2014年05月
2014年05月31日
まち恋
今週は、地元の三豊市商工会青年部の研修講師に呼ばれ、商工会へ。来月から大学院の担当授業も始まる忙しい時期ですが、なにより地元優先です。
今回、ビジネススクールでの教育の特徴の一つになっているケーススタディを体験してもらいました。本来でしたらケースを読み込んで、関連調査もして、自分の意見をまとめてきてもらわねばなりませんが、そこは単発の研修なので、省略。短いケースにして、ケース概略を最初に説明する形でスタート。
皆さん初めての経験でしたが、呑み込みが早い！30代の2代目が中心ですが、やはり、経営者になるという覚悟を決めて日々仕事をしていることが大きいでしょう。田舎なので、皆が見てます。それが窮屈だと思うこともあるでしょう。しかし、こういった地域の中小企業が地元の雇用の大半を供給しています。彼らが自社を守り、さらには発展させることが地域にとってとても重要です。
青年部では、人口減少を少しでも緩やかにしようと、「婚活イベント」も継続開催中。「まち恋」11章は今週末開催だそうです。（当選者のみ参加可能！）
2014年05月30日
EU FILM DAYS 2014
毎年5月に行われる「日EU Friendship Week」の一環として開催される「EUフィルムデーズ」が今年は香川大学で開催
これは見に行きやすい。
去年観た、アイルランド映画のMen at Lunch（ドキュメンタリー）も良かったです。
高松での上映は4本で、6月11-13日です。私は12日授業で行けませんが、13日（金）の2本を見る予定です。
2014年05月29日
カラヌス��
瀬戸内海国立公園指定80周年記念事業の一環として大学で企画している「東讃ジオクルーズ」の下調べのために、大学の調査船「カラヌス��」に乗船し、津田から引田まで海上を往復した。午前中に航行予定が、濃霧で正午まで待機。おかげで予定がグチャグチャ。
「カラヌス」とは、動物プランクトンの一種で、微細な甲殻類らしいのだが、船の方はこの通り立派である。
全長 １９．９５m 登録長 １７．８０m 幅 ４．３０m 深さ １．５０m 総トン数 １９トン
最高速力32ノット、航海速力28ノットというのが速いのかどうか私には分からないが、十分速く感じる。特に、昨年行ったときは漁船だったので、それと比べると異次元の速さ。しかし、航行中はディーゼルエンジンの野太い騒音で殆ど会話が出来ない
ポイントポイントで速度を落とすのと、拡声器の必要性があるな〜。
2014年05月28日
記録更新
昨日の香川は、一昨日雨が降ったせいで、朝のうちひんやりとした五月晴れだった。来客予定があったので、当初車で行く予定だったが、こんな自転車日和も今のうちだけと、急きょ自転車で通勤することにする。
寒くもなく暑くもなく快調
風は3m/sの追い風。大学に到着してみると、37km 1:17h Av.29km/hの新記録
自転車通勤を始めたのは丁度2年前の5月22日。その時も、季節の良さから、「香川に移ってからの運動不足解消にやってみるか」と思い立ち始めた。その時は、クロスバイクで、休憩を入れて1:50h。Av.20km/h。昨日は帰りも、ほぼ無風の中、1:23h Av.27km/h Max 50km/hの新記録。帰りの方が登りが多いのと、疲れが出るので、遅い。
今月、比較的よく乗っていたので、体力も上がったようだ。問題は、今後、梅雨の中、どうこれを維持するか。プロは当然、ローラー台の上で毎日トレーニングするわけですが、そこまでするインセンティブもないしなー。
2014年05月27日
農業はオランダに学べ
オランダと言えば、昔から高付加価値の園芸農業で有名。そして、現在のオランダは農業貿易でかの米国をも上回る貿易黒字国である。（輸出額では世界第2位）そのやり方は、田村耕太郎（元衆議院議員）のblogに詳しい。
オランダが、国際的に農業で稼ぐ上で、不利な条件を揚げてみよう。まず国土面積の狭さ。国土面積は日本の５０分の１しかない。平坦な土地が多いが、それでも耕地面積は日本の４分の１。農業者の総人口に対する比率では、２・５％と同規模だが、農業人口は日本の３０５万人に対して、オランダは４３万人と日本の７分の１以下の規模。低温で日照時間も恵まれない。日本の近くに例えればサハリン北部に相当する厳しい気候だ。またパートタイム労働者の時給が２０００円近く、人件費も高い。
それでいて、強い農業を形作っている。農業輸出は６８０億ドルでアメリカに次ぐ規模だ。これは日本の３０倍に相当する。日本の農業貿易は４４０億ドルの赤字だが、オランダは世界最高の２５０億ドルの黒字。小さくても世界で稼げる農業を実践している。日本の７分の１以下の農業人口で、日本の２・５倍のばれいしょ、１・３倍の甜菜、３・５倍のマッシュルーム、１・２倍の豚肉、１・３倍の牛乳、を生産している。牛肉生産量も日本の８割以上である。
一言でいえば、自給率を捨てて、高付加価値なものに特化しているのだ。小麦１トン作っても売値は３４０ドル。トマトなら１２００ドル。チーズなら５６００ドルと何倍も稼げる。
