2025年07月18日
『ヴェニスの商人』はあり得るか
ヴェネツィアを舞台とするシェークスピア戯曲には有名な2作品がある。
12：『オセロ』ヴェネツィアでは、商船の船員に至るまで自国民で固めていたので、海軍の要職や海外基地の司令官に、黒人にかぎらず他国の人間をすえるというようなことは、絶対にありえなかった。
『ヴェニスの商人』に関しても、塩野七生は「ありえない」という。
ヴェネツィア商人のリスク分散方式は実に徹底していたので、持ち舟の何隻かが沈没してしまったから一文無しになるというのは、なんとしても非現実的である。まずもって、一隻の船全部を所有していたということも、遠距離用の船ならば、ヴェネツィア有数の財産家でもなければありえない。
それほど、ヴェネツィアは合理的で近代的に運営されており、それはあたかも「ヴェネツィア株式会社」のようであった。ヴェネツィアの海上貿易はどうファイナンスされていたか？これも、現代とそう変わらない。まずは、融資。
そして、投資を募る場合。22：海上融資「プレスティト・マリッティモ」短期間の融資制度で、利子は年に20%。利子とともに元金を完済すれば、あとはすべて自分のもの。
コレガンツァには出資比率によって基本形が2種類あった。23：限定合資会社「コレガンツァ（連帯）」（ジェノヴァでは「コンメンダ（紹介」）古くからユダヤやギリシアやアラビアの商人の間で用いられてきた制度だが、この人々が使っていたのは、家族や親族間だけ通用。同国人ならば血のつながりがなくても参加できるようにしたのは、イタリアの海洋国家がはじめて。
ただ、現代の株式会社と違うのは、コレガンツァは、「1隻の船を建造するとか、一航海とかに限られていたこと。航海が終われば利益を分配し解散した。それでも、不特定多数から小口資本を集めるようになり、ヴェネツィアではそれまでにないような大型の船が造られ、遠くまで交易に出られるようになった。�〇駛棆箸�全資本の2/3を出資 経営者（＝船乗り兼商人）は1/3を出資利益は、必要経費を除いた後の金額を、折半。�∋駛棆箸�資本全額を出資資本家が3/4 経営者が1/4。
27：小口投資家に投資の機会一人一人ではたいした額ではなくても、全体から見れば相当なものになり、ヴェネツィア経済の発展に、大切な資金面から、非常な貢献。
2025年07月17日
第四次十字軍「はじめに、商売ありき」
1202年の第四次十字軍は、なんと、聖地エルサレムの奪還ではなく、同じキリスト教徒の都であるコンスタンティノープル攻略から始まる。
最初からそのつもりではなかったようだが、十字軍は常にヴェネツィアの海軍力を当てにしていて、そしてその資金を出すと言っていたビザンチン帝国の前皇帝がお金を出さなかったので、「では取りに行きます」となった結果がこれ。「ヴェネツィアが脚本を書き、演出し、主演したドラマ」であった。
125：「はじめに、商売ありき」
最初からそのつもりではなかったようだが、十字軍は常にヴェネツィアの海軍力を当てにしていて、そしてその資金を出すと言っていたビザンチン帝国の前皇帝がお金を出さなかったので、「では取りに行きます」となった結果がこれ。「ヴェネツィアが脚本を書き、演出し、主演したドラマ」であった。
125：「はじめに、商売ありき」
商売を効率よく進めていくには、政治、外交、軍事のいずれの面でも大変にきめの細かい技を駆使しなければならず、そのようなアルテ（技能）は、作品を残すアルテ（芸術）に比べて、少しも劣るものでない。
218：コンスタンティノープル落城
教会も宮殿も、略奪者の土足に荒らされなかったところはない。聖ソフィア大寺院の豪華な掛幕は、そのふち飾りが金であったというだけで、ずたずたに切り裂かれた。（中略）すでに、3回の大火で、その大部分を焼失した貴重な古代の写本は、価値も分からないフランス人やフランドル人によって、燃えあがる火の中に投げ込まれた。古代ギリシアや古代ローマ時代の見事な彫像は、それが持ち帰れないという理由だけで破壊された。
219：難攻不落とされ、900年もの間、東方キリスト教世界の首都であったコンスタンティノープルは陥落した。破壊を免れた芸術品は、それを見る目を持っていたヴェネツィア人に奪われ、ヴェネツィアへ持ち帰られたために助かった。今もヴェネツィアの聖マルコ寺院の正面を飾るブロンズの4頭の馬は、はじめ、ローマのネロ皇帝の凱旋門上を飾っていたのだが、コンスタンティノープルに持ってこられて、そこの競技場の門を飾っていたのだった。現在、ビザンチン文化を知るに最も適した場所は、世界のどこでもなく、ヴェネツィアである。
2025年07月16日
元首ピエトロ・オルセロ二世
生まれたばかりのヴェネツィアが、その後千年にわたって栄えることになった基本設計をしたのが元首ピエトロ・オルセロ二世。
