2012年11月
2012年11月30日
サヌカイトは誰が運んだか
香川大学博物館というのがあって、年間を通してオープンしている（休館：日・月・祝日）。戦前は昭和3年にできた、高松高等商業の「商業博物館」があったらしいのだが、空襲で焼失したうえ、戦後、新制大学になるときに博物館自体がなくなってしまった。戦前の名門「高松高商」がここで断絶してしまったのが、博物館も含め、惜しい。
それで、現在の博物館は4年前に学内の資料や収集物を集めてできたばかり。どこの大学博物館や地方博物館に共通する、自然科学系の展示が多い。そんな中、独自性を発揮しているのが、香川独特の調査研究。
現在やっている企画展は、「サヌカイトは誰が運んだか」 西日本各地の旧石器時代から弥生時代までの2万年にわたる遺跡から発掘されるサヌカイトは長年「幻の石」と呼ばれ、考古学界の謎だった。当時は、サヌカイトという名前もついておらず、「この硬くて鋭利な石は一体どこから来たのか」が不明だったのである。それぞれの地域では産出されないからだ。
この謎をついに解き明かしたのが、京都大学・東村教授で、1978年に香川県坂出市金山東斜面産のサヌカイトが、幻の石といわれた古代石器の素材であったと発表した。
今回の展示は、金山を発掘調査した香川大学考古学研究室による発表。サヌカイトを、「誰が加工し、誰が運んだか」に焦点を当てる。〜12月1日なので、今日・明日のみ！（案内が遅すぎました、スミマセン）
*博物館員に質問しても、「私はただの事務なので知りません」と堂々と
、聞いた方が悪いくらいの勢いで言われるのは、流石、香大。そこに座っているのがその人しかいないにも関らず
民間なら、せめて、「スミマセン。事務担当なので、勉強不足で。」とか言うよな。気の利いたところなら、例え事務員であっても、最低限の説明が出来るように教育する。地方国立大学、意識改革への道のりは遠い。2012年11月29日
総括せよ！
総括せよ! さらば革命的世代 40年前、キャンパスで何があったか
｢総括せよ!」とは、その昔、全共闘が仲間に「反省せよ！」という意味で使っていたらしい。ただの反省ではすまず、これが「内ゲバ」に発展し、多数の死者を出す。中国共産党が文化革命で知識人をリンチにかけたのと同じだ。
私が大学生活を送ったのは、大学が「レジャーランド」と言われ始めた80年代前半。この頃には学生運動はすっかり下火になっていたが、この本を読んで、水面下で大学当局と革マル派の結託があったことに驚く。
この本の主役は、全共闘。正式名は「全学共闘会議」で、1968年ごろに生まれた全国主要大学の大半160校を網羅する学生組織であった。新左翼政治党派(セクト)に、「ノンセクト・ラジカル」といわれるセクトに属さない学生も加わり、学内課題（大学自治、授業料）とベトナム反戦などをテーマに、デモと破壊行為を展開した。
全共闘より10年上の世代である「全学連」が素顔で学生運動を展開したのに対し、全共闘はヘルメットにタオルで顔を隠し、大半は大学卒業と同時に普通に企業に就職した。本の中に出てくるある同志社大学の活動家は、活動に参加した理由を「女の子にもてたかった」と言っている。「ヘルメットもファッション」だったそうだ。
ここで話を早稲田に戻すと、早稲田では学生運動当時の大学当局と革マル派の交渉の中から、奇妙な「馴れ合い」 の構造が出来上がった。15万人の集客がある「日本最大の学園祭」である早稲田祭を革マル派が仕切ることを黙認し資金源とする他、様々な名目で大学から革マル派に流れる資金は年間2億円以上になったという。
「授業料値上げ反対スト」で毎年のように期末試験が中止になり、ついにはこれが「慣例化」して、「値上げもしてないのに値上げ反対のスト決議で期末試験が中止」になることさえあった。こんなことが続けば大学としての基本である教育研究の低下につながる。これを問題視して（当たり前だ！）立ち上がったのが後に総長となる奥田孝康教授で、法学部長の1993年1月に試験を強行した。
ここから早稲田は正常化の道を歩み始める。革マル派は全学に盗聴網を張り巡らしており、学内会議も筒抜けだったという。学内の主要な鍵は全て合鍵が作られていて出入り自由。その中には奥田総長の自宅の鍵まであったというから驚く。
その奥田元総長、宇和島の貧しい家の育ちで、苦学して早大に進学した。そのためか社会主義に共感し、在学中は全共闘として60年安保を戦っている。純真な元活動家にとっては、革マル派の形骸化したやり方は我慢ならなかったのだろう。
一卒業生として、奥田元総長に感謝申し上げる。と同時に、当時暴れまわった活動家には、振り返って、「総括」して欲しいものだ。
2012年11月28日
iPhone習慣術
iPhone習慣術
iPhoneを使い始めて4年。と言っても、最初の1年はそれまでのガラケーとの「2台持ち」で、慣れているガラケーを中心に使い、iPhoneはもっぱら「住所録」に。PCで管理している連絡先数千件がガラケーには入らなかったが、iPhoneでは繋げば同期が出来、これが一番の魅力で購入。
2台合わせて毎月1万円を超える通信料に耐え兼ね、操作に慣れてきたこともあって、ガラケーを解約。ここからアプリもいろいろ試してみるようになった。
本書は、iPhoneを使った「習慣術」の本。結果を変えるには、行動を変えなければならない。人間はほとんどの行動を「考えずに」行っているから、行動を変えるには習慣を変えなくてはならない。ここまでは大人なら誰しもわかっていること。
iPhone（あるいはケータイ）がいいのは、いつも持ち歩いていること。iPhoneにはGPSの他、加速センサーがついており、場所や移動距離、運動カロリーなどが自動計算できるアプリがある。これらを有効利用すれば、「ライフログ」を取り続けることができ、結果、良い習慣が出来ていく。
筆者は、「まずは記録を取ること」という。記録は今しか取れない。記録さえ取っておけば、分析は後からできる。
iPhone x Evernote(データ蓄積) x Twitter(励まし) ＝ 習慣
という公式。
私はTwitterは使ってないが、Facebookで同じような効果を感じている。
本書では紹介されていなかったが、私が毎日利用しているアプリにMyStartsがある。(無料) 15分単位で時間記録がとれ、時々振り返って「自分が同時間を使っているか」を見て反省する。当然、PCでのデータ加工も出来て、オススメ。
2012年11月27日
人口オーナスを乗り越えて!
