2018年06月
2018年06月30日
企業カフェ＆レストラン
六本木周辺には余り用のない私だが、たまに打ち合わせ等で使うのが、乃木坂駅近くにあるMercedes Me。一階がカフェ。値段は普通のカフェ並みで、その割には広々としている。二階がレストランで、こちらも、値段はランチで1000-1500円位で普通なのだが、やはり広々としているし、接客が高級店並み。隣のテーブルを気にせずに、落ち着いて話ができる。
同じ自動車メーカーでは、最近オープンしたLEXUS MEETSもいい。入居している東京ミッドタウン日比谷自体が大人気になっていて、Cafe SPINDLEも週末は大混雑。場所もいいので、平日ならいい感じ。値段は高め。
面白いのは、最近、部品メーカーにまで同様の動きがあること。ドイツの自動車部品最大手BOSCHは渋谷の日本本社ビルでCafe 1886を運営している。1886は同社のシュツットガルトでの創業年にちなんでいる。"intel inside"同様、部品メーカーもブランド確立を目指しているということだろう。
どこも自社のブランド価値を上げるために行っているので、内容やサービスがワンクラス上。コスパは高いと思う。
2018年06月29日
人類史上最大の「優生学」プロジェクト
人類遺伝学の歴史が教えることは、「違いを知る」ことは最初こそ「知る」ことに重点を置いていたものの、最終的には「分ける」ことに重点を置くようになったことだという。ナチスの科学者による大規模な人体計測プロジェクトも、かつては「ヒトの違いを知る」として正当化されていた。
しかし、人類史における史上最大の「消極的優生学」プロジェクトは、1930年代のユダヤ人大虐殺ではないという。
「それよりはるかに大規模な優生学プロジェクトがインドと中国でおこなわれており、幼児殺しや、妊娠中絶、ネグレクトにより、1000万人以上の女児が成人する前に姿を消している。邪悪な独裁者や残虐な国家というのは優生学の絶対的な必要条件ではない」
127：ミトコンドリア・イヴすべての人類のミトコンドリアの系統をたどると、20万年前にアフリカにいたひとりの女性へとたどり着く。彼女は人類の共通の母親である。どんな姿をしていたのかはわからないが、最も近い現代の種族はボツワナとナミビアのサン族と考えられている。204：1990年代になって、飢餓を経験した男女の孫を調べた結果、やはり肥満や心疾患を高頻度に発症することがあきらかになったのだ。深刻な飢餓によって遺伝子が変化したのは、飢餓を直接経験した人々だけではなく、そのメッセージは孫にまで伝わっていた。なんらかの単一の遺伝因子、あるいは複数の遺伝因子が実際に飢餓を経験した男女のゲノムに刻み込まれ、少なくとも二世代へと受け渡されていた。240：トランスジェニック動物1990年代初頭までに、さまざまな遺伝子の機能を解明する目的で、何百系統ものトランスジェニックマウスが世界中の研究室でつくられた。クラゲの遺伝子をゲノムに導入されたマウスは暗闇の中、青い照明の下で光を放った。さまざまな成長ホルモン遺伝子を導入されたマウスは正常の二倍の大きさになった。アルツハイマー型認知症、てんかん、早期老化を引き起こす遺伝子を導入されたマウスもいた。311：ゲノム編集ダウドナとシャルパンティエが2012年に、Crispr/Cas9と名付けた微生物の防御システムについてのデータを『サイエンス』に発表すると、その論文はすぐに生物学者の想像力に火をつけ、ふたりの歴史的研究が発表されてからの3年間で、この技術は爆発的に広がった。
2018年06月28日
ヒトゲノム解読競争
昨日は1970年代の世界初の遺伝子薬の話だったが、この辺から自分にとってリアルタイムになってくる。90年代後半に繰り広げられた「ヒトゲノム解読競争」である。
主なプレーヤーは二人。片や政府予算を潤沢に使うNIHのコリンズ所長と、もう一人はNIHのヒトゲノム研究の第一人者だったものの、遺伝子断片配列について特許を出願したことが批判され、NIHを去ったクレイグ・ヴェンダー。ヴェンダーは1998年にパーキン・エルマーの出資で、Celera Genomicsを設立していた。
資金的に劣るヴェンダーは、様々な工夫で開発スピードを上げ、そのことに慌てたクリントン大統領が、二者をホワイトハウスに呼んで、共同の記者会見をさせる。2000年6月26日に行われたヒトゲノムの概要配列の解読が完了のタイトルは"DECODING THE BOOK OF LIFE"。
「20世紀の最初の数週間にメンデルの遺伝の法則が再発見されると、遺伝情報の性質と内容を理解するための科学の探求が始まった。そしてその探求が、ここ100年の生物学を牽引してきた。科学的な進歩は、それぞれがほぼ四半世紀に相当する主要な4段階に分けることができる。
第一段階では、遺伝の細胞レベルの基盤である染色体が明らかになった。第二段階では、遺伝の分子レベルの基盤であるDNAの二重らせん構造が明らかになった。第三段階では、細胞が遺伝子に含まれる情報を読むための生物学的なメカニズムの発見と、科学者が遺伝子情報を読むためのクローニングと解読の技術の発明によって、遺伝子情報の基盤（遺伝暗号）が解明された」
（2001年2月15日『ネイチャー』）
39：飛散防止サングラスを開発した企業家で大富豪のロバート・グレアムは1980年、CAで精子バンクを創設した。精子バンクには「最も知能が高い」男性たちの精子が保存されており、健康で知性的な女性と人口受精させる場合に限って、そこの精子を入手できるとされていた。74：統合失調症一卵性双生児での一致率が50%しかないという事実、つまり双子のうちのひとりが発症した場合にもうひとりも発症する確率が50%しかないという事実は、病気の発症には素因だけでなく、なんらかの他の誘因（環境要因や偶然の出来事）が必要だということをはっきりと示している。しかし、両親のどちらかが統合失調症の場合、子どもが生後すぐに統合失調症の患者のいない家庭に養子に出されたとしても、依然として15%から20%の確率で（一般の人の20倍の確率で）統合失調症を発症することが知られており、その事実は、遺伝子の影響が強力かつ自律的であることを示している。96：セレーラ社のほうも、この熾烈な競争で後れを取る気はなかった。個人投資家からの資金で潤うと、解析スピードを二倍にあげた。線虫ゲノムの『サイエンス』での発表から9か月後の1999年9月17日、セレーラ社はマイアミのフォンテンブロー・ホテルで大規模なゲノム会議を開き、戦略的なカウンターパンチを食わせた。キイロショウジョウバエのゲノム解読を完了したと発表したのだ。99：2000年6月26日ホワイトハウスにてヒトゲノムの概要配列の解読が完了したことを発表宣伝に関しての確かな嗅覚を持つクリントン大統領は、その競争のニュースが政府の面子を潰すことになりかねないことに気づいた。とりわけ、公的プロジェクトであるヒトゲノム計画ではなく、セレーラ社のほうが最初に勝利宣言をしたりしたら大変だった。103：2001年2月15日と16日、ヒトゲノム計画とセレーラ社はそれぞれ、『ネイチャー』と『サイエンス』に論文を発表した。どちらも非常に長い論文で、ほぼ雑誌一冊分を占めていた。あらゆる偉大な科学論文というのは、それ自身の歴史との対話である。
2018年06月27日
世界初のバイオベンチャー
世界初のバイオベンチャーと言われるのが、1976年に設立されたジェネンテック社。UCSFの研究者であったハーブ・ボイヤーを28歳のベンチャー投資家ロバート・スワンソンが説得して設立した。最初の製品が合成インスリン。
「インスリン合成はそれまで何度も試みられてきたものの、いまだにウシとブタの内臓をすりつぶしたものからつくられていた。450gのインスリンを得るのに3600kgもの膵臓を必要とする」(p344）
同時期にハーバード大学のDNA化学者ウォルター・ギルバートも遺伝子クローニング技術を用いたインスリン合成に乗り出していて、世界中の研究所が遺伝子操作技術を使って開発競争の様相を呈していた。
