2012年10月
2012年10月31日
伊豆半島ジオパーク
先週末小田原まで行ったついでに、伊豆高原まで足を延ばし、9月に新たに日本ジオパークに登録されたばかりの伊豆半島ジオパークを見てきた。現在取り組んでいる「讃岐ジオパーク」実現の参考にするためである。
こちらのジオパーク、伊豆半島全体を対象としており、全部見るには数日掛る。今回は半日しかなかったので、城ケ島海岸に絞る。以下、伊豆半島ジオパーク公式HPより。
城ヶ崎海岸は、約4000年前に噴火した大室山から大量の溶岩が相模灘に流れ込むことでできた、複雑な溶岩地形です。城ヶ崎海岸南ジオサイトは、、城ヶ崎海岸の北部で、溶岩流の表面構造や柱状節理が作る複雑な地形と海が織りなす美しい景観を楽しむことができます。城ヶ崎海岸南部は、美しい自然を残す遊歩道（城ヶ崎自然研究路：全長6km）が用意されています。
特に、ジオパークのサインも、ガイドブックも見かけず。こういった広域での登録の場合、どうやって一体感を保ち、ただの観光地ではない「ジオパーク」として水準を維持するのか? 課題を感じた。讃岐での実現に活かしたい。
2012年10月30日
負けて、勝つ
昭和史 1926-1945
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「戦後史」の前の戦前の「昭和史」といえば、この本だろう。昨日紹介した、『戦後史の正体』にも引用されている。（ｐ40）
その引用された箇所とは、先月放映されたNHK『負けて、勝つ 〜戦後を創った男・吉田茂』でも重要なエピソードとして挿入されていた。
・進駐軍にサービスするための『特殊慰安施設』が作られ、すぐ『慰安婦募集』がされました
・内務省の橋本警備局長が(8月)18日、各府県の長官(県知事)に占領軍のためのサービスガールを集めたいと指令を与えました
・慰安施設は27日には大森で開業し、1360名の慰安婦が揃っていたと記録に残っています
終戦の大混乱の中、3日前まで敵国だった進駐軍のために、治安分野の最高責任者である内務省の警備局長が、売春の先頭に立っている
今年3月に記念艦「みかさ」を訪問した時、世界の歴史を変えた日露戦争の旗艦が、戦後、進駐軍向けのキャバレーに使われていたと知り驚愕したが、国家中枢がこういう行動を取っていれば、目先の効いた商売人がキャバレーを開くのも当然だ。こうして官僚組織は日本が初めて外国の軍隊に占領されるという事態も乗り切り延命した。野口悠紀雄のいう「1940年体制」である。
2012年10月29日
「米国からの圧力」を軸にした戦後史
戦後史の正体 (「戦後再発見」双書)
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著者は、1966年に外務省入省。最初に派遣されたのが、英国陸軍学校。ここでロシア語を学び、冷戦まっただ中でソ連分析。2002年に防衛大学校の教授に就任した方。
「米国からの圧力」を軸に戦後史を読み解くと、非常によく分かる。結局、日本の戦後政治は、米国に対する自主路線と追随の相克の歴史なんだと。
例えば、新安保条約(1960)を成立させた岸信介の評価。岸は米国と近く、これまでの評価は「米国寄り」だった。しかし、冷静に分析すると、全く違う構図が浮かぶ。新安保条約では、�”靂呂旅垰箸法峭餾殤�合の目的」という枠をはめていたり（第一条）、�∧瞳海�攻撃されたときの日本の行動に制限を加えていたり（第五条）、�Ｊ瞳海�日本を守る義務を明記したり、と旧安保条約に比べて大幅な改善がみられる。(p213)
では、「安保粉砕」を叫んでデモをした安保闘争とは何だったのか? 当時、学生運動指導者だった西部邁によれば、「60年安保闘争は安保反対の闘争などではなかった。闘争参加者のほとんどが国際政治および国際軍事に無知であり無関心ですらあった。」（『60年安保 - センチメンタルジャーニー』） メチャクチャな話である。
その後の調査で分かったのは、闘争の資金は財界から出ていたということ
親米路線の経済同友会が、岸首相の対米自主路線を危惧し、「打倒岸」のために全学連に資金を流したのだという。そのため、岸首相が退陣し、経済同友会が推した(親米路線の)池田勇人が首相になったとたん安保闘争は終了した本当に「安保」闘争であったのなら、成立した新安保条約を破棄するまで運動しなければならない。随所に引用される敗戦時の外務大臣「重光葵」の言葉が突き刺さる。（終戦直後に書かれた『続 重光葵手記』より）
・朝日新聞をはじめとする各新聞のこびへつらいぶりは、本当に嘆かわしいことだ
・結局、日本民族とは、自分の信念を持たず、強者に追随して自己保身をはかろうとする三等、四等民族に堕落してしまったのではないか
・節操もなく、自主性もない日本民族は、過去においても中国文明や欧米文化の洗礼を受け、漂流していた。そうして今日においては敵国からの指導に甘んじるだけでなく、これに追随して歓迎し、マッカーサーをまるで神様のようにあつかっている。その態度は皇室から庶民に至るまで同じだ。
・ はたして日本民族は、自分の信念を持たず、支配的な勢力や風潮に迎合して自己保身をはかろうとする性質を持ち、自主独立の気概もなく、強い者にただ追随していくだけの浮草のような民族なのだろうか。いや、そんなことは信じられない。