早稲田大学ビジネススクールの臨時総会に合わせ、この春に退官された松田名誉教授の講演があったので参加。題して、「人口オーナスを乗り越えて!」
講演のメッセージとしては、「もっとベンチャーを輩出しなければ、人口オーナスを抱える日本に明日はない」ということ。
ハイテクベンチャーを輩出する基盤は、技術とファイナンス。技術に関しては、2009年に麻生政権の下で作られた「最先端研究開発支援プログラム」（FIRST)というものがあり、「5年で世界のトップを目指す」とし、500億円を30名の科学者に振り分けた。このうちの一人が先日ノーベル賞を受賞した山中教授である。
途中経過とはいえ、結果が出たプログラムなのでいいのだが、リストを見て愕然とするのが、30名中、私立大学の研究は慶応医学部と同理工学部のみ。他に民間企業が島津、日立、東レの3社入っている。後は全て国立大学か国立の研究所。
松田先生に寄れば、「東大は早稲田の20倍の研究費を貰っている」「早稲田の研究費は地方国立大学並み」ということなので、もっと国立大から研究成果が出なければいけないように思うが。
尤も、基礎研究より大事なのは、事業化。これまで幾多の分野で日本は研究に先行、あるいは、最初に商品化したものの市場が拡大する中でマーケットシェアを失ってきた。
その原因は、
�ヾ院ПΩ�上がり時代の行政システム
�¬院О貭螳幣紊良兵舛伐然紛チ茲離好圈璽鰭蕕�
にあるというのが松田先生の見立て。
「行政システム」について質問したかったが、次の約束のため、時間が無くて出来なかったのが残念。
2012年11月26日
スタートアップ・マニュアル
スタートアップ・マニュアル~ベンチャー創業から大企業の新事業立ち上げまで
A startup is not a smaller version of a large company. A startup is an organisation formed to search for a repeatable and scalable business model.
という書き出しから始まる本書。スタートアップにとっては、「再現性があってScalableなBMを見つけるのが唯一の目標」 なのである。
概念から実践に至るまで、体系的かつ網羅的で、「こういう本は日本人には書けないだろう」と思ってしまう。著者は二人とも、何社も創業したシリアル・アントレプレナー。こういった実務家が、その経験をしっかり整理して体系化している。日本に居るのは大半が、理論化できない実務家か、実務を知らない研究者、という残念な実態。
15:仮説に仮説を重ねてBPを作るのではなく、小さな規模でスタートし、顧客が何を欲しているかを学びながら、うまくいくBMや収益モデルを構築
顧客開発マニフェスト
１．オフィスの中には「事実」はない。だから「事実」を求めてオフィスの外に出る。
・顧客からのフィードバックは予想不可能、耳が痛いものほど重要
・従業員に当事者意識は期待できない
・コンサルタントは従業員よりも真剣さが足りない
２．顧客開発はアジャイル開発と組み合わせなければならない
・顧客開発は、製品開発部門が素早くかつ俊敏に製品開発を繰り返せない限り、役に立たない
３．探索において失敗はつきもの
・スタートアップでは失敗を恐れることが失敗につながる
４．インテレーションとピボットを絶えず行う
５．BPは顧客と対話をした途端に修正することになる。だからBMキャンバスを使う。
・静的なBPと動的なモデルとの違いが成否を分ける
６．実験を設計し、実行に移して仮説検証を行う
・仮説とは「思い込み」
７．市場タイプについて合意せよ。市場タイプが全てを変えてしまう。
・市場タイプが企業行動すべてに影響する
８．スタートアップのための経営管理指標は、既存企業のものとは異なる
・顧客の課題と製品機能は検証できたか
・必要最小限の機能について顧客が合意しているか
・顧客の実像は?
＋財務指標（Burn Rate、CF)
９．迅速な意思決定、サイクルタイプ、スピードとテンポが重要
・CEOがオフィスを出る前に、可逆的な意思決定は済ましておく
１０．パッションが無ければ始まらない
・SUは不確実性、混沌や変化をいとわない幹部でないとやっていけない
１１．SUの仕事の役職は大企業とは大きく異なる
・学習と発見を歓迎する
・再現可能でScalableなBMを探す取り組みに意欲的
・日々の変化に俊敏に対処でき、「地図なし」で経営できる
・あらゆる役割を臨機応変に、進んで果たせる
・学習とインテレーションにつながる失敗を喜べる
１２．必要になるまで現金は温存し、タイミングが来たら一気に投じろ
・再現可能でScalableなBMを探索している間は現金を取っておく
１３．積極的なコミュニケーションを通じて学びを共有する
１４．顧客開発の成功は最初に支持を取り付けるところから始まる
2012年11月25日
「両論併記」と「非決定」
日本はなぜ開戦に踏み切ったか: 「両論併記」と「非決定」 (新潮選書)
300万人にも及ぶ犠牲者を出した大東亜戦争。その結果の重大さに対し、開戦決定過程の空虚さ。
開戦決定の過程を丹念に調べてわかったのは、「両論併記」と「非決定」 だという。関係部署がそれぞれに都合のよい案を条文に併記しつつ、決定を先送りしていき、最後に、「目先のストレスが少ない道」として選んだのが、自ら勝つ見込みはないと正しく分析していた開戦。
70年前に日本を破滅の淵に追い込んだ、自分の属する組織利害を最優先する日本人気質と、「日本型政治システムの致命的欠陥」は今も同じ。明治憲法は1889年の制定以来、敗戦によって58年後、日本国憲法になるまで一度も改訂されなかった。数十年もたてば時代は変わるのに、時代に合わせて変えられなかった。
現在の日本国憲法も1947年の制定以来一度も変えられていない。当然、この間に世界は大きく変わっている。明治の新体制が出来てから敗戦まで約70年。敗戦によるリセットからあと3年で70年。以前も書いた「70年周期説」が不気味だ。
109:希望的観測に根拠を置いた、判断停止
日米開戦→長期戦化は不可避