ヴェネツィアは海賊になるのではなく（当時のアドリア海は海賊で溢れていた）、交易を選んだ。まずは、海賊に負けない海軍力を持たなければならない。82：海に出ていくことによって、豊かになる道は２つ�仝魄廚暴昌�すること、��海賊を業とすること。海賊退治が、海に出ていくと決めたヴェネツィア人にとっての、国づくりに次ぐ国家規模の事業。
ここで興味深いのが、同じイタリア半島にありヴェネツィア人が信仰するカトリック教の中心である神聖ローマ帝国に属さず、飛び地にあるビザンチン帝国を選んだこと。85：政治的にはビザンチン側に属しながら、地理的には神聖ローマ帝国に近いという特殊な立場ひとかどの海上戦力を所有するまでになっていたヴェネツィアを、両勢力とも自派に引き込もうとする。
近くの強大な国に属せば、言いなりになってしまう。そこで、敢えて、遠隔の地にあるビザンチン帝国と同盟を結び、神聖ローマ帝国への牽制とした。90：元首オルセオロ二世味方というものは、それが強国であればなおのこと遠くにあるほうが望ましい存在である、ということを理解していた。味方となれば、例え弱体であろうと、なにかとけん制したがるもの。まして、強大な国であれば、より一層やっかいな存在になる。近くの味方は、しばしば近くの敵よりも始末が悪い。
その交渉力の源になっていたのは海運力だ。ヴェネツィアは造船と操船に優れ、アドリア海を「ヴェネツィア海」とした。107：ヴェネツィアの船いかなるヴェネツィア人も、老朽船でないかぎり、外国人に船を売ることは禁じられていたし、ヴェネツィア人が船を購入する時はヴェネツィア国内で造られた船を買わねばならないと、法律によって決められていた。実際、ヴェネツィアの造船技術は、16世紀までは確実に、他国のそれを圧して優れていた。
124：元首ピエトロ・オルセロ二世の政策�ヽぞ紊痢氷眤�道路”の建設��東方の強国にも西方の強国にも従属しないで、独立を保持する�Ｅ貶�の強国ビザンチン帝国の防衛の肩代わりをすることによって、アドリア海の”警察”の役目をする
元首オルセロ二世のこの基本政策が、中世に荒れ狂った法王と皇帝の争いからヴェネツィアを守ることになる。
127：フィレンツェはその害をもろにかぶった。イタリアでは、ほとんどヴェネツィアだけが、この騒ぎに巻き込まれないですんだ。国力の効率よい活用という点から見れば、まことに幸運な選択。
2025年07月15日
アンティ・ヒーローの国ヴェネツィア共和国
コリンズは『ビジョナリー・カンパニー』で、「第5水準のリーダーシップ」を定義した。長期的に発展を続ける企業には、その「仕組み」を作った経営者がいる。その経営者はカリスマというよりも地味であり、大きな声を上げるのではなく粘り強く「仕組み」を作っていく。
カリスマ経営者は、在任中には業績を上げても、退任後にはその反動が来ることが多い。GEのジャック・ウェルチしかり、日産自動車のカルロス・ゴーンしかり。後から見れば、コストカットしたうえで無理をして業績を上げ、高額のボーナスを入手した上に退職金は500億円にも上った（ジャック・ウェルチ）。
「ヒーローの国フィレンツェの歴史と、アンティ・ヒーローの国に徹したヴェネツィア共和国」というのは、国家版の「第5水準のリーダーシップ」のようだ。
61：ポッツォと呼ばれる井戸
ヴェネツィアの井戸は、地下水を汲み上げるのではなく、雨水を貯め、それを汲みあげるもの。
65：現代でも運河にたらしっぱなしにされている下水
朝夕の潮の流れという、天然の水洗方法。
65：沼沢地帯を、力を合わせて家を建てられるような土地にすることからはじまった
土地私有の観念は、ごく初期の頃に失われていたと思われる。
77：150を超える島、180に近い運河、410を数える橋
他の都市国家が都市の周囲にめぐらせた城壁は、ここヴェネツィアでは、水。
77：「ヴェネツィアとフィレンツェは、性格のまるで違う二人の人間のようだ」（マキアヴェッリ）
ヒーローの国フィレンツェの歴史と、アンティ・ヒーローの国に徹したヴェネツィア共和国。
2025年07月14日
ヴェネツィア共和国の一千年
「塔に登れ。そして、そこから海の方向を見よ。おまえたちの見る地が、これからのおまえたちの住家になる」（ヴェネツィア建国の伝説）
蛮族の侵入に追われて、安全な場所を探した後のヴェネツィア人。祈りに対して、この言葉が天から聞こえたという。そうして目指したのは、葦の生えている沼地。これまで誰も人がすまなかった海の干潟だ。
今日の美しい都ヴェネツィアだったら、住んでもよいと思う人は、日本人にもいるであろう。しかし、今から1500年の昔、葦の生えているだけだった沼地に移らざるをえなかった人々にとっては、とくに彼らが相当に高い文明を持っていただけに、いかにあの情況下であろうと、非常な決意を必要としたはずである。
そうした危機感が建国時からあったからこそ、共和国として国が上手く機能したのだろう。この点、マレーシアから追い出されて独立したシンガポール共和国に通じる。
27：697はじめて、住民投票によって、元首（ドージェ）を選出1797年にヴェネツィア共和国が滅亡するまで絶えることなく続いた。