2012年10月28日
おもてなし処「さくら」
夕飯に選んだのは、伊豆高原のおもてなし処「さくら」。webで検索して見つけた初めて行く店。この時期、伊豆は空いているらしく、我々が夜唯一の客。尤も、昼は周辺の住人で混むらしい。別荘地の地元客はお得なランチで外食し、夜は自宅で自炊するのだろう。
ご夫婦で開店して10年になるという。オーナーシェフは奥さんで元祖スッチー。今はなきパンナムに乗り、世界中に行ったという。当時の為替レートは$=360円。機内では手数料も入れて400円で換算していたという。現在の5倍!当時、米国企業で働きドルで給料をもらっていれば、さぞやグルメな生活が出来たであろう。
厨房で忙しくされていた奥さんに代わり、色々お話してくれたのはホール係の旦那さん。長年音楽業界に身を置き、かって「アジアの歌姫」とも言われた Marleneのマネージメントも彼女が来日してから８年の間担当したという。マリーン
何年聞いてないだろう。一気に懐かしくなって、早速かけてもらう。「ザンジバルナイト」「ボーイフレンド」・・・共に1983年のヒットだよ。
今も店に来るらしい。丁寧な仕事に、凝った器。こういう店があるのが、ただの田舎と別荘地の違いだよなー。
2012年10月27日
菜こんたん
小田原に行った。先月、高松でお世話になっている経営者から中国人留学生を紹介され、「日本のベンチャー企業に就職したいそうなので、相談に乗ってやってくれ」と頼まれた。聞いてみたら、大学は小田原にあるという。
「こりゃ、東京で会うしかないな」と思っていたら、今度はうちのゼミ生が卒論のため、小田原市の調査に行くという。インタビュー出来る住民は居ないか?と考えてみたら、ビジネススクールの後輩が結婚後小田原で住んでいることを思い出した。久しぶりに連絡を取ってみたら、「先月子供が生まれたばかりで育休中」という。
結局、MBA学生による彼女のインタビューは日程の都合で実現しなかったのだが、そんなこんなで、小田原に意識が集中し、行ってみることに。
初日のランチは駅東口からすぐそばの、菜こんたん。学生の就職活動状況と、希望を聞きながら。学生の話を聞くにはふさわしい店名である。といっても、店名以外『菜根譚』との関連性は見いだせなかったが。
頼んだのは、店の看板料理ともいえる「小田原丼」。写真のように、アジフライが丼に突き立っている。tabelogである投稿者が、「丼のストーンヘンジ」と呼んでいた。
店に着いたのは午後1時ごろ。朝6時に朝食を食べて四国を出てきた私には丁度良い分量だったが、小田原から合流した家内にはフリッターの油が多すぎて、お腹にもたれたらしい。
他にも、 海鮮サラダ丼やしらす丼などあるので、次回試してみたい。
2012年10月26日
日本農業の付加価値額＜農業保護費用
日本農業への正しい絶望法 (新潮新書)
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こちらの最新刊はまだ読んで無いんですが、これまでの著書から、農業を「深く」「正しく」理解している方だと思います。日経ビジネスにインタビューがあったので、とりあえず、そちらから紹介。
「平成検地」いいな。
・ほとんどの人が農業問題の本質（＝動植物の生理）というのが分かっていない
・下手くそな農家は食用植物を健康的に育てられないので、栄養価も低いし、ちょっとした気候変動にも脆弱
・社会が寄ってたかって農家に技能を学ばせないようにしている
・「川上問題」は農地利用の乱れ＝耕作放棄地の半分は土地持ち非農家のもの
・彼らは営農の意欲も能力もないが資産として保有する目的で農地を持ち続ける
・隣の農地がやる気のない人間によって耕作放棄されたら、どんなに耕作技能のある人がいても、営農意欲をそがれる→耕作放棄地は害虫の巣窟に
・「平成検地」をすべき
・「川下問題」は消費者が、良いものと悪いものの区別がつかない点
・残留農薬でも残留成長ホルモンでも日本の基準は先進国の中で最もあまい部類
・悪いのは、イメージに頼りすぎる消費者
・日本は農業が生み出す付加価値額よりも農業の保護にかかる額の方が多いという事実
・飢餓が起こる理由は、単純にお金がないから（リーマン・ショック直後は世界的に空前の大豊作だったが、飢餓人口は増えた）
・所得が少ないか、あるいは貯蔵と流通に問題があるか
・貯蔵と流通に何が必要かといったら、化石エネルギー
・自分の土地をどう使おうと自分の勝手だなどという「民主主義の勘違い」
2012年10月25日
市民によるまちづくり
今、全国の自治体で流行っているのが、「市民によるまちづくり」 自治体と市民の「協働」と呼ばれることもある。
私の地元でも2006年に7町が合併して三豊市になって以来の「行政サービスの在り方」の改革が行われようとしている。先行して試験的に実施された詫間町に続き、今回残りの町で実施されることに。その中心になる組織は、各町に置かれる「まちづくり推進帯」 その役員を選考する委員会に私も参加することになった。
背景には、人口減と高齢化による�＼納�減と、��行政サービスコスト増がある。一方で、団塊の世代を中心に能力と体力を地域社会に役立てたいと思っている人たちも増えている。うまくやれば、行政サービスのコスト削減と、市民参加による満足度向上が同時に達成できるかもしれない。
