2013年02月
2013年02月28日
中坊公平弁護士登場
その後3年が、また無為に過ぎ去り、どうなったか。
再三にわたる住民会議の廃棄物撤去要求にもかかわらず、県に何の動きもないまま兵庫県警による摘発から3年が経過しつつあった93年、住民会議は、経営者らの刑事公判記録を入手し、県の指導監督義務違反および脱法行為への荷担という事実を知る。時効の成立によって県に法的責任を追及できなくなり、廃棄物が放置されることを恐れた住民会議は、裁判提起を決意し、中坊公平弁護士に依頼した。中坊弁護士を中心に結成された弁護団は、裁判手続きでは(1)住民にとって、原因と被害発生の間の因果関係の立証が困難であること、(2)訴訟の提起、訴訟遂行に多額の費用がかかること、(3)判決確定に至るまで多くの日時を要すること、を理由に、行政的救済である公害調停の手続きを選択した。こうして時効成立5日前の93年11月11日、豊島観光、排出業者、香川県の3者を相手とする公害調停が申請された。公害等調整委員会での様子については、ここに詳しい。こうした努力の結果、94年12月末から95年3月にわたり、国の公害等調整委員会によって2億3600万円という異例の巨額費用をもって行われた調査の結果、以下の事実が判明した。こうして、当時、「日本最大の汚染現場」といわれた豊島事件の実態がようやく明らかになった。
- 処分地のうち約6万9000m2の範囲に、推定約46万m3、約50万トン(汚染土壌を含めると49.5万m3、56万トン)の廃棄物が投棄されている。
- 当該廃棄物はその70％余りが鉛について有害廃棄物の判定基準を超え、トリクロロエチレンなど有機塩素系の有害物質も多数検出され、ダイオキシンも高濃度で存在する。(浸出水からの鉛が国の環境基準の260倍、ヒ素が1.9倍、廃棄物からのトリクロロエチレンが130倍、土壌からの1.3ジクロプロペンが4300倍、ベンゼンが1900倍存在する。)
- これらの有害物質による汚染は廃棄物層直下の土壌および処分地内の地下水にも及んでいる。
- 処分地内の有害物質が北海岸から海域に漏出している可能性は否定できない。
- このような処分地の現状およびその評価に鑑みると、処分地をこのまま放置することはできず、早急に適切な対策が講じられるべきである。
2013年02月27日
県による「安全宣言」
兵庫県警による摘発で、住民は、「これで長い戦いも終わった」と思ったという。ところが、問題はなんら解決されなかった。
同年12月にシュレッダーダストを廃棄物と認定変更して、豊島観光の許可を取り消し、放置された廃棄物の撤去を命じる第一次措置命令を出した。しかしながら、この命令によって撤去されたのは廃油入りのドラム缶などほんの一部であり、処分地の大半を占めるシュレッダーダストや製紙汚泥は放置されたままであった。さらに、県は92年12月に処分地の実地調査を行い、その結果に基づいて知事(前川知事の後任の平井知事)は、93年12月に県議会で、「処理業者はもとより排出業者に対しても撤去を強く指導し、周辺の生活環境に支障を及ぼすおそれの高いと思われる物から順次に搬出を進め、おおむねそれらの撤去を終えた。定期的な環境調査を実施し、周辺海域等の環境は特に問題はないとの結果を得ている」と答弁し、事実上の「安全宣言」を出すことになる。この時撤去されたのは2000t。現在処理対象となっているのは60万tである。
2013年02月26日
1990.11.16摘発
豊島事件第3の転機は1990年。住民と県との不毛なやり取りに終止符を打ったのは、香川県とは関係のない兵庫県警による強制捜査であった。当時の本部長は、1995年の警察庁長官狙撃事件で瀕死の重傷を負った國松孝次氏である。面白いのは、操業中の約10年間に渡り、香川県は実に118回にも及ぶ立ち入り調査を実施しながら、この間、「有害物質は検出されなかった。操業に問題はない」と住民に説明し続け、ただの一度も行政処分を行っていないことである。
「兵庫県警は姫路港で、大量の産業廃棄物を積んで、豊島へ運搬する船を見つけ捜査を開始。不法投棄を突き止め、有害物質や海の汚染を確認し、放置できないと強制捜査に踏み切った」（11月16日朝日新聞）
「香川県環境保健部では、シュレッダーダスト（車の破砕ゴミ）や油泥は金属回収のための原料とみており、強制捜査に当惑している」（11月17日四国新聞）
「しかし、基準を超えた有毒物質を検出。このことから県では『金属くず商としての有価物』との見解を180度変更し、不法投棄と断定」（12月21日四国新聞）
2013年02月25日
飛んでいたカラスやトンビが落ちる
第2の転機は、実際に産業廃棄物が持ち込まれ始めた1983年。住民は、県によって許可された範囲外のものが持ち込まれ違法な野焼きが行われていると県環境課に訴えるが、なんら有効な措置が取られることはなかった。
実は、野焼きの煙は対岸にある香川県庁からも良く見えており、ある時、抗議に訪れた住民は環境課の職員に、「あれが見えないのか？」と一喝。それでも、職員は横を見て、「見えん!」と強弁。周りにいた数十人の県庁職員は下を向いたままだったという。
