2018年04月
2018年04月29日
12年ぶりのKL
12年ぶり3度目のKL。前回来たのは、コルカタからカンボジアに向かうのに乗り換えのためだった。せっかくなのでと、日本企業の現地法人代表を務める方と会食した。その後、カンボジアではフンセン首相と会談。当時すでに政権発足から25年。12年後もまだやっているとは想像してなかった
12年ぶりのKLの印象。
・あちこち建設ラッシュで、オフィスやマンションが続々出来ている。そんなに需要があるのか？
・KLCC付近の渋滞が酷い。車が一段と増えたようだ。
・相変わらずマレー人と中国人とインド人が平和に暮らしている（ように見える）。
AirBandBで泊まったKLCC（都心の一等地）にある2 bedroomのサービスアパートメントが一泊$60。当初見ていた同地区のホテルも同じ値段だったが、訪問先の会社がAirBnBを「倍の広さがあるから」と勧めてくれたので、初めて民泊してみる。
鍵のありかがなかなか分からなかったり、エレベーターのセキュリティで引っかかったりして、マンションに着いてから一苦労。結局、部屋に入れるまで、ああでもないこうでもないと華人オーナーと分かりにくいマレー英語でやり取りして30分もかかってしまった。夜着いてこれは厳しい。
しかし、一旦仕組みが分かってしまえば、スウィートに泊っているみたいなものなので、快適。サービスがないので、家電製品やヒーターの入れ方をいちいちオーナーに聞かなければならないのが不便なのだけど。
なぜ、これだけの物件が一泊$60で借りられるのか？現地でいろいろ聞いたところを総合するとこういうことになる。
・これまで不動産価格が上がり続けていて、今後も上がると皆思っている
・上記に加え、節税もあって、不動産投資が盛ん
・従って、自宅用ではなく、買った不動産を賃貸やAirBnBでの民泊に使っている
このため、常に供給圧力が強く、賃貸物件やAirBnBが安い。まるで、バブル経済期の日本のようだ。1980年代後半の日本は生産年齢人口がピークで、そこに1985年プラザ合意後の円高不況および1987年のBlack Mondayの影響を脱しようと、日銀が金利を下げた。これで、それまでの土地神話を背景に、一大不動産バブルが起こる。「東京都の不動産価値で全米の不動産を買える」と言われた。
マレーシア経済分析偏・・・明日に続く
2018年04月28日
Darkest Hour
KLまでの機内で、映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」を観た。ほぼ史実と言われるこの映画によれば、チャーチルが首相になったのは与野党の駆け引きの中での偶然。まるで、「変人」の小泉純一郎が首相に選ばれたときのようだ。
海軍大臣をチェンバレン首相の下で務めるチャーチルは保守党の異端児。ヒトラーと融和政策を進めてきたチェンバレンは、ドイツのポーランド侵攻で政権を失うことになる。チャーチルだけがヒトラー政権誕生以来、その野心と危険性を見抜いて警告を発し、与党で煙たがられていた。野党の労働党がチャーチルしか認めなかったため、保守党はしぶしぶチャーチルを首相にするが、直ぐに次期首相の本命であったハリファックスに交代させるつもりだった。
オランダに次いで、ベルギー、ノルウェーもドイツに降伏し、フランスも難攻不落とされたマジノ線を難なく突破され降伏直前。20万人の英軍部隊が英国海峡に追い落とされる寸前だった。これを失えば、ドイツと戦うことは不可能だ。英軍の参謀は、救出作戦で救い出せるのは多くても部隊の1割とみていた。客観的に見れば、あまりにも分が悪すぎる。頼みの綱のアメリカも、議会が「中立法」を通したばかりで、ドイツにもイギリスにも協力しないことを決めていた。
映画が描くのは、これらが起こった1940年5月9日から6月4日までのほんの4週間の出来事。状況は極めてイギリスに不利で、チャーチルが徹底抗戦を選ばなければ、イギリスは独立保持を条件に、欧州大陸のドイツ支配を認めた可能性が大だ。事実、ハリファックスはムッソリーニを仲介にしてドイツと交渉しようとしていた。
そうすればどうなっていたか。ポーランド分割の密約でソ連と不可侵条約を結んだヒトラーはポーランド分割が終われば、平気でソ連に侵攻した。イギリスとの不可侵条約も、欧州大陸支配が固まれば、やがて破って侵攻しただろう。これを止められるのはアメリカだけだ。史実では、アメリカは日本が真珠湾攻撃したことで1941年末になって参戦するわけだが、これが変わっていた可能性もある。真珠湾攻撃のニュースを聞いて、チャーチルは「我々は戦争に勝った」と大喜びした。
以下、昨年の9月に本blog「慎重にヒーローを選ぶ」から引用したい。
イギリス人がとりわけ誇りに思っている歴史上の事例は次の三つなのだそうだ。
・クリミア戦争中の騎兵隊の突撃
・第二次世界大戦でのダンケルクからの撤退
・やはり第二次世界大戦でのブリテンの戦い
興味深いのは、どれも勝ち戦ではないことだ。前の二つは負け戦の中での撤退戦だし、ブリテンの戦いはドイツ空軍を防ぎ切った「引き分け」だ。これは、他の国々が勝ち戦を慎重に選んで神話化しているのと明らかに違う。他の国ならトラファルガーの戦いやワーテルローの戦いを選ぶところだろう。
それは、イギリス人が自分たちの核となる強みと思っている、「ぎりぎりまで追い詰められたときのねばり」をこれらの戦いが完璧に表現しているからだという。不利な状況でなんとか耐え忍ぶことの方が大勝利より尊ばれる国というのはスゴイ。
2018年04月27日
第3章 コショウ難破船
中世の欧州貴族の香辛料に対する執着は現在では想像できないほどだ。かつて裕福な家庭では香辛料師が普通にいた。
「フランスのフィリップ5世は資質に役人を4人だけ置いていた。仕立屋、理髪師、毒見薬、そして香辛料師」
オランダ東インド会社によるインドネシア香辛料諸島からの香辛料貿易は莫大な富をオランダにもたらす。その売価は原価の20倍にもなったという。オランダはその利益を守るため、島民の虐殺までやっている。
当然、その利益を他の国も横取りしたい。フランスは1770年に船二隻を香辛料諸島に派遣し、こっそり、ナツメグの芽とクローブの若木を持ち帰る。そして、1776年フランス領植民地のフランス島での栽培に成功する。
「17世紀と18世紀の金融帝国オランダを終わらせた主要な出来事のひとつは、片腕のフランス人が地球の反対側で一握りの種子を盗んだことだった」
153：フリトレーの製品は、ある意味で真の世界市民・トウモロコシはもともとメキシコ・大豆は初め古代東アジアの作物・ヒマワリは主に北米原産・チェダーチーズはイギリスで初めてつくられ・ロマーノチーズはイタリア原産・バターミルクやチーズに含まれる牛乳の起源は、1万年前に南西アジアで家畜化された牛・タマネギはどこの原産か、はっきりはわかっていないが、農業そのものと同じくらい昔からある・トマトはスペインとイタリアの料理に欠かせないものと考えられているが、トマトの木はもともとアンデス山脈に生えていた・サトウキビは東南アジアから・ニンニクは中央アジア・赤や青のパプリカは中米と南米の原産154：香辛料諸島 Spice Islands・インドネシア本当の東300kmほどのところにあるモルッカ諸島・地球上で唯一、四つの異なる構造プレートが集まっている場所・その諸島の北端にある五つの島（テルナテ、ティドレ、モティ、マキアン、バカン）・1700年代末まで、世界各地で消費されるクローブはすべて、この五つの島の火山性土で生まれていた158：香辛料貿易の地図＝今日のイスラム教徒分布商人のほうがはるかに有力な宗教の使者となった。1000年以上跡の現代世界も、その改宗の影響を受け続けている。紀元900年ごろのイスラムによる香辛料貿易の地図は、今日の世界中のイスラム教徒人口を示す地図に、ほぼぴったり合致する。実際、香辛料商人の統合ネットワークが遠くまで延びていなかったら、イスラム教が世界の主要宗教になっていなかったことも十分にあり得る。164：東インド会社・香辛料貿易の莫大な収益を搾取するために、オランダ東インド会社（公開株式を初めて発行した会社）が創立された。現代の経済学者の推定によると、オランダのナツメグとクローブの利幅は2000%・イギリス東インド会社はコショウの生産性を上げるために、スマトラ島に奴隷植民地を築いた・1600年代末、オランダ人はインドネシアのコショウと、インドで栽培されたアヘンを交換するようになり、そこから生じた中毒は何世紀も続く166：オランダの海外進出史上最も陰惨な1ページ・バンダ諸島の住民が抗議→クーン総督率いるオランダは2，3週間でバンダ諸島ロンタール島の住民13000人を虐殺・日本人傭兵を雇い入れてバンダのエリートを暗殺、そのうち40人を斬首、頭に釘を刺して見せしめ・バンダ諸島の先住民を殲滅し、代わりに奴隷を輸入
2018年04月26日
第2章 ひとりでに鳴る楽器
音楽はなぜこれほど人類を魅了するのか？人間以外に音楽を楽しむ動物はいない。旧石器の洞窟から発見された骨笛は、現在、完全四度および完全五度と呼ばれている音程を出していた。農業が始まる前、狩猟で暮らし、食うや食わずの時に既に音楽を楽しんでいたというのは興味深い。
そして、この探求への発展的な衝動が、多くの重要な発見やイノベーションにつながっていく。イスラム黄金時代の優秀な玩具設計者バーム・ムーサは「ひとりでに鳴る楽器」を考案している。数百種類の部品からなる極めて精巧な機械だ。この音楽への情熱が、後に、ジャッカールが発明する自動織機（ジャガード織機）につながる。そして、ジャッカールが発明したカードのシステムが、イギリス人数学者チャールズ・バベッジによってコンピューターの発明につながるのだ。