今週末には、理解を増すための「まちづくり講演会」が開催される。
私の地元でも2006年に7町が合併して三豊市になって以来の「行政サービスの在り方」の改革が行われようとしている。先行して試験的に実施された詫間町に続き、今回残りの町で実施されることに。その中心になる組織は、各町に置かれる「まちづくり推進帯」 その役員を選考する委員会に私も参加することになった。
背景には、人口減と高齢化による�＼納�減と、��行政サービスコスト増がある。一方で、団塊の世代を中心に能力と体力を地域社会に役立てたいと思っている人たちも増えている。うまくやれば、行政サービスのコスト削減と、市民参加による満足度向上が同時に達成できるかもしれない。
今週末には、理解を増すための「まちづくり講演会」が開催される。
| 1.日時 | 平成24年10月27日（土） 開場 13時00分〜 開演 13時30分〜 |
| 2.場所 | 三豊市高瀬町農村環境改善センター |
2012年10月24日
パリパリ焙煎いりこ
久しぶりの雨の中、朝から観音寺へ。「パリパリ焙煎いりこ」がヒットしているやまくにを訪問。もともと小規模でやっているので、大ヒットに嬉しい悲鳴をあげられていた。
「いりこ」といえば、ひうち灘。主な利用は讃岐うどんのだし。その中でも、漁の際、網によってウロコが傷ついていない、銀色に輝く特別ないりこが「銀付いりこ」 漁獲量のわずか0.5%と言われる。
これを、手作業で頭と内臓を分け、身だけにして焙煎したのが「パリパリ焙煎いりこ」 話しながら、出されたいりこをつまんでいたら止まらなくなって、ついに全部食べてしまった。
ところで、会社や商品の意匠に味があって、「このテイストは・・・」と思ったら、やはり梅原真さんデザインによるもの。高知在住のデザイナーである梅原さんのことは当blogでも何度か紹介しているので、検索してみてください。
2012年10月23日
ママチャリで小豆島最高峰征服
今週唯一の休みとなった日曜日、地元サイクリング仲間のアイルランド人とイギリス人、それに今日初対面のアメリカ人とその日本人彼女という構成で小豆島へ向かう。アイルランド人とイギリス人は既に日本人と結婚。連合国との国際親善部隊?
絶好の秋晴れ
船は快調に草壁港に向け航行。途中、屋島や瀬戸内の島々がよく見える。船が接岸し、下船が始まる。「さて、行くか!」と自転車にまたがり、 ローギヤにして漕ぎ出した途端、ガキッという金属音。なんと、ディレーラーがハンガー部分から折れてぶら下がっている
ディレーラーがスポークに接触し、巻き込まれたようだ。信じられないトラブル。修理不可能なので、草壁港でレンタサイクルすることに。念のため聞いてみたが、やはり、あるのは切符売り場前に並ぶ一日1000円のママチャリだけ。ここで私だけ皆を待とうか、とも考えたが、一人で半日待つのも苦痛。「行けるところまで行ってみよう」とママチャリを借りた。
リーダー格のアイルランド人は陸軍出身で元気。彼のとったルートは草壁港から県道29号線を北東へ、小豆島最高峰の星が城山（標高817m）を越えるルート。出発して5分もしないうちに急坂となり、これが延々と続く。小豆島周回コースでは自転車を多く見るが、このルートで行きかうのはバイクと車ばかり。黄色いVFR1000が上ったり、下ったり。各種コーナーが連続し、腕に覚えのあるライダーには楽しいでしょうね。
写真の右上に見える白い建物が県道246号線との分岐点手前にある太陽の丘。ここから見下ろす草壁港は絶景
にも関わらずレストランは2004年に閉鎖され、廃墟となりつつあった。2009年に「20年ぶりに結婚式が行われた」というが、復活しなかったようである。県道246号線を真っ逆さまに下り、吉田ダムへ。本来、そこでロッククライミングをやろうという計画だったが、そもそも草壁港はフェリーの時間が早く(1615)断念。「陸軍」は計画の立て方が甘いことが最近分かってきた。ママチャリの上、リュックサック一杯にロープや皆の分の専用靴を担いできたのに全くのムダ。
結局、ロードバイクの皆に迷惑をかけることなく、時にはリードして5時間のサイクリングを無事終了。重量20kg近くあろうかというママチャリで、10kgのリュックを背負って、 800mの峠を越えられたことは自信になった。ヒルクライムを楽しいとは思わないが、どうやら比較優位にありそう。
2012年10月22日
天空散華
北川フラム先生によるGSM公開講座「アートと地域活性化」第2週目は、前衛いけばな作家の中川幸夫がテーマ。2002年に実施した、「信濃川流域の大地を生け皿として、１００万枚のチューリップの花びらを散らし、舞い落ちる花びらの中､舞踏家・大野一雄が渾身のダンスを繰り広げる」というパフォーマンス『天空散華』を取材したNHKのドキュメンタリーを皆で鑑賞した後、北川先生が解説。北川先生は、このパフォーマンスのプロデューサーである。
今年3月に亡くなった中川幸夫は、奇しくも丸亀の出身。本当は題を「花狂い」としたかったそうだが、NHKの放送コードに引っかかることが分かり諦めたのだとか。「花狂い」と言えば、丸高の広谷鏡子先輩の作品にありますね。ま、関係ないですが（笑）。
