2014年06月
2014年06月30日
シリコンバレー流ベンチャー企業のつくり方
大学に入って初めて経験したことの一つが、「知らない人から本が贈らてきた」こと。10人以上の友人が既に本を出版しているので、これまで何度か献本いただいたことはあったが、流石に、知らない人からというのはなかった。
本には手紙が添えられていて、「シリコンバレーでVCを経営しているものだが、日本の学生の参考にしてくれ」ということであった。「自分は文科省の奨学金で、東工大で学んだのでそのお礼がしたい」ともある。
ということで、どうやら、日本の大学で起業家教育を担当している教員をリストアップして送られたらしい。しばらく忙しくて読めず、やっと読んだのが今週。
「大学教授がスタートアップの取締役に」というところに一番興味を持った。LBSでも大半の教員が民間企業の役員やコンサルティングをしていた。ビジネススクール（BS）の教員であれば、民間と何ら関わっていないというのはある種「異常」だろう。BSという性格上、実際の経営に触れていることは教えていることがピント外れにならないため必須ともいえる。
ところが、国立大学では、採用の時の条件が「全ての役職を辞めてください」。勤務開始後、兼業届を出すという制度はあるのだが、「役員など法的責任の生じる可能性のある兼業はダメ」だそうだ。
私立大学では、
村井純（慶応） 楽天
竹中平蔵（慶応） パソナ
川本裕子（早稲田） 日本取引所、三菱UFJ、東京海上
など多くの社外取締役就任例がある。「（大学の）ブランドを与えるのだから、外でどんどん稼いでもらっていい（その分給与は安い）」ということらしい。
国立でも、一橋は、大園恵美教授がりそなHLDとローソンの社外取締役をしている他多くの教授が兼業しているようだ。なので、国立だから一律にダメということではないらしい。
Fenox VC CEO アニス・ウッザマン年間8000社の投資案件DD 380社投資実施 10社267:アメリカでは起業当初からM&AをEXITの選択肢として入れている→プロダクト開発の時点で既に潜在的買収先を意識191:シリコンバレーで登記する利点世界中のスタートアップがSVに本社を構える50:大学教授がスタートアップの取締役にe.g. Google John Hennessy Stanford学長(RISC発明者)51:アドバイザー・社外の経験豊富な専門家・業界内に多くの人脈を持つ・会社の意思決定権は持たない・一定の株式シェアを持つ
2014年06月29日
豪族モデル
先日高松で行われた辻・本郷税理士法人の本郷先生の講演の中に、「地方の戦略モデル」というのがあり、地方企業の生き残り戦略を説いておられた。その中で筆頭に挙がったのが、「豪族モデル」。
例に出たのが、九州の麻生グループで、その変遷をたどると確かに面白い。LBSのアドバイザーを麻生社長がされていた縁で、私も以前、本社を訪問したことが有る。
麻生財閥は、戦前、石炭で財を成したが、当時、九州には他にも有力な石炭財閥が居た。それが「貝島」であったが、こちらは、「石炭以外手を出すべからず」との家訓を守って戦後没落した。
一方、麻生は戦後「セメント」に主軸を移し、高度経済成長の中でさらに発展した。高度経済成長が終わり、セメント需要が伸びなくなると、今度は医療など「サービス」に力を入れた。
家訓は、「程度大切」と「油断大敵」だそうだ。あらゆる事業は変化対応業である。従って、家訓で、経営方針を定めるのは良いが、事業分野を特定するのは良くない。
昔は地下（石炭）を掘り、戦後は山（セメント）を掘り、現在は人（医療、福祉、教育）を掘る。
2014年06月28日
ユーザー車検
車屋さんに任せず、自分で車検を通す「ユーザー車検」なるものをやってみた。きっかけは、今回入手した軽自動車。友人が廃車にしようとしていたのを、「まだ走行66000kmとはもったいない」と貰うことにした。走行は少ないが、流石に、平成10年登録のボロなので車検費用がもったいなかったのだ。車検が通らなければ廃車にする覚悟で臨んだ。（笑）
結果は、ライトの光軸調整だけでOK
流石は日本車である。ボルトを回すだけなので、自分で調整できないかと思ったが、車検終了の時間が迫っていたので諦めて近くの自動車屋を探す。1400円の検査手数料は当日のみ有効なのだ。近所のトヨタディーラーで聞いたら、「両方で4000円」
ボルト回すだけで4000円はあり得ないだろうと思い、次に近いラチェットモンキーR32号店に電話で聞いてみたところ、「両方で2000円」
ラチェットモンキーは初めて利用したが、雑誌はもちろん、インターネットコーナーに、マンガや無料飲料まであり、ほぼマンガ喫茶。流石はチェーン店だ。領収書をもらったら、�螢筌泪Ε繊�あ、山内社長のところ？GSは売却したけど、こちらはまだやっていたのね。
結果、車検に掛かったのは、
・検査法定手数料 1400円
・ライト光軸調整 2160円
合計 3560円。
重量税7800円、自賠責保険料26370円の方がよほど高いのだが、こちらは削る方法がない。
車屋さんに任せると安いところでも15000円は取られる。不具合の光軸調整は車屋さんでも別途取られたはずなので、15000円→1400円で済んだことになる。掛かった時間は、車屋さんへの往復も入れて、1.5時間。不具合が無ければ30分で済んだはずで、これをやらない手はない。新しい軽自動車ならほぼ間違いなく、一発でクリアできるはずだ。
普通車の場合は、陸運局に行かなければならないので、もっと面倒なのかも。
2014年06月27日
「変化」の手法
2年前高松に来てラッキーだったことの一つが、一緒に香川大学に着任したのが稲門の先輩でもある塚田修先生であったこと。多国籍企業で南米の現地法人社長等を経験後、コンサルタントとして独立。60歳を過ぎてから一橋CISで博士号を取り大学教員になるというバイタリティだ。流石は、元ボート部。「人生三毛作」を地で行っている方で大いに刺激を受けている。
その塚田先生の最新刊がこちら。塚田先生は第一章の「日本型イノベーションの特徴」を担当されている。（リンクは「営業トヨタウェイ国際伝搬の統計調査結果」だが、ほぼ同じテーマを扱っている）