ミミズの養殖は83年には行われなくなり、シュレッダーダスト、ラガーロープ、廃油、汚泥、廃酸、廃プラスチック、燃えがら、鉱滓、ドラム缶、得体の知れない液体などが許可範囲外の土地にまで大量に持ち込まれ、連日野焼きが行われるようになっていた。有害産業廃棄物は、当初定期便のフェリーで運ばれていたが、84年以降になると、廃棄物専用に改造された運搬船によって毎日大量に運び込まれるようになった。運搬船からダンプカーへの移し替え、およびダンプカーによる処分場への運搬に際して生じる猛烈な悪臭、騒音、振動、ゴミのまき散らしが住民や観光客を苦しめた。さらに、大量の野焼きによる煤煙と悪臭は、飛んでいたカラスやトンビを落とすほどに強烈であったという。
2013年02月24日
豊島産廃事件
瀬戸内の島の中で、例外的になだらかな傾斜地が多く、水も豊富で農業が盛んだった「豊かな島」が豊島（てしま）。皮肉にも、この島が全国の注目を集めたのは、国内最大級の産廃不法投棄だった。
この問題が頻繁に報道されたのは10年ほど前。私も香川出身ということで、当時、ニュースを追ってはいたが、今回、当時の運動の中心に居た石井亨元県議から聞いた話は凄まじいものだった。
この事件には幾つかのターニングポイントがある。その第一は、それまで幾度となく法律違反を行っていた後に被告となる松浦庄助に県が産廃物処理業許可を与えたことだ。（松浦は瀬戸内海国立公園にある豊島で勝手に埋め立てをしたり、敷地内にあった古代遺跡を海に廃棄している）
住民は、「お金のためなら何でもやる」 危険人物として、県に許可を与えないように陳情。当初は、県の担当者も「許可は与えない」という話だったのが、松浦が県庁に泊り込み抗議をし、当時の前川県知事（前職は香川大学学長だ）に直談判するに至り、県は「汚泥・木屑・家畜のふんによるミミズの養殖場」として認可する。（担当者が松浦から脅かされたという話もある)
社会党系の「革新知事」であった前川知事は、「業者にも生存権がある」と自ら豊島住民の説得に乗り出し、有名な演説をする。
「事業者は住民の反対にあい、生活に困っている。要件を整えて事業を行えば安全であり問題はない。それでも反対するのであれば、住民のエゴであり、事業者いじめである。豊島は海は青く空気はきれいだが、住民の心は灰色だ」これに激怒した住民は、自らの意志で香川県をやめて岡山県になるという「離県決議」を行い、岡山県玉野市に吸収合併を要請。玉野市も「歓迎する」と発表し、大騒ぎになったという。
どんな形であれ、産廃物処理業許可を取った松浦は、やがて有害物質を含む産廃を京阪神方面から大量に船で運びこみ始める。これが豊島産廃問題の発端だ。
2013年02月23日
犬島
ベネッセの仕事で初めて犬島へ。香川と岡山の間にある瀬戸内海の島々の殆どは香川県に属するが、ここだけは岡山と目と鼻の先にあり、流石に岡山県。
ここには、第一次大戦を挟んで10年間だけ稼動した銅の精錬所跡があり、1919年に閉鎖されてから、長年放置されていた。その間に、その独特の廃墟を使った映画撮影などに使われた以外は忘れられた存在だったらしい。
それをベネッセが犬島アートプロジェクト「精錬所」として再開。非常に魅力的な施設になっている。
犬島アートプロジェクト「精錬所」は、犬島に残る銅製錬所の遺構を保存・再生した美術館です。「在るものを活かし、無いものを創る」というコンセプトのもと作られた「精錬所」は既存の煙突やカラミ煉瓦、太陽や地熱などの自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志の建築と、日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにした柳幸典の作品、また植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入しています。「遺産、建築、アート、環境」による新たな地域創造のモデルとして、循環型社会を意識したプロジェクトといえます。
2013年02月22日
何有荘
![京都 天下無双の別荘群 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51j9%2Bskn7AL.jpg)
京都 天下無双の別荘群 [DVD]
先日、PCでの作業に疲れ、録画していた中から見たのがNHKハイビジョン特集「京都 天下無双の別荘群」 現在ではDVD化されている。
番組の紹介文は大抵大げさで、実物を見るとガッカリする場合が多いが、今回は「京都に、極上の場所が残されていた! 東山の裾野、南禅寺界隈にたたずむ、 ガイドブックに一切載らない豪華絢爛たる別荘群」の紹介の通り
度肝を抜かれた。明治後期から大正期にかけて造成された南禅寺の別荘群。それぞれの別荘が素晴らしい出来なのだが（それだけ戦前は今よりもずっと富が偏在していたということだろう）、別荘そのもの以外で興味を引かれたのは、所有者の変遷。紹介された8つの別荘のうち、今も当初からの所有者が持つのは２つだけ。後は、所有者が移転している。中には何度も所有者が変遷しているものも。
例えば、何有荘（かいうそう）の現在の保有者はオラクルのラリー・エリソン。2010年にクリスティーズの仲介で80億円で売り出されたということだ。（実際の落札額は不明）
秘められた 山紫水明のユートピア
京都に、極上の場所が残されていた!
