐしかない。「それは政治が悪い」ということで、宋という国を潰して、新しい国を創ろうとするのが梁山泊。宋を裏から支える秘密組織「青蓮寺」では、「内乱になれば外敵の思うつぼ」と、梁山泊の壊滅を図る。政治改革の必要性には気づいているが、それは徐々にやればいいと考える。
小説では当然、梁山泊が正義で、腐敗した宋が悪役なのだが、この議論は「青蓮寺」が正論だろう。改革できるなら、だが。こうしてみると、やはり、封建制や独裁制より、法の枠組みの中で政府を交替させられる民主主義は優れている。
73：この国は、豊かだった。いまも、開封府には人と物が溢れている。商人の力が大きかった。商人が儲かれば儲かるほど、役人の取り分は少なくなる。そこから、役人の権限を利用した腐敗がはじまったのだ。商人が使える金が大きくなり、腐敗もまた大きくなった。141：青蓮寺国は、その姿をとどめたまま、少しずつ改革していくべきだ。十年かけて、腐敗を根絶してもいい。二十年かけて、帝のありようを変えてもいい。姿を変えれば、混乱が起きる。そしてそこにあるのは、外敵の侵入だけではないか。それは、一千年以上もの歴史が、はっきりと証明している。144：王安石の改革それが実現できなかったのは、やはり苛烈なほどの力が王安石になかったからではないのか。反対する者のすべてを、処断する。それぐらいの強引さがあれば、少なくともいまのと違う国の姿になっていた。人の意見も聞こうという賢明さが、一大改革のありの一決になったと言えなくもないのだ。
2019年05月11日
エナフン流株式投資術
著者が書いていた投資ブログ「エナフンさんの梨の木」が評判となり、『日経マネー』で連載。これも好評となり、本を出すことになったといいうサラリーマン投資家。無理せず楽しみながら、数億円の金融資産を築いたという。
長期投資に目覚めたのは『ピーター・リンチの株で勝つ』『ピーター・リンチの株式投資の法則』を読んでからで、それまでは短期投資で勝ったり負けたりだったらしい。サラリーマンを辞める気はなく、短期相場を気にせずに自分に合った投資手法を探った結果たどり着いたのがこれ。
ピーター・リンチの本は私も読んだ。ところが、なかなか実践できていない。特に全く実践できてないのが、「5銘柄前後に集中投資」の点。リンチは、「株式投資は子育てのようなもので、それを専業としないかぎり、自分で面倒を見れる子供の数より増やしてはならない」という。
私の場合、「これはよさそう」「これも面白そうだから、少しだけ買ってみよう」などとやっているうちにどんどん増えてしまった。投資ならどれでも同じだが、勝ち馬に集中していないかぎり、ポートフォリオの数％しか占めない株が倍になっても全体資産は数%しか増えないことになる。
増えればまだいいが、何十銘柄も持っていると、逆に「一銘柄くらい下がっても大したことない」と思ってしまい、損切が遅れる。バフェットも、「一つの籠に卵を入れるな」ではなく、「一つの籠に卵を入れて目を離さない」のが投資では正しいと言っている。
では、なぜ、エナフン氏はリンチの長期投資を実直に実践できたのか。氏はブログを書いていた効果を挙げる。長期投資のブログを書いている自分が、書いている内容に反することはできないと、迷いが生じた時に何度も助けられたという。
一人でやっていると誰も見てないため、自分の弱さに負けがち。何をやるにしても、周りに宣言して、定期的に報告しなければならない状況を作るのがよさそうだ。
＊成長が期待できる企業をひたすら探し出して割安さを加味して購入しさえすれば、後はただじっとしているだけで、アマチュアでも大いに勝てる「つ・な・げ・よ・う分析」�ゞ�みを知れ自分ならではの強みを理解する�⇔�れを知れ複雑な株価の流れを理解する�８桐�を知れ株価が決定する原理原則を理解する�ぜ紊澆鮹里�個人投資家や人間ならではの弱みを理解する�ゥΕ蕕鮗茲�決算書や会社資料で必ずウラを取る「大化け株」の7つの特徴�＼�長著しい嫌なライバル自社の業界で、格下でありながら急成長している嫌なライバル��他社技術の利用が得意革新技術の提供側ではなく、利用側。