2012年02月
2012年02月29日
就職よりも議員?
藤川氏超え？ 新人市議は２６歳「タレント」
若者が政治に関心を持つのはいいことだが、埼玉県新座市の新人市議のインタビューを読んでいると「これで大丈夫か」と心配になってくる。
「都内の乳児院に預けられていましたが、いつ預けられたのかも分からないんです。そのまま１８歳まで児童養護施設で育ちました。」という彼女、施設での規則正しい生活が窮屈だったという。一転、施設の規則も緩くなった高校時代は遊んでばかりだったが、短大に入学。バイトでためた金でアメリカに留学し、そこで養子が多いのを見て、「私も養子にもらわれたかった！」と感じる。
そこで、「私の育った養護施設の現状や、私を拾ってくれなかった養子制度を変えたいんです」と、所属するタレント事務所の社長に勧められ、立候補し当選。
懸念する点は、
・実の両親を知らず施設で育ったことは不幸だが、それでも飢えることなく、学校に通え、「遊んでばかり」でも短大にも行ける。称賛されるべき日本の福祉制度なのだけど、本人は「窮屈だった」と、何の感謝もしてないようだ。そんな人が税金を使う側に回って大丈夫か?
・「子供たちは施設ではなく、家庭で育てられる権利があるんだと、条例に書き込むことで里親制度をもっと普及させたい」というが、里親のなり手が少ない現状がある。自分の子供でさえ欲しくない、という日本の現状で、どうやって里親を増やすのか? まさか、「条例になれば解決」と思っているわけではないだろうね？
・そもそも、養子にも出されず、施設にも行かず、両親のもとで育てられればいいのだが、そうならなかった現実がある。それは、どう考えているのか?
・さらには、両親や里親から虐待を受ける例も後を絶たない。それで施設は都市部を中心に満杯状態が続いている。
要するに、問題点が多面的に、そして深く考えられていない。皮相的で感情的な印象を受ける。インタビューから判断しただけなので、本当はしっかりした政策があることを望むが。
新座市の一般会計は445億円、6特別会計と1事業会計を合わせた総額は790億円にも上る。完全に大企業並みだ。それでいて、16万人都市で2000票取れれば当選! 就職活動も最近は大変なので、就職するよりも議員を目指そう、という人が出てくるのも当然だ。若ければ、それだけで目立って有利なので。
18歳からの選挙権には、「世代間のバランスをとる」という意味で賛成だが、立候補権は、寿命がはるかに延びた現在、経験を積んだ30歳以上にした方のではないか。世界中見渡しても、社会に出たばかりの20代が大企業の取締役になる例はない。そんなこと経験のない人間には無理に決まっているからだ。
2012年02月28日
ファッションデザイナー「三代目」
仕事で相談があり、友人の会計士に週末連絡したところ、「明日はロータリーの日なので、そこに来てもらえれば会える」ということで、六本木ヒルズに出かけました。私はロータリアンではないのですが、これまでにも何度かビジターで参加したことがあります。
今回お隣になったのは、小篠ゆまさん。ん?このお名前と、このお顔は・・・と思ったところ、やはり、コシノ三姉妹の長女ヒロコさんの次女になる方。いわば、ファッションデザイナー「三代目」。とても素敵な方でした。
おりしも、朝ドラ「カーネーション」は高視聴率を維持。今年のだんじりは観光客ですごいことになりそうです。
2012年02月27日
I am happy
昨晩、ドキュメンタリー映画「私は幸せ ( I am happy ) 」を見に渋谷へ。先週、受験が終わり、羽を伸ばしている長女も連れて行く。
【ストーリー】
リオデジャネイロのスラムで、グラフティライターは、犯罪ではなく芸術で生計を立て、サンバのダンサーは、より良い生活をしようと何時間もリハーサルをし、メイドは、市の南側の裕福な家庭で、一週間を通してせっせと働く。そして憲兵は最小限の予算でスラムの犯罪と戦う。
社会的、経済的問題に直面しなければならないにも関わらず、これらの人々はそれぞれ、自分自身の幸せを創り出そうと必死に頑張る。それは彼らの精神的な幸福と密接に絡み合った、生き残るための手段なのです。
（71分 / ポルトガル語(日本語、英語字幕) / 2010年）
監督の梅若ソラヤさん一家と、LBS同窓生の岡田さんが家族ぐるみのお付き合いであることがきっかけでお誘いいただきました。ソラヤさんのお父さんは600年の伝統を受け継いだ能楽の家元。お母さんはパレスチナ人、というのも話題です。繊細な外見の中に強い意志を秘めた印象の方でした。
【ストーリー】
リオデジャネイロのスラムで、グラフティライターは、犯罪ではなく芸術で生計を立て、サンバのダンサーは、より良い生活をしようと何時間もリハーサルをし、メイドは、市の南側の裕福な家庭で、一週間を通してせっせと働く。そして憲兵は最小限の予算でスラムの犯罪と戦う。
