2016年01月
2016年01月31日
男のやさしさ
まだまだ続く（笑）。
「若い男に『やさしさ』を求めるのはないものねだりだ」というのは至言。できる男ほど、若い時はうぬぼれているから、「少なくとも真の意味でのやさしさはない」と私も思う。
そんな男も、挫折を経験して他人の痛みがわかるようになり、更には子供などできると優しくなっていく。徳大寺さんも、下記のエッセーで、エルメス本店でスカーフだけを行列して買う日本人女性に「カッコ悪い」と苦言を呈した上で助言もしている。
「フランスで、どうしてもエルメスの商品を買いたいのなら、混んでいるパリの本店は避けて、カンヌかニースの店に行くといい。ガラ空きだから、王族の気分で買える」
こうしたアドバイスができるのは経験を積んだオヤジの特権だろう。尤も、今時、エルメスの店に行列するのは中国人観光客に取って代わられているだろうが。
『ビーイング』1992/5/21号160:よく若い女性が希望のボーイフレンドなり、恋人に望むこととして”やさしい人”というのを第一条件にする。しかし、これはこと若い男性にかぎっていえばないものねだりだと思う。若い男というのはたいてい、”自分の未来”を信じているものだ。こういう男にやさしさはないといっていいだろう。少なくとも真の意味でのやさしさはないと断言していいだろう。162:自分で決め、その結果は好むと好まざるとにかかわらず自分で責任を取る。こういう人生は気持ちがいいと心から思っている。『モーターエイジ』1988年3月号165:エルメスの本店で、日本人の若い女性たちが行列をつくって店員の顰蹙を買っていたというのだ。（中略）エルメスのスカーフを買う人間は、他のエルメス商品をすべて持っているような何十年物得意客で、服などを買ったときのちょっとしたアクセサリーとして添えて買っていくのである。スカーフだけをしかも行列をつくって買うことほどカッコ悪いものはない。
2016年01月30日
男の顔は履歴書
すごいタイトルだ。多くの人は徳大寺有恒さんのことを、「ダンディでカッコいい」と思っていたと思う。「ぶ男」といわれて、改めて見れば、今風のイケメンでないことは確かだ。
このエッセイ集を読んで分かったことは、徳大寺さんは成城大学卒業後、自動車関係書籍を輸入する会社に勤め、トヨタのレーシングドライバーを経て、26歳でレーシング関係のアクセサリーを製造販売する会社を始めたこと。最初はうまくいったようだが、30歳の時に倒産し、8年後に『間違いだらけのクルマ選び』が出版されるまで困窮していたらしい。その間は、タクシー運転手などで糊口をしのいでいた。
その時の話を書いたのがこの部分。リンカーン大統領は「男は40歳を過ぎたら、自分の顔に責任を持て」（Every man over forty is responsible for his face）と言ったらしいが、これを読むと、徳大寺さんの顔の秘密がわかる気がする。
158:あるとき、浅草のほうにある工場に謝りに行った。本当に申し訳ないと思ってはいても一年も謝り続けていると、何となく慣れてきてしまう。謝って許されるなら、ともかく謝るだけ謝って早いとこ退散しようなんて横着なことを考えていたかもしれない。158:「あんた、よく物が食えるねえ。ホントなら首吊って見せなきゃなんないところだよ」そのとたんに、箸を放り投げ、僕は顔を上げることができなかった。あれほど、自分が愚かだと思ったことはなかった。戦いに負けたんだと実感したのもそのときだった。
159:金は金を欲しがらないヤツのところには絶対にこないし、金のないところには寄りつかない。タクシー運転手をしていたころから、『間違いだらけのクルマ選び』を出版するまでの経緯については、あとで詳しく書こうと思っているけれど、38歳で本を出版するまでの8年間、どん底の貧乏は続いた。
2016年01月29日
寿司屋のVWビートル
またまた徳大寺有恒さんのエッセイから。『ベストエッセイ』には、雑誌やPR誌に書かれていたものも収録されているので、読んでないものが多い。
これは、『VW WORLD No.7』（1989）とあるからVWのPR誌に書かれたものだろう。題して、「寿司屋のVWビートル」。
成城大学の学生だった徳大寺さんは、「クルマが欲しくて、欲しくて」バイトに精を出す。もともとクルマ好きで、まだ一般的でなかった運転免許を持っていたので、デパートの配達や運送屋のアルバイトをしていたらしい。
そのバイト先の一つが神田志乃田寿司で、そこにはVWビートルがあった。これを使って、神田から新宿の伊勢丹、渋谷東急、銀座松屋などへ炊き上がったシャリやノリを運ぶ。その際の話が下記。いかに、ビートルが特別な存在であったかが分かる。
私もビートルに一度だけ乗ったことがある。それは大学の卒業旅行でアメリカに行った時のこと。アリゾナの安宿でメキシコ人のオジサンと一緒になった。当時のメキシコは自国産業育成のため、保護主義的政策をとっており、工業製品が高かった。そのため、オジサンは、年に何度か自家用のVWバンでタイヤやらなにやらアメリカに仕入れに来るのだという。
そのオジサンから、「どうだ、うちに来てみるか」と言われ、付いていってみることにした。そのHu
atabampoという小さな町で乗ったのがビートルであった。メキシコにはVWが現地工場を持ち、本国ではゴルフへの移管に伴い1978年に生産終了したビートルの生産を続けていたのだ。
メキシコ工場でのビートル生産が終わったのは2003年。1938年にドイツ本国で生産が始まってから65年後のことである。総生産台数2153万台。これだけ長い製品寿命を持った自動車は他に存在しない。
この名車は、ドイツに残らなかった可能性がある。第二次世界大戦終了後、ドイツの技術や生産設備は連合国の収奪の対象となった。しかし、ビートルは前衛的すぎて価値が理解されず、奇しくもドイツに残った。ソ連はOpel Kadettを選び、視察に来たフォード2世も「無価値」とみなしたため接収を免れたのだ。
135:”VWビートルはスポーツカーである”、私はそう信じた。スポーツカーは早く走らねばならない。今もバカだが若いころはもっとバカだったらしい。136:間違いなく、当時のVWビートルは現在のポルシェ911カレラ4より貴重な存在であった。（中略）当時の自動車ユーザー（現在の100分の一ぐらいで明らかに特権階級であった）は自らのスバル360に乗りながら、”一度VWワーゲンを自分のものにしてみたい”と憧れていたのだ。
136:当時首都高速もなく、都内の幹線道路にはまだ都電なるものが走っていたが、VWビートルが十分実力を発揮するぐらいの交通事情であり、いたるところで100km/hが出せた。多くの国産乗用車の実用スピードがせいぜい60-70km/hのときの話である。当時の100km/hは現在の200km/hほどの重みがあった。
2016年01月28日
徳大寺有恒さんが考える日本の名車
『徳大寺有恒ベストエッセイ』から。1977年に出た『続・間違いだらけのクルマ選び』に、「名車ブームの陰に隠れた本当の名車」という章がある。
まず、「トヨタ2000GTは名車と思えない」と否定し、
89:私が考える名車は、その時代にあって他のクルマに大きな影響を与えるような進歩的な技術と思想をもってつくられたクルマのことだ。そのうえに信頼性のあることは必要条件だし、高性能であり、スタイルが美しければ、それこそ文句なしに名車といえる。
と定義づけている。2000GTは希少車には違いないが、「それはコレクターの対象としての価値を示すものでしかない」とし、「カタログ上の高性能はともかく、ドライバビリティは最低に近い」と指摘している。若いころトヨタ所属のレーサーだった徳大寺さんが言うのだから間違いないだろう。
では、徳大寺さんの考える日本の名車とは以下の通り。うちの父が結婚して買った最初のクルマもスバル360だったようだ。スバル360を設計したのは中島飛行機で軍用機を設計していた百瀬晋六。あだ名は（いつまでも仕事を止めないので）「エンドレス」だったという。
