2015年04月
2015年04月30日
鶴岡の奇蹟
先月高松においでた西澤先生から頂いた本を紹介。西澤さんはジャフコの先輩であり、その後東北大学で長くベンチャー研究をされた。東北大学名誉教授であり、現在東洋大学教授である。共著の大滝さんもジャフコ出身で、日本のバイオベンチャー投資の嚆矢である。
「鶴岡の奇蹟」とは、慶応義塾大学先端生命科学研究所（IAB）の山形県鶴岡市への招致に始まる。2001年に開設された同研究所からは、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ（2013Mothers上場）他が生まれた。
世界はシリコンバレーを真似しようとしたが、国主導で行ったそれられの試みが全て失敗した一方、数少ない成功例は地域主導でEco-systemを構築したところばかりだった。日本で「鶴岡モデル」が今後他地域に広がるのかどうか？
IABの開設には300億円掛かっている（県と周辺市町村が負担）。2001-1013の運営費は100億円（県と鶴岡市が負担）。一方、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズの従業員数は57名。その平均年収は447万円。鶴岡本社に50名いるとして、22350万円。IAB運営費のうち半分は人件費だろうから、年間3-4億円。合わせて5-6億円。経済波及効果も考えて、年間に10億円位か？
この計算が正しければ毎年の運営費は経済効果で元が取れていて、後は初期投資の300億円をどう回収していくか。ベンチャーのSOを貰っておいてもいいと思うが。
地域は、どうやって「稼げる人材」に来てもらうかの競争に入っている。
110:IABは庄内地域に新しい四年制大学を整備することから生まれた開設費用300億円は県と市町村が負担163:「早く、たくさん失敗せよ」（『第五の権力』343p）失敗を評価しない地域においては、誰も真剣にコミットしないような悪いアイデアが残り、優秀な人が地域から出て行ってしまう175:IABの運営費（県と市の分担比率＝55:45)1期（2001-5) 基礎研究45億円2期（2006-10) 応用研究35億円3期（2011-13) 事業化研究21億円4期（2014-18) 事業化加速当初3年間で21億円190:大学発の技術シーズは確実に増加しているが、経営適任者を得るのが困難ベンチャー企業が大学教員の第2の研究室と化してしまっている
2015年04月29日
自転車遍路
１番札所から17番札所まで3日間で自転車で300km走った。これには香川の実家から徳島までの往復も含まれる。行きは三頭トンネルの峠、翌日は札所の中最難関ともいわれる12番焼山寺（標高900m）、帰りは朝から卯辰越(221m)という「山岳コース」。おかげで膝が痛く、足はパンパン。
・風邪は治してから行こう
風邪が完治してなかったので、疲れとともに、鼻水が出てくる。天気は良かったのにスッキリしない。乾燥した中毎日4-5時間走るので、唇が割れてイタイ。リップクリームが要る。帰宅して、また療養生活。我ながら、やることが極端でバカである。
・少なめによく噛んで
遍路宿に泊まったのだが、大量の夕食。「昼間これだけ運動したから」と、出されただけ食べてしまったところ、消化不良に。翌日走っていると消化し切れてなくて、吐き気がする。
体が疲れて消化能力が落ちているようで、少量をよく噛んで食べる方がよさそうだ。・自転車のチョイス
今回のお供はフルカーボンのロードバイク。舗装路では最速だが、荷物が積めない。1-17番は比較的狭いエリアに集中しているので、同じ宿に連泊して焼山寺攻略のために荷物を減らした。荷物を背負って自転車まで押すのは大変だ。しかし、今後は徳島南部〜高知と長いストレッチになる。連泊できないので、フロントバッグが装着できるクロスバイクの方がいいかもしれない。
・お経も覚えないと
私の場合、黒いレーシングスーツといういでたちで本堂でお参りするだけ。遍路の無事と、難病にかかった友人の回復を祈る。普通は自分の名前と生年月日を書いたお札を置いていくのだが、まさか御大師様が顧客管理？をしているとも思えないので、これも省略。でも、他のお遍路さんが白装束で読経しているのを見ると、これはやったほうがいいと思えたので、次回までに勉強しよう。
2015年04月28日
レジリエンスの経営とリーダーシップ
先月訪問したブラジルでも感じたのだが、新興国の企業はレジリエンスが高い。時には年間100%を上回るハイパーインフレーションに襲われ、為替レートの変動幅も先進国とは比べ物にならない。そして、政府は当てにならず、しばしば反ビジネス的政策で企業を苦しめる。
そんな環境で生き延びてきた企業にとってみれば、ルールが明確で、インフラが充実し、平等に扱われるのが当たり前の先進国のビジネス環境は天国に見えるだろう。本書では、2005年にIBMのPC部門を買収し世界第3位のPCメーカーになったレノボ、90年には南アフリカの一地方醸造所だった南アフリカ醸造所が2010年には世界最大のビールメーカー「SABミラー」になった例が登場する。
日本企業でも、こうした新興国に若手社員を積極的に出して、現地マネージャーとして育てるのがいいと思う。日本の安定した環境で輝かなかった社員が意外な活躍をするかもしれない。ピークを過ぎたベテランをお飾りのように派遣して成果を出すのは期待できない。
＊未来の企業のあり方企業と仕事のあり方に影響を与えそうなトレンド・労働人口分布の変化に伴い、イノベーションや新しいアイデアが生まれる場所が変化する・インターネットや携帯電話などの普及により、人間と仕事が高度につながった社会になる・有能な人材が集まり地域が新たに生まれる・自動化や定型業務の海外委託により、中程度のスキルが要求される日常業務への需要が減り、高度なスキルが要求される仕事とあまりスキルが要求されない仕事の需要が高まる・先進国でスキルギャップが拡大し、若者が高度なスキルを要求される仕事に就くのが難しくなる不確実性の増す世界で最も重要な能力はレジリエンス（困難な状況への対応力）１．内なるレジリエンスを高めるこれまでの働き方を変えたり、仕事中に自由時間をつくったりして、従業員の精神的活力を高める２．社内と社外の垣根を取り払う社内だけでなく、地域社会など社外のレジリエンスも高まるよう手を差し伸べる３．グローバルな問題に立ち向かう企業の研究力を高め、環境悪化、貧困の広がりなど、世界規模の問題の解決にあたる
2015年04月27日
自律分散イノベーション企業
「全員経営」と言ってしまうと、結構ベタ。昔の日本企業は「全員経営」が出来ていたから良くて、今はダメだというのは違う気がする。当時は景気が良かったから、満ち潮に全ての船が乗っているのと同様、全体にウマく行き、バブル崩壊以降は引き潮の中で多くの日本企業は新し経営環境の中でもがき、そして生き延びたところは進化したのではないか。