ジェネンテックを救ったのが政府「規制」だったというのが面白い。開発者のボイヤーはそれを「科学の発展を妨げるもの」として声高にけなしていたが、競争していたハーバード大学のギルバート研究室はじめほとんどのところが、天然のヒト遺伝子をクローニングすることについてアシロマの規制に縛られていた。ジェネンテックでは科学的に合成したインスリン遺伝子を使っていたので、規制対象のグレーゾーンだった。さらに、政府の補助金が入っている大学の研究室と違って、民間企業であるジェネンテックはガイドラインに縛られる必要がなかったのだ。
それにしても、創業にあたり、大手VCであるクライナー・パーキンスが投資したのがたったの10万ドルというのが隔世の感あり。それも、50万ドルの要請をしたのを1/5に値切っているのだ
今なら、10億円単位でしか出さないクライナー・パーキンス（その後合併して現在KPCB）がたったの10万ドル
規制を守らなければならない立場のハーバード大学のギルバートは、「エアロック控室を通り抜け、ホルムアルデヒドに靴を浸して洗浄してから狭い部屋に入り、そこで実験しなければならなかった。一方のジェネンテック社では、DNAを合成して最近に挿入していただけだった。NIHのガイドラインを遵守する必要すらなかった」。おまけに、ハーバード大学はDNA合成に反対する市民のデモに取り囲まれていた。
ジェネンテック社は1990年にスイスの製薬企業ロシュ傘下となり、2009年に468億ドル（5兆円）で完全子会社化された。ボイヤーとスワンソンのその後が気になる。
230：核酸の分子構造「あまりに美しく、真実でないわけがなかった」ワトソン271：1950年代、CALTECのショウジョウバエ遺伝子学者のエドワード・ルイスは、ショウジョウバエの廃発生を再現する実験を始めた。ルイスはまるでたったひとつの建築物にしか興味がない建築史家のように、20年近くもショウジョウバエの発生を研究し続けてきた。
344：3時間が過ぎ、ビールを三杯飲みおえたころ、ふたりはついに暫定的な合意に達し、会社を設立するための法定費用をそれぞれが$500ずつ負担することになった。スワンソンは6pにわたる計画書を書き、かつての雇い主であるVC、クライナー・パーキンスに50万ドルの出資を依頼した。クライナー・パーキンスは依頼書にざっと目を通したあと、出資額を1/5の10万ドルまで減らした。350：ジェネンテックのインスリン合成皮肉なことに、彼らを救ってくれたのはアシロマ会議だった。ボイヤーが声高にけなしていた、まさにその会議だ。連邦政府から資金を提供されているほとんどの大学と同じく、ハーバード大学のギルバートの研究室も、組み換えDNAについてのアシロマの規制に縛られており、「天然の」ヒトの遺伝子を単離し、それを大腸菌の細胞でクローニングしようとしているギルバートのチームにはとりわけ厳しい監視の目が向けられていた。一方のリウスと板倉はソマトスタチンの例にならって、科学的に合成したインスリン遺伝子を使うことに決め、ヌウレオチドをひとつずつつないでゼロから遺伝子を組み立てていくことにした。合成遺伝子、つまり、むき出しの化学物質として組み立てられたDNAはアシロマの規制対象のグレーゾーンに位置しており、うまくいけば規制を受けない可能性があった。さらに、民間資本の会社であるジェネンテック社も、連邦のガイドラインの適応対象外である可能性が高かった。そうした事実が組み合わさって、ジェネンテック社は決定的に有利な立場に立った。
2018年06月26日
親密なる人類史
「世界を根本から揺るがすような3つの科学的概念が20世紀を3等分した。原子と、バイトと、遺伝子だ」(p24）
筆者はインド出身で、がん研究の医師。Stanford（生物学）→Oxford（Rose奨学生で免疫学専攻）→Harvard Medical Schoolというから、超優秀なのだろう。おまけに、デビュー作『がん・4000年の歴史』ではピュリッツァー賞を受賞した。しかし、叔父二人と従兄一人は精神疾患で、「遺伝や家族について考えなかった日は1日もない」という。
著者の一族は東ベンガル(今のバングラデシュ）の出身。1946年イギリスからの独立の際に、旧植民地一国としての独立を目指したガンジーの願いは叶わず、ヒンドゥー教徒が主体のインドとイスラム教徒が主体のパキスタンに分かれて独立することになった。インドの東と西では、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒が長年混在して暮らしてきたが、分離のために、互いに先祖代々暮らしてきた土地を捨てて、ヒンドゥー教徒はインドに、イスラム教徒はパキスタンに大移動を強いられた。この混乱が、「カルカッタ虐殺」をはじめとする宗教対立につながる。筆者の父と祖母は、叔父たちの精神疾患がこの混乱によって悪化したと信じており、原因ですらないかと思っていたという。
上下巻それぞれ400ページを超える大作。3回に分けて紹介したい。
プロローグ14：少なくとも2世代にわたって、狂気はムカジーの家系の中に存在しており、モニの診断を受け入れたくない父の気持ちの一部には、同じ病の種子が、まるで有毒な廃棄物のように彼自身の中にも埋められているのではないかという恐ろしい認識があった。18：カルカッタ虐殺その年（1946）の8月にはヒンドゥー教徒とイスラム教徒とのあいだで激しい衝突が起きて5000人が殺害され、10万人が家を追われた。ラジェッシュはその夏、暴徒の波が押し寄せるのを目の当たりにした。ヒンドゥー教徒がイスラム教徒をラルバザールの店やオフィスから引きずり出し、道路の真ん中で生きたまま内臓を抜いた。イスラム教徒はラジュバザール近くの魚市場やハリソン通りで同じくらい残忍な方法でヒンドゥー教徒に反撃した。ラジェッシュの精神がおかしくなったのはこうした暴動のすぐあとのことだった。22：複数の世代にわたって精神疾患が存在する家系を分析した結果、双極性障害と統合失調症には強い遺伝的な関連がある。（2009スウェーデン研究者）
2018年06月25日
2018株主総会
今年もまた株主総会シーズン。年に一度くらいは投資先の経営陣をこの目で見たい。そこで、なるべく出席したいのだが、昔に比べて集中度が落ちたとはいえ、22日、26-28日の4日間で3月決算上場企業の8割が総会を実施する。当然、1日に3-4社が重なってしまう。時間がずれていればいいのだが、99%の会社が10時開始。何とかならないものか
さて、今年の総会で面白いと思ったのが、OB株主とユーザー株主。どこの上場企業でも退職したOB株主はいるものだが、会社によって熱量が違う。業績も株価もよければ機嫌もいいのだろうが、そうでなければ、普通の株主以上に内部事情に詳しいから、詳細な質問をする。今年で言えば、住友化学。業績はいいのだが、株価は低迷している。私は初めて出席したのだが、毎年たくさん質問するOB株主がいて、社長に顔を覚えられていた（笑）。
もう1社初めて出席したのがSUBARU。こちらは以前から保有していたのだが、一連の不祥事で株価も低迷。初めて総会に足を運んでみた。こちらで目だったのはユーザー株主。流石、SUBARU。スバリスト達は業績よりも車のことが気になるようで、さかんに車種構成や新車開発状況など質問していた。今回で社長交代する吉永社長も、「ここで答えるのが適当か・・・」とためらいながら、結局答えていた。
小学生の頃に、成人するまでの小遣いを一度に貰った原資で株式投資していたという村上世彰は別格としても、経済活動の中心である企業の仕組みを知るために、子供名義で株を持たせるのはとてもいいと思う。お年玉を貯めた10万円で買える株はいくつもある。
2018年06月24日
ソ連に占領された北海道
難解。小説でこれほど難解なのは珍しい。
舞台は、第二次世界大戦後の日本。北海道は、ソ連に占領され、本州と沖縄はアメリカに占領されている。実際、ソ連は今でいう北方領土に次いで、北海道まで占領するつもりだったから、ソ連の侵攻が数日早ければ、あるいは、アメリカが強硬に反対しなければ、そうなっていただろう。
興味深いのは、本州が占領下からの独立後(1952）、「連邦国家インディアニッポン」になっていること。日本とインドが連邦国家として、日本は一つの州になっているのだ。その結果、本州ではインド風の本格的カレーが主流となり、ライスカレー文化は北海道にしか残っていない