「ジャッカールが発明したカードのシステムは、ごくふつうの織機に、望まれるどんな模様でも織れという命令を伝えられる手段です。私は同じ見事な発明を利用し、自分の計算機に同様の手段で、どんなに複雑でもあらゆる式を計算する命令を伝えました。しかしもう一歩進めて、カードを作らずに、カードを使用する際に特定の法則に従えという命令を同じ手段によって伝えたので、計算機関はいかなる方程式でも解き、変数をいくつでも消去し、最高に高度な解析を実行することができます」（チャールズ・バベッジ1839）
95：骨笛は、人間の技術的想像力の所産として知られているもののうち、最古の部類に入る。スロヴェニアとドイツのフルートは、芸術発祥の時代までさかのぼる。（中略）私たちの祖先は10万年以上前から太鼓をつくっており、音楽の技術は狩猟や体温調整のための技術と同じくらい古い。103：音楽はひとつの否定できないパラドックスを突き付ける。目に見えない空気分子の振動の対称性から生まれる、この最も抽象的でつかみどころのない悲しみには、ほかのどんな形の芸術よりも長い技術革新の歴史があるのだ。あの最初の骨笛によってつくられた音が耳の中で鳴り響いて以来、人々は新しい響き、新しい音色、新しいハーモニーを追いかけている。そしてその追及が数えきれないほどの技術の躍進につながり、音楽とはまったく関係のない方法で現代社会を築いた。104：この探求への発展的な衝動が、楽しみと必要の差である。人は遊びモードのときには新しい驚きに寛容だが、基本的欲求は人の心を、生存のためにどうしても必要なことに集中させる。この差を理解することは、一見したところ表面的には軽薄な遊びが、これほど多くの重要な発見やイノベーションにつながった理由を理解するのに欠かせない。114：1804年に特許を認められたジャッカールの織機は、織物生産の歴史上、とりわけ重要なイノベーションとされている。しかしその最も重要な遺産は、コンピューターの世界に残されている。1839年、チャールズ・バベッジがパリにいた天文学者の友人に手紙を書いて、ロンドンで遭遇したばかりの肖像画について問い合わせた。123：発明家が「書く機械」をいろいろ研究するようになったのは1800年代に入ってからで、商業的に成功した最初のタイプライター、レミントン��1が市場に出たのは、1874年のことである。
2018年04月25日
第1章 下着に魅せられた女たち
「ハチドリ効果」の第一例は「木綿の下着」。1600年代まで欧州の人々は「厚手でチクチクするウールやリネンの服を着ていた」という。1600年設立の東インド会社がもたらしたインド綿はこれを一新した。
木綿は圧倒的に柔らかく、「レモン果汁やヤギの尿
、ラクダの糞
、金属塩を使って」アカネやインディゴなど明るい色に染められていた。そして、「ヨーロッパの染色生地はたいてい、数回洗うと色があせてしまったが、チンツやサラサと呼ばれたインドの布地は、いつまでも色あせなかった」ので、大評判となるのである。イギリスの牧羊農家とウール製造業者は木綿の流行に反対し、議会は保護貿易主義の法律をいくつも通過させる。1700年代にサラサの輸入が禁止され、貿易業者は生成りの木綿布地を輸入し、イギリスで染めなければならなくなる。さらに、1720年、議会はサラサを全面的に禁止する。
しかし、女性は今更チクチクする色もさえない下着に戻れなかった。木綿の需要はイギリス人発明家を夢中にさせる。「1733年に特許取得したジョン・ケイの飛び杼、その数十年後にリチャード・アークライトの紡績機、そのあとイーライ・ホイットニーの綿繰り機、そしてもちろん、1700年代には蒸気機関のたえまない改良が展開され」、イギリスは世界で最初の産業革命を果たすのである。
世界中で木綿への需要が高まると、アメリカ南部で大規模な木綿生産が始まる。南部の黒土は綿花栽培に最適で、19世紀に急速に広まる。18世紀まで黒人奴隷が使われていたのは、米南東部のわずかなタバコプランテーションだけだったという。それが、1860年までには南部州の全人口の半分を黒人奴隷が占めるようになり、その数は500万人を超えていた。
コットンベルトの綿花生産は黒人奴隷に依存しており、これが南北戦争の原因となる。もし、女性下着が木綿になっていなければ、南北戦争は起こっていなかっただろう。
イギリス東インド会社の紋章
46：1600年代まで北ヨーロッパの人々は厚手でチクチクするウールやリネンの服を着ていた木綿の柔らかい手触りは、その魅力の一部に過ぎないことが分かった。コロマンデル海岸に住んでいたインドの染色職人が、何千年にわたって実験を重ねたすえ、レモン果汁やヤギの尿、ラクダの糞、金属塩を使って、アカネやインディゴのような明るい色の染料を木綿の織物に染み込ませる、周到な仕組みを確立した。ヨーロッパの染色生地はたいてい、数回洗うと色があせてしまったが、チンツやサラサと呼ばれたインドの布地は、いつまでも色あせなかった。ヴァスコ・ダ・ガマは1498年に喜望岬を回る歴史的探検から、織物がぎっしり詰まった積み荷を持ち帰ったとき、サラサとチンツの鮮やかな模様と官能的ともいえるほどの手触りを、初めてヨーロッパ人に実際に経験させたのだ。48：インドの織物に対する関心の高まりは、東インド会社にとてつもなく大きな恩恵をもたらし、1664年に25万反だった輸入量が20年後には176万反に急増した。しかしこのニュースは、イギリスの牧羊農家とウール製造業者にとっては明るい話題ではなく、彼らは突然、自分たちの生計が輸入織物に脅かされるのは目の当たりにした。49：木綿ビッグバン夫人の流行ファッションがイギリス経済をむしばむという不安は、まったく逆の結果になった。木綿の取引額が莫大だったため、すでに大勢のイギリス人発明家は、綿織物を大量生産できる機械で動く道具を模索していた。最初は1733年に特許取得したジョン・ケイの飛び杼、その数十年後にリチャード・アークライトの紡績機、そのあとイーライ・ホイットニーの綿繰り機、そしてもちろん、1700年代には蒸気機関のたえまない改良が展開された。57：奴隷は植民地時代の初期からアメリカ社会の一部だったが、アフリカ系アメリカ人の強制労働を南部経済の要にしたのは綿花だった。1790年に奴隷の人口が50%を超えていたのは、アメリカ南東の海岸沿いのわずかな郡だけで、ほとんどがタバコのプラをンテーションを経営していた。ところが1860年には、南部州の全人口のおよそ半分を奴隷が占めており、その数は合計500万人を超えていた。64：アリスティッド・ブシコーのル・ボン・マルシェブシコーは、方向感覚を失わせたり、感覚刺激を過剰に与えたりすることが、うまい商売につながる可能性に初めて気づいた人物。「必要なのは、彼らが何時間も歩きまわること、迷うことだ。第一に、顧客がたくさんいるように見える。第二に、・・・顧客は店を広く感じる。そして最後に、顧客がこの組織的無秩序のなかを、迷い、突き動かされ、夢中になって歩きまわりながら、行くつもりのなかった売り場に足を踏み入れなければ、そして途中で魅力的な品物を見て屈しなければ、ほんとうにお手上げだ」67：ブジコーの野望はとても大きかったので、そのビジョンを現実にするには新たな工学技術が必要だった。主任技師としてギュスターヴ・エッフェルを雇い入れ、ブシコーは鋳鉄の骨組みで店を建設し、てっぺんに広い天窓を設けて、自然光に照らされる特大の回廊をつくった。例によって、イノベーションはすべて消費を促すためである。75：「売るための機械」現在ショッピングモールは、消費資本主義の醜いまま子という当然ともいえる評価を受けているが、その系譜は知的で、一般の認識よりも複雑である。モールは文化的に不毛な戦後の郊外の典型になったが、考案したのはヴィクター・グルーエンというヨーロッパの前衛的な社会主義者である。20世紀初めにウィーンで生まれたグルーエンは、かれの伝記を書いたM・ジェフリー・ハードウィックによると「（ウィーンの）活気に満ちた耽美的生活が消えていく、その残り火のなかで」成長した。81：もともとミネソタの厳しい冬から身を守る方法として考えられたグルーエンの屋内公共空間は、エアコンの発明で可能になった砂漠や熱帯への人口の大量移動を加速させた。今日、世界最大のシッピングモールのトップ10は、アメリカやヨーロッパではなく、中国やフィリピン、イラン、体のような熱帯または砂漠気候の国にある。そしてモールそのものは驚くほどスケールが大きくなっている。ドバイのモールは55万平方メートル以上に1000軒を超す店が散らばっているが、グルーエンによる設計の基本テンプレートはそのままで、屋内の中庭を囲んで店が並ぶ二階か三階のフロアを、エスカレーターがつないでいる。
2018年04月24日
序章：マーリンの踊り子
本書の原題は、"WONDERLAND - How Play Made the Modern World"。直訳すれば、「不思議の国：いかに遊びが現代社会をつくったか」ということになるだろう。
「歴史はふつう、贅沢品ではなく必需品を求めての長い闘いとして語られる。自由、平等、安全、自立を求める闘争だ。しかし楽しみの歴史も重要である。なぜなら、これらの一見くだらない発見の多くが、最終的に『はじめな歴史』の領域に変化を引き起こしている」
