2017年04月
2017年04月30日
AIを使う側、使われる側
10-20年後にはAIの普及で、「今ある仕事の半分が無くなる」と言われている。（2013年9月オックスフォード大学マイケル・オズボーン准教授「アメリカ総雇用者の約47%の仕事が機械に代替」、2015年12月野村総合研究所「今ある仕事の約49%がAIやロボットなどに代替」）
その結果、「人はAIやロボットを使う側、使われる側に否応なく選別される。定型的な仕事しかできない人は使われる側、創造性を活かし社会的な知性を身につけた人は使う側にまわる」という。失業率が30-40%になる、という人もいる。
では、「使う側」になるためにどうしたらいいか？そのカギは、STEM＋Aだという。
Science（科学）
Technology（技術）
Engineering（工学）
Mathematics（数学）
ここまでは、これまでアメリカで使われてきた通り。これに
Art（芸術）
を足して、STEAMという言葉も生まれているということだ。
高度成長期の日本は、科学技術大国で、成績の良い中学生はこぞって理数系や工学系の高校や高専に進学した。それが段々と減って、数学が受験科目にない私立文系学科が受験者数で常に上位を独占している。
歴史を振り返れば、何時の時代も「技術革新」が大きな社会変革をもたらしてきた。理系センスを磨いておかなければ、AIによって時代が変わりつつある今、「使われる側」になってしまう可能性が高い。
27:日本における教育の問題は、学校で数学や理科をどう教えているかというよりも、理数系に弱い大人による社会全体の洗脳31:英語のstudyとは、ラテン語のstudiumに由来している。その意味は「好奇心をもって没頭する」ということ。これは勉強だけでなく、仕事や人生においても大切なことだろう。45:ホリエモンこと堀江貴文氏がSNSで多くの人々にフォローされているのは、彼がイノベーターであることを皆が知らず知らずのうちに認めているからだろう。77:誰がAIに知識を与えるのかという過去の課題は、AIが自ら学習する機械学習の実現で乗り越えた。120:サイエンス系のおすすめ番組ベスト３（いずれもNHK）・サイエンスZERO・コズミックフロントNEXT・モーガン・フリーマン時空を超えて123:成毛「ワクチンの副作用について過度に反応している人は、そうやって世代全体に影響を及ぼしかねないことを理解しているんですかね。とてもそうは思えないけど」堀江「それも”放射脳”の人たちと同じですよ。ゼロリスクなんてものはないんだということを理解しないから、大騒ぎしている」
2017年04月29日
カネの傭兵
登場人物のほとんどが実名というドキュメンタリー。野村證券出身の杉山智一氏がBank of Singapore（BOS）にヘッドハントされシンガポールに渡るところから物語はスタートし、プライベートバンカーとして経験を積み帰国するところで終わる。その間に様々な事件も挿入され、タックスヘイブンやオフショア金融の仕組みが学べる構成になっている。
シンガポール政府は「金融立国」を宣言しており、富裕層を呼び込む政策を打ち出している。2004年から始まったFinancial Investor Schemeでは、「SGD20M(約14億円）以上の資産を持つ外国人が、その資産の半分を5年以上、シンガポールで維持すれば永住権」を取得できるようになった。この制度は2012年に廃止されたものの、同じ富裕層でもより現役世代が対象になって優遇は継続している。シンガポールには相続税もキャピタルゲイン課税もない。
戦前の教育を受けた古い資産家たちは税金のために移住するということは稀だったが、戦後生まれの資産家にとっては、若い時から海外旅行もしているし、「日本のため」という意識も薄れている。「村上ファンド」元代表の村上世彰や、「HOYA」CEOの鈴木洋、「ドン・キホーテ」創業者の安田隆夫も皆シンガポール在住だ。現役の事業家にとってはアジア戦略はシンガポールの方がやりやすいだろう。東日本大震災がきっかけとなって移住者が急増し、国税局もようやく対策を打ち始めた。
本書に出てくる2011年シンガポールでのプライベートバンク顧客預かり資産合計はSGD550B（約35兆円）だったが、昨年の数字を調べると、No.1のDBSが$82B、BOSが$79B、UOBが$32Bなどとなっていて、「2012年以来の世界平均伸び率6.75%をシンガポールのプライベートバンクは上回っている」としている。また、競争に負けアジアから撤退する欧米PBの資産買収で、アジアのPBは世界平均を上回る成長を遂げている。
13:彼（村上世彰）は「スーパー・ペントハウス」と呼ばれる近所の最高級コンドミニアムの最上階に住んでいた。事件後も相場操縦の疑いをもたれる投資をしたり、アジア各地で巨額の不動産投資を続けたりして話題に事欠かない村上だが、この地に移住した若い日本人起業家たちには人気がある。15:その大きな抜け穴が、通称「五年ルール」である。簡単に言えば、被相続人(親）と相続人（子）がともに五年を超えて日本の非居住者であるときは、日本国内の財産にしか課税されないのだ。逆にいえば、５年以上、日本の非居住者であれば子や孫に相続したり贈与したりしても海外の資産には日本の課税が及ばない。21:シンガポールは成功者ばかりだ、という話も聞かされている。後になって、成功者しかいない理由は、この国が外国人の敗者やスラムの存在を許さないからだということに、はたと気付いた。31:こうしてシンガポールは、欧米やスイス、中国、インド、そして他のオフショアの資金まで吸収し、2000年に500億シンガポールドルだったプライベートバンクの運用資産額は2011年には5500億シンガポールドル（約35兆円）に達していた。富裕層の投資動向を調査分析する「ウェルスインサイト社」は、シンガポールが2020年までにはスイスを抜いて、世界最大のオフショア金融センターになると予想している。49:五菱会事件2003年外資系銀行のシンガポール支店は日本からの預金凍結の要請をはねつけたと言われている。カネの流れもうやむやになり、当地で関与した日本人バンカーたちが追求されることもなかった。
155:東日本大震災の後、日本からシンガポールへの移住者や資産移動が急増している。BOSではかつて一ヶ月に一人程度だった日本人の新規顧客が、大震災以降、50人から60人に上るようになった。福島だけでなく東京も危ない、という意識が富裕層に決断を促したのだろう。
2017年04月28日
地政経済学序説
地政学と経済学を融合させようという600pにも及ぶ意欲的大著。本来、政治と経済は不可分なものであるはずだが、学問としては長らく分離されている。経済学での経済はあたかも自律的なものとして扱われているのだ。
これは手ごわい。手軽には読めないので、今日のところは紹介だけに留め、後日改めて読み直してみたい。