日本型イノベーションの二つの特徴（「行動」と「全員の知」）は興味深い。先日紹介した、『日本人はなぜ株で損するのか？』（藤原敬之）では、その最大の理由として、「『理想の将来』に価値を置く二元論の欧米と、『今』に最高の価値を置く日本人」を上げている。エリートが理想を求めてイノベーションを起こす欧米と、ミドルが現場で行動することで気づきを得、ボトムアップでイノベーションを起こす日本というのは同じ理由だろう。
これは、「日本の兵、下士官は世界最高、将は世界最低」（ノモンハン事件後、ソ連のジューコフ元帥がスターリンの質問に答えて。全く同じことが、大戦中日本軍を研究した米軍からも言われている。）にも通じる。要するに、これだけ生活様式が変わっても、日本人の本質は変わってないということで、これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか？
一つだけ言えるのは、最強のイノベーション企業（あるいは国家）とは、上も下も全員がイノベーションを起こしている会社だろう。残念ながら、マズイ戦術は優れた戦略で補うことが出来るが、マズイ戦略を優れた戦術で補うことが出来ないのは、歴史上繰り返し証明されている。日本に必要なのは優れた国家戦略であり、企業戦略であることは言うまでもない。
その塚田先生の最新刊がこちら。塚田先生は第一章の「日本型イノベーションの特徴」を担当されている。（リンクは「営業トヨタウェイ国際伝搬の統計調査結果」だが、ほぼ同じテーマを扱っている）
日本型イノベーションの二つの特徴（「行動」と「全員の知」）は興味深い。先日紹介した、『日本人はなぜ株で損するのか？』（藤原敬之）では、その最大の理由として、「『理想の将来』に価値を置く二元論の欧米と、『今』に最高の価値を置く日本人」を上げている。エリートが理想を求めてイノベーションを起こす欧米と、ミドルが現場で行動することで気づきを得、ボトムアップでイノベーションを起こす日本というのは同じ理由だろう。
これは、「日本の兵、下士官は世界最高、将は世界最低」（ノモンハン事件後、ソ連のジューコフ元帥がスターリンの質問に答えて。全く同じことが、大戦中日本軍を研究した米軍からも言われている。）にも通じる。要するに、これだけ生活様式が変わっても、日本人の本質は変わってないということで、これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか？
一つだけ言えるのは、最強のイノベーション企業（あるいは国家）とは、上も下も全員がイノベーションを起こしている会社だろう。残念ながら、マズイ戦術は優れた戦略で補うことが出来るが、マズイ戦略を優れた戦術で補うことが出来ないのは、歴史上繰り返し証明されている。日本に必要なのは優れた国家戦略であり、企業戦略であることは言うまでもない。
改善にQC手法があるように「変化」活動にも手法が必要である11:「変化」しなければと思いつつ「変化」しない日本＊「変化手法」を持たないから19:絶対不可能と「思い込んでいる」のではないか（「気づき」の第一歩）26:CIM（変化手法）�，△蠅燭せ兩瀋蝓�3か月�▲船礇譽鵐献董璽淦瀋蝓�3か月��トライ 6-12か月30:日本型イノベーションの特徴（塚田）�々堝�まず行動することで経験し、それにより物事の因果関係に気づく�∩完�の知ミドルが中心⇔欧米：知の創造はエリートの専権行為39:日本型は「I-SEC」モデル＊外部からのアイデアや行動による気づきがスパイラルを起動オリジナル「SECIモデル」（野中1996）＊ナレッジ・ビジョンが地のスパイラルを起動共同化Socialization→表出化Externalization→連結化Combination→内面化Internalization
2014年06月26日
アントレプレナーシップ入門教科書の決定版
「事業創造論」授業の教科書は2年前に大学で教え始めた時から、長谷川博和先生（早稲田）の『ベンチャー・マネジメント[事業創造]入門』を使ってきたのだけど、昨年から入手困難になっている。どうしたものかと困っていたところ、昨年末に出版されたのがこちら。
学部生の入門教科書として使えるように書かれていて、記述は平易。豊富な事例で解りやすい。バックグランドが多様なビジネススクールの教科書にもピッタリ。
128:BPのつくり方事業アイデアのひらめき→アイデアの評価→事業コンセプト固め→BP��PPT �∈睫灰轡絅潺譟璽轡腑鵝´Ｊ絃�137:サイボウズのケース1997/7創業の3人が松下退社（「中小企業向けの安価なグループウェア」という社内事業提案が受け入れられなかった）VCを回るが一社も出資せず→大阪での企業を断念3人でかき集めた40Mで高須賀の郷里松山で創業＆製品開発機能を絞り込み、競合商品の1/10-1/20の20万円で発売142:チーム起業は、一人起業よりも、高成長志向
2014年06月25日
投資のタイミング
上場株でも投資のタイミングは難しいが、非上場株ではさらに難しい。というのは、流動性がないので、「しまった」と思っても、売れないからだ。
今週、ある経営者と10年ぶりに再会した。この会社の立ち上げ時に私は相当な調査をし、異例であるがスタートアップで投資するつもりでいた。経営者は若くて優秀だし、行動力もある。高齢化で拡大する市場で独自技術を持っている。
ところが、最後の最後になって、普段はあまり意見の相違することがない投資会社オーナーが拒否権を発動し投資できなかった。その理由は、私がそのファンドに入社する前に、同業界の会社に投資しており、そこでの経験から、「歯科業界は難しい」というのである。
「難しい」というのは、専門家集団であり「既得権益が強い」とか「経済合理性で動かない」などという意味だったのだが、今回その後の経緯を聞くと、あの時点で「投資しなくてよかった」という結論になる。
会社は10年経っても存続しており、確実に成長している。但し、当初計画の「5年で上場」にはなっていない。その原因は、自由診療の市場が思ったほど広がらなかったことであるとか、この商品を処方できる専門医が十分に確保できなかったことにある。
しかし、トレンドが間違っていないことは確認できた。「これから」だと思う。
今週、ある経営者と10年ぶりに再会した。この会社の立ち上げ時に私は相当な調査をし、異例であるがスタートアップで投資するつもりでいた。経営者は若くて優秀だし、行動力もある。高齢化で拡大する市場で独自技術を持っている。