「全員経営」ができる前提として、雇用の安定があり、雇用が安定するためには、日頃から高収益にして、将来への先行投資と、いざという時のための資本蓄積が行われていなければならない。
言っているとこは、トヨタの「三現主義」に近い。「分析マヒ症候群」ではなく、全体をまとめた一貫した戦略「ストーリー」になっている必要がある。
＊社員全員が当事者意識を持ち、仕事に取り組む「全員経営」・戦後の日本企業「全員経営」によるイノベーションの積み重ね優れた実践的知恵＝「実践知」を社員一人一人に組み込む・実践知＝「即興の判断力」現場でミクロの現実に直面した時、背後にある関係性を読み、マクロの大局と結び付け、適時に最善の判断を俊敏に行うこと。・全員経営で重要なのは、ミドルマネージャートップはビジョンを示すが、フロントは現実に目を奪われ、考え方が硬直しがち。ミドルが両者の間の矛盾を統合し、新しいビジネスモデルを紡ぎだす。・実践知に優れた人材の能力� 峅燭�よいことなのか」という判断基準をもち、「よい目的」をつくる能力�△△蠅里泙泙慮充造涼罎破楴舛鯆彰僂垢詛塾���「場」をタイムリーに作る能力�つ彰僂靴針楴舛魍鞠芦修掘∧�語として伝える能力�イ△蕕罎觴蠱覆魘郢箸掘�概念を実現する政治力��実践知を埋め込み、組織化する能力・「分析マヒ症候群」市場分析的な競争戦略の考え方が広まった結果、多くの日本企業が「分析マヒ症候群」に陥った。何かというと分析を行い、傍観者的に仕事と関わる。これと対照的なのが、顧客のいる現場に行き、共体験し、対話する、実践知を重視する考え方。
2015年04月26日
孤独の力
四国遍路でも、笠にかかれるのが「同行二人」。これは、弘法大師と一緒という意味。 全国にあふれる「ふれあいXXX」というのは気持ち悪い。道路であれば事故になりそうだし、理由なく「触れ合う」というのはイヤダ。
・SNS流行り←孤独に対する不安、恐れ地域の絆、家の絆、肉親の絆から逃れることが、一つの夢だった。・孤独を恐れる心は危険→一体感を求めることから、ナショナリズム＆民族主義が生じる・「孤独だけれど孤独ではない」(親鸞）人間は本来孤独な存在である。孤独だから、阿弥陀如来と同行二人。・遠くで互いを見守るという付き合いが、良い友情人は本来悪を抱えているため、人間同士が近づくと悪が出てくる。人間関係を大切にするなら、距離を置くべき。・自分自身で孤独の意味を考え、孤独の持つ力を養う
2015年04月25日
2015年04月24日
世界農村芸術祭
独特のユルサと解放感で好評の「アートでたんぼ」も今年で15回目
河野さん、ホント凄いです
「まちづくり推進隊」でも、昨年から支援しています。夜行くと、関係者で捕まえた猪を解体して食べてたりします。
今年は開催期間中にJICA日系人研修をやるので、週末に希望者を連れて行こうと思っています。日系ブラジル人は日本人の知られざる一面を発見できるか
2015年04月23日
ヨーロッパ精神の再発見
『共産党宣言』冒頭は、「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」
しかし、マルクスが調べたのは「ヨーロッパの」あらゆる社会なんですよね。
＊ヨーロッパ人の考え方の特徴とは？「食」の観点から、ヨーロッパ人特有の思想を解き明かす。・ヨーロッパ人は家畜を殺して食べる一方、動物愛護運動にも熱心。欧米では殺すこと自体は残酷ではなく、不必要な苦痛を与えることが残酷だと考える。食用家畜でも手荒に扱わず、大切に育てたうえで食用にする。・ヨーロッパでは、人間と動物の間に一線を画し、人間をあらゆるものの上位に置く。そうすることによって、動物と畜に対する抵抗感はなくなる。・牧畜民族であったヘブライ人の民族宗教であるユダヤ教から発展したキリスト教は、人間と動物の断絶を鮮明に打ち出した。旧約聖書では、人間は「神の似姿」で、他の動物を殺して食べる権利のあることが、はっきりと認められている。人間の動物の営みが、本能のままに乱交を行う動物のそれと違うことを実証するため、結婚をキリスト教の秘蹟として公認し、そこから性生活をコントロールしようとした。・人間と動物の断絶を強調する「人間中心主義」がヨーロッパ思想の根底にある。ただし、ここでいう「人間」はキリスト教のヨーロッパ人に限られ、非ヨーロッパ人、ユダヤ人などは含まない。それゆえ、人間中心主義は、人間を完全人間と劣等人間に分ける「断絶論理」を生み出した。
・断然論理のない日本では、支配・被支配関係ははっきりしない。これに対し、動物、非ヨーロッパ人、ユダヤ人を順次疎外していくヨーロッパの強烈な断絶論理が、最後に「本当の人間」として残すのは、少数の支配階級だけ。支配者と被支配者は明確に画される。
2015年04月22日
風邪対策
ご心配をおかけしていた風邪ですが、昨日のサウナ→カレーで立ち直りましたまだ多少鼻水と咳が残っていますが、頭はかなりスッキリした感じです。今日は1週間ぶりに仕事を再開しました。
元来風邪をひきやすい体質の私なんですが、歳と共に回復日数が長引いてここ10年ほどは一度ひくと「全治1週間」が常態化してます。これはマズイと、5年前に一度分析していました。
この時の結論としては、
でした。
その後の罹患状況を見ると、2011-13年は年1回と回数は減っています。なので、効果はあったようです。ところが、2014年にはまた4月と11月の年2回ひいている。何が変わったか？
冷水浴を止めてました！これは、風呂の湯あがりに冷水をかぶるといいと聞いてしばらく習慣にしていたのですが、去年、東京の家を引っ越して以来そのまま忘れていた。
それと、発症するかどうかは、風邪の前兆があったときの初期対応次第なんですが、今回いろいろよい情報を頂きました。
・足湯、半身浴、サウナなどで汗をかく→寝る
・生姜入りカレー（これも汗か）
・靴下を4枚履く＋寝るときフリースズボン3枚（要するに、冷やさないということ？）
考えてみると、昔から「風邪をひきそうになったら汗をかけ」といいますが、汗をかくのは目的でなくて、おそらく、目的は「体温を高めて免疫力をあげる」ことなんでしょうね。
それと重要なのは、気遣ってくれる人が近くにいるかどうかですね。本人は具合が悪くなって思考停止してますから、その時、「XXXしてから休んだ方がいいんじゃない」と言ってくれるかどうか。生姜湯でも作ってくれれば最高ですが。今回は、FBを見た高校の先輩に助けてもらいました。
まだ多少鼻水と咳が残っていますが、頭はかなりスッキリした感じです。今日は1週間ぶりに仕事を再開しました。元来風邪をひきやすい体質の私なんですが、歳と共に回復日数が長引いてここ10年ほどは一度ひくと「全治1週間」が常態化してます。これはマズイと、5年前に一度分析していました。