・無形の国家総力（＝精神力)
・世界情勢の好転
52:1941南部仏印進駐←先にイギリスにおさえられないため
7/26 米国内の日本資産凍結
8/1 石油禁輸
思いもよらない事態→「ジリ貧論」(海軍中堅)
209:明治憲法＝法的制度外の勢力（元老）によって補完・運営
陸海軍は解体されたが、官僚制は生き残り、戦後は一貫して増大2012年11月24日
インドのジェネリック産業
Lupinというインドの後発医薬品大手がある。ルパン三世のルパンと同じつづりだが、こちらは英語で、ルピナスという高山植物らしい。
2007年に共和薬品工業(大阪)を買収し日本に進出。完全子会社化した2008年に同社に、欧州系先発医薬品メーカーから転職した同窓生による講演が行われた。私が9月に神戸で彼とランチしたとき、話が面白かったので、「同窓生にもシェアを」とお願いしたのが今回実現。題して、「インド系企業で働くということ」
インドには、他にも第一三共が2008年に買収したRANBAXYがある。こちらは5000億円近い金額で買収したとたん、ＦＤＡ（米国食品医薬品局）が、ランバクシーのインド２工場の品質管理体制を指摘し、対米輸出を禁止して売上が急減。株価が暴落して、買収半年で3500億円の評価損益を計上することになり、第一三共自体が赤字転落した。慣れないM&Aで最初から大きな買い物（それもインド人相手に!)をするとこういうことになる。
今回の問題の発端はFDAによる査察だが、インドの後発医薬品はもっと大きな問題に直面している。それは、特許問題。
そもそも、インドで後発医薬品（ジェネリック）産業が発展した背景には、「物質特許を認めていない」インドの特許法がある。このため、先進国で発売された先発医薬品をリバースエンジニアリングし（先進国で特許が出されるから組成は正確にわかる)、違う方法で作れば逆にインドで製法特許が認められる
インドの法律は英国植民地時代からの英国法を受け継いでおり、1970年まではインドにも物質特許があった。 これを廃止したのはジェネリックはじめ、国内産業育成のためである。
それが40年経った現在も続いているわけだが、これだけの経済大国になってくると、当然、「国際ルールに従ってくれ」となる。仮に、再び物質特許を認めることになれば、インドのジェネリック業界のビジネスモデルは完全に崩れる。これまでは、他国のジェネリック企業が法律上作れない新薬を作って儲けていたわけだが、今後は他国同様、物質特許の切れた薬だけを同じ競争条件で作らなければならなくなる。
インドが先進国の要請を受け入れ、法律改正するのはいつか？思ったより早く実現すると、第一三共は再び減損することになるかもしれない。
2012年11月23日
米国が苦もなく中国を崩せる秘策
政治家や高級官僚の不正が発覚するたびに、XXXX億円という巨額で「小」日本を驚かせてくれる中国。流石、3000年の歴史を誇る大国である。これを見ていると、つまらない事でいちいち頭を下げている日本の政治家がかわいそうになってくる。
つい最近も温家宝首相の2000億円不正蓄財報道があった。これについては、権力闘争にからむ保守派のリーク、薄煕来氏の不正蓄財捜査を妨害するための薄氏親派や太子党サイドの反撃、という見方が出ている。
最近、中国版SNSに面白い投稿があったらしい。題して「米国が苦もなく中国を崩せる秘策」。
ハンドルネーム「許戦勝」は、
（１）中国の官僚が海外にもつ資産を凍結する
（２）米国のパスポートを持つ中国人官僚の名簿を公表
（３）ロサンゼルスにある中国高官の愛人村を摘発する
−など６つを挙げている。
流石、中国人民はよく分かっている。確かに、これをちらつかせれば米国の思いのまま? その危険がありながら、それでも米国に資産を持つというのは、未だに米国が魅力的な証拠だろう。
2012年11月22日
2012年11月21日
重岩
週末、「石の文化シンポジウム」出席のため、早朝に家を出て小豆島へ。琴平からコトデン、高松からフェリーに乗り継ぎ1時間。着いたのは土庄港。小豆島町のバスが迎えに来てくれた。早速、「石と文化」の史跡めぐり。
最初に訪れたのが、フェリーからも見えた重岩。巨大な岩が重なって山頂にあり、パワースポットとしても知られる。
これが、どうやってできたのか？「重岩は、花崗岩の岩塊で、風化した. 花崗岩のマサ化した部分が侵食され、 風化を免れた硬質の部分. が取り残されたコアストーン」というのが、同行した工学部の長谷川修一先生の見立て。
生憎の雨であったが、それでもすばらしい眺め。また、晴れの日に行きたい。
2012年11月20日
犯罪以外は全部俺が面倒を見てやる！
ローマ法王に米を食べさせた男 過疎の村を救ったスーパー公務員は何をしたか?
限界集落とは、65歳以上の住民が半数以上となっている集落。全国65000の集落のうち１万ヶ所を超え増え続けている。日本全体の人口が減る中、地方で一旦限界集落になるとこれを脱するのは困難。
これを、おそらく全国で唯一、脱したのが石川県羽咋市の神子原(みこはら)。それを可能にしたのは、市役所の一職員である高野氏。いつも大物経営者が登場するカンブリア宮殿に役所の課長補佐が取り上げられるのは初めてではないか。
その原動力は、今や1kg850円で売れるブランド米となった神子原米。以前JAに売っていたときの3倍で売れるから農家が儲かる。儲かれば若い移住者が増える。こうして、かって最年少者が50歳だった村に18年ぶりに子供が生まれ、今では高齢者比率が48%にまで減った。
高野氏を有名にしたのは、「神子原のローマ法王への献上」。このエピソードは有名なので知っていたが、なぜ高野氏に実現が可能だったのか？
・30歳で寺を継ぐため郷里に戻るまで、東京でTVの放送作家（＝シナリオを書く能力「どうしたらマスコミに取り上げられるか」)
・ローマ法王への献上だけに賭けたわけではない。同時に、天皇陛下とブッシュ大統領に食べてもらうべく画策している。（＝一つだけでは行き詰ってしまう可能性大。同時並行で仕事を進めている)
・日本人の特性をよく知っている（＝「権威」と「海外」に弱い） 。これもTV業界での経験からか?
