2015年03月
2015年03月31日
四国TLO
先週、任期の最後の最後におこなったセミナー、「地域社会が求めるアカデミアの知の活用」は幸い大変好評であった。第一部の、松田修一先生による基調講演では、政府のベンチャー政策にも深く関わる松田先生から貴重な話が聴けた。第二部の「事業計画発表会」では、地元を代表するベンチャー3社に事業内容と今後の展望について発表していただいた。
そして、第三部は「大学発ベンチャーへの期待と課題」と題したパネルディスカッションだったのだが、ここで初めてお会いしたのが徳島大学産学官連携本部と四国TLO代表取締役専務を兼務する坂井貴行教授。聞けば、徳島大学に移るまでは、関西TLO取締役として実績を挙げられた方。TLOが専門で、数字をあげることで勝負している。
2012年まで徳島大学の年間技術料収入は3-5百万円であった。これでは、産学官連携組織を作るだけで赤字である。止めた方がいい。
それが、坂井教授が入ってから、2014年度の技術料収入は1億円を超えた（契約ベース）。これでも、民間企業と比べれば「零細企業」水準だから、組織として独立し、さらに本来期待されている大学の研究を支えるようになるには「中小企業」レベルの10億円を超えることは必要だろう。
日本の大学では東大がようやく「中小企業」レベルに達したらしい。
2015年03月30日
菊池寛記念館
高松最後の日曜日は雨。
大学のすぐ隣にある中央図書館で午前中を過ごすことにする。その図書館の上にあるのが、「菊池寛記念館」。実は入ったことがなかったので、入ってみた。入場料200円なので大したことないだろうと思っていたが、これがとんでもなく充実していた。高松に生まれた菊池寛の生涯を通した展示物の他、菊池寛が創設した「芥川賞」「直木賞」の歴代の受賞者紹介、そして、受賞作品が広いスペースにゆったりと展示してある。
そして、日曜日にも関わらず、見学者は我々だけ。あれだけの展示物を維持し、職員を専任で付けているのだから人件費位入場料で稼げるように努力するのが筋だろう。あの調子だと週に30人、年間1500人、そのうち1/3は65歳以上で無料で、私の年間収入予想は200円x1000人で20万円。団体客がたまに入って＋10万円位か。どう考えても関心のある人しか見に来ないのだから、価格弾力性と内容を考えて、入場料は1000円位が適当だと思う。
本提案を高松市の関係者が見る可能性は低いし、見ても、大抵の公務員は市の財政なんて自分に関係ないと思っているから値上げされる可能性はないだろう。何れにしても、文学に関心のある人は訪れる価値がある。昭和23年に死んでしまった菊池寛は知らなくても、菊池が設立した文藝春秋社や「芥川賞」「直木賞」は知っているだろう。しかも、「芥川賞」「直木賞」のコーナーは無料である。
2015年03月29日
浦島太郎伝説
夏の海水浴やサイクリングで子供の時から親しんでいるのが荘内半島。そこには「浦島太郎伝説」がある。いや、伝説だけではない、その地域の名前は遅くとも室町時代には「浦島」と記録され、浦島太郎の生まれた集落（生里）、亀を助けた浜（鴨の越）、玉手箱を開けた場所（箱）、玉手箱から立ち上った白煙が紫の雲になった山（紫雲出山）がある。
極めつけは、浦島太郎のお墓で、両親の墓に挟まれて三つの風化したお団子状の墓が箱地区に残っている。 伝説によれば、太郎が郷里に戻ったとき、既に両親は亡くなっていた。太郎も箱を開けて一瞬で老人になってしまったから、結婚もせず、子孫も残さなかったのか。
何れにしても風光明美な場所なので、オススメ。写真は、紫雲出山山頂から見た瀬戸内海。眼下に、太郎の墓がある箱地区集落が見える。
2015年03月28日
Wheeler Dealers
ブラジルへは長い長いフライトだったのでここぞとばかり映画を見たが、それも興味のあるものを2本も見れば食傷気味になる。合間に「TV番組でも」と思って見つけたのが、Discovery ChannelのWheeler Dealers 。英Attaboy制作で、MikeとEddの二人が古い中古車をレストアして儲けるという番組。結局機内で見られるエピソード4本全部見た。Morgan、Ferrari、BMWにスズキJimnyも！対象はクラッシックカーと言える戦前のものから、20年くらい前の車まで多様。
陽気なMikeが売買を担当し、メカニックのEddがレストアするのだが、Eddのレストアの手際が見事
これはショーなので当然編集されているとは思うが、車の状態に応じて的確に方針を決めて実行する。今回見たエピソードでは、一台当たり平均数十万円位の粗利益を出していたが、中にはレストアしたものの公道走行許可が取れずに赤字で売却したJimnyもあり、番組でなかったらあれで生活するのは難しそう。日本でもCSで放送しているようなので、Discovery Channelが見られる方はチェックしてみてください。
2015年03月27日
カラー舗装
本blogでも何度か書いたが、香川県民の交通マナーは悪い。マナーが悪いだけでなく、実際に死亡事故率は全国ワースト１（今年度）である。これも以前書いたが、うどん県民はうどんをのんびり食べているわけではなく、せっかちな県民性が早く食べれるうどん好きにしたのである。
そのワーストを返上しようと2年前から、県道のカラー舗装化が始まった。その他の標識整備も含めるH27予算で13億円である。1年目は、ビデオにある通り、一時停止が赤くなった。次は、交差点全体が青くなった。他の県では見たことが無いので、香川県独自ではないか。
問題はその効果である。県では一時停止を赤く囲んだことで「実施後1年間で事故が半減した」とその効果を自画自賛しているが、人間は何か変わったことがあると、最初注意するのは当たり前のことだ。問題は、人間は慣れの動物でもあることで、何度も通って、「これまでの交差点と何ら変わらない」ことに気づけば、それまで通りのやり方に戻る。
検証にはもっと長期間掛かるだろう。同じ交差点の2年後、3年後のデータを見てみたい。
2015年03月26日
心と体のメタボからの脱出
アメリカの健康ブームは30年前には始まっていたと思う。ロンドン留学時、私はそれまで運動習慣がなかったのだが、一日中机にかじりつく生活で気が滅入った。そこで、気分転換のため、同じ寮に住むアメリカ人の同級生Scottに付いてジョギングを始めた。何しろ、大学の目の前はロンドン最大の公園リージェンツパークである。学期中は、毎朝、Scottと走った。同級生を見ていると、アメリカ人＞イギリス人＞欧州大陸の順で運動熱心だった。