そのオランダにしても、転機となったのはEUで農業市場が統合され、スペインやイタリアなど生産コストが格段に安い国と完全に同条件で競争しなければいけなくなったから。これを機に、取捨選択が強化され、選ばれた生産品目に大規模投資を行って生産コストを引き下げた。
この象徴が、2010年に行われた「農業省の経済省への統合」。日本でいえば、農水省を経済産業省に統合したみたいなものだが、これは、「経済を伸ばす代わりに、保護しなければならない農業」という考えから、「農業も産業の一つであり、競争力を高め自立しなければならない」という政策の完成に当たる。
2014年05月26日
MBOで上場廃止した会社の社員との会話
先週末、大学の国際化をテーマとした勉強会に出席。主催は英語教材で最大手のアルク。終了後の懇親会には、平本会長も参加された。
1969年創業のアルクが上場したのは、2006年。円安によるミニバブルで株価も好調だったころである。公募価格は@55000円で、初値が@82500円相場全体が好調な中、英語教材No.1の知名度の高さがプラスに働いたのだろう。
そして6年後の2012年に、MBOにより上場廃止。同年12月の自民党による政権奪回前の9月のことで、株価が低迷している中でのTOBによる上場廃止だった。＠27500円 上場したころ買った長期投資家は大損したが、その間の業績を考えると仕方ない。売上は全く伸びず、利益は出たり出なかったり。
高い知名度にもかかわらず、伸びない業績。英語教材もインターネットの影響で無料化、低価格化が進んでいったので、厳しい経営環境だったといえるが、買収ファンド（日本みらいキャピタル）が「やりようがあるのではないか？」と考えたのも理解できる。
私がビジネススクールでベンチャー経営を教えていると紹介したら、アルクの社員から、「うちの会社どうなるんでしょうか？」と聞かれた。「ファンドが入っているんだから、必ず売却先を探しているはず。保有期間は3-5年だから、そろそろ候補先との接触を始めていると思う」と答えた。「どこになると思いますか？」と言うので、「筆頭はXXXXじゃないかな。傘下に英会教育事業も持っているし」と答えておいたが、さて、どうだろう。
1969年創業のアルクが上場したのは、2006年。円安によるミニバブルで株価も好調だったころである。公募価格は@55000円で、初値が@82500円
相場全体が好調な中、英語教材No.1の知名度の高さがプラスに働いたのだろう。そして6年後の2012年に、MBOにより上場廃止。同年12月の自民党による政権奪回前の9月のことで、株価が低迷している中でのTOBによる上場廃止だった。＠27500円 上場したころ買った長期投資家は大損したが、その間の業績を考えると仕方ない。売上は全く伸びず、利益は出たり出なかったり。
高い知名度にもかかわらず、伸びない業績。英語教材もインターネットの影響で無料化、低価格化が進んでいったので、厳しい経営環境だったといえるが、買収ファンド（日本みらいキャピタル）が「やりようがあるのではないか？」と考えたのも理解できる。
私がビジネススクールでベンチャー経営を教えていると紹介したら、アルクの社員から、「うちの会社どうなるんでしょうか？」と聞かれた。「ファンドが入っているんだから、必ず売却先を探しているはず。保有期間は3-5年だから、そろそろ候補先との接触を始めていると思う」と答えた。「どこになると思いますか？」と言うので、「筆頭はXXXXじゃないかな。傘下に英会教育事業も持っているし」と答えておいたが、さて、どうだろう。
2014年05月25日
瀬戸内サーカスファクトリー
2年前の「100年サーカス」を見損ねて以来、「観たいなー」と思っていた噂の「瀬戸内サーカスファクトリー」を金曜日に見れた。今回のテーマは、”Cabaret"。日仏共同創作公演です。
「サーカス」のイメージで行ったら、全く違っていて、演劇やダンスのよう。「現代サーカス」とは、こうした垣根がなくなっているようです。
香川に新しい名物誕生だな。
2014年05月24日
瀬戸内海賊物語
瀬戸内でオールロケの「瀬戸内海賊物語」を地元先行上映で見ました。高松での記念すべき初日、第一回
その割には空いていたぞ。小豆島のシーンが多いのだが、「あ、これはヤマロク醤油だ！」、「ここはエンジェルロード！」という感じ。終わりころには「長栄堂」もチラッと。→岡田さん（笑）
子供が主役なので、「子供向け？」とも思いましたが、意外に楽しめました。ノリはインディジョーンズですね。
物語は、島と関西を結ぶフェリーが老朽化で廃止になるという話から展開していきます。ここで気になったのが、島民がフェリー運営会社と町長に、「何とかしろ！」と詰め寄るシーン。映画では、「運営会社と町が住民を無視してフェリー便をなくすのが悪い」 という論調で描かれているのですが、映画には出て来ないですが、本当はその前にこういうやり取りがあったはずなのです。
フェリー会社：値上げしなければ船を更新できない
住民：それは嫌だ
フェリー会社：それでは今の船の寿命が来たら路線を廃止せざるを得ない
住民：その時は町に税金で何とかしてもらおう（でも、増税は嫌だ）
町が助成金を出すのは場合によっては正当化できますが、住民も自分たちで出来ることやらないとね。
2014年05月23日
祝日はいくらまで増やすつもりなのか?