36：「ヴェネツィアに住む人々は、独特な人格に必然的に変わらざるをえなかったであろう。ヴェネツィアが、他のどこの都とも比較しようのない都であるということに似て」（ゲーテ）
43：聖マルコを寓意するのが、獅子
福音書作者の4人の聖人には、それぞれ寓意の動物が決められていた。ヨハネ黙示録に出てくる４つの動物。
2025年07月11日
不易と流行の〈あいだ〉
最終章は、「IWONゲームチェンジ 不易と流行の〈あいだ〉」。30年前に始まったインターネット革命は、今や地球の隅々にまで浸透したが、インターネットによるひずみで「情報恐慌」の体だというのは多摩大学情報社会学研究所の公文所長。
249：多摩大学情報社会学研究所 公文所長の失望� 峇道觧駛楴腟繊廚梁翔�と人間性の支配・破壊「新自由主義」の下で急拡大する社会的格差と不平等の問題。�⊂霾鷆温�従来、社会的均衡は覇権国による勢力と市場経済によって保たれていたが、インターネットのO2Oプラットフォームの展開によって、これに第三の均衡を保つものとして「情報均衡」が加わった。
3つの要望
�．妊献織襪量粥�光化の夢
��経営者の主導する主体的な社会的責任の追及
�８�コンピューティング・通信技術を駆使したフェイクニュースの点検や信頼し得る情報の生産・流通システムの提供
261：新社会インフラ「IOWN」
125倍の高速大容量、1/100の低消費電力、1/200の低遅延性。
264：AもBも同時に存在する＝パラコンシステントな世界
持続可能な社会。西田哲学でいう「絶対矛盾的自己同一」。
269：分散ネットワーク国土へ
人工拡張期に建設したインフラのすべてを維持し、整備することはできない。コンパクトに、各地域は集約されていくべき。自然とハイテクが共存した風景。
令和の「廃県置藩」
江戸時代の藩と同程度の、分散した300位の自治体を形成していくのが自然な姿。なぜならそれぞれの地域には、地形、経済、文化など歴史的なものに由来する地勢があるから。
2025年07月10日
技術と思想の〈あいだ〉
続いて、「技術と思想の〈あいだ〉」（坂村健）。コンピュータの基盤アーキテクチャ「TRON」を1984年に提唱した研究者（東大名誉教授）。携帯電話も普及してない時代にIoTの概念を取り入れた先進的なアーキテクチャであった。
TRONはすべて無償で公開されたので、今でも宇宙ロケットや自動車のエンジン制御、身近なところではGoProにも使われている。組み込み制御OSで世界シェア60%。結果的に世界標準を取れった程優れたアーキテクチャであったが、当時は（も？）日米貿易摩擦の時代。
日本脅威論と相まって「コンピュータでも日本が席巻するのでは」と誤解され、無償公開されていたのに、なんと日米貿易摩擦の一つとしてやり玉にも上がった。どうやらアメリカ側でそう主張した企業があり、それでUSTRが動いたらしい。
その誤解は数ヶ月で解けたのだが、酷かったのは日本のマスコミだったという。ろくに調べもしないまま、「TRONのせいで貿易摩擦に」と報道。日本での「風評被害」は長く続いたという。
TRONはすべて無償で公開されたので、今でも宇宙ロケットや自動車のエンジン制御、身近なところではGoProにも使われている。組み込み制御OSで世界シェア60%。結果的に世界標準を取れった程優れたアーキテクチャであったが、当時は（も？）日米貿易摩擦の時代。
日本脅威論と相まって「コンピュータでも日本が席巻するのでは」と誤解され、無償公開されていたのに、なんと日米貿易摩擦の一つとしてやり玉にも上がった。どうやらアメリカ側でそう主張した企業があり、それでUSTRが動いたらしい。
その誤解は数ヶ月で解けたのだが、酷かったのは日本のマスコミだったという。ろくに調べもしないまま、「TRONのせいで貿易摩擦に」と報道。日本での「風評被害」は長く続いたという。
173：「ベストエフォート」の思想で柔軟なシステムを体現したインターネット
IPプロトコルの良い点は、おおらかなところ。クライアント側がデータを送って上手くいかなかったとしても、サーバが受け取るまで何度でもリクエストを送信することで通信を確立。
ベストエフォートという概念が、日本ではなかなか理解されなかった。いや、理解はしていても、納得できなかった。
181：引き算の思想
マイナンバーカードでも、プライバシーを理由に、使用制限をどんどん付けていった結果、誰もが活用できるインフラとして機能しなくなってしまった。（中略）自治体毎にちがう方式でIDを付けていたのでは、汎用性を持たせることができない。
海外では古くからDUNSナンバーで企業の識別コードを統一
企業や政府がDB上で企業を識別する手段。これが国内ではいまだに浸透しない。
182：日本「大陸法」＝ポジティブリスト
英米法＝ネガティブリスト
2025年07月09日
生命とITの〈あいだ〉