東山の裾野、南禅寺界隈にたたずむ、 ガイドブックに一切載らない豪華絢爛たる別荘群
主は明治の元勲・山縣有朋や元大名の細川家、野村・住友などの財閥や日本に映画をもたらしたフランス帰りの紳士など、明治から大正時代に政財界の頂点を極めた男たち。
彼らは持てる財力と教養を注ぎ込み、日本庭園や数寄屋建築に趣向を凝らし、明治維新以来廃れていた日本文化を結集し、理想の世界を作り上げた。
この別天地は華やかな社交の舞台となり、茶の湯や能、花見に月見と優雅な大人の遊びが繰り広げられた。
南禅寺の広大な敷地だった場所に建てられ、時代の荒波を乗り越え今にそのまま残された“山紫水明のユートピア"。四季に彩られた、夢の空間を堪能あれ。
◆旧細川邸
◆對龍山荘(たいりゅうさんそう)
◆山縣有朋の無鄰庵(むりんあん)
◆何有荘(かいうそう)
◆碧雲荘(へきうんそう)
◆清流亭(せいりゅうてい)
◆桜鶴苑(おうかくえん)
◆流響院(りゅうきょういん)
2013年02月21日
株式市場は平家物語
先々週の産経新聞記事から。
ローズパーク・アドバイザーズという名のヘッジファンドが米東部ボストンにある。米ハーバード・ビジネススクール（ＨＢＳ）のクレイトン・クリテンセン教授が打ち立てた、「イノベーション（技術革新）のジレンマ」と呼ばれる経営学説を投資戦略の支柱にすえている。
クリテンセン教授が唱えるのは企業の「平家物語」、栄枯盛衰の常である。写真機の機能改善にこだわった米ポラロイドの没落を取り上げることで、大企業（平家）が自己変革する難しさを実証した。一方で、こうした大企業は、廉価で顧客需要に応えた新規参入の新興企業（源氏）に市場シェアを奪われた。自己改革できなくて衰退した企業もあれば、上記の表でも、GE・IBM・J&Jのように100年に渡り世界トップクラスであり続ける企業もある。新旧両方の企業が自由な市場で競い合っているのが米国の強さ。米国の時価総額トップ＝ほぼ世界の時価総額トップであり（他には、イギリスと中国企業が多少入る）、米国民間企業の強さは相変わらずだ。
2013年02月20日
聯合艦隊司令長官 山本五十六
「日米衝突」といえば、日米開戦に最後まで反対し、皮肉なことに、その火蓋を切ることを任ぜられた山本五十六。先月録っておいた「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を鑑賞。
山本を美化しすぎる傾向はあるものの、そこは映画だから仕方ない。映画で描かれたことが「事実」だとしても、組織運営上、まずい点が三つあった。
１．真珠湾攻撃の最大の目的は、米空母の破壊だった。これがある限り、日本は空襲の脅威にさらされる。空母を討ち漏らしただけでなく、艦隊への給油施設も無傷のまま、現場司令官南雲は艦隊を反転させる。
作戦目的を考えれば、第二次攻撃を敢行すべきだったのに、現場指揮官を尊重し、反論しなかった。南雲の資質については、それまでも疑問な点があったにも関らず、責任を問わなかった。
２．真珠湾攻撃で敵空母を討ち漏らしてしまったため、東京は初の空襲を受ける。敵空母をおびき出して殲滅するために、ミッドウェー作戦が立案される。作戦会議で、「敵の空母など来ない。来たとしても、おそるに足りない。」という参謀を一喝するが、作戦から外すことはしなかった。作戦の重要性を考えれば、このような考えを持つ参謀を参加させることは避けるべきだった。事実、この参謀は、「攻撃機の半分には魚雷を抱かせておくように」という山本の忠告を無視し、敵空母が現れないという前提のもとに、全攻撃機に陸上攻撃用の爆弾を装着させた。このため、敵空母が実際に現れたとき、大混乱に陥ってしまった。結果、全ての空母を失うことになってしまう。
３．自らの判断の誤りで大敗を喫した南雲は、唯一敵空母を一隻沈める戦果を上げた第二航空戦隊の山口多聞少将が飛龍と運命をともにしたにも関らず、生き延びて帰ってきた。山本は責任を問うことなく、その後も司令官として任務に当たらせる。
ということで、一言で言えば、作戦目的よりも、「組織内の調和」を優先してしまった、ということだ。これでは組織目的を達成できない。
組織の長であれば、嫌われても、組織目的達成を最優先すべきだろう。この点、山本はリーダーとして失格であったと言わざるを得ない。
他にも、この映画では、
・三国同盟を求める国民
・大衆迎合し、政府批判を煽ることで販売部数を伸ばそうとする新聞
・日露戦争を｢勝利」だと勘違いし、今度も勝てると根拠なく信じる国民
など、見所満載。
数千年に渡って培われた国民性は変わってないと思ったほうがいい。
2013年02月19日
日米衝突の根源
日米衝突の根源 １８５８−１９０８
日本人が学校で習う歴史は、当然ながら、日本中心で、大東亜戦争についても（この言葉は、GHQによって戦後禁止され、米国流に「太平洋戦争」と言い換えられる)、日本側の事情しか習わなかった。戦争なのだから、当然、相手側の事情もあるはずだ。そこに焦点を当てたのが本書。