著者はこの現象を「ハチドリ効果」と呼んでいる。ある分野のイノベーションが、関係ないように思える分野での動きの変化を引き起こすのだ。本書に紹介されている例を見ていると、ひょっとしてそうしたケースの方が多いのではないかとも思えてくる。ほとんどのの人には、その取るに足らない変化が後にもたらす影響を正しく理解することができない。当の本人も分かってないのだから当たり前なのだが、いくつかの変化は「ハチドリ効果」で何十年かのうちに世界をも変えてしまう。
18世紀にロンドンに「マーリン機械博物館」を開いたスイス人発明家マーリンの屋根裏部屋で、精巧な人形を見たバベッジは「オートマタ」に魅せられる。ケンブリッジ大学で数学を勉強し、後に、「格差機関」名付けた計算機を設計する。この発明が数年後の解析機関へとつながり、これが史上初のプログラム可能なコンピューターとみなされている。
英経済誌The Economistの技術系Podcastの名前は"Babbage" この英数学者に由来している。
14：760年頃アッバース朝の新リーダー、アブー・ジャーファル・アルマンスールが新首都を建設それから100年とたたないうちに、バグダッドは100万人近い住民を擁し、おおかたの見方では、地球上で最も文明化した都市環境になった。「町を縦横無人に走るたくさんの水道管から、どの家庭にも四季を通じてふんだんに水が供給されていた」と、ある現代の評者が書いている。「そして通りも庭園も公園も、定期的に掃除と水まきが行われ、城壁の内側ではどんなゴミも残すことを許されなかった。王宮前の広大な広場は、閲兵式、軍事パレード、競技会、競馬などに使われ、夜には広場や通りがたいまつで照らされた」17：数十年後、アルマンスールの息子アルマヌーンの指揮のもと、新しい組織バイト・アルヒクマ「知恵の家」図書館と科学アカデミーと翻訳局が一緒になったようなもの。モンゴル人が1258年の包囲攻撃でバグダッドを破り、知恵の家の書籍をティグリス川に沈めて破壊するまで、300年間にわたってイスラムの学問の中枢。24：オートマタの制作と収集をしていたスイス人発明家兼興行師マーリンは1783年ロンドンにマーリン機械博物館を開設マーリンの屋根裏部屋での出会いで、バベッジは取りつかれた。人間の行動の繊細さを生き生きと模倣する、からくり装置に魅了されたのだ。彼は若い研究者として数学と天文学の学位を取得したが、機械への興味を失うことなく、イングランドの北部工業地帯全体ににわかに出現していた、新しい工場システムを研究した。マーリンの博物館を訪れてからほぼ30年後、彼は工業技術の画期的分析『機械と製造業の経済学について』を発表している。
2018年04月23日
終章 日本企業への警鐘
そして、終章の「まとめ」。小城氏が企業再生実務の新たな視点として提示したのは次の四点だ。
�〜反テ發燃篤団垢�サイクルを構成して駆動している
�⊂�なくとも組織構造から見る限り、オーナー系企業のほうが非オーナー系と比較して、新たなリーダーの統制が効きやすい点で再生の難易度が低い
�Ｆ�本の文化的影響を考慮すれば、非オーナー系企業には再生フェーズ後に衰退惹起サイクルが再駆動するリスクが存在する、したがって、
�と鵐�ーナー系企業の抜本的な再生には組織全体にわたる施策が必要であり、難易度が高い
非オーナー系破綻企業の場合は、経営陣が社内政治で上がってきたので、「経営リタラシー・実務能力ともに低い」が、オーナー系破綻企業場合は、戦略的思考などの経営リタラシーは低いものの、オーナーの意向を実現させてきた人物が残っているために実務能力は高いという。
興味を持ったのは、非オーナー系企業で「衰退惹起サイクル」を駆動させないための「くさび」として挙げられた、�〇�実をベースとした議論を尊重する規範、�⊃融�部局の統制に基づく公正な人事登用プロセスのうち、特に�△鬚匹Δ笋辰胴獣曚垢襪�だ。�，呂△蕕罎覿斌未如△泙困魯肇奪廚�そういう姿勢でなければならない。ファクトベースで議論を重ねた案件だけが選択され実施される。
しかし、�△呂發辰隼伝箸澆�必要なので、それを優良企業はどう構築し、人事人材をどう育成し、どうやって運用しているのか気になるところだ。
330：非オーナー系衰退惹起サイクルを止めるために・内部から止めるのは簡単ではない・独立社外取締役の活用「空気を読まずに」発言できる人材・「外集団」に属し、相互独立的自己観が強い人物 ✖「お友達」
2018年04月22日
新宿「歌舞伎町」が歌舞伎と関係のない理由
都心の大学に通いながら、ついに4年間都会になじめなかった私は下宿と大学を往復する毎日だった。都会よりも地方に旅行するほうが好きだったので、バイクであちこち出掛けていた。都心の地理がやっとわかり出したのは、VCに就職して投資先を探しにあちこち営業活動をするようになってからだ。
そんなわけで、新宿と言われても、高田馬場と早稲田の一角を除いて、私にはほとんど縁がない。しかし、この新宿で生まれ育って早稲田に通った大先輩の本を読んで、昭和20-40年代の新宿を懐かしがる先輩方は大勢いるだろう。
著者略歴には、1940年生まれ、早稲田大学法学部卒業とある。今や早稲田も文系学部に限れば、男女学生数はほぼ同じ。私が在籍していた35年前の政治経済学部では女子学生は1割いなかったが、現在では3割を超えている。著者は1960年前後の在籍だから、ものすごく珍しかったはずだ。
かつての落合周辺は、林芙美子をはじめ多くの作家が住み、後に「落合文士村」とよばれました。関東大震災後から第二次世界大戦前にかけて、明治以来の近代文学を否定するアヴァンギャルド、社会変革を目指したプロレタリア文学、大正を感覚的にとらえ斬新に表現した新感覚派などの文学者たちが、この地域に集まったのです。（中略）同時期、文壇には文芸復興の気運が興ります。上落合二丁目（現・三丁目）の一角にあった文士長屋、通称「なめくぢ横丁」には、当時の気鋭の作家である檀一雄、尾崎一雄、上野壮夫が住み、太宰治、立原道造、亀井勝一郎、保田興重郎らが集まりました。ここでの多くのエピソードは、尾崎一雄の『なめくぢ横丁』などに記されています。（新宿区地域文化部文化観光国際課偏『新宿文化絵図ー新宿町歩きガイド』2007）
「なめくじ横丁」に住んでいた作家の一人として、ここに記されている上野壮夫が、筆者の父ということ。プロレタリア文学の詩人・作家として文学活動をしていたそうだ。
「歌舞伎町の誕生」が、住民から出た戦後の復興計画で、「広場を中心とした芸能施設を集め、新東京の健全な家庭センターを造る」（鈴木喜兵衛）というものだったとは興味深い。鈴木の相談を受けた東京都建設局都市計画課の石川英輝課長（定年後、早稲田大学で教鞭・落語研究会顧問）はこれに賛同する。
「貴方の復興計画の目玉は、歌舞伎劇場の建設でしょう。だったら、歌舞伎町という名前にしたら」
こうして、1947年に角筈北一丁目は歌舞伎町と町名変更されたが、その後、歌舞伎劇場の建設計画は取りやめとなる。「町会会員各々が、自分の利益と家族のために家業に精を出しはじめ、協力体制が崩れていったこと」「1948年に臨時建築等制限規則が公布され、不要不急のものは建築できなくなったことが理由」とある。
こうして、歌舞伎の名前は残ったが、歌舞伎とは縁のない歓楽街として歌舞伎町は戦後の発展を始める。
15：1949年8月、GHQによる露店（闇市）撤去指令により、東京都は、都内に90余りあった露天商組合に解散を指示した。その中でも、新宿では、野原組が造ったマーケットやハモニカ横丁と呼ばれた飲み屋街は昭和30年代まで続いた。ハモニカ横丁は、小さな飲み屋がハモニカの吹き出し口のように並んでいたことからその名がつけられた。27：父は、「人物評論」に掲載する原稿を依頼しに、上落合に住む尾崎一雄の所へいく。尾崎は早稲田の先輩で、父とは以前からの顔見知りだった。尾崎は、「文藝春秋」に渡したものの、なかなか掲載しれくれない小説「暢気眼鏡」の原稿を取り戻して父に渡す。「人物評論」に掲載された「暢気眼鏡」は、芥川賞を受賞し、尾崎は、それまでの文学的低迷から脱却した。229：（鈴木）喜兵衛は、焼け残った中村屋所有の倉庫兼寮い、他所に避難していた住民を集め、淀橋警察署（現・新宿警察署）と交渉し、食料として乾パンを調達した。しかし、住民が二千人近く暮らす建物に電気の供給はなかった。ろうそく、ランプも区役所には予備がない。そこで、鈴木は、テキヤ関東尾津組組長尾津喜之助に相談する。歌舞伎町の誕生230：1945年10月27日、復興協力会第一回総会が二幸デパート地下食堂で行われた。参加者は旧住民179名。この会に先立って、北町会三万坪のうち一万坪を所有する峯島家七代茂兵衛を訪ね、土地提供の交渉を行ったのである。七代は、峯島喜代の孫にあたる。商売よりは趣味に生きた七代目は、喜兵衛の熱心な復興計画に耳を傾け、廉価で手放すことを快諾した。新宿コマ劇場鈴木喜兵衛が東宝を説得した結果だった。阪急東宝グループの創始者小林一三が中心となって建設は進められた。座席数二千、都内最大級の劇場である。三段の円形舞台がコマのように回りながらせりあがってくるのが特徴だった。
2018年04月21日
竹山洋「こころの玉手箱」
今週日経新聞夕刊に連載された脚本家竹山洋「こころの玉手箱」が面白かった。流石に文章がうまい。
これまで名前くらいしか知らなかったが、経歴には「1946年埼玉県生まれ。早稲田大学卒。ジャズミュージシャン、テレビ局の演出部などを経て脚本家に転身」とある。これまで紆余曲折あったようだ。