ところが、最後の最後になって、普段はあまり意見の相違することがない投資会社オーナーが拒否権を発動し投資できなかった。その理由は、私がそのファンドに入社する前に、同業界の会社に投資しており、そこでの経験から、「歯科業界は難しい」というのである。
「難しい」というのは、専門家集団であり「既得権益が強い」とか「経済合理性で動かない」などという意味だったのだが、今回その後の経緯を聞くと、あの時点で「投資しなくてよかった」という結論になる。
会社は10年経っても存続しており、確実に成長している。但し、当初計画の「5年で上場」にはなっていない。その原因は、自由診療の市場が思ったほど広がらなかったことであるとか、この商品を処方できる専門医が十分に確保できなかったことにある。
しかし、トレンドが間違っていないことは確認できた。「これから」だと思う。
2014年06月24日
アメーバ経営
JAL奇跡の復活で、再び「アメーバ経営」が見直されている。
部門間の売り渡し価格（Transfer Price）を経営トップが公正に決められるかどうかが導入が成功するかどうかのキモか？大企業でこれを「社会的な常識から正しく評価し、それに見合う売値を公平に決める」ことが出来る経営者が何人いるだろう？ここに「アメーバ経営」が、本来目指した大企業でなく、むしろ、中小企業に広まった理由がありそうだ。
大きくなった組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団に分けて独立採算とすることで、現場の社員一人一人が採算を考え、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現する。26:京セラの経営理念「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」59:切り分けるアメーバが独立採算組織として成り立つために、「明確な収入が存在し、かつ、その収入を得るために要した費用を算出できること」66:アメーバ組織をどう切り分けるかということこそ、アメーバ経営の始まりであり、終わりである67:アメーバ間の値決め各アメーバの仕事をよく分かっている経営トップが、そのアメーバにかかる経費や労力を社会的な常識から正しく評価し、それに見合う売値を公平に決める79:経営には哲学が欠かせない京セラ：公平、公正、正義、勇気、誠実、忍耐、努力、博愛81:真意会える仲間の幸福のために貢献できてこそ、自分たちの部門の存在価値がある158:キャッシュベース時間当たり採算表
2014年06月23日
イハラサイエンス
久しぶりに上場企業の株主総会に出席した。「事業創造」を教える私としては、ベンチャー企業投資家のEXITとしての上場と、さらなる資金調達と信用力向上による成長カタパルトとしての上場は当然押さえておかなければならない。
今回出席したのは、長年保有しているイハラサイエンス。当初、購入した時は、その優良な財務体質（自己資本比率68%、流動比率489%、実質無借金）と高収益体質（経常利益率16%←前期・昔はもっと高かった）に惹かれてだったが、一度株主総会に出てみて、その得意な企業文化に興味を持った。総会後に、「株主懇談会」が開かれるのだが、各テーブルに役員が付き、お世話をしてくれる。出席している株主の大半は同社OBで、まるで企業同窓会なのだ。聞けば、同社には定年制がなく、働きたければいつまでも働けるのだという。
同社の主力製品は産業用「継手」で、プラントや油圧機器などで使われる。国内シェアトップのいわゆる「ニッチトップ」企業。国内市場の縮小は避けられず、新製品＆新市場開発と海外進出が現在の課題である。
よい企業文化を守りながら、どうやって、新市場に対応する柔軟性を確保するのか？興味深いケースになりそうなので、改めてインタビューを申し入れることにした。
2014年06月22日
日本人はなぜ株で損するのか？
2011年に京大で行われた筆者による「株式運用」講義を基にした本。だが投資だけの本ではない。最終的には全て投資につながるのだが、政治経済、文化歴史、哲学にまで触れている。結局、それだけ人間を理解してないと、投資での成功はおぼつかないということのようだ。
シュンペーターの「資本主義を資本主義たらしめるのは、利潤追求でも市場機構でも私有制度でもなく、信用機構である」という言葉が紹介され、「日本を再び成長軌道に乗せるには金融産業の強化が不可欠」と説く。
「投資＝安全保障」という概念も面白い。スイスが中立を保てるのは、勿論、中立を宣言したからではない。第二次大戦でも同じく中立を宣言したオランダとベルギーは中立宣言に関係なく蹂躙されている。スイスが長年にわたり中立を保てている最大の理由は、銀行にあるというのが筆者の見立て。世界中の富裕層の資産を預かっているので、誰も攻められないのだ。
145:日本はなぜ長期的な不況に陥ったか？＊金融産業を徹底的に弱体化・不良債権の処理に苦しむ銀行から、政府が規制と監督強化で経営の自由度を極限まで奪った＊銀行の国家管理の常態化シュンペーター「資本主義を資本主義たらしめるのは、利潤追求でも市場機構でも私有制度でもなく、信用機構である」→日本を再び成長軌道に乗せるには金融産業の強化が不可欠150:革新的な企業はほとんどがオーナー企業・意思決定が速く、経営責任が明確で思いきった損切が出来る・前例を容赦なく否定166:日本人はそもそも投資に向いてない＊「今」に価値を置く国民性⇔「理想」「将来」を大事にする欧米人・一元論⇔二元論（一神教）177:銘柄ノート・毎日の新聞記事とその日の株価→どの情報が株価を動かすか204:スイスはなぜ中立を保てるか＊銀行！（Private Banking)←世界中の富裕層206:FDI＝安全保障210:2001-2006小泉内閣・「真の構造改革」への期待＊失望「日本は変わらない」←2006守旧派の逆襲（ライブドア事件、村上ファンド事件）214:「学問は最高の道楽」梅棹忠夫
215:自分の周りの人間すべてを「他者」だと認識
2014年06月21日
法人税率の最重要論点
東京の家に戻ったら、『週刊ダイヤモンド』がテーブルの上に。何かと思ったら、大学3年になる長女が「就活」のために取り始めたのだという。「企業が求めているのはそうした時事的な知識ではなく、『考える力』だ！」と出掛ったが、また疎まれるだけなので、止めておく。