1:本書は、筆者が自らの直観を頼りとしつつ、およそ25年に及ぶ探求を続けた結果、ようやくたどり着いた海底山脈である。その海底山脈とは、約言すれば、政治力あるいは軍事力と経済力は、お互いを作り出し、強化し合う関係にあるという理論である。この「富国」と「強兵」の相互依存的な関係を解明する理論について、筆者はかつて「経済ナショナリズム」と呼んだことがある。578:「人間とは、不確実な未来に向けて、一定の予想や期待を抱きつつ、現在において行動する存在である」という了解人間は時間の観念を抱き、未来に向けて行動する。しかし、人間には、未来を正確に知ることは不可能であり、したがって、一定の予想や期待を形成し、それに基づいて行動せざるを得ない。その未来の予想や期待を形成するために、人間は他の人々と一定の行動様式を共有し、その行動様式に従って行動する。他の人々と共有する一定の行動様式が「制度」であり、処々の制度を共有する集団が「社会」である。人間は、社会の一員を構成し、社会が共有する制度に従って行動し、同時に、社会の他の構成員も制度に従って行動するであろうと期待することができる。581:国家の軌道を変更させる強大な圧力があるとしたら、それは国家の内部からよりはむしろ、外部に求められることになる。実際、歴史的に見れば、産業革命、フランス革命、ロシア革命、辛亥革命、ニュー・ディール政策、ケインズ革命、ブレトン・ウッズ体制、ブレトン・ウッズ体制の崩壊、グローバリゼーション、そして日本のバブル経済とその崩壊後の長期停滞、いずれも地政学的な圧力と無縁のものは一つとしてない。582:ほとんどの通貨が領土性を帯びた領域通貨であることは、そのことを端的に示している。そして、脱領土化した通貨であるユーロを採用したヨーロッパ諸国では、中央銀行や国家財政が有効に機能し得ず、資本主義の安定化に失敗した。通貨が領土性を帯びているのには経済合理的な理由があったのだが、ユーロの設計者たちがそのことを理解していなかったのである。地政学なくして経済を理解することはできない所以である。585:国家とは、一定の軌道をもった大規模な集団行動、すなわち「ゴーイング・コンサーン」であるが、その軌道の大幅な変更はもっぱら国際環境の圧力によってなされる。とりわけ戦争という実在的危機を伴う国際的圧力は、国家という集団行動の携帯にきわめて大きな影響を及ぼす。586:経済政策というものもまた、戦争目的の資源総動員の民政化あるいは平和利用であると言える。とりわけケインズ主義的なマクロ経済政策とは、二つの世界大戦における国家による大規模な資源の総動員が、物価水準に影響を与え、失業を劇的に解消したという経験を経て誕生したものであった。589:今後、地政学的紛争は増えるであろう。新自由主義は、その紛争の経済的要因の一つですらある。しかし、「新しい戦争」と化した21世紀の地政学的紛争が、新自由主義の軌道を修正して、より望ましい経済システムをもたらす圧力になるという保証はないのである。なぜ、そう言えるのか。それは、人間が時間の概念を抱いて生きているということと関係している。過去を思い出し、不確実な未来に向かって現在を行為する。そういう存在であるがゆえに人間は社会集団を形成し、社会集団が共有する制度に依存して未来に対する期待を形成し、行動する。ただし、集団行動は経済依存性をもった運動であり、個々の人間の自由な意思や理性によって思いのままに操作できるものではない。個人の意思や理性などは集団行動によってたやすく踏みにじられる。
2017年04月27日
職業の道楽化
幻の名著が初めて文庫化された
単行本が出たのは本多清六博士が亡くなる1年前の1951年。戦前に活躍された人なので今では知らない人が多いだろうが、東京帝国大学の教授で日本の「公園の父」とも言われる。日本で最初の西洋式庭園の日比谷公園、荒れ地に武蔵野を再現した明治神宮、札幌の大沼公園など本多教授の設計である。生涯に370冊以上という膨大な数の著書を記し、学者として突出した業績を上げただけでなく、最晩年になって人々が驚愕したのは、人知れず巨万の富を築き、その全財産を1927年の退官を期に匿名で寄付していたことである。
何か副業をやっていたわけでもなく、幼いころ父の急死で家が没落した経験から、貯蓄にいそしんだ。働き始めた時から「月給の1/4を天引き貯金」するときめ、これを退官するまで実施したという。同時に、「1日1頁の原稿執筆」も実施し、この結果が生涯で370冊の著書となる。明治人らしい、「独立自尊」の人なのだ。
ユニークなのは、それを「楽しみながら」行っていること。「職業の道楽化」という言葉を残した。また、その生活流儀においても、楽しみながら工夫している。
私が感心したのは「ジャン憲法」。「家庭内で意見が対立した時は、二度目までは意見を主張し、三度目はジャンケンで決める」というもの。こう書いてある。
「もともと同じ家庭内のことであるから、そうそう大問題の起きることはない。ジャン憲法を適用しなければならぬのも、実はどっちに決まってもいいようなことばかりである。ところが、このどっちでもいいようなことが、つまらぬ議論、口争いとなって、家庭内が不愉快になりがちだ。そこで、笑いながら、このジャン憲法で決するのである。これなら、どっちが勝っても負けても、朗らかに解決されるので、しごくよろしい」
＊ままならぬ世の中に処して、これをままにするただ一つの秘法「この世の中を、ままならぬまま、在るがままに観じて、避けず、おそれず、自らの努力を、これに適応させていく」＊健康で長生きする・食べ物はすべてゆっくり噛みしめる・飲、食、性の三欲を八分目に減ずる・時々、大の字に寝ころんで、思い切って手足を伸ばす・自分が出なくてもすむ会合や宴会などにはできるだけ出席せず、平和な家庭生活を楽しむ・死ぬまでの努力精進を楽しみ、贅沢生活はやめる・若者と交流しつつ、職業を道楽化する＊平凡でも幸せに暮らす・少しでも良いと思ったことは、躊躇なく実行する・明日の仕事を今日にと、仕事は先へ先へと早めに片付ける・何か欲しいものがあっても買わない。品物を「買ったつもり」になって、その代金を貯金に回す・家庭内で意見が対立した時は、二度目までは意見を主張し、三度目はジャンケンで決める。すると朗らかに解決される。（ジャン憲法）・常に手帳を持ち歩き、思い付いたことはすべて記録する。＊人間は、働かないと老衰する。いつまでも元気で働きつづけるためには、働学（労働と学問）併進で、両方を適度に混ぜ合わせなければいけない。
＊何事にも悲観せず、すべてのことに感謝する。
2017年04月26日
2017年04月25日
変革のリーダー
筆者は、日本HP、ダイエー、日本マイクロソフトのトップとして改革を推進してきたプロ経営者である。それが古巣のパナソニックに代表取締役専務取締役として4月に就任した。日本で、一旦退社した人材が経営幹部として戻るのは異例だ。
実は、阪大工学部を出て20代を過ごしたのは松下電器産業。最初は溶接機の開発者だったという。社内留学制度でHBSに留学しMBA取得したのがきっかけになり、その後BCGを経て、アップル日本法人へ転職、IT業界に入る。
留学後一旦松下に戻るものの、半年で転職している。松下（Panasonic）からしてみれば、HBSに出すのに直接費用だけで授業料と2年間の給与で最低2000万円は出しているはず。是非、古巣で力を経営改革に発揮してもらいたいものだ。
実は、阪大工学部を出て20代を過ごしたのは松下電器産業。最初は溶接機の開発者だったという。社内留学制度でHBSに留学しMBA取得したのがきっかけになり、その後BCGを経て、アップル日本法人へ転職、IT業界に入る。
留学後一旦松下に戻るものの、半年で転職している。松下（Panasonic）からしてみれば、HBSに出すのに直接費用だけで授業料と2年間の給与で最低2000万円は出しているはず。是非、古巣で力を経営改革に発揮してもらいたいものだ。
・外資系企業の日本法人トップには、全く異なる二つの能力が必要�‘�本的な営業力（親密さや信頼、情熱などに基づく営業力）�∨楴劼函▲蹈献�ルでタフなやり取り（アグレッシブ）・こうした両面能力を身につけるには、多様な環境に身を置き、自身の「器」を大きくする若いうちに、日本と外国、両方の文化を体験しておく。・世界中が「人口オーナス期」に突入少子高齢化で労働集約型産業は成立しない新製品が開発されても売れない生産性が低下し、終身雇用も年功序列も難しくなる＊オーナス期には、社員一人一人がリーダーとしての資質を備え、それが組織文化として醸成しないと生き残れない。・日本企業の経営戦略の問題点：大局観がない将来にわたる競争環境や社会環境などをきちんとイメージできなければ、精度の高い長期的意思決定はできない。・大局観を育てながら戦略を練るためのポイント「会社は何のために存在しているのか」と常に考える。会社のリソースを考慮し、実行できる戦略成功するまで「やり切る」姿勢
2017年04月24日
失われたマクロ経済のマネジメント
バブル崩壊後の日本を、「失われた１0年」と言っていたら、あっという間に「失われた20年」になってしまった。しかし、経済学者の著者によれば、「本当に失われたのはマクロ経済のマネジメント」だという。