既に日本の国民の祝日は世界最多だが（実際は、表中の祝日に加え、正月三が日も慣例的にほとんどの企業は休むため、実際の日本の祝日は17日
）、今度また「山の日」が出来るそうだ。本来、国民の祝日とは、それだけの意味があって、大半の国民がそのテーマを振り返る日であるはずなのだが、これだけあると「あるのが当たり前」になってしまい、「今日は何の日だっけ？」が益々増えるのは間違いない。かっては有休休暇を取りずらい職場も多かったことから、「国が強制的に労働時間を減らす」という意味合いもあったと思うのだが、既に年間労働時間は2000時間を切り、英米並になっている。世界最速で高齢化が進む日本で、それを加速するように休日を増やしていいものなのだろうか?
昭和天皇の誕生日であった4月29日に至っては、1989年の崩御後「みどりの日」として残され、さらに2007年にはこれが「昭和の日」になり、元々暫定的名称であった「みどりの日」まで5月4日に移動して残り、結果2日の祝日が増えた。
こちらの記事でも指摘されているが、こうした「祝日で一斉に休む」というのはもう止めたらどうか? 祝日が増えることで、益々有給休暇が取りにくくなる。
もう一つの問題は、これでは日本の観光業が発展しないことだ。需要が休日に集中するため、日本の観光業は、「平日は赤字で、これを休日に一気に取り返す」という構造になる。この構造では、大きな投資はリスクが高いので、どこか安っぽいハードになってしまう。さらに、多くの人が利用する繁忙期のサービスレベルが低下してしまう。観光業に携わる人の雇用の安定にも繋がらない。
祝日の意味を見直し、一旦、半分くらいに整理したうえで、長期休暇を自分で仕事をコントロールして取るようになるのが正常ではないか。
2014年05月22日
教科書に起業家の話？
先週のNBCセミナーでは、経済産業省(METI)による興味深い資料がイロイロ出てきた。例えば上の図。
「日本のベンチャーの課題」というタイトルで、日本の開業率・廃業率の低さと、大きく育つベンチャーが無いことを嘆いている。尤も、これは、先進国の中ではベンチャーの盛んな英米と比べているので差が際立つが、欧州大陸諸国は日本と英米の間に入ってくる。何れにせよ、日本の企業「新陳代謝」が世界最低レベルなのは間違いない。
経済が低迷する中で、これを打開するにはベンチャー企業による挑戦しかない。新たな分野に挑戦すれば、失敗する企業も当然増える訳で、これをNice Try!と称えられる文化になるかどうかが、日本経済復活の鍵と言ってもいいだろう。
METIの「日本再興戦略」では、「開業率が廃業率を上回る状態にし、英米レベルの開廃業率10%台を目指す」と具体的な数値目標を置いた。 これを実現するため、企業のベンチャー投資促進税制として、「ベンチャー投資資金の8割を損失準備金として損金計上」出来ることになった
これはスゴイ
しかし、最も足らないのは、有望な投資先候補であり、投資資金ではない。こちらについては、中々即効策はない。起業家が増え、量が増えてこそ、質が充実してくる。長期的になるが、「教科書に起業家の話を入れる」というのは良い施策だと思ったが、これは実現するのだろうか?
2014年05月21日
未来を描き、想像する
実は、MBA2年目のインターンシップ＠BTで使ったのがこのシナリオ・プランニング。この時の感想は、「イギリス人て、やはり、グランドデザイン力に優れているな」 どうも、日本人は、部分最適には優れているが、大きな戦略を描くのが苦手。当然、いくら戦術が優秀でも、戦略のまずさは補えない。
米空軍、Royal Dutch Shellなどで使われてきた「未来を生み出すための手法」。シナリオ・プランニング＝戦略立案の手法の一つ様々に異なる未来の可能性があると考え、未来のシナリオを描く。シナリオ・プランニングのステップ１．課題を設定する２．情報を収集する→重要なトレンドの理解３．未来を動かすDriving Force（原動力）を特定する４．未来を左右する「分かれ道」になるような要因を見つける５．シナリオを考える６．骨組みに肉付けし、ストーリーを描く
2014年05月20日
大学進学率50%
週末に参加したALCの情報交換会である大学の先生が出されたのが、この図。元は、ベネッセ資料からの引用であるようだ。
簡単に言うと、「この20年で高校生の数は半減したが、大学は定員を減らさなかったので、４年制大学進学率は26%から52%に倍増した」ということ。短大や専門学校、高専への進学も含めると、「高等教育」進学率は80%にも達する。
これが普通の民間市場なら、需要と供給が一致した結果なので第三者があれこれ言うことではない。しかし、これが問題なのは、日本の大学には年間1兆円を超える税金が「運営交付金」として投入されていることである。以前も書いた通り、国立大学においては学生一人当たり年間200万円平均が投入されている。「平均」は200万円だが、東大など上位校に集中しているので、地方国立大学平均では150万円ほど。国立大学の学費は年間約50万円だから、掛かっている費用の1/4が自己負担で、3/4が税金で賄われていることになる。