この時の結論としては、
１．毎日出勤しなければならないサラリーマンより自営業者が有利
２．インフルエンザ予防接種は費用対効果高い
３．会食の連続は避ける（胃腸の弱い私の場合、これで抵抗力が落ちる）
４．季節の変わり目には特に注意
医学的には、
・Vitamin Cの継続的摂取
・運動
・肌を鍛える（寒風摩擦、薄着）でした。
その後の罹患状況を見ると、2011-13年は年1回と回数は減っています。なので、効果はあったようです。ところが、2014年にはまた4月と11月の年2回ひいている。何が変わったか？
冷水浴を止めてました！これは、風呂の湯あがりに冷水をかぶるといいと聞いてしばらく習慣にしていたのですが、去年、東京の家を引っ越して以来そのまま忘れていた。
それと、発症するかどうかは、風邪の前兆があったときの初期対応次第なんですが、今回いろいろよい情報を頂きました。
・足湯、半身浴、サウナなどで汗をかく→寝る
・生姜入りカレー（これも汗か）
・靴下を4枚履く＋寝るときフリースズボン3枚（要するに、冷やさないということ？）
考えてみると、昔から「風邪をひきそうになったら汗をかけ」といいますが、汗をかくのは目的でなくて、おそらく、目的は「体温を高めて免疫力をあげる」ことなんでしょうね。
それと重要なのは、気遣ってくれる人が近くにいるかどうかですね。本人は具合が悪くなって思考停止してますから、その時、「XXXしてから休んだ方がいいんじゃない」と言ってくれるかどうか。生姜湯でも作ってくれれば最高ですが。今回は、FBを見た高校の先輩に助けてもらいました。
2015年04月21日
信頼される話し方
分かっていてもなかなか直らないのが「話し方」。勇気が要るのだが、自分で自分が話しているビデオを見て直すのが一番効果的だと思う。他人はなかなか本当のことは言ってくれない。
NHKで受け継がれてきた話し方＋心理学に基づくコミュニケーションテクニック＝相手から信頼され、評価される話し方NHK式7つのルール１．話す目的をハッキリさせる２．「13文字以内」でタイトルを付ける３．結論は「最初の15秒」で言う４．「一文50文字以内」にする５．「4つの抑揚」で強調する６．「1分300文字」でゆっくり話す７．独り言から入るNHK＋心理学の「最強の話方」・緊張しないため、他者に「話を聞かせている」という積極的な姿勢を持つ。効き足を相手に向けて一歩前に出す。身体を変えると、心もついてくる。・アイコンタクトは、話しながら視線を移動させない。一文が終わった切れ目で視線を移し、視線を移し終わってから話し始める。・演壇を使う時は、前や横に立ち、後ろに立たない。�‖里良縮明僂鮃�く見せた方が堂々としたイメージを与える。�∩蠎蠅箸隆屬吠�体があると、心理的な距離が広がる。
・相手を説得するときは、前傾姿勢で力強い太い声を出すと効果的。その際、「5本指ソックス」を履くと、前傾姿勢でも下半身が安定するため、力強い声が出やすくなる。
2015年04月20日
普請
昨日は、「まちづくり推進隊高瀬」の年次総会。発足して2年が過ぎた。この三豊市の取組は徐々に注目されているようで、昨年は20数件の視察があったという。
「まちづくり推進隊」とは、三豊市の合併前の7つの町を単位としてつくられた市民団体である。三豊市の人口は68500人、面積222㎢で、他の地方同様、人口が減少傾向にある。税収が減る一方、高齢化で医療福祉予算が拡大している。財政健全化は合併直後から最重要課題であった。
そこで、2008年に10年間の長期計画として「新総合計画」を策定し、まちづくりの基本理念を「自主・自立」、まちの将来像を「”豊かさ”をみんなで育む市民力都市」と定め、新しいまちづくりの「担い手」として活動意欲のある市民やNPOの育成に乗り出すことにした。（月刊『自治研』2015年1月号）
この計画の中心にいたのが市役所の荒脇健司さんで、彼はよく「普請」の話をする。
「普請」とは、社会基盤を地域住民で整備、管理する活動のことで、今でも溝普請(用水路や排水路を地域住民が清掃すること）や道普請（道路を整備したり維持管理すること）は続いているという。寺子屋も市民活動の一つで、江戸時代、地域ごとに読み書きそろばんなどを地域の民間人が教えた。ビジネスマンもインフラ整備に協力し、大阪の豪商「淀屋」は、中之島に渡るため自費で土佐堀川へ橋を架けた(淀屋橋)。
しかし、明治以降、近代国民国家の形成過程で、徐々に市民活動が失われ始め、「公共サービス＝行政サービス」という考え方が高度経済成長時代に広く浸透した。（同上）
いわばそうした「失われた市民活動」を取り戻し、「自主・自立のまちづくり」を自分たちの手でやっていこうというのが「まちづくり推進隊」である。それまで役所が高コストでやっていた公共サービスを低コストのNPOに移譲することで、財政健全化も成し遂げようという「一石二鳥」作戦。
「まちづくり推進隊」とは、三豊市の合併前の7つの町を単位としてつくられた市民団体である。三豊市の人口は68500人、面積222㎢で、他の地方同様、人口が減少傾向にある。税収が減る一方、高齢化で医療福祉予算が拡大している。財政健全化は合併直後から最重要課題であった。
そこで、2008年に10年間の長期計画として「新総合計画」を策定し、まちづくりの基本理念を「自主・自立」、まちの将来像を「”豊かさ”をみんなで育む市民力都市」と定め、新しいまちづくりの「担い手」として活動意欲のある市民やNPOの育成に乗り出すことにした。（月刊『自治研』2015年1月号）
この計画の中心にいたのが市役所の荒脇健司さんで、彼はよく「普請」の話をする。
「普請」とは、社会基盤を地域住民で整備、管理する活動のことで、今でも溝普請(用水路や排水路を地域住民が清掃すること）や道普請（道路を整備したり維持管理すること）は続いているという。寺子屋も市民活動の一つで、江戸時代、地域ごとに読み書きそろばんなどを地域の民間人が教えた。ビジネスマンもインフラ整備に協力し、大阪の豪商「淀屋」は、中之島に渡るため自費で土佐堀川へ橋を架けた(淀屋橋)。
しかし、明治以降、近代国民国家の形成過程で、徐々に市民活動が失われ始め、「公共サービス＝行政サービス」という考え方が高度経済成長時代に広く浸透した。（同上）
いわばそうした「失われた市民活動」を取り戻し、「自主・自立のまちづくり」を自分たちの手でやっていこうというのが「まちづくり推進隊」である。それまで役所が高コストでやっていた公共サービスを低コストのNPOに移譲することで、財政健全化も成し遂げようという「一石二鳥」作戦。
2015年04月19日
世界最強の傭兵企業
先月のチェニスの博物館テロ事件では、休暇中の自衛官が巻き込まれたが、その手記には、