社会的、経済的問題に直面しなければならないにも関わらず、これらの人々はそれぞれ、自分自身の幸せを創り出そうと必死に頑張る。それは彼らの精神的な幸福と密接に絡み合った、生き残るための手段なのです。
（71分 / ポルトガル語(日本語、英語字幕) / 2010年）
監督の梅若ソラヤさん一家と、LBS同窓生の岡田さんが家族ぐるみのお付き合いであることがきっかけでお誘いいただきました。ソラヤさんのお父さんは600年の伝統を受け継いだ能楽の家元。お母さんはパレスチナ人、というのも話題です。繊細な外見の中に強い意志を秘めた印象の方でした。
2012年02月26日
帝国からヨーロッパへ
帝国からヨーロッパへ―戦後イギリス産業の没落と再生
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イギリスの産業史と金融の関係を調べている。著者は元FTの編集長で、その後LSEで講師を務めた人物。
19世紀中頃までのイギリス産業革命の第一局面では、起業家は製造事業の経営に必要な資金を集めるのにさしたる困難はなかった。
・綿紡績→多額の資金不要
・外部資金は1750年以降に多数設立された地方銀行から借入
19世紀後半、製造企業の規模が拡大
1920 England&Wales 2/3が5大銀行に集約（短期資金に限定）
Lloyds, Barkleys, Midland, National Provincial, Westminister
有限責任制と議会での特別法なしに会社の設立を認める
1856 株式会社法
1862 会社法
多くの製造業がパートナーシップから株式会社に転換（私企業）
上場のほとんどを取り扱ったのは地方の証券取引所（1885 12の取引所）
LSE：製造業との関係はほとんどなし
1853 LSE証券取引の7割がイギリス政府債・2割国内の鉄道株・1割外国証券
1913 外国証券の割合6割に
両大戦間 海外での事業不足→マーチャントバンクが国内での起債を求めて競争→LSEでの産業会社上場数増
国内産業・流通企業上場数
1907 569社
1939 1712社
イギリスの産業発展が阻害されたのは資金不足のせいではない 336:化学産業 教育システム（教養に重点）
電気機械産業 大規模な電力供給事業への投資を阻害する規制
2012年02月25日
ロンバート街
ロンバード街―ロンドンの金融市場 (岩波文庫)
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1873年に書かれ、戦前に翻訳されたロンドン金融市場の本を読んでみる。
15:預金残高（各行の公表分のみ）
ロンドン £120M 1872/12
パリ £13M 1873/2
NY £40M 1873/2
ドイツ £8M 1873/1
102:英蘭銀行は政府から3種の極めて重要な特権
�＼�府残金を独占的に預かり
�◆丙廼瓩泙如僕�限責任を独占 vs コモン・ロー
��イギリスにおいて銀行券発行を許可された唯一の株式会社
世界最初の株式会社（1600東インド会社）をつくったイギリスだったが、その後、1825南海泡沫事件などの影響で株式会社設立に厳しい規制がなされ、企業の大半は無限責任社員からなる家族企業・合名企業であった、というのが面白い。この伝統は1986年のビッグバンまで続く。その結果、「ウインブルドン現象」が出現、イギリス資本の金融会社は激減する。2012年02月24日
宝はすぐ足元にある
今週のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、四国を代表するデザイナー梅原真氏が登場。高知在住で、高知を中心に、数多くのヒット商品を生み出してきた。最近は高知以外からもお声掛りが多くなり、全国区になってきたが、取り上げる商品に共通するのは全て、「地方の一次産品」であること。
・宝はすぐ足元にある
・熱を持った人の、伴走者になる
・日本の「風景」を残したい
・デザインでコミュニケーションを生み出す
・マイナスを、プラスに変える
また、高知で飲みたい方です。
2012年02月23日
橋下市長：小中学生に留年検討
大阪市の橋下徹市長が、小中学生であっても目標の学力レベルに達しない場合は留年させるべきだとして、義務教育課程での留年を検討するよう市教委に指示しるらしいです。
いいですね。小中学校が「病気などで出席日数がゼロでも進級させる」ため留年が余りに特殊視されてしまい、今では、高校でも留年なんて聞いたことがありません。結果、小学校レベルの文章もかけない「高卒」が蔓延してます。この流れは大学にまで広がっており、なにしろ、今や大学進学率が50%を超える中で、中卒レベルの「高校生」が大学に進学していくのですから、当たり前です。（普通にやったら、大半は卒業できないでしょう）
さっそく、市教委が、「昔は長期の病気欠席などでごくまれにあったと聞いているが、子供への精神的影響も大きい」と、得意の「子供のため」を持ち出して牽制しているようですが、「やることをやらなかったら、結果は自分で受け入れなければいけない」という社会常識を早く教えてあげることが、本当の「子供のため」でしょう。