そういえば、何かにつけて私立より国立が上だという意識の強い田舎で、35年前、私の早稲田進学を一番喜んでくれたのは父だった。私は国立に行くつもりで、早稲田を「すべり止め」に受けていたので、複雑な気持ちだったのだが、大阪の私立大学を出た父にとっては、「つまらない国立より、個性ある私学のほうがいい」と思っていた節がある。
これまで名前くらいしか知らなかったが、経歴には「1946年埼玉県生まれ。早稲田大学卒。ジャズミュージシャン、テレビ局の演出部などを経て脚本家に転身」とある。これまで紆余曲折あったようだ。
�（譴侶糎�の指輪（所沢貧民街の生まれ）
太陽のような笑顔の明るい人で、女優の原節子に似ていた。建設作業員宿舎の賄いをやったり、農家の茶摘み、草取り、稲刈りなど休む間もなく働いていた。それでも金はない。「１・６銀行に行ってくる」１と６で７（しち）― つまり質屋のことである。よく質屋に行っていた。
�⊇蕕瓩毒磴辰織Ε奪疋戞璽后柄甍霤弔房甲紊靴進譟�
母は尋常小学校を終えると奉公に出された。奉公先の坊ちゃんは早稲田の学生だったという。私が北海道大学に行きたい、国立だし授業料も安いと言ったら「早稲田に行って」とじっと私の顔を見た。「早稲田の角帽を被ったら似合うでしょうね」
�２源佞砲瓦舛修Δ砲覆辰慎輟А�29歳で高岡尚平氏に弟子入り）
私は泣いた。何か仏に言われたような気がした。嗚咽しながら牛丼を食べた。自分が脚本を書けないのは自分の心の傲慢さにあるのだと全身全霊でそう思った。
深夜、書けなくなると一人で牛丼を食べに行く。氏の声を思い出して泣きながら食う。この年になっても傲慢な自分を恥じる。
�ぬ�見菩薩（50歳を過ぎたころから不運が続く）
争わないと決めてから世間の風が穏やかになった。人々が優しくなった。勲章も2つ貰った。勲章のことなど書くなと妙見菩薩に叱られるかもしれないが、怒らずに仕事をしてきたからだろうと思う。負けるが勝ち。徳川家康もこう言っている。勝つことばかり知って負けることを嫌うと害が身に及ぶ。
�ヌ瓦埜�た万年筆（竹山洋のペンネームをつけ妙見菩薩を信仰し始めた30歳の頃）
ウインドウを覗くと、黄金色の夢と同じ万年筆がキラキラ光っていた。
以来。
「書くものが変わった」。よく言われるようになった。変わったのである。迷わなくなった。神の万年筆が書いてくれていると、自分を信じた。迷いのない脚本は視聴者の心に届くらしい。書くものがほとんどヒットした。
そういえば、何かにつけて私立より国立が上だという意識の強い田舎で、35年前、私の早稲田進学を一番喜んでくれたのは父だった。私は国立に行くつもりで、早稲田を「すべり止め」に受けていたので、複雑な気持ちだったのだが、大阪の私立大学を出た父にとっては、「つまらない国立より、個性ある私学のほうがいい」と思っていた節がある。
2018年04月20日
第4章 オーナー系企業の内側
本書では、「衰退の法則」を、非オーナー系とオーナー系企業に分けて分析している。両者にガバナンス構造上の違いがあるからである。なお、オーナー系企業の定義は、株式シェアに寄らず、実質的に経営トップとして君臨しているかどうかで区分している。
破綻するオーナー系企業の特徴は、トップの経営判断の誤りだ。オーナー時意思決定権限が集中しているので、オーナーの施策が当たっているうちは敏捷な動きで好調だが、オーナーが慢心し、あるいは年齢と共に判断能力が落ちてくると、企業全体が一緒に衰退する。
「オーナー系企業は、組織全体がトップの意向を体現するために最適化されている」ため、トップさえ変えれば、「オーナー系企業の再生は、非オーナー系と比較して難易度が低い」という指摘は興味深い。
オーナー系優良企業は、独立社外取締役の導入でオーナーの暴走に歯止めを掛けたり、「腹心の活用」で、影響力の強すぎるオーナーが社内を混乱させないように交通整理をする工夫をしているという。
260：オーナー系破綻企業の特徴＊オーナー個人が経営の意思決定を一元的に担い、企業組織はその意思決定の内容を迅速に具体化することに最適化されている�〃弍鳥�の意思決定プロセスで、意思決定権限がオーナーに一極集中している�▲潺疋襪砲茲觴卞眥汗哀廛蹈札垢蓮▲�ーナーの意思決定を実行に移す段階、すなわち事後調整が中心となる��ミドルの出世条件・経営陣登用プロセスにおいては、オーナーに忠実でその意向を体現するための実務能力を備えることが重要な条件となり、幹部への登用は自らと相性が良いものをオーナーが一存で選任する�し弍朕悗了饉舛蓮△海離廛蹈札垢鯣娠任掘⊆駄廓塾呂呂△襪發里寮鑪�的思考は苦手で経営リテラシーが低い人材が多い267：オーナー系企業の再生は、非オーナー系と比較して難易度が低い・非オーナー系衰退惹起サイクルが経営陣やミドルが参画して駆動している・オーナー系企業は、組織全体がトップの意向を体現するために最適化されており、新たなトップが適切な意思決定を行うことができれば、再生実現可能300：オーナー系優良企業・オーナーとしての自らの立場や最終意思決定権限を留保しながらも、非オーナー系優良企業に見られたサイクルを社内に駆動させ、自らの意思決定の負荷を下げることに成功・経営企画機能強化「腹心の活用」・オーナーが意思決定にかかわる案件について上程前に内容を審査するとともに、オーナーから下りてくるトップダウン案件についても、社内の「交通整理」をしつつ、担当部署に検討を指示するゲートウェイの機能322：オーナー系破綻企業3社がいずれも、その脆弱性を是正することができなかったがゆえに、オーナーの意思決定の過誤を補正できず、破綻に至ってしまったのに対し、優良企業3社はいずれも、その組織的脆弱性を是正する工夫をしている
2018年04月19日
第3章 優良企業の内側
日本企業には、日本人の文化的特性から、「衰退惹起サイクル」に陥りやすいことが明らかになった。それでは、優良企業はどこが違うのか？という話である。
優良企業と破綻企業は、一見すると似ているように見えるものの、決定的に異なる要素がいくつか存在し、それらが「くさび」となって衰退惹起サイクルの駆動が阻止されているという。
優良企業と破綻企業は、一見すると似ているように見えるものの、決定的に異なる要素がいくつか存在し、それらが「くさび」となって衰退惹起サイクルの駆動が阻止されているという。
その「くさび」が、
�〇�実をベースとした議論を尊重する規範
�⊃融�部局の統制に基づく公正な人事登用プロセス
の二つ。
優良企業では、人事部門が死ぬほど情報を集め、「よく見ている」のだ。著者が行ったヒアリングの例が掲載されているが、「下から見て『上に上がって欲しい』という人が偉くなる」ということ。
の二つ。
優良企業では、人事部門が死ぬほど情報を集め、「よく見ている」のだ。著者が行ったヒアリングの例が掲載されているが、「下から見て『上に上がって欲しい』という人が偉くなる」ということ。
2018年04月18日
第2章 日本企業への文化の影響
日本企業には、「衰退惹起サイクル」が駆動しやすい「文化的な癖」があるという。1990年代から発達した「文化心理学」の研究によれば、「二つの文化的自己観」があり、日本人は、「相互協調的自己観」が強いのだそうだ。要するに、個が確立してないので、家族や友人を含めた他者との関係性で自分を定義している。他者には、仲間とみなす「内集団」と、そうでない「外集団」の区別がはっきりしていて、内集団には親切でやさしいが、外集団には途端に冷たくなる。
『菊と刀』で、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトは、米国人の「罪の文化」に対し、日本人は「恥の文化」だと指摘した。米国人は、道徳に絶対的基準を置き、それに背くことが罪であり、罰を受けると理解していることが「内面的な強制力」として働く。一方、日本人にはそういった「内面的強制力」は存在しない代わり、恥を回避したいと思うことが「外面的な強制力」となっているのだ。
「罪」は懺悔や贖罪によって軽減することができるが、「恥」は他人に告白することで、逆に増大してしまう。この結果、日本人は、トラブルなどをもみ消そうとし、組織ぐるみで不祥事を起こしやすいわけだ。
好調な企業においても、経営陣が認識しないうちに衰退惹起サイクルが駆動してしまっている可能性がある。事業環境が安定している限りその問題は顕在化しないのだが、事業環境が変化すると、それに対応できず衰退の道をたどることになる。
『菊と刀』で、米国の文化人類学者ルース・ベネディクトは、米国人の「罪の文化」に対し、日本人は「恥の文化」だと指摘した。米国人は、道徳に絶対的基準を置き、それに背くことが罪であり、罰を受けると理解していることが「内面的な強制力」として働く。一方、日本人にはそういった「内面的強制力」は存在しない代わり、恥を回避したいと思うことが「外面的な強制力」となっているのだ。
「罪」は懺悔や贖罪によって軽減することができるが、「恥」は他人に告白することで、逆に増大してしまう。この結果、日本人は、トラブルなどをもみ消そうとし、組織ぐるみで不祥事を起こしやすいわけだ。
好調な企業においても、経営陣が認識しないうちに衰退惹起サイクルが駆動してしまっている可能性がある。事業環境が安定している限りその問題は顕在化しないのだが、事業環境が変化すると、それに対応できず衰退の道をたどることになる。