卒業後、アメリカで働くことになった私は、そこでもアメリカ人の運動好きを目の当たりにした。「仕事ができるやつは自己管理が出来ていて、運動も生活に取り入れている」という共通認識があるらしく、エグゼクティブ程熱心。出張しても、必ず、シューズと運動着を持参して、運動している。ビジネスホテルには必ずジムがあった。太っていて、食事にも無頓着なのは、ほとんどが低所得層だった。
日本での昨今のランニングブームや健康ブームを見ていると、今でも、「アメリカで流行ったことは日本でも流行る」は言えるのだな、と思う。
＊人生はいつも今から常に目標を持ち、その達成に向けて行動する意欲があれば、人生を上り続けられる。・体力アップを目指す「攻めの健康法」と、有酸素運動と規則正しい生活を基本とする「守りの健康法」・頭の良さは、脳にどれだけ酸素を供給できるかで決まる脳細胞は、筋肉の20倍くらいの酸素が必要。有酸素運動を一定の時間継続すると、頭の血の巡りがよくなる。・脳の活性化食事で30-50回は噛む舌出し体操（口を大きく開け、舌を思いきりだす）・目標を立てる際のヒント�ヾ蔽韻覆海箸�ら始めて、クセをつける�△笋辰討澆燭�ったけど諦めていたことがないかを考える��できるだけ繰り返しを避けて新しいジャンルに挑戦する
2015年03月25日
日本はレゴのような国
シンガポールの首相を長年務めたリー・クアンユーが亡くなった。シンガポールには、遅ればせながら、昨年12月に初訪問した。近年急速に発達した人工都市であまり魅力を感じず、これまで行く機会がなかったのだった。
しかし、たった188万人の人口で1965年に独立したばかりの資源もない小国が、40年で日本の平均所得を上回り、アジア随一の豊かな国になったことを常々尊敬していた。都市競争ランキングでも、シンガポールは東京を上回るアジアNo.1である（図）。
朝日新聞にあった過去のインタビューが面白かったので、引用したい。
1993/6
・日本の国民はなぜ、自民党を変えようとするのか。変えていったいどうするつもりだ。
・大いなる間違いだ。自民党による政治の安定があったからこそ、これまで日本の経済の発展もあったのではないのか。
・宮澤のようなリーダーを使い捨てにするとは・・・・。まったく分からない。
1996/11
・日米関係が日中関係、米中関係より、より深い関係が望ましい
1999/12
・日本はレゴのような国だ。それらは寸分の違いもなく規格化され、あまりにもがっちり組織をつくってしまう。しかし、いまはどの社会も個人の力を最大限引き出さなければならない。世界中の才能を使わなければならない。それらがレゴにうまく入るだろうか。
2003/9
・中国という国はユダヤ人でさえ消化してしまったほど消化力の強い社会だ。しかし、その中国もムスリムだけは消化できなかった。いま中国には130百万人のムスリムがいる。
リー首相が最も評価した日本の政治家は宮澤喜一であった。1993年、宮澤首相の提案通り公的資金を投入しておけば、後に日本経済があれほど低迷することはなかった。投入が5年遅れてしまい、その間に問題は急拡大し、結局当初の10倍の資金が掛かったうえ、回復に10年を要することになった。
2015年03月24日
讃岐ジオパーク構想学術連携推進シンポジウム
ジオパークとはユネスコが支援する世界ジオパークネットワークが推進する、「大地と人間との関わりをテーマとした地域丸ごとの公園」である。本blogでも、度々触れてきたが、3年前に香川大学に入ってすぐ、工学部の長谷川修一先生と出会い、以来、協同して大学での「讃岐ジオパーク構想」の推進を図ってきた。
年間活動の総括ともいえるシンポジウムを、先週末に香川県立ミュージアムに100人以上の参加者を集めて行った。これで3年連続である。昨年は、「自治体連携」がテーマで、県下8市の市長全員＋小豆島の塩田町長に参加いただいた。
今年は、「学術連携」をテーマとし、県下の高等教育機関全てに参加いただいた。その中で、基調講演をお願いしたのは四国学院大学の田尾和俊教授。現在の製麺所タイプさぬきうどんブームを巻き起こした、麺通団の団長でもある。『恐るべきさぬきうどん』当時は、地元タウン情報誌の編集長であったが、その後、大学に転じ、マーケティングや情報発信を教えれている。吉本興業とエージェント契約されている大学教授は珍しいのではないか。
その田尾先生にお願いしたのは、「どうしたらジオパークに関心を持ってもらえるか？」 そこで、基調講演テーマは「レジャー素材としての香川の山と岩」となった。長年、タウン情報誌で、「どうしたら若者たちを動かせるか」に腐心されていた田尾先生。まずは目的を明確にすることだという。
告知の目的には、
１．知ってもらう
２．興味を持ってもらう
３．行動してもらう
の三段階があり、だんだんと難しくなる。最終目的をどこに置くかで、そのステップとなるアプローチも違ってくるという。
また、「素材としての自然は厳しい」という。ごく少数の「圧倒的な自然」を別にして、 ちょっと変わった山、ちょっときれいな海位では人は動かない。それをどう見せることで、足を運んでもらえるか。ジオパークを一部のマニアのためのものでなく、広く興味を持ってもらい、訪問してもらえるか。
もう一度考える必要がありそうだ。
2015年03月23日
「社内政治」の技術
「人間は政治的動物」だということだよね。組織あるところ、必ず「政治」あり。
・「組織内政治」に対処することも、重要なリーダーシップ・スキル・政治力のある人は、権力を手に入れ、人より早く昇進する・どこの企業にも様々なタイプの策士がいる。誰もが味方ではない。「信頼せよ、けれど検証せよ」Ronald Reagan・どこに権力があるか→「権力マップ」を作る誰が誰とランチに出かけているか？会議で誰が誰の発言を遮るか？誰が資源を管理しているか？影響力を持つ人を昼食に招き、成功の秘訣を教えてもらう・組織で生き抜くには、権力の理解に続き、自分やチームに対する周囲の認識を管理する必要�．�ャリアアップを図るには、周囲の認識をどう管理するか？�△匹Δ垢譴仄�囲の認識を変えられるか？��どうすれば自分が変わったことを周囲に伝えられるか？・周囲の認識管理の一環として、自分の「ブランド」の管理・ブランドに息吹を与えるのが「ストーリー」素晴らしいストーリーを語ることで、忠実な部下を確保し、アイデアを売り込み、変革を進めることができる。
2015年03月22日
The Theory of Everything
JFKからNRTへの帰りに見たのが車いすの理論物理学者ホーキング博士と、博士を支えた元妻ジェーンとの関係を描いた英映画「博士と彼女のセオリー」(2014)。ALSという難病ながら宇宙物理学の分野で著名なホーキング博士のことは知っていても、これまで私生活には興味もなく、知らなかった。