本書、IOWNの話だけでなく、NTT澤田社長が各界の著名人と会談する各章がある。最初は、「生命とITの〈あいだ〉」（福岡伸一ｘ澤田純）。
61：ウイルスというのは、その単純な構造から生命の初源からあったように思われがちですが、実際は進化のプロセスを経て高等生物が出現した後に生まれました。そもそもウイルスは、我々の遺伝子の一部がちぎれ出たもの。つまり、私たちの身体の一部だったもの。
これは、知らなかった。驚き。
63：西田幾多郎が立ち戻ろうとした「ピュシス(physis)」⇔ロゴス(logos)
ピュシス＝古代ギリシア語で「本来の自然」
66：生命進化の最前線にあるガラパゴス
ガラパゴス諸島は、海底火山の隆起によってつくられた、ごく新しい環境。古い島で誕生から数百万年、新しい島では数十万年しか経過していない。最初は水も土もなかったところに、1000kmもの旅を経て、なんとか流れ着いた植物などの種が乾燥に耐えながら少しずつ土壌をつくり、それを餌にする鳥がやって来て、虫が飛んできて、さらに奇跡的に流れ着いたゾウガメの卵が孵化して出来上がったのがガラパゴス。（中略）つまりガラパゴスというのは生命の最前線、進化の前線にある。ガラパゴスこそがブルーオーシャンであり、生命の楽園。
70：進化の過程で魚の背骨は最後にできた
魚にはもともと背骨がなかった。そのままでは体を支えることができないので、大きくなれない。そこで、細胞が集まったときに、内側に何かかたいものをつくったほうがいいということになって、背骨ができた。生命の38億年の歴史のうち、最初の30億年ほどは、生物は背骨を持たなかった。
71：余裕があることに生命進化の強靭さがある
平時であれば、トレードオフの考え方に基づいて、効率性や経済合理性を優先してつくればいい。ところが、有事になると、設計時には想定しえなかったことが起きて、そのシステムはとたんにグラグラと揺らいでしまう。
77：矛盾したものが同時にあるという状態は、西欧の人には通じにくい
東洋思想では、人間を、矛盾を抱えながら相反するものが同時に存在するもの、として捉える。
82：生命の本質は「自分自身を壊せる」こと（動的平衡）
自己を破壊できて、それも率先して自分自身を壊しながら、なんとかエントロピー増大の法則に抵抗している。物質はエントロピーの坂をどんどん転がっていくけれど、それに抵抗するために、生命は自分自身を先回りして壊しながら、エントロピーを捨てながら、つくり替えている。相対としては、合成する速度よりも分解する速度の方が早くなってしまう。そうすると全体としては少しずつ分解されて行ってしまうので、ここの生命には限りがある。
2025年07月08日
次世代通信IOWN
情報通信業界の巨人NTT。もとは、戦後すぐにできた電電公社で、日本中に電話網を普及させることが目的だった。
1985年に民営化。その後、世界一の時価総額を誇ったこともある。グループ内に本格的な研究所を持ち、世界に先駆けて技術的な提案もしてきた。惜しむらくは、その提案の良し悪しに関わらず、日本の国力の低下と相まって、世界標準を取れなかったことだろう。
世界初のモバイル情報サービスだったiモードも、海外で携帯通信会社を買収迄して普及を図ったにもかかわらず、惨敗して1.5兆円もの損失を計上した。
その後、ここ10年の動きは、なにか「NTTの経営が変わったのではないか」と感じさせる。ドコモやデータの完全子会社化、そして今回の社名変更。
はじめに：IOWN (Innovative Optical & Wireless Network)2019NTT
スマートな世界を実現する、最先端の光関連技術および情報処理技術を活用した次世代情報通信基盤。光技術による大容量、低遅延、低消費電力を特徴とするAll Photonics Network、実世界の再現を超えたインタラクションをサイバー空間上で行うDigital Twin Computing、クラウドやネットワーク、ユーザICTの構築・設定および管理・運用を一元的に実施できるCognitive Foundationの３つからなる。
9：霞提（信玄堤）
堤防のある区間に開口部を設けつつ、上流側の堤防と下流側の堤防が二重、三重に重なるように築いた不連続な堤防。この構造により、氾濫時には氾濫水を内水や河川に誘導して被害拡大を防いだり、河川から溢れた水を遊水させて、河川の水位上昇を一時的に緩和して越水を防いだり、川の外に逃がした水が緩衝となって溢れた水の勢いを弱めたり、さらには洪水時に堤に挟まれば部分に水たまりができることで多くの生物が対比できる場としても機能。つまり霞堤は、ある程度は水が溢れることを想定しながらも、被害を最小化し、さらには自然環境に配慮した治水の姿を体現している。
20：シンギュラリティ論者「森羅万象のすべてをデータで記述できる」
ユヴァル・ノア・ハラリ『ホモ・デウス』
データとアルゴリズムに支配される「データ至上主義」の未来社会の到来を予見。
21：トランス・ヒューマニズム（超人間主義）