2012年02月22日
金融と帝国
金融と帝国―イギリス帝国経済史
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生川栄治『イギリス金融資本の成立』1956からの引用があって、「シティの金融資本による国際的な剰余価値源泉の掌握」が面白い。
�‘逎◆淵�ーストラリア）型
近とダイヤモンドの鉱山生産過程（原始的剰余価値）
1899-1902 南ア戦争
�▲ぅ鵐彪�
商品流通過程への吸着
鉄道建設→為替銀行
��アメリカ（カナダ）型
レントナー系統：生産と流通過程から排除されて完全な利子生み資本
アメリカ鉄道会社への投資
1908-12英海外投資
１．カナダ 22%
２．アメリカ 14%
何百年も植民地経営をやっていたところと比べると、日本企業の海外進出が上手くいかないのは当たり前。しかし、日本企業は先行者の豊富な事例から学ぶことができるので、しっかり勉強して、リスクコントロールしながら諦めず進めれば成功できる。2012年02月21日
日英経済史
日英経済史
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ロンドンAIM市場のことを研究している流れで、シティの歴史のことを調べだした。AIM市場が成功したのは、単にNomadや形式的上場基準が無いといった制度的なことだけでなく、そういった制度が機能するためのEcoSystem（生態系）があってのことだと思うからだ。シリコンバレーが成功しているからと、この20年世界各地で真似ようとしても一個も成功しなかったのと同じだ。
このテーマで論文も入れて、10冊ほど読み進めているが、最初に選んだのがコレ。
・新興支配層としての銀行家と、伝統的支配層である地主貴族階級とを社会的に結び付ける機能を果たしたものの一つが学歴
・19世紀後半に活躍した銀行家のうち、約半数近くがパブリックスクールないしはオックスブリッジ出身（Yカシス）
・産業経営者はそうでなかった（1875-1895鉄鋼業経営者 PS16% Oxbridge9% Cエリクソン）
・定説：19世紀中頃に頂点を極めたイギリス経済はその後持続的に衰退した
・修正主義：近現代イギリス経済の牽引部門は一貫して金融業であり、工業の衰退はイギリスにとって大した問題ではない（WDルービンスティン『衰退しない大帝国』1997）
・イギリスでは、18世紀後半以降の産業革命に先立って、すでに18世紀前半からシティにおける金融業の活発な展開があった
・英北部を主要舞台とする工業化とシティを中心とする金融業の発展は、互いに相対的に自立したまま並行的に進展
特に最後の点が面白くて、他の多くの国では第一次産業→第二次産業→第三次産業と産業の中心が推移していくのに対して、イギリスでは産業革命より先に金融業が発展している。また、シティの金融業者の大半は無限責任社員からなる家族企業・合名企業であり、小規模ながら、19世紀末にはロンドン証券取引所の取引の7割が海外証券となるなど、「世界の（投資）銀行」となっていた。
2012年02月20日
「対馬は韓国領だが、講和条約の下で韓国に引き渡されることになっているのか」
シレッと、本気で狙っていたんですね。
当時はアメリカのおかげで助かったけど、今の状況じゃ、対馬も危ないな。
サンフランシスコ講和条約を２カ月後にひかえた２６年の７月９日、韓国の梁裕燦駐米大使が米国務省にダレス顧問を訪ね、こう聞いた。
「対馬は韓国領だが、講和条約の下で韓国に引き渡されることになっているのか」
ダレスは答える。「対馬は極めて長い期間、日本の完全な統治下にあり、講和条約でも、現状に変わりははない」（会談メモ）
梁大使は７月１９日にもダレスを訪問、対馬の領有権主張は取り下げる代わりに「竹島」を持ち出す。「独島（竹島）と波浪島は日韓併合以前に韓国領だった」。ダレスは明確な返事を避けたが、国務省はその後８月１０日付でこれを否定する覚書を韓国側に送った。
当時はアメリカのおかげで助かったけど、今の状況じゃ、対馬も危ないな。
サンフランシスコ講和条約を２カ月後にひかえた２６年の７月９日、韓国の梁裕燦駐米大使が米国務省にダレス顧問を訪ね、こう聞いた。
「対馬は韓国領だが、講和条約の下で韓国に引き渡されることになっているのか」
ダレスは答える。「対馬は極めて長い期間、日本の完全な統治下にあり、講和条約でも、現状に変わりははない」（会談メモ）
梁大使は７月１９日にもダレスを訪問、対馬の領有権主張は取り下げる代わりに「竹島」を持ち出す。「独島（竹島）と波浪島は日韓併合以前に韓国領だった」。ダレスは明確な返事を避けたが、国務省はその後８月１０日付でこれを否定する覚書を韓国側に送った。
「我々の情報では、竹島は１９０５年ごろからこの方、韓国の一部として取り扱われたことはなく…それ以前にも韓国が領有を主張したことはないようだ」というものだ。