ケンブリッジ大学の大学院生であるスティーヴン・ホーキングはパーティで同じ大学の文学部生ジェーンと知り合う。やがて二人は結婚を意識するようになるが、スティーヴンがALSを発症し、余命2年と宣言される。周囲が反対する中二人は結婚。スティーヴンは研究を続け、 無事博士号を取得する。この頃のジェーン役Felicity Jonesがすごくカワイイ。
余命2年と宣言されたものの、博士は研究を続け、現在でも存命（73歳)。ジェーンとの間に子供が3人いることはこの映画で初めて知った。ジェーンは3人の子供の子育てと、博士の介護を続ける。博士は世界的に有名になり、これで純愛物語はハッピーエンドかと思ったら、そこはイギリス映画である。人生はそう単純ではない。
ジェーンには、子育てや介護を手伝ってくれた牧師との浮気もあるのだが、牧師が身を引いて終了。ところが、周囲の勧めもあって、介護士を頼んだら、博士がこの介護士と出来てしまう
この時博士は50歳を超え、ALS発病から30年経っている。流石、世界的研究をする方は元気なのであった。 2015年03月21日
第二次世界大戦を決した発明
ブラジルからの帰り、AAの機内で見たのがイギリスの天才数学者Alan Turingの生涯を描いた「Imitation Game」。 第二次大戦中、連合軍はドイツが使っていた暗号システム「エニグマ」をどうしても解読できなかった。「エニグマ」はそれまで使われたどの暗号システムより強固で、これを破るのは不可能と言われていた。そこで、イギリス中からトップの数学者や言語学者が集められ、極秘プロジェクトが始まる。
同じく「エニグマ」についてのイギリス映画(2001)を以前見ていたので、エニグマの解読ストーリーについては知っていたが、その中心人物のアラン・チューリングが、その後同性愛でイギリス政府に告発され（当時の英国で同性愛は犯罪）、強制的に治療されていたことは知らなかった。チューリングはその薬物治療の最中に自殺している。
当初、世界大戦はドイツ有利に進んでいた。それを見て日本も三国同盟を締結して、枢軸国側で参戦することになる。既にフランスは降伏していて、実質的にドイツ対イギリスの戦争になっていた。これをひっくり返すことになったのは、�．劵肇蕁爾砲茲襯熟⊃�略、�▲▲瓮螢�参戦、�Ｏ�合国側の科学技術だと思う。��で大きかったのは、レーダーの発明と暗号解読だろう。
この映画でも描かれているが、イギリスは戦時中、暗号が解読されたとドイツに気づかれないよう、統計的に偶然と見なされる範囲でしか使わなかった。そのため、暗号解読で攻撃されることが分かっていても、敢えて回避しなかった。目先の犠牲よりも、戦争に勝つことが最優先だったのである。
戦後もこのことは最高機密で、ようやく情報が開示されたのは50年経ってからであった。Alan Turingの名誉が回復され、戦争勝利への多大な貢献でエリザベス女王から顕彰されたのもその後だった。
2015年03月20日
ブラジル総括
到着後の第一印象は、「何をするにも時間がかかる」だった。
空港の手続き、果てしなく続く渋滞、ちょっと変わったことを頼むと途端に凍りつくホテル受付などなど。日本で瞬間に済むことに10分、20分と掛かるのだ。3日経ってパラグアイに出るときには諦めの境地に居た。イライラしても事態は変わらない。説明しようにも、英語が通じない。
ところが、本当の発展途上国のパラグアイに行くと、道路はガタガタ、その道を長距離バスで5時間も延々と走る。人口1100万人の南米最大の都市サンパウロに帰ってくると、地下鉄はあるし、ビルが連なっており、「ああ、やはりブラジルは南米の雄だ」と実感した。
ブラジルは米国に似ている。共に巨大な大陸国家であり、移民国家であり、大統領制の連邦国家で、天然資源が豊富で、車社会。貧富の格差は激しく、人口は増え続けている。ブラジルも米国位発展してもよさそうなものだし、実際、1973年の石油ショックまではブラジルの方に未来があると信じ、日本だけからでなく世界中から多くの移民が海を渡った。
石油ショックは世界中を襲ったが、先進国はこれを克服し、ブラジルはその後遺症が長く残った。大企業が強くて、経営資源がそこに集中し、閉塞感が強いという意味では日本に似ている。構造改革の必要性が認識されているが、既得権者の政治力が強くて改革が遅々として進まない点もそっくり。
独自技術を持つ意外な企業があるが、国際展開があまり進んでいないという点でも似ているかもしれない。航空技術、銀行、ファッションはブラジル人の創造性を活かしている。
異国の厳しい環境の中で、「日系人なら信用できる」という名声を確保してきた一世、二世の努力には頭が下がる。今後、世代的に中心となる30代の三世たちがこれまで通り日本人としての独自性を保つのか、それとも一世代早く移民した米国の日系人のように、完全に現地化してしまうのか、興味深い。何れにしても、ブラジルの150万人に上る日系人コミュニティは、日本にとって、重要な同胞だ。相互交流を続けていきたい。
インタビューを終えての感想：「もっと日本人も頑張らないと」
ブラジルの複雑かつ不明確なルールの中であれだけのことを成し遂げている日系人起業家が居る。経営資源が何でも揃って、信頼できる公平な社会システムがあり、勤勉な労働者が居る日本は、彼らからしたら「天国」。現地の日系人が誇れる「本家」でありたい。
2015年03月19日
日本人は宗教を信じていないとしたら、どのように道徳を学ぶのか？
先日、大手前中学・高校で行った講演では、日本での革新的な大学の例として国際教養大学（秋田）を挙げた。以前も、本blogで中嶋初代学長の本を紹介したことがあるが、中嶋学長のビジョンと、県立と言うガバナンスの工夫で5年で再難関校の一つになった。
その国際教養大学で、全学生が読んで学長に感想文を提出しないと卒業できないというのが『武士道』。新渡戸稲造が「日本人は宗教を信じていないとしたら、どのように道徳を学ぶのか？」という西洋人からの問いを受け、英語で執筆したもの。BUSHIDOは世界中でベストセラーになり、セオドア・ルーズベルト米国大統領が30冊も購入して家族や関係者に配ったことは有名。日露戦争でルーズベルト大統領が講和のための労を取ったことにも影響していると考えられる。
実は、こちらの学校では『武士道』を中高生にも読ませたいと、副理事である倉田先生が、「新訳」を出されていた。内容は勿論これまでと同じだが、分かりやすい日本語で書かれていると同時に、各章末に入るコラムが面白い。これなら、歴史と絡めて、中高生も興味深く読めるだろう。