第二次世界大戦後北海道はソ連に占領、鱒淵いづるを指揮官とする抗ソ組織はしぶとく闘いを続ける。やがて連邦国家インディアニッポンとなった日本で若者四人がヒップホップグループ「最新"」（サイジン）を結成。だがツアー中にMCジュンチが誘拐、犯人の要求は「日本の核武装」――歴史を撃ち抜き、音楽が火花を散らす、前人未到の長編。
2018年06月23日
仕事でのコミュニケーション手段
今週、東京である経営者と話していたら、「最近の子はCCが分からないんですよ！」という。「メールでCC入れておいて」と最近入社した社員に頼んだから、「CCってなんですか？」と聞かれたというのだ。
思えば、仕事で日常的にeメールを使い始めた90年代初め（当時、働いていた米国では社内メールは一般的になっていた）、私もCCやBCCの使い方を教わったっけ。2000年頃には日本でもインターネットを使ったeメールが普及し、当時は解説本や雑誌の特集が沢山あったと思う。
それから、約20年。今や「GoogleなどIT先進企業ではメールなんて使っていませんよ」という本が出る時代。では何を代わりに使っているかというと、チャット(メッセージ）アプリ。欧米では仕事用にSlackが人気。欧米ではSNSもプライベートはFacebook、仕事はLinkedInと使い分けるのが一般的だが、日本では、フリーランスは少なく、転職の頻度も欧米ほどではないので、仕事用SNSのニーズは低そうだ。
多くのチャット(メッセージ）アプリは、そのまま会話もできるので、「話したほうが早い」となれば、複数で即席の電話会議もできる。私も今週は、ソウルの大学で教えるオランダ人＋KLで会社経営するギリシャ人とでSkype会議。もう一回は、SVで働いているフィンランド人の起業家（2年前にフィンランドで紹介された）とFB Messenger会議。
どちらかというと、考えたうえで文章でやり取りするほうが確実だし、時差もあって効率的に思うのだけど、彼らは節目節目で話したがる。会話をすることで話が膨らみ、新しいアイデアが出ることに重点を置いている気がする。
2018年06月22日
経営におけるアートとサイエンス
Royal College of Arts（ロンドン）は、修士号・博士号を授与できる世界で唯一の美術系大学院大学である、らしい。「東京藝大はどうなんだ」と思ったが、学部もあるから、大学院大学ではないということか。美術系の大学では、世界一にランキングされている。
それはさておき、そのRCAで近年人気なのが、「グローバル企業の幹部トレーニング」だという。彼らは、功利的な目的のために「美意識」を鍛えにRCAの研修に参加するのだ。
Our graduates lead and influence many of the world’s global businesses (including CEOs of Burberry and Kia Motors; chief designers of Jaguar Land Rover, Bentley, Porsche and Samsung; industrial designers at Apple).
In 2016, the World Economic Forum ‘Future of Jobs’ research report highlights that by 2020, critical thinking and creativity will be in the top three most important business skills. The RCA is well placed to help businesses explore and embed their skills.
＊複雑化・不安定化した今のビジネス社会で勝つには、論理的思考だけでは不十分！「美意識」の重要性。・経営はアート（ワクワクするビジョンを生み出す）、サイエンス（ビジョンに現実的な裏付けをする）、クラフト（ビジョンを現実化するための実行力を生み出す）からなる（ヘンリー・ミンツバーグ）。これらをバランスよく、機能的に組み合わせる必要がある。・3要素のバランスを取るには、トップにアート型の人材、左右をサイエンス型とクラフト型で固めるのがいい。・市場のライフサイクルの変化に伴って、消費者が求めるベネフィットも変化する。最初は「機能」を重視するが、機能の差がなくなると、その商品が「自己実現」につながるかどうかを重視するようになる。・自己実現のための消費が増えると、モノやサービスはファッション的側面で競争せざるを得なくなる。その結果、論理と理性に軸足をおくサイエンス主導経営は、競争力を喪失していく。
2018年06月21日
AIの時代を生き抜くために
「破壊的イノベーションの脅威が現実になるまでの時間は約20年」「古い業界最大手が消えていくのが30年後」という目安は面白い。コンドラチェフの波では、技術革新による景気循環サイクルを約50年周期（40-70年）としているが、これは前回の景気循環ピークから次のピークまでが50年だから、イノベーションのプロトタイプから技術革新の完了まで20-30年というのはその半期ということで、大体合っている。
本書では、デジカメの例が出てくるが、1981年にSONYマビカという「デジカメの元祖」が出た時は驚かれたものの、性能で銀塩カメラには到底及ばなかったため、話題になっただけで終わった。1995年にカシオQV-10が大ヒットしても、大半は「高性能のフィルムカメラと、低性能のデジカメが棲み分ける」と考えていた。フィルムメーカー世界最大手のコダックが破産したのはマビカの誕生からほぼ30年後の2012だった。
猫と人間を区別でいる学習能力を備えたAIが出現したのが2012年。その20年後の2032年には、人間より賢いAIが人間の仕事を奪っているだろうと予測する。放っておけば、その時、「国民の1%が富裕層、49%が中流層、50%が政府からの補助金に頼って生きる貧困層という社会」になる。1%の富裕層はAIを作る側に回れる人で、49%がAIを利用できる人。そして、残りは、AIに仕事を奪われる人ということになる。
こんなディストピアを回避するには、AI/ロボット利用権を国有化して、利用に応じて賃金を国に払う。そして、それを国民に配分する。どうして、国有化が必要なのか？私有で課税ではダメなのか？国有化というのは共産主義と同じで、人間が常に合理的にコントロールできることを前提にしており、うまくいかない。
＊AI時代の「仕事消滅」の脅威・2012年に学習能力を備えたAIが出現。破壊的イノベーションの脅威が現実になるまでの時間は約20年なので、2032年には、人間より賢いAIが人間の仕事を奪っているだろう。そして古い業界最大手が消えていくのが30年後。・AIとロボットの機能は、「足→脳→腕→顔（表情）→手の指」の順に人間の能力を超える2035年に人間の能力を超える可能性高いのは、「足」「能」「腕」。この段階で、裁判官、管理職、経営者、研究者など、現在の仕事の半分はAIにとって代わられる。【ロボット経済三原則】�〜瓦討�AI/ロボットの利用権を国有化する��AI/ロボットの産業利用に対しては、その働きが人間何人分かを測定し、その仕事に応じた賃金を国に支払う。ただしAI/ロボットの家庭利用・私的利用については、賃金を支払う必要はない。��AI/ロボットに支払われた給料はそのまま国民に配分する。
2018年06月20日
全社員が自ら採算をつくる
京セラの創業者である稲盛和夫氏が、会社が大きくなっていく中で、いかに大企業病を防止し、組織の活力を維持するかに腐心して編み出したのが「アメーバ経営」。組織を「アメーバ」と呼ぶ独立採算制の小集団に分けて、分かりやすい指標で経営をガラス張りにする。
ただ単に小集団に分けて管理するだけでは、部分最適に陥る可能性がある。遠心力ともいえるアメーバをまとめているのは「フィロソフィ」（経営哲学）で、これが会社としての求心力になっている。2010年のJAL破綻後、稲盛氏が経営再建のため会長に就任した際も、まず新たな経営理念の確立から始まった。社内の意識改革のため、経営幹部約50名を集めて1か月間リーダー教育を実施したという。
「アメーバ経営」は日本人に向いていると思う。日本人は個としては弱い面があるが、「他人のために頑張れる」という点では強い。それも、顔を見たことのない概念的な集団には弱く、顔見知りにはとても親切だ。
