2017年05月
2017年05月31日
データから真実を見抜く思考法
日常的に、「因果関係」と「相関関係」が混同され、根拠のない通説がまかり通っていることは多々ある。これを区別しないと、いつまでたっても通説に惑わされることになる。
＊どうすれば根拠のない通説にとらわれることなく、正しい判断ができるのか？「因果関係」と「相関関係」の見分け方・根拠のない通説←因果関係と相関関係を混同因果関係：二つの事柄のうち、一方が原因となって、もう片方が結果として生じる相関関係：片方につれられて、もう片方も変化しているように見えるが、原因と結果の関係にない場合・二つの変数が因果関係か否かを確認するポイント� 崛瓦�の偶然」ではないか�◆崑荵阿諒竸堯廖文鰺躇�子）は存在していないか��「逆の因果関係」は存在していないか因果関係の場合は、何れも当てはまらない。相関関係の場合は、いずれかが存在。・因果関係を証明するには、現実と「反事実」（実際には起こらなかったシナリオ）を比較する。・二つの変数が因果関係か相関関係かを実験で明らかにするランダム化比較試験：対象群をランダム(無作為)に二つに分け、結果を比較する。疑似実験：政府の統計調査などの「観察データ」と「統計的な手法」を用いて、ランダム化比較試験を実施しているような状態を作り出す。
2017年05月30日
フルサス買いました
先週末行った徳島の山で、下りの途中顔面から落車。
歯の詰め物が取れた。
MTBはあまり乗ってないので、始めてから4年になるがまだ不慣れ。それに加えて、MTB仲間から(皆さん年少！）、「フルサスの方がいいですよ
」と推奨され、借りて乗ってみた。ウソみたいに楽
私のはハードテイルと呼ばれる、後輪にサスペンションのないタイプ。従って、不整地を下ると後輪が暴れる。後輪にもサスペンションがあると、これが軽減されて操作性が向上する。その分、自分でこいで進まなければならない平地や登りではペダリングロスが出るのだが、下りでは圧倒的な違いだ。
そんな話を翌日、職場の同僚とうどんを食べながら話していたら、「バイチャリ(中古自転車屋）にフルサスMTBがありましたよ」という情報。仕事が終わってから夕方寄ってみた。
そこで出会ったのがGIANT ANTHEM X3(写真)。ハンドルバーは街乗り用に短いものに付け替えられていた。ペダルも同様だ。乗ってみたところ、程度は良い。おそらく前オーナーは山でハードな乗り方はしていなかったようだ。勿体ない話だが、私にとっては好都合。
というわけで、即決。今日から東京だが、香川に戻って試すのが楽しみ。
2017年05月29日
九割が「女の子から」
若いカップルに会うたびに、どちらが最初にデートに誘ったのかを角田さんは聞いているのだそうだ。その結果、「九割が『女の子から』なのである。飲みにいかない？ごはん食べにいかない？と、女の子から誘い、し向け、交際に持ち込むわけである」というのが「家で鍋」世代の実態なのだそうだ。
どうしてこうなったのか？角田さんは推測する。
「草食系と呼ばれる男の子たちは、とことん楽したのだろうなあと思う。断られるかもしれないと思いつつ、勇気を出して女の子を誘うより、誘われてついて行ったほうが楽だし、失敗のないレストランをさがして予約するよりは、詳しい人に連れて行ってもらったほうが楽だし、クリスマスに混んだ店にわざわざ出向くよりは、家で鍋のほうが楽だし、支払いをぜんぶ持つより割り勘や奢ってもらうほうが楽」
この結果、二極化するのは当然だろう。つまり、自分から声をかけなくても、女性から声をかけられる「スペック」と「雰囲気」が揃っている男性は結婚できるが、そうでない男性は女性に縁のないまま生涯を終えるわけだ。この結果については古今東西そうだろうから、それでいいなら外野ができることは限られているのが、まちづくり活動でもやっている婚活支援の難しいところ。
161:じつは私はこの自分より若き世代に興味を持っており、カップルに出会うたび、どちらが最初にデートに誘ったのかというアンケートを独自に実施してきた。この、勝手にアンケート歴は三年ほどに及ぶが、未だに九割が「女の子から」なのである。飲みにいかない？ごはん食べにいかない？と、女の子から誘い、し向け、交際に持ち込むわけである。188:高価なものを買って、かつ、育てる、というのは、非常に男子的な話という気がする。そこには男のロマンをくすぐる特殊な響きがあるのだろう。205:どうも、友人知人を見ていると、「道具派」と呼びたくなるような人々がいる。ボウリングでもダーツでも麻雀でも習字でもいい、ずいぶんな大人になって何かをはじめたとき、すぐに道具を揃えてしまう人たちである。しかも、初心者にしては恥ずかしいくらい本格的だったり、高価だったりする道具。そうでない人たちというのは、間に合わせの道具を使ったり、人に借りたり、安価なものをまず用意して、一年、二年と続ける意思を確認してようやく、本物の道具を揃えていく。
2017年05月28日
かわいい子には旅をさせよ（それも貧乏旅行！）
角田光代作の『八日目の蝉』『紙の月』とどちらも良かった。といっても、私が見たのは映画で、原作は読んでないのだが。
その角田さん、元バックパッカーだったということをこの本で知った。
「私は20代から30代の半ばまで貧乏旅行を続けていた。バックパックを背負って、きれいとは言いがたいかっこうで、安宿をさがし、一日の終わりにベッドの上で残金を数えるような旅だった」（あとがき）
誰でもそうだが、歳を取ると貧乏旅はきつくなる。角田さんも加齢とともに、また本も売れて経済的余裕も出来て、バックパッカー旅行には終わりを告げた。
「けれども、若き日の旅癖がどうも抜けない。タクシーの料金を誤魔化されたりしないか、つねに気を張っている。食事はレストランではなく食堂にいってしまう。屋台があれば屋台に向かう。みやげものをつい値切ってしまう。飛行機の移動を、どこかもの足りなく感じている」（あとがき）
「そうして30代の終わりに猛然と忙しくなって、旅に出ることがむずかしくなってしまった。二週間の休みをとることが、物理的に不可能なのである。個人的な休暇は諦めて、旅の仕事があれば引き受けるようになった。仕事の合間の自由時間に、知らない町をひとり歩いて疑似旅を味わう」（2016年未来の旅）
驚いたことに、角田光代さんが『八日目の蝉』取材のため小豆島に滞在したのはたった1日なのだそうだ！それで、あれだけの島の空気感を表現できるのはさすがというしかない。その感性を磨いたのは若き日の貧乏旅行なのだろう。
「かわいい子には旅をさせよ」（それも貧乏旅行！）
その角田さん、元バックパッカーだったということをこの本で知った。
「私は20代から30代の半ばまで貧乏旅行を続けていた。バックパックを背負って、きれいとは言いがたいかっこうで、安宿をさがし、一日の終わりにベッドの上で残金を数えるような旅だった」（あとがき）
誰でもそうだが、歳を取ると貧乏旅はきつくなる。角田さんも加齢とともに、また本も売れて経済的余裕も出来て、バックパッカー旅行には終わりを告げた。
「けれども、若き日の旅癖がどうも抜けない。タクシーの料金を誤魔化されたりしないか、つねに気を張っている。食事はレストランではなく食堂にいってしまう。屋台があれば屋台に向かう。みやげものをつい値切ってしまう。飛行機の移動を、どこかもの足りなく感じている」（あとがき）
「そうして30代の終わりに猛然と忙しくなって、旅に出ることがむずかしくなってしまった。二週間の休みをとることが、物理的に不可能なのである。個人的な休暇は諦めて、旅の仕事があれば引き受けるようになった。仕事の合間の自由時間に、知らない町をひとり歩いて疑似旅を味わう」（2016年未来の旅）
驚いたことに、角田光代さんが『八日目の蝉』取材のため小豆島に滞在したのはたった1日なのだそうだ！それで、あれだけの島の空気感を表現できるのはさすがというしかない。その感性を磨いたのは若き日の貧乏旅行なのだろう。
「かわいい子には旅をさせよ」（それも貧乏旅行！）
64：天気の一定しないアイルランドで飲むギネスはもっちりとしておいしいが、日本ではどうも重すぎる。旅先で飲み、気に入っておみやげ用に持ち帰り、日本で飲んで「あれ？」という経験を持つ人も、多いのではないか。その土地で飲まれている酒には、その酒でなくてはならなかったいくつもの必然がある。そう考えると、なんだか途方もないような気持ちになる。酒というもの、その酒をつくりだした人というものへの、敬意を感じずにはいられない。67:旅の食事で覚えているのは、私の場合、おいしかったものではなくて、印象深かったものだ。118:私は計算に疎く、経済観念に抜けたところがあるのだが、ぼったくり商売の横行する国をあまりにもたくさんひとりで旅したからか、料金をごまかされることに非常に敏感である。正規料金がいくらかわかっていなくても、相手が値段を言ったとき、「あ、今だまそうとしている」ということが雰囲気で分かる。そうなると、ふだんは決して発揮されない私の負けん気や意地や正義感がむくむくとわき上がってきて、「ぜったいにそんなことはさせまい」というような気持になる。日本円にしたら50円程度のお金で、30分近く相手と言い合いをしたこともある。泣いて騒いだこともある。
2017年05月27日
君の名は。
ソウル行きの機内で、映画「君の名は。」を見る。言わずとしれた昨年公開された話題の映画だが、まだ見てなかった。高校生の男女の心と体が入れ替わる、って昔からよくある設定じゃない・・・と思っていたが、流石にそんな単純な話ではなかった。話が時空を超えている。