私立の場合はざっくり言って、学生一人当たり年間120万円の費用が掛かり、内100万円が自己負担で、残り20万円がやはり交付金で賄われる。日本の場合、アメリカと違い、私立大学であっても国から交付金をもらっているのが特徴だ。これは、とりもなおさず、資金の出し手である文部科学省の意向に逆らえないことを意味する。
世界の大学トップ10は全て私立大学だが、その殆どはアメリカの私立大学である。この辺に、世界の一流大学と、二流にしかなれない日本の大学の違いがありそうだ。
2014年05月19日
南から来た火山の贈りもの
日曜日、湯河原で半日時間があったので、三島の「楽寿園」へ。ここは、伊豆半島ジオパークのジオサイトの一つにもなっている。約1万年前に富士山が噴火した際の「三島溶岩」を取り入れた日本庭園で、溶岩を取り入れた日本庭園は珍しいのではないか。
伊豆半島は本州で唯一、フィリピン海プレート上に位置する。かっては、南洋にあった火山島や海底火山が、プレートの北上とともに、火山活動を繰り返しながら本州に衝突し誕生した。なので、「南から来た火山の贈りもの」が本ジオパークのテーマになっている。
学生のころから何度も行っている伊豆半島だが、こうやって、ジオの観点からみると、また違った姿が見えてくる。他のジオサイトも訪ねてみたい。
2014年05月18日
ホテルローヤル
再び片づけで週末、湯河原へ。持参したのが、直木賞受賞作品『ホテルローヤル』
実家が釧路でラブホテルを経営していたという桜木の実体験に基づいた話になっている。流石に、ホテル名は仮称かと思ったが、Wikipediaによれば、本当にそういう名前だったらしい。
このホテルに関わる人々の紡ぐ物語はどこか物悲しい。作風としては、マンガの『黄昏流星群』（弘兼憲史）を思い出した。
描かれるのは、北の大地の底辺で暮らす人たち。学歴はなくギリギリの生活。家族はバラバラで、離婚も多く、子供はほったらかし。この北海道という舞台は、アメリカ的。実態はどうなのか？調べてみたくなった。
2014年05月17日
県か地域か
昨日の議論では、「県単位のVCファンドでは規模が小さすぎて、ファンド運営が独立して成り立たない」という問題提起をした。
「地方ファンド」としてプレゼンした新潟ベンチャーキャピタルのファンドも5億円であり、管理報酬を平均2%とすると年間1000万円の収入にしかならない。当然、これだけでは事業として成り立たない。
かって私も地域ファンド運用に携わった経験から、都市圏を別にして、地方県単位での一本のファンド規模は5億円が適当だと思う。それ以上の規模になるとファンド期限内に有望投資先を見つけ、投資完了させることは困難だ。地方に次から次へと有望投資先が新たに出てくるわけではない。
一方、運営側としては、投資責任者と管理責任者の最低二人は必要だ。給与と販間費で年間3000万円は欲しい。ここから逆算されるファンド規模は15億円ということになる。
この解決策として、県よりさらに広域のファンドにする方法がある。例えば、投資対象が香川県だけなら5億円のファンドが限界だが、四国全域を対象とすれば15億円の運用が可能だ。
このアイデアで昔ファンドレイズしようとしたが、この際の問題点は、行政も金融も全てが県単位になっているということである。「四国」という単位を相手にしていない。この時は、四国経済産業局の支援を得ることはできたが、肝心の資金の出し手である行政も銀行も説得することが出来なかった。
話し合いの中で、「ひろしまイノベーションファンド」の事例も挙げられた。こちらは、2本のファンド合計で100億円を運用しており、独立したファンドとして十分に成り立つ規模だ。
なぜ、広島でこの規模のファンドが成立したか、2点で違いがあるように思う。
１．経済規模
広島は中四国で最大の経済規模を誇る県で、そのGDPは11兆円と、四国全体と同規模である。3.6兆円の香川県とは規模が違う。
２．Classic VCではない
VC投資であっても、創業期ではなく「拡大期」への投資に特化するGrowth Capital志向している。さらに、事業再編やMBOに投資するPEファンドである。
勿論、このスタイルを否定するわけではなく、この事例からも、適切な規模での「四国ファンド」の設立が望ましいと考える。
「地方ファンド」としてプレゼンした新潟ベンチャーキャピタルのファンドも5億円であり、管理報酬を平均2%とすると年間1000万円の収入にしかならない。当然、これだけでは事業として成り立たない。
かって私も地域ファンド運用に携わった経験から、都市圏を別にして、地方県単位での一本のファンド規模は5億円が適当だと思う。それ以上の規模になるとファンド期限内に有望投資先を見つけ、投資完了させることは困難だ。地方に次から次へと有望投資先が新たに出てくるわけではない。
一方、運営側としては、投資責任者と管理責任者の最低二人は必要だ。給与と販間費で年間3000万円は欲しい。ここから逆算されるファンド規模は15億円ということになる。
この解決策として、県よりさらに広域のファンドにする方法がある。例えば、投資対象が香川県だけなら5億円のファンドが限界だが、四国全域を対象とすれば15億円の運用が可能だ。