経営的には長らく困難の続いたスバルだが、今の隆盛を見れば百瀬さんも喜ぶだろう。
90:スバル360(1958)昭和33年に市場に現れた。全長3000mm、全幅1300mmというサイズの中で可能なかぎりスペースユーティリティを追求したモノコックボディ、トーションバーによる独立式サスペンション、わずか360ccという小さなエンジンで80km/h以上のスピードを可能にした高性能等、当時としては日本で唯一世界水準に達していた名車だった。91:日産ブルーバード310型（1959)画期的な思想や技術はもっていなかったが、適切なパワーとバランスのいいシャシーで、当時としては優れたドライバビリティを誇っていた。92:ホンダS600/800ホンダにとってはじめての四輪車で、DOHC、４キャブでｌ当たり90PS近い高性能エンジンを誇っていた。92:トヨタS800基本的にはパブリカという大衆車の構成部品を用いながら、徹底した軽量化とバランスのよさでスポーツカーの条件に適ったクルマだ。空冷2気筒、OHV、800ccのエンジンはわずか45PSに過ぎないが、車重が何と580kgという軽さ。空気力学的に優れたスタイルと合わせて150km/h以上のスピードが得られた。燃費のいい経済車であったこともいうまでもないのだ。私はトヨタだったら2000GTより、このS800を名車にあげたい。
2016年01月27日
東京藝術大学 卒業・修了作品展
今年も芸大の卒業・修了作品展が始まった。昨年は最終日になんとか間に合ったが、今年は初日に訪問。卒展は無料なので、仕事の合間に何度でも行ける。今週は毎日行くつもり。
作品の多くには作者が付いていて、話しかければ説明してくれる。在学中からプロ作家として活躍している人も多い芸大生にとっては、卒展は「売り込み」の場所でもある。
今回話して印象的だったのは、天明里奈さん。漆芸科に在籍している。奨学金をもらって2年間ドイツに留学したので、同期生より2年遅れての卒業。既に、個人のコレクターが居て、在学中から作品は売れているそうだ。
写真の作品は、乾漆像。麻布を漆で張り重ねる。日本では7-8世紀にかけて仏像制作に多用されたが平安時代になって衰退する。この像は等身大の大きさがあり、6-7枚重ねてあるという。驚いたのはこの肌色。漆に鉛を混ぜて色を出したという。
2016年01月26日
イギリスはときとして異端を生む
Golf GTIに続いて、今度は徳大寺有恒によるミニの話。（初出『ダンディー・トーク』1992）
「ミニはエイリアンである」
と書き始める。
一般的に、ロールス/ベントリィは上流階級のクルマ。ミニは大衆のクルマといったイメージがあるが、この隔たりというのは、そんなもんじゃない。もっと根本的な差異だ。そこには明確に設計思想の『哲学』としての差異がある。そういった意味で、どちらに優劣があるというのではなく、両者は対等に、同じ地平に立った場所で、明確に異なる”世界”を提示しているのである。
だから、ミニには「クラスレスの風格」があるという。ハードとしてのクルマそのものだけでなく、その使われ方や誕生した背景にある「文化」までキッチリと書けることが徳大寺有恒の魅力であり、あれだけ長く自動車評論家として第一線で書き続けられた理由だろう。
イギリスはおもしろい国で、メカでも意匠でも非常にオーソドックスなものを重視するにもかかわらず、ときとして世界をあっといわせる異端的なものを登場させることがある。そしてそれ以降、世界の流れを変えるほどの影響力を持ってしまうのである。
私が留学していた1989-1991当時、イギリスにおいてミニは既に過去の車だった。昨日書いたGolfや、安いFiatなどに市場を奪われ、イギリスの自動車産業は青色吐息。日本メーカーも進出を始めていた。ところが、なぜか、1990年代に入っても日本でだけはミニ人気が続く。1990年代のミニはほとんど日本への輸出用だったらしい。
今でもClassic MINI（BMCミニ）は国内で高値で取引されている。程度の良いものは100万円を軽く超えているので、下手をすると評判のいいBMW MINIより高い。クルマを実用ではなく、ファッションと考える人がそれだけ多い国ということか。
2016年01月25日
初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた
1976年に出た『間違いだらけのクルマ選び』は大ベストセラーとなり、30歳で経営していた会社を倒産させてしまい、生活に困窮していた杉江博愛（本名）を一躍有名人にした。以来、2014年11月7日に亡くなる直前まで「徳大寺有恒」は書き続けた。
私も本やエッセイを何度か読んだことがある。スーパーカー世代でそれなりに車に関心があったし、徳大寺さんの書くものはクルマだけではなく、文化論でもあった。その徳大寺さんのベストエッセイ集が出たので、懐かしさもあって、読んでみる。
興味深かったのは、「初代ゴルフを基準として『間違いだらけ』を書いた」（『自動車博物館』1986）という下り。
29:毎日が満足の連続。幸福だった。どんなクルマをテストしても、自分のクルマに乗るとホッとした。そのVWゴルフを基準として『間違いだらけのクルマ選び』を書いた。そして徳大寺有恒となった。
昨年はドイツを震撼させる大スキャンダルに見舞われたVW。その代表車種であるGolfは1974年に登場。スタイリングとパッケージングはジウジアーロ、エンジンはAudi、その他はVWによって開発されたというから代表車種にしてはアウトソーシングなのはどういう事情だろう。
「生活は苦しいがクルマは欲しい。そんな中、奥さんが買ってくれた」（と書いてある）のが初代Golfであったらしい。
28:ビートルから四角になったVWゴルフをVWファンは好まなかったらしい。ヤナセも大まけにまけてくれたのだ
前世代のビートルがそうであったように、ゴルフも革新的な車だった。「当時の水準では一頭地を抜いたハンドリング、動力性能」であったのである。以来、ゴルフは世界の小型車のスタンダードになる。尤も、モデルチェンジの度に大きくなり、今では中型車だが。
そのゴルフのホットモデルがGTI。これには少々思い出がある。
ロンドン留学中の夏休み、私はドイツ人の同級生をスイスのSt. Gallenに尋ねた。彼は欧州大陸で経済学トップレベルのHSG大学院に在籍しながら、LBSでMBAも同時に履修していた。夜、Zurichで会合があるので一緒に出ようという。Zurichまでは100km足らずの距離。この時乗ったのが彼のGolf GTI。10年落ち位の初期型だったと記憶しているが、Zurichまでの山道を小気味よく走る。これが後にも先にもGTIに乗った唯一の経験。
それから20年。5年前にロンドンで開かれた同窓会で彼に卒業以来で会った。
「あの時は楽しかったね。ところで、あのGTIはどうしたの？」
と聞いたら、なんと、まだ持っているのだという。ドイツを代表するIT企業で若くして取締役になった彼。今では、PorscheにAston Martinなど愛車は5台に増えた。初代GTIは、今や「買った時より値段が高い」のだそうだ。
2016年01月24日
すね毛を剃るかどうか
著者は有名な自動車評論家。自転車ではない、クルマの方である。それが、37歳の時、禁煙をきっかけに自転車に乗り始める。ニセMTB（格好だけMTBだが、悪路は走れない）から始め、次に買ったのがBianchiのクロスバイクだったというのは、奇遇にも私と同じ。そして、ロードバイクの世界に入っていく。
本書でも取り上げられているのだが、本当のロードバイク乗り（ローディ）になるとき、
・すね毛を剃るかどうか
・レーシングパンツ（レーパン）をパンツ無しで直接はくか
という問題がある。
下野氏は、すね毛は剃っているがパンツは未だに履いているらしい。私は両方ともしてないので、まだまだということになる。剃るのも、パッド入りでかさばるレーパンを毎回洗うのも面倒だ。