映画の方は、「良かった」という感想だけ言っておこう。ストーリーの柱になっているのが、隕石落下。そこで、どれだけ隕石が落ちているのかを調べてみた。
まず日本の隕石落下の記録。平均すれば、年に1回くらい地表に到達する隕石があるようだが、そのほとんどはグラム単位で、人命が失われたことは少なくとも近年ではない。海外では、2013年ロシアに落ちた隕石が有名。上空約30kmで爆発し、多数に分かれて落下。最大のものは590kgだったというから大きい。爆発の衝撃波で半径50kmの建物のガラスが割れ、約1500人の負傷者が出た。死者が出なかったのは奇跡的と言えるだろう。
では、映画に出てくる「隕石湖」は本当にあるのか？隕石湖は日本にはない様だが、隕石落下によるクレーターはある。それが飯田市の東方にある「御池山クレーター」。2-3万年前の隕石衝突の痕だと言われている。
世界を見れば巨大クレーターがある。もっとも有名なのは、6600万年前にユカタン半島に落下して、その衝撃で地球の気候まで変わり、恐竜が絶滅する原因になったと言われているチェクシェルーブ・クレーターだろう。しかし、これは直径185km以上と巨大すぎて、見ても認識できない。年代が古いので浸食も進んだ。
比較的年代が新しく、隕石衝突の状態が肉眼で確認できるものにはこんなのがある。最初に出ているアリゾナのバリンジャー・クレーターは昔見に行った。月面のような景色だった（月面に入ったことがないけど
）。 2017年05月26日
小銭をどうするか
皆さん小銭をどうしていますか？
社会人になって以来、小銭入れ付きの長財布を代々使っていた。理由は、
・スーツの内ポケットに入れるのに薄くしたい
・しかし、小銭入れを別にするのは面倒くさい
というもの。
以前いただいたブランド物の長財布があったのだが、小銭入れがないタイプ（札入れとカードのみ）だったので、使わないままになっていた。今回、5年使った前任がくたびれてきたので、試しに使ってみることにした。小銭は直接ポケットに入れることにした。ズボンの多くには実はチェンジポケットが付いている。
やってみると、思いのほか良い。当たり前だが、小銭を入れないので、財布が軽くなる。次に、心配された小銭の別管理の煩わしさだが、着替えるたびに小銭を出し入れするので、今いくら小銭があるかが把握しやすくなった。これまでは、財布にいくら入っているかは大まかに把握しているが、小銭までは分かっていなかった。それが自然と何百何十円まで頭に入るようになったので、買い物をしたときに、小銭で足りるかどうかが瞬時にわかる。小銭を優先的に使うようになり、小銭が溜まらなくなった。
それで若くして亡くなった父親のことを思い出したのだが、父は財布を持っていなかった。お札も小銭もはだかでポケットに入れていた。帰宅すると、玄関わきの階段にそれを出して置く。他に持ち歩くのは、免許証入れを兼ねた名刺入れだけ。クレジットカードがまだほとんど普及してなかった昭和の話である。
＊上の動画は東かがわの「ルボア」。次はこちらの香川製にしたいな。
2017年05月25日
世界最古のモダニズム小説『源氏物語』の読み方
丸谷才一『別れの挨拶』の後半。
世界最古の小説ともいわれる『源氏物語』。ご多分に漏れず、高校の教科書で少しかじっただけで、通読したことはない。
その『源氏物語』、作風が途中で変わっていくので、作者が複数ではないかという説もある。丸谷さんは、「紫式部がこの長編を書いているうちに、腕を上げて行った」という立場をとる。
「光源氏の誕生および幼少時を語る昔話めいた『桐壺』にはじまり、近代的写実小説に変り、時間を主題とするモダニズム小説になる。『若菜上下』に達すると、作中人物の描き方、人間関係の配置、心理の綾をもつれさせながらの展開が精妙になって、吐息をつくしかないくらい腕をあげる」
「それゆえこの大長編小説と始めてつきあふ読み方として最も賢いのは、『藤裏葉』までは筋書きですませて、『若菜上』から取り掛かることだらう」
なるほど、これなら私でも読めそう。まずは、林望の現代語訳で挑戦してみようか。
196：テフとドゼウ一体われわれの日本語は、三つの層で成り立っている。最も深いところにあるのは和語で、中間の層は漢語で、表面のところにあるのは西洋から取入れた外来語である。220：クヮルテットを聴かうこの弦楽四重奏団、すなわちクヮルテットは、クラシック音楽にとってじつに重要なものですよ。クラシック音楽の一方の端にオペラという善美を盡した贅沢で豪奢な形式があるとすれば、もう一方の端に、その基本といふか、神髄といふか、要約といふか、本質みたいなものとしてクヮルテットという形式がある。245：男の小説��とにかくこの事件から推定できることは一つあって、それは、ひたぶるに性的人間を追求する作家の代表は谷崎と誰もが認めていたーーということである。どうやら荷風ではなかったらしい。268：林望訳『謹訳 源氏物語』『源氏物語』は光源氏の誕生および幼少時を語る昔話めいた「桐壺」にはじまり、近代的写実小説に変り、時間を主題とするモダニズム小説になる。「若菜上下」に達すると、作中人物の描き方、人間関係の配置、心理の綾をもつれさせながらの展開が精妙になって、吐息をつくしかないくらい腕をあげる。それゆえこの大長編小説と始めてつきあふ読み方として最も賢いのは、「藤裏葉」までは筋書きですませて、「若菜上」から取り掛かることだらう。271：朝吹真理子『きことわ』幼女期とか、青春期とか、中年とか、老年とか、そういふ分節化は女にはない。女の一生は同じ調子のもので、女たちは男と違って、のっぺらぼうな人生を生きている。養老孟司といふ解剖学者はそう語って、私を驚かせた。その意見を伝えると、吉行淳之介といふ作家はほとんど襟を正すやうにして、その人はじつによく女を知っていると述べた。
2017年05月24日
幸福の文学
引き続き、丸谷才一『別れの挨拶』から。丸谷さんは小説家だけでなく、優れた評論家でもある。本の中盤では、吉田健一のことを書いた「幸福の文学」が面白い。
「この本には、うまい料理を食べたりうまい酒を呑んだりするのが幸福なことだといふことが書いてある。これは日本の文学史ではじめての事件だった。大げさなことを言うふなと怒られるかもしれませんが本当なので、紫式部だって芭蕉だって夏目漱石だって、かういふ幸福のことは書いてないのである」
それで、「この本」というのが、上記の『酒肴酒』。残念ながら読んだことがないのだけど、例えば、NYの朝飯屋についてこんなふうに書いているらしい。
「卵の匂いがする卵や、バタの匂いがするバタの朝の食事を出す」
ウーン、簡潔にして十分。瞬時に、読者がこれまで食べた中で最もうまかった洋朝食の匂いを思い出したに違いない。
では、吉田健一はどうやってこうした文章が書けたのか。まずは、幼少の頃から良いものを食べてないとダメだろう。そのうえで文才がなくてはならない。
ご存知の通り、吉田健一は吉田茂の長男。戦前、外交官であった父の転勤に伴って、6−14歳の多感な時期を、青島、パリ、ロンドン、天津と海外で過ごしている。外交官は海外赴任中の手当は特に厚かったので、当時としては紛れもない特権階級である。
その後帰国して、暁星中学（旧制）へ編入、卒業後はケンブリッジ大学のKing's Collegeに入学している。しかし、そこで文学の教授に、「文学をやるのなら、母国に戻って、母国語で書くべきだ」と言われて大学を中退して帰国している。
母の死後、吉田茂が愛人であった新橋の芸者を家に迎え入れたため、親子関係は悪くなったと言われている。そのためか、父吉田茂についてほとんど語ることはなかった。最終的に和解できたのかどうか、気になる。
83：幸福の文学というのは、明治末年以後の日本文学では、人生は無価値なもので生きるに値しないといふ考え方が大はやりにはやっていたのだが、その考え方と最も威勢よく争った文学者はほかならぬ吉田（健一）さんだったから。彼は、人生が生きるに値するものであり、その人生には喜びや楽しみや幸福感があるといふことを主張した。95：社会的人間であることを嫌うという点では、この病者への執着は、例の「余計者」（これも重要な文学用語）とよく似ている。これはロシア文学史の概念で、社会に適合できない知的でニヒリスティックな人物のことだが、これも明治末年以来、日本では非常に受けた。122：ルネサンス人をたたへるあの和田（誠）さんの回想は文学的虚構、自己美化ではなく、まったくのリアリズムで会ったと思ふ。などと変なことを言い出したのはジョイスの例があるからだ。147：ある危険な本の読後にマクス・ウェーバーは『職業としての学問』といふ有名な講演で、学問が必要とするものは体系的な研究作業、偶然的な思いつき、情熱的な問いかけの三つだと言っていた。これはたしかに信用できて、一方わたしの体験から言わせてもらふと、エセイが必要とするものは、芸としての文体、展開のための構成、効果的な演出の三つだろう。そして後者三つは小林（英雄）はたしかに不自由しなかったけれど、前者三つのうち偶然的な思いつき以外の二つは持ち合わせていない。
2017年05月23日
クリムトの風景画
2012年に逝去した丸谷才一氏の死後編集刊行された最後の文集。改めて「教養人」だな、と思う。話は古今東西縦横無尽に飛ぶ。ある程度の教養ある読者を前提に書かれているので簡単には読めない。「ある程度」というのは、高校の教科書が全部理解できていれば大丈夫そうだが、一体、どれだけの人が大学を出ていてもその自信があるか。