実際のところ、ダイヤモンドにも考えさせる記事はあるのだから、折角、経済活動に興味を持った長女に水を差すことはない。私はダイヤモンド誌を購読したことはないが、図書館などで読むときに楽しみにしているのは野口悠紀雄さんの「超整理日記」である。
本blogでも何度か野口悠紀雄さんの記事を引用したことがある。実は、日本の経済学者として私が最も信頼しているのが野口さんである。野口さんは大蔵省出身でその主張は（現）財務省の主張に重なることが多く、勇ましいところはない。そのためか以前ほどメディア露出もないが、常に主張の根拠がしっかりしていると感じる。
5/31号のテーマは「法人税率に関する最重要論点」。この記事はDiamond on lineにはまだ上がっていないので、ほぼ同じ内容を扱った同Webにリンクを張った。その主張は以下のとおりである。
１．「法人税のパラドックス」は日本では成立しない
「法人税のパラドックス」とは、EU諸国で法人税率を下げたにもかかわらず、法人税収が余り減少しなかったことを指す。「日本では、1980年代から法人税率が引き下げられ、同時に法人税収も減少した」法人税率は1980年代には40%を超えていたが、90年代には30%台になり、現在では25.5%である。
２．法人税率を引き下げても国内設備投資は増加しない
「法人税率は設備投資の決定に中立的である」とは、経済学の基本的な命題。仮に設備投資を増やしたいのであれば、投資税額控除等の手段によるべき。2011年12月の改正で、法人税率が30%→25.5%に引き下げられた時も、設備投資は増えなかった。企業が設備投資するのは、魅力的な投資機会が日本に存在するかどうか次第。
３．高度成長型思考法からの脱却が必要
法人税率引き下げ論の根底にあるのは、輸出産業を中心とした産業構造を復活させようという願望だが、それは適切でない。13年度の貿易収支は10.9兆円の赤字。所得収支は16.7兆円の黒字。世界的な水平分業体制が進む中、国内投資を呼び込もうとするのは無駄。
＊本当に必要なのは、日本経済をどのような構造にすべきかの議論
2014年06月20日
半沢課長
昨年のTVドラマ視聴率No.1は「半沢直樹」だった。最終回の42%は年間を通じての1位で、全10回の平均視聴率も29%も1位。
その原作を遅ればせながら読んでみた。ドラマは原作にほぼ忠実に創られていたことがわかる。最大の違いは、半沢の父親が生きていること。ドラマでは「産業中央銀行」に融資を断られて、首を吊ってしまうのだが、原作では地元の第2地銀が融資に応じてくれ、生きている。ドラマで融資の吉報が届くのは首を吊ってしまった後だ。
噂の後編が待ち遠しい。
半沢は、銀行という組織にはほとほと嫌気がさしていた。古色蒼然とした官僚体質。見かけをとりつくろうばかりで、根本的な改革はまったくといっていいほど進まぬ事なかれ主義。蔓延する保守的な体質に、箸の上げ下げにまでこだわる幼稚園さながらの管理体制。なんら特色ある経営方針を打ち出せぬ無能な役員たち。
2014年06月19日
大和製作所ケーススタディ
「事業創造論」第2回、最初のケーススタディ「大和製作所」を今晩実施。今年自分で書いたケースで、授業で使うのは初めてだったので、緊張した。大学の先生は、毎年同じことをやっていれば楽だが、新しい教材を自分で作ろうとすると準備に何か月も掛かる。
私の授業は全てケーススタディで進んでいくが、
・学生たちは表面的な事象をなぞるだけでなく、深く根本原因を捉えられるか？
・授業の時間配分はどうするのが最も教育効果を上げられるか？
・ゲストで来ていただくケースの当事者に「何か」持ち帰っていただけるか？
を考える。
今後、学生からのフィードバックを踏まえて、完成させてケース登録予定。
2014年06月18日
世界最古のナマズ化石
讃岐ジオパーク実現に向けた活動の一つである香川大学公開講座「讃岐ジオサイト探訪」。今月の訪問先は雨滝自然科学館。ここには世界最古のナマズ科化石がある。
1985年に当時小学校教員をされていた森館長が発見した。それが縁で、10年前に設立された当館の初代館長に就任されている。
当時、ここは、この先に出来るゴルフ場のために道路を付けようと山を切り崩していた。森館長の趣味は当時から、こうした工事現場を回り化石を採取すること。大学時代の研究を就職後も休日を利用して続けていたのだ。京大に鑑定を依頼し、1500万年前の世界最古のナマズ科化石と判明したのは10年後のことである。
残念なのは、これだけの施設が地元でほとんど知られてないこと。大半の親が自分で興味を持ってないので、無関心だ。連れて行くのは、ショッピングモールだったり、遊園地だったり。たまにはにこうした博物館や美術館にも足を運びたい。子供は自分と違うかもしれないのだから。
2014年06月17日
「奪う」コンビニ
辻・本郷税理士法人は、顧問先4000以上という日本最大の税理士法人で、今年、地元のみどり合同と提携した。その記念セミナーが先週開かれ、本郷先生が講演した。本郷先生は山形出身らしい、朴訥とした話し方をされる。早稲田で新聞記者を目指していたが、採用試験に落ち、一念発起して会計士になられたという。
講演の中で、興味深い話が。コンビニの歴史は、「奪う」歴史なのだという。
１．女性から→結婚の機会を奪う
２．外食から→市場を奪う
３．銀行から→ATMを奪う
４．コーヒー店＆缶コーヒーメーカーから→コーヒーを奪う
「女性から結婚の機会を奪う」というのは、男性が何でもコンビニで簡便に用を済ませられるようになって、結婚する必要がなくなったという分析。男性の最大の結婚動機は、「家事をやりたくない」ことだという。
結局、高度成長から成熟社会になり、国内市場を対象にする限り、「どこかから奪わないと成長できない」時代が20年間続いたということだろう。コンビニは何度も、「もう成長の限界」と言われながら、その度に新市場を開拓して成長を続けてきた。その頂点に君臨するセブンの鈴木会長が言い続けているのは、「コンビニは変化対応業」だということだ。
あらゆる業界が警戒しないといけないのは、日本の小売市場で最強の競争力を持つコンビニだ。
2014年06月16日
経済的自由人になる方法
明治時代にこんな人がいたとは驚愕。東京農科大学（現東大農学部）の教授にして、蓄財の名手。本業では、日比谷公園や大沼公園（札幌）の設計を手掛け、「公園の父」とも言われる。そして、大学の定年退職を機に、ほとんどの財産を学校や公益の関係諸団体に匿名で寄付した。そのことを明かしたのは最晩年になってから。