2012年02月19日
高輪消防署二本榎出張所
懸案の仕事が一段落し、一月ぶりで働かない週末。犬を連れて芝公園まで遠征することにした。片道5km、往復で3時間。途中あちこちで止まって見学したり、FBに投稿しながら行ったら3.5時間掛った。
今回の掘り出し物は、高輪消防署二本榎出張所。昭和8年12月に落成した当時は高輪消防署そのもの（本署）。組織が拡大して、本署は別の場所に移り、現在出張所。新築当時は周囲に高い建物が無く、東京湾を眼下に眺望できたことから、「海原を行く軍艦」と評されたらしい。
建物の上に、灯台のような望楼がある。３階には円形講堂（写真）があり、力強さと優美さが調和したデザイン。これは第一次大戦後の「ドイツ表現主義」スタイルなんだそうだ。
昭和８年なので、勿論、当初から電気照明だったが、停電用の照明としてアールヌーボー風のガス燈も備え付けられている。（写真手前）
日中見学可能。現在でも現役で使われており、署員が（張り切って）案内してくれる。「いざ」という時に備え、待機時間の長い、それでいて危険の多い仕事。建物見学に行って、感謝を伝えたい。
2012年02月18日
トルコ料理レストラン サライ
昨年行ったトルコ料理が気に入り、別の店を試してみる。サライ赤坂店。「サライ」とは宮殿というトルコ語。オジサン雑誌のサライもコレ。
ケバブもいいんだけど、前菜のほうれん草とヨーグルトのディップ、ひよこ豆のペースト、なすのペーストが美味しかった。「お肉料理がメイン、と思われがちなトルコ料理ですが、実は豆や野菜など、全体的には高タンパクで低カロリー、とってもヘルシーなんですよ」ということだ。
実は、「世界三大料理」の一角（後は、フランス料理と中華・・・今なら日本料理を入れてもらってもいいと思うが）。確かに、欧州に行くと、中華料理の次くらいに多いですよね。
勿論、ベリーダンスも堪能。
どうも、イスラム教のイメージと相いれないなー。2012年02月17日
フェイスブック市役所
なるほど。これはアリですよね。自前のシステム造るより、SNSに乗っかってしまえば開発費は不要。行政でも「自前」にこだわる必要は無いですね。尤も、FBのニュースフィードは検索出来ないので、FBだけで済ますわけにもいかないようですが。
2012年02月16日
国家債務危機
国家債務危機――ソブリン・クライシスに、いかに対処すべきか？
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先日の、『国家は破綻する』の投稿に対して、「これもお勧め」と推奨があったので読んでみました。欧州復興開発銀行の初代総裁にして、「ヨーロッパを代表する知性」ともいわれるジャック・アタリ氏による書。
債務危機の歴史から学ぶ12の教訓
�仝�的債務とは、親が子供に相続放棄できない借金を負わせること
��公的債務とは、経済成長に役立つことも、鈍化させることもある
��市場は主権者が公的債務のために発展させた金融手段を用いて、主権者に襲い掛かる
�っ�蓄投資バランスと財政収支・貿易サービス収支は、密接に結びついている
�ゼ膰⊆圓�、税収の伸び率よりも支出を増加させる傾向を是正しない限り、主権者の債務の増加は不可避となる
��国内貯蓄によってまかなわれている公的債務であれば、耐え得る
�Ш銚⊆圓�債務者を支援しないと、債務者は債権者を支援しない
�┯�的債務危機が切迫すると、政府は救いがたい楽観主義者となり、切り抜けることは可能だと考える
��主権債務危機が勃発するのは、杓子定規な債務比率を超えた時よりも、市場の信頼が失われるときである
��主権債務の解消には、8つもの戦略があるが、常に採用されるのはインフレである
��過剰債務に陥った国のほとんどは、最終的にデフォルトする
��責任感ある主権者であれば、経常費を借入れによってまかなってはならない。また投資は、自らの返済能力の範囲に制限しなければならない。
どれも、当たり前といえば、当たり前なのだが、欧州経済を長期にわたって研究してきた人だけに説得力がある。
現在考えられる、「最悪のシナリオ」とは、
１．国家の過剰債務がさらに増大
２．ユーロ破綻と世界的不況
３．ドル破綻と世界的インフレ
４．世界的不況から、アジアの失速
だということだ。
『国家は破綻する』にもあったように、ほとんどの主権国は、これまでに、少なくとも一回はデフォルトしており、
デフォルト後、不動産6年で▲35% 株式3.5年で▲35% 失業率4年で＋7% というのが平均値。ツケを払わされるのは、将来の国民だ。
日本はこれまで、�Δ砲△討呂泙辰燭錣韻世�、それは高い貯蓄率に支えられてのこと。現在進行中の団塊の世代の大量退職で貯蓄率がマイナスになるのは明らかで、貿易収支も昨年31年ぶりに赤字。どうやら、「その時」は近い。
2012年02月15日
日本から男の子を育てる場所が消えていく ボーイスカウトの凋落が日本をダメにした！