本書では、ローディーがすね毛を剃るのは色んな理由をつけているが、結局は、「足フェチ」だからと結論付けている。自転車のエンジンは人間であり、足はいわば自動車エンジンにおけるクランクシャフトなので、「きれいに見せたいから」というわけだ。
ならば、自分には関係ないかと思っていたところ、「やはり、剃るべきか」と思う研究結果が最近出た。「すね毛を剃るとの剃らないのとでは、7%も空気抵抗が違う」というのだ
（勿論、半パンの場合）私はレースに出るわけじゃないが、7%も違うと、ロングライドで疲労に影響が出る。今年の夏、剃るかどうか。悩む。
2016年01月23日
「低位株」への「短期集中投資」
投資理論的には、どんなファンドも長期では市場に勝てないので、ETFなどで株式インデックスをドルコスト平均で毎月買うのが正しい。株式市場の長期での平均リターンは8%（平均長期金利2%＋リスクプレミアム6%）である。
これは過去100年間の、途中幾多の戦争や震災など災害を乗り越えての実績である。但し、この間、人口は明治初期の3000万人から1.28億人まで4倍以上に増えた。10年前から日本の人口は減少している。「GDP＝人口ｘ一人当たりの生産」なので、経済が拡大するには人口が増えるか、一人当たりの生産性が向上するしかない。となれば、株式市場のリターン自体が下がる可能性がある。実際、バブル崩壊後25年間のリターンは大幅なマイナスだ。
本書が勧めるのは、「低位株」への「短期集中投資」。上昇し始めた値動きの軽い株に便乗して短期で勝負する。短期なので業績は関係ない。まして、日本経済も関係ない。
「個人投資家の多くは逆張りで失敗」との指摘はイタイ。身につまされる。
例えば、業績の良い会社の株が下がり始める。「安い」と思って買う。直後に、業績予測の下方修正が発表されて暴落する。売るタイミングを逃して「塩漬け」になるというパターンを何度繰り返してきたことか「市場」は知っていたのである。
65:「値上がり率ランキング」から候補銘柄を探す上位10銘柄の中から、「東証一部」上場の「小型株」で「株価が500円以下」のものをピックアップ73:エントリーのタイミング�，發濆腓ち蠑譴�長く継続している��直近の安値を割らない状況��その後出来高が急増し、長いローソク線（陽線）が現れる106:個人投資家の多くは逆張りで失敗している
2016年01月22日
ロシアと共に生きた男の半生（と「同居人」）
Mは1947年生まれで東京外大ロシア語科卒。学生運動に身を投じ、その後は家業の乳酸菌やクロレラ販売の会社を手伝うが、（一家揃って）お金にルーズで倒産。スポンサーを得て、新会社を設立し事業を再開する。
その間、一貫して、ソ連・東欧の反体制派運動を支援して、本を出版。新聞や雑誌にも寄稿し、ロシア情報のFAX通信サービスも行う。本業はちっとも儲かってないのに、人助けに熱心で見栄っ張り。
結局、そのしわ寄せは、周囲の「いい人たち」に来るのだが、その筆頭が、25年間同居していた著者。外大ロシア語科の後輩にあたる。付合い初めてしばらくして妊娠するのだが、Mに結婚する気はない。普通ならここで見切りをつけるのだろうが、ソ連・東欧の反体制派支援で社会的にも活躍するこのバイタリティー溢れるMと別れられない。
この「体力自慢で病気知らずの団塊男子M」に咽頭癌が見つかったのが50歳の時。手術で切除するが、翌年肺に転移したことが判明する。やがて脳にも転移し、2001年に亡くなる。享年53歳。
会社にも政治活動にも資金を融通していた著者に残されたのはMが加入していた少額の保険金だけ。その保険金をスムーズに受け取るために入籍したのは死の5日前だった。
客観的に見れば、「私の人生どうしてくれる」と激怒してもよさそうだが、25年間離れなかったのも自分の選択。今さら怒る気にもなれないのだろう。
こうして正式に「喪主」となった著者は葬儀でこう挨拶したそうだ。
「Mさんのことは、大好きで、でも大嫌いでした」
こういう理想を語って周囲を巻き込む一方、目的のためなら多少犠牲が出ても仕方ないと考えるタイプは、団塊の世代では政治に向かったのか？そういえば、五木寛之のデビュー作は、『さらばモスクワ愚連隊』（1967）だった。これが、「時代」だったということか。
2016年01月21日
死ぬ前にやっておくべきこと
ニコルソンの映画に"Bucket List"というのがある。それまで全く違う人生を歩んできた二人がガン病棟で同室になり、二人で「やり残したことをやろう」と、「死ぬ前にやることリスト」を作って消し込んでいくという話。これは好きで、飛行機の中で2度見た。
この本は、終末期医療に関わり、これまでに1000人の患者の最後を見届けてきたという医師が書いた、いわば、「患者の後悔リスト」。
死を意識して宗教にすがりたくなる、というのは分かる気がする。大抵の人が最も怖いのは「死」で、それを迎え入れるために発達したのが「宗教」ということなのだろう。ところが、これだけ寿命が延び、また、核家族化で身近な人を失くす経験をしないまま大人になる。社会全体として、「死」を意識しない大人を量産していることになる。
「死＝締切」でもあるので、締切を意識しない「なんとなく」生きている大人の量産でもある。
・生前の意思を示さなかった死期が迫ると自分の意思を人に伝えるのが困難になる。亡くなる頃には、話はできず、意識もない。また、考えることすら面倒になる。従って、自分が何を考え、どうしてほしいのか、自分に成り代わって意思を表示できる代理人を立てておく。・治療の意味を見失ってしまう治療の目的は家族や親しい人と過ごす時間であるから、治療自体が目的になって、そのためにその時間が取られるのは本末転倒。・やりたいことをやらなかった人に迷惑をかけない前提で、やりたいことは普段からどんどんやっておく。・自分の葬儀を考えなかった死後、自分の希望とは異なる葬儀が行われる可能性がある。それを避けるためには、生前に葬儀の準備をしておく。・子供を育てなかった死後が迫った独身者は、度々「子供がいればよかった」と言う。実際、大勢の家族に囲まれている患者の方が、笑顔は多い。・宗教を信じてこなかった最期を迎える前になって、宗教にすがる人は少なくない。だが、余命数か月となって開始するのは荷が重い。そのため、健康なうちから宗教について知り、学んでおくことが望ましい。
2016年01月20日
Brand Pit
先月のNEDO TCP Pitch Contestで一緒になったもう一社がこのBrand Pit。CEOは香港人のTT。LSEで経済学を学んだが、その後ITに転向。世界的会計事務所や投資銀行のIT部門で働いてきた。
東京で創業し、その後、香港政府が支援してくれるというので香港事務所を開設。現在、社員の大半は香港にいるのだそう。ブランドの本場ヨーロッパに事務所を開きたいと昨年ロンドンとパリを訪問。結果的にパリ市が支援してくれることになり、パリに欧州拠点を開くことを決定。今週末からパリだというので、フランス人投資家の友達を紹介することになった。
やっていることは、SNSに投稿される膨大な写真の分析。ユーザーが投稿した様々な写真から、商品がどのような場所で（レストランなのか自室なのか屋外なのかなど）、どのような状況で（友達とパーティ、家族で、一人で）、誰によって（年齢、性別、スタイルなど）消費されているのかを分析できる。
既に様々なビジネスプランコンテストで入賞しているBrand Pit。上記のビデオはIBM BlueHubで受賞したときのもの。一方、この世界日進月歩の上、資金力を持った企業が技術をいきなり「無料」にしてしまうこともあるので要注意だ。Googleが発表したopen source software libraryであるTensorFlowにも画像認識エンジンが入っている。
2016年01月19日
THE SOFT EDGE
マッキンゼーのコンサルタント二人による『エクセレント・カンパニー』が米国で発売されたのは1982年で丁度私が大学に入学した年。翌年、マッキンゼー日本代表の大前研一訳で講談社から日本語版が発売された。私が読んだのは、3年になって経営学のゼミに入ってから。話題のビジネス書なので、カッコつけて読んだというのが正しく、当時、とても理解したとは言えない。自分が体験してないことを理解するのはとても難しい。