コラム�［薺恵里蕕困粒姐饋佑鮖造辰浸�摩藩士を天皇も民も拍手喝采した生麦事件
幕府は英国に賠償金を払ったが、薩摩藩は「非がない」と払わず、犯人も引き渡さなかった。その結果、1863年に薩英戦争が勃発。この事件をきっかけに英国は薩摩藩に一目置くようになり、解決能力のない幕府を見限って、薩摩藩に接近する。
コラム�Ｄ垢こ依恵罎貿忙困泙之亳海靴�?!岩倉使節団
NYで銀行から高利回りにするからと勧誘されて、めいめいがへそくりを預けたところ、英国に着くころにはその銀行が破産して預金がなくなった。
25:仏教の影響運命を穏やかに受け入れて静かに従いなさい。危難や災難に直面しても心を平静に保ちなさい。生に執着せず、死を受け入れなさい。26:神道人は社殿の前に立つとき、自分自身の姿を鏡の中に見ることになり、もし心が澄んでいれば、そこに神の姿を見ることができる。
189:侍は日本人の理想となっていき、「花は桜木、人は武士」とまで歌われた。武士道に源を発した道徳は、こうやって日本全体に行き渡っていった。武士道は、エリートだけのものから国民全体を向上させるものとなったのである。
2015年03月17日
HIKARI
サンパウロ(SP)の人なら誰でも知っているのがHIKARI。スーパーで並んでいる、farofa（ブラジルの「ふりかけ」とも言われている）、ポップコーン、様々な豆、スパイス類などの現地最大手メーカーである。
こちらにも訪問して、栗田社長にお話を伺った。
・1913年栗田社長の祖父母が久留米から移民
・当初はへジストロ市（SPから200km）で万屋を経営
・1950年2世の世代になり、SPに出てきてへジストロ市の名産であるバナナやお茶を青空市場で売り始める
・1965年HIKARI創業
・社名は、当時世界的な話題であった新幹線「ひかり」からつけた
・当時ブラジルでもスーパーが出現していた時期で、それまでの個人商店での量り売りから、パッケージ商品へと移行
・これに対応して、トウモロコシ粉、いも粉、スパイスなどの小パック生産を始めた
・ゼロからのスタートであったが、機械を自作するなど工夫して少しずつ販路を拡大していった
・現在では売上60億円規模で、SPでは業界最大手
・300種類の製品の多くを自社生産しているが、新たに扱うものや少量のものは0EM
・ブラジルで商売することの難しさは、�．蹈献好謄�クス、��高い税金、�９發た遊鑒顱↓す盒睛�など
・設備投資には低利(5%)の政府資金を使えるが、銀行金利は30-40%である（10年前には100%位であった）
・日系人は、誠実で、信用でき、商品の品質がいいというイメージがあって助かっている
製品お土産を頂いたので、帰国して試してみるのが楽しみ。
2015年03月16日
MN Group
今回の日系人起業家インタビューの最後をお願いしたのは、プロポリスで有名なMN Groupの松田典仁会長。本社のあるMogi das Cruzes（以下、モジ）まで100kmは、昨年のJICA研修生の長谷川Eduardoさんが運転してくれた。
・前橋高校を出て群馬大学に進学
・1960年23歳の時に移民して55年、現在78歳になる
・当初は養鶏家の「呼び寄せ移民」としてブラジルに渡る
・その後現地の日系企業に勤め、日本にも会社派遣留学させてもらう
・日系二世と結婚し、共働きで生活も楽になる
・次第にハングリーさが無くなり、「これではいけない」と起業を決断したのが40歳
・それから用意周到に準備を始める
・実際に起業したのは1982年54歳の時
・現在展開しているのは、��MNプロポリス（創業事業）、��MN 食品（焼酎、塩麹など）、��CETAL食品分析センター、��MNラーメンの4事業。
・1993年に設立された盛和塾ブラジルの初期からのメンバーで、稲盛哲学を学ぶ
・ラーメン事業は2009年から研究を始め、大和製作所のラーメン学校に娘婿を派遣して学ばせた
・大和製作所の製麺機を導入し、2012年にモジで開業
・自社用に麺を作るだけでなく、SPのラーメン店の麺はほとんど供給
・ブラジルで経営するうえで難しいのは人の扱いで、会社が訴えられることがよくある
・MNではそのようなケースはない
・それは、毎週月曜日に1時間掛けて社員教育を行っているから（会長15分、社長45分）
・忘年会には退職者も呼ぶ
・誕生会も年4回実施
・そうして日頃から信頼関係を作っているから、叱っても辞めないし、訴えられることもない
・日本から「プロポリスの色が前回と違う」とクレームが入ることがある
・季節によって咲いている花が違うので色が違うのは当たり前なのだが、「その違いが分かるとはスゴイ」と褒める
・実際、味の違いまで指摘する人が居て、味覚が優れていると言える
・そうして、ブラジルコーヒーを送る（喜んでくれる）
・6か月後に、もう一度送る（感激してくれる）
・移民して以来自分を支えてくれたのは大和魂
・日本人には国家と国旗に愛着を持ってほしい
起業及び経営と言う点からみると、
・起業まで用意周到に準備した点（思いつきで起業すれば大抵失敗する）
・ルールに従わないと評判のブラジル人に従業員教育を徹底させ実績を上げている点
・クレーム処理で逆にファンを増やしている点
が勉強になった。
2015年03月15日
黒いペレと白いセナ
今回のブラジル訪問に当たって、前もって読んだ本。著者は、サンパウロ出身の日系人で、日本に国費留学した方である。
3:ブラジルは日本から最も遠く、同時に最も近い国でもある。距離的には地球の反対側に位置するが、歴史的には世界最大の日系移民受け入れ国でもあるのだ。
5:ブラジルが日本とデートをしたいのに、日本は欧米への片思いを続けている。これでは恋愛物語も盛り上がるはずもない。
16:黒いペレと白いセナ。貧民育ちのペレと裕福な家庭で育ったセナ。この二人の天才的なスーパースターの名はブラジルのスポーツ史に輝くばかりでなく、ブラジル社会そのものを代表するように思えてならない。
70:1997年に出産した全女性のうち25%が13歳から19歳の10代の母親だった。さらに、1982年から2000年までの間に、ティーンエージャーの男女だけでも2万件ものエイズ患者が報告され、そのほとんどは異性との成功による感染であった。
175:1997年には454000人が殺害され、一日平均124人が殺されたことになる。都会に住む若者の5人に一人は殺人による死体を目撃したことがあるというデータもある。殺人事件の半数は州都に集中し、サンパウロとリオだけでも全国の件数の3割を占めている。リオはブラジルの中でも最も危険な都市で、殺人件数の割合は人口10万人に対し97人と、サンパウロの82人を上回っている。ちなみにアメリカの中で犯罪が多い首都ワシントンでは70人だ。富裕層が最も恐れるのは身代金狙いの誘拐事件で、ブラジルはコロンビア、メキシコとロシアに次いで、世界で4番目に誘拐が多い。