例）iPhone�１Ω�上がりの棒グラフ長期にわたって売上高が伸びている�い泙襪馬誕蠅望紊蕕覆�企業の成長ｘ割安な株価の是正�ス堽鵝�売り切れ、予約待ち→会社を調査��常習性や中毒性のある商品��有望株の周辺に次の候補有望株を一つ見つけたら、成長構造を吟味し、よく似た構造の関連企業を探す4つの異なる相場�仝鎚務瑤�物色される業績相場銘柄毎の取捨選択が進む→日経平均は横ばい�∩澗里�底上げされる金融相場金融緩和局面で全体が底上げされる→日経平均は大きく上昇�Ｆ輿概淪遒�起きる波乱相場激しく乱高下しながら下落→個人投資家が大失敗することが多い�だ箙イ稜磴ぞ譴箸覆訥賣�り悪材料が出ても下がらなくなる→絶好の買い場５つの問い�，覆疾�長できているのか？�∪�長は今後どの程度続く見込みか？��成長が止まるとしたらどのような理由が考えられるか？�ご�に悪い兆候は出ていないか？�コ�価は適正な水準にあると言えるか？
2019年05月10日
創造的な心「たゆまぬ流れのようにアイデアは湧き上がる」
＊画期的なイノベーションを次々と生み出す人の能力や原動力は、どれくらいが「生まれつき」で、どれくらいが「育った環境による」ものか？
結論は、本当の天才には「生まれつき」が多いということ。そうでなければ、同じ環境で育った兄弟にも天才が出ていいはずだが、そうはなっていない。孫泰三氏も優秀な経営者だが、「兄は天才」だという。
スティーブ・ジョブズの小4の時のIQは上位0.1%に入る160だったという。トマス・エジソンの時代にIQテストはなかったが、種々の記録から推定されるIQは160-190だという。他のイノベーターも例外なく「天才」と評されている。
高いIQはイノベーターになるための必須条件ということだが、十分条件ではない。イノベーターとして成果を上げるためには性格も大いに影響する。心理学でいうBig Five Personalityのうち、創造性ともっとも関りが深いのは、「経験への開放性」だという。この性格は、個人のもつ美的感受性、感情への配慮、多様性志向、知的好奇心を反映する。
123：テスラの躁病や強迫神経症は生涯にわたって続いた。テスラは休みなく働くことが多く、そればかりか気が散るのを恐れて夜間に作業するのを好んだ。睡眠をとっていた時期でさえ、毎日午前3時から午後11時まで働いていると自慢していた。124：知性の重要性イノベーターはみな、伝記作家や関係者から繰り返し「天才」と表現されている。スティーブ・ジョブズ 小4（第4学年）のときに受けたテストで、学力は高校生相当（第10学年）IQ160（上位0.1%）トマス・エジソン 推定IQ160-190131：性格因子「経験への開放性」Big Five Personality 神経症的傾向、調和性、外向性、誠実性、経験への開放性創造性ともっとも関りが深いのは、「経験への開放性」
2019年05月09日
並外れた自信「彼はまるで歩くチャレンジ精神だ」
以前、イーロン・マスクの伝記本を紹介した時にも書いたが、イーロンの母方の家系は南アフリカでも知られた冒険一家である。一家は元々カナダ人なのだが、イーロンの祖父が過激な政治活動に関わり、祖国に居られなくなって移住した先が南アフリカだった。
イーロンの母親とそのきょうだいは、「ホールドマン家の人間にできないことはない」という雰囲気の中で育てられたという。イーロンの母親メイは数学と科学が得意な勉強好きの子供だったが、大変な美人だったのでモデルの道に進む。その時も、ホールドマン家の高い自己効力感は役に立っただろう。
イノベーターに共通するのは、この「高い自己効力感」だという。それを持つためには、「人生の早い時期に自分が周りの者より賢くて、創造的であるのを発見」することだという。こればかりは、実際に天才でなければ仕方ない。
イーロンは小学生のときに学校と図書館の本を読みつくしてしまい、仕方なく百科事典に取り掛かる。ただ読むだけでなく、興味がある個所は全部記録していて、これが周りの大人を驚かせる。この時、誰でもそうではないことに気づき、将来にわたる「高い自己効力感」、つまり自信を得た。