しかし、役所にこんな異分子が入っても周りが協力しないから普通仕事が進められない。組織が動かなければ成果が出ず、仕事をしたくない守旧勢力に絡め取られてしまうか、本人が嫌になって辞めてしまうのが恒だ。なぜ、高野氏は腐らずに仕事を続けられたか？
その答えは、当時の上司にあった。新しいアイデアを出し、役所内でぶつかってばかりの高野氏に上司が言ったという。
「犯罪以外は全部俺が面倒を見てやる
」この上司はアイデアを自らは出せなかったのかもしれないが、高野氏の能力と、そのアイデアの正しさを支持し、結果が出るまで高野氏を役所の圧力から庇った。
以前、『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』でも取り上げたが、組織でいかに上司が大切か。これを偶然に任せていたのでは、これからも神子原の事例は「奇跡」と呼ばれ続けられるだろう。これが、普通にならないといけない。
2012年11月19日
人生無駄なし
先週の「四国経済事情」外部講師は、ネッツトヨタ高松の木村大三郎会長。木村会長は日本不動産銀行（→日債銀→あおぞら銀行)の出身。「銀行出身者が娘婿としてトヨタディーラーの経営者になった」と聞けば、「ナンダ」だが、聞いてみると大変迫力のあるお話だった。
父親は勧業銀行で転勤族。昔は「子供のため」とか言って、「お父さんが単身赴任」ということはない。お父さんが偉かった時代だ。小学校を転々とした木村少年は、東京の同級生から方言をからかわれてドモリになってしまう。ドモリは大学になって矯正の学校に行くまで続いたという。今でも、「いきなり他人の名前を呼べない」というのが面白い。
しかし、そのせいで、電話が苦手だったことから、社内でも社外でも、電話で済まさず直接会って御礼を伝えたりしていたら、「木村は礼儀正しい」と評判になり、仕事がうまく行くようになった。「電話だと、相手の名前を呼ばないといけないから」というのが本当の理由だった。
銀行員3年目のときに小腸腫瘍が破裂し、大量出血。丸2年間の入院生活を送る。今ではおそらく、6ヶ月から、せいぜい1年が限界ではないかと思うが、当時は産業界が資金不足で銀行が儲かっていた時代。余裕があったのだろう。
漸く退院し、配属になったのが支店の総務。管理職以外、男子職員は居らず、「私がなぜこんな仕事を」と思ったが、2年間も入院したまま給与を貰ったのだから仕方ない。女子社員は昔通り、決まった仕事をしているが、改めて考えてみるとムダな仕事が多い。木村青年が上司に改善を提案すると、「なるほど」ということになり、ついにはそのやり方が全行で採用され、行内表彰されることになった。
これ以外にも、興味深いエピソードが沢山。
結論：人生に無駄はない
理不尽な試練と思っても、後でそれが活かされる時が来る。
但し、「困難から逃げなければ」、だ。
2012年11月18日
中国文明の謎
先月から始まったNHKスペシャル『中国文明の謎』を見ている。
世界の「四大文明」の中で、エジプト、メソポタミア、インダスの文明は滅亡・断絶したが、唯一中国文明だけは、数千年にわたってほぼ同じ地域で同じ文明を維持してきた。その理由は何か？
といわれれば、誰しも興味をかきたてられる。
� 崔羃擇慮士�」は、中国最古の王朝「夏」がテーマ。
中華の「華」は、古代には「夏」と同じ意で用いられた。「夏」とは、中国最古の王朝の名称。「史記」などの文献に登場するものの考古学の裏付けがないことから、多くの研究者は「幻」と考えてきたが、近年の発掘で、ついに実在が確認された。「夏」が誕生した紀元前２０００年頃は、黄河流域だけでなく南の長江流域などでも多様な文化が同時多発していた時代。その中で「夏」が王朝になることができた理由とは？
その中で、発掘された夏王朝の遺跡が紹介されていた。その中からある女性の遺骨が豚や牛の骨と一緒に見つかる。遺骨の状態から見て食べ物に不自由していない支配階級の女性。特異だったのは、頭部が切り落とされ、局部に牛の角が突き刺さっていたこと。状況から見て、反乱軍が暴行し、家畜と一緒に捨てたと推定されている。
これを見て思い出したのが、昭和12年の通州事件。やっていることが全く同じ。確かに、この例からも、「中国文明は、 数千年にわたって同じ文明を維持してきた」といえる。
対支世論を悪化させ、日本軍の中国戦線拡大へ口実を与えることにもなった重大事件だが、極東裁判では弁護側の証拠提出が却下され、中国の歴史書からは消し去られてしまった。
中国文明は偉大であると同時に、平和な島国の住民からは想像もつかないような執念や徹底があるようだ。付き合っていくには、相当な覚悟が要る。
2012年11月17日
小学生の試験成績は機密情報なのか
今週四国では、「児童６３人の個人情報入りＵＳＢを紛失」の報道。
「個人情報」というから、「さては、児童の住所や電話番号が入っていたか」と思って読んだら、そうではない。入っていたのは試験成績。
小学生の試験成績に何の意味があるのか。こんな記事まで載せないといけないなら、頁数を減らした方がいいと思う。
逆に、こんな些末なことが記事になるということで、まだ人生の先が長い「小学生の、たった一学期の試験成績でも秘密にしておかなければならないほど重要なのだ」というメッセージを新聞は社会に発している。TVで報道されたかどうか確認してないが、ローカルニュースでは流れたかもしれない。
戦前は、試験結果を廊下に貼りだしたり、成績順に席を並べていた、ときいているが、その方が、「学校は学ぶところなので成績が重要。スポーツだって順位がつくしね。でも、社会では他にも重要なことが沢山ある。」というメッセージになっていい気がする。
「個人情報」というから、「さては、児童の住所や電話番号が入っていたか」と思って読んだら、そうではない。入っていたのは試験成績。
小学生の試験成績に何の意味があるのか。こんな記事まで載せないといけないなら、頁数を減らした方がいいと思う。
逆に、こんな些末なことが記事になるということで、まだ人生の先が長い「小学生の、たった一学期の試験成績でも秘密にしておかなければならないほど重要なのだ」というメッセージを新聞は社会に発している。TVで報道されたかどうか確認してないが、ローカルニュースでは流れたかもしれない。
戦前は、試験結果を廊下に貼りだしたり、成績順に席を並べていた、ときいているが、その方が、「学校は学ぶところなので成績が重要。スポーツだって順位がつくしね。でも、社会では他にも重要なことが沢山ある。」というメッセージになっていい気がする。
2012年11月16日
日本人は本当に、過去の失敗から学んだか
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