240:ブラジル発見500周年記念行事の一環として、サンパウロ大学は2000年に初めて各学科の成績一位の卒業生を表彰したが、受賞者87人中、17人が日系人学生だった。ブラジル人口に占める日系人の割合がわずか1%にも満たないことを考慮すれば、いかにこの受賞率が日系人にとって意義あるものか、容易に想像できるだろう。
2015年03月14日
ブラジルのEXPAT言
これまでブラジルで聞いた話は、日系人とブラジル人起業家の話だったが、LBS同窓生のデンマーク人にも話を聞く機会があった。ブラジルで長く暮らす外国人からの見方として興味深い。
本人について、
・16年前にIT企業社員として着任
・その後ブラジル人女性と結婚し、サンパウロに落ち着いた
・国際物流会社に転職し、現地法人社長に
16年間でブラジルは良くなったのか？
・多少良くなったが、変化は遅い
・貧富の差も経済成長で多少縮小している
・非関税障壁が高く新規参入は難しい一方、ネスレなど長年かけて現地に根ざした企業もある
・古くからの地元企業や政府系企業にとってはその方が都合がいいので改革が進まない
どうしてこんなに交通渋滞がひどいのか？
・SCANIA（スウェーデンのトラックメーカー）が現地生産を始める見返りに、政府が鉄道網整備をしないことを約束した
・そのため鉄道網が貧弱で、中流以上はほとんど全員自家用車通勤である
・低所得者層は主にバスで移動する
ブラジルでビジネスをやるうえでのチャレンジ
・複雑なうえはっきりとしたルールがないので、全て政府と交渉＆裁判になる
・全ての企業が政府と何らかの裁判を抱えていると考えていい
・大企業だと数十億円~数百億円規模の係争を政府と抱えているのが普通
・10年以上結論が出ないので、政府も本来当てにしている税収が入らない
・同社米国事業の13%の間接コストに対し、ブラジルは23%と10%の違いがある
ブラジルで起業すること
・リスクマネーの調達が難しい（市中金利が数十％もあるのでVCが困難）
・銀行金利はべらぼうに高く、コストが合わない
・国民健康保険制度は弱く、私的保険を提供する大企業に有能な人材が集中する
ブラジルの比較優位
・銀行はハイパーインフレーションにも対応できるシステムを持っており、ある意味で世界一
・ハイテクやファッションなど創造的分野に強い
・豊富な天然資源
ということで、ブラジルでいい商売は順に、�，茲�経営されている銀行、��普通の銀行、��うまく経営されていない銀行、ということ（笑）。
本人について、
・16年前にIT企業社員として着任
・その後ブラジル人女性と結婚し、サンパウロに落ち着いた
・国際物流会社に転職し、現地法人社長に
16年間でブラジルは良くなったのか？
・多少良くなったが、変化は遅い
・貧富の差も経済成長で多少縮小している
・非関税障壁が高く新規参入は難しい一方、ネスレなど長年かけて現地に根ざした企業もある
・古くからの地元企業や政府系企業にとってはその方が都合がいいので改革が進まない
どうしてこんなに交通渋滞がひどいのか？
・SCANIA（スウェーデンのトラックメーカー）が現地生産を始める見返りに、政府が鉄道網整備をしないことを約束した
・そのため鉄道網が貧弱で、中流以上はほとんど全員自家用車通勤である
・低所得者層は主にバスで移動する
ブラジルでビジネスをやるうえでのチャレンジ
・複雑なうえはっきりとしたルールがないので、全て政府と交渉＆裁判になる
・全ての企業が政府と何らかの裁判を抱えていると考えていい
・大企業だと数十億円~数百億円規模の係争を政府と抱えているのが普通
・10年以上結論が出ないので、政府も本来当てにしている税収が入らない
・同社米国事業の13%の間接コストに対し、ブラジルは23%と10%の違いがある
ブラジルで起業すること
・リスクマネーの調達が難しい（市中金利が数十％もあるのでVCが困難）
・銀行金利はべらぼうに高く、コストが合わない
・国民健康保険制度は弱く、私的保険を提供する大企業に有能な人材が集中する
ブラジルの比較優位
・銀行はハイパーインフレーションにも対応できるシステムを持っており、ある意味で世界一
・ハイテクやファッションなど創造的分野に強い
・豊富な天然資源
ということで、ブラジルでいい商売は順に、�，茲�経営されている銀行、��普通の銀行、��うまく経営されていない銀行、ということ（笑）。
2015年03月13日
Blue Tree Hotels
ブラジル第3位の規模を誇るホテルチェーンがBlue Tree Hotels。そのホテルマネジメント会社を経営するのが青木智栄子さん。（青木だからBlue Tree）こちらの経済界では有名な方で、"Queen of Brasilian Hospitality"とも呼ばれている。その青木さんにインタビューした。
・1959年、6歳で福岡から移住
・ブラジルトップと言われるUniversity of Sao Paulo(USP)法学部卒業
・上智大学でも1年間経営学を学ぶ
・その後、Cornell大学でホテルマネジメントを学ぶ
・1992年創業5スターのCeaserの運営を経て、1997年独自ブランドを立上げ
・ブラジルで不足し、今後ビジネス客で伸びると思われた4スターホテルを展開
・競合はAccor、Choice、Sheraton Four Points
・ブラジルのホテル業界は7割が依然家族経営であり、チェーンホテルが伸びる余地は大きい
・現在17都市で23ホテルを運営（SP6軒）
・6月に1軒オープン、さらに１４軒が準備中で今後３年間で順次オープン
・ブラジルのホテル市場は米国に近いが、人件費が高い
・日本のサービス業はパートタイマーに支えられているが、ブラジルでは禁止されている
・従業員の定着率よいのがBlue Treeの特徴（業界平均年間離職率6%に対して4%）
・全ては人の問題（センチメンタルなブラジル人の心をよく知る）
・ブラジル人には規律が欠けるので、命令しても聞かないし、怒れば辞めてしまう
・規律と働きやすい環境のバランスが大事
・日系人は優秀なのに、人前に出ていかない
・女性経営者仲間と「ブラジル女性の会」をつくり、社会活動中（Forbes誌から「ブラジルで2番目に力のある女性」に選ばれている）
・ほとんどのブラジル企業はキチンと経営できてないので、チャンとやれば勝てる