日本がデフレに陥るまでの世界の経済学の常識は、「金利が下がると投資は増える」だった。政府の景気刺激策に呼応して、日銀は政策金利を20年間下げ続けた。今やマイナス金利である。しかし、家計も企業も投資を増やしていない。政府だけがカネを使い続けたが、現在は財政政策も金融政策も機能しなくなっている。日本では、マクロ経済のマネジメントが失われてしまったのである。
著者は、この理由を、「国民の心理的エネルギー」に求めている。しかし、その処方箋については明示されていない。この点は、大前研一氏が10年前に『心理経済学』で既に指摘しており、そちらに詳しい。
・日本経済はこの20年間成長していないGDP:516兆円（1996）→500兆円（2015）純輸出の減少＋民間投資の落ち込み＊この間アメリカGDP：2.2倍・マクロ経済学の常識が通じない日本20年間金利は下がり続けたのに、家計も企業も投資を増やしていない。民間消費は安定。政府だけがカネを使い続けた。・経済成長を可能にする要因資源（資本・労働）の投入国際環境（資源価格、為替レートなど）マクロ経済の基礎構造（技術的ポテンシャル、行政システム、国民の心理的エネルギー）・人間の行動の集積の結果→経済の動き人間の行動やその動機などについて考えることが、経済を見る目を養うカギ・人間の行動の背後「カネの論理」「情報の論理」「感情の論理」これらを総合して考える「三眼の総合判断」が必要
2017年04月23日
池井戸ワールド
『半沢直樹』以来、ファンになってしまった池井戸潤作品の最新刊。企業を舞台にした笑いあり涙ありの感動物語・・・いつも通りの「池井戸ワールド」が堪能できる。
かつては足袋生産日本一で栄えた埼玉県行田市。そこの創業100年になる老舗の足袋メーカー。生き残ってはいるものの、売上は減少する一方で、経営はいつもギリギリだ。そこが、地下足袋の技術を生かして、ランニングシューズを開発するという物語。大手メーカーが傲慢で、邪魔しに来るというのもお約束通り（笑）。
私はランニングにそれほど興味がないので知らなかったのだが、一流のアスリートは「ミッドフット着地、あるいはもっと足の先で着地する「フォアフット着地」なのだそうだ。ヒール着地は故障を招きやすいという。フォアフット、ミッドフット着地の方が、より速く走れ、そして故障も少ないのかというと、その走法が（靴を履く前の）人間本来の走り方だからということ。
調べてみると、実際に、行田にはランニングシューズを開発した足袋メーカーがある。それが、きぬや足袋のランニング足袋「無敵」。池井戸さんはここに取材に来て、着想を得たらしい。
28:伝統を守るのと、伝統にとらわれるのとは違う67:「でも、そういうニッチなところから出発してノウハウを蓄積し、いまや押しも押されもしない大メーカーになっている会社もあるんですよ。たとえば、ニューバランスさんはそうですよね。元は矯正靴の製造メーカーでした」209:「倒産ってのは、ぎっくり腰みたいなもんなんですよ」「ある日突然出る。なぜそうなったかはいろいろな理由があるでしょう。でも、一度ぎっくり腰になったものはたいていクセになって、またいつかやる」224:会社にとっての本当の危機とは、実際にお金に困ることになるずっと前にあるのではないか。往々にして、そういう時の会社にはまだ余裕がある。その余裕に任せて、本来すべきことを怠り、必要な改革に着手しなかったがために、数ヶ月後、いや数年の時を経て、目に見える危機が訪れるのではないか。
480:「だけど、その全てに責任を取らなきゃならない。いいときも悪いときも、それをまともに受け止めるしかない。厳しいようだが、そういうことだぜ、会社を経営するってことは」
2017年04月22日
True Grit
2010年のコーエン兄弟監督による西部劇映画。スピルバーグが製作総指揮をしている。「本当の勇気」と訳されるらしい。gritは「荒い砂」とか「硬い粒」の意味だから、そこから転じて、「根性・気概」という口語である。
世界興行収入が$252Mとコーエン兄弟の映画では最大ヒット作。アカデミー賞は逃したものの、欧米では高い評価を受けている。ところが、日本での興行成績は2億円と低迷。
父の敵を取ろうとする気が強い少女が、剛腕の連邦保安官を雇う。日本では、警官を私的に「雇う」ということは考えられないが、当時の米国では可能であったらしい。連邦政府にはカネがないので、職務に反しない限り、アルバイトを認めていたのだ。
この保安官がすぐに人を殺す。それだけ当時の西部開拓地帯は力が支配していて、司法が及ばなかったということだろう。自分の安全を考えると、何か不審な点があれば殺す。父の敵をとるためとはいえ、14歳の少女も父の形見のコルトで躊躇なくぶっ放す。
この辺の感覚が、平和ボケしている日本人にはついて行けないところ。しかし、欧米、特にアメリカの安全保障感覚を理解するには見ておいた方がいい。この点に関しては、トランプ大統領を支持した低学歴・低所得者層だけに限らない。コーエン兄弟もそれぞれNYUとPrinceton大学出のエリート層である。
2017年04月21日
スピードと徹底
「一番以外は、皆ビリや」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」といえば、経営を学んだことのある人なら誰でもピンとくるだろう。有名な、「永守語録」である。
日本電産は、これまで50社以上のM&Aを行い、全て1年以内に黒字化を達成している。これは日本記録であるばかりでなく、世界的にも珍しいと思う。日本の大企業がおしなべてM&Aが下手な中でなぜ日本電産は上手なのか。
どこが違うのかと言えば、永守社長は一代で日本電産を大企業にしたので、大企業しか知らないサラリーマン社長とでは、経営経験に雲泥の差があるということだろう。いわば、永守社長は、「０→1」も「1→10」も「10→100」も全部経験している。だから、「１」の会社にも、「10」の会社にも適切なアドバイスが可能だ。「100」の会社しか知らない経営者には難しい。
どこが違うのかと言えば、永守社長は一代で日本電産を大企業にしたので、大企業しか知らないサラリーマン社長とでは、経営経験に雲泥の差があるということだろう。いわば、永守社長は、「０→1」も「1→10」も「10→100」も全部経験している。だから、「１」の会社にも、「10」の会社にも適切なアドバイスが可能だ。「100」の会社しか知らない経営者には難しい。
・意識改革を徹底せよ。それが企業カルチャーになるまで。再建する際、資産や人員のリストラではなく、徹底した従業員の「意識改革」を行う。「価値観→思考様式→行動様式」・当たり前のことを、当たり前にやれる会社にせよ経営者が日常の管理を担当部署任せにしない。日常管理を社員の共有の価値観にしないと、すぐ後戻りする。・時間は万人に平等に与えられている条件。これをどう使うかで、勝負が決まる。業界の常識を超えるスピードで試作や改良を行うことで、有力メーカーに打ち勝つ。・一番以外は、皆ビリや。すぐやる、必ずやる、出来るまでやる。「スピードと徹底」トップが不退転の決意で中間管理職と改革を行い、新しい経営手法を導入することで定着する。・脇は甘くないか。経営は結果だということを忘れるな。結果を事前に予測し、計画通りの結果が出るように手を打つのが経営者の役目。担当部門が目標を達成できない場合は、経営者自ら、目標達成のために動く。・市場価格は神の声日本電産では、市場価格を神の声として、それに合わせるために徹底した努力をする。
2017年04月20日
「日本病」の正体
私がMBA取得したのが1991年。昨年は25周年記念同窓会でロンドンに行った。それまでも仕事や同窓会で定期的にロンドン他世界各国で同窓生に会ってきた。会うたびに日本が相対的に貧しくなっていることを感じてきた。UKもアメリカも、波はあるものの25年間発展を続け、一人当たりGDPは25年前の倍になっている。日本はその間全く伸びてないのだから、当然である。