2012年10月21日
丸亀町は補助金漬け？
丸亀町商店街再開発に対する一番多い批判が、「丸亀町は補助金漬けだ」というもの。
古川理事長の説明によれば、総事業費69億円のうち、「地元商店主が賄ったのは2000万円だけ」だという。残りはすべて国交省、経済産業省などによる補助金。
これだけ見ると立派な「補助金漬け」なのだが、古川理事長はこれを、「投資としてみてほしい」という。試算によれば、年間10億円の税収が見込まれ、補助金に対する利回りは6%となる。国の資金調達コスト＝国債利回りと考えれば、1%で調達して6%で回るのだから立派な収益事業となる。
しかし、当然、この税収は「計画通りいって」の話。事業が失敗して、計画通りの収益が上がらなければ、税収も上がらない。従って、本当に成功したかどうかは、これから何十年にもわたり「再生が根付くかどうか」に掛っている。
2012年10月20日
フジシゲ ジャトロファ プランテーション
JICA四国で開催された、「BOPビジネス勉強会」に参加。今回の講演者は、フィリピンでジャトロファ（南洋油桐）を栽培し、BDF（バイオディーゼル油）を生産する藤重社長。
差し出された名刺は、藤重電機。「なんで、電機設備会社が?」と質問したら、「20代で会社を引き継ぎ、携帯電話基地局設置で会社も拡大した。しかし、日本での基地局設置は何れ限界が来る。次の事業の柱を探していて、フィリピンで住む友人がいたことから思いついた。」のだという。
2005年から検討を始め、2008年に現地法人設立。早く事業の柱に、と思っていたが、実際は「様々な困難に直面し、それを乗り越えてやっと今日まで来た」 というのが実際だという。新事業、それも海外で行っているのだから当然だろう。
当時、リーマンショック前で原油価格は史上最高値に向け上昇していた時期。同時期に同じくジャトロファ栽培に乗り出そうとした会社は多数あったが、�‘�本人は（外国人は?）5ha以上土地が買えない、��現地人あるいは現地に住む日本人に騙される、�４浜�費も考えるとBDF事業だけでは採算が合わない、ので多くは事業開始前に諦め、実際に始めた会社も赤字で全て撤退したらしい。 結果、残ったのは藤重社長のところだけとか。
そこには、
１．管理費を下げる仕組み
２．CER排出権によるクレジット収入
３．絞りかすのコンポスト化による有機肥料化
の工夫がある。
香川でまた面白い会社を見つけた。
2012年10月19日
『忘れられた日本人』を読む
『忘れられた日本人』を読む (岩波セミナーブックス)
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網野善彦による『『忘れられた日本人』の解説本。シリーズで行われた講演録である。山口県周防大島の出身で、離島振興に熱心だった宮本常一も、橋がかかって便利になったら逆に島の住民が減るとは思ってなかったらしい。
＊北川フラム氏による「アートと地域活性化」第2回目は明日実施です。
公開講座ですので、一般の方の参加歓迎です。（無料）
16:宮本=強烈な人格
素晴らしい聞き手⇔まくしたてる
「離島振興法」を熱心に推進
「島に橋がかかるなどということは夢みたいなすばらしいことで考えもしなかった。ところが橋がかかったら島の人間はみな島から出ていきよる。」
63:万葉集1759
「人妻に 我も交はらむ 我が妻に人も事問へ」
常陸の筑波山「歌垣（かがい）」
70:市場や祭りのときは、世俗の縁がきて、男女の関係もきわめて自由な場に
79:『ヨーロッパ文化と日本文化』ルイス・フロイス16世紀後半
ヨーロッパでは娘や処女を閉じ込めておくことはきわめて大事なことで、厳格に行われる。日本では娘たちは両親にことわりもしないで、一日でも幾日でも、一人で好きな所へ出掛ける。
ヨーロッパでは妻は夫の許可が無くては、家から外へ出ない。日本の女性は夫に知らせず、好きな所に行く自由を持っている。
明治以降の西欧的価値観だけで物事を見てはいけない2012年10月18日
「歳を取れば丸亀町に住みたいよね」と言われる街
事業体が出来た後は、戦略作り。そこでは、住民を増やすことを重視したという。
古川理事長が子供の頃の商店街の人口は約1000人。再開発にあたって、高松市に確認したところ、現在の人口は600人だと言われた。「そんなにいるはずはない」と一軒一軒、本当に住んでいるか調べたところ、実際は高齢者ばかり75人!であったという。
「住民を増やさないといけない」
商店街の中に作られたマンションは、商店同様定期借地とすることで土地代を抑えた。3LDKで周辺のマンション3600万円に対して、2000万円で提供できたのですぐに完売した。
マンションの下には医療クリニックも誘致。そこで勤める医師は全員、高松出身者で「Uターン」した団塊の世代らしい。香川大学医学部付属病院と提携。高度医療はそちらに紹介する。
「『歳を取れば丸亀町に住みたいよね』と言われる街を実現したい」という。
2012年10月17日
忘れられた日本人
忘れられた日本人 (岩波文庫)
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公開講座「アートと地域活性化」�，如∨明逎侫薀狎萓犬�ら「次回までに読むように」と宿題が出たのが、この本。私が読んだのは、上記本ではなく、宮本氏の著作の中から代表作を集めた『宮本常一』(2008)の方だが。