これを読むと、日米衝突は必然であり、おそらく、不可避であったとも思えてくる。戦争が起こったのは、日本が軍国主義であったからではなく、19世紀半ばに太平洋を「アメリカの湖」とした米国の利権を確保･拡大するため、日本の利害とぶつかったからだ。
ペリー来航から、セオドア・ルーズベルトによるポーツマス条約仲介にいたるまで、アメリカの姿は日本史の中からほぼ姿を消す。だが日本の明治期に当たるこの半世紀にアメリカで起きていた出来事こそ、日米衝突を不可避なものとする要因となったのだ。国内産業保護を基軸とするアメリカン・システムの綻び、イギリスを筆頭としたヨーロッパ諸国との領土紛争、国内の人種問題。南北戦争、米西戦争、移民排斥、ハワイ併合、フィリピン領有を経て、良好な関係にあった日本を仮想敵国と見なすまでのアメリカの動きを、米側資料により初めて詳細に描き出し、太平洋戦争の起源に新たな解釈を加えた画期的な書。
2013年02月18日
七宝山
昨日は、何ヶ月ぶりかでサイクリング。何しろ11月以降寒いし、週末も学校行事で忙しいし、たまに空いていても天気が悪かったり。地元サイクリング仲間のGagaもお母さんが亡くなって、アイルランドに2度帰っていたし。
朝10時にMaxValu高瀬に集合して、七宝山を目指す。昨年、不動の滝の上まで行ったが、今日は林道の終点、高屋神社が目的地。
距離はないのだが、強烈な上りが続く。自転車に乗って上がるのがやっと。実は軽量の私はヒルクライムが得意なので（「好き」ではない！)、先行して疲れては仲間二人を休憩しながら待つ、ということを繰り返し5km程の道を1時間掛かって高屋神社へ。
眺めがすばらしい。今度はお弁当持参で行きたい。
2013年02月17日
ブラジャーという発ガンリスク
IARC Monographs On The Evaluation Of The Carcinogenic Risk Of Chenicals To Humans: Tobacco Habits Other Than Smoking, Betel-quid & Areca-nut Chewing and Some Related Nitrosamines (IARC Monographs on the Evaluation of the Carcinogenic Risk of Chemicals to Humans)
先日の『「ゼロリスク社会」の罠』で言いたかったのは、要するに、「リスクとは相対的なものだ」ということなのだけど、同じ本に「発がん性リスク一覧」の表ががある。(p147)
ここで示されているのは、一般的に最も信頼されている国際がん研究機関（IARC)によるもの。 Group1（確実に発がん性がある）ものとして、よく知られたタバコや焼き焦げの他、肝臓がんの原因となるアルコールも入っている。
まだリスト入りしてないが、「ブラジャーを一日12時間以上着けている女性は、まったく着用しない女性に比べて21倍も乳がんになる率が上がる」という研究もあるそうだ。ブラジャーで締め付けられることによりリンパの流れが悪くなるのが原因ということ。
新入社員の頃、一人ブラジャーをしない同僚がいたが、あれはガンを気にしてだったのか? そうは見えなかったが(笑)、ドキドキしている間に、聞き逃した。
2013年02月16日
ARGO
交通事故翌日の出発で体調を崩し、おまけに深夜便にも関らずEconomyでよく寝れず、さんざんだった先月のタイ出張だけど、唯一楽しんだのが帰りの便で見た映画Argo。
「実話」というけど、どこまで本当なのかは気になる。オススメです。
「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」「パール・ハーバー」のベン・アフレックが、監督のほか製作・主演も務め、イランで実際に起こったアメリカ大使館人質事件の救出作戦を描くサスペンスドラマ。1979年11月4日、イラン革命が激化するテヘランで過激派がアメリカ大使館を占拠する。52人が人質になるが、混乱の中、6人のアメリカ人が自力で脱出。カナダ大使の自宅に身を潜める。CIAで人質救出を専門とするトニー・メンデスは、6人を安全に国外へ脱出させるため、大胆不敵な作戦を立案。「アルゴ」という架空のSF映画を企画し、6人をその撮影スタッフに偽装して出国させようとする。
2013年02月15日
The Shift
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
LBSのOBの看板教授であるProf. Grattonが先週来日していた。多忙な来日スケジュールの中、LBS同窓会にも時間を取ってくれ、その代り、前のアポと後ろのレセプションの間の午後5時から2時間という変則的な開催となった。
私は25年近く前のMBA1年生の時、Lyndaには直接習ったので是非出席したかったのだが、翌日朝から大学で卒論審査会だったので泣く泣く断念。
彼女の最新作The Shift（邦題：ワーク・シフト）は世界中で評判になっており、これまでも欧米では著名教授だったが、世界的になりそう。