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ほとんどの本は一度しか読まない。途中で投げ出してしまうことも多い。昔は、「せっかく買ったのにもったいない」と読む努力をしたものだが、今は時間のほうがもったいない。
なので、繰り返して読む本は限られるが、その数少ない一冊が、『失敗の本質』 その解説本が出たので、読んでみた。筆者によれば、『失敗の本質』＝「日本人全員の知的財産」 これには共感。
おりしも、戦後の高度成長のなか世界的企業になった大企業が「転換点」で苦しんでいる。『失敗の本質』で25年前に指摘されていたこと、
「日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が、平時的状況のもとでは有効かつ順調に機能したとしても、危機が生じたときは、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない」
が、まさに起こっているといってよい。
大東亜戦争で日本が敗れたのは、米国の「物量・技術」のためというのが公式見解だが、深く見れば、「日本的思考法、特有の組織論、リーダーシップ」のせいだということがわかる。
本書によれば、例えば、レーダーの中核技術である電子磁電管(マグネトロン）の研究は日本が先行していた。ところが、軍上層部がその重要性を理解できなかったため、実用化が大幅に遅れてしまう。結果、1944年6月のマリアナ沖海戦では、米軍のレーダーによる戦闘機の待ち伏せで日本海軍の第一機動部隊は全滅してしまう。
これが、「無謀・無能でも勇壮で大言壮語し、やる気を見せるなら罪に問わない」という人事を続けた当然の結果である。
[m:67]リーダーシップ＝現実を直視し、優れた判断を下す
愚かなリーダーは、「自分が認識できる限界」を、組織の限界にしてしまう。卓越したリーダーは、組織全体が持っている可能性を無限に引き出し活用する。
2012年11月15日
醜い日本の私
醜い日本の私 (新潮選書)
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『うるさい日本の私』の続編。前作は「音」に絞られていたが、今回は景観から店員の対応まで幅広い。押付けがましい「優しさ」と戦う、反・日本文化論。
街にあふれる、交通標語や警告文の類には辟易しているので共感。例えば、「ポイ捨て禁止
」とか書いて効果があるとは思えない。良識のある人なら元々ポイ捨てなどしない。一方、良識の無い人は、そんな看板を見て止めると思えない。つまり、町の景観を乱しているだけ。全国にあふれるこの種の看板制作と設置に一体いくらお金がつぎ込まれているのか。その費用はどこから出ているのか。民間人が勝手にやっているのではないだろう。税金でやっているとすれば、その効果が検証されてなければならない。
やり方は簡単だ。
１．「ポイ捨て禁止
」の看板がついている付近の「ポイ捨て」を1年間測定（季節要因を排除するため）２．看板を外して、さらに1年間測定
３．結果を比べる
測定期間内に、他の人が清掃しては困るので、道路の中央分離帯などのほうがよさそう。道路管理をしている国交省道路管理局に言っておいたほうがいいかもしれないが、ゴチャゴチャ言われたら勝手にやるしかないか。
これで、「効果なし」という結果が出たら、新たな設置は即やめるべき。既にある看板も、「景観を乱しているだけ」ということになるので、撤去したほうがよい。看板設置にかかっていた費用は取り締まりに回す。その方がよほど効果があるだろう。
面白いのは台湾で、台北や台南の大都市では、ポイ捨てや禁煙地域での喫煙を一般市民が通報すると、罰金の5%を報奨金としてもらえる仕組みがある。以前見たTV番組では、交差点でビデオカメラを持ってポイ捨てを見張っている「プロ」がいた。ポイ捨て現場を撮影して警察に提出する。顔と車やバイクのナンバーが特定できないといけない。検挙できれば報奨金がもらえる。
警察にはもっと大事な仕事があるはずなので、警察組織を膨張させず、それでいて市民生活には大切な美観も維持するにはよい方法だと思う。
それにしても、筆者の結論（嘆き?）は重い。(p121)
「いかなる合理的な反論を出しても、相手は梃子でも動かない。なぜなら考えて行動しているのではないのだから。」
205:感受性のファシズム→感受性の「共生」をめざして
感受性の多数派が感受性の少数派を摘発し、密告し、訴追し、火あぶりにする
18:祭りの風景→駅前商店街→歌舞伎町・秋葉原
26:「駅をきれいにしましょう」「タバコのポイ捨て禁止」という馬鹿でかい横断幕
これが一番汚い
104:ロンドンの日本的
Mind the Gap!というテープによる轟音が3回
Don't wait to be asked...
Please be ready to give up your seat
to someone who may need it more than you.
120:定型化された言葉
現実的効果を一切考えずに、ひたすら「春の交通安全週間」「歳末防災運動」
2012年11月14日
輸送エネルギー
『銀輪の巨人』にあったコラムから。(p174)
1kgの重さを1km動かすために必要とされるエネルギー量を計算したのが「輸送エネルギー」
自転車 0.15kcal
馬（自分を動かすのに） 0.58kcal
自動車 0.82kcal
自動車は安全対策で重くなり小型車でも1tはある。（例えば、プリウスで1.3-1.5t） 50kgの人を一人運ぶのに1.5tもの重さを動かさなくてはならないのだから、沢山エネルギーが掛るのは当然。
一方、自転車は同じ50kgの人を運ぶのに、10kgの自重。
「自転車は、構造的・機械的に非常に効率の良いものであり、人間を運ぶために大量生産された最初の機械だった」（サイエンティフィック・アメリカン日本語版 1973年）
「モータリゼーションが発達していくなかで、警察が自転車を歩道に上げてしまった。自転車が本来の半分以下のスピードでしか走れなくなり、自転車という文化の衰退の大きな原因」 （シマノ 島野容三社長）
2012年11月13日
中国の自転車産業を築いたのは日本人
『銀輪の巨人』に面白い記述があった。（p89)
中国3大自転車メーカーは全て、戦時中に同じ日本人によって創られていた。小島和三郎は、1918年に旧満州の奉天で「昌和洋行」を設立した人物で、1936年から1940年にかけて瀋陽、天津、上海で自転車工場を設立している。
この3工場は、敗戦とともに国民党に接取されるが、後に国民党を台湾に追い出した共産党が手中に収める。その後、3工場は別々の企業となり、瀋陽は「瀋陽自転車廠」、天津は「飛鵠自転車」、上海は「永久自転車」「鳳凰自転車」となり、それぞれ中国市場で確固たる地位を築いた。