著者のDavid Atkinson氏はイギリス人でOxford大学で日本学を専攻。来日してGoldman Sachs金融調査室長を勤めた。現在は、文化財の修復を行う老舗企業「小西美術工藝社」の社長である。日本文化に造詣が深く、裏千家茶名（宗真）まで持っている。なので、経済成長至上主義ではない。キチンと稼げないと伝統文化なんて守れませんよ、と言っているだけ。
処方箋は具体的でわかりやすい。ここまで言ってもらって、やるしかないでしょう
＊日本経済低迷の原因は「生産性の低さ」→改善すればGDP770兆円（一人当たり$58000）可能！現実：先進国の中で、日本は経済的に最も後退している国・日本が経済力で上位に位置しているのは、人口が他の先進国に比べて多かったから日本より人口が多い国はアメリカだけで、欧州には1億人国家は一つもない。・日本人の生産性（一人当たりGDP）は世界で第27位と低いイタリアやスペインよりも低い！・輸出額は世界第4位、しかし一人当たりでは第44位輸出額で第3位のドイツの半分（人口はドイツの1.6倍）。・業種別では、比較的生産性の高い製造業でも、一人当たり総生産額は$10,009と先進国の平均以下農業、サービス業ではG7中最下位。・生産性向上を妨げる要因の一つは、企業や行政機関が過去のルールに固執すること例えば、銀行はいまだに3時に窓口を占める。・アベノミクスの効果が出ないのは、日本の企業経営者が本気で生産性を上げようとしないから生産性を上げる改革は手間がかかり、反発も多い。そして、苦労して生産性を上げても今の制度では経営者の給与は増えない。・企業の生産性を上げるのに有効なのは、公的年金の活用政府がGPIFに運用利回りを上げるようプレッシャーをかける→投資先に生産性改善を促す
2017年04月19日
グローバリズムの終焉
グローバリズムについて「三勢力に分ける」というのに納得。昨年の「まさか」の一つがトランプ大統領誕生だったが、予想外の理由は、「アンチ」グローバリズム勢力だけでは支持は伸びないと思っていたことだ。アメリカの大統領選挙には莫大な選挙資金が掛かるが、トランプ氏本人を除けば、彼らにはお金もない。
それが当選したのは、新興のヘッジファンドやIT業界など、本来自己利益のみを追求する勢力する「ネオ」グローバリズム勢力が「敵の敵は味方」という論理で、莫大な資金を投じて「アンチ」勢力を応援したからだという。これまでグローバリゼーションを推進してきた「オールド」勢力は、社会のエスタブリッシュメントとして利益を得ているから、これまでの社会そのものが変わることは好まない。
それを変えようとしたオバマ大統領やそれを引き継ぐクリントン国務長官に反発したのが「ネオ」勢力で、彼らはグローバリゼーションで最も恩恵を受けている人たちなのだが、サイバー空間が活動の場であるためそもそも貿易不均衡などの「20世紀の経済」には関係がないのだ。
彼らが気にしたのは、オバマケアのような福祉政策で、日頃から健康に留意している彼らにしてみれば、「なんで俺たちの税金が、自堕落な生活をして病気になる彼らに使われなければならないのか」ということになる。
それで気になる日本への影響である。アメリカが「世界の警察」であることを放棄し、EUはイギリスの離脱で混乱し、世界はアメリカ、ロシア、中国の三極になっている。トランプ大統領は選挙戦中から中国の経済政策を攻撃する一方、ロシアに歩み寄る姿勢を見せてきた。それが、今回、シリアの空爆でロシアとも対立している（あるいは、そうであるように見せている）。
そこで、ロシアと中国が対アメリカで結びつくと、日本は南シナ海や尖閣諸島問題で大きな問題に直面することになる。中国共産党にとって一番怖いのは、これ以上の国内経済の減速だろう。従って、最大の輸出先であるアメリカにはすぐには歯向かえない。それが、首脳会談後にトランプ大統領に「成果は何もない」と言われても、ニコニコしていた習近平の胸の内だったのではないか。
＊「トランプ、プーチン、習近平」の世界はこれからどんな方向へ向かうのか？・冷戦終結後、アメリカ一極体制下でのグローバリズムの終焉→３勢力��Old Globalismこれまで世界の経済と政治のグローバル化を主導してきた大手金融機関やメディア、先進国の既成政党などのエスタブリッシュメント勢力。��Anti-Globalism職を失ったり薄給を強いられたりする人々と、その代弁者になろうとする勢力。��Neo-Globalism新興のヘッジファンドやIT業界など、自己利益のみを追求する勢力。・トランプ大統領を誕生させたのは、「アンチ」と「ネオ」グローバリスト「オールド」勢力が進めようとした諸々の規制に反対し、「ネオ」が敵の敵である「アンチ」を勝たせるために莫大な資金を投じた。・日本を取り巻くアジア情勢は悪化の一途�｜羚颪肇蹈轡△侶襪咾弔�→今後、南シナ海や尖閣諸島問題に対し、共同戦線を張る可能性��中国の巧妙な外交や対外工作で、インドやASEAN諸国の「親日国」が親中路線を強めている
2017年04月18日
企業戦略論の決定版
畏友WBS池上教授による新著。「企業戦略論の決定版」と言ってもいいだろう。これまでに出そろった各種企業戦略論を分類し、「どのような環境下で、どのような企業に、どの戦略が有効か」を整理している。
久しぶりに聞いたのが、永谷園から始まった「ぶらぶら社員」制度。まだフレックス制度もなかった時代、完全フレックスで「新事業のアイデアだけ考えろ」というので話題になった。その後を知らなかったのだが、「第一号案件でマーボー春雨が生まれたのだが、それ以降ぶらぶら社員制度から新たな製品・事業は継続的に生まれず、制度も立ち消えになった」という。さもありなん（笑）。永谷園によるステマの一種（話題づくり）だった気もする。
同様に、BootlegとかSkunk Workと米国で呼ばれる主業務以外に一定の時間を自主的な研究開発のために認める仕組みも、「革新的な新製品・新事業に貢献することを明示した研究はほとんど無い」ということだ。
同様に、BootlegとかSkunk Workと米国で呼ばれる主業務以外に一定の時間を自主的な研究開発のために認める仕組みも、「革新的な新製品・新事業に貢献することを明示した研究はほとんど無い」ということだ。
＊どのような環境下でも、どのような企業にも当てはまる万能の戦略理論はない8:企業業績の約15%は、業界構造や規制等の業界ごとに異なる何らかの要素によって決定し、約45%は経営者能力、開発力、技術、チャネルなど、企業や事業に固有の何らかの要素によって決まってくるという結果を得た。（Rumelt, 1991)27:企業の中核資源（コア・コンピタンス）を特定するためのフレームワーク：VRIO��Value（経済価値）：企業が保有する経営資源や能力は、外部環境における機会や脅威に対してその企業が適合することを可能にするか。��Rarity（希少性）：その経営資源を保有・コントロールしているのはごく少数の企業だろうか（できれば自社のみ）。希少性は他の手段でその資源が代替できないことも意味する。��Inimitability（模倣困難性）：その経営資源を保有していない企業は、その経営資源を獲得あるいは開発することが困難か。��Organization（組織としての活用）：企業が保有する価値がある希少で模倣困難な資源を、組織的に活用する方針や手続きが整っているか。83:リクルート38歳定年制この年齢で辞めなくていけないわけではないが、この年齢までに退職すると退職金が最大になる仕組みで、社内の新陳代謝を促す。→個の可能性に期待し合う文化197:ぶらぶら社員（永谷園）第一号案件でマーボー春雨が生まれたのだが、それ以降ぶらぶら社員制度から新たな製品・事業は継続的に生まれず、制度も立ち消えになった。
2017年04月17日
SAVING CAPITALISM
「市場原理」というものが自然界に存在するわけではなく、「ルールが市場を創造する」というのに納得。そのルールを決める主役は政府である。
市場が社会のために機能するようにルールを定めなくてはならないが、その最大の敵は「独占」だと経済学で習った。競争の結果、勝者と敗者が生まれ、放っておけば独占が進む。独占がすすめば市場をコントロールできるようになるので、富が独占企業に集中するわけだ。