内容的には、こういうことだったようです。
リンダ・グラットン教授は5つの要因として以下を挙げる。
1.テクノロジーの変化
アフリカでは、マサイ族が携帯電話を使っていること、教育のIT化が進んでいることなどを例に挙げつつ、テクノロジーが社会に影響を与えていることを述べた。
2.グローバル化の進展
リンダ・グラットン教授の住むロンドンでは、イギリス人だけでなく、他の人種も増えていることを例に挙げていおり、その流れは企業にも、多様性を求め始めるだろうと述べた。日本では、まだ人種の多様性はあまりないが、長期的には、そのような傾向は持続せず、日本でも多様化していく傾向にある。
3.人口構造の変化と長寿化
日本の高齢化は社会問題と化しているが、これと全く同じ事が20年後の中国でも起きるだろうと予測。自分が年を取った時に何をするかを考えつつ、仕事への取り組み方を変えるべきであろうと言う。
4.社会の変化
デンマークでは単身世帯の方が、複数世代で暮らしている家庭よりも多いことや、離婚の増加などを例に挙げつつ、社会の変化を取り上げた。
5.エネルギー・環境問題の深刻化
第一の資源は石油ではなく「水」であるとし、地下からの水はもう底をつき始めていると言い、将来は水という資源と二酸化炭素に悩まされる社会になるという。
2013年02月14日
祝上場!!メドレックス
香川からは6年ぶりの新規上場企業メドレックスが昨日Mothers上場
東かがわ市では初の上場企業だ。初日は買い気配で終了。もっとも、公募価格が1000円＝時価総額50億円程度と安すぎたからだ。野村證券と価格交渉していたときは、今回の上昇相場前の株価水準を基に決められたので、こんな結果に。
勿論、114VFの投資先です。5年掛かったけど、良かった。その間、香川の上場企業は5社減っているだけに嬉しい。
2013年02月13日
リスク過敏症と日本の停滞
「ゼロリスク社会」の罠 「怖い」が判断を狂わせる (光文社新書)
当blogでも何度か書いたが、最近の日本は、「科学立国日本は幻だったのか」と思うような、幼稚な感情論や、怪しいエセ科学が幅を利かせている。小中高校で理科は習わなかったの？と思わずに居られない。チョット考えれば、「オカシイ」と分かる言説に踊らされ、特定の商品が棚から消えたりする。
魔女狩りにも近いバッシングに企業はおびえ、意味がないと知りつつ対策に走る。結局、その負担を払わされているのは、消費者であり株主である一般人だ。
例えば、｢天然バイアス」。日本人は兎に角「天然」が大好き。生牡蠣で年間に数万人が中毒になり、大変な目にあっているが、誰も何も言わない。ユッケによる食中毒の危険性も、昔からよく知られていたが、誰も気にせずに食べていた。禁止された今も、｢危険承知で食べたい｣という人は多い。
一方、人工食品添加物であれば、全く違う対応になる。何十年にも渡る使用で、その有効性と安全性が証明されているにも関らず、「疑惑」が出ただけで消費者から嫌煙され、企業が自主的に販売中止にするケースも多い。
保存料である｢ゾルビン酸」については、近畿大学の有路昌彦准教授が、「使用量が5%減るごとに190億円の経済損失が発生する」と算定している。これは5000名の雇用に当たる。ゾルビン酸の使用量はこの20年で半減したから、この資産が正しければ、経済損失は年間1900億円にのぼり、5万人の雇用が失われたことになる。
どうしてかというと、保存料を使わないことにより
・ 賞味期限が短縮され、廃棄食品が増える
・常温保存可能だったものが、冷蔵しなければいけなくなり、電気使用量が増える
からだという。
3:リスク過敏症と日本の停滞
「化学物質」「医療」「健康」
いい加減な論調→安全でよいものを届けるべく努力している生産者が風評被害に苦しみ、イメージだけで中身のない商品が幅を利かせている
25:テロリストが毎週一機ずつ飛行機を墜落させたとしても、月一回飛行機を利用する日が事故に遭う確立は年間1/135000 ⇔ 車1/6000
9.11後、飛行機を避けて自動車を選んだことによる交通事故者はテロ後1年間で1600人
ダン･ガードナー『リスクにあなたは騙される』
28:リスク認知因子10か条（Harvard大学リスク解析センター)
�ゞ寡歐�
�∪�御可能性
��自然か人工か
�ち�択可能性
�セ匐，隆慷�
��新しいリスク
�О媼韻抜愎�
�┝�分に起こるか
��リスクとベネフィットのバランス
��信頼
41:ベテランかバージンか
こんにゃくゼリー 13年間で22人が窒息死
もち 2006年だけで77人死亡
2013年02月12日
東京は郊外から消えていく！
東京は郊外から消えていく! 首都圏高齢化・未婚化・空き家地図 (光文社新書)
40年前の東京郊外の｢ニュータウン」は、今や老齢化が進み、｢オールドタウン」に。30歳で家を買った人は今や70歳。独立した子供は共働きで都心に住み、一方、低所得の子供は「パラサイトシングル」。もう20年したら、「ゴーストタウン」になってしまう。