それはともかく、本の前半で面白かったのは、「クリムトの風景画」という話。クリムトと言えば、きらびやかな恋愛を描いた絵がすぐに思い出されるが、著者によれば、「彼には55点の風景画があって、最後の20年間に描いた絵画作品の約40%を占めるのだそうだが、女を描いたときよりも風景を題材にしたときのほうがずっと上」なのだそうだ。
そして、彼の風景画には次のような謎があるらしい。
１．初期（1880年代）の風景画は小品三点しかなく、世紀末以降に増える。
２．樹、草、花、水が主要なモチーフで、家はあっても人はいない。ほとんどすべてがしんと静まり返った眺め。
３．それにもかかわらず幸福感がみなぎっていて、ある批評家は「ユートピア的」と形容。
４．風景画なのに、空がない。
５．一体に正方形のカンヴァスを多用しているが、特に風景画では多い（特注している）。
これらの謎は提示されるだけで、解答はない。著者ならずとも、興味がわいてくる。
13：英国人はなぜ皇太子を小説に書かないのか
「小説の読者は自分より下の階級の登場人物には関心を持たない」（E.M.フォースター）
読者が自分の代わりである作中人物にいい思ひをさせるため小説を読む。
28：十九世紀と文学と遊び心
近代日本文学はおほよそ、日露戦争以前と以後で大変な変化を体験した。これは、それ以前は江戸文学の井風雨で行っていたのに、それ以後は西洋文学を先生にしたことの結果ですね。ついこなひだまでは、えらい小説家の代表は馬琴だったのに、約十年ののち、小説家のトップにいるのはゾラやモーパッサンになつてしまったのです。
41：絵葉書の話
わたしに言わせればこれはずいぶんをかしなことだ。といふのは、若さへの執着といふ西洋文化の特質のせいで、西洋人はヌードを好むのだからである。彼らはアポロンを拝し、ヴィーナスを崇める。
49：クリムト論
実はあのウィーンの画家の絵が好きで、しょっちゅう画集を見て楽しんでいるのだが、最近はとりわけ風景画がおもしろくてたまらない。彼には55点の風景画があって、最後の20年間に描いた絵画作品の約40%を占めるのだそうだが、女を描いたときよりも風景を題材にしたときのほうがずっと上なような気がする。
2017年05月22日
グローバル基準で活躍するマインドセット
「ポーランドで生まれ育ち、ドイツ、オランダ、アメリカで暮らした後、来日。ベルリッツ、モルガンスタンレー、グーグルなどで、人材開発をメインに仕事をしてきた」という著者による、初出版の本。今年1月に会う機会があり、本を読んでみた。現在は独立して組織コンサルティングと人事ソフトのベンチャーを経営している。
会ったときは丁度、電通の過労死が話題になっていた時期。その時言われたのは、「Googleで残業しない社員なんていません」ということ。そもそも、残業代は出ないので、残業時間を会社で測っていないという。欧米の企業では大卒社員は全員プロとみなされるから、これはGoogleが特殊なわけではない。結果主義なので、期待以上の結果を出して上を狙いたい人は好きなだけ残業し、残業しなくても結果を出せる人は残業しない。勿論、成果を出せなければクビになる。
本書の結論は、日本人がグローバル基準で活躍するために最も欠けているのはリーダーシップということ。これは、以前読んだ、マッキンゼーの採用担当だった伊賀さんの話と全く同じ。マッキンゼーの採用基準は、�．蝓璽澄璽轡奪廖↓�地頭が良い、�１儻譟↓じ獣聾譴如�日本人の「優秀な人」は�△世韻凌佑�多い。マッキンゼーが採用にあたり最も重視しているのはリーダーシップで、日本人に一番欠けているのがこれだから、結果として中国人留学生などの採用が多くなってしまうという。
45:グーグルでは同じことを繰り返すだけでは評価の対象になりません。現状維持は安定した状態ではなく、まったく成長していない結果とみなされます。四半期ごとに、前四半期を超える、上士の期待を超える、決めた目標以上のことを達成することが期待されています。10xの成長や、Moonshotが普通と思われいる企業なので、生半可な覚悟ではつとまりません。83:最短10分、最長でも1週間で結論を出すプランづくりや企画立案にどれだけl時間をかけても、アウトプットにつながらなければ、ビジネスとしては失格。86:Don't bring me problems, bring me solutions.日本人はホウレンソウで終わる報告が多い。120:社外秘の大事なデータほど、個々のパソコンで管理するよりも、クラウドで一元管理したほうがリスクは低い194:チームで10xやムーンショットの成果を上げるには、個性の強い多種多様なメンバーを一つにまとめあげなくてはなりません。たとえリーダーではなくても、他のメンバーに協力し、率先してチームワークが取れる人は高く評価されます。
2017年05月21日
戦略を知るもの
彰義隊討伐の話が圧巻。将軍家のおひざ元として発展した江戸は、勝海舟の英断で無血開城したというものの、町民も幕府に同情的で、薩長以外の藩も様子見を決め込んでいたから、明治維新が成功するかどうかはまだ五分五分だった。
そこで持ち上がったのが彰義隊。佐幕派の志士が集まり上野の山に立て籠った。徒党を組み、市中で官軍兵士がいれば切りつける。これを放っておけば、江戸を掌握できないが、官軍の主力部隊は会津戦争に遠征していて不在（参謀：板垣退助）。そして、新政府には軍資金がもはや残ってなかった。
軍資金は、大隈重信が外国船を買うために新政府から託されていた資金を流用することで解決。大隈重信が蔵六の説明を一瞬で理解して、現在価値にして約250億円にもなる資金を自分の責任で譲ってしまったというのもスゴイ。大隈はまだ30歳の若手官僚である。
上野戦争にあたり、蔵六（大村益次郎）が最も心配したのは火災。江戸の大火の歴史をしらべ、どういう条件で大火になるかの要素を抽出する。その結果、攻撃するのは雨が続いたあとの日中にすることにし、火消しのための消防隊も用意する。雨で建物が燃えにくい日を選び、日中にするのは敗残した敵兵が放火するのを防ぐためだ。
そして、勝敗を決したのは佐賀藩保有のアームストロング砲。当時最新の後装式ライフル砲で、砲弾もそれまでの球形から椎の実型の炸裂弾となり、殺傷力が飛躍的に上がった。所有する佐賀藩の鍋島直正藩主は、「日本人が日本人に使うのには残酷すぎる」とそれまで使用許可を与えていなかったという。
蔵六はこれを借り出すことに成功し、向かい側の本郷台にある加賀藩上屋敷（現：東京大学）に設置する。ここから不忍池を超えて、彰義隊が立て籠る忍ケ岡の寛永寺に砲弾を打ち込んだわけだ。敵が必死になって戦いが長引かないように、北側の根岸方面を退路として空けておいた。
戦いは、旧暦5月15日（新暦の7月4日）、梅雨の続く中行われ、蔵六の計画通り午後5時までに終結した。蔵六はあらかじめ新聞の予定稿を作らせていて、結果的に、戦況は予定通りに進んだため、一字の訂正も必要なかったという。
そこで持ち上がったのが彰義隊。佐幕派の志士が集まり上野の山に立て籠った。徒党を組み、市中で官軍兵士がいれば切りつける。これを放っておけば、江戸を掌握できないが、官軍の主力部隊は会津戦争に遠征していて不在（参謀：板垣退助）。そして、新政府には軍資金がもはや残ってなかった。
軍資金は、大隈重信が外国船を買うために新政府から託されていた資金を流用することで解決。大隈重信が蔵六の説明を一瞬で理解して、現在価値にして約250億円にもなる資金を自分の責任で譲ってしまったというのもスゴイ。大隈はまだ30歳の若手官僚である。
上野戦争にあたり、蔵六（大村益次郎）が最も心配したのは火災。江戸の大火の歴史をしらべ、どういう条件で大火になるかの要素を抽出する。その結果、攻撃するのは雨が続いたあとの日中にすることにし、火消しのための消防隊も用意する。雨で建物が燃えにくい日を選び、日中にするのは敗残した敵兵が放火するのを防ぐためだ。
そして、勝敗を決したのは佐賀藩保有のアームストロング砲。当時最新の後装式ライフル砲で、砲弾もそれまでの球形から椎の実型の炸裂弾となり、殺傷力が飛躍的に上がった。所有する佐賀藩の鍋島直正藩主は、「日本人が日本人に使うのには残酷すぎる」とそれまで使用許可を与えていなかったという。
蔵六はこれを借り出すことに成功し、向かい側の本郷台にある加賀藩上屋敷（現：東京大学）に設置する。ここから不忍池を超えて、彰義隊が立て籠る忍ケ岡の寛永寺に砲弾を打ち込んだわけだ。敵が必死になって戦いが長引かないように、北側の根岸方面を退路として空けておいた。
戦いは、旧暦5月15日（新暦の7月4日）、梅雨の続く中行われ、蔵六の計画通り午後5時までに終結した。蔵六はあらかじめ新聞の予定稿を作らせていて、結果的に、戦況は予定通りに進んだため、一字の訂正も必要なかったという。