このため資本主義国には必ず「独占禁止法」があり、独占が進みすぎると排除命令が出される。企業合併についても、その結果市場シェアが高くなりすぎる場合、認可が下りない。しかし、独占禁止法の適用は、冷戦崩壊以降グローバリゼーションが進む中で各国で緩和された。自国内でのシェアだけでなく、グローバル市場でのシェアが重視されたからだ。
その結果、元々巨大であった米国の多国籍企業が大型合併でさらに巨大化した。世界経済に与える影響は大きく、今一度、独占禁止法運用を強化する必要があるのではないか。
＊なぜ、一握りの富裕層に金と権力が集中し、大多数の人々が貧しい状況に置かれるのか？・文明は「ルール」によって成り立ち、ルールが市場を創造し、政府がルールを定める所得格差や貧困などの問題は「市場原理」によって起きているわけではない。・自由市場の5つの構成要素所有権：所有できるものは何か独占：どの程度の市場支配力が許容されるか契約：売買可能なのは何で、それはどんな条件か破産：買い手が代金を支払えないときはどうなるか執行：これらのルールを欺くことがないようにするにはどうするか・巨大企業や大銀行などは自分たちのために市場のルールを変えてきたモンサント：米国で農家が植える大豆の9割以上、トウモロコシの8割の遺伝形質を所有するが、多額のロビー活動で独禁法の適用除外。GE：福島第一原発で事故を起こしたGE Mark 1原子炉は1980年代半にはその危険性が指摘されていたが、原子力規制委員会は安全性改善を要求しなかった。2012年の大統領選挙でGEは選挙活動に$4M、ロビー活動に$19M支出。同社のロビイストのうち104人は元官僚。
2017年04月16日
Saving Private Ryan
1998年公開のスティーブン・スピルバーグ監督映画。BSでやっていたのを録画で見た。冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンが圧巻。アカデミー賞に11部門ノミネートされ、5部門受賞。同年の世界興行成績第一位で、第二次世界大戦を題材とした映画では今でも歴代一位だという。
第二次世界大戦中、米軍に従軍していた4人兄弟のうち3人が戦死した残りの一人「ライアン一等兵」を前線から助け出すという話。最初に見た時から疑問に思っていたのは、「これはどこまで本当なのか」ということ。
実際に、米軍にはSole Survivor Policyという「兄弟が全員戦死した場合、生き残った兄弟は実戦から外される」ルールがあるのだそうだ。これが法制化されたのは1948年で第二次世界大戦終了後だが、大戦中から国防省の判断で何度か実施されている。その後改正され、現在では残り全員ではなく「兄弟の誰かが」戦死すれば他の兄弟は実戦から免除されるらしい。
映画のベースになってるのは、「ナイランド兄弟の逸話」。第二次世界大戦中、アイルランド系米国人のナイランド兄弟4人が全員従軍していて、２人がノルマンディー上陸作戦で戦死、もう一人も行方不明になり戦死したと推定されていた（実際はビルマで日本軍の捕虜になっていた)。そこで、生き残ったFritz（映画と同じ第101空挺団所属) はノルマンディー上陸作戦から任務を解除され、イギリス経由で出身地のNYに戻るのである。
つまり、ベースになる実話はあったが、映画のように、前線のどこにいるのかわからないライアン一等兵を探すために捜索隊が作られ、多大な犠牲を払ってまで助け出したわけではない。それこそ、「たった一人を救出するため、8人が犠牲になっていいのか」ということになる。
ここで考えたいのは、この映画が大ヒットした背景。「世界の平和(秩序）はアメリカが多大な犠牲を払って守ってきた」という自負があるわけだ。それはアメリカ人のプライドでもあり、一方で、「余計なことをする」と嫌われる原因でもあるから、「これだけやっても感謝されないなら、止めておこう」と心は常に揺れている。
「アメリカは世界の警察官をやめる」と宣言したのはオバマ大統領。シリアでは「最後の一線を越えた」のに、結局軍事介入せず、未だに内戦が続いている。その一方で、パキスタンに潜伏していたオサーマ・ビン・ラーディンは特殊部隊を送り込んで殺害した。
トランプ大統領も、「同盟国が費用を負担しないなら米軍は撤収する」と脅かしている。シリア空爆は実施し、今後北朝鮮をどう処理するか注目だ。
2017年04月15日
藤沢周平 没後20年、生誕90年
先週に引き続き、藤沢周平の江戸を舞台にした市井小説短編集。今年は、藤沢周平の没後20年で生誕90年なのだそうだ。それで関連イベントが色々企画されている。
文芸春秋は昨年１２月、没後２０年記念と銘打ち、蓬田やすひろさんの描き下ろしカラー挿絵の入った「愛蔵版 蝉しぐれ」のほか「江戸おんな絵姿十二景」、ムック「藤沢周平のこころ」の３冊を同時刊行した。また、今月１２日からはＫＡＤＯＫＡＷＡ、講談社、新潮社、中央公論新社との５社合同で「藤沢周平 没後２０年 文庫フェア」を全国５２６の書店で開催している。（毎日新聞2017/1/23）
上記記事の中で、早稲田大学の高橋敏夫教授はこう書いている。
「藤沢（ブーム）は２回誕生した」と指摘する。１度目は司馬遼太郎の終わり、すなわち高度経済成長期の終わり。２度目はバブル経済崩壊後の９０年代前半。注目すべきは、どちらも上り調子の時代が終わった後だということだ。
好景気が終わって、足元の生活を見直す気分の時に人は藤沢周平を読んでいるわけだ。
没後20年で今年3回目の藤沢ブームは訪れるのか？故郷の山形県鶴岡市にある藤沢周平記念館では、特別企画展「藤沢作品の世界」を開催中。
45:今にして思えば、おことは市蔵がもう戻ることができない世界から声をかけてきた、たった一人の人間だったように思うのである。50:これだから、世の中は信用がならねえ。ふいに市蔵はそう思った。突き上げてきたのは憤怒だった。これだから、世の中なんてものはこれぽっちも信用できねえのだ。
125:木場の宗左は、木場人足の親方でもあり、近くの荒れ寺で開かれる鳥羽の胴元でもあった。おなみの父親孫兵衛を博打にはめると、あらゆる手を使って金を巻き上げた。最後には家屋敷まで巻き上げたのである。
2017年04月14日
ネイビーシールズ式「レジリエンス」
NAVY SEALsを北朝鮮に潜入させて暗殺
というのも米軍で長年検討されていたようです。ウサーマ・ビン・ラーディンも2011年5月2日SEALsによってパキスタンの潜伏先で殺害されていますからね。しかし、その点はさすが独裁国家北朝鮮。スパイフリーパスの日本と違い、潜入は困難で、その結果が今日の緊張状態なんですね。
＊各界で活躍する人が備える超一流のメンタル「レジリエンス」困難に直面しても、うまく乗り越え、成功を収める。�’銃暗�な楽観主義・自分には物事をいい方向に変える力があると信じ、状況を改善するために自ら行動を起こす。・これを身につけるには、成功体験を重ねたり、すでに目標を達成した人を観察する。��決断力と行動力・すばやく決断し実行することで、チャンスを生かせる・ストレスを軽減して、トラウマから立ち直る力にもなる・決断力があると、逆境から立ち直るとき、元の状態に戻るだけでなく、さらに強く、幸せになれる�Ｆ仔租�な指針・道徳的な指針（正直さ、高潔さ、誠実さ、倫理的な態度）があれば、難しい状況でも正しい決断ができる・道徳的な指針があれば、周囲から信頼されやすく、仕事や個人的な人間関係でのリスクを減らせる�で瓦蟠�さ・挫折や逆境を経験してもあきらめず、強い目的意識をもって行動を続ける粘り強さが成功をもたらす�ゼ�囲のサポート・人とのつながりが強いと、ストレスへの耐性、免疫力が高まる
2017年04月13日
再生可能エネルギーの開発は学問の総合格闘技
東大先端研『ブレイクスルーへの思考』第9章は、日本の再生可能エネルギー研究のホープと言われる飯田誠特任准教授。自然の不確かさと直接付合わなければならない再生可能エネルギー開発には、「総合力と想像力」で臨まないといけないという。