これを、｢ゴールドダウン」にするためにどうしたらいいかという本なのだが、現状分析と予測に大半のページが割かれ、提案部分は最後に少しだけ。
そこにあるのは、「空家･空き地の活用方法」として、
�〆匈音�の拠点
�▲�ーシェアリングの拠点
�Ｃ楼茲�NPOなどの拠点
�ぜ禺垳�けシェアハウス
�ゥ轡Д▲�フィス
��市民農園
ということで、新アイデアがあるわけではない。
最も重要なのは、「住宅地マネジメント」という発想だろう。これまで行政が行ってきたのは、用途別のゾーニングくらいで、出来た後はほったらかし。住民も横のつながりが薄くバラバラ。
「住宅地マネジメント」の成功例として、佐倉の｢ユーカリが丘」を取り上げている。ここは山万�蠅�開発し、従業員の多くもこの街に住み、街としてのマネジメントを一貫して行っている。
行き届いたマネジメントを提供するのは、行政でもなければNPOでもない。統治構造が数百年に渡って磨かれてきた「株式会社」の役割は終わらないどころか、まだ拡大余地があるのではないかと思う。
2013年02月11日
最強の起業戦略
最強の起業戦略―スタートアップで知っておくべき20の原則
久しぶりに本の読める週末。
まずは仕事関係から。
日本でも本物のエンジェル投資家が増えるといいんだけどな。
256: rapid prototyping
496: Apple 1976
Steve Jobs + Steve Wozniak = $1300 => 1/3 x 2
Mike Markkula $9100 loan $259,000 個人保証 1/3
495: エンジェル
・経験を持つ産業
・数時間内の運転距離
・信頼の置けるビジネス仲間からの推薦
・高潔さと指導力など、魅力的な個人の特性
・良い市場と成長の可能性
・10-50%を50-100Mで
514: 米国中小企業庁 Small Business Administration
2004 $12.5Bを75,000の借手に保証(75%)
2013年02月09日
さぬき映画祭2013
恒例のさぬき映画祭が昨日から本格スタート。７回目を迎えた今回、丸亀市出身で「踊る大捜査線」「ＵＤＯＮ」などで知られるヒットメーカー・本広克行監督（４７）がディレクターに就任している。
私も見に行きたいところだが、今日も｢卒論審査会」で終日大学。来週末は大学院の入試。「青春デンデケデケデケ」久しぶりに見たいんだけど。「100年の時計」も。
2013年02月08日
行政に頼らない
コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる
中々取れなかった、センター試験の代休を取ったのが昨日。一日中休めたのは一月ぶりか。自転車に乗ってひと汗かき、これで、こじらせていた風邪ともやっと決別できた感じ。
ほったらかしになっていたメールに返事をし、The Economistなどの記事を読み、録画しておいたTV番組を1.5倍速で見る。今回一番面白かったのは、カンブリア宮殿に出演した山崎亮氏。Studio-L代表で、「コミュニティ・デザイナー」だという。そう聞いては、「地域マネジメント研究科」として見逃すわけには行かない。
最初に出てきた例は、福山市。人口46万人の広島県第二の都市。これだけの人口がいるにも関らず、駅周辺にもシャッター街が目立つ。市は9億円で駅前を整備し、さらに31億円をかけて地下駐車場を作ったという。
当然、効果無し。
そこで山崎氏が呼ばれたが、初年度の報酬は500万円。公共事業にかけた費用からすれば1/1000だ。山崎氏はまず街を回り、人々に声をかけ、知り合いを作る。次に、知り合った問題意識を持つ人を集め、ワークショップをやる。ここで意見を出してもらい、「あ、自分だけが思っていたのではなかったのだ」と認識して、仲間を作ってもらう。この仲間を中心に団体をつくってもらい、ここが活性化策を立案し、実施していく。
隠岐諸島の中小企業の社長が言っていた言葉が印象的だった。
「以前は、役場へ文句ばかり言っていた。山崎さんがやってきて住民同士で話し合い、自分たちが何もやってないことに気付いた。今は、自分の仕事のなかで自分が地域のために何が出来るかを考えている。」
そして、この会社は浄化槽の点検の仕事で社員が住宅を回っているので、点検の仕事が終わった後、社員が「10分間無料でお手伝」 することにしたという。高齢化が進んだ離島では、高齢者だけの世帯が多い。若い社員は重宝されているという。
私も今、30年ぶりに戻った故郷で地域内分権の仕事に携わり始めた。住民と話をすると、「行政にあれもやって欲しい、これもやって欲しい」 という声がある。役場としては、平等第一なので仕事は画一的だし、公平第一なので何をするにも余計な手間とコストが掛かる。それでいて、住民は｢お客様意識」なので、感謝もせずに文句だけ出る。
地域内分権で、行政が担ってきた仕事の一部を、地域に戻そうとしている。役所とは違う民間団体なので、手続きは簡略化される。工夫の余地も大きい。これが機能するかどうかは、これからが正念場。