土佐源氏
高知県檮原村の橋の下に住む80歳になる盲目の乞食
（実際は、水車小屋に住む元馬喰（ばくろう）下元槌造氏）
「若衆仲間に入っておらんと夜這いにもいけん」
290:ここにこうして書きとめねば誰の記憶にもとどまらないほどの、ひっそりと消えていった人生であった。この人にも語れば語って聞かせるほどのライフ・ヒストリーがあったはずである。
461石牟礼道子:今はこの列島の海岸すべてから、氏の書き残されたような渚が消え去った
上記リンクで、現在の檮原を訪ねられた方が、「立派な庁舎に驚く。さらに、広い１階ホールには真ん中に茶堂をまねた囲炉裏がある。番茶を２杯飲みながら、『雲の上の町ゆすはら』という立派なパンフレットを見ても土佐源氏には一切触れられていない。」というのも、さもありなん。
「馬喰」とは、牛馬の売買やあっせんをする人。馬喰町を思い出し、調べたところ、やはり「家康が、ここに厩を設け、馬喰を住まわせた」ことから来ているということ。なるほど、その売り買いの伝統が、今の問屋街とつながっているわけか。
佐野真一『旅する巨人』では、佐野が「土佐源氏」の孫を訪ねるシーンがあるらしい。次は、こちらも読んでみよう。
2012年10月16日
中心市街地活性化を妨げているのは商店街自身
先週の四国経済事情。高松丸亀町商店街振興組合の古川理事長の話は、予想外の言葉で始まった。
「中心市街地活性化を妨げているのは商店街自身だ」
全国から地方都市商店街の再生として注目を浴び、年間に1万人もが視察に訪れるという丸亀町商店街。その理事長の口から、これほど率直な言葉が出るとは思っていなかった。
商店街が衰退したのは、誰のせいでもなく、時代の変化に対応せず、消費者の欲しいものを買いやすい形で提供してこなかった商店街自身の責任であることを認めたことから改革は始まった。
そのためには、商売をやる気のある人たちにやってもらう必要がある。ところが、そこに立ちはだかったのは土地を貸してくれない地権者だったという。従来の借地法では、借りたほうに既得権が生じ、地主の都合では返してくれなかった。なので、商売をしてないにも関わらず、地主は土地を貸したがらない。「それなら買ってくれ」ということになる。
商店街再生案を作るにあたって、全国の再生失敗例を詳細に研究したという。その結果分かったのは、
「役所がやると失敗する」
商店街再生のため、�〔鮟蠅�予算をつけて土地を買収する。しかし、役所には商業施設を企画する能力はないので、��大手デベロッパーに丸投げする。デベロッパーは役所の予算を使って建物を作るのに興味があるだけで、商業施設の運営に興味はないので、�Ｂ膽衫�通業に「土下座外交」してキーテナントとして入ってもらう。元々無理のある出店なので最初の契約が終わると、�ぅ�ーテナントは閉店する。�ツ�の中心部に巨大な空き店舗ができる。��市議会で問題になり、場合によっては市長の首が飛ぶが、後の祭り・・・。
そこで、丸亀町商店街では再開発にあたって二つの工夫をしている。
１．土地の所有と利用の分離
地主と、地主も現物出資する共同出資会社の間で定期借地契約している。60年後には更地にして地主に戻される契約だ。土地を買わないので、初期投資額が通常の1/3で済んでいる。（通常2/3が土地代）
２．役所の出資比率を5%に抑える
失敗事例の分析で、「役所が入ると失敗する」ことが分かったので、市の出資比率を5%に抑えた。事業を始めれば、次から次へと判断を求められる。当初想定していなかったことも発生する。その時に「判断できない」関係者が多ければ、事業が立ち行かなる。
主体性を以って事業を行い、失敗例をきちんと分析して同じ轍を踏まない。その上で「解決策」を編み出したが、それだけでは解決しなかった。構想から着工まで16年掛っているが、権利調整は当初4年間。その後の12年間は法律を盾に民間の工夫を認めようとしない行政との戦いだったという。
2012年10月15日
2012年10月14日
高校同窓会
地元に戻ってきたせいなのか、そういう年代に差し掛かったのか、高校同窓会がこのところ盛ん。先週、45人集まった6月の東京丸高会以来、私にとっては2回目の同期会。同級生18人が参加。
我々同期は来年50歳。先輩らに聞いてもこの頃から同窓会が盛り上がるらしい。私が10年間やってきたビジネススクールの同窓会は「懐かしみ」ではなく、上昇志向の強いMBAの明日に向けた勉強やネットワーキングの性格が強いのでチョット違う。
・子離れ
女性だと子供が社会人になる頃。男性も子供が高校・大学の年齢で、子供と遊ぶことが無くなる。
・先が見えてくる
会社勤めしていれば、役員になれるかどうかがほぼ決定。役員になれなければ、頭打ち。銀行であれば関連会社、取引先への出向。
結果、「懐かしくなる」ということか。
しかし、皆が出てくるのではなく、出席者には傾向、というか、偏りがある。
・専門職や経営者が多い
先日は18人中、6人が医者! 私は文系だったので、話したことのない同級生が多数。他には経営者・自営業者がチラホラ。結局、経済力も含め、今の人生にある程度「自信」があるということ?