貯金とアルバイトで「雪達磨の芯」→投資「2割利食い、10割益半分手放し」など、今でもそのまま活きるアドバイスだ。勤め人は、給与だけで財産を築くのはまず不可能。節制で「雪達磨の芯」を作ったら、それを賢い「投資」に回す必要がある。
貧農に生まれながらも苦学して東大教授に、そして、独自のやり方で巨万の富を築いた本多静六。・貧乏をこちらから進んでやっつけなければならない��1/4天引き貯金法：通常収入の1/4を天引きして貯金＋臨時収入は全部貯金�∨椰Δ梁�しになり、勉強になるアルバイトにつとめる�Ｃ�金とアルバイト収入を基に、堅実な「投資」を行う「2割利食い、10割益半分手放し」株が値上がりした場合は、買値の2割益で利食い。2倍以上に高騰した場合は、半分売って元金を確保する。・子孫にとって大事なのは、財産より、「精進向上の気魄、努力奮闘の精神」・人生の最大幸福は「職業の道楽化」自分の職業を天職と確信して一意専心努力すれば、仕事に面白味が生まれ、道楽に変わる。・凡人の天才に対する不敗の職業戦術「仕事に追われないで、仕事を追う」・人生即努力、努力即幸福いかなる場合も本業第一、一つのことに全力を集中する
2014年06月15日
アレクサンドリカ
金曜日の夕方、予定通り、大学で開催されたEU FILM DAYSへ。今回見たのは、スロヴェニア映画の「アレクサンドリンカ」。19世紀後半から20世紀前半にかけてバルカン半島から大量にアメリカに移民したことは知っていたが、一方、女性たちがエジプトに出稼ぎに行っていたことは知らなかった。
なぜエジプト？かと思ったが、1952年のエジプト革命まで、イギリスの植民地そして王国としてのエジプトは綿花貿易で非常に栄えていたらしい。カイロやアレキサンドリアはその中核都市で、ヨーロッパ中から一旗揚げたい男たちが集まり、実際、沢山の億万長者が生まれた。彼らはビジネスに、奥方は社交に忙しく、子供たちの世話は乳母や子守に任されていた。その中で最高の評価を勝ち得ていたのは、「誠実で、勤勉で、美しい」スロヴェニアの女性たちだったのだ。
スロヴェニアは貧しく、エジプトは富んでいる。出稼ぎの女性たちは夫の10倍もの稼ぎから本国の家族に仕送りしていた。しかし、次第に、エジプトでの豊かな生活に慣れ、郷里から足が遠のく。夫も戦争で兵隊にとられ、子供の面倒を見る人が居なくなり、施設に預けられた子供も多かったようだ。
イタリアの東に接するスロヴェニアを代表する企業はスキーのELAN。5年ほど前、ここの従業員が日本語研修に来た時、うちで3か月ほど預かったことが有る。Anaはどうしているのだろう？久しぶりに連絡を取ってみよう。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、スロヴェニアから大勢の女性たちがエジプトに出稼ぎに行った。乳母や女中としてエジプト人に雇われた彼女たちは「アレクサンドリンカ」と呼ばれ、本国に残してきた貧しい家族を支えた。当事者や縁のあった人々へのインタビューを通じて当時の様子を浮き彫りにしたドキュメンタリー作品。
2014年06月14日
私の人脈管理法
一昨日6月12日にFacebookの「友達」が1000人になった。知り合いだけなので、多いほうだと思う。元々、携帯の連絡先には約3000人入っているので、そのうち1/3位がFacebookを使いだしたという方が正しい。
3000人というと驚かれるが、これは社会人になって間もなくから殆ど変わっていない。最初に勤めたのがベンチャーキャピタル（VC）で、毎日法人営業をしていた。「上場しましょう」という話をしなければならないので、会うのは常に社長。悪くても、取締役。オーナーでなければそんな判断は出来ないので、それ以下の役職に会っても無駄だ。
今のようにVCが何なのか全く理解されていない時代。アポを取るのは大変だったが、話が進めば、1社あたり5人位に会うことになるので、1年目に100社訪問して500人分の名刺が集まった。2年目に名刺の数を数えたら1000枚を超えていたので、 お会いした人達に声をかけて、「名刺1000枚突破記念パーティ」というのをやったことがある。当時来ていただいた人に会うと未だに、「あんなのは初めてだった」と言われる。
その後段々仕事に慣れ、名刺の数も加速していき、留学のためにVCを退職した4年目には名刺が3000枚を超えていた。以来、25年。今も毎年平均500人位新しい人に会う。どうやら、最初の職場以来、それが習慣になったようだ。
ところが、今の名刺の数も3000枚で変わっていない。毎年、500人に新たに会う代わり、会わなくなった人は捨てていくからだ。メンテナンスされてないリストには意味が無い。
昨年からは名刺管理アプリのエイトで名刺画像を撮っているので、現物はもう必要ないのかもしれない。でも、頂いた名刺を名刺帳に企業別に整理するとき、「そういえばあの人」とか「この人に連絡取ってみよう」ということもあるので、新人の頃からそろそろ30年になるという5冊のA4名刺帳を未だに使っている。
要するに、「私の人脈キャパシティは3000人」ということで、それ以上は覚えられない。上には上が居るもので、丸亀高校のある先輩は常時1万人の連絡先を管理していた。 流石はR社（上場間近）で常務までなった方で、毎晩平均3件の宴席や食事会を掛け持ちされている。これは、とても私には出来ない。
2014年06月13日
しかし、大日本帝国憲法とか、終戦の詔勅とかがナマで見られるのはここだけなのだ。2014年06月12日
「与える人」が成功する
常識的な結論ではある。日本人は自然にやっている人が多いのではないか。ただ、「ゆるいつながり」という人脈を持ち、それを仕事に活かしていくGiverであることに注意しなければならない。「成功するGiver」はただの「お人よし」ではないのだ。