この本がその後の、『ビジョナリー・カンパニー』（1994日本語版1995、大ヒットして��2012まで出た）につながる、「いい会社の共通点分析」本シリーズとなった。本書は、そのシリーズの最新刊ともいえる。
下記の「経営の三角形」を提言している。『エクセレント・カンパニー』でも紹介された「マッキンゼーの7S」を思い出した。あれも、ハードのSと、ソフトのSに分かれている。確かに、7Sより本書のフレームワークの方が具体的でわかりやすい。
＊企業が「成功し続ける」ために欠かせないもの信に優れた企業「グレートカンパニー」が、戦略や数字以上に重視するもの成功し続ける会社を築くために必要なこと�＼鑪�的基盤：市場、顧客、競合他社、競争優位性、変革者�▲蓮璽疋┘奪検Д好圈璽鼻▲灰好函▲汽廛薀ぅ船А璽鵝⇔�通、資本効率（数字で表せる）��ソフトエッジ：信頼、知性、チーム、テイスト、ストーリー（数字で表しにくく、無視されがち）ソフトエッジ信頼：企業の成功を支える土台。社員を信頼し、敬意を払えば、優れたアイデアを提供してもらえる。知性：仕事をやり遂げる力。Smartになるには、気概が必要な状況に身を置き、苦しい経験から学ぶ。チーム：個別に仕事をするより、10人前後のチームのほうが高い業績を上げやすい。「チーム中心の姿勢、情熱、気概」テイスト：心の最も深い部分に訴えかけ、人々を幸せな気持ちにし、喜びと驚きを与えるもの。本物のテイストは製品と人々とを感情的に結び付ける。ストーリー：一連の出来事を語ること。効果的にメッセージを伝えられ、信頼を築き、職場を活発にするのに役立つ。
2016年01月18日
破壊的イノベーターになるために
高松のベンチャー企業で「画期的」新製品を開発中。しかし、聞いてみると、「ニーズはある」という思い込みで、顧客（候補）の声を直接聞いてない。そこで、販売代理店（候補）も含めて、昨年からヒアリングを開始した。医療機器なので、医者の意見も大切だ。認可の問題もある。
何億円もかけて開発し、売れなかったら悲劇である。売り方も含めて全体像を考えるのが「事業計画」
（http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/author/15/062400010/）
クレイトン・クリステンセン『イノベーションのジレンマ』�〇�続的イノベーション今ある製品・サービスを良くし、既存顧客のさらなる満足向上を狙う。研究開発能力などに秀でた大企業が得意とする。��破壊的イノベーション新しい顧客に、シンプルで使い勝手の良い、安い製品やサービスを提供する。・新市場型破壊これまで製品やサービスを全く使っていなかった顧客にアピールする。・ローエンド型破壊求める水準を超えてしまった状況で、一部のローエンド顧客にアピールするイノベーション。＊破壊型イノベーションを起こすためにすべきこと・多様な知識・考え方を持つ人を集め、チームを構成する（ビルダー、リサーチャー、クリニシャン、オーガナイザー）。・チームのメンバーが現場に入り、様々な人を観察して、「顧客がどんな用事を片付けたいか（ニーズ）」を見つけ出す。・人々の消費を妨げる原因（制約）を探す。・製品の性能が向上しても、それが顧客の満足度の向上につながっていない場合がある。そうした過剰満足の状況にある顧客を探し、シンプルで低価格な商品を提供する。・制約を取り除くためのアイディアを、メンバーを集めてブレインストーミングし、適切なアイディアを選ぶ。誰もが容易に理解できる短い文章で記述する。�．拭璽殴奪箸箸垢觧埔譟´�何をしようとしているか ��成功のために何を行うか・アイディアを実際に破壊的な製品やサービスとして実現していくために、独立した別組織を作り、仕事を任せる。
2016年01月17日
2016年01月16日
日本企業の倫理とトイレ掃除の精神
切り口が秀逸。何しろ、宗教である「プロテスタンティズム」と、掃除を同等のものとして比較している。先日紹介した遠藤周作の『海と毒薬』では、宗教を持たない日本人の倫理を問うたが、いわば、日本企業の倫理の一部は「掃除」で作られているというのだ。
日本人と言えば世界的に「勤勉」の代名詞だが、実は、もともとそうであったのではなく、近代的な大企業が誕生した大正時代、日本企業は従業員を勤勉に働かせるのに苦労していたようだ。
「近来一般社員の勤務振りは、朝出勤すると先づ同僚と雑談する、喫煙する、小便に行く、面会人がある。又ブラブラ散歩する、と云ふような風で一向に能率とは没交渉であるようだ」（ある取締役の嘆き
マネジメント社『マネジメント』1925）
そういう中で、「企業が従業員たちに取り組ませるようになったのが掃除だった」というのは、新たな発見。武道場で生徒自ら掃除する習慣に倣ったのかもしれない。導入した会社で能率改善効果が著しかったことから、他の企業にも広まったようだ。
＊日本企業の経営において掃除が持つ意味、掃除を通して日本人が培ってきた「精神」・Max Weber『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』禁欲的で勤勉なプロテスタント教徒（「救済予定説」→「天職」）が多い地域で近代的資本主義が始まった。儒教の国には近代資本主義を発達させる原動力がなかった。日本でも一定規模の企業が登場した20世紀前半、従業員を勤勉に働かせるのに苦労している。そういう中で、日本企業が従業員に取り組ませたのが「掃除」・掃除の二つの効用直接的効用：仕事環境の整備、効率の向上など間接的効用：掃除をすることによって働く人の意識が変わる・経営観目的志向：まず目的ありきで、その目的を最も効率よく達成するための手段や行動を選択する手段志向：まず手段があり、その手段で問題を解決しようとする。掃除は、「手段」。＊目的志向の会社は「思想」の共有によって組織に連帯感が生まれ（思想連帯）、手段志向の会社は掃除などの「活動」によって連帯感が生まれる（活動連帯）。
・競争と変化が激しい今日、日本企業は目的志向的な経営を強める必要がある。しかし、これまで手段志向性の高い掃除を通じて長年養ってきた「改善」「徹底」「感謝」といった精神を失く事は危険である。
2016年01月15日
経済ウオッチング術
的確な経済・市場予測で定評のあるエコノミストによる「経済ウオッチング術」。
対GDP比の時価総額が100%以上は警戒ゾーンというのは、もともとバフェットが言い出したものだと思うが、今回も当たっていた。知識としては知っていても、上昇相場の時は、「市場はオーバーシュートするものだから、今回ももう少し行けるのではないか」と思ってしまうのが人の常。中国問題とか原油価格の下落は、相場反転の「きっかけ」にしか過ぎない。
長期予測の中で、今後社会に出ていく学生にとって最重要なのは、「AIによって、今後10-20年で半分の職種がなくなってしまう可能性が高い」ことだろう。知識だけで成り立っていた職業はAIによって置き換えられる。生き残るのは、他人にやってもらって満足を得ることができるサービス業と、高度に創造的な職種ということになる。
対GDP比の時価総額が100%以上は警戒ゾーンというのは、もともとバフェットが言い出したものだと思うが、今回も当たっていた。知識としては知っていても、上昇相場の時は、「市場はオーバーシュートするものだから、今回ももう少し行けるのではないか」と思ってしまうのが人の常。中国問題とか原油価格の下落は、相場反転の「きっかけ」にしか過ぎない。
長期予測の中で、今後社会に出ていく学生にとって最重要なのは、「AIによって、今後10-20年で半分の職種がなくなってしまう可能性が高い」ことだろう。知識だけで成り立っていた職業はAIによって置き換えられる。生き残るのは、他人にやってもらって満足を得ることができるサービス業と、高度に創造的な職種ということになる。