2013年02月07日
百十四銀行
先週の四国経済事情の外部講師は、百十四銀行の渡邊頭取。地元の人にとっては当たり前で、疑問に思わないが、今では数少ない「ナンバー銀行」の一つである。
それで、今どれだけ残っているかというと、
第四銀行（新潟）
十六銀行（岐阜）
十八銀行（長崎）
七十七銀行（仙台）
八十二銀行（長野）
百五銀行（三重）
百十四銀行（香川）
の７行。
都市銀行が３行＋りそなに集約された今、地方銀行の再編もうわさになるが、ほとんど進んでいない。それぞれが、各地でしっかり根を張っているからだと思うが、それも今後どうなるか？
明治5年、わが国に銀行制度が採用され、国立銀行条例が公布されました。この条例に基づいて明治12年までに全国で153の国立銀行が設立されました。国立銀行は、当局により設立出願の許可順に付された番号により命名されました。最初に出願許可されたのは東京の第一国立銀行で、最後に出願許可されたのが京都の第百五十三国立銀行という具合です。
このようにして、114番目に出願許可されたのが香川県高松市の第百十四国立銀行です。当行は明治11年の創業以来、「地域社会への貢献」と「健全経営」の経営理念のもと、百有余年にわたりゆるぐことなく続いてきた伝統ある銀行であり、今では数少ないナンバーバンクの一つです。
2013年02月06日
冷凍うどん開発秘話
海外からのお客様が来るといつも見学させていただくのがさぬき麺機。世界で初めて讃岐うどん用の製麺機械を作ったメーカーで、現在も個店用の製麺機から製麺工場用の1時間に１万食を生産する大型機械まで製造し、世界中に輸出している。
こちらの岡原社長から「冷凍うどん開発秘話」今回初めて聞いた。讃岐うどんの全国普及に大きく貢献したのが「カトキチの冷凍讃岐うどん」。1974年に発売され、「冷凍讃岐うどん＝カトキチ」というくらい知名度が高い。
私も冷凍讃岐うどんはカトキチが開発したものと思い込んでいたが、今回のお話では、その前にカトキチの協力工場であった「第一冷凍」（三豊市高瀬町）で開発され、売り出されたということ。商品として完成度は高く、地元では好評だったらしいが、県外では「硬すぎる」との理由で売れなかった。讃岐うどんのコシが全国に知られる前の話である。
カトキチではタピオカでんぷんを混ぜることで、適度な柔らかさとコシを両立。全国に普及することになった。そう、あの冷凍うどん独特のプリプリ感はタピオカによるものだった
今でもタピオカを使用することについては賛否両論がある。讃岐うどん伝統派は「讃岐うどんは小麦と塩と水だけが原料」と主張し、それ以外の原料を混ぜることを邪道とする。進歩派は「今だって小麦は99%オーストラリア産。進歩するのが讃岐うどん」と主張。もともとの讃岐うどんは讃岐平野で作られた地粉で作られていた（見た目がくすんだ白になり、ゴワゴワ感が強い）。
実は、県内有名店でもタピオカを混ぜているところがあるそうだ。それはそれで、その店の麺の特徴となっている。ビール純粋令を守る正統派ドイツビールと、原材料が自由で多種多様なビールが人気のベルギービールとの関係にちょっと似ている。
2013年02月05日
霊場開創1200年へ1200キロ遍路
娘たちと早稲田交換留学生ミーゲンの香川訪問も終了。栗林公園、庵治、屋島、丸亀城、善通寺、そして讃岐うどんを堪能して帰っていった。特に、戦国時代が大好きな歴女ミーゲンは本物の城に興奮
善通寺ではCFO直々に案内いただき、私も知らなかったことを沢山学べた。本堂に、「いつも以上に人がいるな」と思ったら、
霊場開創１２００年へ１２００キロ遍路
の初日なのだという。
四国八十八か所霊場の僧侶と、遍路の案内役を務める全国各地の先達計４６人が４日、車の入れない山道を含む約１２００キロの遍路古道を踏破する「歩き遍路」へ、第七十五番・総本山善通寺（善通寺市）を出発した。
「めざせ、世界遺産」なのだが、地元でもっと関心が盛り上がり、「歩き遍路」という本来の姿に戻ればいいな、と思う。
2013年02月04日
"戦場"写真 最大の謎に挑む
ロバート・キャパ『ちょっとピンボケ』は若い頃に何度か読んだ。写真が好きだったのでなおさらだ。
彼22歳のときの出世作となった「崩れ落ちる兵士」はあまりにも有名。しかし、この一枚には以前から「やらせ」ではないか、との批判があった。その謎にキャパ・ファンの沢木耕太郎が迫るというNHKスペシャルが昨晩あった。
以下、番組案内より。
銃弾によって身体を撃ち抜かれた兵士の「死の瞬間」を捉えたとされるこの写真は、フォトジャーナリズムの歴史を変えた傑作とされ、それまで無名だったキャパを時代の寵児に押し上げた。だが、この「奇跡の一枚」は、真贋論争が絶えない「謎の一枚」でもあった。ネガは勿論、オリジナルプリントもキャプションも失われており、キャパ自身も詳細について確かなことは何も語らず、いったい誰が、いつ、どこで撃たれたのか全く不明なのだ。衝撃の結末。そこまでの謎解きの手法は科学的で、さらにそう仮定すれば、彼の奇妙とも思える行動にも納得がいくのだ。