76：「ホールドマン家の人間にできないことはない」（イーロン・マスクの祖父）ホールドマン家の子供たちは、冒険が当たり前の家庭で成長した。1954年に、ジョシュアとウィニーフレッド・ホールドマンは自前の飛行機でオーストラリアに向かい、往復約5万3000キロを飛んで帰国した。もしかすると、自家用飛行機でそんな偉業を成し遂げたのは彼らだけかもしれない。別のときには、ケープタウン＝アルジェ8000マイル自動車ラリーに出場して1位タイになったこともある。(中略）イーロンの母親とそのきょうだいは、大きな目標を持ち、限界に挑戦しろと教える家庭で育った。77：熱心な読書家「1日10時間の読書は、イーロンには特別なことではなかった。週末には、日に2冊の本を読み切っていた」（弟キンバル）「ある時期、学校と近隣の図書館の本を読みつくしたことがあった。3年生か4年生の時だった。(中略）ブリタニカ百科事典を読み始めた。とても役に立ったよ。人は、自分が何を知らないか分かっていないものだ」（イーロン）89：高い自己効力感人生の早い時期に自分が周りの者より賢くて、創造的であるのを発見。イーロン・マスクで言えば、彼が百科事典の内容を理解し記憶しているのを見て驚く人々と出会った時。スティーブ・ジョブズも、十代の頃に両親より自分のほうが賢いことに気づく。マリー・キューリーはわずか5歳で、年長のきょうだいよりはるかにうまく本が読めるのを知って両親がショックを受ける。
2019年05月08日
孤立意識「わたしは我が道を行く・・・」
「ほとんどのイノベーターに共通して見られるのが、児童期や青年期に長い時間をひとりで過ごし、もともと関心があったものをさらに追及したことだ」という。いかに天才であっても、画期的なイノベーションを起こすには、集中して考える長い時間が必要だということだ。
Googleの共同創業者ブリンがロシアからアメリカに移住したユダヤ人であることは知っていたが、当初、これほど貧しかったとは知らなかった。そりゃ、覚悟が違うでしょうね。
29：アインシュタイン12歳になる頃には、もっぱら本を頼りに独学に励み、学校の授業よりも高度な数学を取得した。「彼の数学的才能は、あっという間に私が到底ついていけないレベルまで達した」（当時アインシュタイン家に出入りしていた医学生マックス・タルムート）39：マリー・キューリー友人の集まりや他人との付き合いを避け、物質的な富の価値を認めなかった。家賃がひと月15-20フランの、暖房も照明も水道もない狭い屋根裏部屋を借り、バターを塗ったパンと紅茶だけで何週間も暮らした。45：セルゲイ・ブリン（6歳のときに家族と共にアメリカに移住したロシア系ユダヤ人）「素晴らしい国だったが、私たちはゼロからスタートするしかなかった。とても貧しかった・・・・・アメリカに来て借りた家が小さくて、両親用の寝室がなかったためにキッチンに仕切りを作って寝ていた。(中略）（ユダヤ人という）バックグランドを持つ人間に最も大切なのは、苦難を乗り切り、生き残って成功することだ」49：孤独な時間は孤立意識を生む原因でもあるし、結果でもある。ほとんどのイノベーターに共通して見られるのが、児童期や青年期に長い時間をひとりで過ごし、もともと関心があったものをさらに追及したことだ。
2019年05月07日
非常識に発想し、実現できるのはなぜか？
イノベーション研究の第一人者として知られるMelissa Schilling教授（NYU Stern School of Business）による最新刊。
「偉大なイノベーターの生涯を詳しく調べてみると、彼らには特別な能力、性格、回復力、動機があり、時期や場所、人的ネットワークを巧みに利用していたことが分かる」
と言われれば、凡人は諦めなければならないのかと落胆しそうだが、結論はそうでもない。
「同時に、私たちが異端的な発想や想像力を育み、アイデアを実現するためにはどうすればいいのかもわかる。つまり、イノベーターがなぜ特別なのかを理解すると、私たちの内にあるイノベーションの可能性を育む方法がおのずと明らかになる」