9:日本国は、人民皆兵から誕生する幕軍の弱さというのは、信じがたいほどであった（第二次長州征伐）159:帝政ロシアにあってはロシア貴族は地主であったが、江戸体制では地主は農民や町人であって、大名ではなかった。大名は土地を所有せず、ましてロシアのように農奴を所有したり売買したりするような性格の存在ではなく、租税の徴収権を持っていただけである。182:（1169年）以後、三百数十年のあいだのアイルランドの悲惨さは、世界の被侵略民族の例でもめずらしいほどであった。イギリスは多量にこの島に移民をおこない、アイルランド人の土地をどんどん没収し、イギリス人のものにした。ついにはアイルランドの土地の八割までが、イギリス人のものになった。210:長州藩は薩摩藩とちがい、言語感覚においてすぐれていたのか、行政上のことばや社会機構上のことばで多くの造語をつくり、それらの多数が近代日本語として定着した。224:「宣戦布告と同時に敵地へとびこめ」という日露戦争における旅順口への海上奇襲と太平洋戦争における真珠湾奇襲といったふうな、国際的な悪評を買った不意打ち方式も、メッケルが教えたものであり、それが伝統になった。要するに、フランスに対する戦争機械のようなドイツ軍の軍事思想を、日本がそのままに移植したために、軍事技術だけでなく思想までがドイツ風になった。401:かれのおどろくべきことは、いよいよ彰義隊討伐をやるという二日前からひそかに新聞をつくっておいたことである。原稿は予定稿であった。しかし予定稿どおり戦況がすすみ、一字の訂正も必要としなかった。410:かれは彰義隊討伐計画をたてるにあたって、江戸の大火の歴史をしらべ、ーーどういう条件で大火になるか。ということを多くの事例からひきだし、それをふせぐ方法を考えたことである。496:年表ふうにいえば、明治2年5月に五稜郭の榎本軍が降伏して戊辰戦争が終了し、蔵六の歴史における役割はおわった。で、この男は明治2年9月に遭難するのである。榎本降伏から遭難までわずか四カ月しかない。この四カ月の間に、かれは新政府の軍務官副知事あるいは兵部大輔（軍事大臣）として日本の兵制をととのえ、さらにはかれがひそかに予見する明治10年の西南戦争に対してほとんどの手をうってしまった。536:蔵六は福沢諭吉から冷笑されたほどに攘夷家であった。かれは藩にそしてのちには新国家である日本に洋式技術をとり入れる先端的存在になったが、しかしその日常は洋服さえ着たこともない。かれが単に長州の百姓の出であるというだけで長州藩に帰属したのもかれの強烈な故郷主義であり、その攘夷主義も日本的規模での故郷主義であった。故郷主義というのは多分に土着の怨念のようなもので、理性とは一応は別個のものである。
2017年05月20日
国民軍の誕生
近代民主主義国家の成立が、軍事上の必要性からでたことは言うまでもない。ヨーロッパではナポレオンが初めて徴兵制に基づく国民軍を組織し、これをもって貴族からなる近隣諸国の軍隊を打ち破った。それまでは貴族同士の土地を奪い合う戦いだったものが、国家対国家の大規模戦争になった。
日本における最初の国民軍は、長州に生まれた奇兵隊。農民や町民から隊士を募り、武士が士官を務めた。徳川300年ですっかり戦闘集団ではなく官僚集団となっていた幕府の旗本よりよほど強く、ついに明治維新を成し遂げた。
東北諸州は、会津をはじめとして、戦闘意欲こそ強かったが、武器が戦国時代のままだった。鳥羽伏見の戦いで、会津藩はいまだに火縄銃を使っていた。長州は射撃距離が長く、命中精度も高く、かつ後装式で銃弾の装填が早い当時としては世界最先端のライフル銃を使っていた。
こうした金の掛る軍備が出来たのは、長州藩が経済改革に成功し、表向きは37万石ながら、その実力は100万石といわれる経済力があったからである。
この2月には鹿児島で薩摩藩の近代化遺産を見学したが、次は山口に行って蔵六の足跡を訪ねてみたくなった。
59:この藩は、天下のどの藩よりも事務処理能力が抜群に高かった。64:この長州が派遣した五人の秘密留学生のうち、残留した三人は明治政府の官僚になった。井上と伊藤は政治家になった。官僚と政治家の違いはこのあたりにあるであろう。65:五人は品川の妓楼土蔵相模に登楼した。そこで連夜大いに遊び、さて勘定ということになった時、ばかばかしいことに英国ゆきの旅費として藩からもらっていた一人につき三百両という金をかれらはほとんど妓楼の帳場ではたいてしまった。日本を離れてヨーロッパへゆくということは、心理的には焼き討ちや暗殺にゆく以上にこわかったにちがいない。93:洪庵の江戸屋敷は、役宅（官舎）であった。このため明けねばならないが、江戸は大阪とちがい、貸家というものがない（長屋はべつだが）。このため屋敷を買わねばならず、買うには二百両もの大金が要る。101:（京で一時の勢いを得たもので、栄えた例は一件もない）と、蔵六は思った。平清盛、木曽義仲、源義経、織田信長、明智光秀など、みな束の間に滅んでいる。理由はいくつかあるが、ひとつには蔵六によれば他の代勢力の強烈な嫉妬を買うためであろう。187:信州松代藩の佐久間象山だけは、「何ゾモッテ奇ト称スルニ足ランヤ」と豪語し、同藩の銃工片井京助とともにおそらくアメリカ兵のもっていた小銃以上のものを発明した。発火装置は、火縄でも燧石式でもなく、雷管式のもので、むろん後装式であった。かれはこれをペリー来航から三年後の安政三年に発明し、さらに改良して安政五年、その図面その他を幕府の大老井伊尚真に献じた。ところがイイはこれを怖れ、しりぞけ、叱責の上黙殺してしまった。189:このような九州の藩の先進性にくらべると、東北諸藩は信じがたいほどに後進的で、幕末のぎりぎりの鳥羽伏見の戦いにおける会津藩はなお火縄銃装備であり、戊辰戦の時にあわてて西洋銃を買い入れたが、その時期では、長州や九州の諸藩にとっては廃銃同然になっていたゲベール銃を最新のものと思い、それを買い入れるという不手際を演じた。このため東北諸藩の兵がもつゲベール銃は、それを一発うつあいだに、薩長土肥の兵は、十発うつことができた。213:こまったことに、招賢閣の浪士たちは京都を火の海にして一夜に天下をとることを考えた。その放火作戦についてうちあわせるため、六月五日、三条小橋西詰の旅籠池田屋に密会したのである。271:蔵六は後年、薩摩の西郷隆盛という巨大な存在に対してただ一点を通じてしか理解しようとしなかった。ーー西郷という人物は、武士階級を残そうとしている。302:かつて長州藩がもっていた壬戌丸など三隻の軍艦は、ボロ商船に大砲をのせただけのしろものを外国人にだまされて買い入れた。363:長州藩の表高は、36万9千石でしかないのである。それが幕末にあっては、「実力は百万石」といわれていた。ふつう、江戸期の幕府や藩は時代がくだるとともに経済力が衰弱してゆくというのに、長州藩はまるで逆であった。その経済力の秘密は長期間計画的におこなわれてきた瀬戸内海沿岸の干拓事業と、米中心農業から脱して紙や蝋といった工業を重視してきたことと、いまひとつは、下関を根拠地とする日本海貿易の発展によるものであり、それらはすべて藩官僚が立案し、推進してきたのである。370:幕府はフランスから士官と下士官をまねいて様式軍隊をつくったためすべてフランス語で号令がかけられているが、長州藩は蔵六によって軍隊用語はぜんぶ日本語に翻訳された。386:勝は蔵六に出会ったことがないが、「長州に村田蔵六がいては、とても幕軍に勝ち目がない」といった有名なこのことばは、この時期に彼の口から出たものであった。404:軍事的感覚とは蔵六によれば、ーーたとえば幾何学の証明を一瞬で言いあてる感覚。であり、わざわざエンピツをもって証明せねばならぬ頭脳では役に立たない。幾何学の証明には学問が要るが、一瞬で言いあてるのは感覚であり、これには学問は要らない。455:百姓がかり出されたのではなく百姓が侍をかり出して戦争しはじめたのだ、だから長州は強いのだ473:（戦国のころには、ああいう大将はいなかったろう）ともおもった。江戸三百年が、このようなーーむしろ勝利の醜より敗北の美に酔いたがるーー武士像をつくった。
2017年05月19日
元祖コジェネレーション？
韓国の暖房と言えばオンドル。調べてみると、朝鮮半島の三国時代には既にあったらしく、飛鳥時代に日本に渡来した高句麗や百済出身者もオンドルを備えた家に住んでいたらしい。日本に定着しなかったのは、日本の冬が朝鮮半島程寒くないからだろう。
それから1500年。日本でも床暖房が当たり前になった。考えてみれば、これは元祖「床暖房」である。室内の空気を汚さず、下から温めるので理想的な暖房だ。さらには、これは調理に使うかまどの予熱を暖房に利用するもので、元祖「コージェネレーション」でもある。夕飯を調理して、その排気が石の床を温め、それで一晩暖かいそうだ。宮殿など、調理室と居間や寝室が別の建物の場合は、建物ごとに専用のオンドルの焚口がある。
勿論、現在では、韓国でもそもそもかまどがないので、オンドルはガスを使って温めた温水を床下に這わせたパイプに通して温める。要するに、日本で主流の床暖房方式。この方式は、20世紀初頭、ホテル建設のために来日していたアメリカの著名建築家フランク・ロイド・ライトがある士族の家でオンドルを経験して「これを取り入れたい」と考え付いたものだという。その士族も、朝鮮半島でオンドルを経験し、帰国してまねて作らせたものらしい。
韓国の10大発明はこれらしいが、朝鮮最大の発明はオンドルだと思う。
2017年05月18日
景福宮
そして、いよいよ景福宮へ。ここは1395年に創建された朝鮮王朝第一の宮殿である。1592年の文禄の役の時に全焼し、250年以上にわたって放置されていたが、1867年に再建された。
日本統治時代には、計画的に建物が取り払われ、跡地に朝鮮総督府が置かれた。私は交換留学時に当時、国立中央博物館として使われていたこの建物を見たが、石造りの重厚な建物で、桁違いの建築費をかけたことは間違いない。