キャパに魅せられた沢木耕太郎氏は、２０年近くこの謎を追い続け、今意外な「真実」にたどり着こうとしている。それは、自殺願望があると噂されるほど危険な最前線に赴き、ついに戦場で命を落とすことになったキャパの「人生の秘密」を解き明かすものでもあった。
実は、番組の元になったのは、これから出版される沢木さんの新刊『キャパの十字架』ということ。そして、その全文はすでに発売済みの文芸春秋（２月号）に掲載されているらしいので、見逃した方は書店へ。
2013年02月03日
台北高の９０周年
1月13日の産経新聞に面白い記事があったので紹介。
今年は旧制台北高の創立９０周年らしい。それに合わせ、かつての台北高、そして中華民国となってから国立台湾師範大学で１９８２年に破損するまで継続して使われていた「自由の鐘」を復元するのだとか。それより面白かったのは、次の一説。
その中心となっているのが、台北高同窓会会長である辜寛敏（こかんびん）（１９２６年〜）だ。台湾を代表する実業家のひとりで、“華麗なる一族”としても知られている。
父親の辜顕栄（こけんえい）（１８６６〜１９３７年）は実業家、政治家で、日本統治時代、台湾人唯一の貴族院議員。異母兄の辜振甫（こしんぽ）（１９１７〜２００５年）は実業界で活躍、政府の重要なポストにも就いた。長男のリチャード・クー（１９５４年〜）は著名なエコノミストである。辜寛敏自身は日本で長く、台湾の独立運動にかかわった。
小さな学堂からスタートした日本の教育は、台北だけを見ても統治２年後には早くも最初の小学校を開設。１９３１年には小学校・公学校１９校、児童数は約２万５千人に達した。上級学校では中学校、高等女学校、実業学校、医学専門学校、師範学校、そして、台北高等学校（１９２２年設立）、台北帝国大学（同２８年）をつくり、台湾人にも高等教育への門戸が開かれたのは前回書いた通りである。潘扶雄は言う。「日本のことがタブーだった時代も台湾の人々は、日本がつくった教育制度について『感謝』の気持ちを忘れなかった。それを最初にもたらした『六氏先生』のことは、台湾のインテリなら、まず知らない人はいませんよ」
元総統の李登輝や作家の邱永漢も皆ここの卒業生である。
2013年02月02日
最終講義
私は本業では専門職大学院、つまり、ビジネススクールでしか教えてないので、学生は皆熱心である。殆どが働き始めてから10年以上たった社会人学生。「学びたい」という自らの意志で来たか、大企業で選抜されて派遣されている学生なので当然といえば当然。
なので、昨秋に地元の私立大学学部生の講義をピンチヒッターで頼まれたとき、ショックを受けた。寝ているか、私語しているか、携帯いじっているか。「来週これやるから予習してきてね」と言っても、予習してくるものなし。何しろ、発表を予定していても準備してこない。指定した教科書を買ったのは3人だけ。それも、誰も買って来ないので、「グループで1人は買って」と言ってから。
「あそこ、こんな実態なのですよ」という話を、学部で教えている先生にしたら、「うちも学部は似たようなものですよ」と言われ、「本当に?」と半信半疑だった。一応、地元ではトップの国立大学である。
昨日、3月で退任される経済学部教授の最終講義があり、聴講。驚いたのは、この単位もつかないはずの最終講義にわざわざ出てきた学生が、寝ていたり、私語していたり、携帯をいじっているのである
これはもう、「習慣」になっていると言った方がいいのかもしれない。数年前、高知大学理学部の学部生を教えた時は、外部講師ということもあってか、寝ている人はいなかったのだが、兎に角「反応がない」のに驚いた。「わかる？」とか質問しても、無言。滅茶苦茶やりにくかった。
昨年聴講した早稲田の松田教授の最終講義ではそんな学生は皆無だった。地方国立大学は危機だ。
2013年02月01日
新聞協会→軽減税率
日頃は何かと対立する朝日と産経もこの点だけは一致するらしい。
何かというと、消費税率引き上げに当たっての「軽減税率」導入要請。現在の5%→8%→10%に上がる予定の消費税率。新聞が先陣を切って適用除外を主張し、そうなれば各業界も様々な理由をつけて主張するに決まっている。こうしてまた膨大な時間が費やされ、一刻も早く是正しなければならない財務状況の改善はまた遠のく。
ハッキリ言おう。欧州並みに20%にするなら兎も角、10%までの段階で軽減税制など考えるべきでない。そうでなくても複雑な日本の税制がより複雑になるだけだ。
日本は欧州並みの福祉を実現しているのだから、消費税も同水準でなければ維持できるわけがない。いつもはエラそうに言う新聞まで、自分のことになると、「業界団体で意見集約化」とは情けない。
また、これを機に、抜け道のある消費税を改め、「インボイス式の付加価値税」にすべきだろう。写真は、今回の旅行で貰ったタイの領収書。全ての領収書にVAT番号が入っている。タイでは1992年にVATが導入され、7%課税されている。韓国では10%。未だに｢消費税」でやっている日本より、アジアの方が余程進んでいるのである。