「銃を持った警察が助けに来てくれた時には安心して号泣してしまいました」
と書かれていた。戦闘部隊ではなく医官だが、それでも自衛官は自衛官。これで国が守れるのか？と不安になった。（因みに、海外渡航届も出していなかったらしい）
・2007年夏の時点で、イラクの正規米軍兵は16万人＜「民間契約要員」18万人・法的なグレーゾーンで活動するため、軍法会議にもかけられない・1990年代半ば米軍は縮小を続け、9/11事件後の対テロ戦争に加わることで急成長・Blackwaterは現在、9カ国に23000人以上の傭兵を派遣・即座に出動できる21000人の元特殊部隊員、元兵士、元警察官が登録・世界最大の民間軍事施設（7000エーカーNC）と航空隊も保持
・代表は急進的右派クリスチャンの大富豪Eric Prince
2015年04月18日
ビジネスマンは人生の後半にどう備えるべきか
流石はコンサルタントの大前氏。言うことが論理的で具体的。私の年代にドンピシャ。迷える50代に！
＊50代は、残りの人生について考え、行動を起こす旬の季節。定年後の第2にの人生に向けて考えるべきこと、心構え。・今50歳前後で、出世の可能性がない人は、縁の下の力持ちに徹する。あと5-10年かけて、自分が長けている領域で会社の資産となるものを作る。そうすれば、評価されるかもしれないし、少なくとも自分は納得して定年を迎えられる。・定年後の起業、50歳での転職、いずれもリスクが高い。50歳まで大企業にいられたということが、事業化の資質に欠ける確かな証拠。どうしても起業するなら、人が事業を始めるときに顧問になる。転職する場合は「二つ格下の会社」に行くと、仕事のやり方や能力が高く評価される。・人生を幸せに終えたいなら、とりあえずTVを見るなど、「とりあえず」の時間をつくらない。積極的に自分の時間表をつくり、意味のあることに時間を振り向ける。・定年後の人生を充実させるため、やりたいことを10個ほど持つ。季節や運動量の異なるアウトドア系を５つ、あと半分は天候に左右されず、体力が衰えてもできるインドア系がよい。
・老後の計画を立てるとき、一番重要なのは住む場所。住む場所が行動範囲、友達を決める。都会か、田舎か、外国か。50歳前後から、時間を掛けて、引退後の最適値を探す。
2015年04月17日
Old Marylebone Town Hall
初来日したDean Andrew Likiermanを囲んだ同窓会は大盛況であった。翌日は、継続寄付者だけが呼ばれるランチがあり、ここでの話題の中心は現在工事中の新校舎。
それは、本キャンパスであるSussex Placeから徒歩6分の所にあるOld Marylebone Town Hall。LBSは2012年、この歴史的建物の所有者であるCity of Westminster（ロンドン市内の区）と35年間の賃貸契約を結んだ。
ここは1920年に竣工したイギリスで最も有名なRegistry Office（登記所）である。そこには、誕生、死亡、結婚の記録が保管されている。英国王室もそうだし、チャーチルもサッチャーもだ。もうすぐ来日するポール・マッカートニーは、ここで結婚登記を行った（2回）。 リンゴ・スターも、やはり２回（笑）。
改装には£60M（約100億円）掛かるので、これも含めて大学では「次の50年£100M寄付キャンペーン」を実施中（約180億円）。一昨日の話では、£88Mまで集まったらしいが、もう一息。ちなみに、この金額は、イギリスの大学が集めた寄付金の最高記録である。一人で£25M出してくれた卒業生が居て、新校舎は彼のお父さんの名前を取って、Sammy Ofer Centreと名づけられることが決まった。（写真は完成予想図）
2015年04月16日
Sir Andrew is in Tokyo!
LBS日本同窓会長を辞して3年になるが、昨晩は、久しぶりに大勢の同窓生の前で話した。その数ナント150人
日本同窓会として過去最高の人数である。その理由は当然、私ではない(笑)。5年前に学長に就任したSir Andrew Likiermanが初めて来日したのだ丁度今年は大学創立50周年。Sir Andrewとは4年前に香港でアジアの同窓会リーダー会議が行われた時に会って以来。元々は、MBA1年生の時の管理会計の先生がProf. Likiermanであった。
Sir AndrewはLBS奉職40年になり、昨晩その間の変遷について語った。40年前のLBSは学生も教員も大半がイギリス人であった。MBA学生は100人以下。短期コースに通う役員の数は年間に500人ほどだったという。
現在は、「世界一国際的」と言われる学校になった。学生の9割近くが留学生。教員の過半数はアメリカ人ということ。MBA学生は400人(1学年)。MBA以外のプログラムも増え、毎年2000人が卒業する。短期コースで学ぶ役員の数は1万人になっている。
日本同窓会も、私が関わりだした15年前は名簿で把握できていたのが100人ほど。現在は、600人の会員を擁するまでに拡大した。
2015年04月15日
理念なき資本主義の末路
イギリスのケインズ研究者による現在の「貪欲資本主義」批判。80年前のケインズの予言では、「100年後には生活水準が現在の4-8倍に達し、一日3時間働けば、人間の欲求は満たせる」とした。実際、日本の生活水準は既に戦前の10倍に達し（下図）、庶民が車を所有し、海外旅行に行くようになった。労働時間も、戦前は日曜日以外毎日12時間働くのが普通で、年間労働時間は3400時間（工場の場合）だったから、現在の1800時間はほぼ半減している。
ケインズの予言を最も実現しているのは日本なのだ。一番成功した「社会主義国」と言われる所以である。アメリカでは貧富の差が激しいし、ヨーロッパも正社員が既得権益化する一方で、若者の失業率は高い。
1960年代に先進国の多くが完全雇用を達成したのち、経済成長に舵を切ったというのが面白い。1960年代は「福祉の時代」で、日本を含め各国とも社会保障制度の充実を競った。そのために財源が必要となり、官僚制度は肥大化した。それを推し進めたのは、左派の経済学者と政治家であったが、これが現在の「貪欲資本主義」に繋がった。
さて、現代人は「足るを知る」ことが出来るか？実は、最も「足るを知る」事が必要なのは、社会保障制度であるのかもしれない。財政が健全な高度成長期に始まった社会保障制度が止められず、その維持のため、経済成長が必須になっている。なので、行き詰っていると知っていても、消費を、貪欲を煽らざるを得ない。