・相互関係における3タイプ��Taker：与えるより多くを受け取ろうとする��Giver：受け取る以上に与えようとする��Matcher：与えることと受けることのバランスを取る・成功から最も遠いのも、最も成功するのもGiver・成功するGiverの特徴� 屬罎襪い弔覆�り」「弱いつながり」を活かす。「強いつながり」に比べ、より開かれているので、新しいきっかけを発見しやすい。�⇒�益の「パイ」を大きく増やす働き方Giverは頼りあうことが強さの源だと考える。そして、自分の利益よりグループの利益を優先する。�２椎柔�を掘り出し、精鋭たちを育てるGiverは、全ての人の中に可能性を見出そうとし、見抜いた才能を育てる。人を皆「大きな可能性を秘めた人」として見ることで、リーダーやメンターの役割を果たす。�ぁ峩�いリーダーシップ」より「影響力」優位を得るため、Takerは「強力なコミュニケーション」をする。声を張り上げ、実績を強調する。一方、Giverは「ゆるいコミュニケーション」をする。強引な話し方はせず、不明な点は明らかにし、人のアドバイスを受ける。こうして弱点を隠さず会話することで、信望を集めている。
2014年06月11日
フューチャーセッション
以前仕事を一緒にしていた高野さんに誘われ、「フューチャーセッション」なるものに参加。今回のお題は、「みんなのクール・ジャパン 2020年に残したい日本各地の魅力」でした。
最初に、各自が自分の関心のある地域とそこで何をやりたいかを表明したのですが、偶然、「瀬戸内海」という人と「高知」という人もいたので、「四国」として合流。
【提案】
・接待文化を復活させ、地元の人が地域の魅力を再発見する
・自転車お遍路を普及させるため、各寺にレンタサイクルを整備する
・自転車お遍路のためのシャワー等の施設整備
なぜ「自転車お遍路」かと問われれば、それは、
・四国には世界屈指のサイクリングコースである「しまなみ海道」が既にあり、大人気になっている
・歩き遍路もこの20年で復活しつつあるが、40日以上かかるため、絶対数は未だ少ない
・大半の人は車で回る訳だが、これをなかなか「お遍路さん」として認めてお接待する気になれない
・自転車で回れば2週間で可能で、参加ハードルは下がるが十分大変
漠然と思っていたことが、意識の高い仲間と話し合うことで、案が具体的になります。授業でも似たような手法を取り入れていますが、仕事でもっと使われていいと思います。
フューチャーセッションは、最適解のない複雑な問題を解決するために、企業・行政・NPOなどのセクターの壁、組織内の部署の壁、専門分野の壁など、立場の違いを超えた対話により、協調アクションを生み出す場です。
フューチャーセッションには、次のような特徴があります。
- 既存の問題設定とは異なる、フレッシュで良質な「問い」の設定から始めること
- 新たな「問い」に応じた、未来のステークホルダーを選び（キュレーション）、招き入れること
- 創造的な対話を通して、未来に向けての「新たな関係性」と「新たなアイデア」を生み出すこと
- 対話だけで終わることなく、ステークホルダー同士が協力して行動できる状況やアクションプランを生み出すこと
通常の創造的にアウトプットをつくる「ワークショップ」の要素に加えて、お互いの人としての関係性を大切にし、問いをしっかりと深めて行く「ダイアローグ」の要素を大切にするところです。
2014年06月10日
最高の戦略教科書
「不敗」の大切さ。生き残っていれば、いつか勝つチャンスも巡ってくる。致命傷を避け、ゲームを続けること。
『孫子』の考えは、言ってみれば、「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」（吉田松陰）の真逆！本当の戦争は、「詭道」に頼ってでも、なんとか避けるべきでしょうが、正義感に基づく勇気ある行動までなくなると世の中寂しい。
・孫武が活躍したのは、戦乱の続く春秋時代末期。
『孫子』の考えは、言ってみれば、「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」（吉田松陰）の真逆！本当の戦争は、「詭道」に頼ってでも、なんとか避けるべきでしょうが、正義感に基づく勇気ある行動までなくなると世の中寂しい。
・孫武が活躍したのは、戦乱の続く春秋時代末期。
・『孫子』の戦略観
�＼鐐茲蝋餡箸僚殿膸�であり、国民の生死、国家の存亡がかかっている
�¬椶料阿療┛奮阿砲皀薀ぅ丱襪和燭ぁＬ楞阿療┐望，辰討癲�国力を消耗すれば、第三者が漁夫の利をさらう。従って、「戦わないで敵を屈服させることが最善の策」
・戦う際の原則
� 嵒塲圈彎，弔里倭蠎蠅坊笋�なければ出来ないが、負けないことは自分の努力で出来る。
��長期戦になれば国力を消耗するので、「短期決戦」で勝てる場合のみ戦い、それ以外は戦わない。
・「不敗」と「短期決戦」とを結びつけるカギは「詭道」（だましあい）
こちらを弱く見せたり、こちらの意図を的外れに解釈させたりして、相手を油断させる。
「始めは処女の如くにして、敵人、戸を開き、後には脱兎のごとくして、敵、防ぐに及ばず」
・勝利の条件
�＼鑪郎垢魎佞澆董⊂，討覆ち蠎蠅箸論錣錣覆�
�⊂，討訌蠎蠅箸世院⊂，討襪笋衒�で戦う
�８�方が一致団結している
�ぞ霾鶻丙垢砲茲辰董�敵が準備できていない状態にある
�ネ�能な現場責任者に全権委任がなされている
2014年06月09日
歌舞伎鑑賞教室
早稲田に来ている交換留学生らと「国立劇場 第85回歌舞伎鑑賞教室」へ。「若い世代を中心とする多くのお客様に歌舞伎に親しんでいただくため」と称しているだけあり、学生1300円、大人2等席1500円はお得！
演目は、森鴎外原作、宇野信夫作・演出の新作歌舞伎「ぢいさんばあさん」。「これも歌舞伎なんだ」という感じ。真っ白に塗られた顔と、女形が演じる女性であること、時代設定が江戸であることを除けば、それほど現代劇と変わらない。歌舞伎を歌舞伎たらしめているのは何なのだろう？
24日までやっていますので、興味ある方は是非！
2014年06月08日
同窓会寄付金の使い道
丸亀高校東京同窓会に出席。香川に居るのだから、丸亀で出ればよさそうなものだが、長年東京で出ていて、知り合いもこちらの方が多いので、相変わらずこちらで出ている。校長も、高校全体の同窓会長も毎年丸亀から駆け付けるので、その点でも遜色はない。参加者が多彩なのも東京同窓会の特徴で、上場企業の社長・役員、官僚なら事務次官経験者、小説家などが、今回執行体制が変わって新役員に就任した。
丸亀から来た同窓会長から昨年の寄付金の報告があった。昨年は創立120周年（旧制丸亀中学から）に、野球部の甲子園出場という慶事が重なり、創立120周年記念寄付金目標の3500万円に対し6900万円、野球部の甲子園出場に対し7000万円が集まったという。甲子園では初戦で横浜高校に当り、あえなく一回戦負け。このため、大幅に寄付金は余ったが、今後の野球部他運動部の活動に使われるという。