このアイデアで昔ファンドレイズしようとしたが、この際の問題点は、行政も金融も全てが県単位になっているということである。「四国」という単位を相手にしていない。この時は、四国経済産業局の支援を得ることはできたが、肝心の資金の出し手である行政も銀行も説得することが出来なかった。
話し合いの中で、「ひろしまイノベーションファンド」の事例も挙げられた。こちらは、2本のファンド合計で100億円を運用しており、独立したファンドとして十分に成り立つ規模だ。
なぜ、広島でこの規模のファンドが成立したか、2点で違いがあるように思う。
１．経済規模
広島は中四国で最大の経済規模を誇る県で、そのGDPは11兆円と、四国全体と同規模である。3.6兆円の香川県とは規模が違う。
２．Classic VCではない
VC投資であっても、創業期ではなく「拡大期」への投資に特化するGrowth Capital志向している。さらに、事業再編やMBOに投資するPEファンドである。
勿論、このスタイルを否定するわけではなく、この事例からも、適切な規模での「四国ファンド」の設立が望ましいと考える。
2014年05月16日
誰も困っていない
古今東西、経済成長の主役はベンチャー企業だ。ベンチャー企業は試行錯誤の中から新たな市場を開拓し、その市場に特化することで効率性を追求して拡大する。大企業となったかってのベンチャー企業は本業での高い利益率に拘りすぎると、新市場を開拓できず、やがて破壊的新技術や新たなビジネスモデルを持つ新興企業に淘汰されたり、あるいは市場の衰退とともに衰退していく。
経済産業省はこの4月「次のグーグルは日本から出す
」 として、「ベンチャー宣言」をまとめた。ここまでベンチャーに踏み込んだ内容は、かってなかったことだと思う。その意気やよし。当然、安倍政権の「第三の矢」の後押しを受けてのことだろう。今日のNBC勉強会で議論したのは、「地方格差」。東京はアベノミクスで益々変わりそうだし、「第4次ベンチャーブーム」とも言われているが、 地方がそれに付いてきているとは言い難い。
こういうと、「では、支援策を」となるのが常。そうやって何十年も、東京の金を地方に持ってきたが道路や分不相応な箱モノが増えただけで本質は何も変わってない。実態は、「誰も困っていない」のだ。
地元に残れば、まず家がある。東京で賃貸すれば、独身で10万円、家族で20万円の家賃が掛かる。親と一緒に暮らす「見返り」に、生活費を全く入れてないという人も多い。地方なら20万円の手取りで十分暮らせるゆえんである。
地方では高齢化が進んでいるが、生活費が安いので年金だけでやっていける。こうして、現役世代も退職者も、「誰も困っていない」のが現実だ。困ってなければ、問題意識もない。困ってなければ、変わりたくないというのが人情だ。
こうして、問題意識があって「変えたい」人は、居づらくなって東京に行ってしまう。東京には波長の合う、やる気のある人が多いので、コストは高くても、そちらの方が居心地がいいのだ。結果、地方にはのんびりした人ばかりが残るようになる。
しかし、地方の「問題ない」生活の大部分は国からの交付金で支えられている。地方を変えようと思ったら、交付金を減らさない限り無理ではないか。
2014年05月15日
公開講座 「アートと地域活性化」 （北川フラム）
今年も、客員教授の北川フラムさんによる公開講座「アートと地域活性化」が、5/24-7/12の５回の土曜日に分け開催される。
２年前、私は半分くらい出席して、中川幸夫、宮本常一、網野義彦など、海外ビジネススクール出の私にはこれまでなじみのなかった人たちを知り、本を読んだ。先日丸亀で開かれた「讃岐の美狂人」展に足を運んだのも、この公開講義に出たのがきっかけ。（写真）
今年は任期最後になるので、復習に時間があるときは出る予定。詳細＆申し込みは、上記リンクから。
2014年05月14日
2014年05月13日
冷えたビールあります
西日本最高峰は、四国の石鎚山（1982m）である。友達に誘われて何度かカジュアルな登山をしたことがあるだけで、登山趣味のない私だが、四国に生まれたものとして四国最高峰のこの山には登りたいと思っていた。
地元のサイクリング仲間でもあるアイルランド人は登山も好きで、これまで2度誘われていたのだが、中々日程が合わなかった。今年で大学の任期も終わるので、今回、他の行事と重なってしまったのだが、無理して参加。
前日までの天気予報では「曇り」であったが、結果的には「晴れ」。朝7時に三豊を出発し、高速で西条に向かう。西条ICを下りて、しばらくR11を松山方面に進むと、「石鎚山」の案内板が出てくる。ここを左に折れ、川沿いに車を進める。黒瀬湖を左に見ながら、さらに上流を目指す。出発から1.5hでロープウェイ乗り場（山麓下谷駅）に到着。
20分おきに出るロープウェイで山頂成就駅についたのが9時前。ベストシーズンにもかかわらず、意外とすいている。ロープウェイに乗り合わせたのは、我々以外には5人だけ。先週のゴールデンウィークは大変な賑わいだったらしい。なるべく、普通の週末に来る方がいいということ。