1990年に私がソウルを去った直後から、この建物の解体撤去が始まり、その後元の宮殿の建物復元が始められた。今でも復元事業が続いている。撤去するには惜しい建物だったが、宮殿のど真ん中に占領軍が建てたわけだから、仕方ないかと思う。できれば、移設してほしかったが。
1910年の朝鮮併合から35年間、日本は朝鮮に投資し続けた。政府も民間も。日本は昭和恐慌で庶民は窮乏生活を強いられたが、日本政府は日本の税金を使い、朝鮮に道路、鉄道、ダム、発電所、上下水道、学校を作り続けた。搾取するのではなく、投資し続けた「植民地経営」は世界史上唯一ともいわれる。平均寿命は衛生状態と栄養状態の改善で10歳以上延びた。
これをもって植民地化を正当化するものではないが、「負の遺産だけ」とする韓国政府の見解が間違いであるのは明白だ。こうした歴史を正当に評価できるときが韓国が日本を本当に超えるときだと思う。
2017年05月17日
昌徳宮（世界遺産）とハングル
「昌徳宮」と書いて、チャンドックン。成田からでも2.5時間と距離は沖縄並のソウルだが、やはり国内旅行とは疲れが違う。何故かと考えたら、言葉の影響が大きい。
アジアでは多くの国で華僑が強いから、言葉が出来なくても、漢字が読める。欧米では英語以外でもアルファベットで表記されているから、大体の読み方は分かる。
それが韓国ではハングルで書かれているため、ガイドブックにある漢字表記と突き合わせが難しいのだ。27年前交換留学していた時はまだ漢字表記が少し残っていた。例えば、日本食レストランには「日式」と書かれていたので、見ればわかった。新聞を見ても、キーワードに漢字が残っていたので、意味は分からなくても何について書かれているかの想像はついた。
それが、今では、漢字がほとんど街から消えている。あるのは、観光地での中国人向けの漢字表記のみ。そのため、街で標識が読めないストレスがつのるのだ。
韓国人はハングルを「世界で最も合理的な言語」として大変なプライドを持っている。作った人が（作成を命じた人）誰だかハッキリしている唯一の言語ともいわれる。李氏朝鮮第四代国王の世宗が1446年に公布した。
今では新聞からも漢字がほとんど消えている。ハングルは表音文字なので、日本語を全部ひらがなで書いているのと同じ。あれで、正確に意味が伝わるのか不思議に思えてくる。
2017年05月16日
宗廟（世界遺産）
朝鮮王朝の歴代国王、王妃の位牌を祭る宗廟。1995年、韓国の文化財では、最初に世界文化遺産に指定された。
1394年着工、翌年竣工。以来、600年以上に渡って祭礼が行われているというのがスゴイ。当然、朝鮮王朝はもうないが、王家である李氏の子孫が今も春と秋の2回、この場所で大祭を続けている。大韓民国になってからは、宗廟は国保有となり、祭礼の費用は国から出ているという。
春の大祭は5月の第一日曜日。惜しくも、今回の訪問はこの直後だった。因みに、春は無料だが、秋は見学料が掛るそうだ（W10000）。
ガイドツアーによってのみ見学可能。韓国語、英語、日本語、中国語が選べ、それぞれ違う時間に行われるので、時間を確認する必要がある。最近は日本人観光客が減っているので、ツアー数が減る可能性もあり、最新情報を確認するほうがよさそうだ。
2017年05月15日
国立中央博物館
どの国に行っても、まずはともあれ国立博物館には行ってみることにしている。通常、国の威信をかけて作っているので、大抵、各国最高峰である。イギリスのBritish Museumや、アメリカのSmithonian Museum（財団運営だが連邦政府から財源）を思い出してほしい。どちらもその質と量に圧倒される。
27年前に交換留学時に韓国国立中央博物館に行ったときは、景福宮の中の旧朝鮮総督府の建物にあった。建物自体は素晴らしく、その直後、取壊されると聞き「勿体ない
」と思った。しかし、日本で言えば、皇居の中に宮殿をどかせてGHQが本部を建てたようなものであり、これは国民感情として仕方ないだろう。当時から、日本統治時代に日本が持ち込んだ所蔵品を含めて、かなり充実したコレクションであった。それが、2005年に9万2千坪の敷地に4万坪の延べ床面積という世界でも第6位の規模で龍山に新設されたので楽しみにしていた。
内容は期待通りだった。圧倒的に広くなり、展示数が旧博物館の三倍に増えている。中でも、仏像と高麗青磁のコレクションが圧巻
時間が無くて、3階のこれらしか見られなかったのが残念。全部見るなら半日必要だ。2017年05月14日
コンサルティング会社のトップ営業
長年出ている朝食勉強会の先週の講師が、元アクセンチュア社長の海野さん。東大卒の元公認会計士で、その後プログラミングの方が面白くなり、会計士は廃業してしまった。30代でパートナーになり、その後アクセンチュア日本の代表取締役に就任。
イロイロと面白い話があったのだが、私が一番興味深かったのは、アクセンチュアはじめ多くのコンサルティング会社がどうやって仕事を取ってきているかの話。外資系コンサルティング会社のフィーは高い。大企業に数十億円のプロジェクトを売り込むことがパートナーの第一の仕事になる。
そのために、候補企業の部長クラスから接待に励むのだそうだ。出世が早い、将来性がある部長を選んで定期的に接待する。候補を絞り直しつつ、これを取締役、代表取締役と10年単位で続ける。こうして「手塩にかけた」人材が大企業トップになった時、大プロジェクトを売り込むのだ。
海野さんも30代のパートナーになりたての頃はこれが分かってなくて、プロジェクト獲得に苦労したらしい。取締役クラスを相手に売り込むのだが、取締役はトップではない。社内で説明責任があるので、費用対効果を人月単価で追及してくる。結果、仕事が取れたとしても採算性が良くない。
40代になって、「トップを相手にしなければダメだ」と気が付いたという。経営トップに、「3年後に60億円の効果を出しますから、30億円下さい
」と言い切るのだという。相手は部長時代から10年以上接待してきた相手だ。気心は知れている。そして、経営トップに上司はいないから、細かいことは言われないおまけに、プロジェクトが終わる頃には、大体2期4年の任期が終わって社長交代しているから、プロジェクト効果を検証されたことはなかったという。
2017年05月13日
生マッコリ
今回のソウル訪問で見直したのがマッコリ。仕事で訪ねた会社の社長夫人が韓国No.1のマッコリ会社の社長で（お父さんが創業者）、カルビチムを食べながら長寿マッコリを呑んだ。
現地で飲むと、乳酸発酵で酸味と炭酸発砲でスッキリしておいしい。翌日も、LBSの後輩とチジミを食べに行ったのだが、「チジミにはマッコリでしょう
」と言われ、別ブランドの樽だしマッコリを頂く。気に入ったので、帰国の日、ホテル近くの食料品店で免税限度の一人三本買って帰る。店員は片言の日本語ができ、「立てて置いてください。揺らさないように。早く飲んでください」と言われる。そうは言っても、機内持ち込みはできないから、預けるしかない。不安を抱えて成田でカバンを開けたら、詰めておいた洗濯物がかなり濡れていた。
後から調べたら、生マッコリは本当に「酵母が生きたまま」で発酵が止まってない。この点、非加熱処理（フィルター）で酵母を取り除き、発酵が止まっている日本の「生」ビールなどとは話が違う。炭酸ガスを製造後も常に出している状態だから、ガスを逃すため蓋を緩くしてあるらしい。だから、横にしたらそれだけで漏れてしまうのだ。揺すったらなおさらだ。賞味期限は「製造から10日間」とある。
というわけで、持ち帰るなら、
・ふたを閉め直す（飛行機の預かり荷物は上空で冷えているので、韓国⇒日本位の飛行時間で炭酸ガスで爆発することはなさそうだ）
・多少漏れてもいいように、周りを濡れてもいいタオルなどで包む
・さらに他の荷物が濡れないよう万全を期すなら、それを密閉できるビニール袋に入れる
というのがよさそうだ。
因みに、韓国からのマッコリ輸入額を調べてみると上図の通り（単位は千ドル）。2011年の韓流ブーム時がピークで$48M（＝50億円）のマッコリが輸入されていた。その後ブームの終焉とともに減り続け、2014年は$9M（＝10億円）と8割減った。尤も、韓流ブームが始まるまではほとんど輸入されていなかったから、減ったものの定着したともいえる。
2017年05月12日
韓国の自動車産業
今回の韓国訪問で、現地で韓国車（現代GENESIS）に乗って全く遜色ないと感じた。ひょっとすると、長年乗ったら耐久性で日本車がやはり優れているのかもしれないが、デザインも乗り心地も操作性も国際レベルと言っていいだろう。
そこで、世界各国の自動車産業の輸出台数を見てみる。表の通りで、驚いたことに世界第一位はフランス
日本でほとんど見かけないフランス車だが、欧州各国でかなりのシェアを取っている。昔現地で聞いたら、「カネがあればドイツ車が欲しいけど高いから、割安なフランス車やイタリア車を買う」ということだった。第2位はドイツ。上記の統計は2014年で、輸出台数はフランスとほとんど変わらないので、年によってはドイツがNo.1となる。その意味では、日本の輸出台数もほとんど変わらず、「世界三強」と言っていいだろう。そして、その次の世界第4位が韓国なのだ。それからやや離れてアメリカ。ただ、特殊なアメリカ市場に特化したアメリカ車は世界で需要がない。トランプ大統領が「買え、買え」いったって、商品価値のないモノは売れない。