＊アメーバ経営では、組織を「アメーバ」と呼ぶ独立採算の小集団に分ける。そして各アメーバは「売上最大、経費最小」という経営の原理原則に則って運営される。【アメーバ経営が目指すもの】�〜完�参加経営の実現経営をガラス張りに。月次の売上と経費の計画を立て、達成を目指す。日々の朝礼で実績が伝えられ、一人一人が計画達成のために主体的に努力する。��経営者意識を持つ人材の育成家計簿のようにシンプルな「時間当たり採算表」という収支計算表で各アメーバの経営成績を表す。��市場に直結した部門別採算制度の確率・会社を運営するための機能を、�￣超函↓∪渋ぁ↓８Φ羈�発、�ご浜�の４つに分け、それぞれの機能が最大限に発揮されるよう組織を編成する。【運用ルール】・成果は清算したモノの個数ではなく、「金額」でとらえる・例えば、生産個数に単価を掛けて生産金額を算出し、使った経費を把握する・労働時間などの「時間」をとらえ、社員が生産性や採算性の向上の成果を把握しやすくする・各アメーバの実績は、1時間当たりの付加価値額である「時間当たり」を指標とした、「時間当たり採算表」で表す【各アメーバのリーダーの役割】・経営トップが描く夢やビジョンをもとに、自部門の経営計画を立てる。経営計画には年度計画である「マスタープラン」と、「月次予定」がある。・月の初日から実績を着実に積み上げ、月末には確実に達成することを目指す。「日々採算」
2018年06月19日
学校への寄付
先週、国際電話が掛かってくる。仕事関係なら、あらかじめ時間を決めてSkypeで、というのが通常なので、ピンとくる。学校からの寄付依頼だ(笑)。
「毎年クレジットカード自動引き落としで寄付しているよ」と言ったら、どうやら登録していたクレジットカード期限が切れたらしい。「分かった、やっておく」と言ったところ、直ぐにURLが送られてきた。寄付額を選んで、カード情報を入れるだけなので簡単。そして、今週、手続き完了のお礼メールが届く。アポインターの肉声から始まり、システマティック。
15年前に私が日本人卒業生で初めてAlumni Board Memberになり、年に2回の会議でロンドンに行っていた頃、卒業生の寄付はアメリカの大学に比べてけた違いに少なかった。日本同様、政府の運営助成金が入っていたイギリスの大学には、「卒業生から寄付を集める」という発想が乏しかった。これでは長期的に競争できないということで、学校創立以来初めての寄付担当責任者が雇われ、徐々に体制が整ってきた。私も、Fundraising ambassadorに指名され、日本からの寄付額を1年間で三倍にした。
3年前の50周年記念キャンペーンでは、イギリスの大学として初めて寄付額が£100を突破。最終的に200億円を超えた。これで、懸案だった、新キャンパスが誕生した。
2018年06月18日
中国政府「暗黙の保証」
潰れる、潰れる、と言われ続けながら、もう何年も潰れてないのが中国バブル。ズバリ、「中国バブルはなぜつぶれないのか」をテーマにした本。
その理由は、一言で言えば、中国政府の「暗黙の保証」があるから、ということになる。その内容は、以下の通りなのだが、問題は、「では、この状態がいつまで続くのか」。例えば、外貨準備高の推移をみると、以前高い水準ではあるものの、2014年以降減少傾向にあり、4兆ドルから3兆ドルに1/3減っている。一方、対外負債は増加しており、5兆ドルに達している。
恐ろしいのは、この「暗黙の保証」があるために、バブルが膨張すること。「不動産も株も上がり続ける」と信じている点では、それが経済成長に対する過信か、政府の「暗黙の保証」によるものかの違いはあれ、バブルに繋がるのは間違いない。投資がリターンを生まなくても、ニューマネーが集まっている限りは破綻しない。しかし、資金の流入は減少に転じている。
軟着陸するためには、不良債権を補うだけの国富を生み出さなければならない。現時点での中国の最大の強みは、14億人という世界最大の国民のデータをプライバシーに配慮することなく利用できること。このため、AIで中国は世界をリードできる可能性がある。
＊中国の経済成長は政府による「暗黙の保証」に支えられている→バブル形成・「政府は社会的混乱を避けるために不動産価格や株価下落を抑え込むだろう」という投資家の期待・実際に、マンションデベロッパーが販売不振で値下げしたとすると、地方政府が介入し、前の値段で買っていたオーナーに損失補償させる→損することはないという思い込み・地方政府の官僚は、自らのキャリアを左右するのが担当地域の経済成長率であることをよく認識しており、全力で経済成長を勧めようとする。しかし、一つのポストに留まる期間は短く、大抵の官僚が多額の借金と投資によって、これを達成しようとする。
2018年06月17日
藝術喫茶「清水温泉」
「町の銭湯、『藝術喫茶』に衣替え」というので、多度津に行ってみる。多度津に行くのは何年ぶりだろう。近くなのだけど、行く機会が少ない。古くから港町として栄え、坂本龍馬も土佐藩を脱藩した後、ここから船に乗って本州へ渡った。しかし、30年前に瀬戸大橋が坂出にできてからは衰退する一方で、寂しい街になった。
藝術喫茶「清水温泉」があるのは、古い町並みが多少残っている本町1丁目。銭湯として営業していたのは、大正末期から昭和の終わりごろまでだという。銭湯の間取り、照明や壁掛けの扇風機も当時のまま。浴槽を生かしたテーブル席が面白い。
こんなことをやるのは地元の人じゃないだろう、と思ったら、やはり大阪の出身の方。店主の日高さんは八尾の出身だという。店内には、陶芸作品や盆栽もある。
「作陶や盆栽を手がけ、奈良市内でギャラリーを営んでいた。作品の購入者に町の人がいたことで、多度津との縁が始まった」
2018年06月16日
Catch me if you can
今週BSでやっていたのを見た。"based on a true story" 実話をもとにしているという。
その内容は驚異的。16歳の高校生Frankが、突然の両親の離婚で「どちらの親と暮らすか」を家庭裁判所に迫られ、家を飛び出す。たちまち食うのに困り、小切手を切るがすぐに残高はなくなる。パイロットの信用力の高さに目を付けたFrankは、制服を手に入れ、社員証を偽造して、まんまと当時世界最大の航空会社PanAmのパイロットになりすます（1960年代、パイロットは今以上に憧れの職業だ）。そして、給与小切手を偽造して換金、派手に遊ぶ。当時、航空会社同士で、搭乗空港に向かうため、互いのパイロットは無料でどの便でも操縦席に乗れる"deadhead"協定があったらしく、これを使って、世界中を旅行する。実際、26か国へ行って、PamAmが契約するホテルへ無料で泊まっていたという。
次は、卒業証書を偽造して医者に化け、病院で働く。若くて、ハバード大学医学部を主席で卒業したという触れ込みのFrankはいきなり救急外来の部長になって大きな個室を与えられる。ある看護師と恋仲になり、彼女の実家へ行ったところ、彼女のお父さんはアラバマ州の司法長官。それも面白そうだと、「実はUCバークレーで法律を学んだ」とウソをつき、お父さんのコネを使って検察官に。
小切手偽造で既に何億円も使っていたFrankに徐々に捜査の手が迫り、国外へ脱出。最後に母親の出身地であるフランスで逮捕されるのだが、その時までに、５年間で$4M（当時、現在価値なら数十億円か）を小切手詐欺で使っていたという。20年の実刑で刑務所で服役することになるのだが、彼の天才的な金融詐欺の知識と技能に目を付けたFBIから、金融犯罪の専門家として雇われる。
FBIとの契約は、「残り15年間の刑期をFBIで働くなら刑務所から出す」であったが、刑期が終わったとき、彼はそのままFBIに残ることを選択する。結局彼は、刑期の期間も入れ、40年以上FBIで働いているという。彼を執念深く追いかけて逮捕したFBI捜査官とは、彼が亡くなるまで終生友達だったそうだ。
当時世界を驚かせた史上最年少の詐欺師が、捕まえる側に回ったというのがいかにも現実的なアメリカらしい。日本でもありうるのか？金融庁には、証券会社で検査忌避をやっていた元社員が雇われているというが
Googleにも招かれて従業員に講演している。2018年06月15日
日本を思い世界に及ぶ