さて、ここで考えたいのは、寄付金の使い道。卒業生が寄付金を出す時の思いは、「母校が今後も変わらず存在し、出来れば発展してほしい」ということだと思う。では、よい学校とは何なのか？ これまで国内外で受けた教育の経験から、5つの要素があると思っている。
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�ぅ蓮璽匹箸靴討龍軌藉超�（校舎・校庭など）
�ザ�力な同窓会
最初の4つは在学中の体験を決めるが、同窓会は細々とながら生涯に渡っての体験に影響する。また、これらの要素は互いに影響し合っており、優秀（熱心）な学生には教師も教えがいがあるし、在学中の体験が良ければ、卒業後同窓会活動への参加率も高くなる。
なので、同窓生の「よい学校で居てほしい」という願いを込めた寄付金を有効に使おうと思えば、これらの要素のどこにどう資金を使うのがもっとも効果的であるかを考えて使う必要がある。
5つの要素の中で通常最も効果が高いのは�ゞ技佞澄�だから、予備校では人気講師に高い報酬を約束する。世界大学ランキング上位を常に独占する米国私立大学も同様で、潤沢な資金で世界中から優秀な研究者と教師を集めている。世界の第一人者に直接教わりたいから、年間授業料が400万円でも、世界中から優秀な学生が集まる。
私が昨年寄付した資金も、可能なら、教員に投資してほしいと思う。県立高校だから、教員は他校同様平等に人事異動がある。常に工夫を怠らない先生も、10年間進歩してない先生も給与差はつかない。部活動指導を熱心にしていれば、週末などなくなるが、その手当は殆ど出ない。成果を上げている先生に同窓会から「報酬を上乗せ」するというのはどうだろう。
寄付金がより有効に使われるという確信があれば、日本でも寄付金はもっと集まるはずだ。日本で寄付が少ないのは、学校の運営体制に不信感を持っていることが一因だろう。少なくとも、私の場合はそうで、海外に寄付している額の方が断然多い。
2014年06月07日
確実に予測できる技術革新
筆者は、「人口動態と技術革新だけは確実な長期予測が可能」だという。それは、双方とも、30-50年後に起こることの種が「今」まかれているからだ。話の大筋は、HBSクリステンセン教授の名著『イノベーションのジレンマ』に通じる。この本については、本blogでも度々取り上げてきた（数えてみたら、これまで7回取り上げてきているので、今回が8回目だ
）。政策上気になったのは、「シェールガス革命」。米国で実用的採掘技術（fracking）が確立したのは10年ほど前で、東日本大震災よりはるか前である。京都議定書でCO2削減の旗を振っていた日本としては、CO2削減につながらないシェールガスに頼るわけには行かなかったのだろうが、3.11以降、すっかり忘れられたようで、全ての原発を止め、発電効率の悪い古い火力発電所をフル稼働して年間に3兆円分の石化燃料を余分に燃やしている。
その中でFITが驚くほど高い値段で導入された。「シェールガス革命」が進行する中、FITへの税金投入と国民負担投資は無駄になる可能性が高い。著者も指摘している通り、再生可能エネルギーはコストが高く、原発を代替するのは難しい。であれば、米国と組んで「シェールガス革命」に乗るのが最善だと思う。
＊確実に起きることが見えてきた技術革新は、未来において実際に起きる。その結果、旧来の技術を強みにしていたリーダー企業を破壊する。・破壊的イノベーションが現実のものになるまで35-50年かかる。まずイノベーションの種が発明され、商品となるまで約15年かかる。その最初の商品を見て業界人が小馬鹿にするが、その後10年ほどで既存の商品を圧倒するだけの性能を持つ。そこから10年後までの間に、既存メーカーは淘汰される。・自動車業界では、これからの10年間で、「ちゃちで安価な新興国製の電気自動車」と「シリコンバレー製の自動操縦車」の二つの新商品が、業界を破壊する。�‥典ぜ�動車の時代になると、EVのコストと性能の大きな部分を占める電池を制したものが市場を制する�⊆�動操縦車の時代になると、自動車の性能を決めるのはソフトウェアになり、GoogleなどのIT企業が勝者となる・「シェールガス革命」�＼こα澗里妊┘優襯�ー価格が下がり、中東やロシアなど石油資源に依存してきた国々が打撃を受ける��一段と安くなるエネルギー革命に太刀打ちできない太陽光発電、風力発電などの開発事業者が消え去る
2014年06月06日
ダントツのビジネスを発想する
この「原価率を高める」というのは、最近の飲食店のトレンド。競争が厳しいので、原価率を高くして商品力を高めないと、客が来てくれない。問題は、その原価率の高さを何で補って、利益を出すか。
「俺の」は、立食にすることで高回転率を実現し、高い売上を誇る。結果的に、人件費や間接費が抑えられる。
考えてみれば、香川のうどん屋は昔からそう（笑）。さらに、最近は、「第4次讃岐うどんブーム」で観光客が増えたので、「お土産うどん」による補完が利いている。店舗拡張も人件費増もなく、売上が上がるので、「お土産うどん」の利益率は高い。さらには、人気をネット販売に結び付けられれば完璧。
一日に7万食を提供する日本一の弁当屋「玉子屋」のビジネスモデル・一品メニューによる効率化→一括仕入れ・原価率は、同業他社より10-15%も高い50%前後→圧倒的な価値・配送担当者が連絡を取り合い、過不足分の弁当を融通し合う→廃棄率0.1%⇔業界平均2%・低人件費率「同業他社の3倍働き、2倍稼ぐ」＊BM構築の「前提」・妥当性：BMに現実性があるかどうか・正当性：顧客や株主、従業員、取引先などにとって「このビジネスは正しい」と感じられるかどうか
2014年06月05日
BNI
お友達からお誘いを受け、BNIなる異業種交流会の説明会に早朝から出席した。他の異業種交流会（バブルの頃流行りましたね・・・）や、ロータリークラブやライオンズなどと違うのは、その組織目的を「会員が顧客紹介をし合い、売上を拡大すること」と明確にしていることだ。
ロータリーやライオンズには、社会貢献という大義名分がある。会員も、特に地方においては、高年齢となっており、これからビジネスを拡大したいという若い経営者には物足りないだろう。既に、事業基盤が出来て、余裕のある会員が多い。