154：二つの文化的自己観・相互独立的自己観自己は、肉親や友人、知人と明確な境界線で区切られている。自己を規定するうえで、自己と接している他社からなる内集団と、他者からなる外集団との差異は重要ではない。・相互協調的自己観自己と自分に近い他者との間に明確な区別がなく、他者が自己の枠組みに入り込んでいる。他者の中でも、自己の枠組みに入り込んでくる重要な他者とそうでない他者ははっきりと区別され、内集団と外集団との区別は明確になっている。
2018年04月17日
第1章 破綻企業の内側
本章のコラムに「社長の現場訪問」というのがある。
ある企業の破綻数年前の話である。その企業の地方支店は中核都市の駅から数百メートルの場所に設置されていた。徒歩5分の距離である。わずかの距離であるので、業績が厳しい会社の幹部であれば歩けばよいと思われるが、その企業ではトップの来訪時には必ずハイヤーを用意することがルールとなっており、業績が長く低迷を続ける中でも、そのルールは見直されていなかった。また、車種まで本社秘書室が指定しており、その支店長は自店の業績が悪いにもかかわらず社長訪問時には指定された車種のハイヤーを手配し、駅で出迎えることが慣例となっていた。いかにもダメな会社の典型である。トップから下まで危機感がないのだ。どこかで「うちは名門企業。何とかなるだろう」と思っているのである。話は続く。その駅前が駐車禁止になった。支店で緊急会議が開催され、対応策が検討される。長時間の議論の末に出た答えは、「ハイヤーを2台手配する。駅の北口と南口に1台ずつ待機させ、数分ごとに双方を入れ替える」
私もこれに似た経験をしたことがある。90年代半ば、バブル経済の崩壊である中堅メーカーが業績不振に陥っていた。その会社はJVで、外国の大企業が株主であった。それまでも定期的な経営会議は行われていたが、赤字が何年か続き、数日掛けて集中的に議論しようということになった。それも、東京本社ではなく、創業の地であり主力工場のある地方都市でだ。
会議にはその外国企業の役員5人が出席することになった。空港から工場までは車で２時間かかる。JV始まって以来の事態に緊張が走った。「粗相があってはいけない」ということで、ベンツSクラスを一人に一台、計5台用意したのだ
地方国道をベンツSクラスが5台も隊列をつくって集団走行することなどないから、沿道の人は「誰が来ているのか」と皆が振り向いていた。あれでスモークガラスなら完全にヤクザだが、ハイヤーなのでそれはなかった（笑）。これは三重の意味でバカな決定だったと思う。
�ー尊櫃僚佝顱�私は領収書を見てないが、1台1日10万円として、二日間延べ10台で合計100万円。
��経営パートナーである相手側株主に、「危機感のない経営者」であると印象付けたこと。「粗相」のポイントがまるで違っている。
��社員のモチベーションダウン。業績不振で昇給はなくなり、残業代はカット、工場の設備投資もすべて凍結されている中で、ベンツ5台が工場に乗り付けるのを見たら怒ります
結局、その会社は、危機感を抱いたメイン銀行から副社長が派遣され、経営合理化を行った。
（出所：東洋経済ONLINE「衰退の法則」対談）
34：上位階層理論(upper-echelon-theory)→経営陣の資質・在任期間が短いCEOほど事業環境に適応した戦略をとる・経営陣の平均在任期間が短くかつメンバー間の在任期間のバラツキが大きいほど戦略転換を行いやすい・経営陣の教育レベルが高く、自然科学や社会科学分野の教育を受けており、かつ経営陣の間での専門分野の多様性が大きいほど戦略転換が生じやすい51：破綻企業（非オーナー系）�〃弍朕悗琉媚弖萃螢廛蹈札后射縦蠶艦妥�色彩の強さ�▲潺疋襪砲茲觴卞眥汗哀廛蹈札���ミドルの出世条件・経営陣登用プロセス�し弍朕悗了饉�52：破綻企業の「作法」�ー卞發任梁侘�を極力回避する�¬鮨Δ籠�社年次と言った社内秩序を強く重んじる73：破綻企業の意思決定プロセス�ヾΑ豪燹垢竜掴世�ない�¬鮨�上位者や有力者の意見に過度に同調する�Ａ寛餔戝廚之莎弔気譴��そ仞兵坿屬飽徒曚料蠍濾垈朕�の合意が存在するため、部分最適の議論が大半を占める�ヂ侘�を生じさせかねないPDCAは巧みに回避されている
2018年04月16日
日本企業を蝕むサイレントキラーの正体
「なぜ、衰退を認識していながら、破綻にいたるまでそこから脱却できなかったのか？」
これまで多くの経営者やジャーナリストがそれらしいことを書いてきたが、「破綻企業とそれとは対照的に業績が好調な優良企業、計13社を対象に詳細な事例研究を行い、学術的な方法論に則って、可能な限り客観的な分析を行った」学術書はなかったと思う。
著者は、1984年東大法学部卒業後、通商産業省（現・経済産業省）でベンチャー行政に携わっていた。あれこれやったがいくら補助金を出しても起業は盛んにならない。プレヤーが圧倒的に不足していると自らベンチャー経営を学ぼうと1997年に転職したのがカルチャー・コンビニエンス・クラブ（CCC）。そこでウェブ子会社社長を経て、CCC代表取締役常務。2004年に産業再生機構に再び転職し、破綻したカネボウの社長を一時勤めた。産業政策側と、一代で大企業を築き上げたカリスマ経営者と共にベンチャー経営し、破綻した名門企業の再生を経営トップとして率いるなど、まれな経歴を持つ。
私はCCCの時に、一度だけお話を聞いたことがある。この人が、その知見を、50歳を過ぎてから東大に戻って博士論文にまとめたのが本書の元。面白い
序章 破綻企業に共通する「衰退の法則」＊破綻する日本企業には、類似点が多い・破綻した企業の組織には、ある共通のメカニズムが駆動していた・このメカニズムは、駆動していても「平時」には気づかないが、ひとたび「有事」、すなわち事業環境が変化すると企業の対応を著しく困難にさせる特徴を有しており、破綻した企業はいずれも事業環境の変化にうまく適応できず、売上や利益をズルズルと落とし続け、破綻に至ってしまった・すなわち、このメカニズムは、「平時」には息を潜め「有事」に牙をむく、いわゆる「サイレントキラー」としての厄介な性質を有している・このメカニズムは一度駆動してしまうと、止めることは容易ではない・日本企業には、このメカニズムを社内で駆動させてしまいやすい傾向が文化的に内在している8：カルロス・ゴーン氏の見た日産�ー�益性の低さ「経営陣は数字を知りませんでした。また、業績も知りませんでした。数値的な目標を掲げることもありませんでした。その車が利益を上げるのか、それとも損失をもたらすのか、よく知らないままに車を売っていたのです」�▲罅璽供爾鮃洋犬貌�れない発想「この車はどんなユーザーを対象としてものか？」「どうしてユーザーはライバル会社のモデルではなく、日産のモデルを買ってくれたのか？」という質問に対して、答えがない。�４躓ヾ兇侶臟�仕事を頼んで、「いつまでにできるか？」と尋ねると、私が思っているよりも10倍の時間が返ってきた。日産は火事で燃えているというのに、その緊張感が伝わってこない。�ぅ札�ショナリズムの弊害「チームでの仕事の質の高さ」と「部門横断的なやり方の欠如」、この二つの落差に驚いた。「日産の人々は誰もが自分の縄張りを守り、言ってみれば、よその部門の人間には書類のコピーすら見せない。�ゥ凜�ジョンがない「日産を5年後にどうしたいか？」「日産というブランドは何を意味しているのか？」に答えがない。15：企業の競争力「戦略的意思決定能力」＋「業務執行能力」（一橋大学 延岡健太郎）・日本企業の業務執行能力は以前から高く、バブル崩壊後もその優位性は維持されている一方で、戦略的意思決定能力が伝統的に弱い・事業環境の不確実性が増大すると企業業績を決定する要因が業務執行能力から戦略的意思決定能力に移行する・日本企業は「トップの資質が不十分であること」と「取締役会の実質性が低いこと」から戦略的意思決定能力が低い
2018年04月15日
映画FOCUS
BSで録画していた「フォーカス」を週末に見る。プロ詐欺師が主人公で、彼が詐欺師と知らず、美人局ではめようとした半人前の美人詐欺師との恋愛を軸に話が展開していく。ありとあらゆる華麗な詐欺の手口に圧倒される。
こうした犯罪者をヒーローとして描く映画は英米では一ジャンルとして確立している。ハリウッド映画では、世界恐慌時代の銀行強盗カップルを描いた「俺たちに明日はない（原題：Bonnie and Clyde）」（1967）が大ヒットしたし、同じ年、イギリス映画では1963年に実際に起こった30億円超の列車強盗を映画化した「大列車強盗団（Robbery）」もヒットした。先日紹介した、イギリス映画「バンクジョブ（The Bank Job）」（2008）はやはり1971年に実際に起こった銀行強盗事件（Baker Street robbery)を題材にしたものだ。
要するに犯罪者をヒーローとすることに抵抗がない。日本でも一時ヤクザ映画が一ジャンルを確立していたが、 あれは義理人情が主題だったと思うので、テーマが違う気がする。英米の犯罪映画は、けっこう一般人を巻き込んでいる。銀行強盗では相手は銀行なので罪悪感は少ないのだろうが（銀行が損害を被り、預金者に被害が及ぶことはない）、FOCUSに出てくる詐欺師は、町を歩く一般人からどんどん窃盗を重ねる。
おそらく、その背景には、アングロサクソン系の「だまされる方が悪い」という価値観があるのだと思う。そうでなければ、こんな映画「ふざけるな！」となるはずだ。この辺、平均的日本人には受け入れがたいのではないか。
主人公の口癖："There are two kinds of people in this world. Hammers and nails."