一方、実は、地元に残っているのは、教師や公務員に多いのだが、参加したのは私ともう一人だけ。業種別の参加率には明らかに違いがある。私も初めて大学教員になり、（民間からこの歳で転じたハンデもあり）その給与水準の低さにショックを受けたので、気持ちは分かる。同じように大学に子供を出していれば、飲み代などまず残らない。夫婦で教師とか、教師X公務員とか共働きでなければ余裕がない。
「同窓会位、昔に戻って」と思うが、現実は世相を反映する。
2012年10月13日
浄願寺のはげさん
昨日書いた、屋島の「太三郎狸」の弟分が、浄願寺（高松市番町二丁目）の「はげさん」。里は屋島だが、源平合戦のとき物騒だからとすみかを移したらしい。（四国新聞）
なぜ禿げたかというと、「借金で正月を迎えられない老夫婦のために、金のやかんに化けて金持ちに売られたはげさんは、火にかけられ、ごしごしこすられると、がまんできない。たまらず逃げ出したものの、頭には禿ができてしまった。しくしくと泣くはげさんに、お坊さんがお供えの鏡餅を三つあげるとようやく泣きやんだ。」という。（同）
えらい狸である。
2012年10月12日
タヌキ大学
日曜日、東京から来た友人の観光案内で、10年ぶりくらいに屋島へ。長い間、山頂の潰れたホテルや旅館が醜悪な姿をさらしていたが、久しぶりに行ったらだいぶ片付いていた。本来、持主が撤去すべきだが、費用が掛かるのでそのままになっていた。最後は観光振興のため行政が負担したのかどうか？
山頂の屋島寺では、「太三郎狸」が迎えてくれる。四国のタヌキの大将格。日本三名狸に数えられ、変化（へんげ）妙技は日本一の誉れ高い。屋島に「タヌキ大学」を開校し、学長を務めている。（四国新聞） 余技でMBAの取得も勧めたい。
四国は「タヌキ王国」で、これは度の過ぎるいたずらを繰り返すキツネを弘法大師が追放したためらしい。（同）
また、太三郎は愛妻家であったようで、奥さんと並んでデーンと立っている。写真は奥様の方。
2012年10月11日
経験・教養に基づく賢慮
失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
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この本はまだ読んでないのだが、8日の読売新聞にインタビューがあったので、そちらから。本著の元ともいえる『失敗の本質―日本軍の組織論的研究』は本blogでも過去に紹介した。「日本人が陥りがちな組織的欠陥」を明らかにした名著である。
野中氏は、リーダーに必要な知恵を「フロネシス」と呼んでいる。 これは、アリストテレスがその重要性を説いたもので、「賢慮」とか「実践的知恵」と訳されるらしい。
「リーダーには、客観分析や情報処理で得られる決定よりも、主観（価値観）と客観の双方を総合し、その時々の文脈を広く深く洞察したうえで判断する賢慮が求められる」
リーダーの資質：
� 崛韻ぁ很榲�を作る能力
�¬榲�を共有する場を適時に作る能力
�８充造鯆昌襪垢詛塾�
�つ昌襦δ彰兇靴燭發里魍鞠芦修垢詛塾�
�コ鞠阿鮗存修垢訐�治力
�Δ海譴蕕稜塾呂鯊昭圓砲盥�げて『集合知』を作りだす能力
フロネシスを育てるには：
�々蘯舛雰亳魁憤徒枌裏�言語化すれば形式知に）
マニュアルにはない極限体験や失敗体験のほか、手本となる人と体験を共有するような新たな形の徒弟制度。
��教養（形式知）
哲学、歴史、文学、芸術など。教養は「人間とは何か」を本質から問う。これが事象の背後にある関係性・文脈を読む基盤になる。
今の日本をどんなリーダーに委ねたいか
「どれだけ経験の質量があり、教養があり、賢慮が備わっているかで考えるべき。例えば、原発などのクリティカルな問題について、自ら英知を結集せずに『民意を問う』と言ってポピュリズムに走る人や政党は、賢慮に欠けている。」
流石は、「もっとも影響力のあるビジネス思想家トップ２０」 に日本人として唯一選ばれる人だ。（ちなみに、本ランキングで1位に選ばれているGary Hamel先生にはLBSで直接教えていただいた。その後ほどなくして自分のコンサルティング会社を設立され、LBSは非常勤になってしまった。現在の講演料は一回500-1000万円とか。）
2012年10月10日
サヌカイトの聖地
土曜日の午後、北側フラム先生の講義のあと、休む間もなく坂出へ。
目的地は、「サヌカイトの聖地」ともいわれる金山。以下は、今回同行した工学部長谷川教授による解説。
サヌカイトは、黒色緻密であり金槌で叩けば金属音を発し、古くは鐘用に供せられ、『かんかん石』と俗称されている。サヌカイトは香川県の国分寺町の国府台、坂出市の金山、城山などに産する。正規の讃岐岩は、斜長石の班晶に乏しく斜方輝石、特に古銅輝石の小針状結晶に富み、ガラス質石基を有することを特徴としている（斉藤・板東・馬場、1962）
サヌカイトの楽器を作ったのが（故）前田仁先生。その歴史は、1978年、西日本一帯から出土される「幻の石」と言われた古代石器の元が、実はここ金山で産出される「かんかん石」であったという発見に始まる。その後様々なサヌカイト楽器が制作され、現在では、サヌカイト奏者も存在する。
2012年10月09日
教育は輸出産業になり得るか
週末のシンポジウムで学生からの発表の最後が、「教育滞在型旅行プラン」。旅行となってますが、要するに、留学生の受け入れですね。
統計を見ると、香川県の留学生数はたったの270名。人口千人当たりでみても0.27人で全国下位です。2010年のトップは大分県
2000年に設立された立命館アジア太平洋大学の影響が大きい。MBA学生らしく、SWOT分析から入ったんですが、「香川大学の強み」が「国立大学で学費が安い」しか書かれてなくて、これにはOBであるパネリストの一人が抗議
でも、「では、他にXXもXXXもある」とは具体的発言はありませんでした。
GSMなら、直ぐに5つあげられるんですが。
１．中四国で唯一のMBA
２．政策大学院との政策を併せ持ち、「民間と行政が一緒になって地域の問題を解決する」
３．授業は夜間と土曜日にあり、働きながらMBAが取れる
４．一学年30人の少人数制クラスに対し、専任教員が15人できめ細かな指導
５．国立大学で学費が安い
最初から、値段の安さを強調するのは商売としては最低のやり方なので、この順番です。理由のある安さならいいんですが、単に国立大学として助成金を前提とした安さですから自慢できない。
今も、GSMには中国人留学生が各学年に1割程度います。では、これを質を落とさずに、もっと拡大するにはどうしたらいいか?