風力発電には私は否定的だった。安定した偏西風が年間を通して吹く欧州には最適だが、風が吹いたり吹かなかったり、そして台風が来襲する日本には向かない。台風来週に耐えられるよう基礎工事も本体設計も行わなくてはならない。人口密度が高いので、羽の風切り音も問題だ。バードストライクの問題も解決できていない。
自国市場が小さいので、日本製風車の世界シェアも数％ほどしかない。勿論、そのほとんどが国内市場だ。ところが部品で見ると、発電機では30%、ギアボックスや増速機では50%もの世界シェアがあるのだそうだ。これは知らなかった。
この構造は、スマホなどとほぼ同じ。世界のスマホ市場は、iPhoneのAppleと、GalaxyのSamsung他、数社の韓国と中国メーカーにほぼ押さえられている。日本メーカーは国内で細々と売っているだけだ。しかし、使用されている電子部品を見ると、Sharpの液晶や村田製作所のセラミックコンデンサーなどシェアは高い。
結局、システム発想が苦手で、最終商品では負けているが、性能と安定性そして価格が勝負の部品では今も競争力があるということになる。それはそれでもっと付加価値が取れればよいのだが。
189:風力発電のバードストライク風車の一番外側は時速300kmで動いているので、鳥は避けられない。→風車の方が鳥を見つけて、回転を止めたり、緩めたりできないか？192:風車のメンテナンス＝作るのと同じくらいのコスト→スマートメンテナンス？193:風車の世界市場：1-2兆円（日本製風車シェア数％）部品では、発電機シェア30%、ギアボックスや増速機50%
199:オイルショック以後、家庭で使う電力量が倍増
2017年04月12日
個性と歴史が織りなすまちづくり
東大先端研『ブレイクスルーへの思考』第7章は、欧米をロールモデルに突き進む都市計画全盛の時代に逆行し、現状を生かしながら再生させる「都市保全」を体系化させた西村幸夫教授。
日光東照宮の修理履歴は、建立直後からすべて残っているというからスゴイ。こうして、修理しながら長く使うというのが本来の日本のやり方なのだ。
145:これからは高齢化が進み、都市も成熟化。その中で、人々がどう生きていくのか、どんな暮らしのイメージをつくるのか、「この地域に住んでいてよかった」と思えるまちをどうやってつくっていくか。
152:世界中のマクドナルドの比較写真を撮り続けている。その都市の景観規制がわかるリトマス試験紙。景観規制が緩いと赤くなる。158:修理に関しては何百年にわたって続けてきており、日光東照宮の場合、17世紀ごろから行われてきた修理の資料がすべて残っている。漆も、約50年ほどで塗り替えなければなりませんが、その都度、同じ場所から材料を持ってきて、同じような技術でつくり続けてきた。
2017年04月11日
「客観視することで困難を克服する」環境との連携
流石に長いので、少し飛ばす。東大先端研『ブレイクスルーへの思考』第6章は脳性麻痺で手足が不自由ながら東大医学部を出た小児科医師でもある熊谷晋一朗准教授。
障害に対する歴史的変遷というのが興味深い。長年、健常者が「普通」なのだから、障害者はリハビリしてなるべく健常者に近づけるという「治療モデル」であったという。しかし、治らないことの方が多い。次第に、主に見えやすい障害の人による「社会運動」として、障害者でも暮らしやすい社会に変えて行こうという運動が起こる。
そして、現在の最先端が、障害の当事者による研究なのだそうだ。この参加者には、精神疾患など外部からは「見えにくい障害」の人が多い。自身で研究することにより、自分を客観的に見ることで�ーＮ電�側面もあるし、本来の��科学的側面もあるという。
120:支援が整い、すごく優しくされているけれど、その支援が正に障害者をそれ以外の人々や社会から切り離す原因になっている。124:障害に対する歴史的変遷�ーＮ泥皀妊襦ΑΑΔ澆鵑覆�健常者に�⊆匆颪梁Δ鯆召后岷親亜廖ー腓妨�えやすい障害の人による（70-80年代）�Ｅ�事者研究 見えにくい障害・治療的・科学的132:「自立とは、依存先を増やすことである」依存症になる人は、実は自立心が旺盛
2017年04月10日
「単純化」の罠に陥らない システムという視点
東大先端研『ブレイクスルーへの思考』第三章は、動脈硬化のしくみを分子レベルで明らかにした児玉龍彦教授。福島の原発事故でも、国会に登場し、その点でも有名に。
ビル・ゲイツや大物投資家のD.E.ショウが投資するSCHRODINGERは、創薬初期の段階で候補化学物質の選定に使われるアルゴリズムを独占するという。
53:ベイズ推定→エニグマ解読61:Bill Gates + D.E. Shaw シュレーディンガー創薬研究の初期段階で使用するアルゴリズム66:本当に問題を解くためのチーム構成を考えなくなってしまっている学科とか学部のメンテナンスが主たる目的＞サイエンス
2017年04月09日
愛と悲しみの果て
昔見た映画をBSでやっていたのを何十年ぶりかで視聴。デンマークの作家カレン・ブリクセンの自伝小説『アフリカの日々』が原作となっている。
1913年、27歳になったカレンはまだ結婚してない。変化を求めて、父方の親戚でスウェーデン人貴族のブロア・ブリクセン男爵と「便宜的に」結婚することを決める。二人はケニアに渡って酪農場を始めることにし、カレンの母に出資してもらう。
ブロアは遊び人で、勝手に計画を変更してコーヒー農園に変えてしまうし、その農園にも身が入らず家に寄り付かない。おまけに、ブロアに梅毒を移されてしまい（当時は死の病）、治療のため帰国を余儀なくされる。治療には成功したものの、ヒ素を使った治療の副作用で妊娠できなくなってしまう。
ケニアに戻ったカレンは、イギリス人のハンティング・ガイドのデニスと仲良くなるのだが、デニスも自由が好きで、結婚を望まない。最後は、ブロアが去った後、一人で経営していたコーヒー農園の出荷場が火災になり、全てを失う。
・・・という悲劇的な結末。1931年カレンはデンマークに帰国する。2年後48歳で本格的に作家活動を始め、翌年アメリカで出版された『 7つのゴシック物語』で成功を収める（ペンネーム：イサク・ディーネセン）。”Out of Africa"が出版されたのは1937年というから、作家52歳の時になる。
原作は読んだことが無いのだが、評価が高いらしく、他の小説に時々出てくる。サリンジャー『ライムギ畑で捕まえて』で、主人公ホールデンが図書館員から間違って渡されるのがこの本で、「読んでみたらすごく良かった」。 村上春樹は『1Q84』BOOK3で登場させている。
「今は何を読んでいるの？」「アイザック・ディーネセンの『アフリカの日々』」。看護婦は首を振った。「聴いたことがない」
2017年04月08日
Amazon評価4.9
年初に読んだ、『闇の歯車』が良かったので、今度は短編集を読んでみる。心情風景の描写が絶妙。
江戸の下町を舞台にした話が多く、大体主人公はヤクザな男で身を持ち崩す。相手は薄幸な女が多い。
なぜ江戸時代なのだろうか？とも思う。まるで江戸に住んでいたような。読むと、「そうであったに違いない
」と思わせる筆力なのだ。Amazon評価はなんと4.9
（17人）。文庫版が出たのは1985年でもう30年以上経っている。検索したら、表題作を落語家の柳家小三治が朗読している動画があったので添付する。
141:嘉吉がそう言うと、それまで背中の上でこわばっていた女の身体が、力を失ったように急にぐったり重くなった。女は何も言わなかったが、その重みに、嘉吉は満足して、軽く女の体をゆすり上げた。（はしり雨）210:おれのような男を、本気で好いてくれた、たったひとりの女だったのだ、と新吉はお品のことを思った。だがめぐり合ったときには、それがわからなかった。長い間、ひどい間違いをしてきたと思った。（朝焼け）
300:少しずつ暮らしが荒れてきた。堅気の暮らしからすべり落ちるところだな、と信助は思った。だが引き返すには、あまりに遠いところまで来てしまったことに気づいてもいた。（捨てた女）