最後のコメントが一番印象に残ったのだが、これまでのインタビューからも、「キチンと経営することが難しい」のがブラジルの環境であると思う。それを柔軟かつ徹底できるかがブラジルで成功できるかどうか、ということになるか。
2015年03月12日
ブラジル香川県人会
1月に高松でお会いした菅原前会長(綾川出身)にホテルに迎えに来ていただき、ブラジル香川県人会に向かう。当日は金曜日の夜で雨。それでなくても交通渋滞が慢性化しているサンパウロの道路は大渋滞で、通常15分のところ45分掛かって到着。香川会長他理事の方を1時間以上待たせてしまい恐縮した。
まずは会館が7階建てのビルであることに驚いた。聞けば、1階には事務所と体育館（剣道をやっていた）、２階は会議室とキッチンなどがあり、3階から上は宿泊所になっている。46室あり、日本からの訪問者などのために取ってある２部屋を除いては、常に満室状態。ブラジルの地方からサンパウロに進学や就職で出てきた若い日系人が住んでいる。
建設費用は会員と日本から神内良一さんの寄付によって賄われた。消費者金融の両雄と言えば、武富士の武井保雄とプロミスの神内さん。その末路を分けたのは、神内さんの創業の思いだったのかもしれない。
2015年03月11日
移民の逆流現象
パラグアイのイグアス移住地で、「日系人の半数が日本に出稼ぎ中」と書いたが、日本に「出稼ぎ」していた日系人のお二人に話を聞いてみた。
パラグアイに移民したUさん
・1961年に18歳で鹿児島から移住
・当初はイグアスの国際協力事業団（現JICA）で働いた
・1959年に8歳で徳島県上勝町から移住した奥さんとは1972年に結婚
・1980年東芝の代理店を友人と設立し、輸入事業を始める
・1982年変動相場制にパラグアイ通貨が暴落し大損害を被る
・1989年革命でそれまでの軍事独裁政権が倒れる
・1990年経済混乱の中で東芝代理店閉鎖→カラオケ・不動産業・レンタカー事業を始める
・カラオケは南米の政治混乱のなか駐留を始めた米兵に人気となる
・2005年母親と暮らしていた弟が死亡し、お母さんの面倒を見るため帰国を決める
・2012年まで郷里の鹿児島で働く（お母さんは途中で亡くなる）
・7年ぶりにパラグアイに戻り、民宿を始める
ブラジル日系二世のEさん
・広島出身の日系移民の子として1945年にサンパウロ州で生まれる
・高校終了後サンパウロ市に出てきて働き始める
・やはり日系2世の奥さんと結婚後、サントスに移る
・1989年に出入国法の改正で、日系3世までのブラジル人とその家族が無制限に日本で働けるようになる
・1990年日本に出稼ぎに行く
・1991年一旦家族を呼び寄せるが、ポ語しかできない子供の教育を考え妻子を帰国させ、再び単身赴任に
・2010年子供が大学を卒業し働き始めたので、帰国
というわけで、Uさんの場合は生まれ故郷で7年間、Eさんの場合は帰国の時点で64年のうち実に1/3に当たる21年を日本で過ごしている。勤務年数で言えば、ほぼ半分に近い。
お二人とも日本に残る選択肢もあったはずだが、最後は帰国されている。Uさんによれば、最初は良かった日本の生活も、南米から来たというと「苦労されたのでしょう」と妙に同情されたり、逆に、役所の若い公務員から「こんなことも分からないのか」という態度で見下されたりして、次第に居心地が悪くなったという。Yさんの場合は、生まれ故郷に戻ったということだろう。
しかし、子供たちは別で、3人のお子さんのうち、大学を出て米国に移った長女の他、次女は鹿児島で日本人と結婚し、長男は同じパラグアイの日系人と結婚し、日本で働いているという。
日系3世の日本定住化は顕著なようで、日本に定住している「ブラジル人」は35万人以上らしい。これには、日本国籍を取得した日系人は含まれていない。日本人のブラジルへの移民は100年間で13万人だったので、その約3倍である。
上記の表は、「外国人登録者数」の推移だが、これには「特別永住者」である朝鮮半島出身の40万人も含まれるので、これを除く永住者＆定住者ではブラジル人の比率は相当高いことになる。
2015年03月10日
前原城
パラグアイ日本人会の会長を長年務め、惜しくも交通事故で1996年に亡くなられたのが広島県福山出身の前原深さん。その前原さんは晩年、農地の中に昔から在った岩山に日本の城をつくることを思いつく。その城「御影城」築城については、こちらに詳しい。
今回お話を聞いたのは、お孫さんのネルソンさん。前原深さんには子供が5人おり、4人の男子が全員「前原農商」の仕事に携わっている。長男の弘道さんは20歳で移住し、2004年からパラグアイ日本人会の会長を務めている。
・1958年に一家7人（両親＋子供5人）で移住
・他の日本人農家同様、最初は野菜（トマト）から始めた
・ブラジルの日系人農家から「養鶏がいい」ということを聞き、やり方を教わった
・現在の鶏舎はスペイン製の閉鎖型で、一棟に5-6万羽入る
・これが15棟あるので、飼育数は75-90万羽
・Yemitaブランドで、パラグアイ玉子市場の70%シェアを誇る
・韓国人企業が安値で参入してきている
本来、「観光地の少ないパラグアイに観光名所を造れば、地域振興になる」と始めた築城だが、治安の悪化で、現在は日系人と日本からのお客さん以外には公開していないという。前原城が観光名所として、パラグアイ人に公開される日が来ればいいと思う。
2015年03月09日
Fogo de Chao
ブラジル料理といえば、シュハスコ。そのシュハスコ店として最も有名なのがFogo de Chao。串焼きの牛肉をガウショ（ブラジルのカウボーイ）姿のボーイがテーブルで切り分けてくれる。しかも、食べ放題である。肉、中でも牛肉の苦手な私は自分では絶対に行かない店だが、ブラジルまで来て名物を食べないわけにも行かず、現地の日系人に誘われるままに付いて行った。
肉の味は分からないが、サービスが素晴らしい。普段のんびりしたブラジル人がこんなに機敏に動けるかと思うほど（笑）、至れり尽くせりやってくれる。勿論、その分値段も高いが、サンパウロではカジュアルレストランでランチしても3000円位掛かる程物価が高いので、肉好きなら元が取れるだろう。
ブラジルで人気の同店、現在では、米国で24店舗とブラジルの9店舗より断然多い。他には、メキシコとプエルトリコに1店ずつ。肉の高い日本では難しいか？
2015年03月08日
2015年03月07日
パラグアイの日系人
今回、パラグアイを案内してもらったのは昨年のMini MBA研修にパラグアイから唯一参加した山崎さん。日本に来たのは初めてなのに、日本語が一番上手かった。