受け入れ態勢の問題もあるでしょうが、留学生にとって、就職先があるかどうかが最大の関心事のようです。現在、香川県内で中国人留学生を正社員として定期的に採用しているのは約50社で、年間約50人です。県内留学生270人のうち、200名が中国人として県内で就職できるのは1/4ということになります。他にも1/4が県外の日本企業に就職できているとすれば（仮定）、二人に一人が日本で就職できる、というのは悪くない。
LBSはMBA一学年400人のうち、イギリスで就職するのがやはり半数程度。初任給平均が1000万円を超えていますから、その所得総額は1学年で20億円。イギリスの所得税は高く、1000万円超では半分として10億円もの税収に繋がっています。
学費は£57,500（2年間）で約720万円。ポンドが一時の半分（125円）になったので、安く済みます。それでも、生活費と合わせ最低年間500万円は使うでしょうから、500万円ｘ350人（留学生）＝17.5億円。2学年で35億円。他のコースも合わせて年間50億円の外貨をもたらす立派な輸出産業であることが分かります。実際、1992年にQueen's Award for Exportを受賞しています。
つまり、質の高い留学生を受け入れることは、輸出産業であると同時に、後の税収増にも繋がります。これは実は、香川県産業活性化アドバイザーに就任した際にも、知事の前で申し上げたことです。（但し、反応なし!）
2012年10月08日
結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方
言葉力が人を動かす―結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方
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当代を代表する名経営者の一人ですよね。
見る、語る、実行する
�仝�る
・常識を疑い、事実を正しく見て、隠れている本質を見抜く
・弱みよりも、自分たちの「強み」に目を向ける
・自分の目で見て、自分で分析する
��語る
・着眼大局、着手小局
・改革の際は、何を犠牲にするかを決め、それを皆に宣言する
・あれこれ新しいことを話さず、同じことを繰り返して言う
・人を説得するには、いくつもの事実を並べ立てるのではなく、本質を端的に表している事実を一つだけ示す
�９堝�
・本当に実現可能か自問自答した上で言う
・行うと言ったことには期限を設け、それまでに成果を出す
・結果を目に見える形で示す。それには、小刻みに手を打つより、大きく１回で手を打った方が効果的。
コマツでは、希望退職を募って危機感を醸成するとともに、「ダントツ」商品を作る目標を与えた。（前へ進むためのモチベーション）2012年10月07日
アートと地域活性化
「アートと地域活性化」と題した連続5回のGSM公開講座が昨日から開始。講師は、瀬戸内芸術祭 総合ディレクターの北川フラム先生。
北川先生の話を聞くのはは初めて。ただの芸術家ではなく、歴史や文化を背景としたその博覧強記ぶりに驚きました。
公開講座ということで、MBA学生だけでなく、一般からの参加者も半数位。まだ少し余裕はあるようで、2回目からの参加も可能なようです。
2012年10月06日
震災復興 欺瞞の構図
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恐るべき日本の公共事業の実態
どうりで、「復興バブル」と言われるわけだ。確かに、「個別補償」なら各自が自分の判断で使うから効率的。間に第三者が入れば入るほど非効率になっていく。・毀損額は内閣府発表16.9兆円の1/3
日本人一人当たりの物的資産966万円
被災者50万人
＝5兆円
・阪神淡路大震災の復興予算も巨大だった
被災者一人当たりの復興費4000万円
補助金が出るからと、神戸市が神戸空港建設を震災復興に滑り込ませた
今回も、「三陸縦貫自動車道」整備など新規計画が入っている
今回も、「三陸縦貫自動車道」整備など新規計画が入っている
・日本の公共工事は工期が長い
工事が続いている間は人々は政治家に感謝するから
今回の復興策も、政治家が票田を維持するための利益誘導になっている
・被災者個人への公的援助の方が迅速で安上がり
2000年の鳥取県西部地震では住宅再建に300万円の支援金
→仮設住宅は20戸だけ
[m:67]中国の新幹線 2005年 700km 2011年 8358km
日本の新幹線 1964年 515km 2011年 2388km
中国の新幹線はパクリで、用地買収も共産党一党支配だから迅速、という理由があるにしても、「日本の公共工事は工期が長すぎる」ということは言えそう。民間でこんなに時間かける建築は無いはず。
2012年10月05日
景観10年、風景100年、風土1000年
先週の多田先生の講義で、長年の疑問の一つが解けた。
それは、瀬戸内海は昭和9年に指定された最初の国立公園なのに、何故こんなにも醜悪な風景が広がるのか、ということ。経済のために工業地帯も必要だし、港として倉庫もいるだろう。しかし、その場所を表玄関は避けるとか、建物に風景に馴染む工夫があってしかるべきだと思うのだが、それが一切ない。
例えば、写真は高松港の風景なのだけど、高松港の眼前に広がるのは 埋立地上のこの景色。屋島の魅力も半減だ。
どうして国立公園内でこんなことが可能なのか?それが長年の疑問だった。
で、答え。
「埋立地は、国立公園法から除外される」
エー!!!