登山家・野口健さんによる、『日本から男の子を育てる場所が消えていく ボーイスカウトの凋落が日本をダメにした！』の書評が産経新聞にあった。
私がこの国が「ヤバい」と感じるのは学校などの教育現場に訪れたとき。生徒と教師は「ため語」で会話し互いをあだ名で呼び合っていたりする。既に敬語は死語。ある高校での出来事。講演中に私語をやめない子供たち。教師は気が付かないふり。私が注意するものの私語を止めない生徒におしぼりを投げつけた。講演後、校長先生から「あのようなことをされたら困ります」と一言。大学では私語を続ける学生に一喝したら「学生にも聞かない権利があります」。
講演に呼んでおいて、静かに聞かないとは失礼千万。講師におしぼりを投げつけられる前に、昔なら、教師に殴られていただろう。注意されなかった子供は、大人になっても同じことをする。年を取るほど習慣を直すのは難しくなる。
2012年02月14日
引きこもりの★
共喰い
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先日、芥川賞を受賞した田中慎弥さん、おそらく人見知りから（なにしろ、引きこもり歴20年）酒を飲んでの記者会見ということになったと思うんですが、そのおかげで話題沸騰。受賞作「共喰（ともぐ）い」（集英社）の発行部数は、純文学としては異例の２０万部に達したとか。
続報も多数です。
母と店員以外の女で初めて話したのは編集者
目的をもって20年間もそれに打ち込んでいたわけですから、いわゆる「引きこもり」とは違いますね。
2012年02月13日
この国を出よ
この国を出よ
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昨日から、長女の2回目の早稲田受験。今年はどうなることか。それにちなんだわけでもないが、早稲田の先輩二人による本書を読んでみる。
プロローグは、柳井社長の叫びが聞こえてきそうな、「もう黙っていられない」 柳井社長は、自称「筋金入りのノンポリ」 だそうで、60年代の終わり、学生運動の盛んな早稲田でも、中身のないアジに全く興味を示さず、また、郷里山口に帰ってからも、25歳で父親の会社の実印と銀行通帳を渡されて以来、商売一筋で政治には一切関わらずに来たという。その彼が、今の日本の現状に「もう黙っていられない」という。
・国民全体が、今の日本は後のない崖っぷちに居る現実を知るべき
・国に頼らず自分の力で立て
一方の大前研一氏は、15年前にマッキンゼー日本代表を退任以来、大胆な政策提案を一貫して行ってきた。至極残念なのは、 それが何一つ実施されないまま、状況は悪化の一途をたどったということである。
20:3年以内にJGBデフォルト
21:経済対策に20年間で300兆円
30:「ミッドウェー後」とそっくり
冷静に考えれば負けるとわかっているのに、それを認めようとせず、神風に期待
所得税、法人税「全廃」で世界から人材を集める＋消費税(→VATに改革)10%(50兆円)＋資産課税1%（25兆円）なんて、最高だと思うんですが。資産課税で資産の海外逃避が進まないか、という点だけ心配ですけど。海外にあっても課税するようにするのは当然として、どうやって補足するか。
一院制にするのもブラボーだと思うんですけど。国会議員一人に年間経費が7000万円!（うち議員報酬は3000万円）も掛っていて、参院維持だけで年間170億円使っている。それでいて、やっていることは衆院と同じで、「参院があって良かった」と思えたことは記憶にある限りない。衆院のチェックとしての機能は毎年170億円もかけなくても、電子投票による国民投票でやればいい、という納得の提案。
さっさとやろうよ。
官僚リストラ
2012年02月12日
民主党の伝統？
Once Upon a Secret: My Affair with President John F. Kennedy and Its Aftermath
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JFKはその悲劇的な最期もあってか、今でも世界中で最も人気の高い米国歴代大統領の一人。一方、浮気性で、マリリン・モンローが愛人であったことなど有名。
今週、米国で、もう一人の元愛人が告白本を出版し、大きな話題になっている。 読んでないけど、記事からすると、生々しいな。これは、やはり民主党の人気大統領であったクリントン元大統領の、事件報告書に相当するかも。
ワシントンの空港に迎えのリムジンを手配したりと、当然、側近のスタッフは気づいていたはず。問題にならなかったのは、「政治家は仕事ができてナンボ。白くても黒くてもネズミが取れる猫ならいい。」という現実主義的な考えからなのか、それとも、「大統領が失脚したら自分の仕事もなくなる」という保身的な考えからなのか。（ホワイトハウスでは大統領が変わると、側近も大統領が連れてくるスタッフに総入れ替えになる)