有名な難所の「鎖場」には、う回路もあるのだが、全て鎖を選択してロッククライミング。最初の「お試し」とあるのは、何のことか分からなかった。登ってみて分かったのは、これは石鎚山の登山とは直接関係なく、途中の岩場に登る「お試し」鎖場なのだった。苦労して登って、また、裏側を下りないといけないと知り、気が抜けた。
鎖場では久しぶりに命の危険を感じる程。登山を終え、着いたところには、ふもとの一般家屋と変わらないような立派な山小屋があり、そこにデカデカと張り紙があった。
「冷えたビールあります」
ナンダカナー。
ビールがあってもいいし、飲みたい人も居ると思う。しかし、山自体が神体とされ、修行場でもある石鎚山にして、これ？苦労して登山してきた人々の「幻想」を打ち砕く、破壊力。「金さえ出せば、霊場で冷えたビールも飲めますよ」と臆面もなく言っているわけだ。
これだから、日本は観光で一流になれない。
2014年05月12日
日本で観光資源が活かされない理由
三豊市の観光資源のダントツは荘内半島だろう。瀬戸内海に突き出した細長い岬は、様々な表情を見せ、飽きさせない。
JR高瀬駅から、仁尾→箱→大浜→詫間と一周して約50km．半島部分は起伏が激しく、上級者向けだが、ゆっくり行けば中級者でも大丈夫。JR詫間駅からだと-10kmでいける。
この素晴らしい半島なのに、観光業はほとんど成立してない。カフェとレストランが数件あるのみで、宿泊施設も殆どない。昨年は瀬戸内芸術祭で半島の沖にある粟島（人口330人）に人口の100倍に当たる32412人が押し寄せたが、島に一日数十名が泊まったのみで、大半は宿泊施設の充実している高松や丸亀に泊まった。
荘内半島が素晴らしいということは昔から言われてきたことなのに、なぜ観光が発達しないのか？最大の理由は、「何も困ってない」からのようだ。昔は、漁業とミカンなどの農業で栄えた。詫間の埋立地には工業団地があり、片田舎としては異例なほど就職先もある。
そのために、「観光で半島全体を売り出そう」という機運が盛り上がらないまま数十年が過ぎた。今では、農業・漁業を引き継ぐ人は少なく、工場も省力化を進めている。しかし、同時に人口も減っているので、今も「観光」でまとまらないのが現状だ。
数少ない観光施設を運営しているのは、この観光資源に目を付けた「外から来た人」たち。「よそ者、若者、バカ者」の出番だろう。
2014年05月11日
THE GREAT GATSBY
![華麗なるギャツビー ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産) [Blu-ray]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/614L0VYXHtL._SL160_.jpg)
昨晩は、毎月行われるFilm Night。Arcanoを貸切り、英語のDVDを見る。昨年秋から春にかけて忙しかったので、参加するのは半年ぶり。
今回見たのは、昨年公開されたディカプリオ主演の『華麗なるギャツビー』。豪華絢爛な衣装と酒池肉林。それと対照的な、庶民の生活。その頃から比べるとアメリカ社会も進化したといえるだろう。汚職は減ったし、独占禁止法も出来た。
映像を楽しみ、社会問題を考え、そしてそれとは対照的なギャツビーの純粋な愛。1974年のレッドフォード版と見比べてみたくなった。
2014年05月09日
讃岐ジオサイト・サイクリングコース開発中
讃岐平野が広がり平坦で、気候も温暖な香川はサイクリングに最適
大学時代、訪れた同級生に、「自転車ばかり走っていて、ここは中国か！」と言われましたが、今やそれも昔の話で、香川でも郊外のショッピングセンターに軽自動車で乗り付けるのがライフスタイルとなっています。今期、大学のCOC予算で進めている、「讃岐ジオパーク構想推進」のための調査事業の一環で、「ジオサイト探訪サイクリング」を思いつき、現在、モデルコースを開拓中です。
香川県観光協会がPRしているのは、上記の13コース。これは、ジオサイトに関係なく、観光目的のコースです。これに、ジオパーク構想を取り入れ、新たに開発したいと思っています。
これまでに、高松出発で考え、自分でも走ってみたのは、
１．屋島＆庵治の半島をめぐるコース
約50km 瀬戸内海の景色が楽しめる。途中、庵治で庵治石見学など。アップダウンがかなりある中級者向け。
２．五色台一周コース
約50km 瀬戸内海の景色が楽しめる。途中、国分寺で国内最大規模の奈良時代国分寺跡を見学。アップダウンが多少ある初級・中級者向け。
とどちらも、見学・休憩入れて5-6時間で可能なコースです。
2014年05月08日
全ドイツ日本語スピーチコンテスト
昨晩は、「全ドイツ日本語スピーチコンテスト2013」Bグループ（日本滞在期間が９１日以上１２ヶ月以下の方）の優勝者、Zuzana Jombikova ズザナ・ヨムビコウァ(ミュンヘン大学学生)を高松に迎えた歓迎レセプションが開かれた。なぜ高松かというと、当コンテストをスポンサーしているのは大坂靖彦さんで、レセプションは大坂さんの自宅で開かれた。