上記写真は現在の天津飛鵠自転車HPなのだが、会社案内ページを見ると「1936年創立の中国最古のメーカー」と誇らしげに書かれているが、創業者小島については一切触れられていない。この辺り、正当に評価してくれれば日中関係も違ったものになるのではないかと思う。
日本は、戦前、中国においても韓国においても内地と同様の工業化を推し進めた。この点、植民地を原材料の供給基地兼、工業製品の市場として扱った欧米の「植民地経営」と大きく違う。これら日本人が作った工場は、戦後の両国経済を長年にわたって支えた。
15年ほど前、仕事で中国の工業用砥石メーカーを調べたら、沈陽第一砂輪厰が最大メーカーということだった。このメーカー、更に歴史を見ると、戦前に日本の呉製砥所が作った満州工場で、先ほどの自転車メーカー同様、共産党に接取されている。おまけに1987年にはJICAが工場近代化を援助している。人造砥石は鉄の加工に不可欠であり、この中国最大の砥石メーカーが中国の工業化、はては兵器製造に長年貢献したことは想像に難くない。
2012年11月12日
武蔵大学
その大学は西武池袋線江古田駅から徒歩で6分ほどのところにあった。江古田で降りるのは初めて。駅前は私鉄の各駅停車駅らしく、コンパクト。本屋、飲食店、風俗店がごちゃごちゃになった駅前の細い通りをジグザグに抜けて千川通りに出るとすぐキャンパスがあった。
学会の懇親会で学長挨拶があり、ナント、武蔵大学で学会の全国大会が開催されるのは建学以来初めてとのこと。その栄誉はベンチャー学会ということになった。「1号館」というのに、建設されたばかりの真新しい校舎で昨日の発表を無事終えた。
武蔵大学は大正11年（1911)に、わが国初の旧制七年制高等学校である旧制武蔵高等学校として開校している。創立者は「根津美術館」で有名な根津嘉一郎（初代）。山梨の出身で、東武鉄道や南海電気鉄道など日本国内の多くの鉄道敷設や再建事業に携わり「鉄道王」とも呼ばれた根津である。根津は古美術愛好家としても知られ、茶人でもあった彼の収集品を展示するため、没後「根津美術館（東京・青山）」が設立された。根津美術館は根津の私邸跡である。
私立の旧制高校ということでは、他に、成城や成蹊、甲南がある。私立高校としてそれぞれ個性的教育をしていたようだが、敗戦後、新制大学となり、文部省から運営助成金を貰う代わり、統制を受け入れることになった。こうして、大学は徐々に個性を失い、「変わらないなら、より偏差値の高い大学へ」という流れが出来た。センター試験導入によって、この流れは決定的となった。
人間でもそうだが、「自立」には、まず経済的独立から、ということだ。
2012年11月11日
銀輪の巨人
銀輪の巨人
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世界最大の自転車メーカーは台湾のGIANT。その正式社名は「巨大機械工業」で、創業者の英語名は"King"。
その名前の割には1972年の創業は誠につつましく、様々な商売を試していた劉金標が37歳のときに、当時の米国自転車ブームに目をつけ、親戚中からお金を借りてスタートしたもの。見よう見まねで自転車製造を始めたものの、当初は品質が悪く、実績もないので相手にされない。ようやく会社が軌道に乗ったのは、創業から５年目の1977年に米国自転車大手のSchwinnからOEM発注を受けてからだ。
Schwinnは当時、それまでOEMを依頼していた日本メーカーの値段が上がってきていたので、より安い発注先を探していた。Schwinnからの発注は1979年には35万台となり、1980年にはGIANTはついに台湾最大の自転車メーカーとなる。その頃、台湾全体としても世界一の自転車輸出国となった。
それまで世界最大の自転車生産国は日本であり、輸出も世界一だった。その後の日本の自転車産業は凋落の一方。台数の減少は自転車産業（完成車メーカー）が労働集約的な面が残るため仕方ないとしても、販売平均単価（メーカー出荷価格）が、台湾が2002年の$124から2011年には$380と高付加価値化に成功しているのに対し、逆に日本は1990年に4万円だったのが、2000年には2万円、2010年には1万円と10年ごとに半減している。人件費の高い日本で、部品点数が200もある自転車を組み立てて1万円で売って儲かるわけがない。
台湾製自転車の高付加価値化は、OEM→独自ブランドの確立によって成し遂げられている。ホンダが1950年代にマン島TTレースで名を上げ、さらに自動車進出に当たってはF1にいきなり挑戦したのと同様、GIANTやMERIDAはツールドフランスなどのグランツアー参戦チームにロードバイクを供給してブランドを確立した。
2002年から2011年にかけ台湾製自転車の総輸出額は$5億→$16億と3倍になっているが、その間の製造台数は4-5百万台で伸びてない。それより前、ピーク時の輸出台数は1000万台であり、輸出台数は半減しているが、平均単価が上がることで輸出額は伸び続けている。今や台湾製自転車はスポーツバイクの最高峰だ。
こうして、
低価格帯＝中国・ベトナム製
中価格帯＝台湾メーカー（GIANT/MERIDA)
高価格帯＝台湾メーカー＋欧米ブランド（生産の大半は台湾でのOEM）
という構図が定着して10年以上になる。
日本メーカーの国際ブランド力はゼロといってよい。倒産したFUJIなどの日本メーカーは、ブランドだけ海外企業に買われ、台湾で作った自転車が欧米に輸出されている。日本の電機メーカーがそうならないことを祈るが、既に遅いか。
2012年11月10日
酒蔵直営居酒屋「清龍」
今日から始まる「日本ベンチャー学会」出席のため上京。昨日は、東京在住の共同発表者との最終打ち合わせ＋医療経営を卒論テーマにしているMBA学生にこの分野のコンサルタントを紹介。
夜、先日知り合った早稲田の先輩と高田馬場で飲むことに。夏に前を通りかかり、健在ぶりを確かめた「清龍」に行ってみることにした。この居酒屋、昔から酒が安いことで有名で、学生時代には2500-3000円の飲み放題プランを部やサークルで利用した。
利用するのは卒業以来初めて。心なしか、明るく、清潔になった気がする。一階は「禁煙席」に
清龍も時代の変化に対応しているのだ。通された２階の席は半個室
これも昔はなかったと思う。「個の時代」への対応
変わらなかったのは、その安さ。二人でビールに純米酒＋刺身に焼き魚とサラダで４１６０円。客層は見たところ５０代が中心。学生風は見かけない。
学生のときはよく分からなかったが、ここは埼玉の酒造の直営。ここは、醸造用の米から自家栽培して酒造。販売は直営居酒屋での自家消費分と通信販売だけ。日本で唯一の通信販売専門蔵元ということ。いわば、蔵元の垂直統合モデルだ。
昔は、「清龍の酒を飲むと二日酔いする」と言われたものだが、昨晩は純米酒にしたせいか、今朝もスッキリ。飲み放題の酒でこういくかどうかは不明。（笑）