・経済の動きを見る原理原則�〃从僉Χ睛擦両霾鵑蓮∋�間的な空白を作らずに集める��経済統計の解釈は、報道をうのみにせず自分で考える��「日常の生活感覚」と整合しない議論は、疑ってかかる�ぜ�分の見方に自信がある場合、「世の中の空気」に流されない�テ�本経済は「人口減・少子高齢化」を「軸足」にして考える・技術の進歩は、社会構造そのものを大きく変える可能性がある。コンピュータやロボットの能力が向上し、必要とされる人間の数が減る。長期的に雇用に甚大な影響が出る。（今後10-20年で半分の職種が自動化されるリスクが高い Oxford AI研究）・日経平均株価2万円は「警戒ゾーン」アベノミクスが成功したからではなく、グローバルな金余り＋官製相場によるもの。対GDP比で100%を超えたのは今回を入れて過去３回しかない（1989-1990、2005-2007、今回）・普通の人々のとった行動が、市場のプロより鋭い相場観に立っていることがある。人口動態が下向きなのに、地価が上昇することはない。・女性の社会進出が進み経済力がつくほど、晩婚化・未婚率上昇は進む可能性が高い。未婚&晩婚の理由（2014年『少子化社会対策白書）20-30代男性：「経済的余裕がない」20-30代女性：「独身の自由さや気楽さを失いたくない」「仕事に打ち込みたい」
2016年01月14日
鬼才「鬼頭曄」
今回引き取った絵画コレクションの中でもう一人多かったのが、鬼頭曄（きと・あきら）。祖父、父と2代続く日本画家で、本人も東京芸大の日本画科を出た。しかし、その後、洋画家に転向し、1952年にフランス政府保護留学生として渡仏。遠藤周作が戦後初のフランス留学生としてフランスに滞在したのが1950-53年だから現地で交流があったかもしれない。
以降、フランス在住が長く、特に1960-70年代に現地で高い評価を得て、フランス国立美術館、パリ近代美術館、パリ市美術館などで作品がコレクションされている。
かなり難しい人物であったようで、生前、「鬼頭の絵は好きだが、鬼頭は嫌い」という人が沢山いたという。
1948年 東京美術学校日本画科卒業
1948年 独立展出品。
1949年 自由美術家協会会員。
1950〜52年 読売アンデパンダン展(東京都美術館)
1952年 フランス政府保護留学生として渡仏する。
1953年 パリ国立美術学校スヴェルビー教室に学ぶ。
1955-67年ギャラリー・ララ・ヴアンシー画廊と契約。
1957年アマトゥール・ダール賞や抽象絵画スイス賞を受賞。
1960年 サロン・コンパーレゾン(パリ国立近代美術館)
1965年 サロン・コンフロルタション展(ディジョン、フランス)
アトリエ・ムルローリトグラフ展
1973年 アトリエ・クロー版画100人展(パリ、ラ・ギャラリー・ド・フランス)
1974年 パリ新鋭15人展(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー国立美術館巡回展、ギャラリー・リーヴゴーシュ画廊主催)
1975年 在外日本人作家展ヨーロッパとアメリカ(東京国立近代美術館)
1994年 逝去
2016年01月13日
2016年01月12日
中国の「世界覇権100年戦略」
長年米政権で対中国の防衛政策を担当してきた現ハドソン研究所中国戦略センター所長による「反省」の本。ニクソン大統領からオバマ大統領にまで仕え、その間対中国政策の基本としてきたのは、「中国の発展を助ければ、中国はやがて民主的で平和的な大国になる」という仮説だった。
しかし、中国は海外旅行して「爆買い」出来るほど経済発展しても、世界秩序に配慮するどころか、軍事力強化を進め、自国の利害を強引に推し進めようとしている。そこで、1990年代後半、国防総省とCIAからの依頼で、中国の対米工作について調査したところ、「自分が信じていた物語とは矛盾する事実が続々と出てきた」という。
以下がその内容。中国は東アジアの歴史のほとんどの時期にアジアに君臨した大国だ。小国である日本の「小市民的」考えなどそもそも及ばないのかもしれない。
・1971米中国交樹立以来の仮説「中国は、私たちと同じような考え方の指導者が導いている。脆弱な中国を助ければ、中国はやがて民主的で平和的な大国となる」・仮説は間違いと証明された�｜羚颪亘鳴�鮮などの反欧米政府に協力し続けている��中国は経済大国となったが、民主化は進んでいない�Ｃ羚颪離織�派は、北京の指導者を通じて米国の政策決定者を操作し、情報や軍事的、経済的支援を得て来た・2013習近平「100年マラソン」「中華人民共和国樹立100周年の2049年までに、世界の経済・軍事・政治のリーダーの地位を米国から奪取する」・世界に与える影響�｜羚颪砲箸辰禿垤腓琉�い発言をした人に対して、中国は国内外を問わず、サイバー攻撃を仕掛ける（中国は日常的に外国の人権擁護団体やNGOのコンピュータシステムに侵入している）��中国寄りの独裁的政府を支援することで、民主主義政府を弱体化させようとする（ジンバブエ、スーダンの独裁政権を公然と支持）�Ｂ腟け�染の輸出（OECD「大気汚染で、世界全体で毎年200-360万人が早死に）�ぐ稻，兵蠱覆如�外国の科学や技術が盗まれる
2016年01月11日
香川⇔東京 往復1500km
荷物を取に行く必要があって、香川から東京まで往復した。片道750kmで走行時間は9時間。昼の休憩が30分に、その他15分の小休止を2回で、休憩時間1時間。所要時間は合計10時間であった。
大学生の頃に一度、香川で入手したバイク（CB400N）を東京に持っていくのに、宇高国道フェリー→中国道→名神→東名を一日で走ったことがある。その後も、大学時代には何度かバイクで往復したが、初回を除いては、全て一般道。学生で時間はあったので、あちこち寄り道しながらの方が楽しかった。
その他、他人の運転で四国⇔東京間を車で走ったことは何度かあるのだが、車を自分で運転したのは初めて。同行の人と交代で運転しながらだったが、その結果は以下の通り。
１．渋滞がない
昔に比べると渋滞が減っている。新東名が出来たし、名神にも草津IC→亀山→四日市→名古屋の鈴鹿山脈を貫くルート（新名神）ができた。大動脈の複線化とETC普及で渋滞は確実に減っている。また、渋滞予測がほぼ正確なので、この時間帯やルートを避ければ、事故渋滞が起こらない限り、渋滞に合うことはない。今回も、混雑は多少あったが、渋滞は皆無だった。
２．走りやすい
何より疲れるのは渋滞だが、道路自体も良くなっている。新東名の設計速度は140km/hだという。新しい道路は、広く、真っすぐで、照明も良い。但し、新東名も新名神も山側に作られているので、トンネルと橋の連続で、概して風景を見るには劣る。
３．SAが進化した
昔のSAは、選択肢が少なく、食事は「まずくて高い」だったが、今では多くのSAにコンビニやカフェの全国チェーン店が入り、損した気分にさせられることは少なくなった。それ以外にも、新東名足利SAではエヴァンゲリオンがテーマになるなどSAのテーマパーク化が進められていたり、公園化されていたりと進化している。
肝心の費用だが、最も高いのは高速道路などの有料道路代。片道2万円。帰りは休日だったので、3割引きの約14000円だと思う。大都市周辺部では割引が適用されないので、15000円位になるかもしれない。
燃費の方は、今回は8年前のハイエースを借りたので実感できなかったが、渋滞なしで高速を一定速度で走れば、今の乗用車は15-25km/l走れる。20km/lだとすれば、750km÷20km/l=37.5l。120円/lとして、4500円ということになる。車種によっては、途中、無給油での走破が可能かもしれない。
そうすると、往復で高速代が35000円。ガソリン代が約1万円。車の消耗品と減価償却を無視して、4.5万円。これは飛行機での往復相当。LCCならその半分ほどだから、3人以上で時間があるなら、車での往復は有力な選択肢となる。
2016年01月10日
凡人を非凡人に変える