小説も書く国際弁護士は、エッセーも書いていて、これで7冊目だという。昨日紹介した小説の最新作『あの男の正体』に、戦前、日本最大の巨大組織である陸軍の軍医総監まで極めた森鴎外が、夜遊びにも行かず、寝食を削って小説を書いていたことに自らをなぞらえる箇所がある。
彼は、昼間の軍医の生活だけでも大変なのに、睡眠時間を削って、酒も飲まず、夜中に文学者としての仕事をしていた。でも、死ぬ直前の言葉は『馬鹿馬鹿しい』だったという話だ。(p181）
牛島氏は1949年生まれで、1975年東大法学部卒業。25-26歳で卒業ということは、受験浪人したのか、司法試験で卒業を遅らせたのか。その後、検事を経て、1979年に弁護士登録後、アンダーソン・毛利・ラビノウィッツ法律事務所で働いている。占領下の特例でできた外国法事務所で、今のアンダーソン・毛利・友常だ。私も何人か知り合いがいる。
検事として2年間を過ごした私は当時、弁護士としてのスタートが遅れてしまっていると感じていてなんとか追いつかなければと焦っていた。そこで、土曜日は事務所が休日であったにもかかわらず、常に出勤することにしていたのだ。だから、たまたま土曜日のオフィスにいた弁護士として、彼(パートナー弁護士）に私が呼ばれたのだろう。「明日、外銀の支店長が何人も集まる緊急のミーティングがあるので、そこに行って事態を説明してください」（中略）30年以上の時間が経って、こうして思い返してみると、あれは如何にも私個人にとってはスパルタ教育だったという感慨を催さずにはいられない。何しろ、突然戦場に放り出された見習士官のような場面の連続だった。(147)
9：こんな素晴らしい国が世界のほかのどこにあろうかと思っているのだ。毎日毎日感謝しながら生きている。特に自慢したいというのではない。押しつけるなどという考えは毛頭ない。ただ、外国人の友人たちも例外なく日本で暮らしていることを喜んでいるようなので、自分が日本人だから身勝手な感覚を持っているというわけでもなさそうだ。
25：日本は人余り？（ロンドンから来た友人）
「道路工事の現場には必ず旗振りの人がいるでしょう。いったいどうしてなのか分かりませんが、あんな人、ロンドンには皆無ですよ。だからって事故が起きたって話は聞いたことがありません。それに、お店に入ると店員の多いこと。なかには何もしていないようにしか見えない人もいるし」64：2002年に制定されたサーベンス・オックスリー法は、米国の公認会計士にとって天地がひっくり返るほどの衝撃だったと聞いた。それまでは会計のルールを初め、公認会計士というプロフェッションが支配していた会計の世界を国、すなわちSECが支配するようになったからだという。86：「パーストマンが1865年に死去したのと入れ替わりにビスマルクが外交界の主役に躍り出た」ことで「東洋は一時的に小康状態を得た」（倉山満『嘘だらけの日中近現代史』）中国でアヘン戦争をやり、アロー号事件を強行し、さらにインドではセポイの反乱を鎮圧したのがパーストマンであってみれば、もし命ありせば日本を植民地化しようとしたというのは、ありそうなこと。
2018年06月14日
所詮男と女
筆者のこれまでの一連の法律小説とは違う。初期の作品は、会社法の運用という筋があって、登場人物の心情描写などは脇役であった。著作全部を読んでないので分からないが、今回は、個人と組織の関係がテーマで、法律論はほとんど出てこない。物語の最後、どんでん返しに信託が使われているくらいだ。
著者は現役弁護士なので、依頼者である経営者をモデルにすることはないというが、「あとがき」にはこう書いてある。
書いているあいだじゅう私の頭の中に住んでいたあのビジネスマンも、巨大な墓石の下で喜んでくれているだろう。つい、上場企業で、経営者が現役で亡くなったのち、その秘書（愛人）がオーナーになったという例がなかったか調べてみたくなる。「男と生まれて、尊敬できる女性に出遭うのは人生の幸運の一つだ。愛する女と出会うよりも、ずっと難しい」というセリフは印象的。
「僕は女性に優しすぎたのだと思っていた。でも実は反対だったのかもしれない」
亡くなられる直前にそう言われてたことがあった。創業者として巨大組織に君臨し、この世の果実をすべて味わい尽くした人生の最後の言葉だった。私は弁護士として知り合い、組織のために働き、たくさんのことを教えられた。（中略）
亡くなられた後、彼の遺言を執行するために何人もの女性に会った。どの女性も老齢で、彼との日々を人生の宝石箱に納めていた。
181：森鴎外彼は、昼間の軍医の生活だけでも大変なのに、睡眠時間を削って、酒も飲まず、夜中に文学者としての仕事をしていた。でも、死ぬ直前の言葉は『馬鹿馬鹿しい』だったという話だ。184：自分で自分を騙すことができるっていう能力。嘘でもなんでも、自分で本当と思ったことしか行ってないと信じられること。288：人間、経験を積むってことは、ものごとに慣れるってことだ。目を瞑っていても、いつもの手順でやるのならいともたやすくできてしまう。そいつが危険なんだ。それが、人間の未来を閉ざす、腐らせる。292：戦後すぐ、満映（満州映画協会）のエッセンスが東映に集まった。その東映を育てたのが、五島の右腕で数字に明るい大川博。後の東映の社長だ。383：男と生まれて、尊敬できる女性に出遭うのは人生の幸運の一つだ。愛する女と出会うよりも、ずっと難しい。
2018年06月13日
社外取締役
監査役の次は社外取締役。社外取締役については本blogでもなんどか書いてきた。もともと商法で想定していた取締役とは社外取締役のことで、欧米流に、業務執行と切り離して、企業戦略の策定とその執行が適切に行われているかを「取り締まる」のが役割である。それが、いつの頃からか、取締役は従業員にとっての「上がり」のポジションになってしまっていた。本来、断絶して、緊張感があるべき経営と業務執行が連続してしまったのだ。
この結果、不祥事が多発し、あるいは業績不振が続いた。事業拡大期は「労使一体」は経営効率を高めるが、成熟経済になると、労使の近い関係は環境変化への対応を遅らせる。労使どちらも変化を嫌うからだ。
私立大学で歴史学教授の高屋は、突然、港食品という輸入食品の販売を主とする一部上場企業の社外取締役に誘われる。月一回の取締役会への出席で月額報酬50万円という魅力と、それまで縁のなかった会社経営への好奇心でこれを引き受ける。それからしばらくして、取り扱い食品に生じた品質問題。初期対応を誤った港食品は世間のバッシングを受ける。社長はこれをかわそうと、唯一の社外取締役であった高屋を社長にして、自分が引責辞任することで幕引きを図る。実際は、取締役相談役として院政を引くのだ。しかし、高屋は次第に経営者としての自覚に目覚め・・・で終わるかと思ったら、まだあるどんでん返し。
現役弁護士として、初期の作品に比べると、小説としてのレベルも上がっている。
2018年06月12日
唐辛子の王様「香川本鷹」
先週末の日曜日、月一回の香川大学公開講座「讃岐ジオサイト探訪」で手島へ。瀬戸内国際芸術祭で豊島（てしま）の方が有名になったが、手島は丸亀沖にある島。丸亀港から出た船は、広島の港に2か所寄った後、さらに、小手島を経由し、約1時間かけて手島に着く。広島には何度か行ったことがあるが、手島まで来たのは初めて。
手島では、瀬戸内の基盤岩である花崗岩と、花崗岩マグマの近くで接触変性作用を受けてできたホルンフェルスとの境界が観察できる。熱水変性を受けてタングステン鉱脈が形成されていて、戦時中はタングステンが採掘されていたということ。戦後、輸入が再開されて、採掘は終了した。
もう一つ、手島ではトウガラシの王様といわれる「香川本鷹」が栽培されている。さやの大きさは5cmもあり、鷹の爪の何倍もある。大きいうえに、辛さも鷹の爪の何倍もある。本鷹は生産量が少なく、どの辛さランキングでも発見できなかったのだが、上記ランキング中「三鷹」が本鷹の交配品種であることから、これに近い辛さと思われる。
世界には、まだまだ上がある
トウガラシの栽培で最高の立地条件を備えているのは、瀬戸内海の島々なのです。瀬戸の海は高温で、雨が少なく乾燥しています。これらの島で作るトウガラシにこそ最高の価値があるのです。よい立地条件で栽培されたトウガラシには、辛み成分の主役であるカプサイシンを大量に含んでいるからです。