2012年11月09日
ことでん ひゃく
昨日も乗った「ことでん」 正式会社名は、高松琴平電気鉄道。今年、設立１００年を迎えた。
鉄道マニアの間では、「全国で一番古い車両が現役で走っている」ことで知られ、これらの車両は貸切にもできる。
１００周年記念映画も香川で先行上映中。
2012年11月08日
役所の会議
役所の「委員会」のことは以前書いたが、役所の「会議」にも特徴がある。
・会議目的が明示されてない
「何のために集まるのか」「何を決めるのか」など最も重要な会議目的が明示されてない。なのに、なぜか、アジェンダはある。会議目的あってこそのアジェンダだ。会議によっては、会議目的は「分かっているでしょ」ということもあるが、会議が横道に逸れた時戻すためにも必要。要項の最初に、大きく書いておくことが大事。
・終了時間が無い
外部から人を呼んでおいて、開始時間だけがあって、終了時間が書かれてない。何時間掛るかわからないので、後の予定が立てられない。それでいて、「ボランティアで協力してくれ」とか、「規定により日当8000円で」とかいう。公的目的のために社会貢献だと思えば協力するのにやぶさかではないが、気分が悪い。
・ファシリテーション不在
皆の意見を吸い上げながら、グループとして個々の意見を超える「集合知」を実現するのがファシリテーション。集合を掛けた役所がファシリテートすべきだが、用意した資料を読み上げるのみ。時間だけが過ぎ、意見は言いたい人だけが言い、皆が納得する結論が出ない。
・ツール不備
日頃から役所で効率的・効果的な会議が行われていれば当然備え付けられているべき、ホワイトボード、プロジェクター、ポストイット、サインペン、タイマーなどのツールが無い。なので、皆、配られた資料を下を向いて読んでいるだけ。これでは、皆で一か所を見て、知恵を集約して問題を解決しようという気にならない。
まさか、こんな具合に、内部会議を毎日やって時間を潰しているんじゃないでしょうね
・会議目的が明示されてない
「何のために集まるのか」「何を決めるのか」など最も重要な会議目的が明示されてない。なのに、なぜか、アジェンダはある。会議目的あってこそのアジェンダだ。会議によっては、会議目的は「分かっているでしょ」ということもあるが、会議が横道に逸れた時戻すためにも必要。要項の最初に、大きく書いておくことが大事。
・終了時間が無い
外部から人を呼んでおいて、開始時間だけがあって、終了時間が書かれてない。何時間掛るかわからないので、後の予定が立てられない。それでいて、「ボランティアで協力してくれ」とか、「規定により日当8000円で」とかいう。公的目的のために社会貢献だと思えば協力するのにやぶさかではないが、気分が悪い。
・ファシリテーション不在
皆の意見を吸い上げながら、グループとして個々の意見を超える「集合知」を実現するのがファシリテーション。集合を掛けた役所がファシリテートすべきだが、用意した資料を読み上げるのみ。時間だけが過ぎ、意見は言いたい人だけが言い、皆が納得する結論が出ない。
・ツール不備
日頃から役所で効率的・効果的な会議が行われていれば当然備え付けられているべき、ホワイトボード、プロジェクター、ポストイット、サインペン、タイマーなどのツールが無い。なので、皆、配られた資料を下を向いて読んでいるだけ。これでは、皆で一か所を見て、知恵を集約して問題を解決しようという気にならない。
まさか、こんな具合に、内部会議を毎日やって時間を潰しているんじゃないでしょうね
2012年11月07日
善通寺五重塔
イベントが目白押しの秋の週末。善通寺の五重塔内部が特別公開されているというので、サイクルロードと大学祭の間に見に行った。
驚いたのは、心柱が浮いているということ
心柱と言うからには、建物を支えるのかと思ったらそうではない。もっと古い、法隆寺の五重塔は心柱を地中に埋める掘立式であったらしい。それでは心柱の根元が腐るので、一般の建築でも採用されていた礎石の上に柱を置くようになった。さらに、積み重ねられた塔の全体の重みによる部材の圧縮や乾燥による収縮に対応するため、心柱が浮かされるようになったのではないか、ということ。（懸垂工法)心柱が免震の役割をしている、という説もあるが、実験では確認されていないようだ。創建以来、大風や火災により、倒壊・焼失を繰り返し、そのたびに再建。現在の塔は１８４５（弘化二）年に着工し、１９０２（明治三十五）年に完成した四代目。なぜこんなに時間が掛ったのかというと、お金が無くて、その間、京阪神に秘蔵のお宝を持って行って見せるなどして資金調達をしていたということ。（財務部長談）
2012年11月06日
みとよサイクルロード宝山湖
第三回となるみとよサイクルロード宝山湖が今年も開催された。1，2回目は雨。
今回は曇りでまずまずの天気。一日で７レースが開催され、小学生（１周 3.5km）から、チャンピオン（１２周 42km）まである。チャンピオン優勝者のタイムは1:01なので、丁度平均時速42km/h。コースはかなりの起伏があり、これを42km/hはキツイ。今の通勤が36kmで平均時速27km/hですからね。尤も、こちらは国道なので信号停止がありますが。
招待選手のタイムは記録に入っていないようで、シマノレーシングの3人とマトリクス・パワータグの２人は１分４５秒のハンデ付きでスタートし、最後は余裕で上位を独占していました。総合優勝はマトリクスのマリウス。直接聞いてみたらポーランド人で、２年前に来日したとか。チームのメンバー紹介によれば、「特技はナンパ」だそうです。
私が来年出るとすれば、当然「初心者」レース。こちらのタイムは2周で13分位で平均時速32km/h。これなら頑張れば行けるかな。今度、ひそかに走ってみよう。
2012年11月05日
出来立ての大地
昨年、世界ジオパークに認定された室戸ジオパークで、「第３回日本ジオパーク全国大会」が開催され、週末「さぬきジオサイト」メンバーと参加。イベントが目白押しの秋の週末。香川から3-４時間掛るので、本当は一泊でゆっくり見たかったが、土曜日日帰りに。
室戸岬は、太平洋プレートが日本列島の下に潜り込む最先端に在り、今も少しずつ隆起している。地震などが起こると一気に隆起する。いわば、「出来立ての大地」
室戸岬の灯台が立っている山(150m)を見ると山頂部が削れて平らになっている。これは造成されたものではなく、約10万年前にこの場所が海岸で、波によって削られたもの。10万年で150m隆起したことになる。岬には、弘法大師「行水の池」もあるが、空海がここで修行していた792年には、この辺りは今から2m低く、波打ち際で行水は無理だったのではないか?というのが科学的見解。
予約しておけば、ジオガイドが詳しく説明してくれる。(有料) 専門的な質問にも丁寧に回答いただいたガイドの浅川さんに感謝!