さらに遡れば、第二次大戦の勝利を目前にして急死したFDRも、その時愛人と一緒だったので、スタッフが慌ててホワイトハウスに遺体を戻したとか。 FDRも民主党で、どうやら、これは米国民主党大統領の伝統なのかもしれません。
2012年02月11日
都立園芸高校
都立園芸高校なる園芸専門の高校（現在では、動物科、食品科も）があるのを知ったのは、今週のブラタモリで。100年の歴史を誇る名門校も、今では偏差値38・・・は悲しい。実際は好きな道を進みたい意欲ある学生ばかりだといいがのだけど。
構内には、三代将軍家光の愛した国宝級の盆栽があったりと驚きでした。再放送があるそうなので、見逃した方は必見！
NHK総合 2月16日（木）【15日深夜】 午前1時10分 〜 2時00分
街の街路樹はいつから植えられるようになったのか？路地の鉢植えの
ルーツは？
今回はブラ歩きをしながら、街の身近な「緑」の秘密に注目です！
日本は四季折々の多彩な植物が楽しめる緑豊かな国。昔から植物を愛で、
絵に描き、詩をよみ、品種改良によって新しい花や樹木を生み出して
きたのです。
江戸時代から庶民は植物に熱狂。庭などない狭い長屋住まいから鉢植えの植物が大流行します。江戸時代の植物バブルや、膨大に出版された園芸書の魅力も追跡。
さらに、江戸の庶民をとりこにした植物庭園で今も続く東京墨田区の「向島百花園」を徹底探索。戦災や開発をのがれ奇跡的に現在まで残された百花園の秘密を味わい尽くします。
また、珍しい植物の宝庫・東京都立園芸高等学校にも潜入。なんと、樹齢５００年という江戸時代の貴重な盆栽を発見！タモリさんもビックリのその盆栽の正体とは？
2012年02月10日
GKB47
撤回されたこの標語、印刷代300万円（結構安い?）かけて作った25万枚のポスターが無駄になったようですが、標語が適切かどうかの前に、ポスターの効果を検証しているんでしょうか? 役所はこの手の標語が好きなようですが、一体どれだけ効果を上げているのか? ポスターは安いので、「これで数人でも相談して自殺が減れば」ということかもしれませんが、本当に役に立っているのか？
特に、交通標語なんて、意味あるんでしょうか? 安全運転の人にはもともと関係のない話だし、平気で違反している人が標語を見て思いとどまる、ということは想像しにくい。一方、確実に全国の道路を醜悪にしている。日本以外で見たことないですよね。
2012年02月09日
コーヒーを頼む精神
昨日午後、高松へ。空港に降りたら結構な雪! 市内に出れるかと心配しましたが、市内に入ると晴れてました。新空港を山の中に作ったので、こういうことがあります。
さて、先週の田中直紀防衛相の「コーヒーを頼む精神」との釈明には笑いました。大臣クビになっても、コーヒー業界に転職可能?
2012年02月08日
将来への投資をしない国はいずれ衰退する
郵政民営化反対の議論の中に、「国債の最大購入者であるゆうちょが民営化して、国債を買わなくなったら困る」というのがあった。本末転倒も甚だしい、と思ったが、伊藤元重先生が丁寧に解説しています。
日本の家計や企業は膨大な額の貯蓄→金融機関を通じて国債の購入＝政府の借金
「政府の財政赤字を減らすことが急務だ。ブラックホールのように国民の貯蓄を吸い込んでいる財政状況を放置していたのでは、国民の貯蓄を有効活用することはできないからだ。そしてもう一つ重要なことが、投資機会を増やすことだ。将来の活力ある日本の姿を描いたとき、どこに投資が向かうべきだろうか。」
日本の家計や企業は膨大な額の貯蓄→金融機関を通じて国債の購入＝政府の借金
「政府の財政赤字を減らすことが急務だ。ブラックホールのように国民の貯蓄を吸い込んでいる財政状況を放置していたのでは、国民の貯蓄を有効活用することはできないからだ。そしてもう一つ重要なことが、投資機会を増やすことだ。将来の活力ある日本の姿を描いたとき、どこに投資が向かうべきだろうか。」
2012年02月07日
『人民日報・海外版』の日本語版「日本月刊」
『人民日報・海外版』の日本語版「日本月刊」第４号に自民党の谷垣禎一総裁のインタビューが載っているらしい。
「以前、貿易黒字が続いていた頃、日本企業はアメリカのロックフェラーセンターを購入しました。その時も、アメリカ人は日本に反感を抱き、抗議しました。忘れてはいけないことは、日本の市場では売買は自由です。中国の投資家が日本で不動産の取引をしても決して違法行為ではないのです」
湯浅博特派員の指摘は正しく、日本は世界にもまれな、外国人の土地売買に対して何の制限も設けてない国である。
・昨年４月にようやく、すべての森林について所有権移転で「事後の届け出」を義務付ける法改正をおこなった
（それで、届け出た後不都合があれば、どうするというのか?）
・国際規範は安全保障に関わる外国資本による土地取得の制限を認めている
・米国や韓国は許可制
・日本企業が米国の不動産を買うことができるように、米国企業も日本で土地が自由に買える互恵の関係
・中国は外国資本に限らず土地買収を認めていない