2017年04月07日
「ニーズを組み合わせて新しい価値を生み出す」デザインという視点
東大先端研『ブレイクスルーへの思考』第2章は、IoTやM2Mで知られる森川博之教授。
東工大とMITの比較で、「教員数、大学院生数、学部生数がほぼ同じ」なのに、「MITでは教員以外のスタッフ数が東工大の10倍もいる」というのが面白い。私も、母校LBSの世界同窓会理事として大学運営にも触れたが、教えていた国立大学と比較して、スタッフの人数だけでなく専門性も違う。
上は大学の戦略を考える経営陣から、大学の資金調達にとって重要な寄付金集めの専門家まで。大学を動かしているのは彼らで、教員はその戦略に沿って採用が行われ、場合によっては放出される。その代わり、教授になれば秘書も付く。従って、雑用に追われることは、出張手配から研究室の掃除まで何から何まで自分でやらなければならない日本の教員より少ない。
組織的適応力の無い人の集まりのような教授会に「自治」と言われてもね。一言で言えば、（一部の私立大学を除いて）日本の大学には「経営」がない。
上は大学の戦略を考える経営陣から、大学の資金調達にとって重要な寄付金集めの専門家まで。大学を動かしているのは彼らで、教員はその戦略に沿って採用が行われ、場合によっては放出される。その代わり、教授になれば秘書も付く。従って、雑用に追われることは、出張手配から研究室の掃除まで何から何まで自分でやらなければならない日本の教員より少ない。
組織的適応力の無い人の集まりのような教授会に「自治」と言われてもね。一言で言えば、（一部の私立大学を除いて）日本の大学には「経営」がない。
27:新ビジネスを立ち上げるのに3人必要・ハッカー（プログラミング＆改善）・デザイナー（サービスの見た目、使いやすさ）・ハスラー（ビジネス、人間関係、資金）35:東工大とMIT・教員数、大学院生数、学部生数ほぼ同じ・MITでは教員以外のスタッフ数が東工大の10倍←戦略を考える人＝大学を動かす人
2017年04月06日
「人がやらないことこそ面白い」
東大先端研『ブレイクスルーへの思考』に登場するトップバッターは、「渋滞学」で有名な西成活裕教授。
「人がやらないことこそ面白い」というのが信条で、大学院生にも、なにか新しい論文が見つかると、「その研究は止めろ」とアドバイスしているそうだ。これは、先行研究の積み重ねの上に少しだけ独自性を足していく日本の大半の「研究」と全く逆だ。
そうなると、手あかのついていない「隙間」を探していくことになるのだが、それがともすれば、社会的インパクトの期待できない「自己満足」になってしまう。ここが西成先生の凄いところで、誰もが注目しておらずかつ社会的インパクトの強い「渋滞」という分野を見つけて先鞭をつけた。
それで、車の渋滞を無くすにはどうすればいいのか。まず、運転的には、
・車間距離を40m以下に詰めず、常に3台程度前を見ること
で渋滞が無くなるという。
そんな簡単なこと
と思うが、渋滞のメカニズム（ブレーキの連鎖）を考えれば納得する。車間距離を十分に取って、3台前の車の動きを見ておけば、(信号以外で)ブレーキはほとんど踏まなくていい。実は、私もそう考えて、以前から独自に実践していた。しかし、問題は、そうすると、必ず前に割り込まれること
割り込んでもすぐ前には信号があり、到着時間は1分と変わらないのに、ガソリンを余分に消費し、ブレーキパッドを減らして割り込む。全く理解できない。他に気になっているのが、スモークガラス。後ろにフィルムを張って、そこを通してほとんど前が見えなくなっている車がある。これをやられると、「3台前を見る」が難しくなる。スピード違反より他車に迷惑をかける整備不良を取り締まってほしいと思う。
2017年04月05日
東大先端研が実践する発想のマネジメント
東京大学先端科学技術研究センター（先端研）は、東大の異端児的存在なのだそうだ。1987年の設立だから、今年丁度30年。
「これまでの大学の殻を破るまったく新しい研究機関」として駒場に設立されている。どう新しいのかというと、
・工学、理学、医学、倫理、思想、哲学などあらゆる研究分野が一つに集まった組織
・産学連携を推進
・研究者は最大で10年の任期
ということらしい。
欧米にはない日本だけの制度なのだが、日本の大学では、若い研究者としていったん就職すれば事件でも起こさない限り終身雇用である。教員によっては安心してしまって、研究にも教育にも身が入らない人もいる。流石に今は何十年も変わらない講義を毎年続けているという人は居ないと思うが。
本書は、先端研の広報誌『RCAST NEWS』に連載された、先端研の研究をわかりやすく紹介する企画をまとめたもの。インタビュアーは現在、研究所長となっている神崎亮平教授である。ご本人は昆虫の研究者だ(TEDx)。
さすが「先端研」というだけあって、面白い研究が続出。勿体ないので、今週、章ごとにいくつか紹介したい。
2017年04月04日
なんちゃってMBA
長年、早稲田大学ビジネススクールで、内田教授との2枚看板であった（少なくともビジネス界における知名度では）遠藤教授が、退任したとたんに「日本人にMBAはいらない」と言い出したのだからインパクトは大きい。
しかし、よく読めば、「日本人にMBAはいらない」というよりも、この10年間「日本で急増した『なんちゃってMBA』じゃ仕方ない」というのが正しい。その一翼を私も短期間ではあるが担っていたので、よくわかる。
しかし、その「なんちゃってMBA」でさえも、どの学校でも同じだが、主に学習する側の使い方次第。欧米トップラスのMBAが2年間で授業料だけで1000万円を超えるのに対し、日本では国立大学BSならその1/10、私立で1/5程度で学べるのだから、「そんなものでしょう」というしかない。
それでも、経営基礎を一通り学ぶことができるし、国内ではパートタイムが主流で仕事を続けながらできるので、機会損失も少ない。要は、本人次第で、使い方次第では自費で留学するよりもコスパは良い。
・日本でもBSが乱立大学数で約80、プログラム数で約100→年間MBA取得者は毎年5000人！（米国では毎年10万人）・ 日本人にMBAはいらない理由�，曚箸鵑匹瞭�本企業は、MBAの価値を認めていない��日本のMBAの質が低すぎる・米国ではMBAは自らの「市場価値」を高めるものだが、日本では社内調整能力といった「社内価値」が重視される。・本来、次世代ビジネスリーダーを育てるべきBSが「分析偏重」の人間を生んでいる。経営に分析は必要だが、分析で得られるのは、過去や現在の一断面に過ぎない。未来の姿を描き、それを実現するのがリーダーの仕事。・次世代ビジネスリーダーを目指すなら、MBAの代わりに次のような勉強をするとよい�ヾ霑辰鮨箸砲弔韻詈拔�経営の「原理原則」を押さえ、自分なりの思想を確立させる��潮流について行く勉強世の中の潮流について行くため、新聞などを丹念に読み、鮮度の高い情報や知識を得る�８従譴粘凝戮鯔瓩�勉強お手本となる「非凡な現場」を訪ね、何を大事にし、何に取り組んでいるのかを知る�ぅ▲Ε肇廛奪箸鮴犬濬个絞拔�企画書を書いたり、自分の考えを人に話したり、教えたりする
2017年04月03日
大企業におけるデジタル事業立ち上げ
元BCG日本代表で、現在早稲田大学ビジネススクール教授の内田先生による「大企業におけるデジタル事業立ち上げ」のための指南書。
何らかの事業がヒットして大きくなったのが大企業。儲かる事業があるのだから、それをより効率化しようと組織は動く。その結果、機能は分化し、自社で行うより人件費の安い下請けに出した方がよい機能は外注される。
ところが、新事業を立ち上げようとすると、全機能が有機的に結び付かないとうまくいかない。これが多くの大企業が新事業立ち上げに失敗する根本的原因だ。
これを克服するためには、「本社から物理的にも離れた場所に新組織をつくって集中的に取り組ませる」という方法が『イノベーションの解』などでも提言された。IBMがPCを作った時も、AppleがMacintoshを開発した時もこの手法が取られた。