西垣通『新 基礎情報学』
AI礼賛やデータ至上主義の考え方の根底に、西洋思想に脈々と受け継がれてきた「トランス・
ヒューマニズム」。
24：トレードオフからパラコンシステント（同時実現）へ
どちらかを優先し、全体としてたんにバランスを取ろうとするのでもなく、あちらもこちらも、どちらも優先するという「同時実現」。
27：生命としての人間が矛盾を抱える存在であり、主観を持つ自律的な存在
観察対象が生命や自然、さらには人間の思想や価値観などの内面までおよぶとき、物質に対するのと同じような客観的かつ機械的な態度でそれらを理解し、コントロールしようとするのはそもそも無理がある。
2025年07月07日
「文化」の挑戦と文明の相対化
第一次世界大戦から110年。今また、トランプ政権が世界経済を分断させようとしている。返す刀で、国際法を最初から無視したイラン空爆。アメリカのイラン空爆に先駆けて、イランを攻撃したイスラエルを「我々のために汚れ仕事をやってくれている」と称賛したドイツのメルツ首相には驚いた。
163：国際政治経済体制の確立
WW1が世界経済に与えた最大の衝撃は戦争による人的、物的損害ではなかったかもしれない。それまでの世界経済の一体化の傾向を反転させ、世界経済を分断したことの影響は、極めて大きかった。
185：サミット・G7＝WTO体制
ブレトンウッズ=GATT体制の単なる修正、置き換えではなく、その性格や行動規範を異にしている。後者は、各国政府が国内経済を管理する能力を持つことを前提とした国際レジームであったが、全社は市場にシグナルを与え、指示・誘導によって市場を制御することを目標としている。
189：グローバル経済化の開発と援助
アジア諸国の国内政治上の条件。アジア諸国はおしなべて強い自負心ないしナショナリズムをもっていた。また、農業の生産性を向上させるのに必要な農地改革を行い、一定の範囲で競争力を持つ輸出産業を立ち上げ、海外からの投資を呼び込むに足りる労働者を供給できる教育制度を整えた政府の能力もまた無視することはできない。そして何よりもこれが諸国が自由化、市場化をおおむね自発的に、かつ漸進的に行ったことが重要であった。
209：宗教戦争の時代（パスカル『パンセ』）
「人は、宗教的信念によって行うときほど、喜び勇んで、徹底的に悪を行うことはない」
213：国際法＝文明国間の法
文明概念が国際法の重要な原則「文明ー野蛮ー未開」
国際法の下で完全な法的主体となるのは文明水準に達した、ヨーロッパやヨーロッパ人移民がつくった国家のみ。
214：「文化」の挑戦と文明の相対化
英仏の普遍主義的、進歩主義的な文明論に対して、ドイツにおいては共同体主義的、伝統主義的主張がなされた。文明論は18世紀末にドイツにも移植されたが、ドイツでは英仏の文明論の前提となっていた物質的進歩の前提を欠いていた。そのため、ドイツではより内面的、精神面的側面を重視した「文化」という言葉が用いられた。
2025年07月06日
「アメリカは人類を結びつけるために創造された」
アメリカの政治は、民主党の「アメリカが民主主義で世界を良くする」という関与主義と、共和党の「世界政治と距離を置く」孤立主義との間を揺れ動いている。
1776年の建国から249年の歴史を振り返れば、孤立主義の時代の方が長く、アメリカが国際政治の中心となったのは第二次世界大戦後のこと。それも、戦争の直接被害を受けなかったアメリカが唯一の超大国となり、しぶしぶだ。
関税による保護主義も「アメリカの伝統」なのだ。従って、「アメリカ・ファースト」は元に戻らない可能性がある。
51：メートル法と標準時の時代
メートル法の採用はフランスでも1840年代までは進まなかったが、1867年のパリ万博をきっかけに世界的な度量衡統一の必要性が認識され、1875年、20か国の代表がパリに集まってメートル条約に調印した。また、この時期には各国の時刻を統一するために、世界標準時の設定も必要と考えられるようになっていた。
60：ウィルソン大統領「アメリカは人類を結びつけるために創造された」存在
ウィルソンが理想とする国際連盟＝世界政府
国家間の紛争を平和的かつ司法的に解決するためではなく、国民の同意を得、互いに平等な主権を持つ政府が人類のために協力する組織。
61：「公開外交」他国の国民に直接訴えて世論の圧力を外交に活かす
国家間の交際が従来の「外交」から「国際政治」へと変化。
2025年07月04日
国際政治への問い
序章「国際政治への問い」から。
4：バーナード・ショウ喜劇『運命の人』19世紀末「悪いことも善いこともおよそイギリス人が手を付けないようなことは世の中に一つもないが、イギリス人が自らを不正と批判される立場に置くことは決してないのである。彼は何事でも原則に基づいてやる。戦う時には愛国の原則に基づいている。泥棒する時には、実業の原則に。他人を奴隷化する時には、帝国主義の原則に。・・・国王を支持する時には王党派の原則に、国王の首を落とす時は共和制の原則に基づく。彼の標語は常に義務である。しかしイギリス人は、その義務が自らの利益に反するような者は敗者だということを決して忘れはしないのである」