・一方の中国は、日本国内にある７カ所の公館のうち、大使館を含む４カ所を所有
・米国はその立場から中国公館の土地所有は認めていない
「以前、貿易黒字が続いていた頃、日本企業はアメリカのロックフェラーセンターを購入しました。その時も、アメリカ人は日本に反感を抱き、抗議しました。忘れてはいけないことは、日本の市場では売買は自由です。中国の投資家が日本で不動産の取引をしても決して違法行為ではないのです」
湯浅博特派員の指摘は正しく、日本は世界にもまれな、外国人の土地売買に対して何の制限も設けてない国である。
・昨年４月にようやく、すべての森林について所有権移転で「事後の届け出」を義務付ける法改正をおこなった
（それで、届け出た後不都合があれば、どうするというのか?）
・国際規範は安全保障に関わる外国資本による土地取得の制限を認めている
・米国や韓国は許可制
・日本企業が米国の不動産を買うことができるように、米国企業も日本で土地が自由に買える互恵の関係
・中国は外国資本に限らず土地買収を認めていない
・一方の中国は、日本国内にある７カ所の公館のうち、大使館を含む４カ所を所有
・米国はその立場から中国公館の土地所有は認めていない
2012年02月06日
２２年度に支給した生活保護費は３兆３２９６億円
生活保護費の不正受給防止のため、申請者の口座の全国照会を厚生省が銀行に要請したらしい。
え、まだそんな事も出来てなかったの?という感じだが、「これは生活保護法２９条で、資産や収入について銀行に照会できることを定めているものの、銀行側に照会を義務づける規定になっていないため」ということ。
「同省によると、平成１７年度に判明した不正受給は１万２５３５件（約７１億９２７８万円）だったが、２１年度は１万９７２６件（約１０２億１４７０万円）に増加している。ただ、これは氷山の一角で、税金を納めていない場合、不正受給は分からない。」
役所の調査能力は限られているし、初回の審査さえ通れば、後は継続的に支給される。発覚した数の最低10倍はあるのではないか。昔から、「生活保護を受けているのにベンツに乗っている」と陰で言われていた。そもそも収入を申告してないのだから、税務署と協力してやってほしい。
2012年02月05日
スミスの本棚
スミスの本棚 私の人生を変えたこの一冊
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WBSで、著名人に座右の書を聞いていくコナー。そのインタビューをまとめた本。本は本で、また読みたいものが増えて大変です。それ以外に、インタビューの中に「流石」と思ういい言葉が多いので書き出しました。
13:見城徹 スムーズな仕事は疑え
スムーズに進んだ仕事は、ほかの人でもきっとできる。とにかく難しいこと、不可能だと思われること、どこから手を付けていいのか分からないようなことをやる。
36:片山晋呉 思ったことは実現する
ツアー25勝って書いた紙を天井に貼ったり財布に入れておいた。
58:小山薫堂 企画こそが日本の資源
ある程度情報を自分の中にストックしておかないと、企画は浮かびにくい
71:秋元康 間違えたときに戻ってくる力が大切
誰だって間違えるんだから。失敗して落ち込んで、立ち直るまでに時間がかかっていたらもったいない。間違いに気づいたら、そこからダッシュで戻らないと。
74:佐藤可士和 魅力になるコアはクライアントにあって、それを引き出せばいい
デザインする対象があれば、答えは必ずそこにある。
80:鈴木おさむ 自分がやりたいことがあったら手を挙げる
93:酒巻久 義務になると人はやりたくなくなる
生産性を上げるためにどうすればいいか自分たちで考えてもらって、ときどきヒントを出す。
137:寺田和正 好きな人としか仕事をしない
一緒に働く人たちも、嘘をつかない人、裏切らない人だけでやってみよう
秋元氏の「ダッシュで」なんか、感じ出てますね。
2012年02月04日
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
それでも、日本人は「戦争」を選んだ
昨年見たNHK「さかのぼり日本史 昭和 とめられなかった戦争」を見て、解説の歴史学者・東大加藤教授がよかったので本を読んでみた。
普通のよき日本人が、世界最高の頭脳たちが、「もう戦争しかない」と思ったのはなぜか？
というのがこの本のテーマ。
大まかにいうと、
1937日中戦争の頃までは、国民は政党政治を通じた国内の社会民主主義的な改革を求めていた
→政治システムの機能不全で実現せず
例：地主の支持層が多かった政友会
結果、改革推進者としての軍部の人気が高まった
陸軍改革案：自作農創設、工場法、農村金融機関
と分析している。
つまり、「軍部に引っ張られて戦争に突入した」というのも一面の事実だが、それを望んだのは国民で、そうなったのは政治システムの機能不全にあった、ということ。