（この世界には二種類の人がいる。ダマす人とダマされる人）
2018年04月14日
迷宮歴史倶楽部
ユーモラスな分かりやすいイラストが目を引き、読んでみる。いや、イラストが中心なので、眺めたというべきか。「戦時下日本の事物画報」ということで、「戦時下で民草が味わった空気が再現されている」（『迷宮歴史倶楽部』ファンだという加藤陽子・東大大学院教授）。
イラストはカラーなのだが、作画の資料はほとんどは（写真にしても印刷物にしても）白黒。当時の絵葉書やカラー図、博物館に残った展示品や絵日記などを参考にできるだけ実物に近づけるようにしたという。それでも不明なものについては「筆者の想像」という。
私的に興味を持ったものがいくつか。
�￣翅旅茵覆┐鵑燭い瓦Α法Я�備や物資、人員などを敵の攻撃から守るための施設
ここでは特に、戦時中の航空機シェルターが取り上げられている。今も、調布飛行場や武蔵野の森公園、茂原などに残っているのだそうだ。私は国内では見たことがないが、5年前に学会で韓国の済州島に行ったときに見た。昭和10年代に日本軍が整備したアルトゥル飛行場跡に残っていた。
��上野大仏：戦時中の金属供出で「出征」
上野大仏は寛永寺に創建当初からあったらしい（寛永8年）。それが正保4年の地震で崩壊。明暦に復興するも、今度は天保12年の火事で首が落ちる。2年後に修復されるが、安政大地震で再び首が落ちる。また修復され、このまま明治維新を迎える。この間ずっと大仏殿の中に安置されていたが、明治6年に取り壊され、鎌倉の大仏同様、「露仏」となったそうだ。そして、関東大震災で三度目の首落ち
大仏の頭はもともと前に傾いているので、落ちやすいのだそうだ。しばらくは関東大震災からの復興で修復どころではない。なにしろ、お寺も下町の檀家達も皆焼けてしまったのだ。昭和15年の東京オリンピックに合わせて修復という計画があったが、オリンピック中止で、修復も中止に。その後、戦局の悪化で胴体部分が解体され、金属供出されたとのこと。現在、御顔だけが残っていて、「これ以上落ちない」ということで受験のお守りになっているということ
毎朝のように上野公園に行っているのに、気が付かなかった
（じゃらん「上野大仏」）
2018年04月13日
幸福度を決めるのは「使う額」ではなく「お金の使い道」
「人に与えることでより幸せに、かつより健康になれる」というのは興味深い。誰でも実感があると思うが、医学研究でもこれは実証されている。
「ボランティア活動をすることで、うつ病にかかる確率が下がり、健康と感じる率は上がり、死亡率が22%も下がる。最低、週1回のボランティア活動をすることで受ける健康上の恩恵は、年収が2万ドルから75千ドルに上がった時の効用に匹敵する
」（英国エクセター大学医学部調査2013）アメリカはボランティア大国であると共に、「寄付大国」である。先進国で最低の社会保障制度の国が、世界最大の民間寄付額（それもけた違いに）を誇るというのは面白い。政府が社会保障制度を充実させると、税率が上がると同時に、「それは行政がやること」になってしまい、各人が自分の考えと余力で他人を助けることが減ってしまう。
トランプ政権では測れない、アメリカの偉大さ。この本のインタビューにも出てきた故Sir John Templetonによれば、「1/10税（収入の8-10%を協会や慈善団体に寄付する）を払う人で、経済的に成功しない人はいない」のだそうだ。
「お金」と「幸せ」の不思議な関係＊自分がこの世で一番情熱を持つこと263：年収が25千ドルから55千ドルに増えても、幸福感は9%しか増えない・さらに、米国の中流層の平均所得の年収75千ドルまで達すると、その後いくら年収が増えても、幸福度に目だった差異は見られない。・幸福度を決めるのは「使う額」ではなく、「お金の使い道」！264：大きな満足感を約束する「３つの投資先」�〃亳海謀蟷颪垢襦淵皀里鯒磴Δ里任呂覆�、旅行に行ったり、新技術を習得したり、何かの講座を受講したり）�∋�間を節約するために投資する（掃除や洗濯など面倒な家事は誰かに代わってもらう）��人に投資する（人のためにお金を使うと、幸福度が大きく上がる）276：Giving Bridge（財産の半分以上を寄付する富豪たち150名以上）・Bill GatesとWarren Buffetが音頭・Ted Turnerは国連に10億ドル寄付を約束
2018年04月12日
充足間のない成功は、究極の失敗
「充足間のない成功は、究極の失敗」だという。著者のおすすめは、「人とシェアして楽しむ」こと。ほとんどの人は、一人で楽しむより仲間とシェアしたほうが幸福度が上がる。
気を付けなければいけないのが、プライミング効果。「無意識のうちに耳や目にした言葉、概念や感情が人の認識の仕方に影響を与え、その後の感情、やる気、行動にも影響する」だから、「毎日、自分の心の入り口に立って警護しろ。どんな思考や信条を中に入れるかは、自分で決める」（ジム・ローン）事をしないと、世の中にあふれる悪意に満ちたうわさや視聴率稼ぎのセンセーショナルな報道に毒されていくことになる。
気を付けなければいけないのが、プライミング効果。「無意識のうちに耳や目にした言葉、概念や感情が人の認識の仕方に影響を与え、その後の感情、やる気、行動にも影響する」だから、「毎日、自分の心の入り口に立って警護しろ。どんな思考や信条を中に入れるかは、自分で決める」（ジム・ローン）事をしないと、世の中にあふれる悪意に満ちたうわさや視聴率稼ぎのセンセーショナルな報道に毒されていくことになる。
能力が高いのに成功しない人は五万といる。稲盛和夫流に言えば、
人生の成功＝能力×やる気×考え方
の「考え方」の部分がネガティブ（マイナス）なので、逆に、能力が高いほど実害が大きい。会社勤めであれば、職場に合わなければ新天地を求めて転職すればいいだけなのに、被害者意識が強くて周りのせい、会社のせいにするタイプだ。
「怒りと恐怖を取りのぞく1日10分間のエクササイズ」は実践しよう。自分の脳と心を「感謝の念」に敏感にすることでそうした世の中に溢れるネガティブな情報をシャットアウトすることができる。
決断� Р燭肪輒椶垢襪�（今あるもの、コントロール可能なもの）決断�◆А崔輒椶垢襪海函廚法△匹鵑憤嫐Ｉ佞韻鬚垢襪�決断��：どんな行動を取るか254：プライミング効果「無意識のうちに耳や目にした言葉、概念や感情が人の認識の仕方に影響を与え、その後の感情、やる気、行動にも影響すること」255：自分の脳と心を「感謝の念」に敏感にすることで、怒りと恐怖を取りのぞく1日10分間のエクササイズ・朝一番に、目をつぶって3分ほど自分が感謝するものを思い浮かべる。・次の3分は、家族、友人、顧客、今日で会う人皆に、健康と天恵が与えられるように祈る。・残りの4分は、自分が達成したい3つの目標を考える。すでに達成してお祝いする自分の姿を思い浮かべ、感謝の気持ちに浸る。＊10日続けて習慣にする256：「毎日、自分の心の入り口に立って警護しろ。どんな思考や信条を中に入れるかは、自分で決める」（ジム・ローン）・6つの基本的欲求のうち、一番次元の高い精神的欲求「成長」と「貢献」に注目する
2018年04月11日
12．Sir John Templeton 20世紀最強の投資家
「上昇相場は悲観主義から始まり、懐疑主義が強まるにつれて、さらに勢いを増す。楽観主義に移行する頃には成熟期を迎え、市場が陶酔感に浸るときに終焉を迎える」
投資する人ならだれでも聞いたことのあるこの格言
をつくったのがSir John Templeton。「世界中を旅し、割安な優良株を見つけて投資しする」ことと、「他人が絶望して売りに出した時に買い、他人が最高の好景気だと買いに走るときに売る」という逆張りで成功した投資家だ。最初にその基盤を築いたのは、1939年ドイツ軍がポーランドに侵攻し第二次世界大戦が勃発した時で、「自己資金に加えて借金をして、NYSEで価格が$1以下に下落した株を全て$100ずつ買った」という。結果は、購入した104社のうち、損失が出たのはわずか4社で、残りの100社で莫大な利益が出た。そのおかげで、3年後に投資顧問会社が売りに出たときこれを購入して、NYCにオフィスを構えて事業をスタートする。
もちろん、この買いには勝算があった。当時は世界恐慌の末期。需要の世界的縮小で、倒産した企業は数知れなかった。しかし戦争が始まると、需要が急増して、経済は繁栄すると歴史から学んでいたのである。
もちろん、この買いには勝算があった。当時は世界恐慌の末期。需要の世界的縮小で、倒産した企業は数知れなかった。しかし戦争が始まると、需要が急増して、経済は繁栄すると歴史から学んでいたのである。
188：12年に2回の割合で、下落相場が主要国を襲うのが普通だが、全ての国で同時に起こるわけではない。189：感謝の念をもって毎日を生きれば、恐怖に打ち勝つことができる・毎朝起きたら、自分が本当に感謝することを5つ考える・恐怖にくじけることなく、もっと楽観的な見方ができる
2018年04月10日
9. Kyle Bass ヘイマン・キャピタル・マネジメント創業者
「今、最も賢いヘッジファンド・マネジャー」と言われる。
・2005年、米国の住宅価格の暴落を予測し、空売りで1億ドルを7億ドルに増やす
・2008年リーマンショックを的中
・2009年ギリシャ危機を的中