それで、風光明媚な瀬戸内海に埋立地が広がり、世界随一と言っていい多島美を台無しにしてるんですね。
2012年10月04日
香川に来China!!
香川大学GSM（政策大学院の側面もあるので、こちらの方が適切だろう）では、MBA1年生主催のシンポジウムが毎年開催される。「地域経済活性化」を
LCCの春秋航空が昨年3月に高松空港に就航。現在、週3便が上海から往復している。ところが、大半の旅行者はツアー客であり、同じく春秋空港が乗り入れている茨城空港から入り、東京→箱根→富士山→名古屋→京都→大阪の「ゴールデンルート」を通り、香川は素通り! 四国・香川の魅力を訴え、地元で滞在してもらおう、という提案である。
・観光滞在型
・映画滞在型
・教育滞在型
の3プランが学生から提案された。
専門家であるパネリストからの評価はバッサリ・・・。
・ 高すぎて売れない
観光滞在型はコストを14万円と計算したが、代理店の手数料・広告宣伝費を考慮すると販売価格はこの倍になる。（この構造には問題ありそう）中国人が28万円払って知名度の低い四国に来るか?この値段では国内販売でも難しい。
・総花的
高くても売れるのは、「目玉」のある特徴のハッキリした商品。あれもこれもでは売れない。
・そもそも中国人観光客に来てもらうのがいいのか
マナーの悪い旅行者が多く、県内のホテルは（日本人客が減るのを恐れて）中国人ツアー客を受け入れてないのが現状。なんと、高松での受け入れホテルは一つだけ!
パネリストからの率直な意見で、学生の教育効果が高まったのが今回の最大の収穫。世の中甘くないのだ!
一方、映画滞在型で流された小豆島プロモーションビデオは良くできていて、私自身楽しんだ。社会人を中心としたMBA学生が、通常の授業もこなしながらよく頑張ってくれた。
2012年10月03日
GRAN TORINO
硬い話題が続いたので、久しぶりに映画。秋は学校の行事が多く、週末も休む暇がなかった。9月は合宿にシンポジウム。来週は秋の入学試験。何れも公式行事なので「代休」が与えられるのだが、家にいるだけで、結局は仕事をしないと間に合わない。
そんな「代休」の一日の終わり、BSでやっていたのが映画『グラン・トリノ』 感動。
現代米国中流家庭の世代間の対立。移民ギャングの問題。それらが余すところなく描かれ、最後はイーストウッド流の美学。
タイトルは、主人公（イーストウッド）の愛車から。それがGran Torino 1972で、主人公はFord工場でこれを組み立てていたという設定。Gran Torinoは1970年代、Atlanta(GA), Lorain (OH), Chicago (IL), Oakville(Ontario,)の各工場で組み立てられていた。映画の舞台が米中西部ということから、LorainかChicago。町の寂れぶりからLorainということになる。
LorainのFord工場は2005年に閉鎖。人口は減り、スラム化して不動産価格が下落したところに移り住んだのがモン族。ベトナム戦争時に米軍に協力したためアメリカ撤退後居場所が無くなり、難民として米国に渡った。映画の中で、モン族の女性がいう。
「女性の方が適応力がある。女は大学に進学し、男は刑務所行きになる。」
2012年10月02日
日々使う木造重要文化財
後期の「四国経済事情」、トリの講師は建築士の多田善昭先生。地元で多田善昭建築設計事務所を営まれている。
善通寺偕行社については2009年に訪問し、本blogでも紹介した。「偕行社」とは明治１０年（１８７７年）に創立された陸軍将校の親睦及び学術研究を目的とする団体。明治２９年（１８９６年）善通寺町に開設された第十一師団は、日清戦争後の陸軍拡張期に増設された６師団のうちの一つで、「旧善通寺偕行社」は、第十一師団の将校たちによって明治３６年（１９０３年）５月１０日に竣工している。
その、保存、再活用を図り、隣にバントリーとカフェを併設、「日々使う木造重要文化財」にしたのが多田先生だった。
当初は、著名「照明デザイナー」の意見で外部照明がつけられていたそうだ。夜間に利用されない建物ならいいが、夜間の利用も前提にしているこの建物には邪魔だということで、自然と利用されなくなったということ。パーティ後に外に出た時、犯罪者のように照らし出されるのはばかげている。
2012年10月01日
起業家は、人に「居場所と出番」を与える
先日、「いろどりは阿波女に居場所と出番を与えた」と書いたが、今のいろどりには「居場所と出番」を求めて、全国から若者が集まる。
昨年は236人がインターンシップ（参加費無料）を経験。そのうち「27人が定住することになった」というから驚く。数だけでなく、大半が若者なのが特徴だ。大半の自治体は、Uターンと言っても、年金生活者が戻ってくるだけで生産年齢人口増には寄与していない。
面白いのは、彼らの志向性で、その全員が「社会に役立ちたい」と言ってくるのだという。一方、いろどりを見習って「将来事業をやりたい」というのはたったの１％。
「本当は、社会性を持ったうえで、起業家がいないと社会は変えられないのに」
とうのが、横石社長の懸念でした。そんなわけで、今年から、「起業家育成インターンシップ」も新たにスタートしています。
「起業家は、人に『居場所と出番』を与える人」とも言えますね。