こうしたことから、昭和３０年ごろには塩飽諸島や荘内半島など、立地に恵まれた地域で盛んに栽培され、アメリカやヨーロッパにまで香川本鷹が輸出されていました。夏場になると、これらの地域では畑一帯が赤いトウガラシで色づいていました。
ところが、社会状況が変化し、外国からの農産物が大量に輸入される時代となり、トウガラシ栽培もその影響を受け、生産農家が激減。現在では、詫間町などほんの数軒で細々と受け継がれ、幻と言われるようになったのです。
2018年06月11日
監査役の権限
日本を代表する老舗百貨店「赤木屋」のワンマン経営者が愛人の会社に利益供与で背任罪といえば、私より上の世代なら、「三越事件をモチーフにしたな」とピンとくる。三越事件が起こったのは1982年だから、この小説（初版が1998年）の16年前だ。
三越事件では、三井銀行から派遣されていた社外取締役が他の取締役を説得し、三越百貨店の岡田社長を取締役会で解任した。不意を突かれた岡田社長が取締役会で最後に発した、「なぜだ
」はその年の流行語になった。一方、こちらの小説では、社長解任に動くのは、外国人株主の意向を受けた常勤監査役。この外資企業は赤木屋を安く買いたい。ワンマン社長が愛人を寵愛して公私混同していることを表面化し、経営危機を誘発→第三者割当増資で過半数を取得→取締役を一掃し経営権を握る→TOBで非上場化→経営再建し再上場、というシナリオを描く。目を付けたのは、アメリカにはない「監査役」という制度。普段、あまり注目されることのない監査役が、日本の会社法上、強大な権限を有することを発見するのだ。
監査役の制度は、ドイツの制度をもとに、明治23年に制定された旧商法で導入された。アメリカにはない制度なので、米軍占領時代にGHQにより、「監査役が業務監査を外された」というのも興味深い。アングロサクソン系では、会社執行役の業務監査を行うのが取締役会の役割だから、「なぜ同じことをする機関が会社に2つもいるのか」ということだったのだろう。ところが、日本では取締役のほとんどは業務執行もしているから、自分で自分の監査をすることはできない。日本の独立が回復されると、監査役制度は元に戻され、さらに、企業不祥事が起こるたびに監査役の権限強化・地位強化がされてきた。
2005年に会社法が制定され、現在では、監査役を置かないことも可能になった。いわば、ドイツ型アメリカ型どちらか選べるようことになった。こういう自由な制度設計というのも珍しいのではないか
16：株主提案権30万株（議決権300個）という株を根拠にしての株主提案権、つまり勝手に株主総会の議題を追加することができる権利97：会社法第388条監査役の予算は監査役自身が決める。監査役が必要と思う限り、青天井。129：会社法第847条 株主代表訴訟監査役が代表訴訟に参加するのは、監査役の独自の判断。
2018年06月10日
竹林整備
梅雨の晴れ間の土曜日、早朝に香川を出て、「まちづくり推進隊高瀬」の仲間とレンタカーで京都へ向かう。鳴門大橋を渡り、淡路島を通って、明石海峡へ。神戸から大阪と順調。目の前に生駒山が迫る。「あれ、京都のはずなのに」と一瞬不安になるが、目指す木津川市は奈良との県境にあった。
少し迷って（山の中なのでナビが不正確）NPO加茂女（かもめ）の竹林整備の現場で、理事の曽我千代子さんらからお話を聞く。団体の発足は35年前の加茂町（奈良県との県境に新しくできた南加茂台ニュータウン）に引っ越してきた女性たちの公民館サークルが始まりということ。
当時の住宅地の周辺は、山城筍の主生産地で、風光明媚な竹林風景が広がっていたという。しかし、次第に、値段の安い中国産筍や竹細工による生活用具への需要が減り、竹林が荒れだす。人の手が入らなくなり、竹林が荒れると、そこにゴミの不法投棄が始まり、とうとう産業廃棄物の埋め立て地になってしまう。
この苦い経験から、竹林の整備を現在は中心に活動している。ボランティアに頼った整備活動だけでは活動が広がらないことから、竹の利用に力を入れている。商品化した食品に、「筍お焼き」「筍グラッセ」「ちくりんジャム」など。
当然、それだけでは使える量は限られるので、竹をチップ化して、肥料や炭にもしている。竹にはもともと殺菌消臭効果があるので、トイレにも使えるという。排泄物と混じった竹チップは良い肥料になる。チップ化のための機械（チッパー）は補助金を利用してイタリア製を購入。日本のは大掛かりで高額な機械ばかりで、欧州のほうが中小メーカーの良いものがあるとか。確かに、日本でも昔は、各地に地場の農機具メーカーがあったが、集約されてほとんど残ってない。
三豊市でも放置竹林は問題になっている。竹林に再び商業価値をもたらすには
2018年06月09日
かつてストリップというものがあった
福岡の進学校(宗像高校）を卒業後、福岡相互銀行（現・西日本シティ銀行）に勤めていたが、s50にストリッパーとして活躍していた姉(桐かおる）に誘われ、その日のうちに辞表を出して劇場に飛び込んだ。以降、彼は帝王としてストリップ業界を差配するまでに上り詰める。
最盛期には、月収は1億8千万円あったというが、ほとんどギャンブルに使ってしまって、引退した現在は九州に戻って年金生活。所得もあまり申告していなかったと思われ、そのため年金も多くはないだろう。このままだと生活保護受給確実。
日本が貧しくても希望にあふれていた頃、独特な性風俗としてストリップも隆盛を迎えた。その時代に業界のど真ん中で生きた破天荒な人生。正史には刻まれることのない貴重な記録であると共に、こうしたことで、社会保障費が増えていくんだろうな、という暗澹たる感想も持った。
44：当時、絶大な人気を誇った一条さゆりと人気を二分するほどの有名な踊り子で、桐のストリップは、当時誰もやっていなかったレズビアンショーだった。彼女の相方は春日トミ。桐は劇場のステージだけでなく、私生活においても同性愛者だった。彼女のレズビアンショーは、演技ではなく、生き様そのものであった。75：本番まな板ショーは諸説あるが、滝口によれば1974年頃にはじまり、最初に演じたのは大島椿という日本人の踊り子だった。すぐに人気を呼ぶようになり、全国の劇場に取り入れられていった。1975年5月には埼玉県大宮のストリップ劇場でショーを目の当たりにした男性がショック死したり、ステージ上で腹上死したりするものが出るなど、ストリップの過激化に歯止めが掛からなくなっていた。
2018年06月08日
真実は現場にしかない！
中小企業経営のカリスマとして知られる株式会社武蔵野の小山昇社長。ダスキンの代理店だった会社を創業者から引き継ぎ、トップクラスの代理店にしたばかりでなく、その過程で学んだことをノウハウとして売り出し、現在では経営コンサルティング会社といったほうがいい。
その手法はあくまで帰納的。TTP（徹底的にパクる）を信条とし、良いと思われるものはドンドン取り入れ、消化（昇華でもある）していく。経営資源の乏しい中小企業は戦略がブレてはいけない。武蔵野の教える戦略は「ランチェスター戦略」一本。現場の運営は「環境整備」で、社員教育は「経営計画書」。この三つを融合して回している。
どの提言も現場での実践から来ているので、説得力がある。だから、小山社長の「かばん持ち」1日36万円（ほとんどは3日間108万円コース）に、全国の経営者の予約が70人で1年待ちの状態になる。「社長の仕事は、現役の社長からしか学べない」のだ。
はじめに：「私と同じ仕事をしてくれたら、私と同じだけ給料を出す」・社員の10倍以上の給料を取っているが、私の仕事ぶりを間近で見ている社員は、我が社で一番働いているのが社長だとわかっている。・「かばん持ち」1日36万円（ほとんどは3日間108万円コース）の予約70人、1年待ち・「社長の仕事は、現役の社長からしか学べない」・経営にとって最も重要なのは、�仝従譟↓�環境整備（朝一番の掃除）、�７弍跳弉莉�72：赤字の時こそ、資本政策を考えるチャンス・借金をして株を買い取り、会社の意思決定を早くする・非上場会社が経営安定を願うならば、株式はひとりに集中させたほうがいい96：月1回、1回20分、朝9時前から」の銀行訪問で融資を引き出す�）�問回数を多くする��幹部社員を同席させる�Ｋ�問時間は1行につき「20分以内」�い匹龍箙圓砲癲崙韻枯叩廚鬚垢��ァ岼�いこと」も隠さないどうして赤字になったのか、どう対処していくつもりか。208：借金すべき理由�”埖�の事態を乗り切ることができる�⊆擇蠧�れと返済実績があれば、継続的な融資が受けられる��事業に専念できる