そのカイルが、日本の長期国債のプットオプションを買っているという。急速な高齢化と経済停滞による財政赤字の拡大で、日本の長期金利は今後急騰すると考えている。それも、「投資史上、こんなに割がいいオプション商品は、今まで存在しなかった」とまで言う。
そのカイルが、日本の長期国債のプットオプションを買っているという。急速な高齢化と経済停滞による財政赤字の拡大で、日本の長期金利は今後急騰すると考えている。それも、「投資史上、こんなに割がいいオプション商品は、今まで存在しなかった」とまで言う。
このインタビューが行われたのは2014年なので、それ以降4年間に渡って、幸い、これは現実になってない。解説で山崎元が書いているのだが、カイルは「国債の一番大きな保有者が日銀だ」ということを見落としているのではないか、という。いわば、グループ内取引なので、連結してみれば日銀保有分は相殺されてしまう。
140：2006年6月時点で、住宅市場が下がることを想定していた企業はただの一社もなかった145：ユーロ危機においては、多くの国が平和時なのに史上最高額の負債を抱えていた・銀行システムの規模や既存のローンの数を基準に、いろいろな国の財政を精査・既存ローンのうち債務不履行になるローンの割合を計算し、その国の経済にどんな悪影響を与えるかを想定148：世界中のストレスが集中しているのが日本・金利変動率は1桁半ばで、世界中の資産クラスで最低・もし日本国債の利回りが1.5-2%に上昇すれば、日本の金融システム全体が崩壊
2018年04月09日
８．T.Boone Pickens「乗っ取り屋」
1989年、小糸製作所株の買い占めで「乗っ取り屋」として日本でも一躍有名になったT.Boone Pickens。「乗っ取り屋」というと、なにやら無法者のイメージだが、本書を読んで、その底流には「株主配当を最大にする」というしっかりした視点があることが分かった。
彼は1980年代初頭からこの考えに基づいて、成長してないのに現金を貯め込んだ会社の株式を次々と買い占めて、その上で増配や株式の買い取りを経営陣に要求していく。当初は異端とみなされたこの考えも、「ブーンの革新的な考え方は完全に主流になり、経済に欠かせない要となった」（Fortune Maazine）という評価になっている。
もともと石油業界でゼロから始め独立系最大手の石油会社を作り上げた。しかし、保有資産額が初めて10億ドルを越えたのは70歳を過ぎてからの第二のキャリアである。そして、その後15年で40億ドルまで成長させたが、また20億ドルを失い、残った20億ドルのうち10億ドルを慈善活動に寄付、と波乱万丈のうえ、何があっても「常に寄付」というのがオクラホマ出身の富豪らしくていい。
2018年04月08日
ニキータ
しばらく仕事で忙しくて映画を見てなかったので久しぶりの映画投稿。今週BSでやっていた「ニキータ」を録画で週末に見る。1990年リュック・ベッソン監督によるフランス映画。
不良少女のニキータは麻薬中毒の仲間と薬局に押し入るが、そこで警察と撃ち合いになる。警官を撃ち殺して無期懲役の刑を受けるが、彼女の「才能」を見込んだ秘密警察？から、政府の特殊工作員になることを迫られる。2年間の養成所での訓練、そして、衝撃の「卒業試験」。訓練と恋で、どんどん奇麗になっていくニキータがとても魅力的。
ニキータの魅力でつい忘れてしまいがちになるが、たくさん殺されていく。ニキータは政府の指示通りにやっているだけで、相手が誰なのか、何のためなのかも知らない。
フランスの犯罪率（10万人当たり）を調べてみると、フランスはかなり高い。殺人では、銃規制が緩いアメリカがダントツ（日本の10倍以上）であるものの、それに次ぐ2位（日本の4倍）。強姦では日本の190倍で、強盗に至っては先進国最悪（日本の74倍）である。1981年の死刑廃止（欧州内では遅れた）が影響しているのかどうか因果関係は分からないが、80年代以降悪化している。
国連薬物・犯罪事務所（UNODC）
2018年04月07日
モンゴルを20年間取材した写真家の記録
1997年にモンゴル取材をスタート。動物写真を撮るのが主目的だったらしいのだが、モンゴルに通ううち、モンゴル人の知り合いも増え、次第にモンゴル社会にも目を向けていく。2005年、ウランバートルの「マンホールチルドレン」を扱った『路上少年』で第1回名取洋之助写真賞受賞。本書は清水氏の20年間のモンゴル取材の「記録」として、文章中心にその時撮影された写真も紹介されている。
写真集『路上少年』の受賞もあり、一時話題となったマンホールチルドレン（冬の寒さから逃れるため、ウランバートルのマンホールで暮らす孤児たち）だが、現在では見かけることはないという。余りに非人道的だというので、モンゴル政府が施設に入れたからとも、人身売買で外国に売り飛ばされたともいわれているらしい。おそらく、両方なのだろう。
タイガの息を呑む美しさに目を奪われるが、それを撮るためにどんな苦労をしているかを知ると、さらに貴重で、その自然を失いたくないと感じる。冬の撮影では、極寒のため、足の指全部が凍傷になってしまい、治療に8本はひと月、2本は二か月かかったそうだ。運が悪ければ、指が無くなってしまっていたかもしれない。
106：ヤギやヒツジ、豚、牛などの家畜の他にも犬もゴミを漁っていた。日本語の書かれた日本酒やタバコのゴミも転がっていた。観光客が手土産に持って来たものだろう。観光客はこの国にゴミ処理施設がないことを知らない。115：作品タイトルは『路上少年』とした。ストリートチルドレンをそのまま漢字に置き換えただけだったがリズム感が気に入った。内容は植え込みをねぐらにする少年少女、マンホールチルドレン、ゴミを拾う少年たち、歌うたいの少年ニャマーとバス停のゾロジャンガルなど多角的に構成。116：現在、ウランバートルにはマンホールチルドレンは存在しないといわれている。僕が取材したのは2004年から2005年にかけてだったが、最後に目撃したのは2009年頃。（中略）すべての子供たちが保護されたり施設に入ったりしたと考えたいが、時折よくない噂も耳にする。噂なので真相はわからないが、人身売買で外国に売り飛ばされているというのだ。
2018年04月06日
５．Paul Tudor Jones「重要なのは攻撃ではなく防御である」
「年平均99%というリターンをたたき出した先物取引の天才」というから、ギラギラした天才肌の人かと思ったら、そうではない。「重要なのは攻撃ではなく防御である」がモットーで、「26歳で自社を立ち上げてから28年間、一度も損失を出したことがない」という
投資機会をよく吟味し、「$5を儲けるために$1を賭ける」チャンスが現れるまで動かない。そして、徹底したリスク管理。
「好調の資産は、あまり注意を払わなくてもうまくいく 。ところが、投資家は下落気味の資産は、詳細を見たがらない」その結果、上昇機運の株を売り払い、下落する株を買い込む・・・は耳が痛い。私のことです
93：ロビンフッド財団創始者・1988年以来、NYCのプログラムに$1450Mを投資・財団運営費は、役員会が100%負担・「ロビンフッド以上に効率よく運営されている財団は存在しない」Eric Schmidtグーグル会長95：リスク管理を毎朝最初に社内で確認するプロセス・好調の資産は、あまり注意を払わなくてもうまくいく・ところが、投資家は下落気味の資産は、詳細を見たがらない！97：「防御的ポートフォリオ」構築�ー舂�トレンドに必ず乗る ✖逆張り��5:1（$5を儲けるために$1を賭ける）
2018年04月05日
３．John C. Bogle インデックスファンド創始者
３人目のインタビューは、John C. Bogle（ジャック・ボーグル）。インデックスファンドで有名なバンガード・グループの創業者で、1976年に個人投資家向けに世界初のインデックスファンドを発売し、投資業界に革命を起こした。
インデックスファンドが生まれたきっかけが、ウェリントン・マネジメント社長であったボーグルが、経営判断の誤りで大きな損失を出し、社長を首になった事というのが面白い。法的規制のせいで、ボーグルは会長として残ることになるのだが、個別ファンドの運用関与を禁止された。それでアクティブ運用しないファンドとして思いついたのがインデックスファンドだったという。
失敗しても、前向きに過ごしていれば「人間万事塞翁が馬」で、思わぬ成功が転がり込むという典型。クヨクヨしたり、投げやりになると事態を悪化させるだけ。
インデックスファンドが生まれたきっかけが、ウェリントン・マネジメント社長であったボーグルが、経営判断の誤りで大きな損失を出し、社長を首になった事というのが面白い。法的規制のせいで、ボーグルは会長として残ることになるのだが、個別ファンドの運用関与を禁止された。それでアクティブ運用しないファンドとして思いついたのがインデックスファンドだったという。
失敗しても、前向きに過ごしていれば「人間万事塞翁が馬」で、思わぬ成功が転がり込むという典型。クヨクヨしたり、投げやりになると事態を悪化させるだけ。
75：長期的に見ると、株式取引における収益の半分は配当金のおかげ・平均的株式ファンドの税引き前収益は2%で、平均事業比率は1.2%79：ファンドには触らず何もしない82：ジャック・ボーグルのポートフォリオ中核原則�ー�分の目標とリスク許容度に合わせて、資産配分を決める��低コストのインデックスファンドを使って、分散投資する��自分の年齢と同じ率を、債券に回す
2018年04月04日