BNIの説明を受けて思ったのは、如何にもアメリカ的で、顧客紹介の仕組みがうまくできていること。各チャプターは「一業種一人」の原則があり、同業種の人は追加で参加できない。こうして、チャプター内で仕事を回し合う仕組みになっている。
こうした人には向いていると思った。
・業種的に差別化が難しく、新規顧客獲得のために「紹介」が重要
・個人事業主あるいは零細企業で、固定費を掛けず、顧客ベースを拡大したい
一方、疑問に思ったのは、紹介する相手がその道のプロで、高品質なサービスを提供してくれることをどう担保しているかだ。「一業種一人」ということは、チャプター内では選択の余地が無い。安心して顧客紹介するためには、品質を担保する仕組みがなければならない。
そのためには、例えば、「香川県内ではその業界で十指に入るプロ」ということでなければいけないと思うのだが、チャプター内で最初の「一業種一人」になるのは、会員の紹介が必要とはいえ、ほぼ先物勝ちだ。勿論、しばらく経てば、仮に問題のある人であれば、その人に紹介を回す会員が居なくなるだろうから、やがて自然淘汰される。
私の取っては、LBS同窓会ネットワークが一番信頼できる。GMATで基礎学力、大学や勤務先の上司の推薦状で信用力、卒業生による面接でこれまでの実績と対人能力が担保されている。数十倍の競争倍率を潜り抜けて入学してきた仲間だ。さらに、2年間（MBA以外は1年間） の膨大な学習量をこなす共通体験で「同じ言葉を話し」、年間に数百人しか卒業しないので世界中どこで会っても仲間意識がある。
世界130か国に同窓生がいて、ほぼ全員がビジネスの最前線で活躍し、それぞれの国で影響力のある立場にいるのは素晴らしいこと。世界中どこへ行っても、着いた夜や翌日、同窓生と会うことができ、現地の最新事情についてレクチャーを受けられる。訪問目的に応じて、必要な人脈を紹介してもらえる。「初対面」の人とこうしたことが可能なのは、上記の「仕組み」があるからだ。
2014年06月04日
地下音楽 現場物語
「地下音楽 現場物語」上映会なるイベントがあり、朝日町の富士屋食堂へ。「本当にここでやるの？？」と思ったが、本当にやった。
監督のゴトウイズミさんは、アコーディオンの弾き語りをするミュージシャンで、広島の原爆ドーム近くで「ヲルガン座」と「ふらんす座」という飲食店をやっているらしい。
テーマは「人を喜ばせる仕事の裏側」。観た印象としては、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」のアングラ版という感じ。今週の本田圭佑と、映画に出てくる福岡のミュージシャン「ボギー」にも共通項がある。同じことに情熱をもって、日々工夫を怠らず、長く続けている。
住む世界は違っても、一流になる人の心構えは同じということか。
2014年06月03日
人材フライト
「少子高齢化」ばかり言われているが、実際は、1年で4万人も海外に流出しているというのは衝撃的である。なぜなら、こういった人材は能力が高く、前向きで、高額納税者であるか、将来そうなる確率が高い。仮に、平均的な納税者の10倍を納税しているとすれば、そのインパクトは40万人の人口流出に相当する。「10倍は大げさ」と思うかもしれないが、日本は累進課税なので、（控除額にもよるが）年収300万円の人と、年収1000万円の人とでは、納付する所得税額は約10倍になる。
長年、国内での地方から東京への人材流出が言われてきたが、海外に出てしまえば、国内税収は無くなってしまう訳で、こちらの方が問題は大きい。著者は、それを非難しても解決にならず、「逆に奨励し、海外で稼いだ富を日本に還流してもらう」と言うが、そもそも日本に魅力が無くなって海外移住した人たちが日本に投資などで資金を還流するのだろうか？せいぜい、年に何度か帰国して、日本食を堪能するのが関の山のような気がする。
元々、日本は海外投資家からみて魅力に乏しく、FDIは先進国で最低水準にある。この上、国内資金と人材が海外に「フライト」を始めれば、国債の国内消化は不可能になる。最悪のシナリオも考えられる。
・海外に移住する日本人が年々増加
・移住目的：投資、リタイアメント、教育
・海外在住日本人数118万人（2011/10)
・北米：45万人 アジア：33万人↑
・今日の日本は「貿易立国」ではなく、海外への投資で稼ぐ「投資立国」(輸出依存度11%)
・外国人比率 ロンドン50% NY34% シンガポール38% 香港43% 東京3%
2014年06月02日
瀬戸内海歴史民俗資料館
ここを訪れたのは何十年ぶりか？五色台の上にある県立の「瀬戸内海歴史民俗資料館」は1973年の完成。当時は6期24年続いた金子知事の末期。1974年の知事選で社会党の候補に敗れて、県政を去る。
金子知事は在任中、「デザイン知事」とも言われ、数々の公共建築を残した。「日本の近代庁舎建築のシンボル的存在でもある丹下健三氏の香川県庁舎（現東館）をはじめ、同じく丹下氏の県立（舟形）体育館、大江宏氏の県文化会館や芦原義信氏の（旧）県立図書館など」瀬戸内海歴史民俗資料館は当時県の建築課課長であった山本忠司氏による設計で、壁一面に張り付けられた安山岩が印象的。この安山岩はこの資料館建設のため、ダイナマイトで破壊された建築現場に在ったものだ。
昭和50（1975）年 日本建築学会賞（作品賞）
昭和63（1988）年 第一回公共建築賞優秀賞
平成10（1998）年 公共建築百選
いいところなのに、いつも閑散。建物も、展示も、風景もいいんですけどねー。
2014年06月01日
「アートでたんぼ」今日最終日
年に一度、5月に高瀬に出現する異次元空間「アートでたんぼ」も今年は今日で最後。うちは近所なので、期間中、昼となく夜となく、時間があれば寄らせてもらってます。先日は、夜、関係者だけで地元イノシシの解体も体験。
先日、四国新聞に記事が出たので、いつもより人が多そう。嬉しいような、残念なような。
アートでたんぼは、農家兼アーティストの河野博さん（６６）＝同所＝が農業という土を耕す生産行為と芸術文化活動が分断された状況に違和感を覚え、両方を結び付けようと２００１年から毎年開いている。今回は所有する田んぼ約８千平方メートルを舞台に、芸術家１０人の作品を展示している。