2018年06月07日
両親から虐待「おねがいゆるして」
また発覚した児童虐待事件。目黒区で起こったこの事件では、父親は無職の33歳。母親は25歳。死亡した結愛（ゆあ）ちゃんは母親の連れ子で、5歳だったという。
毎回のやるせない事件に、何とかならないのかと思う。世間は事件を消費し、この痛ましい事件も一週間もして、報道され無くなれば、また忘れ去られるのだろう。原因も、制度も変わらなければ、同様の事件が繰り返されるのは必然だ。
全国の児童相談所に寄せられる児童虐待の相談件数はうなぎ上り（上図）。これは、問題が認知された効果もあると思うので、児童虐待が増えているかどうかは不明だが、少なくとも減少していれば相談数は減るだろう。
専門家の指摘では、現在の児童養護施設を中心とする制度は「負の連鎖」を生み出しているという。
・問題家庭の子供が集まり、施設で一緒に暮らすので、一部の児童の扇動で非行に走りやすい
・高校の中退率は25%（京都市調査）
・18歳で退所しなければならず、住所がなくて住民登録もできない
・男子は犯罪を犯し、女子は望まない妊娠で自分で育てられず、その子供がまた児童福祉施設に入る
その解決策として望ましいのは、里親が育てること。里親への委託児童数は2015年に6000人を超え、増加傾向にはあるが、児童養護施設に入っている27000人と比べるとまだまだ少ない。費用的にも、施設で0-18歳まで育った場合、一人当たり8373万円掛かるが、里親宅での生活では3200-3800万円で済むという（国際NGO (非政府組織)ヒューマン・ライツ・ウォッチ調べ）。年間に数百億円節税できるうえ、家庭で育つ方が、児童のためによいのは言うまでもない。
現在の日本では、体外受精による年間出産数は5万人を超えている。体外受精しても自分の子供が欲しいと思うのは当然だが、里親という選択肢も考慮されていいのかと思う。児童養護施設で暮らす児童で一番多いのは6-17歳で約24000人。一学年当たり平均2000人。体外受精による年間出産数の1/25に過ぎない。
もうパパとママにいわれなくてもしっかりとじぶんからきょうよりもっともっとあしたはできるようにするから もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします
ほんとうにもうおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおします
これまでどれだけあほみたいにあそんでいたか あそぶってあほみたいなことやめるので もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいぜったいやくそくします
2018年06月06日
交渉戦略
LBSで留学中に最も苦手な科目の一つだったのが、「交渉術」。夏休み期間中の集中講義で、「理論→ロールプレイング（ビデオ撮り）→録画を見ながら論評」を繰り返す。それでなくても、英語のハンデがあるのに、交渉しなくてはならない。同級生のなかには、トランプ大統領張りにまくしたてるのもいる。
そんなわけで、落ちこぼれてしまった「交渉術」の授業なのだが、この本はいたって論理的。結局は、準備が大切で、「何を目指すのか」明確な目標設定をすることから始まる。相手の立場にたって、「相手の視点」で分析することも大事。
日本国内であれば、誠実に、丁寧にやれば「戦略」など必要ないと思われるかもしれないが、こんな感覚でやれば、海外では玉砕間違いない。日本人は日頃の買い物からして、値切ることも皆無だから、交渉自体に慣れていない。海外に行けば、子供の頃からパン一つ買うにも交渉してきた人たちが大勢いる。彼らは、半日でも、一日でも、必要とあらば何日でも交渉し続けるスタミナもある。
＊効果的な交渉戦略人間関係に配慮しつつ、自分が思う以上の効果を出せる、経済学と心理学の統合的視点に基づく最強メソッド＊交渉の基本・交渉を始める前に、明確な目標設定をする・合意できなかった場合の代替案を決め、相手と合意可能な最低ラインである「Reservation価格(価値）」を決める・交渉で実現可能な楽観的かつ野心的な予測「Aspiration(最高ライン）」を設定する・交渉で議論されるトピック�…艦揃拭�当事者間に争いがない状態�∧�配型：当事者同士が対立しながらも、その価値評価が両者で等しい状況�Ｅ�合型：当事者間同士の価値評価が非対称に対立している状況＊交渉戦略の立案プロセス1．何を実現したいのかを明らかにする2．相手の視点で分析する「交渉の準備」3．交渉戦略を立案する�‖�りない情報は何か？��各論点のタイプ（調和型、分配型、統合型）�８鮠沈鑪�のギャップはどこか？�ち蠎蠅寮鑪�を考慮して自分はどう動くか？
2018年06月05日
株主総会
1997年に初版が出た、現役の弁護士による企業小説。その後、企業「法務」小説を次々と出版することになる牛島信氏のデビュー作だ。
中堅商社の総務部次長がリストラされそうになり、会社に反旗を翻す。大株主から事前に届く株主総会の委任状が総務部宛てになっているのを盾に、総会で取締役解任の動議を出し、自分の推薦した取締役を選任する。そして、自らが代表取締役に就任する
これを覆すには、大株主からの請求で臨時株主総会を開いて、もう一度取締役選任をやり直すか、あるいは株主総会の無効確認の裁判を起こすしかない。総務部次長は、この動議は前社長の不正を正すためといち早く大株主に説明し、了解を取り付けようとする。前代未聞の事態に、思考停止に陥る大株主の金融機関ら。
そもそもこんなことは可能なのか？
＊委任状の「代理人」が重要
この小説が発表された前年（1996）では、大株主の包括委任状があった888社(有効回答社数）のうち、66%は、委任状の議決権代理行使者を総務部課長など、社員の名前にしていたそうだ（商事法務研究会調査）。私の知る限り、現在では、議長や代表取締役を代理人に指名している委任状が多い。この小説の影響か
33：集中日午前10時を期して、全国いっせいに2300を超える数の上場会社の株主総会が開催される79：弁護士チーム当面5人の弁護士を担当。主にやるのは2人。2人の時間制の報酬が月900万、その他の人が500から700万くらい。合計月1400-1600万。実費別。116：若い女性の弁護士をチームに組み入れることで、「既成の権力に守られた邪悪な老人」に対して挑む若き美貌の女性弁護士というお茶の間向きの話題になる。
2018年06月04日
スタートアップサイエンス
ドラッカーは経営を、「科学ではなく芸術」だといった。しかし、著者は、「AmazonやFacebookのような大成功するスタートアップを作ることはアートだ」が、「この本で示した基本的な型を身につければ失敗しないスタートアップは高い確率で実現できる」という。だから、これはサイエンスなのだ。
著者は日米で複数の起業体験（日本で4回、SVで1回）を持ち、現在はVCのパートナー。起業を「科学」に昇華せるべく、5年間に、
・1000人以上の起業家や投資家を取材
・起業に関する理論書と、起業家の自伝300冊を解析
・起業家のブログ500本、講演動画1000本を解析
したという。
読む前は、ホントか
と疑っていたのだが、読んで納得。これは本当にそれだけのインプットをし、さらに、自らの起業体験にも照らし合わせて、この膨大なインプットを消化している。研究者として同程度のインプットをしている人もいるだろうが、1回はたまにいても、複数回の起業体験を持つ人に会ったことがない。著者が指摘している通り、これまでもいろいろな人が起業について個別には有用なことを言って、書いてきた。しかし、「情報の多くがコンテクストに沿ったものでなく、スタートアップのどの段階で有効なのか分からない」のだ。したがって、同じアドバイスが、ある段階のスタートアップにとっては良くても、違う段階にあるスタートアップには有用どころか悪になってしまう。
実務的な起業戦略の本として決定版だろう。