では、223万台の中身はというと、これはアメリカで生産されている日本車やドイツ車なのである。アメリカで生産されているから、統計上は「アメリカ車」。しかし、ブランドや車種は日本やドイツ。これらが、主に隣接するカナダや中南米に輸出される。一時は米国産のAccordなどが日本に「逆輸入」されていた。フランスでもトヨタがVitz（現地名Yaris）を現地生産して、EU各国に輸出しているから、必ずしもフランスブランドのフランス車が輸出されているわけではない。一方、人件費が高いドイツにわざわざ輸出拠点を設ける海外自動車メーカーはいないから、ドイツの輸出は100%ドイツブランドと言って間違いないだろう。
上記は台数の順番だが、これを金額でみるとどうだろう。自動車の輸出金額の統計が見当たらなかったので、推測だが、平均単価から言って、ドイツがNo.1であろうことは疑いの余地がない。日本車は売れ筋の大衆車を現地生産し、輸出は高価格帯に移行しているから、おそらく、
１．ドイツ
２．日本
３．フランス
４．韓国
ということになると思う。
過去20年間大躍進した韓国車だが、韓国国内の人件費も上がっており、転換を迫られているのは間違いない。これは貿易摩擦になった日本の30年前と同じで、日本メーカーはその後、現地生産と高級車路線にシフトした。高級車は単なる高性能車ではないので、日本メーカーの高級車作戦は道半ば。世界的にドイツ車のブランドに勝っているとは言い難い。それは韓国メーカーにとっても同じ。今後韓国メーカーがどういう戦略を取るのか注目される。
2017年05月11日
25年ぶりのソウル
韓国大統領選と北朝鮮の挑発行為の最中、ソウルへ。たまたま仕事と重なった。4年前に学会で済州島へは行ったが、ソウルに行くのはナント25年ぶり。成田からでも飛行時間2.5時間という隣国である。
政治意識の強い国なので、デモの一つでも見れるかと期待したが、市民生活は極めて平穏。今回３社を訪問し、LBS同窓生も含めて4回の会食があり、大統領選のことも聞いた。ビジネスマンはほとんど保守系を支持。やはり、文候補を支持したいのは「取り残された」と感じている層なのだろう。投票日に平静であったことについては、「この6か月間さんざんやってきたので、もう十分」ということだった。
初めて韓国に行ったのは27年前、延世大学の国際関係論大学院への交換留学。1988年のソウルオリンピックを終えて、韓国が先進国に仲間入りしたタイミングだった。しかし、街中には違法コピーのブランド品やビデオが氾濫し、韓国でもトップクラスの延世大学でも授業で使う参考文献が本一冊丸ごと違法コピーされて学生に配られるなど、意識的にはまだまだという部分もあった。
その後アメリカ勤務になり、日本へ帰省した際に、2，3日寄ったことがある。それが最後なので、多分25年ぶり。
その印象は、
・高層ビルが激増した。25年前は高層ビルと言えるのは数本だけで目立っていたが、今は街中が高層ビルだらけ。
・メインストリートが整備されきれいになった。街路樹が植えられ、歩道も広く整備された。
・韓国車がカッコよくなり、外車も一般的になった。私が交換留学していた当時は、韓国車は見るからに品質が悪く、輸出は後進国に限られていた。90年代に入り、アメリカへの輸出が始まったが、「安かろう、悪かろう」であった。今は、今回乗った現代GENESISなど、「日本に持って帰りたい」と思うような車が沢山走っている。当時、輸入関税が高く（確か100%）、ほとんど見かけなかった外車を普通に見かける。日本車よりも、ドイツ高級車が目立つ。
・外国人観光客が圧倒的に増えた。昔は、欧米から来ている肌の違う同級生と街を歩くと、それだけで注意を惹きつけるくらい外国人が珍しかったが、今や、観光地は外国人観光客であふれかえり、誰も気に留めない。
と街は変わった。25年間で一人当たり所得は倍増し、今や日本と所得水準が全く同じなのだから当然だろう。
一方、変わらない韓国もある。
・表通りが一新された一方、裏通りの風景はほとんど変わっていない。日本以上に所得格差があるからその結果か。
・飛行機がタッチダウンすると同時に立ち上がる「パルリ」（せっかち）気質は変わらない。
韓国だけでなく、国民気質は街並み程早くは変わらないということだろう。
2017年05月10日
政府の「隠れ資産」
「世界各国の公共資産の合計は、世界GDP総額を上回る
」と聞けば、よくあるリフレ派の議論のように、「もっと借金しても大丈夫」という結論かと思う。そうではなくて、「公共資産をうまく運用すれば、大きな運用益が得られる。しかし、今の政治体制のままでは権力の乱用に繋がるので、政府の干渉を受けずに運用できる制度を作る」というのが本書のメッセージ。日本も含めて、先進国政府が多大な公共資産を保有しているのは間違いない。しかし、「平均でGDPの114%」という資産が、本当に価値のあるものかどうかは疑問。例えば、厚生省が企画して年金財源1953億円を投じて全国13か所に建てた大規模保養施設グリーンピアは、後に民間に売却された時は48億円にしかならなかった。公共施設は、採算性や維持費を(自分の金ではないからと)甘く作っているケースが多いからだ。
一方、「公共資産が上手に活用されてない」というのも真実で、もともと公共部門は収益性で管理されてないから、資産を効率よく活用し、不要な資産は売却する、という民間的発想はない。だから、公共資産を運用する体制のない政府から切り離し、「政府の干渉を受けずに運用する制度(SWF)」を作るというのは傾聴に値する。
＊世界各国の公共資産の合計は、世界GDP総額を上回る公共インフラ、公有地など政府が持つ莫大な「隠れ資産」の実態と運用の在り方・Public Wealthほとんどの国の公共資産は、公的債務の総額より大きく、平均するとGDPの114%（IMF調査27カ国対象）・・・米連邦政府は国土の1/4以上を所有。建物の帳簿価格は$1.5T。州や自治体政府の資産はその4倍（$6T)と推定（IMF)。・これには自治体の資産などはデータに含まれないので、地方レベルまで含めれば、公共資産総額はさらに膨らむIMF調査対象は、金融資産＋非金融資産（固定資産、在庫、知的財産、美術品、貴金属、宝石）・公共資産をうまく運用すれば、大きな運用益が得られるもし中央政府系列の商業資産が専門家の手で運用されれば、運用益は3.5%にまで上昇し、世界で新たに$2.7Tが生み出される。これは国家のインフラに、各国が現在費やしている総額よりも大きい。・公共資産に政府が干渉しやすい環境では、権力乱用を招きやすい政治家は利益集団から支持を得て見返りを与えねばならず、公益にならない。ロシアでは株式時価総額の1/3を国が管理。中国では、Fortune500にランクされている同国の企業5社のうち、4社を政府が保有。・政府は公共資産を手放そうとしない「公益のため」という名目だが、国の介入が成果を上げることは証明されていない。Lenovoは中国共産党の中国科学院が創業資金を提供し、いまだに大株主。国有企業は中国GDPの1/4-1/3を占める。国有企業の総資産利益率はきわめて低く、資本コストの半分にも満たない。・公共資産は、すべてを一つの制度の下にまとめたうえで、政府の干渉を受けずに運用するのが最善政府は国の運営に専念でき、一般市民のためになる政策を行える。
2017年05月09日
世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代
これまでの私のイスラム体験は限られている。イギリスで出会ったサウジアラビア人とパキスタン人。サウジアラビア人は酒を呑み、パキスタン人は「酒を呑むのはイスラム教徒ではない」と怒った。クアラルンプールで訪ねた日系企業の所長のマレーシア人は、その昔、技術研修生で日本に住んだことがあり、家に呼んでくれた。
大多数の日本人も同じだろう。日本にいると、イスラム情報は大抵、西欧のフィルターを通って入ってくる。直接のイスラム経験がないまま、こうした情報に晒されると知らず知らずに「西欧世界のイスラム教徒像」に染まることになる。そうした誤解を解いてくれる本。
十字軍がエルサレムを襲ったとき、イスラムは十字軍の残虐さ野蛮さに心底驚いたという。イスラム帝国では古今東西の書物を集めて公共図書館を整備するのが習わしであったのに対し、キリスト教は国教になると知識を境界で独占するため、図書館を閉鎖してしまった。イスラムは「邪悪で暴力的」というイメージは西欧世界が作った誤ったイメージであるようだ。
シャルリー・エブドは襲われるべくして、襲われた。イスラム教徒にとって生みの親以上の存在である
預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を何度も掲載したのだから、これはイジメである。
まえがき・世界人口の1/4にあたる15-16億人がイスラム教徒・欧米であれ、アラブであれ、国家がイスラム教徒の居場所を奪ってきた＊イスラムと共存するには？イスラム教徒とは、�／祐屬�一番偉いとは思わない人�⊃佑反佑箸里△い世棒�引きしない人��弱い立場の人を助けずにはいられない人�た世猟蠅瓩織襦璽襪硫爾任和己�に生活をエンジョイする人�セ犖紊陵萓い鮨�じて、楽園に入れてもらえるように善行を積もうとする人18:世界を救える可能性がある唯一の国トルコ（世俗主義）難民270万人43:イスラムには、国家や公の領分から切り離すべき「教会」が存在しない51:新しいかたちの世界戦争になりかねない61:中世、十字軍のころから植え付けられた「邪悪で暴力的」であるというイメージ134:男女の身体接触が、性的な行動に結びつくものと考えているため、それを避ける246:シャルリー・エブド預言者ムハンマドを侮辱する風刺画を何度も掲載←これはイジメ