『失敗の本質』は日本の経営書としてTOP10に入る本だと思っている。先の大戦における日本軍の敗因を分析した本だが、日本的組織の弱点が浮き出しにされている。日本人が作る組織は、こういった傾向があると経営者は警戒しておくべきだ。
同じ著者が出した、「（ドイツ軍と比べて）連合軍の政治・軍事両面でのリーダーシップがいかに優れていたか」を書いた本。これを読むと、アングロサクソン国家には、その時その場に応じて必要な人材を抜擢し、彼らがリーダーシップを取れる「仕組み」があると考えざるを得ない。
中心になっているのは、「史上最大の作戦」と呼ばれたノルマンディー上陸作戦を計画し、作戦指揮を執ったアイゼンハワーである。アイゼンハワーは陸軍士官学校の成績も悪く（但し、West Point自体が超難関の名門校である）、本人も「せめて大佐で退官できれば」と漏らすほどの凡庸な士官だった。
それが、3人の上司との出会いで成長し、自信を持ち、抜擢され、第二次世界大戦中のわずか3年10か月で中佐から元帥まで昇り詰めた。アメリカ陸軍の歴史始まって以来の異例の出世と言われた。自ら道を開ける人もいるが、大半のサラリーマンにとって、持つべきものは「良き上司」ということか。
判断：選択肢自体を考える際に必要な知恵・叡智＊よき決断力はどのような能力によって構成されているのか11:「ノルマンディー上陸作戦」関わった将兵の数や使われた武器の物量が史上最大であるとともに、国籍を異にした多数の政治家が作戦の計画から決行に至る戦略に深く関与したという意味でも史上最大、史上初計画〜実行 2年2か月従軍将兵 300万人1944/6/6上陸作戦 39個師団（機甲12,空挺3含む）戦艦 ６戦闘艦艇 1070輸送艇 6000飛行機 ２万機12:戦略←古代ギリシャ語「ストラテゴス」（将軍の仕事）大戦略（grand strategy)「国家の資源をどう使うか」軍事戦略(military strategy)「いまある武力でどう戦うか」作戦戦略(operational strategy)「いつ、どこでどんな戦いを行うか」戦術(tactics)17:「実践知リーダーシップ」６つの能力（チャーチルの場合）� 崛韻ぁ很榲�をつくる能力 （「民主市議を守る」）�△△蠅里泙泙慮充造鯆彰僂垢詛塾蓮 福峺従貅腟繊廛劵肇蕁爾倭粟�を嫌った）��場をタイムリーにつくる能力 （絶妙なユーモア）�つ彰僂遼楴舛鯤�語る能力（レトリックの能力）�ナ�語を実現する能力＝政治力 （｛戦争内閣War Cabinet」の活用��実践知を組織する能力 （適材適所の人材配置）23:「チャーチルの支店は理想主義と現実主義の絶妙の組み合わせから成り立っていた。一方、ヒトラーの理想主義は、歴史は観念の所産だとするドイツ人特有の伝統に根ざしている」ジョン・ルカーチ（歴史家）1995 p7863:アンドレ・モーロワ『フランス敗れたり』３つの誤謬�〃鎧�的な技術革新への無理解 戦車・航空機＜要塞�▲檗璽薀鵐匹肇侫薀鵐垢楼磴Δ箸い�根拠なき思い込み��戦争は長期戦であるという思い込み100:アイゼンハワー ドイツ系移民の子孫 1890/10/14 TX生まれ��Fox Conner 教養 3年��Douglas McCarther 9年��George C. Marshallの抜擢→参謀本部
2016年01月09日
プライバシー裁判の原点
日本初のプライバシー裁判の原因となった本。確かに描かれた出来事はほぼ事実通りで、しかも、出版されたのは都知事選があった1959年のわずか1年後だから、本が話題になったのも無理はない。この裁判では、一審でプライバシー侵害が認められた。被告である三島と新潮社は控訴したが、1965年に原告の有田八郎が死亡したため、翌年、有田の遺族と被告側の間で和解が成立した。
出版から55年経ち、元外務大臣で都知事選で落選した有田のことも、その妻で料亭「般若苑」の経営者であった畔上輝井のことも、今では知る人はいない。唯一名が残っているのは、選挙資金の借金が返せずに売りに出された般若苑を再開すべく、奉加帳を持って回った畔上輝井に協力した吉田茂くらいか。
在りし日の「般若苑」
2005年閉館
5:何か天の恵みによって、男性的な果断と女性的な盲ら滅法の情熱とを一身に兼ね備えたこういう女は、男よりももっと遠くまで行くことができるのだ。
10:「若い人は自分にとってはじめての経験を、世間様にもはじめての経験だととりちがえる。どんな無軌道だって昔とおなじで、ただ世間のやかましい目が昔ほどじゃないから、無軌道も大がかりにんって、ますます人目につくことをしなくちゃならなくなるんです」（かづ）
2016年01月08日
神を持たない日本人にとっての「罪の意識」「倫理」
余りに有名な遠藤周作の名著。しかし、読んだことがなかった。どうも、教科書で習うような本は学生の頃避ける傾向があった。書名と簡単な内容だけ知って、「重そうだ」と避けていた気もする。
人畜無害な？私ならそれでもいいが、医学生もそうだとこれは問題だ。夏川草介（医師・小説家）が「解説」でこう書いている。
「かつて医師を目指すものであれば、必ず読むべきとされていた書があった。森鴎外の『高瀬舟』をはじめとして、山崎豊子の『白い巨塔』、北杜夫の『夜と霧の隅で』。ほかにも多々あげられるが、中でも本書は王道中の王道といってよい。が、今ではその王道を「難解」と忌避する声が少なくないのである。
先日試みに、同じ病院で働く後輩の医師たちに問うてみたが、驚いたことに、20代後半の医師の多くが、題名は聞いたことがあるが読んだことはないと答え、読んだことのある医師の意見は総じて右記のごときであった。」
この本のテーマは、「 神を持たない日本人にとっての＜罪の意識＞＜倫理＞」とある。生体解剖に誘われた外科医勝呂は、苦悩しつつも「 明確な決断もつかないまま、なんとなく」参加してしまう。それに対して、キリスト教徒である外科医部長夫人のドイツ人ヒルダは、己の信念にそって行動し、微塵の動揺も見せない。（「解説」より抜粋）
では、キリスト教徒が常に良心に従って行動しているかというと、もちろん、そうではない。むしろ、八百万の神の日本人のほうが「いい加減」な分、悪事も徹底しない気がする。この小説の舞台となった戦時中も、キリスト教徒であるドイツ人は組織的にユダヤ人のせん滅を図った。生体解剖も大規模に行われたと聞く。
ドイツ人はこの小説をどう読んだのか、聞いてみたい。
47:「ちょうど良い機会です。左肺に二つカベルネが、右肺に浸潤部がありますから両肺のオペの実験にはもってこいです」59:「患者を殺すなんて厳粛なことやないよ。医者の世界は昔からそんなものや。それで進歩したんやろ」117:「死ぬことがきまっても、殺す権利はだれもありませんよ。神さんがこわくないのですか。あなたは神様の罰を信じないのですか」
142:そのくせ、長い間、ぼくは自分が良心の麻痺した男だと考えたことはなかった。良心の呵責とは今まで書いた通り、子供の時からぼくにとっては、他人の眼、社会の罰にたいする恐怖だけだったのである。
2016年01月07日
済州島から猪飼野へ
「ソ連との話し合いに見切りをつけたアメリカは、1948年、南朝鮮だけの分断国家樹立にむけた総選挙を実施しようとするが『４・３事件』は、直接的には、この「単独選挙」に反対する済州島での4月3日の武装蜂起に端を発し、その武力鎮圧の過程で3万人を超える島民が犠牲となる。この血なまぐさい弾圧に投入された警察・軍・右翼団体は、おおむね、植民地期に日本が作り育てた機構や人員を引き継ぐ存在であったことを忘れてはならない。つまりそれは、ほかならぬ日本の朝鮮支配の申し子たちであった」（はじめに）
から始まる、この「4.3事件」に関わったために「親を捨て、故郷を捨て、日本に流れ着いて在日朝鮮人になってしまった」86歳になる詩人による波乱万丈の半生を語る自伝的回想。激動の時代のすさまじい体験を淡々とした筆致で語る。
4.3事件記念碑には、2年前済州島を訪問した際に訪ねた。3万人という犠牲者は、当時の島民の1/6に当たる大虐殺であり、本書の著者をはじめ大量の済州島島民が日本に密航した。