長年、筆者は、研究調査の一般的な方法、つまり、大量にサンプルを集めてデータ化し、統計分析しようとした。しかし、画期的なイノベーションを量産する人々はごくわずかなので、統計分析しようがなかった。
そこで限られた数のイノベーター（幸運に恵まれた一発屋ではなく長年にわたり画期的なイノベーションを量産する人々）の生涯を徹底研究する「複数ケーススタディ」と呼ばれる手法を使うことにする。比較の対象となるコントロールグループはそれ以外の一般人だ。
研究のためには十分な実績があり、かつ、正確な記録が残っていなければならないことから、あまりに古い人物は外させる。選ばれたのは、アイシンシュタイン、テスラ、キューリー夫人、エジソン、ジョブズ、マスク、である。
序文6：アイシンシュタイン26歳のときわずか4か月のあいだに宇宙、時間、室料、エネルギーについての科学会の理解を完全に変えてしまう4つの論文を書き上げた。(中略）さらに驚異的なのは、この離れ業を特許審査官として働きながら行った点である。そうせざるを得なかったのは、あらゆる物理学部から教授職の提供を拒否されたからだ。8：イーロン・マスクイーロンが境界を超えられたのは、解決困難な新しい問題に取り組むのを楽しみ、自分にそれをする能力や資格があるかどうかなど一切意に介さない奇矯な特性があったからだ。17：奇癖ともいえる特質ほぼ全員が、社会から孤立した生き方。21：「個性」と、個性がイノベーションを導く「メカニズム」の区別画期的イノベーションを量産する人間は真似のできない稀有な存在であっても、私たち一般人の内にある革新性の可能性を発見し解き放つために、いくつかのメカニズムを利用できる。
2019年05月06日
エピローグ 森へ
紆余曲折の末、ニュルンベルク裁判に盛り込まれた「ジェノサイド」。ジェノサイドが「全人間集団の存在の権利」を否定するものであることを特筆した上で、国連総会は「ジェノサイドが国際法上の犯罪」であると確認した。
ただ、ジェノサイドは（人道に対する罪と違って）集団に重点を置いているため、「ジェノサイド」という用語だけでもう、「彼ら」と「我々」という意識を先鋭化させる。結果、集団としてのアイデンティティが燃えあがり、本来その解決を目的としていた悪しき状況が続いてしまうことになりかねない。
25年前にジェノサイドが起こったルワンダでは、国連推計で80万人のツチ族（ツチ人口の3/4）が多数派のフツ族によって殺された。ツチ族の反撃でフツ族も3万人が死んだ。その後種族を語ることはタブーとなり、ベルギー植民地時代に始まった身分証明書への種族記入も無くなった。
その点、住宅開発庁（HDB）が供給する高層住宅に国民の8割以上が住むシンガポールでは、1989年から民族統合政策（EIP）により、民族が特定地域に固まらないようにしている。民族ごとのエリアができると、社会階層が固定化し、社会的緊張が高まる恐れがあるからだ。
531：1946年12月11日国際連合総会国際人権章典へいたる道筋の準備を期し、国連総会でニュルブルクリンク憲章によって認められた国際法の諸原則が国際法の一部をなすことが確認された。国連総会決議95により、国連総会はラウターパクトの考え方を支持し、新世界秩序のなかで個人の位置付けを明確にすることを決定した。次いで国連総会は総会決議96を採択する。これはニュルブルクリンクの裁判官たちの決定を超え、さらに踏み込むものとなった。ジェノサイドが「全人間集団の存在の権利」を否定するものであることを特筆した上で、国連総会は「ジェノサイドが国際法上の犯罪」であると確認した。二の足を踏んでいた裁判官たちと違って、各国政府はレムキンの著作が訴えた犯罪を法的に正当化したことになる。532：レムキンは人生の最後の十年間を、各国に対する条約への参加を促す交渉に費やすことができた。1959年に彼がNYで心臓発作で死ぬまでに、フランスとソ連が批准している。英国は1970年に加入し、合衆国はレーガン大統領の西ドイツ、ビットブルク墓地訪問後の論争をへたあと、1988年に批准した。536：集団に重きを置いた「ジェノサイド」という用語だけでもう、「彼ら」と「我々」という意識を先鋭化させ、集団としてのアイデンティティが燃えあがり、本来その解決を目的としていた悪しき状況が無意識のうちに生じてしまう。つまり、ある集団が他集団との角突き合わせやすくなる状況を生み出し、和解はますますむずかしくなる。