＊常に欲求を生み出し、終わりなき競争を煽りたてるかってケインズが描いた姿とは大きく異なる、「足るを知る」を忘れた今の資本主義貪欲は人間の本性に根付いているが、この傾向は資本主義によって一段と強められたかっては金持ちに特有の異常な性癖だった貪欲が、今や当たり前の傾向に・80年前のケインズの予言「今から100年後には生活水準が現在の4-8倍に達する」「一日3時間働けば、人間の欲求は満たせる」今日、生活水準は上昇したが、労働時間の短縮は進んでない・労働時間が減るというケインズの予言実現を妨げた要因「競争関係」「貪欲」→飽くなき欲望の追求をよしとする倫理観・1960年代「今はこの上なく良い時代だ」マクミラン英首相完全雇用の達成→経済成長が最優先目標に（左派の経済学者と政治家）・1980年代サッチャーとレーガン市場を官僚主義から解放、減税で利益追求のインセンティブを強化、民営化と規制緩和で市場拡大・1970年代未熟な個人主義経済システムは個人の満足を最大化すればよい＊広告を減らす・消費に拍車をかけているのが広告・今、大半の広告は情報提供を目的としていない・製品の魅力を強調し、誘惑すること・スウェーデンとノルウェーでは、子供向け番組で広告全面禁止・欧州の多くの国では、広告を見なくて済むように、番組の前後にまとめて放送
2015年04月14日
断食
話題の日経新聞「私の履歴書」似鳥社長も「今日」ついに覚醒！これまでは、ヤンチャで出鱈目な経営者だったが、これから今に至る快進撃が続きそうだ。
「米国のような豊かな生活を日本で実現したい」という使命を持った似鳥社長が最初にしたのは、断食だったというのが興味深い。
その後も45歳まで断食を続け、これにより「顧客のために自分をゼロにする心づもりが芽生えた」という。
古今東西、悟りを得たものは大抵断食している。キリストや釈迦もそうだ。食べ物の消化は無意識に出来るので普段意識しないが、実は、人間の活動の上で一番体力を消耗するらしい。なので、病気になって食欲がないとき無理をして食べるのは逆効果。体は病気と闘うのにエネルギーを集中したいので食欲がなくなっているのだ。そのために1週間分以上のエネルギー源は体内に蓄えられているので水分さえ取っていれば死ぬことはない。断食道場では1週間〜数週間断食をする。
断食して悟りが開けるというのも、断食することで人間が持つ能力が全て思考に集中する結果なのかもしれない。
私は父が早世したこともあり（満44歳）、結婚したころから多少健康に関心を持った。それでやはり断食してみたのだが、短かったので（2日間で減食＋3日間断食＋2日間で普通食に戻す）悟りは開けず。
さらにその後、「人参ジュース断食」を石原クリニックで実施したが、この時も、人参ジュースと生姜紅茶を飲みながらの「デトックス断食」だったので、体調は良くなったが悟りは無かったなー。
因みに、Dr南雲が言っていることもほぼ同じですね。
「米国のような豊かな生活を日本で実現したい」という使命を持った似鳥社長が最初にしたのは、断食だったというのが興味深い。
日本を豊かにするための事業の拡大。30歳からは厳しい時代を迎えるだろう。そこで荒行に耐えられるように断食道場に入った。水だけの生活をしていると、最初3日間は苦しいだけ。ところが4日目に入ると、色々な事が頭を駆け巡るようになる。厳しかった両親や兄弟、社員のおかげで生かされいる。これからはみんなのために生きるんだと。涙が止めどなく流れ、その思いをメモにした。
その後も45歳まで断食を続け、これにより「顧客のために自分をゼロにする心づもりが芽生えた」という。
古今東西、悟りを得たものは大抵断食している。キリストや釈迦もそうだ。食べ物の消化は無意識に出来るので普段意識しないが、実は、人間の活動の上で一番体力を消耗するらしい。なので、病気になって食欲がないとき無理をして食べるのは逆効果。体は病気と闘うのにエネルギーを集中したいので食欲がなくなっているのだ。そのために1週間分以上のエネルギー源は体内に蓄えられているので水分さえ取っていれば死ぬことはない。断食道場では1週間〜数週間断食をする。
断食して悟りが開けるというのも、断食することで人間が持つ能力が全て思考に集中する結果なのかもしれない。
私は父が早世したこともあり（満44歳）、結婚したころから多少健康に関心を持った。それでやはり断食してみたのだが、短かったので（2日間で減食＋3日間断食＋2日間で普通食に戻す）悟りは開けず。
さらにその後、「人参ジュース断食」を石原クリニックで実施したが、この時も、人参ジュースと生姜紅茶を飲みながらの「デトックス断食」だったので、体調は良くなったが悟りは無かったなー。
因みに、Dr南雲が言っていることもほぼ同じですね。
2015年04月13日
明治ニッポンの美
先週末、東京芸大で開催中の「ダブル・インパクト」を見に行った。ボストン美術館と芸大所蔵の幕末〜明治期の美術品を集めたもので、ダブル・インパクトとは、開国以来日本が受けた西洋からの衝撃（Western Impact）と、西洋人が受けた日本美術からの衝撃（Japanese Impact）を言う。
明治維新後、国内で見向きもされなくなった日本画や浮世絵を買い漁ったのは西洋人で、ボストン美術館は国外最大規模の日本美術コレクションを持つ。モースやフェノロサ、ビゲローがいなかったら、日本美術の伝統は江戸で途絶えていた可能性もある。当時、国宝級の仏像も「廃仏毀釈」で打ち捨てられた。
そんな危うかった時代の日本美術の歴史がよく理解できる展示。ポスターの左側は山頂で雷に打たれた菅原道真（漫画チック）、右は明治天皇に似せたという神武天皇像。明治は天皇の神格化が進んだ時代でもある。
芸大での開催は5月17日まで。その後、名古屋ボストン美術館で6月6日〜8月30日まで開催。
2015年04月12日
昭和11年のベストセラー
昭和11年2月26日。陸軍の若手将校により時の大蔵大臣高橋是清は暗殺される。元本となる『高橋是清自伝』が千倉書房から刊行されたのは、同年の2月9日であった。この大事件のせいもあり、同年のベストセラー本となったという。
本書は、それを現代語訳したもの。波乱万丈な生涯であったとは聞いていたが、本当に、面白い。当時の日本は発展途上国。いろんなことを試行錯誤しながらやっている「ベンチャー国家」であり、是清はいわばそのベンチャー企業のCFOである。
感想が三つ。
一つは、当時の里子の多さ。是清自身が幕府御用絵師が侍女に手を付けて生まれた子供。生まれてすぐに里子に出されて高橋家の子供となる。本にはハッキリした記載がないが、高橋家に子供がなかったので貰われたのだろう。大きくなるまで、特に祖母に可愛がられ、また大いに期待されて育っている。
生母はその後結婚して浜松町の塩肴屋（ってなに？）に嫁ぐ。後に是清は祖母に連れられて会いに行くのだが、産後の肥立ちが悪かったのか、女児を残して死んでいた。後妻は、先妻への義理を立て、結婚後まもなく生まれた実子を里子に出し、先妻の遺児を自分の乳で育てていた、という具合。