147:『貧乏物語』は読書会の必読文献で、いくら説明を聞いても意味を呑み込めなかったマルクス・エンゲルスの『共産党宣言』に比べると、読むのも開設を聞くのもなじみやすい本でした。読書会のグループにとどまらず、運動に関わっている人の多くが河上肇先生を「ハ・サンジョ先生」と朝鮮語読みの漢字音で読んでいました。さも同族の大先達を崇めるかのような慕われ方でした。258:1950年6月、38度線を超えて侵攻してきた米帝国主義とその走狗たちを迎え撃って、「祖国解放戦争」の火ぶたは切って落とされたと、北朝鮮の金日成政府は高らかに開戦を宣布し（実際は北朝鮮からの南下が先んじての”朝鮮戦争”だったことが、のちのち学級者たちによって明かされてきていますが）、米ソ対立の激化が極東アジアのの朝鮮で火を噴いたと、世界中が驚愕の衝撃に包まれました。
279:私には信頼の絶対的存在であった元南労党書記長の朴憲永先生が、現に北朝鮮労働党の副委員長という、金日成元帥さまに次ぐ地位にあったお方でしたのに、あろうことか反党的、反祖国的行為を働いたとかで処刑されてしまうのです。取り付いた憑き物のように私を捉えていた金日成元帥様への敬慕の念も、社会主義祖国の北朝鮮への憧れもしのびよる夕闇のように、疑念の影が一途な私の心をかげらせていきました。
2016年01月06日
桁外れの結果を出す人は何をしているのか
著者の鳩山玲人氏はサンリオ常務。アノ鳩山家の一員にして、鳩山一郎の曾孫。鳩山由紀夫元首相とは従兄妹になる。なので、読むまでは内容に期待してなかった。幻冬舎のタイトルはしばしば大げさだし。
だが、それはいい意味で裏切られた。名門一族に生まれたプレッシャーがマイナスにではなく、プラスに作用した好例だろう。よく考えたら、鳩山家は政治家としてはどうかという人が多いが、元は研究者の家系である。そういわれれば、元首相の言動も「ありがち」と納得できる。
ビジネスパーソンとしての考え方の基本と具体例が読みやすく書かれているので、就職に臨む学生には最適だろう。結論はシンプル。ボーイスカウト風に言えば、「備えよ常に」だ。
14:準備1日5時間、年間1200時間の自由時間をどう使うか三菱商事入社前に外部環境徹底調査（公開資料）入社後は、残業して、部内の本と資料を全部読む＊仕事の全体像を把握して、指示された仕事をする25:人に会う前に、相手のことを徹底的に調べる193:青学 石倉洋子ゼミ「自分から遠いものの優先順位を上げる」意識的に仕事と関係がない人と会う機会を作る
2016年01月05日
「シリコンバレー戦国時代」第2部（日本編）
BS1スペシャル「シリコンバレー戦国時代」第2部は、韓国・台湾企業同様、シリコンバレーで資金調達を試みたり、シリコンバレーを足掛かりに全米市場に打って出ようとする日本のベンチャー企業の話であった。
取り上げられたのは2社。1社は東京のVR企業FOVE。日本人CEOとオーストラリア人CTOのコンビで共同生活しながら、世界初の眼球の動きで操作するヘッドマウントディスプレイを開発中。プロトタイプが出来、各種BPコンテストで受賞歴があり、既にクラウドファンディングで1200台の受注を集めている。それでも、米VCは出資しない。
懸念の一つは、Facebookが2014年に$2B（2500億円！）で買収したVR企業Oculus。買収時点でまだ設立から2年経っていなかった。その間に$91M（100億円＋）調達している。必要とあればFacebookの資金とリソースが使えるので、VRはここが標準になっていくと見られているようだ。技術だけでビジネスが決まらないのは世の常だ。Oculusは自社にない技術は買うと言っているので、今後FOVEが買収される可能性もあると思う。
番組のトリを飾ったのは昨年NEDO TCPでご一緒させてもらったEyesの山寺純社長。番組で取り上げられていたのは、欧州発で現在、日米でも普及しつつあるシェア自転車の車輪にLED広告を付けるというアイデア。事故防止にもなる。そこまでなら、「ま、あるよね」だが、さらに小型の大気汚染センサーや放射線測定器を取り付け、そのデータを集めてビッグデータを作るという。定点観測にしか過ぎなかった調査が街中ででき、ホットスポットの発見にもつながる。
こんなにイロイロな事業を手掛けているとは知らなかった。
2016年01月04日
「シリコンバレー戦国時代」第一部（韓国・台湾企業）
2日夜、BS1スペシャル「シリコンバレー戦国時代」を見た。第一部は韓国企業と台湾企業が、国の支援を受けながら、シリコンバレーのVCから投資を受けようと奮闘する姿を描く。NHKらしく、「韓国＆台湾は国が支援しているのに、日本政府の支援は足らない」というスタンス。NHKは大きな政府が好きなのだ（多分）。
韓国企業で取材を受けていたのはNEOFECT社。手を動かすことでTVゲームをコントロールできるデバイスを開発し、それを脳梗塞などによる麻痺のリハビリに生かそうとする（動画）。製造のためにVCに資金を求めるが、「販売実績がない」と断られる。沢山売るためには医療保険（米国なので民間保険会社）の適用が必要。そのためには、リハビリに効果があるという臨床試験結果が必要ということで、苦労の末、カリフォルニア最大のリハビリ施設で臨床試験をしてもらえることが決まったところで番組は終了。
次に出て来たのは、台湾企業でオートバイのヘルメットに小型ディスプレイを入れて、ナビゲーションや音楽がハンドルから手を放すことなく操作できるという製品。操作は音声認識だ。こちらも実証機製作のための資金を得ようとVCへピッチを重ねる。
VCからは、「ヘルメットメーカーが自社でこれを入れだしたらどうするんだ？」という質問が出る。言ってみれば、Google Glassをヘルメットに内蔵したような製品。ディスプレイも音声認識も既存技術だから特許は取れてないのだろう、答えは、「彼らが出てくる前に早く動く」だった。当然、VCからは失望の声が上がり、「ヘルメットメーカーは、資金も、マーケティング力も、販路も持っている。それだけじゃ勝てない」とけんもほろろだった。
韓国や台湾はSV進出しているベンチャー企業も多く、政府の支援もあって、横のネットワークがある。資金調達に苦労している上記の台湾企業も、先に進出した別の台湾企業から、「あそこのVCは、$500Kくらいの出資で、株式シェアを半分寄こせと言ってくるから気を付けろ」とか言われていた。要するに、6000万円位の企業価値とみなして、そこに同額の出資をして、投資後1.2億円の企業価値の半分をVCが持つということ。それでも、資金が必要かどうか。必要ならこれを飲むしかない。
噂には聞いてきたが、米VCの強気な態度にビックリ。簡単に言うと、「需給関係が違う」ということなのだろう。VCの数も多いが、その資金と企業育成のノウハウを求めて、世界中から最高の頭脳と野心家が集まってくる。日本にも資金はあるが、有望ベンチャー企業は圧倒的に少ない。
残念だけど、世界に通じる自信があるなら「本場」で勝負したほうがいいと思う。
2016年01月03日
21世紀の「所得倍増計画」
1990年に来日し、当初Solomon Brothersで、1992年から2007年までGSで銀行業界のトップアナリストとして活躍したイギリス人アナリストによる「観光立国論」。バブル崩壊後の銀行の不良債権額を「20兆円」と最初に公表したのは彼だ。当時の政府や銀行はこれを「数兆円」だとして否定していた。90年代後半には、「大手邦銀は4行しか要らない」というレポートを出し、これもその通りになった。
私がLBSを卒業して今年で25年。その間に、イギリスの一人当たりGDPは倍増し、日本は全く上がらなかった。昨今の円安で、今では世界中どの国に行っても物価が高いと感じる。まるで自分が発展途上国の住人になったようだ。現実に向き合ってきた国と、現実から逃避してきた国との差である。