もう一つの考えは、成功しそうな新事業をM&Aでとり込んでしまうやり方だ。大企業は、「０→1」や「1→10」は不得意だが、「10→100」は一般的に得意だ。スケールするための組織力や資金力、信用力を持っているわけだから、不得意なことを無理にせずに、買ってしまった方がいい。
これは実は、買われる側のベンチャー企業にとっても買収条件さえ合えば、投資家にEXITをもたらし、経営者には事業を大きくできるチャンスがあるので悪くない。実際に、世界はそういう動きになっている。
さらに、この10年で急増したのが大企業によるVC設立の動き（CVC）。スタートアップ企業にVCとして投資し、上手く行ったら、キャピタルゲインを得たうえ、出資を増やして子会社・関連会社化も検討する。世界では、全VCの1/3を占めるまでに成長している。
CVCは本体との事業シナジーを重視するので、Financial Investorである通常のVCより良い条件で投資を得られる可能性がある。一方、将来の事業展開について選択肢が狭まる恐れがあるので、その点注意したい。
・既存大企業：デジタル事業を開発するための機能がリンクしてない（機能のほとんどを外部リソースに依存し、各機能が分断）Think（戦略立案）→Design（コンセプト企画・サービス設計）→Make（開発）→Run（運用・成長）→Risk Share（投資）・デジタル分野における事業創造の流れ��Innovation Phase事業のアイデアを数十〜100程出す。その後、2-3に絞り込む。��Incubation Phaseプロトタイプ開発に着手する。一番重要な機能に絞り（Lean)、テストを繰り返しながら改変を加える（Agile)。��Commercialization Phase商品・サービスの改善とマーケティングの両面で、PDCAを高速で回し続ける。・多くの大企業でBMIがうまくいかない要因�ヾ�存ビジネスの枠組みで考え、大胆な発想がない�∪�功体験をもとに発想し、今のニーズを把握できていない�４�存ビジネスに配慮し、イノベーションのジレンマに陥る�た卦�事業へのリソースの配分やアセットの活用が不十分�ゴ慙▲廛譟璽筺爾�Win-Winの関係が構築できない
2017年04月02日
酒池肉林
元々1993年に新書で出たのち、10年後に文庫本版が出た。
日本人にはよくわからないのが、「それほど贅沢をして楽しいのか」ということ。質を上げるならわかるが、「物量」にモノを言わせてというのが、平均的日本人には理解できないだろう。例えば、一回の食事に100皿並べても食べきれるわけがない。
中国4000年の皇帝贅沢史を集大成したと言われる西太后は、1894年11月29日60歳の誕生日を迎えた。日清戦争が勃発した年だったが、彼女が衣服や祝宴のために費やした費用は1000万両余りで、清の国家歳入の1/6に達したという。
もう一つ不思議なのは、古来から文字と紙を持ち、代々の歴史が記録されている中国で繰り返される「王朝滅亡のパターン」。新王朝になると、「前の王朝はこんな悪政を行ったので滅びた（滅ぼした）」と自らを正当化するのが常だが、最終的には、似たようなことをしてまた滅びる。
＊中国4000年の歴史上で繰り広げられた贅沢の数々・酒池肉林最古の王朝「殷」の紂王：離宮の庭園に酒を満たした池を造り、樹木に干し肉をかけた。・「物量」の追及を旨とする贅沢皇帝がこうした奢侈に狂ったあげく、権力基盤を掘り崩して破滅するというのが、中国の王朝滅亡のパターン。・明代中期以降、商人階級が勃興かつての皇帝のように、妻妾を着飾らせたり、立派な庭園を造る。『金瓶梅』成り上がり商人の西門慶の色情が膨張するほど、商業的欲望もまた無限に自己増殖する。・中国の贅沢のポイントは、庭園・食事・芝居清の西太后はこのいずれの面においても最高水準→4000年にわたる皇帝贅沢史の幕引き1888北京郊外に贅を凝らした離宮「頤和園」：軍事費を流用西太后専用の厨房には常時数百人のコック→1日4回食事、うち2回が正餐（100皿の料理）
2017年04月01日
宇和島藩の気概
仕事で何度か行った宇和島。大村益次郎（当時：村田蔵六）が1853年から3年間ここに居たことを忘れていた。長州の村医の息子であった蔵六は緒方洪庵の適塾（大坂）で学び、ずば抜けて優秀であったため塾頭を務める。当時蘭学の最高峰であった適塾の塾頭であれば、大藩の藩医に推挙されるのが普通だったらしいが、父親の要請で長州に帰った。
その逸材を発掘し、上士待遇で召し抱えたのが宇和島藩だったのである。田舎の村医だった蔵六を初めて士分とし、それも100石という家老に次ぐ待遇で遇した宇和島藩に蔵六は生涯感謝していたという。その実績があったから、その後、宇和島藩籍のまま幕府講武所の教授にもなれた。
宇和島滞在中に藩主伊達宗城から命じられたのは蒸気船の製造。蘭学医だった蔵六は船のことなど何も知らないが、オランダの造船の本を読み、長崎でオランダ人技師に質問しただけで約束通り3年で完成させている。蒸気機関は「手先が器用」というだけで取り立てられた提灯張り替えの職人（嘉蔵）が作ったというのだからスゴイ。
次の機会には、宇和島での大村益次郎の足跡を辿ってみたい。
104:行動家のシーボルトは、彼女を自分だけの愛人にするために蘭館長にたのみ、蘭館長は日本人役人である「唐人番」にたのみ、唐人番は八方奔走して彼女を引田屋から落籍せた。110:シーボルトは自分がドイツ人であることを最後まで秘し、滞日中ついいオランダ人として通しきった。その理由のひとつは、いかに彼自身の日本ゆきのための便宜上の就職であったとはいえ、オランダ国王の軍医少佐である以上、国王の名誉を考えてオランダ人として終始したということであろう。162:現当主は、安政期の志士たちから「四賢候」のひとりとして期待された伊達宗城である。伊達宗城はペリーが来航したとき、江戸湾警備に出て海岸からはるかにペリーの上記軍艦を見、（あれを宇和島でつくってやろう）と考え、幕閣のゆるしをとくてその建造方を国もとに命じたという人物である。204:衝撃の内容は、滅亡への不安と恐怖と、その裏うちとしての新しい文明の型への憧憬というべきもので、これがすべての日本人に同じ反応をおこし、エネルギーになり、ついには封建という秩序の牢獄をうちやぶって革命をすらおこしてしまった。この時期前後に蒸気軍艦を目撃した民族はいくらでも存在したはずだが、どの民族も日本人のようには反応しなかった。267:「ペリーの蒸気船に日本じゅうが尻もちをついたのは、わずか三年前だ。三年後のいま、宇和島湾で蒸気船がうごいている」伊達宗城は、これがアジアにおいてアジア人の手に成った最初の蒸気船だといった。273:性欲が、三度の食事をとるといったようななだらかさで存在しているのである。性欲が西洋のばあいのようにそれをもし野放しにすれば人間の社会秩序に大混乱をおこすほどには、日本人たちはつよくはなく、せいぜい好色、助平といわれるたぐいにとどまっているからであろう。285:大坂では大名屋敷というものがほとんどないためと、商家ではわずかな地面でもその商いのために利用しているため、街には樹木というものがほとんどない。このことが、江戸が東京になり、大坂が大阪になったいまもさほどかわりなくつづいている。325:蔵六は、金銭出納簿をつけるのがすきである。かれのこんどの長途の旅行にしても、江戸から国もとまでのあいだの旅日記は、ぜんぶ、金銭の日記であった。旅の感想はなにも書かれておらず、毎日の入費をこくめいに書いただけの、つまり数字だけの日記であった。326:藩主の伊達宗城、家老の松根図書それに二宮敬作や大野昌三郎などかれが接したひとびとはいずれも当代一流の人物であった。提灯張り替えの職人の身で蒸気機関をつくった嘉蔵などはもしヨーロッパにうまれれば一流の科学者になっていたにちがいない。439:ヘボンはあきれ、つぎのように米国聖公会雑誌に書き送っている。「実際のところ、アメリカの大学卒業生でもこれら若い日本人を負かすことはできないであろう」「まったくおどろくべき国民である」