現代社会は不妊治療ばやりだが、こういった様子を見ると、養子をもらう方が社会全体としていいのではないかと思えてくる。日本では里子の貰い手がなく、多くは施設で育つことになる。
もう一つは、是清の官吏として働くときの覚悟。常に経済的に困らないようにしておき、正論を通すようにしていた。なので、ペルー銀山投資に失敗してすっからかんになったとき、友人が心配して官職をあっせんしてくれても、「今はダメだ」と一切を断っている。代わりに、日銀の新館工事（現、本店旧館）の建築現場の事務から始めている。その時の監督は辰野金吾（東京駅の設計でも有名）で、彼は是清が唐津藩の英語学校の先生をしていた時の生徒だった。
私も、わが身第一で何の工夫も裁量も発揮しない公務員を見てきた。ルールには目的があるはずで、その目的のためなら柔軟的にルールを運用することが正しいが、上司に相談するのも面倒だとばかり相手にしない。自分が「仕事」をしていないという自覚はあるのだろう、今の仕事以外では務まらないと思っているから、どんなことをしても職にしがみつく。
官僚には是非こういう「経済的に困ってない人」になってもらいたいものである。
最後に、当時の金銭感覚。是清は14歳で仙台藩から米国行きを許され、米国人宅にホームステイして英語を習った。帰国後はいきなり大学南校（のちの東大）の教職で、若くして金と地位を手に入れた是清は放蕩三昧の生活になる。
山っ気の多い是清は、何度か儲け話に引っかかり破産状態に追い込まれるのだが、20代から現在価値で1000万位の給与をもらい、数年経てば、翻訳の仕事などで数千万円の貯蓄が出来ていたようだ。是清は日銀総裁や大蔵大臣として活躍した人物だが、英語だけでも生活できた頃の話である。
当時の物価は書かれている状況から推測して、「1円＝現在の1万円」位だと思われる。
6:私は、安政元年（1854)に、江戸幕府お抱えの絵師・川村庄右衛門守房と川村家の侍女・北原きんとの間に生まれた。生まれて3，4日もたたないうちに、仙台藩の足軽・高橋家に里子に出された。9:住職から聞いて浜松町の塩肴屋へ行くと、後妻のおすずが、亡妻の遺児おかね（私の義妹）を抱いて乳をふくませているところだった。おすずは先妻への義理を立て、結婚後まもなく生まれた自分の実子を里子に出し、まだ幼い先妻の子おかねを自分の乳で育てていたのだ。94:東京へ帰ってから福井をつかまえて責めつけたが、福井は逃げ惑うばかりだ。二千円の金で牛を買ったというのも真っ赤な嘘で、どんどん化けの皮がはがれてくる。とても信用できないので、二千円の金は服部くんと私とで野村くんに弁済して、牛馬養豚事業は打ち切ることにした。東京英語学校を辞してから、思えば、あらぬことに心を惑わせたものである。167:敷地1527坪、その中には西洋館もあれば日本建築もあってかなりの屋敷であったが、いよいよ処分することになったら4500円にしか売れなかった。この金を手元の1万円に足して、やっと未払いの後始末をつけた次第である。168:これまで私は、いつでも官を辞して差支えないだけの経済的用意があったのである。したがって、上官のいうことでも、もし間違っていて正しくないと思うときには、敢然とこれと議論してはばかるところがなかった。けれども、今や私は、衣食のために苦慮しなければならない身分となっている。到底以前のように精神的に国家に尽くすことはできない。ときによれば自分の意に合わないことであっても、上官の命令であればこれを聞くことを余儀なくされることもないとは限らない。こんな境遇の下で官途につくことはよろしくないと、私は考えた。209:民間においては、ある計画について、その基礎的調査研究をなすことは極めて稀であって、ややもすれば世間知名の士の名前を連ねて、それのみで信用を得ようとする。人々またその名を見て株を持ち、一度募集すればまだその実績を見ざるうちにプレミアムがつくというようなありさまです。欧米の実業界においては、新たに事業を起こしたり会社を設立したりする場合は、まずその基礎的計画はどうするか、これを担当する人間をどうするか、それを研究し検討し、この二つのことが備わってはじめてカネが集まるのであります。
236:幸いなことに旧友のシャンド氏が、今はパース銀行のロンドン支店長をしている。早速、同氏に会い、その紹介で頭取のバー氏、本店総支配人のダン氏などにも面会した。また、香上銀行、チアター銀行、ユニオン銀行などの幹部諸氏やベアリング紹介のレベルストック卿とも会見した。
2015年04月11日
貞光の「二重うだつ」
「うだつの町並み」といえば、四国では脇町が有名。藍商人によって栄えた街で、周辺で獲れる藍をここに集め、吉野川の水流を利用して大阪方面に売っていた。ピークは江戸時代から明治にかけてで、その後、合成染料がドイツで発明され、藍の需要がパタリと無くなってしまうのである。
「うだつ」とは隣家との境界に取り付けられた土造りの防火壁のことで、これを造るには相当の費用がかかったため、裕福な家しか設けることができませんでした。 すなわち「うだつが上がる」ということは富の象徴であり、「うだつの町並み」は当時の繁栄を物語っています。 各家々のうだつには家紋や細工が施され、その豪華さが商人の権威を表しています。それは見事な芸術品といってもいいほどの手の掛け様です。
脇町と吉野川を挟んだ対岸、つるぎ町貞光にもうだつがあることを最近知った。橋を架けることが困難であった昔、吉野川北岸の商業都市となったのが脇町で、同様に南岸で栄えたのが貞光ということなのだろう。
残っている建物の時代は脇町より少し新しいようだが、その分、建物は2階建てが多く、「二重うだつ」になっている。写真は、町の保育所
になっている建物。古民家利用の保育所は初めて見た。その並びには国の登録文化財になっている「織本屋」がある。2015年04月10日
敗者のゲーム
1985年の初版以来、パッシブ投資のバイブルとなった本書も30年を経て、今や第6版。それだけ現代における投資の原則を明瞭に語った名著である。これを読まずに資産運用するのはやめた方がいい。欧米のプロ運用者でこれを読んでいない人は居ないと思うが、日本で聞くファンド運用失敗の例を見ていると、このバイブルも読んでない素人が運用しているのではないかと疑わしくなる。