これは、言い得て妙。大英帝国の全盛にあって、自らを笑い飛ばすというのがいかにもイギリス人っぽい。しかし、「冗談じゃない」という反応も日本にはあった。
6：和辻哲郎「アメリカの国民性」1943「これはショウ一流の皮肉として、この喜劇の観客を苦笑せしめたに過ぎないかもしれぬ。しかし自分はここに赤裸々の真実を見る。そうしてこういう真実を単なる皮肉として笑ってすませているところに、イギリス人の図太さを看取し得ると思う」
大英帝国のこの態度はいわば「偽善的」。常に原則を掲げるが、同時に現実的にその時と場所で使う原則を変えている。では、それを非難した日本の外交はどうであったか。
8：1933松岡洋右「リットン調査団」の報告を拒否「何れの国もその存立の為め到底譲歩も妥協も不可能な死活問題を持って居る。・・・・・同問題（満州問題）は日本国民にとって実に生死に関する問題とされているのである」
「高い理想を掲げつつ、自らの行動について自らが判定者となり、中国政府や国際連盟がその真情を理解しないことを非難」した日本外交だが、満蒙は日本の「特殊権益」だからそれを認めるべきだと言っているにすぎず、「偽善的」ですらなく「独善的」なのだ。
16：湾岸戦争国際紛争そのものに対する姿勢をはっきりさせず、クウェート国民を含めた他国民への配慮なく自国民の安全に突出した関心をもったことは、外から見た日本の立場を理解不能なものとした。湾岸戦争後のクウェートによる感謝広告に日本の名前が載せられなかったのは、日本が血も汗も流さなかったからではなく、日本の独善主義に対する不満の表れと見ることができる。
その外交は、戦後にも引き継がれているのではないかという。1990年の湾岸戦争では、日本はイラクの武力侵攻を批判したうえで、問題の平和的解決を訴えた。文句のつけようのない「道徳的に高い立場」だ。アメリカ主導の多国籍軍が派兵されても、それはアメリカの偽善であると批判し、協力を遅らせた。
ところが、イラク、クウェートにいた日本人の一部がイラク政府によって人質状態に置かれると、法人の早期解放を求める世論は高まり、紛争の行く末はどうなろうとも、邦人を無事に解放させることが何よりも優先された。これでは、世界の支持どころか、理解を得られるわけがない。
ところが、イラク、クウェートにいた日本人の一部がイラク政府によって人質状態に置かれると、法人の早期解放を求める世論は高まり、紛争の行く末はどうなろうとも、邦人を無事に解放させることが何よりも優先された。これでは、世界の支持どころか、理解を得られるわけがない。
21：広い政治国際社会においては、重層的な政治過程が営まれている。各国家内において、通常の意味での政治が営まれているのに加えて、国家間での政治と、国境を越えて相互に作用する個人や集団が営む政治が存在するのである。
2025年07月03日
伝国の辞
米沢藩主「治憲」は35歳で隠居し、以後、「鷹山」と名乗る。江戸時代としても随分早い隠居だが、治憲は養子であったが、養父に幼い直系の子がいた。その子「治広」の成長を待って（20歳の時）、自分の養子にしたうえで、家督を譲ったのであった。
その際に、言い渡したのが「伝国の辞」。これを、内村鑑三が英訳し、それをケネディ大統領が読んでいたらしい。そして、後日、大統領就任時にインタビューにやってきた日本人記者に対して、上杉鷹山を「最も尊敬する日本人」として挙げたのだ。1960年代、日本で上杉鷹山は忘れられていて、記者は首を傾げたという。
234：伝国の辞・国家は、先祖から子孫に伝えられるもので、決して私すべきものではない・人民は国家に属するもので、決して私してはならない・国家人民のために立ちたる君であって、君のために人民があるのではない
内容は正に「主権在民」。フランスの人権宣言より4，5年前のことだ。
2025年07月02日
天明の大飢饉
海外火山の噴火で日光が遮られ、1782~88年（天明2〜6年）にかけて起こった「天明の大飢饉」。これまで日本で起こった最悪の飢饉といわれ、餓死者は全国で50万以上といわれている。特に、東北地方の冷害はひどく、津軽藩や南部藩では人口が半減している。
この時、「日本300藩のうちで、これに応えられる備蓄のあったのは、紀州・水戸・熊本、そして米沢の4藩だけ」であったらしい。そもそも冷害のひどくなかった紀州・水戸・熊本は別として、米沢藩は東北にあり、冷害もひどかった。
米沢藩は、上杉鷹山の方針の下、冷害に備えた備蓄を少しづつ進めてきた。その成果が出て、東北諸藩の農民が越境して南へ逃避したのに対して、米沢藩からは一人も離散者が出なかったという。逆に、米沢藩に避難民が押し寄せたが、鷹山は彼らにも備蓄の米を分け与えた。
58：募金で学校建設
百姓、町人の拠出多価。