ズザナさんは聞いてみれば、スロバキア人。一昨年、ミュンヘン大学と交換留学制度のある埼玉の大学に一年間留学していたという。そこでのアルバイトの体験を短いスピーチにうまくまとめていた。将来は、ドイツの日本大使館で働くのが夢だという。
大坂社長は地元では有名な方だが、お会いしたのは今回初めて。家業の大坂電気をチェーン店化して、茨木のカトーデンキと経営統合。統合後は、ケーズデンキの常務を長らく務めた。上智大学の学生時代に、欧州をヒッチハイクし、ドイツでたくさんの人に助けられたことから、「ドイツへの恩返し」として、当コンテスト以外にも様々な活動をされている。ヒッチハイク中に泊めてもらったワイナリーとは日本の総代理店契約をし、既に16万本を輸入したとか。
3.11の時、最も心配してくれて、「直ぐに家族毎こっちに来い！スイスの別荘に好きなだけ泊まっていい」と言ってくれたのも、ドイツ人の友達。イギリス大使館の分析情報を聞いていて、そこまでのリスクはないと判断していたので行かなかったのだが、申し出は大変嬉しかった。（危機状況での冷静な判断はアングロサクソンが優れていると勝手に思っている）
久しぶりに、集まったドイツ人たちと話していて、またドイツへ行きたくなった。
2014年05月07日
官僚制の肥大化と重税
「官僚制の肥大化と重税」は今も昔も、歴史の必然なのか？「行政改革が行われるが、すぐ元に戻り、国家破産」は、どうしても日本に重ねちゃいますね。
ローマ帝国衰亡の諸説
ローマ帝国衰亡の諸説
・ゲルマン民族の侵入
・ローマを発展させたエリートたちの家系が絶滅
・気候変動による農業の衰退
・共和政が崩れ、専制政治が出現
・経済の中核である奴隷制大農場の維持困難
ベルナルディ説（現在の定説）
2世紀：
・対外的膨張が終わったことで、軍事的勝利による富、労働力である奴隷が得にくくなる
・人々が不満を抱いて社会的不安を招かないよう福祉政策を導入
・蛮族に対抗するため軍隊の増強
・税収が減った政府は増えた軍人に給与を十分に払えなくなる（皇帝に不満）→要求が受け入られないと殺害（混乱）→経済活動の停滞
3世紀末：
・軍隊改革、税制合理化→官僚制的専制国家
・社会が安定し、経済活動が活発に
・国家機構が膨らんで支出が増大し、増税
・行政改革が行われるが、すぐ元に戻り、国家破産→軍隊弱体化→ローマ滅亡
2014年05月06日
やまびこMusic LIVE＠シェアカフェ
ありえない、山の中の一軒家でのライブ
その名も、「やまびこMusic LIVE＠シェアカフェ」夜中に庭で大音響で大丈夫
と思ったら、周りに人は住んでないらしいです。イノシシと鹿だけ。（笑）私的には、今回のヒットは前座だったMONDO DIAMOND。高松からの参加ということで、なんで、高松のバンドを徳島の山の中で聴いてるのか不思議でしたが、ま、そういうめぐり合わせでしょう。
YouTubeで「モンドダイヤモンド」検索するといくつか出てきます。私のお気に入りは、「真っ赤な太陽」（オリジナル：美空ひばり）
2014年05月05日
「ふるさと納税」やってみました！
2008年から始まった「ふるさと納税」制度。実態は、「自治体への寄付」であり、寄付金が2000円を除いて、税額控除される。当初は、本当に「自分の故郷へ役立ちたい」という人たちが主に利用していて、利用者も2010年で3万人余りと少なかったという。ところが、ここにきて、自治体が制度利用者への特典として、地域の名産品などを送るようになり、その競争が激化して、場合によっては2000円以上のメリットがあるため、利用者が急増しているという。
2010年の適用者数は3万3458人だったのに、2011年はなんと一気に20倍以上の74万1677人となり、寄付金総額も67億859万円から649億1490万円と、およそ10倍にまで跳ね上がったのである。
いわば、「納税版の株主優待」であり、私も試してみることにした。まずは、自分の住民税額を確認。「税額控除できる上限は住民税の１０％まで」とある。次に、その範囲で、何にするか見てみるのだが、これが株主優待以上にバライエティがあり、比較が難しい。
そんなことで時間を使っていても仕方ないので、昨年のランキング1位に輝いていた長野県阿南町と、尊敬している同業の小野さんが育ち、また、仕事で「栗焼酎ダバダ」を訪問したこともある四万十市にすることに決めた。阿南町は、昨年「3万円の寄付で米60kg！」が大々的に報道されたおかげで、今期に入ると同時に応募を締め切っている。私は、前期中に問い合わせていたので、申込書を送ってくれた。
阿南町からは、秋から来年にかけ、新米が10kgｘ6か月届くことになる。配達月まで指定できるのは便利。60kg一度に届くと、都会では置き場所にも困る。四万十からは、特産の「あおさのり」他が届く予定。
送金したり、来年、確定申告したりと手間もかかるのが、キチンと手続きすれば、かなりお得ではある。必要なら買う方が早いのだが、産地から直接届くのは、なんとなく嬉しい。
2014年05月04日
宇多津「古街」