2019年05月05日
判決
ニュルンベルク裁判では、「ジェノサイド」と「人道に対する罪」を巡ってさまざまな駆け引きが展開される。英米検察官に対して大きな影響力を持っていたのはケンブリッジ大学国際法教授であったラウターパクトで、ニュルンベルク裁判そのものが人類史上初めて「人道に対する罪」で被告人たちを裁くことを前提としている。
一方、最後までもめたのがジェノサイド。レムキンは「人種差別にもとづく動機や特定の文化全体を破壊したいという欲求」が、人道に対する罪をはるかに超えた「特別に危険な犯罪」であることを示す必要がある、として執拗に「ジェノサイド」を認定することを各国代表団に働きかける。
これに反対したのがラウターパクトで、集団に重きを置くことで、個人の人権保護の視点が弱まるとして反対する。「人道に対する罪」が国際法で定義されていなかったとはいえ、それまでの文明国各国の国内法にある延長で受け入れやすかったのに対し、ジェノサイドが全く新しい概念であったことも各国を躊躇させる。
もっとも、各国が最も恐れていたのは、レムキンがいうように戦争開始以前の行為まで対象に入れてしまうと、過去の自分たちの国家行為まで罪に問われかねないことだった。米国はアメリカ先住民族を抹殺し、強制的に集団移住させていたし、英国もインドなどの植民地で特定部族を何度も抹殺していた。
474：人種差別にもとづく動機や特定の文化全体を破壊したいという欲求（レムキン)ジェノサイドの罪を問うことは、被告人たちが人類の敵だということを暴露するためのより広い法廷戦略の一部として活用されるべきで、人道に対する罪をはるかに超えた「特別に危険な犯罪」であることを示す必要がある。480：ラウターパクトは個人的と思われるようなことへの言及はすべて剥ぎ取り、ポーランド人の処遇について、そしていうまでもなく「ジェノサイド」という用語について、彼は何も書かぬ。彼はレムキンのアイデアに対して、執念深く背を向けたままだった。490：ショークロスの見事な法廷演説として決定的な足跡ショークロスは裁判官たちに殺戮の一現場を再現してみせた。十年間にわたる残虐行為を凝縮して突き付けた強烈な一場面である。493：ショークロスはレムキンの用語を使ったが、限定的レムキンは戦争が始まる以前、1933年からのすべての集団殺戮を犯罪にしたかった。ショークロスは、彼みずから明確にしているように、もっと制限を付した意味で使っている。「ジェノサイド」とは加重された「人道に対する罪」であるが、戦争に関連してなされた場合にのみ成立する。509：ジェウキエフでラウターパクト家と同じ通りに住んでいたわたしの祖母マルケ・フラッシュナーは、今度はトレブリンカで、レムキン家の人たちと同じ場所で死んでいった。
2019年05月04日
シンガポール総括
5日間いただけで総括もないものだが、毎日、現地生活の長い（最長16年！）駐在員、生活者、それも日本人だけでなく、インド人、イタリア人、デンマーク人、イギリス人、そしてもちろんシンガポール人とはたくさん話したので、彼らの話に自分の印象を重ねてみる。
１．アメリカみたい
一言でいえば、アメリカの印象に近い。世界中から人が集まっていて、共通の価値観は「金儲け」(笑)。二言目には「いくらだ？」で、話が早い。機会を逃したくないので、常に広くアンテナを張って、とりあえず話は聞いてみる。興味がなければ話は終わり。時間を無駄にしない。
２．移民の国
これもアメリカとの共通点だが、シンガポールは移民の国。イギリス植民地時代に、錫鉱山やゴム農園の労働者としてやってきた主に福建省や広東省出身の中国人と、主にインド南部からやってきたインド人が中心だ。もともとはマレー人が住んでいたわけだが、シンガポールは中国人とインド人が多く、政治的にマレーシアと対立したシンガポールは1965年に連邦から追放される形で独立する。そのため、公用語は、英語、中国語(マンダリン）、マレー語、タミール語の４つある。そのため、最低でも、第一言語の英語と各民族の母国語は喋れる。華僑のシンガポール人に聞いたら、「中国語は小学校から毎日1時間やった」という。