２．David Swensen エール大学財団CFO
エール大学のCFOとして、資産を27年間で10億ドルから239億ドルに成長させ、その間の年利回り13.9%という驚異的な実績を持つ。その運用方針は「エール・モデル」として知られ、大学財団の投資戦略の基礎をつくった人物として有名。
その投資戦略は現在では「常識」と言えるものばかり。つまり、長期にわたってアクティブ運用ファンドが市場平均を上回ることは不可能で、運用コストも考えると、インデックスファンドを買うのがよいというのが一つ。もう一つは、市場を上回る収益を確保するため、不動産やヘッジファンドなど流動性の低い資産をポートフォリオに入れたことである。
それまで、年金基金や大学基金などは「安全」な運用が第一とされ、国債や格付けの高い社債と上場株式ファンドで運用されるのが一般的だった。そこに完全市場に近い上場株のインデックスファンドと、流動性の低いオルタナティブ資産を組み合わせて、安全でかつ高い利回りを実現したのだ。
（図：エール大学基金の運用ポートフォリオ変遷）
57：「流動性の高い資産は投資効率を下げる」58：ファンド会社が多額の資産を集め、高い手数料を課して金儲けするのが問題59：アクティブ運用ファンドの実績は、市場平均を大きく下回る・運用資産1億ドル以上のファンドで、1984年から1998年の15年間にVanguard 500 Index Fundより高い利回りを実現したのは、わずか4%。その4%も毎年同じファンドではない。統計には「生き残り組」だけしか入っていないので、現実は、もっとひどい。61：個人投資家が高い利回りを実現するためのツール�〇饂最枴�←圧倒的に重要��売買タイミング�Ｌ段疏�択
2018年04月03日
Carl Icahn「物言う株主」
本書は著名な投資家が12名登場するのだが、その最初に登場するのが「物言う株主」として知られるカール・アイカーン。Icahn Enterpriseの創業者で総額１兆7000億円の投資ファンドを運用する。その発言一つで株価が大きく変動する人物だ。
日本で最も著名なアメリカの投資家と言えば「世界一の投資家」として知られるウォーレン・バフェットだろうが、アイカーンは過去40年間にバークシャーハサウェイ（バフェットの投資会社）の1.5倍の利益を上げている。これは、年平均31%（1968-2013）という驚異的な数字だ。
「乗っ取り屋」として長年評判の悪かったアイカーンだが、ハーバード大学ロースクールのルシアン・ベブチャック教授が10年ほど前に1991-2007年の間に行われた「物言う投資家」による2000例の活動を分析した論文が発表されてからは風向きが変わってきた。アイカーンが言うとおり、優れた経営資産を持ちながら業績の悪い企業の90%の原因は経営者にあり、アイカーンが買収して経営者を交代させるとほとんどのケースで業績が向上した。
「物言う投資家が介入した後、その企業の業績は向上する」ということが証明され、それまでよく言われた「乗っ取り屋の目的は短期の利益で、企業の長期的利益を犠牲にする」という説も、否定された。「物言う投資家」の企業の業績に対する長期的な悪影響などはなく、むしろ5年後もその会社は確実に業績を伸ばしていたのである。
「物言う投資家が介入した後、その企業の業績は向上する」ということが証明され、それまでよく言われた「乗っ取り屋の目的は短期の利益で、企業の長期的利益を犠牲にする」という説も、否定された。「物言う投資家」の企業の業績に対する長期的な悪影響などはなく、むしろ5年後もその会社は確実に業績を伸ばしていたのである。
日本でも一時、上場企業で買収防止条項を定款に入れるのが流行ったが、最近はこれを廃止するのが一般的になった。結局は、買収防止は株主の利益を犠牲にした、経営陣の保身に過ぎないことが分かってきたからである。
晩年に差し掛かっているアイカーン（原書刊行時78歳）が、会社制度改革と教育改革にその巨万の富を使っていることは興味深い。
42：何をやるにしてもトップにならないと気が済まない・貧しい家に生まれ、荒っぽいQueensの公立学校・高校教師からは「Ivy Leagueの大学は、こんなところの高校から生徒を取るわけがない」と言われたが、全部受かって、Princetonに進学。・親は授業料しか出さなかったので、夏休みに地元の海水浴場で指導員のバイト・ポーカーを勉強して年間の生活費を稼ぐ・卒業後に入った軍隊でもポーカーで稼ぎ、除隊までに2万ドル（現在価値で50M円くらい）貯める・それを元手にウォール街で投資を始めたのが1961年45：「非対称利益」過小評価されている会社の買収・「これだけの資産がありながら、どうしてこの会社はうまくいってないのか」原因の90%は経営にある51：寄付は自分でやるのが好き・最近も$30M（30億円）をCharter Schoolに寄付・Charter Schoolのいいところは、校長と教員が信用できるところ・米国は偉大な国だが、会社と教育制度は機能不全を起こしている・これを変える原動力となるべく富を生かすことが望み
2018年04月02日
自分のお金を確実に守り、増やす
まず、2014年に米国で出版され、世界的ベストセラーになった本書の日本語版が出るまで3年もかかったことに驚き。アベノミクスで株式投資が盛り上がっている日本で出せば売れることは分かっていただろうから、出版条件のネゴがあったと想像。
それはともかく、エッセンスは以下の通り。いわば、「投資に対する感覚を研ぎ澄ませ、どん欲に情報を集め、学び続けて、決断すること」。あっけないほど当たり前。投資の黄金律は不変なのだ。普通の人は小銭を稼いだら、それで満足してしまう。そこから先が、コーチングが本業のトニーの本領発揮。そこで満足させずに、人生の持つ「より深い意味」とは何なのかを知る手助けをすることで、モチベーションを続けさせる。
「人生とは、何を手に入れられるかではなく、何を与えるかだ」
27：金融の巨人の共通点�＼簑弌�損をしない・利益を追い求めながら、それ以上に心を砕いているのは、どうすれば損をしないか・「防御は攻撃の10倍重要」Paul Tudor Johns・50%損をしたら、スタートラインに戻るために100%の利益を上げる必要がある�◆崗�さなリスク」で「大きな利益」を上げる・「非対称なリスク/利益」・「$1のリスクに対して、少なくとも$5の儲けが見込めるまでは投資しない」Paul Tudor Johns�Ｍ渋�し、分散させる・幅広く資産を分散し、リスクに備える・「どんなに立派な人でも投資家としては最悪の場合がよくある。そういう人は、限られた情報に基づいて物事を判断できないからだ。全ての情報が揃う頃には、みんなに知れ渡っているので、抜きんでることはできない」�こ悗咾暴�わりはない・飢餓感こそ天才を解き放つ原動力・「我々は手に入れられるもので生計を立て、人に与えるもので人生を築く」Winston Churchill
2018年04月01日
「風邪は万病の元」
「風邪は万病の元」というのは、本当らしい。ただ、この言葉の本当の意味は、風邪がすべての病気の原因になるということではなく、「風邪をひきやすい体は、他の病気にもかかりやすい」ということ。「毎年シーズンになるたび風邪をひくような生活習慣のまま過ごしていたら、免疫力がどんどん落ちていき、将来的にいつガンになっても不思議ではない」のだ。
元来、風邪をひきやすい私にはとても気になる。ほぼ毎年、判で押したように、春と秋の2回掛かっている。要するに、季節の変わり目に弱いのだ。飲み会が続くなどして体調が悪い時に掛かることも分かっているので、なるべく飲み会は連続しないようにしているし、二次会に行くこともめったにない。それでも相変わらず掛かるので、「これのままではいけない」と思い手にしたのが本書。
どれも、知識としては知っていても実践が徹底されてないことばかり。「鼻うがい」は効果てきめんと言われているので、挑戦したことがあるのだが、水道水に含まれる塩素が鼻の粘膜を刺激するのでダメということ。なるほど、それで続かなかった。
「飛行機による移動は、免疫力を下げ、風邪をはじめとする空気感染の病気にかかるリスクが非常に高い」というのも、飛行機移動の多い私には気になる。機内は空気圧が低いし、湿度ゼロ（機体を錆びさせないため）。そのせいで疲れるのかと思っていたが、それだけではないようだ。感染予防のためマスク着用と、体を冷やさないように（長距離の場合は）カイロを用意しておいた方がよさそうだ。
76：ただ単に飛行機で移動するだけで、人はプロスポーツの2倍のダメージとストレスを受ける・移動による猛烈なストレスは人間の免疫力を低下させ、腸内細菌叢を悪化させる。＊ビタミン摂取＋マスク着用＋背中や肩甲骨の間に使い捨てカイロ126：鼻うがい・生理食塩水（1Lの水に塩8-9g）で・・・普通の水道水だと塩素で不快・洗浄水を鼻の中に流し入れ、口と鼻の穴から洗浄水を排出する131：インフルエンザウイルスを吸い込まない�／佑瓦澆暴个�けない�▲泪好�着用�５�宅時には、うがい、手洗い、洗顔、シャワーなど134：コートを室内に持ち込まない・玄関にある外套掛け、帽子掛けにかける136：部屋の湿度は50%が目安・60%がベストだが、窓に結露したりカビの原因になる172：「子どもの風邪ひき体質」は親の責任・親が夜更かしをしていたり、朝食を抜いていたり、夕飯を食べるのが深夜だったり・・・生活習慣の影響