調べてみるとパラグアイでは、「一世の努力により、南米の日系社会においても特異といえるほど高い日本語能力を維持」しているという。日系人は小学校の間は週に3日、中学校では週に2日、高校では週に1日日本語学校に通う。ブラジルでは逆に、日本語学校に通わないのが普通なので、三世になるとほとんど話せない。
パラグアイの人口は600万人。そのうち日系人は7000人ということ。訪問したイグアス市では、13000人の人口のうち約500人が日系人。本来であれば1000人くらいいるはずなのだが、半分くらいが日本に出稼ぎに行っているという。ブラジルに比べて経済状態が悪く、かつ、日本語能力が高いことの結果のようだ。
パラグアイへの移住が本格化したのは戦後。人口減少の今では想像困難だが、戦後の日本は海外からの引揚者・復員軍人などで1000万人の余剰人口を抱えて、餓死者も出るありさまだった。その人口対策として政府が海外移住を進めたのである。その中心となったのが日本海外協会（現在のJICA）である。パラグアイでも移住者は完全な自給自足を強いられ原生林の開墾、あるいは廃止になった奴隷の代替として農園で働かされたというからひどい。
イグアスにあったJICA事務室は、今は「移民資料館」になっている。そこで日本から来た学生が説明を受けていた。
パラグアイの日本人は、
騙されても騙さず、
盗られても盗らず、
殺されても殺さず、
そうやって現地で信頼を築いていった。
2015年03月06日
呼び寄せ妻
パラグアイに3日間行っていた。サンパウロから飛行機で2時間かかるので、実質2日間。
この間に４人の日系人インタビューを行い、「ここまで来たらイグアスの滝だけは行かなきゃ
」と言われ、アルゼンチンに半日出国し滝まで見てきたので、これまでにないような強行軍。何しろ、公共の交通機関と言うものがバスしかなく、時間がかかるうえ、道が悪いのでバスの中では寝るくらいしかできない。時間の節約のため車もチャーターしたが、ぜいたく品なので日本と同じくらい費用が掛かる。因みに、大学の出張費は公共交通機関しか出ないので、自腹である。パラグアイにはJICAが計画した移住地（Colonia）が5カ所ある。そのうち、今回訪問したのはイグアス移住地の民宿小林さん。首都アスンシオンから長距離バスで4.5時間のはずが首都の帰宅渋滞にはまって1時間遅れ、到着したのは23:30。それでなくても遅い時間だったのに、食事が終わったのは真夜中を過ぎていた。
食事をしながら奥様からお話を聞く。
・1976年岩手花巻から21歳で「呼び寄せ妻」として移民
・旦那さんは同じ町の出身のいとこで、先に入植していた
・子供4人に加えて、奥さんが亡くなった入植者の子供２人を引き取り育てた
・引き取った子供が日本に出稼ぎに行って仕送りしてくれる
・その資金で７年前に家を建て増し、民宿を始めた
・パラグアイで商売をしていて困るのは役人のたかり
・なので、民宿も看板も出さず、日本人の口コミだけで行っている
・役人＆警察の腐敗はひどく、警察が銀行強盗をしている
・日本はJICAなどを通じ長年にわたり随分と支援してきたが、それが「当たり前」になってしまい、何の感謝もされていない
・近くにもODAで建てられた体育館があるが、使われないまま放置されている
大変話し好きな奥様で、もっともっとお話を聞きたかったが、翌朝は６時発なので断念。驚いたのは、この日だけでも日本人の宿泊者が3人いたこと。首都から5時間かかる、辺りは一面の大豆畑の中である。直接話を聞くことはできなかったが、バックパッカーの大学生だったり、パラグアイで働いている人だったり。上記の理由で宣伝しなかったため、当初は月にお客が数人だったそうだが、現在の経営は順調そうである。
2015年03月05日
過去10年でブラジルで最も成功した会社
今回はブラジル人起業家の話。「過去10年でブラジルで最も成功した会社」と言われる会社の役員をしているLBS同窓生である。
・大学を出てChase Manhattanで働き始めた
・不動産ファイナンスに特化した会社を2009年に設立し短期間で25支店を持つまでになった
・2012年にIPOで資金を得たBTG Pactualに$600Mで会社を売却した
・1年間のPMIを経て、新規事業担当役員として現在も会社に残っている
BTG Pactualはブラジルで第2の規模の投資銀行（第1位は商業銀行Itauの投資銀行部門）で、GSやMSなどのグローバルプレーヤーは、ブラジルの特殊事情から現地では小規模だそうだ。
BTG PactualのオーナーはAndre Esteves。1989年Banco PactualにSystem Analystとして入社し、社長にまで登りつめる。2006年に会社をUBSに$3.1Bで売却。その後、金融危機に陥ったUBSから$2.5Bで買い戻している。その際に、買い戻し資金を集めるため作ったファンドがBTG。その心は、Better Than Goldmanだという。
写真：BTG本社ビル（ポルトガル植民地当時の歴史的建物をまたいで門型に建っている）
2015年03月04日
ブラジルの日系ビジネス
日系人起業家のインタビューは続く。
＜ブラジルに移民した経緯＞
・東京生まれ、1972年に移民
・（日本は既に高度経済成長期だったのになぜ？）会社勤めで、「10年経ったら係長、20年経ったら課長、30年経ったら部長と行く末が見えてきた。レールを外れて見たかった。
・海外ならどこでもよかったが、会社の先輩で退職してブラジルに渡った人が居ると聞き、連絡を取ってみた
・「来い」ということになり、移民船で45日かけ渡伯
・そのまま、その会社で働きはじめ、現在は後をついで社長業
＜ブラジルでの商売＞
・税金の種類だけで50以上ある。どんどん増えるので誰にもわからない。
・かっては日本製工業製品の競争力があったが、現在は韓国製＆中国製に圧倒されている
・品質は悪くても、中国製は日本製の半額以下なので評価能力のないブラジル企業は大抵そちらを選ぶ
・韓国製＆中国製が安い理由は、法律を守っていないこともある
・日本企業は大抵、法律通りやるので、販売コストが高くなる
・韓国&中国企業は決められた通りやらず、浮いた金で役人に賄賂を贈る
・かって日本人街があったLiberdade(リベルダージ)は、現在は韓国系＆中国系に圧倒されている
写真：Liberdadeの日本庭園
2015年03月03日
ブラジル人起業家の憂鬱
いつも通り、まずはLBSの同窓生に会う。130カ国に同窓生が居るので、世界中どこへ行っても、大都市である限り、誰かいる。同級生の数は180人と限られているので、ほとんどの場合は、一度も会ったことのない同窓生に「今度行くから」とアポを取って会う。その同窓会ネットワークが言ってみればLBSの最大の財産で、その財産の恩恵を受けるにはお互い協力し合う必要があるので、大抵会ってくれる。