３．期間労働者の国
もともとは移民の国だが、地域で一番の経済発展を遂げたシンガポールは、現在では厳しく移民を制限している。許されているのは、�〇饂魂函↓�高所得者、�４�間を限定した労働力。労働力は、マレーシアやタイ、インドネシア、フィリピンなど、周辺国から労働者を受け入れて、労働力不足を補っている。130万人の外国人のうち、100万人が低賃金労働者である。実に、シンガポール労働力の1/3が外国人。
４．駐在員の国
アジアのビジネスの中心となっているシンガポールは、世界的企業のアジア統括オフィスが集中している。この点、東京は完全に負けている。英語で仕事も生活もでき、社会インフラもイギリス植民地時代からの土台の上に、世界各国から合理的に取り入れていてわかりやすい。
５．金持ちの国
所得税が低い一方、社会保障はあまりない。あからさまに、金持ち優遇政策。例えば、アメリカと同じで、公的医療保険制度がないので（低所得者を除く）高額の民間医療保険に加入しなければならない。このため、富裕層を対象にした高度医療を施す病院がある一方、街のクリニックは手軽な医療をなるべく安いコストで提供しなければならない。クリニック経営のDrはコストに敏感で、医療機器も日本より安い印象。
2019年05月03日
シンガポール⇔KL バス移動
今回のシンガポール滞在中、用事が出来て週末にKLに行くことにした。手段としては、飛行機、バス、鉄道がある。調べたところ、「バスがオススメ」とあったので、日本で事前に予約した。
飛行機だと、空港まで1時間＋1時間前に到着＋飛行時間1時間＋KL入国審査30分＋KL市内まで1時間＝4.5時間。バスだと5時間でそれほど変わらない。事前予約だと価格も片道SGD20-30（2千円くらい）と格安
陸路で国境を越えることは滅多にないので、これも楽しみ。
ところが・・・結果的に、8時間くらい掛かってしまった
まるまる1日だ。日本からシンガポールに行くのと変わらない。なぜこうなったのかと言うと、�．轡鵐�ポール市内の移動・・・30分
これは市内のどこに滞在しているかによるが、バスはGolden Mileという場所から出る。そして、Golden Mile ComplexとGolden Mile Towerという二カ所あるので注意！私は、バスで向かい、最初にあったTowerでまっていたら、チェックイン時間になってカウンターで「あなたの予約したバスはここじゃない」と言われ、慌てた。Complexは並びなのだが、間にホテルがあって、分かりにくい。
�▲丱垢僚佝�が遅れた・・・30分
出発時間になったが、一体、どこでどのバスを待てばいいのか皆目見当がつかない。シンガポールの市内バスは、バス停に、どのバスがあと何分で到着するか電光掲示板があり、とても分かりやすい。そのつもりで、長距離バスも同じだろうと考えていたら、とんでもない。Golden Mileにはバスの運営会社が10社以上軒を連ね、色んなバス会社の行き先の違う場所が狭い駐車場で混とんとなっている。自分のバスがもう出てしまったのではないかと焦る。幸い、同じように駐車場で待っている人に声をかけたら、「同じバスだ。まだ来ない」ということになり、一緒に待った。
�９餠�越え・・・1.5時間
国境を越えるバスでシンガポールの出国手続きと、マレーシアの入国審査が激込み。施設内はそれほどでもないのだが、施設にたどり着くまでそれぞれ30分くらい渋滞しているのだ。手続きそのものと合わせて大幅ロス。
��KL市内の渋滞・・・1時間
KLセントラル駅でMRTに乗り換えることにしていて、セントラルまでバスで行ったが、KLはいつも通り、市内は混む。先に停まる郊外のBTS（バスターミナル）から電車で市内に入ったほうがいいかもしれない。