＊自分自身の目標と限界を確認し、それをもとに運用方針を策定する・年間成績では約6割のファンドマネージャーが市場平均を下回る・資産運用は、最近数十年間で「勝者のゲーム」から、「敗者のゲーム」に変わった敗者がミスを重ねることで勝敗が決まる。それは、優秀な専門家がいる機関投資家が多数現れ、市場を支配したから。市場では個人投資家に勝ち目はない。（90:10だったNYSEの個人投資家：機関投資家比率は、今日では、5:95)・市場の歴史を学ぶ歴史的に見れば、驚くような相場などめったにない。時折異常事態は起こるが、統計的には想定の範囲内。・投資で勝つための最も簡単な方法は「インデックス・ファンド」の活用相対的にリターンが高く、便利で、運用目的や長期的投資方針と言った最重要課題に専念できる。・一生を通じて運用に成功するための課題は、「己自身を知れ」自身の資産・負債の目標を理解し、自分にとって何が本当の成功かを確認する。そうしなければ、しばしば利益に反するように動く感情を、理性でコントロールできない。・年に一度、自らの長期運用目的、運用実績などを検討する資産配分の実績をチェックし、基本方針とのずれを修正する。
2015年04月09日
松賀屋
仁尾はスゴイ。
江戸時代から昭和中期まで塩田で栄えた。どのくらい栄えていたかというと、1906年（明治39年）に高松⇔丸亀⇔琴平線を運航していた山陽鉄道が国有化され、さらに路線が延長され松山まで結ぼうというとき、「そんなものは要らない」と断ったという噂がある。その真否はともかく、結果的に鉄道は塩業と塩を使った醸造業、それにその積み出し港として賑わっていた仁尾を通らず、高瀬を通り抜けることになった。
やがて、物流は海から陸に移る。さらに、戦後、塩田は姿をけし、1970年以降はイオン交換膜法で専売公社の工場で造られるようになる。こうして高度成長から取り残された町には、栄華を誇った屋敷や社寺が残されることになった。
その代表が松賀屋。塩業で財を成した塩田家の旧宅である。松賀屋は屋号。戸主は代々忠左衛門と名乗った。
40年ほど空き家になっていた松賀屋を買い取ったのが一般社団法人「誇」。昨年から清掃を開始し、現在、一部をイベントなどで使用開始している。
先週末、メンバーの方にお願いして、見学させていただく。宝の山
これを今から造ろうとしたら、いったい何十億円掛かるのか？いや、再現もできないような、失われた職人技もありそうだ。本格的な修繕はこれから。海側のゲスト棟は傷みが激しく、買取時には既に取り壊されていた。どうやって保存し、かつ、活用できるか？収益を生まなければ、永続的な保存もまた不可能だ。
2015年04月08日
バイオ研究者はなぜ不正するのか
STAP研究不正事件では、「研究者が不正をするのか」と世間は驚いたが、業界関係者は誰も驚かなかった。私の高校同級生のバイオ研究者もそう。「再現出来ることの方が稀」なのだという。
実際、この10年間でも、
・東邦大学医学部 藤井善隆 172本の論文にデータ捏造（世界記録
）・理化学研究所 血小板形成論文 データ改ざん
・大阪大学医学部 データねつ造
・東京大学 論文の再現性、信頼性がないとして懲戒解雇
など枚挙に暇がない。
「文科省が予算をつけ大学院を拡充→需要が無くてもドクター製造→過当競争」という流れになっている。ドクターは本来研究者だから、本当に優秀で、本当に研究の好きな人がなればよい。
・分子生物学は病気の発生のメカニズムの解明、薬の開発、食物の増産など各種分野で欠かせない・バイオ研究は人手が要るが、大学や研究機関などには常勤の研究者ポストは少ない。研究費がある期間だけ雇われるのが有期雇用の「ポスドク」で、研究業界の「雇用調整弁」・博士号取得者は1981年に6599人、1991年に10,885人、2006年に17860人、以降は16000人前後・大学院博士課程の新卒者が大学教員になれる割合は1割程度。日本ではバイオ産業の規模が小さいため、民間企業就職も厳しい。・バイオ研究者が不正に手を染めるのは、それが得になるから。研究者は論文で仕事を評価されるので、どんな手段を使ってでも論文を載せたいと考える。
2015年04月07日
Museu Pele
サントスでもう一カ所訪問したのが、「ペレ博物館」。サッカーに興味のない私でも知っているのがペレ。「20世紀最高のサッカー選手」あるいは「サッカーの王様」とも言われている。3度のワールドカップ優勝に貢献し、ブラジルサッカー黄金期の中心人物だ。1995年から3年間、ブラジル初の黒人閣僚としてスポーツ大臣も務めた。
出身はサンパウロ州ではなく隣のミナスジェライス州だが、長年活躍したクラブはサンパウロ州のサントスFCで、今もサントスに住んでいるらしい。
ブラジルの治安の悪さは有名だが、面白いエピソードがある。ペレはこれまで強盗に2回襲われているが、2回とも相手がペレと分かると、強盗が謝って返品している
金持ちだから狙われるのが普通なのだが、英雄ペレからは盗らないのがブラジルの強盗なのだ。写真：連れて行ってくれたヤスコさんとハンド
2015年04月06日
経済成長なしでも日本人は豊かになれるのか？
「日本には成熟戦略が必要」には勿論、同意する。しかし、20年間低成長でも国民が豊かさを維持できたのは、この間に1000兆円にも上る国債を発行して、借金で支えたからに他ならない。氏が手本に上げる西欧の税＆社会保障費の国民負担率は50%以上である。日本は30%でアメリカを除けば先進国で最も低い。欧州先進国並みの福祉を提供しながら、自己責任が原則のアメリカ並みの「料金」しか取ってないのだから、財政赤字になって当たり前なのだ。
40%程度にまで国民負担率を上げるとともに、社会保障費をその負担で均衡するように削ることが必要だ。大蔵省出身の榊原氏がその点に触れていないのは、本を売るために敢えて楽観的にしたとしか思えない。
・過去20年、日本の実質GDP成長率は1%弱
物価上昇率ゼロで、経済的には安定→「停滞」ではなく「成熟」・欧州先進国も似たようなもの
成長→成熟は自然なこと。・アメリカが成長を続けるのは、先進国の中では例外・日本は2000年頃からデフレ（物価＆賃金下落）←グローバリゼーションによる構造的要因・日本が世界のトップランナー：自然環境、低犯罪率、長寿命・日本に必要なのは、成長戦略ではなく成熟戦略「環境・安全・健康」を世界に発信
2015年04月05日
Bolsa Oficial de Cafe
19世紀半ばから長年にわたってブラジル経済を支えてきたのはコーヒーであり、その輸出港として栄えたのがサントス。そこに、「コーヒー博物館」Museu do Cafeがある。建物は、1922年に出来たコーヒー豆取引所で、建物が素晴らしい。ここでコーヒー豆のオークションが1950年代末まで行われていたという。
そして、そのコーヒー園で働いたのが日本人たちだ。大半の人は「いいお金になる」と言われ、数年の出稼ぎのつもりで渡った。ところが、労働条件は当初聞いていたものと違い、農奴のように働かされ（そもそも、それまでの黒人奴隷の代用だった）、何年経っても帰国の船賃も貯まらなかった。こうしてブラジルに定住したのが戦前に「移民」した一世達なのである。
コーヒー博物館には、当然、カフェもある。ここでコーヒーを飲みながら50日余りも船に揺られて太平洋を渡った一世達に思いをはせた。この港は、コーヒーの輸出港であるとともに、日系移民の到着する港でもあった。