今回のサンパウロ訪問では、2日目に2人、3日目に2人の同窓生に会った。内訳は、ビジネスオーナーが2人、バンカーが2人。今後もまだ数名に会う予定。これまで聞いた話を総合すると、
・想像を絶する官僚主義
貧困層が多く、伝統的に社会主義政党が強い。「平等」が合言葉らしい。常に「効率＜平等」なので経済が発展しない。経済が発展しないので、貧困から脱出できない。この構造は最近までのインドによく似ている。
新しく事業を始めようとすると、許認可に恐ろしく時間がかかる。一方、一端従業員を雇うと解雇が困難なので、なるべく人を雇いたくない。過去4年間の平均成長率は1.3%である。今年はマイナス成長を予想している。
過去10年間で、GDPは10%しか伸びてないのに、公務員は平均賃金が50%伸びている。（図）
・汚職の悪化
汚職はブラジルにとって常に問題であったが、現在の「労働党」になってから最悪になっている。昨年は、ブラジル最大の企業であるペトロブラス（国営）を舞台とする大規模な汚職が発覚。汚職期間中の同社の会長は現大統領のジルマ・ルセフで、数千億円のお金が労働党に流れていた。それでも、昨年秋の選挙で大統領は再選されている。国の中枢が汚職をするから、下も皆倣えになっている。
・治安の悪化
汚職が横行する社会では、順法精神が廃れるから、治安も悪化する。毎週どこかでATMが爆破され現金強奪が起こる。ほとんど捕まらない。住宅街の家はどこも3mを超す塀に囲まれ、有刺鉄線や高圧電流を流している。ショッピングセンター入り口にはピストルを持った警備員が立っている。「殺人の相場」は10万円らしい。
・高金利
中小企業向け銀行貸出金利は年率50%を超える。インフレ率6-7%に対して異常に高い。銀行は儲かるが、ビジネス、特に資本蓄積のないスタートアップに取っては厳しい。
と言う状況で、結論としては、「現政府が変わらない限り状況は好転しない」であった。ビジネスオーナーの一人は昨年の大統領選挙でルセフ大統領が再選されたことに失望し、会社を売ってオーストリアに移住していた。
聞けば、労働党は1980年代の軍政下、政治資金を銀行強盗など犯罪行為で調達していたという。そんな党が政権を持って12年になるというのだからスゴイ。労働党は貧困層にお金を配る政策で実質的に票を買っている。いわば、貧困層を貧困のままにしておくことが党の生命線になっており、難問である。
2015年03月02日
あるブラジルの日本人起業家
ブラジルに行くというと、「任期が終わるから、有休を取って旅行ですか？」とよく聞かれるが、仕事です（笑）。
きっかけは、昨年のJICA日系人MBA研修。日系三世を中心に10人の研修生を2週間英語で教えた。これでJICAから貰った業務委託費があり、任期が終わる前に「元々日系人研修で貰ったお金だから、現地の日系人起業家調査に使おう」と決めた次第。
昨日サンパウロに到着して、ホテルまで送ってもらう道すがら、早速お話を聞く。本格的には月曜日に会社訪問して。
・広島県呉市の出身で、現在80歳
・お父さんは海軍工廠で働いてた
・戦後、呉の工業高校を出た後、東京の工業系専門学校に進学
・まだ戦後の混乱期で、日本が経済大国になると思っている人はほとんど居なかった
・東京でしばらく働いたのち(アンリツ)、27歳でブラジルに渡る(1962)
・当初5年間、日本の電子計測器メーカーに勤務
・32歳で独立して商社（日商岩井）に居た友人と電気製品の商社＆修理業を始める
・その後分かれて、電気製品の修理業として再独立
・ブラジルの工業化が1970年代から始まり、設備投資関連需要が増える
・これを好機として、日本の計測器メーカーの総代理店となる
・1980年代販売好調であったが、輸入関税が高いため、現地でのノックダウン生産を決める
・工場用地を購入し、製造のための部品発注をしたところで、コロル大統領（史上初の国民投票で選ばれた大統領）が工業製品の関税を大幅に下げる決定
・現地生産しても合わなくなり、大損害を被る
・子供は3人
・長男と長女はスイスジュネーブの音楽学校を出て音楽家
・長男はフランスでチェロを、長女はスウェーデンでバイオリンを演奏
・次女はブラジルの大学を出た後、日本で働く
・日本人と結婚して、日本在住
・ルーラ前大統領(2003-2010)から社会主義的政策が強まり、ブラジルの将来に希望が持てなくなった
ということであった。3人の子供がいて、ブラジルには一人も居ないというのに驚いた。日系人は教育熱心で子弟には能力に応じて最高の教育を受けさせている。結果として、国内の状況が悪ければ移住してしまうということだろう。親は日本から移住したのに、皮肉なことである。
写真：泊まっているPaulista通り
2015年03月01日
サンパウロ到着
JFK経由でサンパウロ到着
長かった
（写真は、JFK着陸時）ただでさえ長いNRT→JFK13時間＋JFK→GRU10時間のフライトをさらに長くしてくれたのは、JFKでの1時間の出発遅れ。ターミナルで遅れるのならラウンジで待っていればいいが、搭乗は予定時間通りで、ブリッジを離れてから「間違った荷物を2個乗せた」
と言う理由で、ゲートまで引き返した。この結果、搭乗時間だけで24時間AAどうなっているの？入国審査は事前にビザを取ってあるからアッサリ、で安心したらそうはいかなかった。荷物がいつまで経っても出てこないのである。私はJGL会員なので、優先で出てくるはずだ。First/Businessの多い便でも荷物は一緒に出てくるので10分以上待ったことはない。それが今回、出てきたのは30分過ぎた一番最後。同じ便で成田から来たFirst Classの日本人の荷物が出たのも私と同じタイミング。One World間で優先荷物は引き継がれないのか?たとえそうであっても、この便はJALのコードシェア便だから引き継がれないのはおかしい。
荷物が出なくて焦ったのは、空港に迎えをお願いしていたからでもある。今回の日系人起業家インタビューの第一号の方が迎えに来てくれることになっていた。幸い粘り強く待っていてくれた。しかし、道に迷ったのと渋滞でホテルに到着したのは午後2時。空港を出てから1.5時間が過ぎていた。
ホテルに着いても安心はできなかった。チェックインにやたら時間がかかるのだ。事務処理がメチャクチャ遅い。今回、滞在の途中でパラグアイに3日間行くことにしたので、予約の一部その場で取り消した。たったそれだけのことなのだが、結局順番待ち時間も含めてチェックインに20分掛かった。
この先の滞在が案じられると同時に、日本のサービスの効率性、時間の正確さが到着早々懐かしくなった。