117：錦鯉
賄賂好きの老中首座田沼意次が、色彩鯉が好き。そこで、大名や大商人が、田沼に贈るために、米沢の鯉を買いあさった。
208：竹俣処断
藩内に残る古いしくみと、そのしくみにしがみついている頑強な藩士の存在。改革を進めるうえで、そのしくみに乗らなければ、何もできない。
2025年07月01日
改革の３つの壁
慢性的な財政危機となった米沢藩では、無理な年貢が課され、農民は疲弊する。そのため、「間引き」がしきりにおこなわれ、人口は激減し、普通なら15万人のところが9万人になる。
上杉鷹山は、米沢の産品を他藩が加工して販売していることに目を付け、藩内で加工販売まで手掛けることを奨励する。「蚊帳、奈良の晒、京坂における口紅や友禅染の染料も、米沢の紅花が原料」であったのを、蚊帳や晒、口紅などの最終製品にまでして売れば、利益は増える。
そこには、「弱いものをいたわれ」、しかし、「理念を実現するための財源調達の途を示さないのでは、政務を担当する者の責務を欠く」との理念があった。
そこには、「弱いものをいたわれ」、しかし、「理念を実現するための財源調達の途を示さないのでは、政務を担当する者の責務を欠く」との理念があった。
55：３つの壁�＼�度の壁�∧�理的な壁�０媼院平粥砲諒�＊改革とは、この３つの壁を壊すこと162：さよう・しからば・ご同役＝休まず・遅れず・仕事せず
2025年06月30日
藩政改革
江戸時代の藩政改革の成功例と言えば、一番有名なのが米沢藩。話は、日向高鍋藩出身の青年藩主・上杉治憲が米沢藩に婿養子として入るところから始まる。治憲はまだ17歳だ。
上杉謙信に始まる上杉家は、関ヶ原合戦で西軍に味方したことから、会津120万石から米沢30万石に移封される。ところが、名門でプライドも高い上杉家は家臣群の人員整理をしなかったため、恒常的な赤字財政になる。
さらに後継ぎがいないまま藩主が急逝。さらに石高が半分の15万石に減らされる。家臣の俸禄は13.5万石だったというから、収入の9割が人件費。これでは他の支出を考えると毎年赤字だし、インフラ整備など前向きな投資も出来ない。年を追うごとに赤字額は膨らみ、それを豪商からの「大名貸し」で賄っていたが、遂に「破綻先」として追加融資を断られたのが、この時期。
治憲が来るまでも、思い出したように藩政改革が試みられたが、毎回「総論賛成・各論反対」で一向に進まなかったという。こうすると、人心が荒廃。どうせ、ゆくゆくは財政破綻するのだからと、藩が払ってくれる間は貰うものは貰い、家臣たちはぜいたくな暮らしを競ったという。
治憲が来るまでも、思い出したように藩政改革が試みられたが、毎回「総論賛成・各論反対」で一向に進まなかったという。こうすると、人心が荒廃。どうせ、ゆくゆくは財政破綻するのだからと、藩が払ってくれる間は貰うものは貰い、家臣たちはぜいたくな暮らしを競ったという。
50：白子神社の誓詞明和4年（1767)9月13日上杉治憲奉納125年後の明治24年に発見。「国家が衰退して、国民が衰えてしまったので、このたび大節倹をおこないたい」
2025年06月29日
高峰秀子「私のごひいき」
雑誌『TWO WAY』に1974-95年の20年間に渡って連載されていた高峰秀子のコラム「いいもの見つけた」から95本を選んで、分野別に再編集したもの。
もともと、厳選されたお気に入りのものだけを使う主義である高峰秀子が、そこを見込まれて、このコラムを依頼される。そこは、引き受けたからにはプロ意識の高峰秀子。もっと良いものがないのか確かめないと活字にするわけにはいかないと、関連商品も買い集めることになり、気が付けば、家は商品で溢れかえっていたという。
コロナ初期に不足して今更ながら、「国産がない」と思い知らされた使い捨てマスクがまだ市販されてなかったり（医療施設用のものがあると紹介されている）、アメリカでPost-itを初めて入手し「便利で驚いた」など、時代を感じさせる。
もともと、厳選されたお気に入りのものだけを使う主義である高峰秀子が、そこを見込まれて、このコラムを依頼される。そこは、引き受けたからにはプロ意識の高峰秀子。もっと良いものがないのか確かめないと活字にするわけにはいかないと、関連商品も買い集めることになり、気が付けば、家は商品で溢れかえっていたという。
コロナ初期に不足して今更ながら、「国産がない」と思い知らされた使い捨てマスクがまだ市販されてなかったり（医療施設用のものがあると紹介されている）、アメリカでPost-itを初めて入手し「便利で驚いた」など、時代を感じさせる。
52：紙マスク
日本メディカルサプライ「マスクA」100枚入り1000円
57：修正液
LiQUiD PAPER
92：ノリつきメモ用紙
3M Post-it
「二十年の連載を終えて」
三つの条件
�‘票圓里澆覆気鵑�、2，3回のコーヒー代を節約する程度の価格で購入できるもの
�▲轡鵐廛襪納騨囘�で、常時役に立つもの