「宇多津は港と塩田で栄えた街」と書いたが、一度、資本蓄積された街には、やはりイイものが残っている。それも、一旦栄えた後、発展が停まってしまって、開発が進まなかったところに結果的にイイものが残されている。三豊市でいえば、それは、以前書いたように仁尾だと思うのだが、今回、宇多津の古街を歩いて、ここもそうだと思った。宇多津の場合は、塩田の跡地が新たに開発され、古街がそのままにされたのだ。
この街のまちづくりに建築家として携わったのが多田義昭先生。8年間に渡り、住民と語り合い、行政と交渉して、現在の街並みを整備された。
今では、Alex Kerrプロデュースの古民家宿もでき、外国人旅行者の人気も集めそう。
2014年05月03日
伊勢神宮外宮の旧多賀宮御正殿が丸々来た神社
宇多津は丸亀の東にある街。その昔は塩田で栄え、賑わったと聞いている。30年前に瀬戸大橋が出来、四国の玄関口はそれまでの高松から、宇多津に変わった。その後、塩田がマンションや商業施設に変わり、新しい街が出来た。
私が知っているのはこちらの「新街」で、アメリカみたいな、個性のないつまらない街だなと思っていた。昨日、「古街」を見学し、その中心にある宇夫階（うぶしな）神社に参拝し、反省した。こんなところに、こんなスゴイ神社があったとは
丘の上の創られた神社には高低差がある。拝殿は、旧拝殿が火災で焼失した後作られたコンクリ製だが、形がいい。驚いたのは、その後ろにある正殿。ナント、伊勢神宮外宮の旧多賀宮御正殿が1973年の遷宮の際、そのまま移築されている
調べてみると、不要になった古材が再利用されることはあるものの、社殿がそのまま移築される例は少ないようだ。本殿の裏には、古代の祭礼のご神体であった巨石がある。(写真) 見たところ、花崗岩のコアストーンであり、推定300tとか。ここもジオサイトである。
2014年05月02日
下町ロケット
末っ子が、熱心に読んでいて、「面白かった
」というので、何を読んでいるのかと思ったら『下町ロケット』。ファンタジーか何かと思ったが、『半沢直樹』原作者による立派な経済小説だった。中小企業が、大手に対抗して世界最先端技術を開発する話だが、そこには、「経営者と従業員の対立」「銀行との確執」「VCからの資金調達」「大企業との特許係争」など、非常に高度な話が絡んでくる。銀行に詳しいと思ったら、池井戸さんは三菱銀行の出身だ。それも、同い年。（笑）
そういった話が中学生にすべて理解できたとは思えないが、一日で読んでしまったところをみると、物語（それも、企業内での出世競争、保身など『半沢直樹』ばりのドロドロ
）の筋はキチンと追えたようだ。ませて、ひねくれた中学2年生である。 2014年05月01日
Maru-Jan10周年
私がエンジェル（個人投資家）としてベンチャーへの投資をし始めたのは「Maru-Jan」がきっかけだった。そのMaru-Janがサービス開始から先週で10年を迎えたことを栢社長からのお知らせで知る。
オンライン麻雀ゲームの開発資金調達のためビジネスプランコンテストに出ていた栢社長と初めて会ったのは12年前。第一印象は、「難しい。」そう思った最大の理由は、通常の会社への出資ではなく、プロジェクトファイナンスであったこと。会社への出資であれば、自動的に株主としての権利が会社法で確約される。少額といえども、会社オーナーとして平等に扱わなければいけないように法律で決まっているところが投資家に有利なのだ。
ところが、プロジェクトファイナンスだと、プロジェクト利益の定義から始まり、当該事業を企業全体からプロジェクトをどう分けるかなど難しい問題が生じる。投資家は会社の内部にいるわけではないので、会社がプロジェクトに直接関係のない経費を混ぜてもなかなかわからない。売上自体適正に計上されているかなど疑いだせば切りがない。
そこで株式投資でないと難しい理由を話し、なぜプロジェクトファイナンスなのかを聞いた。ここでの栢社長の答えが私の考えを変えた。
「ゲーム開発者の理想郷を作りたい。そのためには、株主の圧力を受けたくない。」
その真剣な思いが伝わってきたので、会社訪問することにした。ボロボロのビルの一室に3人の役員&社員が集まり、ゲーム開発を始めていた。全員が心から開発を楽しみ、それに没頭していることが分かった。私の腹は決まった。
自分でも出資すると同時に、コンサル契約をして資金調達を手伝った。何人かの友人にも出資してもらったので、「絶対に成功させる」つもりで、業務提携先もどんどん紹介した。
投資から2年ほど毎月定例で会っていたが、驚いたのは、栢さんの吸収力だった。元来、ゲーム開発者の栢さんが経営をするの初めて。当初こそ、「こうやって、ああやって」と教えていたつもりが、たった一年で、「もう教えることはない」と思えるほどに立派な経営者になっていた。なまじ予備知識がないうえ、本人がものすごく真剣なので、私も含め周りに聞きまくったうえ、自分で根本から考える。「素人の怖さ」というのはこういうことだと思った。
プロジェクトファイナンスなので、華々しいIPOもM&Aもなかった。しかし、世界No.1のオンライン麻雀ゲーム「Maru-Jan」の開発に関われたことは私の小さな誇りだ。