2017年05月08日
近未来ビジネスを支配する4つの力
グーテンベルグの活版印刷機が生まれてから、最初のコンピュータ・プリンタが生まれるまでに500年以上。それから3Dプリンタが発明されるまでは30年。ベルが電話を発明してから、アメリカの家庭の半分に電話が普及するまでに50年以上かかったが、スマホが市場に出てからアメリカ人の半数がスマホを持ったのは5年以内。Facebookはサービスを始めた最初の年に600万人ユーザーを獲得し、それから5年で6億人を超えた。
・・・かくも、技術普及のスピードは加速化している。うまく技術変化の潮流に乗れなければ、機会損失になるだけでなく、大打撃を被る可能性がある。では、企業はそれにどう対処すればいいのか？
今やどの経営者も技術の理解が必要になっている。「顧客の中で最も技術をよく知る顧客が何をしているのかに的を絞り、その一点に集中する」能力が必要だという。経営陣は最新の技術開発について常に報告を受けて理解しておく。戦略企画プロセスで、様々なトレンド情報を監視し、今後起こりうる変化のシナリオを考え、対応策を立てておく。
＊破壊的な力を持つ4つのトレンド�＾杣仝気療垰垈修離僖錙�世界経済の重心が、欧米から中国などの新興国市場に移動した。そうした国々の農村から都市への人口移動により、成長の加速が起こっている。⇒新興国での都市化の潮流は、新たな消費者や機会を生む。2025年までに、新興国全体の年間消費額は30兆ドルに達し、世界の半分を占めるまでに増加する。過去30年間の間、世界の都市人口は、平均すると毎年6500万人増加した。2025年までにアジアでは25億人近くが都市部にすむだろう。��加速する技術進化のスピード技術革新や普及のスピードが速くなった。開始から数年で何億人もの人に使われるサービスも誕生している。⇒企業は、技術変化の潮流を乗り切るために、社員がスキルを最先端のレベルに保てるような体制を築き、従来の戦略企画プロセスを見直す必要がある。顧客の中で最も技術をよく知る顧客が何をしているのかに的を絞り、その一点に集中する。�Ｇ�齢を重ねる意味が変わる先進工業国を中心に、出生率の低下や高齢化が進み、人類の平均年齢が上昇してきている。⇒企業は、労働者数の減少に伴い、年配社員のつなぎ止め策を講じる必要がある。また、市場で大きな割合を占める高齢消費者のニーズを満たさねばならない。�ち蠍澆剖�く結びつく世界グローバル化がさらに加速している。すなわち、貿易や資本、人々、情報の移動が世界各地で増加している。⇒企業がグローバルな相互結合の流れを活用するには、自社のポジショニングを懸命に行うこと、国境を越えたエコシステムの構築などが必要。
2017年05月07日
印旛沼サイクリングロード
GW最終日、ついに我慢できず？サイクリングへ。ロードバイクは香川に置いてあり、東京には町乗り用のクロスバイクしかないのでこれまで誘われても行けなかったのだ。Bianchiのクロスバイクで100km以上走るのは初めて。
農大の松下教授と待ち合せた八千代緑が丘駅へ向かう。R14⇒R296。途中、旧R14をまっすぐ進んだら、江戸川の橋が自動車専用道だけで渡れず。回り道に。
約束の時間に15分遅刻。＜39km 2h＞駅近くのMacで休憩後、印旛沼自転車道（が正式名称らしい)へ向かう。自転車道部分の距離は27km。周辺は広々として気持ちがいい。飛ばしているロードバイクから、三輪車の子供まで居るので気を付けないといけない。オランダ風車がある「佐倉ふるさと広場」で休憩。
名物のウナギを食べに行くが・・・既に午後3時で、どこも売切れ店じまい
仕方なく定食屋でカツ煮込みを食べて、印旛沼を後にしたのは午後4時。自宅到着は18:30。＜52km 2.5h＞本日の走行距離：124km 7h
印旛沼は自転車道なので、当然走りやすいのだけど、そこまでが交通量も信号も多い都心の道なので、走ってもあまり楽しくない。現地まで輪行の方がいい。車にロードバイクを積んできて練習している人も多かった。
2017年05月06日
ジャックの塔
「キングの塔」に行ったら、「ジャックも」ということで、隣の横浜市開港記念会館へ。ここは、横浜市の公会堂として市民の寄付で大正6年に竣工した。大正期の代表的建築物として国の重要文化財にしてされ、現在は中区の公会堂ということ。
先に行った、神奈川県庁が行政の権威を示すための建物なら、こちらは市民が建てた横浜市の自治と繁栄の象徴だ。ボランティアガイドさんの説明によれば、「当時の公会堂は、横浜と大阪の二つ。大阪は一商人の寄付で出来たが、こちらは市民の寄付」と言っていたが、どれだけの市民からどれだけの寄付が集まったかは聞きそびれた。
赤レンガと花崗岩による洒落た建物で、内装も歴史を偲ばせる。しかし、現在の内装は昭和2年に再建されたもので、大正12年の関東大震災で焼失する前の内装はもっと手の込んだものだったという。確かに、写真で見ると随分と簡略化されている。多大な寄付を集め、巨額の建築費を用いてやっと竣工したのに、たった6年で焼失したのだから、すぐに再建しただけでもすごいと思う。
戦後の占領を考えて、米軍は中区を爆撃しなかったと言われている。空襲を免れた公会堂は米軍に接収され13年間に渡って米軍施設となった。貴賓室に繋がる階段のステンドグラスには、ペリー提督が横浜に乗ってきた米海軍のポーハタン号が描かれている。戦時中は板でふさがれていたそうだが、板をはがしてこれを発見した米軍はそれを喜んだという。
2017年05月05日
キングの塔
JICA横浜「海外移民資料館」を見に行ったついでに、一般公開されていた神奈川県庁本庁舎見学へ。普段は公開していない知事室、旧議場、旧貴賓室がガイド付きで見れるというのだ。
神奈川県民でない私は初めて入ったが、スゴイ建物だ。別名、「キングの塔」というらしいのだが、その名にふさわしい威風堂々たる建物。昭和3年の竣工で施行は大林組。神奈川県内では最初の国登録有形文化財。
和洋折衷で、「表面に溝を刻んだスクラッチスタイルと、独自の幾何学的な装飾模様が特徴のライト様式」だという。なるほど、写真で見た旧帝国ホテルに似ている。
現在の公共建築と違うのは、その重厚さと装飾か。今建てられる庁舎は、民間のオフィスビルと変わらない。機能的で、装飾はほとんどない。
総工費は275万円は現在価値に直すと、x605で16億円
これは安い規模は違うが、「バブルの塔」と呼ばれた東京都庁の建設費は約1600億円で100倍掛かっている。耐震基準がなかった時代と現在の違いだけではないだろう。人件費の違いが一番か？2017年05月04日
広島から世界へ
GW初日の3日、JCIA横浜にある「海外移住資料館」へ。JICA日系人研修の企画＆講師も行った私だが、JICA横浜に行くのは初めて。実は、日系人研修では、最初の1週間ここJICA横浜で日本語や日本の歴史文化についての講義が行われる。研修生たちが泊まるのも、同じ建物の中にある宿泊施設。
現在海外で暮らす日系人は約300万人。その祖先は150-50年前に日本を後にした約76万人の日本人である。そのうち11万人を送り出した広島県は県別でみて、ダントツのトップ。今回の企画展「広島から世界へ」では、どうして広島県からの移住が多かったのか、移民した広島県人のその後などが明らかになる
広島県は100年以上前から11万人の海外移住者を輩出した、全国第一の移民県です。最初はいわゆる出稼ぎを目的として海外へ渡航する人たちが主流でしたが、時の経過とともに定住者となる人も増えていきました。現在でも、ハワイやアメリカ大陸には28の広島県人会が存在し(2016年8月現在)、母県との交流を進めています。
2017年05月03日
ジャパネットたかたは、どうしてお客様に「伝わる」番組を作ることができたのか
TVショッピングなんてしたことないのでこれまでジャパネットたかたに関心が薄かったが、この本を読んで初めてそのスゴサを知った。
新婚当時、奥さんにこういわれたそうだ。
「あなたは劣等感も優越感も持たない、珍しい人ね」
凡人は劣等感と優越感の間を揺れ、それで時間を無駄にする。「囚われ」ていて目の前のことに集中できないのだ。高田氏の生き方は、
「今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない。」
会社経営においても、予算を作ったことがないという。目標は「前年を上回ること」のみ。唯一の例外が、「過去最高益を上回らなければ社長退任する」と宣言した2013年だという。この時は、地デジバブル崩壊後、2年連続で減収減益。会社改革のため前例を破った。
「夢は途中で変えたらいい」
という現実主義者でもある。人は夢を諦めなければならない状況に陥った時、くさることがある。何の解決にもならないのだが、それで自滅する人もいる。しかし、高田氏の場合は、「実現できないと分かったら、それで全部を諦めるのではなく、新しい夢を持つ」のだそうだ。そうして、「目の前のことを一生懸命やる」。
一秒も無駄にせず考え続け、走り続けた人。それが高田明なのかもしれない。
新婚当時、奥さんにこういわれたそうだ。
「あなたは劣等感も優越感も持たない、珍しい人ね」