��どんなにいいものでも日本国で購入できないものは選ばないこと
2025年06月28日
高峰秀子「私の生い立ち」
高峰秀子の講演、エッセイ、インタビューをまとめたもの。最初に出てくるのは、昭和60年に神戸で開かれた講演会（『済生』1986収録）。当時、高峰秀子は60歳の還暦。
ここで出てくるのが「百貫デブ」。何十年ぶりかで聞いた。確かに、私が四国で育っていた50年前にはそうした言いまわしがまだ使われることもあったし、古い体重計にkgと合わせて「貫」が書いてあることもあった。ちなみに、1貫＝3.75kgだから、「百貫デブ」は375kg。さすがに、お相撲さんでもこれはない。
巻末の方に、『アサヒグラフ』1955/7/20号のインタビュー記事が収録されていて、そこにはこうある。
94：身長は5尺2寸、体重は100ポンド、バストは33インチ、ウエストは23インチです。
これを今風にメトリック法で表すなら、
身長：157.56cm
体重：45kg
バスト：84cm
ウエスト：58.4cm
1955年といえば、昭和30年。終戦後10年経った「もはや戦後ではない」と言われた年だが、体重も体格もポンド・インチなのが興味深い。それだけ、占領時代にアメリカ方式が徹底されたのか、それとも、戦前から映画界ではハリウッドの影響からポンド・インチだったのか？
さらには、身長だけが尺貫法なのが気になる。
10：食いしん坊
身長：157.56cm
体重：45kg
バスト：84cm
ウエスト：58.4cm
1955年といえば、昭和30年。終戦後10年経った「もはや戦後ではない」と言われた年だが、体重も体格もポンド・インチなのが興味深い。それだけ、占領時代にアメリカ方式が徹底されたのか、それとも、戦前から映画界ではハリウッドの影響からポンド・インチだったのか？
さらには、身長だけが尺貫法なのが気になる。
10：食いしん坊
ものすごい大金持ちと結婚して、食って食って食いまくって、デブデブの百貫デブになっちゃおう。そう思っていたのです。
12：松山善三（助監督）
私が一本百万円もらっているというのに、彼は月給13,500円ポッキリでした。月給日に五目ラーメンを食べるのが唯一の楽しみ。（中略）栄養失調でヒョロヒョロしていて・・・
26：子役
私は昭和6年、6歳のときには35円という高給取りでした。（中略）6歳の少女が、大学卒の初任給、大の男の東大出よりももっとお金を取るようになっていたわけです。
38：私自身
そういう高峰秀子のどこからどこまで全部いや、嫌い！という一人の人間。
40：金の卵を産む鶏
母は、私に対して娘というよりは、一人の女性に対するような嫉妬の目を向けて、どこまでも私と張り合うようになっていってしまいました。
2025年06月27日
占星術
世界有数のIT大国であるインド。IT技術者・IT経営者の排出量で他を圧倒している。そのインドで、「インド人の多方面の友人、知人が、たとえば結婚の取り決め、日取りの決定、破談など、ありとあらゆる判断を占星術に頼っている」というのが面白い。
375：「二人は7回前の前世からの夫婦で、7回後の来世まで夫婦でいるでしょう」
378：プロの預言者
常識に心理学的洞察と演劇の要素を組み合わせて、未来を「見せる」ことの達人。
392：選択は人生を切り開く力
わたしたちは選択を行い、そして選択自身がわたしたちを形作る。科学の力を借りて巧みに選択を行うこともできるが、それでも選択が本質的に芸術であることに変わりはない。
2025年06月26日
選択の代償
選択肢があるのは、多くの場合、幸福に繋がる。しかし、そうではない場合もある。
延命治療の選択を患者の家族に任せるのはその一つ。どちらの選択をしても、家族はその選択が正しかったのかどうか、後々まで悩むことになる。
この場合、医者が「これを勧める」とはっきり進言するほうがいいようだ。
316：「医学の父」ヒポクラテス
今なお医師の基本的な理念を指し示しているにとどまらず、医師と患者との関係を、親と子との関係としてとらえたからでもある。ヒポクラテスにとって、医師は知識と経験、健全な判断力を持つ存在だったのに対し、患者は自分にとって何が最良かを理解することができず、病気にかかったことで精神的に動転している存在でしかなかった。
322：インフォームド・コンセント
1950〜60年代に一連の裁判事件を通じて、原則が確立。
�ヾ擬圓房Ｎ妬�法の選択肢を提示し、それぞれの選択肢の効果とリスクについて説明すること
�⊆Ｎ鼎鬚垢訌阿法�患者の同意を得ること
227：延命治療を続けるか、中止するかの選択を委ねられた人たちのほとんどが、幸せでも、健やかでもなく、そのことを感謝してもいない。現実にこの決定を下す親たちは、医師に重大な決定を任せる親たちよりも、苦しんでいる。
330：アメリカとフランスの調査
たとえ最終判断を下すのが意思であっても、患者側に治療の選択肢を提示することで、状況のもたらす悪影響を和らげられる。