歴史を学ぶということは、そこから教訓を得て、現在・未来に活かす、ということだが、では現在の状況はどうか？
現代の政治システムの機能不全
��選挙制度からくる桎梏
国会議員の6割以上が小選挙区から
与党は国民に人気がないときには解散総選挙を行わない
��特定の世代の意見が突出して尊重される
2005 65歳以上が総人口の2割 投票率8割
政治家は絶対に無視できない
著者の懸念は、こうした機能不全が克服できないと、かつてのように非民主的な解決手段に国民が惹かれないとも限らない、ということにある。
私は、それよりも、海外でより稼げる人が海外に出てしまい、それができない人だけが国内に残り、国力の衰えに拍車がかかることを恐れる。これは現在進行形であり、私の友人の1/3は、自主的か転勤かは別にして、海外勤務で日本で税金を払ってない。残りの国内組も、「いざとなれば海外に出よう」と準備を進めている。
まずは、選挙制度の改革。一票の格差是正も入れて、衆院：中選挙区 参院：比例代表にしてしまうのがわかりやすくていいのではないか？
さらに、世代間格差の是正については、子供の分は親に選挙権を認める、というのはどうだろう？「今」しか見ない政策で迷惑をこうむるのは子供と未来の国民だ。子供の分の選挙権を親に認めれば、少子化是正にも結び付くかもしれない。
2012年02月03日
育てた社員は真似できない
技術は真似できても、育てた社員は真似できない
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かっての「ダサイ」イメージから、オシャレな飲み物にイメージを変えつつあるホッピー。その変身の立役者の三代目跡取り娘こと石渡美奈社長を招いての朝食会。
社長になって１０年、かって８億円に落ち込んでいた売り上げを５倍の４０億円にまで引き上げた。それもスムーズに上がったのではなく、６年前には全社員が辞表を提出するという事件があったりと、変革に付き物の試練を乗り越えてである。
社長が押し付けても社員は動かない。社員と共に、「共育」（共に育つ）を合言葉にさらなる成長を目指す。
2012年02月02日
不意の地震に不断の用意
西銀座デパートの派出所の後ろの木立の中にひっそりとたたずんでいるのがこの像。何か、と思ってみてみると、関東大震災十周年記念塔だった。
塔正面台座のふもとには、
この塔は大正十三年（一九二三年）九月一日午前十一時五十八分東京を中心に関東一帯をおそった大震火災を記念するため広く浄財を集めて十周年の昭和八年九月一日に建てたものでわが国彫刻界の巨匠北村西望先生が「平和の神」を象徴して制作されたものであります 標語の「不意の地震に不断の用意」は当時朝日新聞社が全国から懸賞募集した十余万の応募の中から選んだもので長くこの日をしのび二度と惨害をくりかさぬよう注意を喚起するものであります
とある。
北村西望氏は、長崎市の「平和記念像」でも有名。M7級の首都直下地震、今後４年以内の発生確率70％といわれる今日、心したい。
2012年02月01日
繁栄と衰退と
繁栄と衰退と―オランダ史に日本が見える (文春文庫)
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オランダを訪問したのは2008年の夏。アムステルダム郊外のハーレムに住む同級生宅を拠点に一週間滞在。
ハーレムとはNYのハーレムの元になった地名である。そう、NYは元々「ニューアムステルダム」といわれ、一体はオランダ領だった。英蘭戦争中にイギリスが攻略したのだ。
英蘭戦争に至った経緯を解説したのが本書。外交官だった著者が、外交・国防の点から現代日本との比較をする。そこには思わず背筋が寒くなる箇所がある。17世紀前半あれだけの栄華を極めたオランダは第二次英蘭戦争が終わるころには周辺国に「むしられ」国家存亡の危機に立つ。イギリス国王の交代による英外交方針の転換で、なんとかフランスの一部となることを免れた。
単行本発刊は1991年。日本がバブルの絶頂だった時。「日本脅威論」が盛んで、その後の経緯を見れば、オランダ同様、他国の嫉妬を買い、「第二の敗戦」を迎えつつある、といえるかもしれない。経済的に繁栄しているが、国内の政争にかまけ世論を統一できないため外交交渉が弱い。
7:経済の繁栄と技術の優位がいかに他国の嫉視の的になり得るか。そして、その嫉妬の感情だけが(中略)国際的なオランダいじめの動機ともなり、戦争を避けがたくする
12:エリス・バーカー『オランダの興亡』
・武事を閉却した
・国内の闘争が中央権力の弱体化を招いた
「英国人は繰り返し同じ疑問を持った。われわれのように強く勇敢な国民が経済的に困窮していて、自分達のための戦いも金を払って他国民に戦ってもらっているような卑怯な商人どもが世界の富を集めているのは、果たして正しいことなのであろうか?」
「オランダの政治家たちは国内政治では常に詐術や暴力を使っていたにもかかわらず、国際政治や戦争の問題についてはセンチメンタルな観点に立ってものを考えた」