ということで、バスの予定時間5時間を3時間上回ってKLに到着。帰りは、KL市内の渋滞はそうでもなかったものの、やはり国境越えで大渋滞。しかも、地域で一番豊かな国であるシンガポールは入国審査が出るときよりも厳しい。シンガポール人と滞在許可証を持っている人は別として、日本人も含め、Other Passports所持者は長い列に並ばされる。今回は、私の前に中国人の小学生が50人もいて、審査にたどり着くまで20分以上掛かった。
私が最後ではないかと慌ててバスに戻ったら、まだ揃っていなかった。フィリピン人の家族がいたらしく、審査で時間が掛かったようだ。私からさらに15分遅れてバスに戻り、やっと出発。飛行機なら、入国審査が終わった人から飛行所を出られるが、バスの場合、最後の乗客が戻るまで出発できない。
結局、帰りも3時間遅れ。週末は、シンガポールに出稼ぎに来ているマレーシア人がバスでたくさん一時帰国するので一層混むようだ。平日の移動ならそれほど遅れないのかもしれない。いずれにしても、そんなわけでバスは時間が読みずらい。予定通り到着するつもりでアポ入れないほうがいい。
2019年05月02日
"Baby factory" of the British Empire
今回の学会が開かれたKK Women's and Children's Hospital（通称KK Hospital）はシンガポール最大の産婦人科・小児科病院。研究と教育機能も持っていて、NUSなどトップ校の医学生がインターンをしている。830床。
設立は1858年というから、日本でいえば江戸末期。KKはKandan Kerbauというマレー語のこの付近の地名だという。当初は総合病院だったが、1924年に無料で出産できる産科病院となる。
1942年に日本軍がシンガポールを占領してから敗戦までは、「昭南中央病院」と呼ばれ、主に日本人戦傷者が利用した。
1950-1960年代、シンガポールはベビーブームで、月間の出産数は1000以上あったという。日本最大の産科病院の「年間」出産数が1000行かない(現在）。1966年の出産数は39,835を記録し、ギネス世界記録。"Baby factory" of the British Empireと呼ばれた。
1963年、Royal College of Obstetricians and Gynaecologists（RCOG)から、ロンドンに来なくとも、トレーニングを全て現地でやってよいという許可が出る。しかし、学会で話していると、イギリスの医学校へ行っていたり、イギリスでトレーニングしたというDrはかなりいる。教育システムが同じなので、イギリス人やインド人のDrも働いている。
2016年、1966年のギネス世界記録から50年を記念して、「同じ病院で生まれた人の同窓会」が開かれる。2241人が集まり、再びギネス世界記録。
2019年05月01日
世界の動き、お金の流れを読み解く
食料問題は、過去何度も投資テーマになってきた。しかし、食料価格が上がれば作付面積は増え、あるいは機械化や遺伝子組み換えで生産性が上がり、これまでのところ、デジタル革命のような大きな投資テーマになっていない。
こんどこそ食料問題や水問題が深刻になり、大きな投資チャンスが訪れるのか
・人、モノ、芸術、すべてはお金の流れについていく世界の債権国は、中国、日本、シンガポール、すべてアジア。・安易な増税は狂気の沙汰私が日本の政治家だったら、お金を刷るのをやめて債務を減らす努力をし、減税して大幅に支出を減らし、関税も減らす。そして移民を受け入れる。・食料を生産できれば、あなたの将来は安泰農業の担い手が不足するので、金儲けが期待できる。・13億人の中国人が旅する市場に勝機あり・水にまつわる問題は、戦争よりも深刻中国に関して、長期的な懸念は水不足。飲料水だけでなく、工業用水、農業用水などすべてが問題。中国やインドはそこがネックだと気づいているので、対策は進めている。・北米に投資するなら、アメリカよりカナダアメリカのように巨額の債務を抱えておらず、資源も豊富。たくさんのアジア人が移民しているバンクーバーは将来的に現在のNYのような場所になる。