ハイテク産業で再び輸出を増やすことも必要だろうが、昔と違い、技術は世界に短期間で波及し、ライバルは多い。かってのような一人勝ちは望むべくもない。これまで、力を入れておらず且つ潜在力が大きいという意味で外国人観光客に注目するというのはその通りだと思う。ハイテク産業は働く人を選ぶが、観光産業では雇用吸収力も大きい。
日本流の「おもてなし」が大きな勘違いという指摘もその通り。これはあくまで考え方、感じ方が同じ日本人の間で通じる話で、外国人に対してそれが通じると思うは大間違いだ。なんでも無料あるいは廉価にするのが良いのではなく、多種多様な外国人観光客のニーズに対応すべく、特に手薄な富裕層向けの高額なサービスを増やす必要がある。
＊少子化→経済縮小ｘ出生率向上ｘ移民政策（心情的＆副作用）○外国人観光客←世界有数の観光大国になれる潜在力
✔気候 ✔自然 ✔文化 ✔食事7:日本にいる外国人のレベルは低いよい人材が集まりにくい81:日本のアピールポイントは的外れ�．泪福爾箋で曚蝓�72%�⊃�文化 68%��治安の良さ 55%（2014/7経済広報センター「東京オリンピックを機に、日本のどのようなところを世界にアピールしたいか）125:GWは廃止「大量の観光客をさばく」という思想148:上客が来ない�．�ーストラリア $1223�▲疋ぅ帖 �$1063��カナダ $1002�ぅぅ�リス $821�ゥ侫薀鵐后 �$665（観光支出額ランキング）191:超高級ホテルが不足一泊30万円位のスイートで「高級」とは言わない。安すぎて富裕層は泊まろうと思わない。世界では一泊4-9百万円が普通だが、このクラスがない。198:サービスに「差」をつける（例）バチカン入場 無料＝長い列有料予約サービス 4500-12700円239:ガイドは有料にすべきイギリス ガイドブックでさえ有料日本 ボランティアガイドもほとんどが無料→人材が育たない243:観光客に対して、お金を使わせないように配慮することが「おもてなし」と勘違い（例）ウェストミンスター寺院拝観料 3750円
2016年01月02日
元気で長寿の秘訣
多情な人である。夢中になるものがあると、対象が人であれ事であれ、後先考えずに突っ走ってしまう。これは、「人一倍好奇心が強い」ということにも通じるだろう。
「長く生きたいから何か特別なことをするというのは私の流儀ではない」という。朝風呂が好きだから毎朝入るのであって、「健康のため」に入っているのではない。
好奇心が強ければ、言われなくてもあれこれ試す。「気持ちいいこと」が習慣として残る。色んなことがやりたいので、稼がなければならないし、時間をねん出すべく、使い方を工夫する。それらが全て、結果的に、健康にいいことになっていそうだ。
ただ、人間は脳が暴走した動物なので、「体に気持ちいいこと」と「脳が錯覚して」気持ちいいと思うことを区別できない。例えば、タバコやアルコールは異質な化学物質を体内に入れることなので、体にいいはずはないが、それを「気持ちいい」と脳は錯覚してしまう。
宇野さんの場合は、「生まれてこの方、満八十五歳になる今日まで、一度も頭痛がしたと言うことがない。一度も肩がこったと言うことがない。一度も腰が冷えたと言うことがない」（p358)と書いておられるので、体が遺伝的に、自然と体に良いこと悪いことを区別しているような気がする。
45:私はどんな男からの申し込みであったとしても、自分は決して結婚しないものと決めていた。何故か。前にも書いたように私は、この、自分の、人の眼には別嬪と見える顔が、実は兎の足で作られた化粧の顔であることを、片時も忘れてはいなかった。いつ、この誤魔化しが見破られるかと思うと、その怖ろしさに、そんな所へ嫁に行く気など、夢にもないのであった。66:私は何か仕事をして、その報酬として、金の儲かることを、決して卑しいこととして退けることはなかった。いまになって考えると、私は十六歳の春、小学校の教師となったときから、八十四歳の今日現在に至るまで、何か仕事をしていなかったと言うことは、一日もなかった。縫い物の賃仕事をしていたこともあった。食堂の給仕女であったこともあった。仕事は何でも宜かった。163:いつものことであるが、私の建てる家は、奇妙奇天烈なものであった。一階が住居、二階が事務所である。通りから這入る入り口の左側に風呂場がある。家の入り口に、すぐ風呂場があるとは、何と言うことか。朝起きると、すぐ風呂へ這入るという生活には、風呂は大切な設備である。私にとっては、この風呂が入り口にある、と言うことは当然のことであった。165:生涯の中に、私の建てた家は、あの、馬込の藁葺きの屋根の家を入れて、全部で十三軒であった。しかし、どの一軒として、そこに腰を据えて、住むためのものではなかった。357:昨日、瀬戸内晴美さんから、海老を送って来た。開けて見ると、おが屑の中から、生きた海老がもくもくと動いて出てきたではないか。私は吃驚して、瀬戸内さんに電話をかけた。「瀬戸内さん、生きた海老がもくもくと動いて出て来たのよ。あのまま煮たりして食べるの」「大丈夫よ。もう私がお経を読んでおいたから」と言って、あはははははと大声で笑うではないか。海老はもくもくと動くのが性分なのである。動くな、と言っても駄目である、と言って、笑うではないか。
374:長く行きたいからなにか特別なことをするというのは私の流儀ではないのである。しかし、そういう私にも、もう少し生きていたいという気持ちはある。なぜかというと、私は人一倍好奇心の強い人間だからである。あと四年ほど生きれば二十一世紀になる。新しい世紀に入った世界をこの目で見たいと思っているのである。明治、大正、昭和、平成と生きてきて、その上さらに二十一世紀が見たいとは我ながらなんと呆れたものではないか。
2016年01月01日
謹賀新年
新年明けましておめでとうございます
平成28年の元旦は、例年通り、お屠蘇と餡子もち雑煮で年明け。香川では定番の雑煮用餡子もちは、東京では普段売ってないので、近所の餅屋さんでの特注品です。
11月の誕生日の際にも書きましたが、昨年は3月末の大学退任以来、自転車でお遍路などしながらしばらくのんびりしてました。
「50代をどう過ごすべきか」
結論は、10年前に地元地銀のVCファンドマネージャーを始めたとき、4年前に香川大学に転職したときと同じく、やはり、「香川のベンチャー企業を増やしたい」ということです。
「地方創生」と言われて久しいですが、カギは人材です。これ以外にありあえない。人材もいないところにお金だけ付けるのは、栄養過多で成人病になるのと同じで、逆効果です。「地域の自立」でなければならないのに、地方の最大の問題である「依存体質」を延長させるだけです。
「何十年ぶりに社会人口増に成功」といった地域には次の共通点があります。
・行政主導ではなく、民間主導
・地域住民が自分達の問題として自分たちで解決しようとしている
・地元民と、Uターン者と、Iターン者(移住者)が有機的に結びつしている
Uターンしたいと思っている人は居ます。そして、そのチャンスは、子供たちの就学前です。この時期を過ぎると、都会での生活基盤が固まってしまい、転校が伴うUターンには十中八九、奥さんが反対します。次のチャンスは定年退職後になってしまい、それでなくても高齢化で困っている地方自治体にとっては痛しかゆしです。
しっかりした職務能力がある人材が地方で働くには、その能力が生かせる職場がないといけない。それは、どの地方でも長年人気就職先だった県庁や地銀、電力会社では今後ないでしょう。仕事内容も報酬も満足できるいわゆるベンチャー企業である必要がある。それが十分でないため、地方での就職の選択肢がないのです。
かって携わった地銀VCファンドからは、四国で6社に出資し、うち3社が上場しました。経済規模が小さいので、IPOが数年に1社でも続けば、確実に雰囲気が変わります。これが実現されてこそ、「地方の自立→地方創生」が実現します。
そして、地方創生にも、起業家精神とマネジメント能力が必須です。つまるところ、住民が「自分たちの問題」として取り組まない限り、解決は無理。意識改革ができないところに、補助金配っても百害あって一利なし