2015年04月04日
小型カメラの元祖を造っていた欽ちゃんのお父さん
高松稲門会花見で昨晩は高松泊まり。宿に戻ってTVをつけたところやっていたのがNHK「ファミリーヒストリー」。 有名人の本人も知らない祖先のルーツを探る番組で、昨晩は、萩本欽一（欽ちゃん）をやっていた。
欽ちゃんの父「萩本団次」は小豆島出身の実業家。大正時代小豆島を出て、上野のカメラ店で修業をする。その後、独立。戦時中カメラの生産は中止となり、二束三文となったカメラ部品を借金をして大量に買い込む。占領下の東京で、進駐軍相手にカメラ屋を開いて大儲けする。一時は、都内に4店舗を構えていたらしい。家にはお手伝いさんと、子守がおり、何不自由ない暮らしだったそうだ。
1947年GHQはフィルムメーカーに写真用フィルムの製造を禁止し、レントゲンフィルムを増産するように命令を下す。そこで、団次は映画用の35mmフィルム（ポルタフィルム）を使用する小型カメラの開発に乗り出す。DAN35と名付けた手のひらにも載る小型カメラは1948年、ライカが10万円以上、ニコンが6万円した時に、3000円という破格の値段で売り出された。
ところが、これが全く売れない。3000円は当時の大卒初任給にあたり、まだ食うに困っていた一般人が買うにはそれでも高すぎたのだ。また、35mmフィルムはアメリカでは普及しておらず、進駐軍の兵士も興味を示さなかった。
1950年、在庫を抱えた団次の会社は敢無く倒産する。一家は夜逃げし、団次は金策に走り回り、家には寄りつかなくなる。母は気丈で、まだ幼かった欽ちゃんが「なぜ父ちゃんは帰ってこないのか」と聞くとこう言っていたのだという。
「男の人は仕事をしていたら家に帰ってこないもの」
さらに、欽ちゃんが、
「でも、よそのお父さんは毎日家に帰ってきている」
というと、
「よそのお父さんは、仕事してないから」
と答え、中学校になって、借金取りが家に来るまでそう信じていたそうだ
そんな母を楽にさせたいと、高校を出てすぐ浅草のストリップ劇場でコメディアンの修行を始めた欽ちゃん。その頃、家族は「解散」し、年長だったものは自活を始め、姉は嫁いでいき、母とも10年以上音信不通だったという。父親ともそれきりで、二度と会うことはなかったというから昔の一家離散はスゴイ。
その父親の消息が今回の番組の取材で分かった。団次は親戚の経営する高松の写真店に身を寄せていたのだ
そこで定年まで働き、欽ちゃんが有名になってくると記事の載った週刊誌を買っては、「俺の息子だ」と同僚に配っていたらしい。団次の小型カメラは10年早かった。1950年朝鮮戦争特需で息を吹き返した日本経済が、やっと戦前の水準に戻るのは1955年以降である。「もはや戦後ではない」と経済白書に書かれたのは1956年だ。
2015年04月03日
追い風の今、日本企業がやるべきこと
あくまで日本の大企業の話。私が居たベンチャー業界では、基本的に、「一事業＝会社」なので、当てはまらない。でも、「どんな仕事でもいいからこの会社に居たい」とスキルもないのにしがみつこうとしている大企業社員を見ると、「会社より事業に」は分かるね。
バブル崩壊以降、日本企業低迷の原因１．グローバル化に立ち遅れた1990年段階で、米国＋日本のGDPは世界の45%。国内市場が大きかったため、新興国市場を積極的に攻めなかった。２．デジタル革命の波に乗り遅れたデジタル革命とインターネットの普及によって誕生した新産業は、意思決定に時間を掛ける大企業ではなく、機動的なベンチャー企業に有利だった。３．「ムラ型メンタリティー」が改革を阻んだ調和を保つことを最優先する共同体主義的なムラ型メンタリティーが、環境変化に対応するための改革を阻んだ日本企業が再び世界の覇権を取り戻すためにすべきこと・事業部単位での「選択と集中」・社員のマインドセット&ロイヤリティの置き所を、会社ではなく事業へと変えていく・事業を黒字のうちに売却する。そうすることで、その対価を新規事業の成長原資に回すことができる。・企業が最高益の年にリストラする。好景気の時であれば、人も事業も買い手が見つかりやすい。・「儲けること」と「稼ぐ力」にこだわる。
2015年04月02日
後藤塗
香川に漆器のイメージはないだろうが、実は、5つの流派が国の伝統工芸品指定を受けている。どの工房も小さく、地元の需要を主体に、外に出ていかなかったので知名度が低い。
私のお勧めは、さぬきうどんを漆器で食べること。朱の器なんかだと、透明に近いだしの中で真っ白なうどんがよく映える。流石に、セルフで漆器の器は出ないけどね。
2015年04月01日
教員生活総括
１．教員という職業の特殊性
「聖職」はもはや死語かもしれないが、やはり、教師という職業は特別である。なにしろ、毎年新入生が入り、授業を教え、1年後には2年生が出ていく。たった3年間しかいなくても、授業とゼミで50人ほどの「教え子」が出来た。教え子と教師の関係というのは、他の職業にはない特殊性だろう。
２．教員は貧しい
私の場合、専門職大学院が本業であったが、その給与だけでは生活できないので、地元の私立大学の非常勤講師も行った。博士号がないので、教授になれないことも低給与の一因である(かと思うと、官僚出身だと大卒でいきなり教授なので、それも絶対では無いようだ)。統計によれば、日本では50歳であればほぼ全員が教授になっていて、准教授との給与差は3割ある。逆に言うと、30歳前後で任期なしの職に付さえすれば国家公務員になり、65歳の定年まで給与は上がり続けるので、長く務めるのが有利になっている。
３．教員は忙しい
入る前は、「給与も半分、仕事も半分」位に思っていたが、仕事の自由度が高い分、仕事の範囲を増やすと際限がない。教員の仕事は、�仝Φ罅↓�教育、��社会貢献、�ど嫗飴�務なのだが、何れも仕事の範囲の明確な定義がない。このうち、実績として残るのは研究成果だけなので、研究者として上を目指している先生は、これに集中する。学生からの授業評価が悪くてもそれで給与が下がるわけでもなければ、まして、クビになるわけでもない。私の場合、任期が限られていることもあり、「やったことのない事には挑戦してみよう」というスタンスでやったので、際限なく仕事が広がってしまった。
４．社会性に問題
写真は最終出勤日に撮ったお手洗いの写真だけど、1年中こんな感じ。毎日業者が掃除に来るのだけど、毎日汚す人が居る。思わず、「出かけるときはティッシュとハンカチを忘れないように」幼稚園の時教わらなかったの？と聞きたくなる。共用の流しも汚し放題。人の迷惑を考えない人が一般社会より多いことは間違いない。こんな人たちが学生を教えて大丈夫か？と思う。社会が求めているのは、研究者ではなくて、取引先から信頼され、同僚と一緒に仕事ができる常識人である。