凡人は劣等感と優越感の間を揺れ、それで時間を無駄にする。「囚われ」ていて目の前のことに集中できないのだ。高田氏の生き方は、
「今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない。」
会社経営においても、予算を作ったことがないという。目標は「前年を上回ること」のみ。唯一の例外が、「過去最高益を上回らなければ社長退任する」と宣言した2013年だという。この時は、地デジバブル崩壊後、2年連続で減収減益。会社改革のため前例を破った。
「夢は途中で変えたらいい」
という現実主義者でもある。人は夢を諦めなければならない状況に陥った時、くさることがある。何の解決にもならないのだが、それで自滅する人もいる。しかし、高田氏の場合は、「実現できないと分かったら、それで全部を諦めるのではなく、新しい夢を持つ」のだそうだ。そうして、「目の前のことを一生懸命やる」。
一秒も無駄にせず考え続け、走り続けた人。それが高田明なのかもしれない。
＊伝わるコミュニケーション←「伝える」と「伝わる」は違うジャパネットたかたは、どうしてお客様に「伝わる」番組を作ることができたのか18:今を生きる。過去にとらわれない。未来に翻弄されない。25:目の前のことを一生懸命にやっていれば、自然と次の課題が見えてくる。93:ラジオショッピング1990年開始 5分間年2回→今、月に1400回114:ジャパネットの中での売上No.1は紙媒体120:利益還元祭1998- 100人をハワイ旅行招待社長はじめ、MCや会社スタッフが同行121:自前スタジオ建設20011時間の番組制作費10M＠福岡125:生放送に猛反対の嵐⇔こだわり：その瞬間の「感動」を共有台本無し132:Skill Passion Mission何を伝えるか172:「一調二機三声」世阿弥『花鏡』�＼爾猟イ蝓�高さ、緩急と言ったものを、心と体の中で整える�∪爾鮟个后峇屐廚鮗茲蝓△い捗个垢�タイミングを推し量る��声を発する195:「我見」「離見」「離見の見」世阿弥『花鏡』263:夢は途中で変えたらいい実現できないと分かったら、それで全部を諦めるのではなく、新しい夢を持つ
2017年05月02日
「為替」「金貸し」の歴史
室町時代を舞台にした歴史小説を読むのはこれが初めて。時代は室町時代の終わり、幕府は瓦解しかかっている。幕府の権威は地に落ち、治安は悪化。力が支配する、西部劇のような時代。そんな時代の中で想像を絶する修業を経て、無敵の兵法者として成長する青年を描く。
物語の流れは史実に基づいており、登場人物も、歴史書に何らかの形で登場する実在の人物だという。小説は小説としてよくできているので読んで楽しんでいただくとして、サイドストーリーとして興味を持ったのが、「為替」の歴史や、「金貸し」の歴史。筆者は執筆にあたり、そうした専門書を読み込み、専門家に問い合わせている。
日本における「為替」制度は鎌倉時代に誕生したらしい。「遠隔地から年貢を運ぶ手間を省くために発達した制度だが、庶民にも銭が行き渡ったこの室町も中期の頃になると、専門の割符屋が畿内を中心に発達し、商人や分限者たちは、大量の銭を運ぶ代わりにしばしばこの割符屋を利用した」ということ。
そして、割符屋は、手数料を取るだけでなく、資金を預かってから、実際に割符屋同士で相殺して精算するまで、その資金を貸付て運用した。現在の銀行と同じだ。
また、京都市中に多数存在した高利貸しの資金源は、資金に余裕のある公家やお寺だったというのも興味深い。中でも最大の資金源は、比叡山延暦寺であったらしく、その運用資金で僧兵を抱えたうえ、酒池肉林を繰り広げたという。
後に、天下統一の妨げとして、「比叡山焼き討ち」（1571）を行った信長。当時の叡山の堕落を考えると、必然だったのかもしれない。
21:当世は人の命など、冬の乾き切った馬糞同様に軽い。事実、四条河原では餓死者の骸があしらこちらで鴉に啄まれている。鴨川の流れも腐乱死体で埋め尽くされ、常に澱み滞っている。今年の1，2月だけで、鴨川のほとりでは8万2千人もの餓死者が出たという。人によっては、9万、10万とも噂する。長禄3年（1459年）から足掛け3年続いた大飢饉ーー後の世でいう「長禄寛正の飢饉」のせいだった。飢えた者たちが食い扶持を求めて、京へ京へと上ってきた挙句の地獄絵図だった。32:それを法妙坊は比叡の権威を笠に着て、法外な金利で銭を貸し付けている。しかも返済が滞れば神仏の鉄槌が下ると言って地下人どもを脅す。市中の悪党たちも祟りを恐れて、叡山の土倉にはおいそれと手を出さない。183:割符とは、為替のことである。発祥は鎌倉時代にまで遡る。遠隔地から年貢を運ぶ手間を省くために発達した制度だが、庶民にも銭が行き渡ったこの室町も中期の頃になると、専門の割符屋が畿内を中心に発達し、商人や分限者たちは、大量の銭を運ぶ代わりにしばしばこの割符屋を利用した。185:「おのれでこの世の仕組みを考えぬ者は、死ぬまで他人の使い走りで終わる」（兵衛）209:「分らぬことは分からぬこととして、当座は受け入れておく。時が経てば分かることもあるし、死ぬまで分らぬこともある。だから、そんなものは文箱にでもそっと仕舞っておく。留保する勇気じゃ。文箱の中の存在を、分からぬままに受け入れ、尊重する」（和尚）264:「兵衛は恐ろしく怜悧で、世間に対して不遜極まりなく、公家や幕府のことを屁とも思っておらぬ。一方で、どこか人好きもする。つまり、世の破壊者によくある骨柄じゃ」（唐崎の老人）396:わしのような比叡の紐付きの土倉が、市中の者から蛇蝎のように嫌われ、近郷の百姓からは泣かれ恨まれつつも銭を掻き集めているからこそ、彼らは坂本の里坊に女を囲い、酒を喰らい、豪奢な香油を使って稚児を犯すという酒池肉林の暮らしを謳歌できているのだ。（法妙坊）
520:翌々日、兵衛の首は一揆張本の極悪人として三条河原に晒された。土一揆の首魁として歴史に初めてその悪名を刻んだ。
2017年05月01日
社会のキッザニア化
「最初にお断りしますが、これは当たり前のことを当たり前に書いた本です」
という断り書きから始まる本というのも珍しい。何が「当たり前」なのか？
それは、
「才能には遺伝がかかわっていること、 収入にも遺伝がかかわっていること、才能に気づき育てるには経験と教育が必要であること、しかしそれはいまの学校教育の中で必ずしもできるわけではないこと、それは知能や学力に遺伝の影響が大きいからだということ、学校は遺伝的な能力の個人差を顕在化させるところだということ、でもこの世の中は学力が全てではないこと、学力とは異なる遺伝的才能を生かした人たちでこの世界は成り立っていること、才能のないところで努力しても無駄だということ」
に尽きる。確かに「当たり前」なのだが、最も重要なメッセージはこれだろう。
「才能は環境にさらされなければ顕在化しない」
だから、「一定の年齢になったら、いかなる仕事でも、それが嫌いで自分に合わない仕事であったとしても、まずは社会に出ること」だという。人は近代以前は12歳前後で働きはじめ、「一人前」となった。今でも、タレント活動やスポーツなど特殊技能で身を立てようと思ったら、この位で働き始めている。
それで、なかなか自分の生きる道を決められない凡才にとって、著者は「社会のキッザニア化」をしてはどうか、という。つまり、様々な職業の実体験を通じて、自分に何が向いているかを見つけていくわけだ。既にある制度としては、学生のアルバイトやインターンシップ（最近はその中身が就職活動に代わってきているが）だろう。もっと社会全体として制度化が可能か？本書では具体策は示されていない。
24:私自身は元々、強固な環境論者でした。「才能は生まれつきではない」「人は環境の子なり」をスローガンにしたヴァイオリンの早期教育、スズキメソッドの創始者鈴木鎮一氏の思想に深く傾斜し、教育学の卒業論文テーマに選んだほどです。25:顔や形が遺伝子の影響を受けているのだから、能力も同じように遺伝子の影響を受けるのは当たり前のこと。115:高いにせよ低いにせよ、ある階層の男女から生まれた子供の形質は分散し、一定の確率で別の階層へ飛び出していくのですから、遺伝によって階層が完全に固定化されるとは考えにくい。143:英語educate←ラテン語educatus（導き出す）生まれつきの素養がある人は教育によってぐんと伸びる、その一方、素養がほとんどない人はあまり伸びない。162:とりわけ日本の学校が用意するたくさんの種類の部活動は、学校がさまざまな分野の文化的活動に、生徒の特別な境遇や経済事情にかかわりなく、基本的に誰でもかかわらせることのできる素晴らしい環境を提供してくれている、世界に誇るべき教育文化。174:知識欲が性欲と似ていることに、最初に気づいたのはプラトン美しい完全なるイデアを肉体が求めてセックスするのと同じように、真・善・美という得を得るために人間の魂の中で生殖をする。それが、つまり哲学。そして教育も魂の生殖。183:社会のキッザニア化キッザニアは、本物の企業が提供するそれぞれの仕事のエッセンスを、その意義や仕事の手順のたいへんさまできちんと説明したうえで、子どもに実体験させてくれる。188:才能は環境にさらされなければ顕在化しない一定の年齢になったら、いかなる仕事でも、それが嫌いで自分に合わない仕事であったとしても、まずは社会に出ること。社会のキッザニア化では、他方でそうした認識が並行して成り立っていなければなりません。