18：自分たちのビジネスアイデアが市場から求められているものなのか？28：「競争は負け犬がすること」Peter Thiel43：スタートアップの間違い（一般企業との違い）�‐楮戮�BPを作る�∪騎里�FPを用意する��精緻なリポートにこだわる�ぁ屬泙△泙�好かれる」プロダクトを大勢の人向けに作る�ゾ楮戮併斗予颪鬚發箸乏�発する��最初に想定したBMに執着する�Фス腓魄媼韻靴垢�る�┷絞眠修魄媼韻靴垢�る��Nice-to-haveな機能を追加する��最初からプロダクトデザインやユーザビリティーの細部にこだわる��最初からシステムの自動化・最適化を行う��BMが出来上がる前に積極的に人を雇う��直接関係のないネットワークイベントや飲み会に参加する��経歴が立派な営業責任者や事業開発担当者を雇う��BMの検証が終わる前にパートナーシップや独占契約を結ぶ�哀察璽襯垢茲蠅皀沺璽吋謄�ングやPRにフォーカスする�瓜纏�の役割を厳密に設ける��NDAを交わす�骸�託開発や業務委託を必要以上に受ける�感罰Δ寮賁膕箸�らのアドバイスに頼る㉑VCに積極的にアプローチする
2018年06月03日
どの投資戦略が有効なのか？
株式投資でどんな投資戦略が有効か？「成長株か割安株か」「順張りか逆張りか」「小型株か大型株か」などなど。数ある銘柄の中から、特定の要素があるかどうかを基に銘柄選択することを"smart beta"とか"factor investing"という。
それをLBSのチームが長期データから研究した結果が、Credit Suisse Investment Returns Yearbookで発表されている。以下が、その研究対象になった要素と結果の要約。全文はPDFで見れるので、興味のある方はどうぞ。対象は断りのない限り、1955-2016年の英国株。
✅規模
英国で1955年に大型株に£1投資した場合の現在価値は£1087。悪くない（13%）。しかし、市場で時価総額が小さい方から1%の「超小型株」に投資していた場合、£1は£27,256になっていた（19%）
一般的に、小型株のほうが大型株より成長性が高く、高いリターンをもたらす。✅割安か
調査では簿価純資産倍率（PBR）で割安かどうかを判断している。割安株は同期間に年平均16%のリターンをもたらした。PBRの高い株のリターンは年平均10.3%で大きな差が付いた。
✅配当利回り
高配当の株式に投資するほうがいいのか？この調査だけLBSの誇る1900年まで遡る株式データを用いている。毎年初めに、英国の上場企業の中から時価総額の大きな100社を選ぶ。そのグループを、配当利回りの高い50社と、低い50社に分ける。株価のパフォーマンスを1年間取り、これを116年分行う。結果は、低配当グループに投資した£1が2016年に£6810になったのに対し（9%)、高配当グループは£158,727と圧倒的な差が付いた（12%）
✅モメンタム
これはどういう前提にするのか設定がむずかしい。研究チームは、過去1年間の株価を基に、「市場平均を上回るWinners」と「下回ったLosers」に分け、それからひと月おいて、その後のひと月の株価パフォーマンスを調べた。1900年からのデータで、時価総額Top100の大型株が対象である。結果は、Winnersが年平均14.1%に対し、Losersのリターンは3.6%であった。この計算はグロスでやっていると思うので、この間のインフレを考えると、厳しい。
ボラティリティ
これは難しい。株価変動率が高ければ、リスクが高いということだから、(他の条件が同じなら）平均リターンは高くなければいけない。しかし、短期的には、いくつかの研究で、安定した株価のほうが、その後のパフォーマンスが良いという結果が出ている。株価が乱高下している会社というのは、何か不安材料があるケースが多いので、その後下落することが多いというのはあり得る。しかし、長期ではどうだろう？研究チームでは、5年間のボラティリティを基に計算しようとしたが、時期によって結果に違いがあり過ぎて、意味のある結論は導けなかった。
結論としては、ボラティリティを除いては、いずれも意味のある「要素」ということになった。では、「小型株ｘ割安ｘ高配当ｘモメンタム」を満たす銘柄を買えば、どれだけスゴイことになるのか
小型成長株は成長のための資金が要るので、配当を出すことは稀など、全ての要素を満たすことは難しい。しかし、実は、自分で銘柄選択しなくても、これら、それぞれの、あるいはいくつかを組み合わせた投資戦略に対応するETFが存在する。2018年06月02日
加藤学園「英語イマージョンクラス」
沼津の旧友を訪ねたところ、子供が通っている学校の加藤学園の「英語イマージョンクラス」を見学しないかと誘われる。彼は、この加藤学園の「英語イマージョンクラス」が気に入り、10年余り前、東京の会社を辞めて沼津に一家で引っ越した。以来、子供三人が全員このクラスに通っている。国内では数少ない国際バカロレア認定校で、高校卒業後、海外大学に進学する生徒も多い。
私が見学させてもらったのは、小学校4年生の算数の授業。アメリカ人のベテラン教師が（もう20年もここで教えているそうだ！）25人ほどの生徒を教えている。全て英語。小学校1年生から、まず英語で遊ぶことから始まり、この学年では、3-4人のグループに分かれて、英語で算数の問題をああでもないこうでもないと議論している。
教科書は、日本の教科書出版社が作った英語版。1992年に日本初の「英語イマージョンクラス」を開校した時は、英語の教科書がなく、日本語の教科書を学校で翻訳して使ったそうだ。教科書は日本のものが内容的に優れているという。今では、「英語イマージョンクラス」を行う学校が増え、加藤学園が翻訳した教科書を基にできた英語版が普通に売られている。
校舎も開放的。聞けば、1972年の開校時からオープンプラン教育を導入。校舎設計は槇文彦で、今も建物の見学依頼が毎年あるという（日本建築家協会賞受賞）。
自身が塾にも予備校にもいかず、地元の公教育をのほほんと受けて育っただけの私には衝撃の内容だった。海外の同級生の多くも、たいてい私立学校に入れて（イギリスなら寄宿制のPublic School）、大学並みの授業料を払っている。エリートはこうやって育てられるのか
うちの子供たちも全員区立中学→都立高校。・・・もう手遅れか必要と思うことを、自分でやってもらうしかない。2018年06月01日
かぼちゃの馬車
破綻したスマートデイズ（民事再生手続き棄却で、破産手続きに移行）が家賃保証していたというシェアハウス「かぼちゃの馬車」。先日の「ガイアの夜明け」で部屋が映っていたが、部屋が狭いのはシェアハウスだから仕方ないとしても、キッチンなど共用部が狭くて、リビングは無いようだった。あれでは、家具付きのアパートと変わらない。おまけに、バス無しの共用シャワーのみ。
それでも、駅近であるとか、家賃がその分安いなどの特徴があればいいが、１０００棟もあるという同社の物件のほとんどが、「（駅から）遠い、（部屋が）狭い、（家賃が）高い」であったという。当然、稼働率は低く、平均で40%しかなかったという。これで採算が取れるわけがない。
スマートデイズはシェアハウス業者として、当然、こんな物件で不動産賃貸業が成り立つわけがないことを認識していたはず。にもかかわらず、こんな物件をオーナーに勧めたのだから、詐欺と言われても仕方ない。
しかし、だ。こんないい加減な業者と契約して平均1億円という借金をした投資家もどうしたのか？と思ってしまう。一度でも物件を見て、既存オーナーや入居者と話したら、その怪しさに気付いたはず。おそらく、多くのオーナーは一度も物件を見ることなく、「頭金もほとんどなしで、融資で不動産が買える」というだけで、飛びついたのではないか。
そして、そうした投資家に融資を付けたのがスルガ銀行。金融機関として、国内最高格付けの10年国債が利回りがゼロ金利の時代に、一民間企業が8%利回りを「保証」できるはずがないことが当然分かっていたはずだ。つまり、事業の破綻を予測しながら、不良債権になることが分かっていて自ら融資するという矛盾。行員は放っておけば、短期的な実績を上げるために、銀行の長期的な健全性を無視して行動する。それを防ぐのは審査部だが、それが機能していなかった。審査機能が働くよう、営業とのバランスを取るのが経営陣の仕事だ。