2012年11月04日
四国の運転マナー
昨日は「ジオパーク全国大会」見学のため室戸岬へ。高知には子供の頃から何度も行っているが室戸岬まで足を延ばすのは初めて。何しろ、高速が出来るまでは片道5-6時間掛ったので日帰りは無理。現在は3-4時間だ。
久しぶりに高知を運転していて実感するのが運転マナーの悪さ。いや、「悪さ」ではなく完全な道路交通法違反。
行きは朝5:30に家を出て、南国ICを降りたのが6:30頃。土曜日の早朝で空いていたということもあるのだろうが、室戸への到着まで、赤信号を無視する車を何台も見た。一度など、赤信号で先に停止したバイクの脇を後続車が突っ切っていった。
室戸市内では、一方通行道路を走っていたところ、向こうから車が走ってくる。一瞬、こちらが間違えたのか?と思ったが、先方がこちらに気づくなり右に寄ったので、どうやら「確信犯」であったようだ。
私だけの一日だけの体験で一般化するのは危険だが、四国各県で勤務し、同じように感じている人もいるようだ。この方によれば、「愛媛、香川でも通勤で車を使っていましたが、高知での運転はサバイバル」なのだとか。
実は、四国で一般的に運転マナーが悪いと言われるのは、香川・愛媛。私自身も30年ぶりに郷里に戻り、自動車通勤をするようになって驚くことがしばしば。上記の、「香川の運転ルール」でいえば、踏切の一時停止はそもそも意味が無いので道路交通法を改訂してほしいが（世界でこんなルールがあるのは日本だけではないか?）、他のルールに関しては安全上意味のあることなので守ってもらいたい。
制度上変えてほしいのは、
�／�号機を減らす
狭い日本、その中で一番狭い県である香川に信号が多すぎる。これが、「信号など一々守っていられない」という意識を生み出しているように思う。一台何百万円もし、しかも稼働している限りメンテナンスにもお金がかかる。半減させて、後は「状況に応じて、安全に運転」をドライバーに求めればよい。例えば、道交法では信号のない横断歩道で歩行者が渡ろうとすれば車は止まらなければいけない。（第三十八条） それが車が止まらないので、やたらと信号が増える。
�⊃�号のサイクルを短くする
欧米で走っていると、信号のサイクルが短いことに気づく。日本の信号は、「まだ変わらないの?」と思うくらい、長いことが多い。これが、「赤でも無理して行っておかないと、長く待たされる」という意識に繋がっている。
��自転車・歩行者にも平等なルール適応を
車だけが免許制で交通規則順守を求められているが、自転車は長年野放しだったし、歩行者には未だにルールが無い。公共の場である道路を利用するという意味から平等なルール適応を求めたい。横断歩道での歩行者優先を道交法通り徹底させる一方、横断歩道以外での道路横断は歩行者の自己責任だろう。
�じ鯆棉玄韻鮓困蕕�
とにかく多すぎ。ヨーロッパに行って、「街並みがきれいだ」と感じるのは、建物の統一感だったり、電柱が無いことだったりもあるが、もう一つの要因は、交通標識が少ないこと。例えば、制限速度は「市内では50km、郊外では100km」という「原則」があり（ドイツの場合）、標識は「ここから市内」「ここから郊外」という標識と、それ以外の例外が適用される場所にあるだけだ。日本では標識一本の設置に何十万円もかけ、さらにご丁寧に道路にまでペイントしている!
2012年11月03日
リソーシズ
香川の優良リサイクル企業を訪問。どのくらい優良かというと、その義務もないのにHPで決算書を公開している位優良。もともとオーナー企業であったが6年前に主要顧客であった四国コカ・コーラが出資し、経営の独立性は保ちつつも現在は関連会社となっている。
自販機シェアNo.1のコカ・コーラ。38%のシェアで二位に倍以上の差をつけているから、余程のことが無い限り揺るがない安定した一位と言える。当然、その分、回収しなければならない空き缶も多い。空き缶は回収された後、リサイクルされる。
なので、全国のボトラーがリサイクル子会社を持っているのかと思ったら、グループ内にリサイクル会社を持っているのは全国でここだけなのだという。それも当初は四国コカ・コーラが直接行っていた空き缶の回収コストが年々高くなり、そこで以前から空き瓶回収で取引のあった当社に任せることにしたのだという。
そんな経緯だったので、四国コカ・コーラ関連会社であるが他社の空き缶も回収している。こうしてスケールメリットを出すことでコスト削減に繋げている。全国的に見ると、スチールならスチール、アルミならアルミと、特定の素材に特化したところが多く、鉄もアルミもビンも、そしてプラスチックも扱うリサイクル業者は珍しいそうだ。
驚くのは挨拶の徹底ぶり。事務所だけでなく、工場でも従業員全員がニコニコしながら挨拶してくれる。
帰る際には、手すきの社員全員が揃って見送ってくれる。
役員の方も明るくて、オープン。すばらしい社風だ。2012年11月02日
丸亀から世界に向けてキーパーツを発信
今週の四国経済事情の講師は、大倉工業の高濱社長。三豊市在住では唯一の上場企業社長。液晶用光学フィルム（偏光フィルム・位相差フィルム）の大手で、これらは液晶パネルメーカーで液晶パネルに組み立てられ、iPhone、iPadに採用されている。
創業は昭和22年。戦時中、木造飛行機を国策で作ろうとした倉敷飛行機高松製作所の元社員が高松大空襲と敗戦ですべてを失い、前相談役松田正二の下に結束し、生きるために事業を興したことに始まる。当初は、林業者との関係を生かして住宅資材から始め、昭和30年にポリエチレン事業に着手する。その際に、松田が10年間勤めた倉紡の「倉」と、長い間お世話になった倉紡の大原社長の「大」の字をいただき、将来は親会社よりも大きくなりたいという希望を込めて「大倉工業株式会社」に決定した、ということ。ポリエチレンフィルム加工技術が発展し、現在の光学フィルム大手となっている。
丸亀と高松には子会社が経営する「オークラホテル」がある。私の亡義父が初めて香川に来た時ここに宿泊。チェックインでホテルオークラの会員証を出したら、「うちは違いますから」と言われたといっていた。
2012年11月01日
小田原おでん本店
先週末、レンタカーを返してから向かったのが、小田原おでん本店。昨日に続き、こちらも小田原在住の新米ママからのご推薦。
「市内の蒲鉾屋さん13店が共同で出資をしてる店」との投稿がtabelogにあるが未確認。でも、メニューを見ると品書きに各商品の製造元が書いてあるので、可能性高い。
店に着いたのは1330だったが、先客が店内で座って待っている。それから待つこと30分。ようやくカウンターに座れた。
最もベーシックな「茶飯ランチ」にしてみる。小品盛合せ、小田原おでん５品、茶飯、ミニデザート付。茶飯には、お好みでおでんの出汁をかけてくれる。これがウマかった
土曜日の午後ということもあったのか、若いカップル多し。ドライブコースに入っているようだ。駅からは徒歩20分くらい掛る。
